富士通の次回決算はいつ発表されるのか、Uvanceやモダナイゼーションを中心としたサービス事業の成長が続いているのか気になっている方も多いのではないでしょうか。
2027年3月期は最終減益が予想されていますが、前期に計上した事業売却益の反動が主な要因です。本業の収益力を示す調整後営業利益は、引き続き増加する計画となっています。
今回の決算では、国内DX需要を売上へつなげられるか、サービスソリューションの利益率がさらに改善するか、ハードウェアやPC事業の減収を補えるかが注目されます。
本記事では、富士通の次回決算の日程や市場コンセンサス、前回決算の内容を整理し、決算後の株価を左右するポイントを解説します。

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富士通の次回決算はいつ?発表時間を確認
富士通の次回決算は、2026年7月30日に発表される予定です。
今回は、2026年4月から6月までを対象とする2027年3月期第1四半期決算が発表されます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 次回決算 | 2027年3月期 第1四半期決算 |
| 決算発表日 | 2026年7月30日 |
| 発表時間 | 現時点では未公表 |
| 前年の第1四半期 | 15時30分発表 |
| 対象期間 | 2026年4月~6月 |
| 決算発表 | 取引終了後となる可能性 |
| 次々回決算 | 2026年10月末ごろの見込み |
富士通は公式IRで、2026年度第1四半期決算を2026年7月30日に発表すると公表しています。
一方、現時点では発表時間を確認できません。
前年の第1四半期決算や、直近の2026年3月期本決算は15時30分に発表されました。そのため、今回も東京証券取引所の通常取引終了後に開示される可能性があります。
ただし、15時30分という時間は正式に公表されたものではありません。決算直前には、富士通の公式IRや適時開示情報で最新の日程を確認しましょう。
決算が取引終了後に発表された場合、当日の通常取引には決算内容が反映されません。
発表後はPTSで株価が動く可能性がありますが、PTSは通常取引より参加者や出来高が少ない場合があります。
そのため、決算直後の値動きだけでなく、翌営業日の株価や出来高も確認することが重要です。
富士通は決算発表後、公式IRで主に次の資料を公開しています。
- 決算短信
- 決算説明会資料
- 決算説明会の質疑応答
- 決算説明会の動画
- 事業別・セグメント別の補足資料
売上収益や利益だけでなく、Uvanceやモダナイゼーション、サービスソリューションの採算性を確認する場合は、決算説明会資料や質疑応答も重要です。
次々回となる2027年3月期第2四半期決算は、2026年10月末ごろに発表されると見込まれます。
富士通の次回決算予想・市場コンセンサス
富士通は2027年3月期について、調整後ベースで過去最高益を更新すると予想しています。
一方、2026年7月15日時点の市場予想は、売上収益・営業利益ともに会社計画とほぼ同じ水準です。
本決算発表直後と比べて市場予想が下方修正されており、会社計画を達成できるかが改めて評価の基準となっています。
| 項目 | 会社予想 | 市場コンセンサス |
|---|---|---|
| 売上収益 | 3兆5,100億円 | 約3兆5,229億円 |
| 営業利益 | 4,150億円 | 約4,120億円 |
| 税引前利益 | 非公表 | 約4,194億円 |
| 親会社帰属利益 | 3,100億円 | 約2,994億円 |
※市場コンセンサスは2026年7月15日時点。
市場の売上予想は会社計画を約129億円上回っています。
一方、営業利益の市場予想は会社計画を約30億円、親会社帰属利益は約106億円下回る水準です。
富士通が重視する調整後営業利益と、IFISが掲載する通常の営業利益は算出基準が異なります。市場コンセンサスと比較する際は、会社の調整前営業利益4,150億円を使う必要があります。
調整後営業利益は8.8%増を予想
富士通は2027年3月期の調整後営業利益を、前期比8.8%増の4,250億円と予想しています。
| 項目 | 2026年3月期実績 | 2027年3月期予想 |
|---|---|---|
| 売上収益 | 3兆5,029億円 | 3兆5,100億円 |
| 調整後営業利益 | 3,905億円 | 4,250億円 |
