NECの決算発表を受けて、「今回の決算は良かったのか」「なぜ利益が大きく増えたのか」「業績予想の上方修正をどう見ればよいのか」と気になる人も多いのではないでしょうか。
2027年3月期第1四半期は、ITサービスと社会インフラがともに大幅な増益となりました。一方、売上収益には米国CSG Systems Internationalの新規連結が含まれているため、買収による押し上げと既存事業の改善を分けて確認する必要があります。
この記事では、最新決算の結果、市場予想との比較、BluStellarや航空宇宙・防衛が伸びた理由、CSG買収の影響、通期予想を上方修正した背景を分かりやすく解説します。

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NECの最新決算はどうだった?市場予想を上回る好決算

NECの2027年3月期第1四半期は、売上収益が前年同期比14.5%増、Non-GAAP営業利益が86.9%増となりました。税引前利益も市場予想を大きく上回っており、全体としては好決算と評価できます。
売上高だけでなく利益率も大きく改善した点が重要です。Non-GAAP営業利益率は前年同期の5.6%から9.1%へ3.5ポイント上昇しました。単なる事業規模の拡大ではなく、収益性の改善を伴った増益です。
| 項目 | 2027年3月期1Q | 前年同期比 | 修正後通期予想 | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|
| 売上収益 | 8,197億7,400万円 | 14.5%増 | 3兆5,400億円 | 約23.2% |
| 営業利益 | 587億7,000万円 | 66.1%増 | ― | ― |
| Non-GAAP営業利益 | 747億3,800万円 | 86.9%増 | 4,300億円 | 約17.4% |
| 税引前利益 | 565億2,900万円 | 76.1%増 | ― | ― |
| 親会社帰属利益 | 496億9,800万円 | 157.4%増 | ― | ― |
| Non-GAAP当期利益 | 608億8,000万円 | 173.2%増 | 2,900億円 | 約21.0% |
※Non-GAAPは、買収に伴う無形資産の償却費、M&A関連費用、構造改革関連費用などを除き、本源的な事業の収益力を示すためにNECが使用している指標です。
税引前利益はコンセンサスを約49.7%上回った
IFIS株予報に掲載された第1四半期のコンセンサスは377億5,000万円でした。これに対し、実績の税引前利益は565億2,900万円となり、市場予想を187億7,900万円、約49.7%上回りました。
| 項目 | 実績 | IFISコンセンサス | 上振れ額 | 上振れ率 |
|---|---|---|---|---|
| 税引前利益 | 565億2,900万円 | 377億5,000万円 | 187億7,900万円 | 約49.7% |
IFISでは「経常利益」と表記されていますが、NECはIFRSを採用しているため、決算短信上の対応項目は税引前利益です。前年同期比だけでは、増益が市場に予想されていた範囲かどうか分かりません。今回のように市場予想も大きく上回った場合、事業の採算改善が市場の想定より速かったと読み取れます。
上振れの中心と考えられるのは、国内ITサービスと社会インフラです。国内ITサービスでは売上収益が1.9%増にとどまる一方、Non-GAAP営業利益は133億円増加しました。社会インフラでは航空宇宙・防衛の利益率上昇と、海洋システムの黒字転換が利益を押し上げています。
GAAP営業利益とNon-GAAP営業利益は何が違う?
