第一稀元素化学工業はハフニウムに関係する?AI・半導体需要と業績・株価への影響を解説

第一稀元素化学工業(4082)は2026年8月25日、重要レアメタル「ハフニウム」の国内製造技術とサンプル試作技術を確立したと発表しました。翌26日の株価はストップ高となり、「ハフニウムとは何か」「AI・半導体需要とどうつながるのか」に注目が集まっています。

ハフニウムは、先端半導体の高性能化・省電力化を支えるHigh-k材料の主要原料の一つです。AI、データセンター、次世代通信の拡大で高性能半導体の需要が伸びれば、High-k材料の原料であるハフニウムの需要拡大にもつながります。

第一稀元素化学工業は、もともとジルコニウム中間体を自社グループで製造しています。その中間体に微量に含まれるハフニウムを分離・精製できるようになったことで、ハフニウムを新しい製品として販売する道が開けました。同時に、ハフニウムを取り除いたジルコニウムの高純度化にもつながります。今回の技術は、新規売上の創出と既存ジルコニウム事業の高付加価値化という二つの成長経路を持っています。

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目次

第一稀元素化学工業がハフニウムの国内製造技術を確立

第一稀元素化学工業がハフニウムの国内製造技術を確立

2026年内にサンプル提供、2028年に国内量産化を目指す

第一稀元素化学工業は2026年8月25日、日本国内でハフニウムの製造技術およびサンプル試作技術を確立したと公表しました。計画では2026年内に半導体用途などへサンプル提供を開始し、その後は生産規模を拡大するための技術開発を進め、2028年の国内量産化を目指します。

時期会社が公表した内容事業化に向けた位置付け
2026年8月25日国内でのハフニウム製造技術・サンプル試作技術の確立を発表基礎研究から試作・顧客評価へ進むための技術基盤を確立
2026年内半導体用途などに向けたサンプル提供を開始予定顧客による品質・性能評価へ進む段階
今後生産規模拡大のための技術開発量産に必要な歩留まり、品質、コスト、生産能力を高める段階
2028年国内量産化を目標ハフニウムを継続的な事業として立ち上げる目標時期

出典:第一稀元素化学工業「重要レアメタル『ハフニウム』の国内製造技術確立のお知らせ」(2026年8月25日)

2026年内のサンプル提供、2028年の国内量産化という時間軸が示されており、技術確立から顧客評価、量産へ進む事業化の道筋が具体化しています。現時点は量産開始前ですが、研究段階から顧客評価へ移るフェーズに入ります。

また、会社はハフニウムについて、ジルコニウム鉱石中の含有量が微量で高度な抽出技術が必要なことから、国内での商用生産は事例に乏しい状況だったと説明しています。ハフニウムは経済安全保障上の重要鉱物にも含まれており、国内で分離・精製できる技術を確立したことは、先端産業向け材料の供給網という観点でも注目されます。

既存のジルコニウム中間体を使って国内で分離・精製する

第一稀元素化学工業は、関係会社のVIETNAM RARE ELEMENTS CHEMICAL JOINT STOCK COMPANYでベトナム産ジルコニウム鉱石を精製し、中間原料となる「ジルコニウム中間体」を生産しています。その中間体を日本へ輸送し、国内拠点で最終製品のジルコニウム化合物へ加工するサプライチェーンを構築しています。

今回確立した技術は、このジルコニウム中間体に微量に含まれるハフニウムを、溶媒抽出技術によって日本国内で分離・精製するものです。つまり、全く新しい原料調達網をゼロから作るのではなく、同社がすでに扱っているジルコニウム原料を起点にハフニウム事業へ広げられる構造になっています。

技術確立には株式会社エマルションフローテクノロジーズ(EFT)が協力しました。EFTは日本原子力研究開発機構(JAEA)発のスタートアップで、溶媒抽出技術「エマルションフロー」をコア技術としています。第一稀元素化学工業とEFTは2024年10月にレアメタル資源循環促進などを目的とする基本合意契約を結び、その後の基礎研究を経て、2026年8月にハフニウムの製造・試作技術確立まで進みました。

そもそもハフニウムとは?