| 調整後営業利益率 | 11.2% | 12.1% |
| 調整後当期利益 | 2,982億円 | 3,200億円 |
売上収益は前期比0.2%増とほぼ横ばいですが、調整後営業利益は8.8%増加する計画です。
調整後営業利益率も前期の11.2%から12.1%へ、0.9ポイント改善する見通しです。
利益成長をけん引すると予想されているのが、サービスソリューションです。
国内では、企業や官公庁によるDX投資、基幹システムのモダナイゼーション、データ・AIを活用したUvanceの需要拡大を見込んでいます。
売上増加に加え、開発工程の標準化や生成AIの活用、価値に応じた価格設定によって採算性を高める計画です。
一方、富士通はAIや次世代CPU、量子コンピューティングなどへの研究開発投資も増やします。
研究開発費や人材投資は短期的には利益の重しとなりますが、サービスソリューションの増収や生産性改善によって吸収する方針です。
今回の決算では、売上の増加だけでなく、利益率の改善が計画どおり進んでいるかを確認したいところです。
最終利益は31%減を予想
富士通は2027年3月期の親会社帰属利益を、前期比31.0%減の3,100億円と予想しています。
| 項目 | 2026年3月期実績 | 2027年3月期予想 | 前期比 |
|---|---|---|---|
| 親会社帰属利益 | 4,494億円 | 3,100億円 | 31.0%減 |
| 調整後当期利益 | 2,982億円 | 3,200億円 | 7.3%増 |
最終利益が減少する主な理由は、本業の悪化ではなく、前期に計上した事業売却益の反動です。
2026年3月期には、新光電気工業や富士通ゼネラルなどの事業売却によって、一時的な利益が発生しました。
こうした利益は毎年継続するものではないため、2027年3月期は反動によって親会社帰属利益が減少する見通しです。
一方、一時的な損益を除いた調整後当期利益は、前期比7.3%増の3,200億円を予想しています。
つまり、通常の最終利益は減少するものの、本業を中心とした利益は引き続き成長する計画です。
富士通の業績を評価する際は、親会社帰属利益の増減だけでなく、調整後営業利益や調整後当期利益も確認する必要があります。
市場予想は会社計画とほぼ同水準
市場の営業利益予想は約4,120億円で、会社予想4,150億円を約30億円下回っています。
| 項目 | 会社予想 | 市場コンセンサス | 差 |
|---|---|---|---|
| 売上収益 | 3兆5,100億円 | 約3兆5,229億円 | 市場予想が約129億円高い |
| 営業利益 | 4,150億円 | 約4,120億円 | 市場予想が約30億円低い |
| 親会社帰属利益 | 3,100億円 | 約2,994億円 | 市場予想が約106億円低い |
本決算発表直後は、会社の2027年3月期予想が市場期待を下回ったとして、成長ペースへの懸念が意識されました。
その後、市場コンセンサスも下方修正され、現在は会社計画とほぼ同じ水準まで低下しています。
会社計画の達成ハードルは、本決算発表直後と比べて下がったと考えられます。
一方、会社予想と市場予想の差が小さいため、第1四半期の実績が計画を下回ると、通期達成への懸念が高まりやすくなります。
反対に、サービスソリューションの利益が想定を上回れば、通期上方修正への期待が高まる可能性があります。
今回の決算では、会社計画が保守的なのか、それとも市場予想どおり成長が鈍化しているのかを確認することが重要です。
第1四半期の市場予想を確認
富士通は、第1四半期単独の業績予想を公表していません。
IFISでは、2027年3月期第1四半期の税引前利益相当を約426.5億円と予想しています。
| 項目 | 第1四半期市場予想 | 前年同期実績 | 前年同期比 |
|---|---|---|---|
| 税引前利益相当 | 約426.5億円 | 約370.6億円 | 約15%増 |
市場予想どおりとなった場合、前年同期から約15%の増益です。
今回の決算では、税引前利益が約426億円を上回れるかが一つの判断基準になります。
ただし、富士通の前年第1四半期には、新光電気工業の売却による利益が親会社帰属利益へ大きく影響しました。
そのため、親会社帰属利益の前年同期比較だけでは、本業の成長を正確に判断できない可能性があります。
確認したい主な項目は次のとおりです。
- サービスソリューションの売上収益
- サービスソリューションの調整後営業利益