会計基準に基づく営業利益は587億7,000万円、NECが本業の収益力を示す指標としているNon-GAAP営業利益は747億3,800万円でした。両者の差額は159億6,800万円です。
| 主な調整項目 | 金額 | 決算を見る際の意味 |
|---|---|---|
| 買収に伴う無形資産の償却費 | 57億5,000万円 | 過去のM&Aで認識した無形資産の償却 |
| M&A関連費用 | 74億7,200万円 | CSG買収などに伴う助言・手続き費用 |
| 構造改革関連費用・減損損失 | 20億6,900万円 | 事業再編や資産見直しに関する費用 |
| 株式報酬 | 6億7,700万円 | 役職員への株式報酬費用 |
本業の改善を見る場合はNon-GAAP営業利益が参考になります。ただし、買収や構造改革に実際の支出が伴うこともあるため、GAAP営業利益を無視してよいわけではありません。今回は、既存事業の収益性が改善する一方で、CSG買収に伴う費用がGAAP利益を押し下げました。
純利益の伸びには税負担の低下も影響
税引前利益は前年同期比76.1%増でしたが、親会社の所有者に帰属する四半期利益は157.4%増と、さらに大きく伸びました。法人所得税費用が前年同期の126億4,700万円から65億5,200万円へ減少したためです。
税引前利益に対する税負担率を単純計算すると、前年同期の約39.4%から約11.6%へ低下しています。決算資料では低下理由が詳しく分解されていないため、純利益の伸び率が今後も同じ水準で続くと考えるのは早いでしょう。
進捗率は25%未満でも単純に弱いとはいえない
修正後の通期予想に対する進捗率は、売上収益が約23.2%、Non-GAAP営業利益が約17.4%、Non-GAAP当期利益が約21.0%です。四半期を均等に分けた25%を下回る項目があります。
しかし、NECは第1四半期の業績進捗を踏まえて通期予想を上方修正しました。会社の内部計画に対しては想定以上だったと考えられるため、進捗率だけで決算の強弱を判断するのは適切ではありません。受注案件の売上計上時期や事業ごとの季節性も含めて確認する必要があります。
売上収益が前年同期比14.5%増えた理由
売上収益が増えた主な理由は、CSGの新規連結、BluStellarの拡大、航空宇宙・防衛と海洋システムの成長です。報告上の売上成長にはM&A効果が含まれますが、CSGを前年同期から連結していたと仮定したプロフォーマベースでも9.8%増となりました。
CSGの新規連結が海外ITサービスを押し上げた
NECは2026年5月14日に、米国のソフトウェア企業CSG Systems Internationalを連結子会社化しました。取得日から6月末までの約1カ月半で、CSGは327億6,100万円の売上収益を計上しています。
CSGは、通信・ブロードバンド事業者向けのBSSを主力としています。BSSは料金請求や契約、顧客管理などを支えるシステムです。NECの米国子会社Netcrackerが強みを持つBSS・OSSと組み合わせ、顧客基盤の相互活用やソフトウェアのクロスセルを進める狙いがあります。OSSは通信ネットワークの運用や障害管理を支えるシステムです。
CSGの新規連結により、海外ITサービスの売上収益は前年同期比46.2%増の1,443億円となりました。一方で、海外ITサービスの利益率は9.0%から8.7%へ0.3ポイント低下しており、売上拡大がそのまま利益率改善につながったわけではありません。
国内ITサービスはBluStellarが成長
BluStellarは、NECのAI、セキュリティ、クラウド、業務知識などを組み合わせ、企業や官公庁の変革を支援する価値創造モデルです。単に製品を販売するのではなく、コンサルティングからシステム構築、運用までを一体で提供する点に特徴があります。
国内ITサービス全体の売上収益は前年同期比1.9%増でしたが、BluStellarの売上収益は33.2%増の1,661億円となりました。官公庁や金融機関向けに、あらかじめ業務課題と解決方法を組み合わせたシナリオの導入が広がったためです。
国内ITサービスに占めるBluStellarの売上比率は、前年同期の27%から35%へ上昇しました。その一方、従来型のベース事業は9.5%減収です。NECでは売上規模を追うだけでなく、より高付加価値なBluStellarへ事業構成を移していることが分かります。
社会インフラ分も含めたBluStellar全体では、売上収益が40.1%増の1,798億円、Non-GAAP営業利益が93億円増の249億円となりました。BluStellarがITサービスだけでなく、社会インフラにも広がっている点は今後の成長を考えるうえで重要です。
