サムスン電子の2026年第3四半期決算が近づいています。売上高と営業利益の暫定値はすでに公表されていますが、半導体事業の詳しい収益やメモリー市場の先行きは、これからの正式発表で注目されるポイントです。
この記事では、決算発表の日程と日本時間、決算資料の確認方法、DRAM・HBMの動向、キオクシアなど日本の半導体関連株への影響を解説します。
※本記事は2026年10月22日時点の開示資料をもとに作成しています。
サムスン電子の2026年第3四半期決算はいつ?
サムスン電子は、2026年10月29日(木)午前10時(日本時間)から2026年第3四半期の決算説明会を開く予定です。韓国標準時と日本標準時はいずれもUTC+9時間のため、韓国時間から時差を換算する必要はありません。
| 項目 | 日程・内容 |
|---|---|
| 決算対象期間 | 2026年7月1日~9月30日 |
| 暫定業績の発表 | 2026年10月8日(木) |
| 正式な決算説明会 | 2026年10月29日(木) |
| 説明会の開始時刻 | 午前10時(日本時間・韓国時間とも同じ) |
| 資料・音声配信 | サムスン電子の公式IRサイトで案内 |
午前10時は決算説明会の開始時刻です。決算資料も10月29日にサムスン電子の公式IRサイトで案内される予定ですが、正確な公開時刻は確認できていません。決算速報は公式IRサイトの資料と音声配信で確認できます。
また、決算対象は2026年7~9月の3か月間です。サムスン電子は韓国企業であり、今回の発表は日本企業の「2027年3月期第2四半期決算」とは対象期間の呼び方が異なります。
サムスン電子は10月8日に売上高・営業利益の暫定値を発表
サムスン電子は10月8日、2026年第3四半期の連結売上高が約195兆ウォン、営業利益が約107.4兆ウォンになるとの暫定値を公表しました。ただし、これは正式な決算発表ではありません。10月29日には確定数値や半導体を含む事業別の収益、経営陣による今後の見通しが注目されます。
| 連結業績 | 2025年7~9月期(実績) | 2026年4~6月期(実績) | 2026年7~9月期(暫定) |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 86.06兆ウォン | 171.5兆ウォン | 約195兆ウォン |
| 営業利益 | 12.17兆ウォン | 89.49兆ウォン | 約107.4兆ウォン |
| 営業利益率(概算) | 約14.1% | 約52.2% | 約55.1% |
※営業利益率は営業利益を売上高で割って計算した概算値。2026年7~9月期は確定値ではありません。出典:サムスン電子の2026年第3四半期業績ガイダンス、2026年第2四半期決算。
暫定値を前年同期と比べると、売上高は約127%増、営業利益は約782%増(約8.8倍)です。前四半期に対しても売上高は約14%、営業利益は約20%増えています。営業利益の伸びが売上高を上回っていることから、売上規模の拡大だけでなく、全社的な採算の改善も進んだと読み取れます。
半導体メモリーは製造設備への投資が大きく、工場を稼働させるだけでも一定の費用がかかります。そのため、製品の販売価格が上昇すると、追加の売上が利益に反映されやすい局面があります。逆に価格が下がれば、利益も大きく縮小し得ます。今回の大幅増益を評価する際は、高い利益率が今後も続くのかが重要です。
もっとも、上表はスマートフォンやディスプレーなどを含む全社の数字です。現段階で107.4兆ウォンの営業利益をすべてDRAMやHBMの稼ぎとみなすことはできません。また、暫定値は韓国国際会計基準に基づく会社の見積もりであり、正式な決算発表時に変わる可能性があります。
サムスン電子の10月29日決算では何が新たに分かる?