- Uvanceの売上高
- モダナイゼーションの売上高
- 国内サービスの受注
- 海外サービスの採算性
- 調整後営業利益率
一時利益ではなく、サービス事業の採算性によって増益を達成できたかが重要です。
為替前提を確認
富士通は2027年3月期の業績予想について、前期実績より円高となる為替前提を置いています。
| 通貨 | 2026年3月期実績 | 2027年3月期会社前提 |
|---|---|---|
| 米ドル | 151円 | 150円 |
| ユーロ | 175円 | 170円 |
| 英ポンド | 202円 | 195円 |
米ドルは前期実績とほぼ同じですが、ユーロや英ポンドでは円高を想定しています。
円高になると、海外で得た売上や利益を円へ換算した際の金額が減少する可能性があります。
海外サービスの売上収益や利益にも、円高がマイナスに作用する場合があります。
一方、外貨建てで支払う原材料費や仕入れ費用については、円高がコストの低下につながる可能性もあります。
為替による業績変動だけでなく、現地通貨ベースで海外事業の採算性が改善しているかも確認しましょう。
富士通の前回決算はどうだった?やばい内容だったのか

富士通の2026年3月期決算は、売上収益が減少した一方、本業の収益力を示す調整後営業利益は過去最高を更新しました。
親会社帰属利益も約2倍へ増加しましたが、新光電気工業や富士通ゼネラルなどの事業売却益が含まれています。
| 項目 | 2026年3月期 | 前期比 |
|---|---|---|
| 売上収益 | 3兆5,029億円 | 1.3%減 |
| 調整後営業利益 | 3,905億円 | 27.1%増 |
| 営業利益 | 3,483億円 | 31.4%増 |
| 税引前利益 | 4,090億円 | 49.6%増 |
| 親会社帰属利益 | 4,494億円 | 104.5%増 |
表面的には減収となりましたが、事業再編などの影響を除く実質ベースでは増収です。
サービスソリューションが成長し、全事業セグメントで利益が増加しました。
一方、最終利益には一時的な事業売却益が含まれているため、4,494億円すべてを本業で稼いだわけではありません。
前回決算は「やばい」内容というより、本業の利益改善と一時的な売却益の両方が業績を押し上げた決算と考えられます。
売上減少でも本業利益は過去最高
2026年3月期の売上収益は、前期比1.3%減の3兆5,029億円となりました。
一方、事業再編や売上計上方法の変更などを除いた実質ベースでは、0.9%の増収です。
調整後営業利益は前期比27.1%増の3,905億円となり、過去最高益を更新しました。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 売上収益 | 3兆5,501億円 | 3兆5,029億円 |
| 調整後営業利益 | 3,072億円 | 3,905億円 |
| 調整後営業利益率 | 8.7% | 11.2% |
売上収益が減少したにもかかわらず、調整後営業利益は833億円増加しています。
調整後営業利益率も8.7%から11.2%へ、2.5ポイント改善しました。
利益成長を支えた主な要因は次のとおりです。
- サービスソリューションの増収
- Uvance・モダナイゼーションの成長
- 開発・デリバリーの生産性向上
- 不採算案件の抑制
- 価値に応じた価格戦略
- 事業ポートフォリオの見直し
サービスソリューション以外の事業セグメントも増益となり、全社の収益性が改善しました。
前回決算では、売上規模を拡大するだけでなく、採算性を高めることで利益を大幅に増やした点が評価できます。
最終利益は事業売却益で約2倍
2026年3月期の親会社帰属利益は、前期比104.5%増の4,494億円となりました。
前期の2,198億円から約2倍へ増加しています。
ただし、この利益には新光電気工業や富士通ゼネラルなどの事業売却に伴う一時的な利益が含まれています。
| 項目 | 2026年3月期 |
|---|---|
| 親会社帰属利益 | 4,494億円 |
| 非継続事業からの利益 | 約1,439億円 |
| 調整後当期利益 | 2,982億円 |
非継続事業からの利益は約1,439億円となり、最終利益を大きく押し上げました。
一方、一時損益を除いた調整後当期利益も、前期比23.8%増の2,982億円へ成長しています。
つまり、最終利益が約2倍になった要因には事業売却益が含まれるものの、本業の利益も増加していました。