航空宇宙・防衛と海洋システムが社会インフラをけん引
社会インフラの売上収益は前年同期比37.3%増の1,653億円でした。特に伸びたのは、航空宇宙・防衛と海洋システムです。
| 事業 | 売上収益 | 前年同期比 | 主な増収要因 |
|---|---|---|---|
| 航空宇宙・防衛 | 1,108億円 | 49.6%増 | 防衛を中心とした案件の拡大 |
| 海洋システム | 230億円 | 52.3%増 | 前年度に受注した案件の売上計上開始 |
| ネットワークインフラ | 314億円 | 0.8%増 | 前年並みで当初計画どおり |
社会インフラ全体が一様に伸びたわけではありません。航空宇宙・防衛と海洋システムが大幅増収となった一方、ネットワークインフラはほぼ横ばいでした。決算を評価する際は、成長事業と停滞事業を分けて見る必要があります。
円安も海外売上の円換算額を押し上げた可能性
第1四半期の平均為替レートは、1ドル158.80円、1ユーロ184.85円でした。前年同期の1ドル146.16円、1ユーロ162.02円より円安です。海外売上を円換算する際には、円安が売上収益を押し上げる方向に働きます。
ただし、NECは決算資料で為替の寄与額を個別に示していません。増収をすべて円安効果と見るのも、すべて実質的な需要増と見るのも適切ではありません。CSGの連結、案件の増加、為替換算の影響が重なったと整理するのが妥当です。
Non-GAAP営業利益が前年同期比86.9%増えた理由
Non-GAAP営業利益が売上収益以上に伸びた理由は、国内ITサービスの収益性改善と、社会インフラの採算改善です。Non-GAAP営業利益率は5.6%から9.1%へ上昇しており、売上構成と案件採算の両面で改善が進みました。
国内ITサービスは小幅増収でも大幅増益
国内ITサービスの売上収益は1.9%増の4,772億円でしたが、Non-GAAP営業利益は前年同期から134億円増え、453億円となりました。利益率は6.8%から9.5%へ2.7ポイント上昇しています。
BluStellarの拡大に加え、ベース事業の収益性改善が寄与しました。ベース事業は売上収益が9.5%減少した一方、Non-GAAP営業利益は57億円増加しています。低収益事業の縮小や、案件管理・生産性の改善によって、売上が減っても利益を増やせる構造へ変わりつつあります。
受注環境も大きく崩れていません。大型案件などの特殊要因を除いた国内ITサービスの受注は前年同期比3%増で、エンタープライズは6%増、アビームコンサルティングは16%増でした。受注残のうち当年度に売上計上される割合を示す有効受注残カバー率も前年から2ポイント上昇しています。
BluStellarの構成比上昇が利益率を押し上げた
国内ITサービスにおけるBluStellarの利益率は13.7%で、国内ITサービス全体の9.5%を上回っています。高い利益率を持つBluStellarの売上比率が27%から35%へ上昇したことが、セグメント全体の収益性改善につながりました。
会社は通期でBluStellarの利益率を17.4%と予想しています。AIを活用したソフトウェア開発の生産性向上や、再利用可能なシナリオ・サービスの拡大によって、案件ごとに一から開発する比率を下げられるかが今後のポイントです。
航空宇宙・防衛は売上拡大と利益率改善が同時に進んだ
航空宇宙・防衛のNon-GAAP営業利益は前年同期から92億円増え、137億円となりました。利益率は6.1%から12.4%へ6.2ポイント上昇しています。
売上収益が49.6%増えたことで固定費を吸収しやすくなったことに加え、案件構成や採算も改善したと考えられます。防衛関連は複数年にわたる大型案件が多いため、受注の増加だけでなく、どの時期に売上と利益が計上されるかも重要です。
海洋システムは赤字から黒字へ転換
海洋システムは、前年同期の15億円の赤字から28億円の黒字へ転換しました。前年度に受注した案件の売上計上が始まり、売上収益が52.3%増えたことが主因です。
売上の増加によって人員や開発設備などの固定費を吸収しやすくなり、利益率はマイナス9.6%から12.1%へ改善しました。会社は通期でも、前年度案件の売上計上と追加費用の圧縮によって黒字化を見込んでいます。
全社費用の減少も利益を押し上げた
各セグメントに配分していない調整額は、前年同期のマイナス42億円からマイナス25億円へ改善しました。主に先端技術の研究開発費などが含まれます。改善額は17億円で、全社のNon-GAAP営業利益増加を補助しました。
利益成長の中心はITサービスと社会インフラですが、全社費用の改善も含めて複数の要因が重なった結果、Non-GAAP営業利益が347億円増加しました。
CSG買収はNECの決算にどのような影響を与えた?