10月29日の決算で最も重要なのは、過去最高水準の全社利益を、どの事業がどれだけ支えたのかという内訳です。サムスン電子の半導体を扱うデバイス・ソリューション部門には、DRAMやNANDなどのメモリー事業のほか、半導体の受託製造を行うファウンドリー事業なども含まれます。
直近の2026年第2四半期には、デバイス・ソリューション部門の売上高が127.5兆ウォン、営業利益が89.2兆ウォンでした。全社の営業利益89.49兆ウォンと近い規模で、同四半期の利益を半導体部門が強く支えていたことが分かります。今回も同部門の売上高・営業利益が公表されれば、4~6月期から収益がさらに増えたか、利益率に変化があったかを比較できます。
ただし、デバイス・ソリューション部門全体の利益が増えたとしても、HBMだけで増益したとは限りません。通常のDRAM、NAND、ファウンドリーなどでは需要や採算の動きが異なります。会社が示す部門別数値と、メモリー事業についての説明を分けて読む必要があります。
もう一つの焦点は、2026年第4四半期(10~12月期)以降の需要見通しです。サムスン電子が先行きの売上高や利益率をどこまで具体的に数値化するかは現時点では確定していませんが、サーバー向けメモリーの需要、販売価格、供給能力、設備投資についての説明は判断材料になります。HBMの製品別売上高や販売数量など、細かい数字が必ず開示されるわけではない点にも注意が必要です。
サムスン電子の10月29日決算で注目すべき3つのポイント
すでに大幅な増収・増益が判明しているため、29日は「利益が大きかったか」より、利益が増えた理由と、その状態がいつまで続くのかを読み解くことが重要になります。特に注目したいのは、DRAMの販売価格、AI向けHBMの競争力、そして年末以降のメモリー需給です。
DRAM価格の上昇はメモリー事業の利益をどこまで押し上げたか
DRAMは、パソコンやサーバーが処理中のデータを一時的に保存する半導体メモリーです。製品の販売数量が大きく変わらなくても、需給の引き締まりによって販売価格が上がれば売上高が増えます。工場の減価償却費など、短期間では変わりにくい費用があるため、価格上昇の一部が利益の増加につながりやすいのが特徴です。
例えば、同じ数量を販売して平均単価が10%上がった場合、売上高は単純計算で10%増えます。一方、生産費用が同じ割合で増えるとは限らないため、利益率の改善幅は売上高の伸び以上になる場合があります。ただし、実際の利益は製品構成、製造原価、出荷数量、為替などにも左右されます。価格が上がったという情報だけで、利益の増加額まで判断することはできません。
サムスン電子は2026年第2四半期決算で、AIインフラ投資を背景にサーバー向けメモリーが好調で、業界全体の価格上昇も業績を押し上げたと説明しました。今回の決算では、こうした動きが7~9月期にも継続したのかがポイントです。具体的には、サーバー向け製品の販売比率、価格上昇の寄与、DRAM以外の製品の採算に関する説明を確認したいところです。
なお、NANDは電源を切ってもデータを保存できる半導体で、SSDなどに使われます。DRAMと同じ「メモリー半導体」でも用途や需給は異なるため、DRAMの好調がNANDの販売価格上昇を意味するわけではありません。
HBMの販売拡大と競争力はどうなっているか
HBM(高帯域幅メモリー)は、複数のメモリーチップを積み重ね、大量のデータを高速でやり取りできるようにしたDRAMの一種です。生成AIを動かす画像処理半導体などと組み合わせて使われ、AI向け投資が増えると需要が拡大しやすい製品です。
サムスン電子は2026年第2四半期決算で、HBM4の販売拡大を進め、次世代品であるHBM4Eのサンプルを主要顧客に出荷したと説明しました。ただし、サンプル出荷は量産販売が拡大したことと同義ではありません。量産の進捗、顧客による評価・認定、実際の売上への寄与は分けて確認する必要があります。
HBMは一般的なDRAMとは製品の仕様や製造工程が異なり、高い技術力が求められます。高付加価値製品の販売が増えれば、平均販売単価や利益率の改善が期待されますが、製造時に良品を得られる割合である歩留まりが低ければ製造コストも高くなります。そのため、HBMの出荷拡大だけではなく、安定して利益を出せているかが重要です。
競合のSKハイニックスも2026年第2四半期にHBM4の量産出荷を進めたと公表しています。サムスン電子の10月29日の説明では、売上成長や製品開発の進展に加え、主要顧客の需要にどこまで対応できているかが競争力を判断する材料になります。ただし、市場シェアや顧客別販売実績が開示されなければ、勝敗を一つの決算だけで断定することはできません。
2026年第4四半期以降もメモリー市況の好調は続く?