今回の決算を評価する際も、一時利益と本業による利益を分けて確認することが重要です。
サービスソリューションが業績をけん引
2026年3月期は、サービスソリューションが全社の利益成長をけん引しました。
| 項目 | 2026年3月期 | 前期比 |
|---|---|---|
| 売上収益 | 2兆3,469億円 | 4.5%増 |
| 調整後営業利益 | 3,614億円 | 24.7%増 |
| 調整後営業利益率 | 15.4% | 2.5ポイント改善 |
国内では、企業や官公庁によるDX投資や基幹システムの刷新需要が拡大しました。
Uvanceやモダナイゼーション案件の増加によって、サービスソリューションの売上収益は前期から1,009億円増加しています。
利益面では、増収効果に加え、案件の採算性改善が寄与しました。
富士通は国内のシステム開発で、標準化された開発方式や生成AIを活用しています。
国内のシステムエンジニアや協力会社が生成AIを使用し、開発スピードや品質の向上を進めました。
また、単純な作業量に応じた価格設定ではなく、顧客へ提供する価値に応じた価格戦略を強化しています。
こうした取り組みによって、サービスソリューションの調整後営業利益率は12.9%から15.4%へ改善しました。
前回決算では、国内DX需要を増収だけでなく利益率改善へつなげたことが大きな成果です。
Uvanceとモダナイゼーションが大幅成長
2026年3月期は、Uvanceとモダナイゼーションがともに大幅な成長となりました。
| 項目 | 2026年3月期 | 前期比 |
|---|---|---|
| Uvance売上 | 7,093億円 | 46.9%増 |
| モダナイゼーション売上 | 2,497億円 | 24.2%増 |
Uvanceの売上高は7,093億円となり、会社が中期経営計画で掲げていた7,000億円を上回りました。
特に、データ・AIを中心とする業種横断型のサービスが成長しています。
企業が保有するデータを分析し、業務の効率化や新しいサービスの開発へつなげる需要が拡大しました。
モダナイゼーションでは、企業や官公庁が長年使用してきた基幹システムを、新しいクラウド環境やソフトウェアへ移行する案件が増加しています。
古いシステムを維持できる技術者の不足や、セキュリティー対策、生成AIの活用などを背景に、システム刷新需要は引き続き強いと考えられます。
一方、前期に高い成長率を達成したため、今後は比較対象となる売上高も大きくなります。
今回の決算では、Uvanceやモダナイゼーションの成長が一時的な案件によるものではなく、継続しているかを確認したいところです。
コアFCFも過去最高
富士通の2026年3月期コア・フリー・キャッシュ・フローは、前期比24.1%増の2,899億円となり、過去最高を更新しました。
| 項目 | 2026年3月期 | 前期比 |
|---|---|---|
| コアFCF | 2,899億円 | 24.1%増 |
| フリー・キャッシュ・フロー | 4,826億円 | 124.8%増 |
コアFCFは、事業売却などの一時的な資金移動を除き、本業によって生み出した現金を示す指標です。
調整後営業利益の増加に加え、売掛金や在庫などの運転資本を効率化したことで、キャッシュ創出力が改善しました。
通常のフリー・キャッシュ・フローは4,826億円となりました。
こちらには本業によるキャッシュ・フローの改善に加え、新光電気工業や富士通ゼネラルなどの事業売却収入も含まれています。
最終利益と同様に、通常のFCFには一時的な資金流入が含まれています。
一方、コアFCFも過去最高を更新しており、本業のキャッシュ創出力そのものも改善していたと評価できます。
前年の第1四半期決算を確認
富士通の次回決算も第1四半期となるため、前年同期の業績を比較基準として確認しておきましょう。
2026年3月期第1四半期は、ハードウェアやユビキタス事業の売上が減少した一方、サービスソリューションの利益が大きく伸びました。
| 項目 | 2026年3月期 第1四半期 | 前年同期比 |
|---|---|---|
| 売上収益 | 7,498億円 | 1.2%減 |
| 調整後営業利益 | 351億円 | 111.9%増 |
| 税引前利益 | 約370.6億円 | 増益 |
| 親会社帰属利益 | 1,717億円 | 約10.2倍 |
売上収益は前年同期比1.2%減となりましたが、調整後営業利益は前年同期の165億円から351億円へ約2.1倍に増加しています。