CSGは売上収益を押し上げましたが、取得直後の利益貢献は限定的でした。買収対価に対して大きなのれんを計上し、キャッシュ・フローと有利子負債にも影響が出ています。
第1四半期への売上貢献は327億円、四半期利益は赤字
取得日以降にCSGがNECの連結損益へ計上した売上収益は327億6,100万円です。一方、四半期利益は2億8,700万円の赤字でした。約1カ月半分の連結であるため、この数字だけで買収の成否を判断することはできません。
第2四半期からは3カ月分が連結されます。売上規模がさらに増える一方、統合費用、買収資金の金利、無形資産の償却なども通期業績へ反映されます。売上高だけではなく、Non-GAAP利益とGAAP利益の両方を確認する必要があります。
プロフォーマでも既存事業の改善を確認できる
プロフォーマとは、比較条件をそろえるため、CSGが前年同期の期首から連結されていたと仮定して計算した数値です。プロフォーマベースでは、売上収益が前年同期比9.8%増、Non-GAAP営業利益が273億円増となりました。
| 指標 | 報告ベース | プロフォーマベース | 読み取れること |
|---|---|---|---|
| 売上収益の増加率 | 14.5%増 | 9.8%増 | 報告値にはCSGの新規連結効果が含まれる |
| Non-GAAP営業利益 | 347億円増 | 273億円増 | 買収効果を除いても大幅増益 |
| Non-GAAP利益率 | 9.1% | 8.9% | 既存事業の採算改善も進んだ |
報告ベースの売上成長率だけを見ると、買収によって業績が良く見えている可能性があります。しかし、比較条件をそろえても増収増益となっているため、今回の好決算はCSGだけで説明できません。
のれんは3,936億円、買収対価を上回った理由
CSGの取得対価は3,608億4,100万円でした。取得した識別可能な純資産の暫定的な公正価値はマイナス328億4,900万円であり、差額として3,936億9,000万円ののれんを計上しています。
純資産がマイナスだったため、のれんが買収対価を上回りました。のれんは、将来得られる超過収益力やNetcrackerとのシナジーを会計上反映したものです。現時点では取得原価の配分が完了しておらず、金額は今後変更される可能性があります。
のれんは計画どおりの利益やキャッシュ・フローを生み出せなければ、将来減損損失が発生する可能性があります。ただし、のれんが大きいことだけで直ちに問題と判断するのではなく、CSGの利益率、クロスセル、顧客維持、Netcrackerとの統合効果を継続して確認する必要があります。
フリー・キャッシュ・フローの赤字は主に買収支出によるもの
第1四半期の営業キャッシュ・フローは1,601億7,800万円の黒字でしたが、子会社取得による支出が4,133億5,600万円発生しました。その結果、投資キャッシュ・フローは4,013億5,800万円の赤字、フリー・キャッシュ・フローは約2,412億円の赤字となりました。
現金及び現金同等物は前期末から2,243億3,500万円減少し、有利子負債は1,022億円増加しました。フリー・キャッシュ・フローの赤字は本業が赤字になったためではなく、主にCSG買収の資金支出によるものです。
一方、営業キャッシュ・フローも前年同期から929億円減少しています。法人所得税の支払額が前年同期の555億6,100万円から1,071億1,900万円へ増えたことや、棚卸資産など運転資金の動きが影響しました。今後は買収後も年間3,000億円のフリー・キャッシュ・フロー計画を達成できるかが注目点です。
なぜ通期業績予想を上方修正したのか
NECは第1四半期の利益進捗が当初想定を上回ったため、売上収益を400億円、Non-GAAP営業利益を100億円、Non-GAAP当期利益を50億円上方修正しました。修正の対象は主にITサービスと社会インフラです。
| 項目 | 従来予想 | 修正後予想 | 修正額 | 前期比 |
|---|---|---|---|---|
| 売上収益 | 3兆5,000億円 | 3兆5,400億円 | 400億円増 | 1.2%減 |
| Non-GAAP営業利益 | 4,200億円 | 4,300億円 | 100億円増 | 8.2%増 |
| Non-GAAP当期利益 | 2,850億円 | 2,900億円 | 50億円増 | 3.7%増 |
| フリー・キャッシュ・フロー | 3,000億円 | 3,000億円 | 変更なし | ― |
| 年間配当 | 40円 | 40円 | 変更なし | 2円増配 |
ITサービスは国内事業の進捗を反映
ITサービスの通期予想は、売上収益を200億円、Non-GAAP営業利益を50億円引き上げました。修正は国内ITサービスに集中しており、海外ITサービスの予想は据え置いています。