レアアースではなく、先端産業で使われるレアメタル

ハフニウム(Hafnium)は元素記号Hf、原子番号72の金属元素で、日本ではレアメタルの一種として扱われています。レアアース(希土類元素)とは別の元素ですが、電気的特性、光学特性、高い耐熱性、耐食性などを持ち、半導体、航空宇宙、光学材料、原子力など幅広い先端産業で利用されています。

分野ハフニウムが使われる理由・用途の例第一稀元素の発表との関係
半導体ハフニウム系酸化物などが高誘電率(High-k)材料として利用される会社は半導体用途などへのサンプル提供を予定
航空宇宙高い耐熱性・耐食性を生かした材料用途会社IRがハフニウムの用途として明記
光学材料光学特性を利用した材料用途会社IRがハフニウムの用途として明記
原子力中性子吸収特性などを生かした用途ハフニウムの代表的な用途の一つ

出典:第一稀元素化学工業 2026年8月25日適時開示、USGS「Zirconium and Hafnium」

ジルコニウム鉱石中に1~2%程度しか含まれず、分離にも技術が必要

ハフニウムは自然界で単独の鉱物として大量に得られるのではなく、主にジルコニウム資源に伴って存在します。第一稀元素化学工業は、ジルコニウム鉱石中のハフニウム含有量を1~2%程度と説明しています。USGSも、ハフニウム資源はジルコンやバデレアイトなどのジルコニウム資源に随伴すると整理しています。

さらに、ジルコニウムとハフニウムは化学的性質がよく似ているため、高純度で分離するには精製技術が必要です。第一稀元素化学工業はジルコニウム原料を自社グループで扱う基盤を持ち、今回その原料からハフニウムを分離・精製する技術を確立しました。

経済安全保障上の「重要鉱物」にも含まれる

ハフニウムは、日本の経済安全保障政策でも供給確保の対象となる重要鉱物に含まれています。経済産業省は、経済安全保障推進法に基づく特定重要物資のうち、対象となる金属鉱産物としてハフニウムを列挙しています。

重要鉱物に指定されていることからも、ハフニウムの安定供給は政策上の課題になっています。第一稀元素化学工業が国内で分離・精製できるようになれば、重要材料の供給源を多様化することにもつながります。

ハフニウムはなぜAI・半導体で注目される?

High-k材料が半導体の高性能化・省電力化を支える

AI・半導体との関係を理解する鍵が「High-k(ハイケイ)材料」です。High-k材料とは、従来の二酸化シリコン(SiO₂)より高い誘電率(dielectric constant、k)を持つ絶縁材料を指します。

半導体のトランジスタは微細化が進むほど、ゲート絶縁膜を薄くする必要があります。しかし膜を薄くしすぎると、電子が絶縁膜を通り抜ける量子トンネル効果によってリーク電流が増え、消費電力や性能面の問題が大きくなります。High-k材料を使えば、電気的には薄い絶縁膜として機能させながら物理的な膜厚を確保しやすくなり、リーク電流を抑えながらトランジスタ性能を高めることができます。

ハフニウム系材料は、このHigh-k用途ですでに実用化されています。Intelは45nm世代の製造プロセスで、従来の二酸化シリコン系ゲート絶縁膜をハフニウムベースのHigh-k材料へ置き換え、ゲートリークの大幅な削減と性能向上を実現したと説明しています。ハフニウムは「将来使われるかもしれない材料」ではなく、先端半導体を支える材料として実績を持つ元素です。

AI・データセンターの成長が「先端半導体需要」を通じて材料需要につながる

第一稀元素化学工業は、ハフニウムを「先端半導体の高性能化・省電力化を支えるHigh-k材料の主要原料」と位置付け、AI、データセンター、次世代通信などの成長分野で需要拡大を見込んでいます。

AIサービスやデータセンターの拡大は、高性能な演算半導体や関連デバイスの需要増加につながります。こうした半導体では高性能化と省電力化が求められ、その実現を支えるHigh-k材料の重要性も高まります。ハフニウムはHigh-k材料の主要原料の一つであるため、AI・データセンター市場の成長が先端半導体需要を通じてハフニウム需要につながる構図です。

第一稀元素化学工業は2026年内に半導体用途などへサンプルを提供する予定です。今後は顧客評価を経て実際の採用につながるかが、AI・半導体需要を同社の売上へ結び付ける最初の焦点になります。

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なぜ第一稀元素化学工業がハフニウムを製造できる?