サービスソリューションの増収や採算性改善によって、減収でも大幅な利益成長を達成しました。
一方、親会社帰属利益1,717億円には、新光電気工業の売却に伴う利益約1,439億円が含まれています。
継続事業からの四半期利益は278億円だったため、今回の決算では親会社帰属利益を単純に前年同期と比較するのではなく、売却益を除いた本業の利益を確認することが重要です。
サービスソリューションの利益が大幅増加
前年の第1四半期は、サービスソリューションが全社の利益成長をけん引しました。
| 項目 | 前年1Q | 前年同期比 |
|---|---|---|
| 売上収益 | 5,146億円 | 2.6%増 |
| 調整後営業利益 | 478億円 | 128億円増 |
| 調整後営業利益率 | 9.3% | 2.3ポイント改善 |
サービスソリューションの売上収益は前年同期比2.6%増の5,146億円となりました。
特に国内サービスが約6%増収となり、企業や官公庁によるDX投資、基幹システムの刷新、クラウド移行などの需要が業績を押し上げています。
利益面では、増収効果に加えて案件の採算性改善が寄与しました。
富士通は開発工程の標準化や生成AIの活用、プロジェクト管理の高度化を進めています。
開発期間の短縮や作業効率の向上によって、売上高以上に利益を伸ばせる事業構造へ変化しています。
また、顧客へ提供する価値に応じた価格設定を強化し、不採算案件の抑制も進めました。
その結果、調整後営業利益率は前年同期の7.0%から9.3%へ改善しています。
2027年3月期はサービスソリューションの年間利益率17.4%を目指しているため、今回の第1四半期でも二桁の利益率へ近づいているかを確認したいところです。
連結売上は減少も営業利益は約2.1倍
前年の第1四半期は、連結売上収益が1.2%減少した一方、調整後営業利益は前年同期の165億円から351億円へ増加しました。
売上高が減少した主な要因は、ハードウェアやユビキタス事業の減収です。
PCやハードウェア製品は製品更新の時期や大型案件の有無によって、四半期ごとの売上が変動する場合があります。
一方、サービスソリューションでは、国内DX需要やモダナイゼーション案件の拡大によって増収増益となりました。
売上規模よりも収益性の改善が利益成長を支えています。
前年の第1四半期は、ハード・PC事業の減収をサービス事業の利益成長で補う構図でした。
今回の決算でも同じ構図が続く可能性があります。
ハードウェアやPC事業が減収となっても、サービスソリューションの増収や利益率改善によって全社利益を伸ばせるかが重要です。
富士通の次回決算で注目したいポイント
富士通の2027年3月期第1四半期決算では、Uvanceやモダナイゼーションを中心としたサービスソリューションの成長が続いているかに注目です。
市場では税引前利益が前年同期比約15%増の約426億円になると予想されています。
一方、ハードウェアやPC事業では減収が見込まれているほか、AIや次世代CPUへの研究開発投資も増加する計画です。
今回の決算では、サービス事業の増益で既存事業の減収や先行投資を吸収できるかが重要になります。
| 注目点 | 確認したい内容 |
|---|---|
| 市場コンセンサス | 税引前利益約426億円を上回れるか |
| サービスソリューション | 増収・利益率改善が続くか |
| Uvance | 売上8,400億円計画へ順調か |
| モダナイゼーション | 売上2,990億円計画へ進んでいるか |
| 国内サービス | 10.6%増収計画へ順調か |
| 海外サービス | 11.3%減収が想定内か |
| 営業利益率 | サービスで17.4%を目指せるか |
| ハードウェア | 減収・減益をサービスで補えるか |
| PC事業 | Windows 10特需の反動が想定内か |
| AI投資 | MONAKA・生成AI・量子への投資負担 |
| 受注残 | 国内DX需要が続いているか |
| 株主還元 | 自社株買いの進捗 |
| 通期予想 | 上方修正期待が高まる内容か |
売上収益や全社利益だけでなく、サービスソリューションの売上高、利益率、受注残なども合わせて確認しましょう。
Uvanceは売上8,400億円へ成長できるか
富士通は2027年3月期のUvance売上を、前期の7,093億円から8,400億円へ増加させる計画です。
| 項目 | 2026年3月期実績 | 2027年3月期計画 |