国内ではパブリック領域の大型案件が前期にピークを迎えた影響から、通期売上収益は前期比で減少する計画です。それでもBluStellarの拡大とベース事業の収益性改善により、国内ITサービスの利益率は前期の13.8%から15.1%へ上昇する予想です。
つまり、会社は売上規模の維持よりも、案件の質と利益率を重視しています。第1四半期でこの改善が想定より進んだため、利益予想を引き上げました。
社会インフラは航空宇宙・防衛が上方修正の中心
社会インフラの通期予想も、売上収益を200億円、Non-GAAP営業利益を50億円引き上げました。航空宇宙・防衛の売上予想を200億円、利益予想を40億円増額し、海洋システムの利益予想を10億円増額しています。
ネットワークインフラの予想は据え置きです。社会インフラの上方修正は、セグメント全体の一律な改善ではなく、航空宇宙・防衛の需要拡大と海洋システムの採算改善が中心となっています。
CSGの通期影響は今回の予想にまだ反映されていない
今回の業績予想修正には、CSGの新規連結による通期影響が反映されていません。NECは上期決算発表時に織り込む予定としています。
CSGを連結すれば売上収益は増えますが、利益への影響は単純ではありません。CSG自身の利益に加えて、買収資金の金利、無形資産の償却、統合費用、シナジーを反映する必要があるためです。次回の予想変更が必ず上方修正になるとは限らず、利益定義ごとに確認する必要があります。
フリー・キャッシュ・フローと配当は据え置き
利益予想を引き上げた一方、年間フリー・キャッシュ・フロー予想は3,000億円、年間配当予想は40円で据え置きました。CSG買収で現金が大きく減少し、有利子負債も増えたため、会社は現時点で株主還元やキャッシュ計画を追加修正していません。
今後、CSGの通期影響を反映した後もフリー・キャッシュ・フロー計画を維持できるか、買収後の財務負担と成長投資を両立できるかが重要です。
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NECの決算で評価できる点
今回の決算で評価できるのは、M&Aによる売上拡大だけでなく、既存事業の収益性改善が確認できたことです。特に国内ITサービスと社会インフラで、売上以上に利益が伸びました。
| 評価できる点 | 決算から読み取れる意味 |
|---|---|
| 市場予想を大幅に上回った | 税引前利益はIFISコンセンサスを約49.7%上回った |
| 買収を除いても増収増益 | プロフォーマベースでも売上9.8%増、Non-GAAP営業利益273億円増 |
| 国内ITの利益率が改善 | BluStellarとベース事業の両方で採算が改善 |
| 成長事業の構成比が上昇 | BluStellarの国内IT売上比率が27%から35%へ上昇 |
| 社会インフラの利益源が広がった | 防衛の成長に加え、海洋システムが黒字転換 |
| 第1四半期から上方修正 | CSGの通期影響を含めず、既存事業だけで予想を引き上げた |
従来型のITサービスは人員数や案件数を増やさなければ売上を伸ばしにくい面があります。NECがBluStellarの再利用可能なシナリオやAI開発を広げ、同じ人員でより高い付加価値を提供できれば、中長期的な利益率向上につながります。
NECの決算で注意したい点
好決算である一方、すべての事業が好調だったわけではありません。M&Aによる増収、巨額ののれん、停滞事業、税負担の低さなど、次回以降に確認したい点もあります。
報告上の売上成長にはCSGの新規連結が含まれる
売上収益は14.5%増でしたが、比較条件をそろえたプロフォーマベースでは9.8%増です。実質的な成長率も高いものの、報告値だけを見て既存事業が14.5%成長したと考えるのは誤りです。
国内ITのベース事業は減収
BluStellarへの移行に伴い、国内ITのベース事業は9.5%減収となりました。利益率改善を伴う計画的な縮小であれば問題は限定的ですが、顧客流出や受注減少による減収が混在していないかを確認する必要があります。
海外ITサービスは利益率がわずかに低下
CSGの新規連結で海外ITサービスは大幅増収となりましたが、利益率は9.0%から8.7%へ低下しました。買収直後の統合費用や事業構成の変化が考えられるものの、海外事業が売上規模だけでなく利益率も改善できるかが今後の課題です。
ネットワークインフラは赤字が継続
ネットワークインフラは売上収益が0.8%増にとどまり、Non-GAAP営業損失は4億円でした。会社は通期で前年度に実施した構造改革の効果により140億円の利益を見込んでいます。第2四半期以降に改善が表れるかを確認する必要があります。
CSG買収ではシナジーと財務負担の両方を確認