主力のジルコニウム事業そのものがハフニウムの原料基盤になる

第一稀元素化学工業は、ジルコニウム化合物を中心に無機化合物を製造する素材メーカーです。自動車排ガス浄化触媒分野では約40%の世界シェア(会社推定)を持つと説明しており、経済産業省の2020年版「グローバルニッチトップ企業100選」にも選定されています。

同社が公表する約40%の世界シェアは、自動車排ガス浄化触媒分野における会社推定値です。長年ジルコニウム原料を取り扱い、中間体から製品までつなぐ事業基盤を持っていることが、今回のハフニウム事業につながっています。ハフニウムはジルコニウム鉱石に随伴するため、既存の原料基盤をそのまま活用できます。

ベトナムから日本までのサプライチェーンを新事業に活用できる

第一稀元素化学工業グループは、ベトナム拠点を原鉱石から最終製品まで一貫したサプライチェーンを構成する重要拠点と位置付けています。ベトナムでジルコニウム中間体を製造し、日本で最終製品へ加工する既存の流れの途中から、ハフニウムを分離して新しい製品へつなげることができます。

今回のハフニウムは、既存のジルコニウム事業で扱っている原料の中にすでに含まれている成分です。ベトナムで中間体を製造し、日本で加工する既存サプライチェーンを活用できることが、新規事業への展開を支える強みになります。

ハフニウムは第一稀元素の成長にどうつながる?

成長① ハフニウムが新しい収益源になる

最も分かりやすい成長経路は、2028年の国内量産化が実現し、顧客採用が進むことでハフニウムが新たな売上源になることです。既存のジルコニウム中間体から目的成分を分離するため、同じ原料基盤からジルコニウム製品とハフニウム製品の双方を生み出せる構造になります。

ハフニウムの価格水準は、新規収益源としての規模を考えるうえでも重要です。USGS「Mineral Commodity Summaries 2026」によると、未加工ハフニウム(unwrought hafnium)の年間平均価格は、2021年の1kg当たり781ドルから2023年に6,130ドルまで上昇し、2024年は4,560ドル、2025年推定は3,800ドルでした。

未加工ハフニウムの年間平均価格(ドル/kg)2021年比
2021781基準
20221,590約2.04倍
20236,130約7.85倍
20244,560約5.84倍
2025(推定)3,800約4.87倍

出典:U.S. Geological Survey, Mineral Commodity Summaries 2026, “Zirconium and Hafnium”。価格は未加工ハフニウムの年間平均。

2025年推定値は2023年のピークから低下しているものの、2021年比では約4.87倍です。売上高は販売数量と販売単価で決まるため、高い価格水準が続く市場で製品を販売できれば、価格は新規売上の規模を左右する重要な要素になります。第一稀元素化学工業にとっては、既存のジルコニウム原料から新たに取り出したハフニウムを販売できること自体が、原料の付加価値を広げる機会になります。ただし、USGSの統計は未加工ハフニウムの参考価格であり、同社が今後販売する製品の契約価格ではありません。実際の売上・利益は、製品形態や純度、販売価格、生産量、製造コストによって決まります。

半導体用途などで顧客採用が進み、生産能力と販売数量を拡大できれば、ハフニウムは既存の自動車向けジルコニウムとは異なる需要源を持つ事業へ育つ可能性があります。

成長② 既存ジルコニウム事業を高付加価値化できる

二つ目は、既存のジルコニウム事業への効果です。第一稀元素化学工業は、ジルコニウム中間体からハフニウムを分離することで、製品中のジルコニウム純度をさらに高められると説明しています。

同じ中間体から、分離したハフニウムは新規製品へ、ハフニウムを取り除いたジルコニウムはより高純度な製品へつなげられます。高純度化によって高度な品質要求に対応できれば、既存ジルコニウム製品の用途拡大や付加価値向上にもつながります。具体的な販売単価や利益率への効果はまだ示されていませんが、新規事業と既存事業の両方に波及する点が今回の技術の特徴です。

成長③ 自動車中心の事業構成から半導体・戦略分野を育てる

第一稀元素化学工業は中期経営計画「DK-One Next」で、半導体・エレクトロニクス、エネルギー、ヘルスケアなどを戦略分野に位置付けています。2026年5月に更新した中期経営計画でも、2027年3月期から2029年3月期にかけて半導体や新規事業など成長領域へ増産投資を行う方針を示しています。