|---|---|---|
| Uvance売上 | 7,093億円 | 8,400億円 |
Uvanceは、企業や社会の課題を解決するサービスやソリューションをまとめた富士通の成長事業です。
データ・AI、サプライチェーン、顧客体験、業務アプリケーションなどを組み合わせ、業種を超えて共通する課題へ対応します。
特に成長が期待されているのが、Data&AIの領域です。
企業が保有するデータを分析し、需要予測や業務効率化、意思決定へ活用する需要が拡大しています。
生成AIやAIエージェントの普及によって、データ基盤やセキュリティー、既存システムとの連携需要も増える可能性があります。
また、製造業、流通、金融、公共など、業種ごとの課題へ対応する業種特化型オファリングの販売も進めています。
Uvanceでは、一度のシステム構築だけでなく、クラウド利用料や保守、ライセンスなどの継続的なリカーリング収益を増やせるかも重要です。
今回の決算では、売上高の拡大と利益率の改善を両立できているかを確認しましょう。
モダナイゼーション需要は続くか
富士通は2027年3月期のモダナイゼーション売上を、前期の2,497億円から2,990億円へ増加させる計画です。
| 項目 | 2026年3月期実績 | 2027年3月期計画 |
|---|---|---|
| モダナイゼーション売上 | 2,497億円 | 2,990億円 |
モダナイゼーションは、企業や官公庁が長年使用している基幹システムを、新しいクラウド環境やソフトウェアへ移行する取り組みです。
古いシステムでは、保守できる技術者の減少、セキュリティーリスク、他のサービスと連携しにくいといった課題があります。
DXや生成AIを活用するためにも、基幹システムの刷新が必要になる場合があります。
富士通は生成AIを活用し、既存プログラムの解析や新しいシステムへの変換、テスト作業などの効率化を進めています。
開発期間を短縮できれば、顧客側の移行負担を抑えながら、富士通側の生産性や利益率も高められる可能性があります。
一方、大規模なシステム移行では、開発遅延や追加費用、不採算案件が発生するリスクもあります。
今回の決算では、次の項目を確認したいところです。
- モダナイゼーションの売上高
- 新規受注
- 案件の進捗
- 開発期間
- 生成AIによる生産性改善
- 案件の利益率
受注を増やすだけでなく、高い採算性を維持できるかが重要です。
サービスソリューションの利益率は17.4%へ改善するか
富士通は2027年3月期のサービスソリューションについて、調整後営業利益率を前期の15.4%から17.4%へ改善する計画です。
| 項目 | 2026年3月期実績 | 2027年3月期計画 |
|---|---|---|
| 調整後営業利益率 | 15.4% | 17.4% |
| グロスマージン率 | 39%台 | 40.7%目標 |
利益率改善を支えると予想されているのが、開発工程の標準化や生成AIの活用です。
富士通は、複数の案件で共通して利用できる開発手法や部品を増やし、案件ごとに一から開発する作業を減らしています。
生成AIを使ってプログラム作成やテスト、設計書作成などを効率化できれば、同じ人数でも多くの案件へ対応できる可能性があります。
また、顧客へ提供する価値に応じた価格戦略を進めています。
単純な作業時間や人員数だけで価格を決めるのではなく、顧客の売上増加やコスト削減などの効果を踏まえて価格を設定する方針です。
一方、AI人材の採用や育成、研究開発への支出も増加します。
売上や粗利益率が改善しても、人材投資や研究開発費が想定以上に増えれば、営業利益率の上昇を抑える可能性があります。
今回の決算では、一時的な費用削減ではなく、事業構造の改善によって利益率が上昇しているかを確認しましょう。
国内サービスの高成長は続くか
富士通は2027年3月期の国内サービス売上について、前期比10.6%増を計画しています。
期初時点の受注残は1兆330億円となっており、年間売上計画の約53%をカバーしています。
高い受注残は、今後の売上をある程度確保していることを示します。
国内では、製造、流通、金融、公共、医療など幅広い分野でDXや基幹システム刷新の需要があります。
特に公共・金融分野では、大規模かつ長期的な案件が多く、安定した売上につながる可能性があります。
一方、受注残が多くても、開発できる技術者が不足した場合は、納期遅延や外注費の増加が発生する可能性があります。