今回の決算後の株価を考えるうえでは、過去3か月の利益だけでなく、2026年10~12月期や2027年に向けて供給不足が続くかが重要です。メモリー市場では、価格上昇が利益を押し上げる一方、増産によって供給量が増えたり、顧客の需要が弱まったりすると、販売価格が下がる可能性があります。
サムスン電子は2026年第2四半期決算で、AIインフラ投資やサーバー需要がメモリー市場を支えると見込む一方、スマートフォンやパソコン向け需要には弱さがあると説明していました。また、増産を進めても供給の制約が残るとの見方を示しています。29日の説明で、この判断が維持されているか、変化が生じたかを確認する必要があります。
見るべき論点は、サーバー向けDRAMと企業向けSSDの需要、NANDを含む製品価格の方向性、新しい製造設備への投資、そして供給能力がいつ増えるかです。特に、設備投資は中長期の成長に必要ですが、需要が想定を下回った場合には将来の供給過剰や減価償却費の増加につながる可能性もあります。
重要なのは、会社が「需要が強い」と述べるかどうかだけではありません。需要の強さに対して供給がどの程度追いつくのかが、価格や利益率の持続性を左右します。将来の供給増加が需要の伸びを上回れば、足元の最高益がそのまま次の四半期にも続くとは限りません。
サムスン電子の決算で株価は上がる?日本の半導体株への影響は?
サムスン電子の決算は、同社株だけでなくメモリー関連企業を見るうえでも重要な材料になります。ただし、好決算が必ず株価上昇につながるわけではありません。市場がすでに期待していた数字か、今後の利益がさらに増えると判断できるかによって受け止め方が変わります。
サムスン電子株は好決算だけで上がるとは限らない
10月8日の暫定発表によって、売上高195兆ウォン、営業利益107.4兆ウォンという大幅増益は公表済みです。したがって29日に同水準の確定値が示されても、投資家にとって新鮮な好材料とは限りません。注目は、半導体部門の利益が市場の期待を上回るか、利益率が高水準を保てるか、会社が今後の需要をどう見ているかです。
例えば、確定利益が暫定値とほぼ同じでも、サーバー向けDRAMの収益拡大やHBMの採算改善が確認され、年末以降の需給について強い説明があれば、将来の利益予想が引き上げられる可能性があります。反対に、現在の高利益率が一時的な価格高騰によるもので、先行きの価格上昇が鈍る見通しなら、好業績にもかかわらず売られることがあります。
株価は将来の利益に対する期待を織り込んで動くため、「発表された利益が大きいか」より「発表によって将来の見方が変わるか」が重要です。決算当日の値動きには、金利、為替、韓国株市場や世界の半導体株全体の地合いも影響するため、株価の変化を決算内容だけに結び付けることも避けたいところです。
キオクシアなど日本の半導体関連株にも影響する?
サムスン電子の決算は、世界のメモリー需給を判断する手掛かりになります。特にDRAMやNANDの価格と需要に関する説明は、日本の半導体関連企業にも参考になります。ただし、サムスン電子のHBMが好調だから、キオクシアの業績も同じように伸びるとは限りません。
キオクシアホールディングスの主力は、データを長期保存するNAND型フラッシュメモリーやSSDです。HBMは高速処理を支えるDRAMの一種で、キオクシアが主に扱う記憶装置向けメモリーとは製品が異なります。そのため、キオクシアの業績を考える際には、サムスン電子が示すNAND価格、企業向けSSDの需要、在庫や生産能力の動向の方が直接的な判断材料になります。
もっとも、AIデータセンターの投資拡大は、計算用のHBMだけでなく大量のデータを保存するSSDの需要を押し上げる可能性があります。サムスン電子が「サーバー投資の拡大がDRAMとNANDの双方に波及している」と説明するなら、AI需要が広いメモリー市場に及んでいるかを考える手掛かりになります。ただし、キオクシアへの具体的な利益寄与は、同社自身の販売価格、出荷数量、製品構成、決算で検証する必要があります。
また、半導体製造装置や材料を手掛ける日本企業には、サムスン電子が今後どの程度設備投資を増やすかが重要です。メモリーの販売価格が上がるだけでは装置の受注増加は保証されず、工場の増設や生産ラインの更新など具体的な投資が必要になるためです。こうした違いを踏まえると、同じ「半導体関連株」でも注目すべき説明は企業ごとに異なります。
まとめ
サムスン電子の2026年第3四半期決算説明会は、10月29日(木)午前10時(日本時間)から始まります。10月8日時点ですでに売上高約195兆ウォン、営業利益約107.4兆ウォンの暫定値が公表されています。
29日は、半導体部門の利益内訳、DRAM・HBMの収益力、年末以降のメモリー価格と需要の見通しが重要です。日本の関連株についても、HBM、DRAM、NAND、半導体製造装置それぞれへの影響を分けて考える必要があります。
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