CSG買収では3,936億9,000万円ののれんを計上し、現金が減少、有利子負債が増加しました。CSGとNetcrackerの顧客基盤を活用したクロスセルや、製品開発・運営効率化の効果が計画どおり生まれるかが重要です。
買収後の売上成長だけではなく、利益率、営業キャッシュ・フロー、のれんの回収可能性を確認することで、M&Aが企業価値の向上につながっているか判断しやすくなります。
第1四半期の低い税負担が続くとは限らない
親会社帰属利益は157.4%増となりましたが、税負担率の低下が伸び率を押し上げました。会社資料で要因が詳しく説明されていないため、次回決算では税金費用と実効税率が通常水準へ戻る可能性にも注意が必要です。
次回決算で確認したいポイント
次回決算では、CSGを含めた通期予想と、今回改善した利益率が継続しているかを確認することが重要です。特に次の項目を見たいところです。
- CSGの通期影響:売上高だけでなく、利益、金利、無形資産償却、統合費用まで織り込まれるか
- BluStellar:売上比率35%と利益率13.7%がさらに上昇するか
- 国内IT受注:モダナイゼーション、金融、官公庁、アビームの需要が継続するか
- 航空宇宙・防衛:売上計上と利益率改善が会社計画どおり進むか
- 海洋システム:黒字転換が一時的ではなく、通期でも維持できるか
- ネットワークインフラ:構造改革効果が表れ、赤字から改善するか
- キャッシュ・フロー:年間3,000億円の計画に向け、営業CFと有利子負債がどう動くか
- 税負担:第1四半期に低下した実効税率がどの水準になるか
利益成長がBluStellarや防衛の構造的な拡大によるものなのか、案件の売上計上時期や税負担など四半期特有の要因によるものなのかを分けて確認することで、決算の持続性を判断しやすくなります。
NECの次回決算はいつ?
NECの2027年3月期第2四半期決算は、2026年10月に発表される予定です。2026年7月30日時点では、正式な発表日と発表時間は公表されていません。
参考として、2025年と2024年の第2四半期決算はいずれも10月29日に発表されました。ただし、2026年も同じ日になるとは限らないため、正式な日程はNECのIR・株式カレンダーで確認する必要があります。
次回はCSGの通期業績への影響を予想へ織り込む予定です。今回の記事で挙げた確認項目の中でも、CSGを含めた売上・利益・キャッシュ・フローの見通しが最も大きな更新点になる可能性があります。

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まとめ
NECの2027年3月期第1四半期決算は、売上収益が前年同期比14.5%増、Non-GAAP営業利益が86.9%増となり、税引前利益も市場予想を約49.7%上回った好決算です。国内ITサービスの収益性改善と、航空宇宙・防衛および海洋システムの採算改善が利益成長をけん引しました。
CSGの新規連結は売上収益を押し上げましたが、プロフォーマベースでも増収増益となっており、既存事業の改善も確認できます。一方、CSGは取得直後の利益貢献が限定的で、巨額ののれん、買収関連費用、キャッシュ・フローへの影響には注意が必要です。
今後は、CSGを織り込んだ通期予想、BluStellarの売上比率と利益率、航空宇宙・防衛の成長、海洋システムとネットワークインフラの採算を確認することが重要です。
出典
2026年度(27年3月期)第1四半期決算概要
https://group.nec/assets/global/ja/about/ir/library/pdf/260729/260729-01.pdf
2027年3月期 第1四半期決算短信〔IFRS〕(連結)
https://group.nec/assets/global/ja/about/ir/library/pdf/202607/2907-01-01.pdf
NEC 決算説明会
https://group.nec/global/ja/about/ir/events/er
NEC IR・株式カレンダー
https://group.nec/global/ja/about/ir/events/calendar
IFIS株予報 日本電気(6701)業績進ちょくと決算スケジュール
https://kabuyoho.ifis.co.jp/index.php?bcode=6701&sa=report
BluStellarとは
https://group.nec/global/ja/about/business/nec-blustellar
米国CSG Systems International, Inc.を買収
https://group.nec/assets/global/ja/about/ir/library/pdf/251029/251029-02.pdf
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