大型案件では、仕様変更や開発の遅れによって採算性が低下するリスクにも注意が必要です。
今回の決算では、次の項目を確認したいところです。
- 国内サービスの売上成長率
- 受注高
- 受注残高
- 大型案件の進捗
- 技術者の稼働率
- 不採算案件の有無
高い受注残を売上と利益へ予定どおり転換できているかが重要です。
海外サービスの減収は想定内か
富士通は2027年3月期の海外サービス売上を、前期比11.3%減と予想しています。
前年に計上した大型契約の反動に加え、欧州、米州、アジアで事業ポートフォリオの見直しを進めるためです。
海外では売上規模の拡大よりも、低採算事業の整理や利益率改善を優先しています。
不採算な契約や地域から撤退すれば、短期的には売上高が減少します。
一方、固定費の削減や高採算サービスへの集中によって、利益を確保できる可能性があります。
今回の決算では、海外サービスが減収となったかだけでなく、次の項目を確認しましょう。
- 海外サービスの売上高
- 調整後営業利益
- 利益率
- 事業再編費用
- 欧州・米州・アジアの地域別業績
- 為替の影響
減収でも利益率が改善していれば、事業再編は計画どおり進んでいる可能性があります。
ハードウェアとPC事業の減収を補えるか
富士通は2027年3月期について、ハードウェアとユビキタス事業の減収を予想しています。
ハードウェアの売上収益は前期比4.9%減、調整後営業利益は同7.5%減となる見通しです。
PCなどを含むユビキタス事業の売上収益は、同30.4%減を予想しています。
PC事業では、Windows 10のサポート終了に伴う更新需要が前期の売上を押し上げました。
2027年3月期は特需の反動によって、PC販売が大きく減少する可能性があります。
ハードウェアでも、一部大型案件の反動や製品構成の変化による減収が見込まれています。
一方、ネットワーク機器やフォトニクス関連では、データセンターや通信インフラ向けの成長余地があります。
今回の決算では、サービスソリューションの増益によって、ハードウェアやPC事業の減収・減益を吸収できるかを確認したいところです。
AI・MONAKAへの先行投資は成果につながるか
富士通はAI、次世代CPU、量子コンピューティングなどの研究開発投資を強化します。
2027年3月期は、全社の研究開発投資を前期から約200億円増加させる計画です。
主な投資分野は次のとおりです。
- 次世代CPU「FUJITSU-MONAKA」
- 生成AI
- AIエージェント
- フィジカルAI
- 量子コンピューティング
- セキュリティー
- データセンター向け技術
MONAKAは、高い処理性能と省電力性能を目指す次世代CPUです。
データセンターやAI処理で採用されれば、ハードウェアだけでなくクラウドやサービス事業との連携も期待できます。
生成AIやAIエージェントについては、Uvanceやモダナイゼーションのサービスへ組み込み、顧客の業務効率化や新規事業支援へつなげる方針です。
一方、研究開発投資は短期的には利益を押し下げます。
製品化や商用化が遅れた場合は、研究開発費だけが先行する可能性もあります。
今回の決算では、AI投資が具体的な受注や売上へつながり始めているかを確認しましょう。
1,500億円の自社株買いは進むか
富士通は2026年4月28日、上限1,500億円となる自己株式取得を決議しました。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 自己株式取得上限 | 1,500億円 |
| 取得株式数上限 | 1億株 |
| 発行済み株式数に対する割合 | 5.76% |
| 取得期間 | 2027年3月31日まで |
自社株買いによって市場に流通する株式数が減少すれば、1株当たり利益の向上につながる可能性があります。
また、株価が下落した場面で会社が株式を取得すれば、需給面で株価を支える可能性もあります。
一方、上限額や上限株数が発表されても、必ずしもすべて取得されるとは限りません。
実際の取得金額や株式数、取得ペースを確認する必要があります。
今回の決算では、次の項目を確認しましょう。
- 自社株買いの取得金額
- 取得株式数
- 取得単価
- 残りの取得可能額
- 消却の有無
- 配当方針
業績成長に加え、自社株買いが1株当たり価値の向上へつながっているかも株価評価のポイントです。
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富士通の決算後の株価はどうなる?
富士通の決算後の株価は、前年同期比で増益となったかだけでなく、市場コンセンサスやサービスソリューションの成長率によって反応が変わる可能性があります。
現在の市場予想は会社計画とほぼ同じ水準まで低下しています。
そのため、第1四半期の実績が市場予想を上回れば、会社計画への安心感や通期上方修正への期待が高まる可能性があります。
| シナリオ | 想定される決算 | 株価への影響 |
|---|---|---|
| 強気 | コンセンサス超過、Uvance好調、サービス利益率改善 | 上方修正期待から株価上昇につながる可能性 |
| 中立 | 増益だが市場予想並み、通期予想は据え置き | 会社計画とほぼ同水準なら方向感が出にくい可能性 |
| 弱気 | 市場予想未達、利益率低下、サービス成長鈍化 | 成長期待が後退し売り材料になる可能性 |
強気シナリオは、税引前利益が約426億円の市場予想を上回り、Uvanceやモダナイゼーションも高い成長を維持するケースです。
サービスソリューションの利益率が大きく改善し、国内受注も高い水準を維持していれば、通期予想の上方修正期待が高まる可能性があります。
中立シナリオは、前年同期から増益となったものの、市場予想とほぼ同じ水準にとどまるケースです。
会社予想と市場予想の差が小さいため、通期予想が据え置かれた場合は、想定内と判断される可能性があります。
決算前に株価が上昇していた場合は、好決算でも材料出尽くしとなる可能性があります。
弱気シナリオは、税引前利益が市場予想を下回り、サービスソリューションの売上成長や利益率改善も鈍化するケースです。
Uvanceやモダナイゼーションの進捗が弱い場合は、富士通が掲げるサービス企業への転換が遅れていると判断される可能性があります。
富士通の決算を評価する際は、次の点に注意しましょう。
- 調整後利益と通常の利益を分ける
- 親会社帰属利益に一時利益が含まれていないか確認する
- Uvanceとモダナイゼーションの成長率を見る
- サービスソリューションの利益率を確認する
- ハードウェア・PC事業の減収幅を見る
- 通期予想の変更を確認する
- 自社株買いの進捗を見る
2027年3月期の最終利益が減少する主な理由は、前年度に計上した事業売却益の反動です。
最終減益だけを理由に悪い決算と判断せず、本業の調整後利益が成長しているかを確認する必要があります。
決算発表後はPTSの値動きに加え、翌営業日の株価や出来高も確認しましょう。
1,500億円の自社株買いが進んでいる場合は、需給面で株価を支える可能性もあります。
まとめ
富士通の次回決算は、2026年7月30日に発表される予定です。
発表時間は現時点では公表されていませんが、前年の第1四半期や直近の本決算は15時30分に発表されました。
富士通は2027年3月期について、調整後営業利益が前期比8.8%増となり、過去最高益を更新すると予想しています。
一方、親会社帰属利益は前年度の事業売却益の反動によって31%減少する見通しです。
今回の決算では、主に次のポイントに注目です。
- 第1四半期の税引前利益が市場予想の約426億円を上回るか
- サービスソリューションの増収・利益率改善が続くか
- Uvance売上8,400億円の計画へ順調に進んでいるか
- モダナイゼーション売上2,990億円の計画へ進んでいるか
- サービスソリューションの利益率17.4%を目指せるか
- 国内DX需要と受注残が高い水準を維持しているか
- 海外サービスの減収が会社の想定内か
- ハードウェア・PC事業の減収をサービス増益で補えるか
- AI・MONAKAへの先行投資が成果につながっているか
- 1,500億円の自社株買いが進んでいるか
現在の市場コンセンサスは会社計画とほぼ同じ水準です。
そのため、単純に増益だったかだけでなく、サービスソリューションの成長と利益率改善が会社計画を上回るペースなのかが決算評価を左右する可能性があります。
決算発表後は調整後と調整前の利益を分けて確認し、PTSや翌営業日の株価と出来高も見て判断しましょう。
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