現状では、同社の売上は自動車排ガス浄化触媒分野が中心です。2026年3月期の連結売上高357.51億円に対し、自動車排ガス浄化触媒分野は224.24億円で62.7%。一方、半導体・エレクトロニクス分野は16.18億円で4.5%でした。

分野2026年3月期売上高構成比前年同期比
半導体・エレクトロニクス16.18億円4.5%8.1%減
エネルギー16.86億円4.7%20.8%増
ヘルスケア21.51億円6.0%8.4%増
自動車排ガス浄化触媒224.24億円62.7%7.7%増
基盤分野78.70億円22.0%2.4%増
合計357.51億円100.0%6.3%増

出典:第一稀元素化学工業「2026年3月期 決算短信」。百万円表記を1億円=100百万円で換算。

半導体・エレクトロニクス分野の売上構成比は2026年3月期で4.5%と、現時点ではまだ小さい水準です。ハフニウムが量産化され、半導体向け売上が積み上がれば、会社が中期経営計画で進める半導体・新規事業へのポートフォリオ転換を後押しすることになります。

2027年3月期第1四半期では、半導体・エレクトロニクス分野は4.16億円で全社売上高101.13億円の4.1%でした。前年同期比では12.1%増となりましたが、内訳では半導体製造装置関連需要の弱含みにより半導体用途が34.6%減収となる一方、コンデンサ関連材料の需要を受けた電子部品用途は42.3%増収となっています。既存分野の需要が一様ではないなか、ハフニウムは将来の半導体・エレクトロニクス領域に新しい成長軸を加える可能性があります。

ハフニウムは第一稀元素の業績にどこまで影響する?

現段階は「売上計上」より、顧客評価と量産準備を進めるフェーズ

今回の発表で示されたのは、2026年内のサンプル提供と2028年の国内量産化というロードマップです。したがって、まず業績へのつながりを判断するうえで重要なのは、サンプル提供から顧客評価、採用、量産へと順番に進めるかです。

2026年8月25日の適時開示では、ハフニウム事業の生産能力、想定販売単価、顧客名、売上高目標、営業利益目標、設備投資額などの定量情報はまだ示されていません。また、同日の発表に伴う2027年3月期の連結業績予想修正もありません。現時点では、収益規模を試算するために必要な数量・単価・利益率の情報が揃っていない段階です。

最新1Qは増収増益。ハフニウムはこの既存収益基盤に加わる成長テーマ

第一稀元素化学工業の2027年3月期第1四半期(2026年4~6月)は、売上高101.13億円、営業利益11.52億円でした。前年同期比では売上高24.9%増、営業利益119.4%増です。通期会社予想は売上高370億円、営業利益30億円で、第1四半期時点の進捗率はそれぞれ27.3%、38.4%でした。

項目2027年3月期1Q実績前年同期前年同期比通期会社予想進捗率
売上高101.13億円81.00億円24.9%増370億円27.3%
営業利益11.52億円5.25億円119.4%増30億円38.4%
経常利益14.05億円0.15億円大幅増20億円70.3%
親会社株主帰属純利益9.53億円△0.01億円黒字転換15億円63.5%

出典:第一稀元素化学工業「2027年3月期 第1四半期決算短信」。百万円を億円換算。

この1Qは6月30日までの業績で、ハフニウム技術確立の発表は8月25日です。最新1Qの増益は既存事業によるもので、ハフニウムの業績寄与はまだ含まれていません。今後、顧客採用と量産が進めば、既存事業の収益に新たな半導体材料の売上が加わることになります。

業績インパクトは「数量×単価×利益率」が見えてくると具体化できる

今後、ハフニウム事業の規模を具体的に試算できるようになるのは、会社から次のような情報が開示された段階です。

・量産時の年間生産能力と実際の販売数量

・販売するハフニウム製品の形態・純度・品質仕様

・顧客との販売単価、長期契約の有無

・溶媒抽出工程の歩留まりと変動費

・量産設備への投資額と減価償却費

・既存ジルコニウム製品の高純度化による単価・数量・利益率への効果

特に生産能力と販売数量が分かれば売上規模、販売単価とコストが分かれば利益規模を考えやすくなります。2027年3月期の全社営業利益予想は30億円であるため、将来ハフニウムの利益貢献額が開示されれば、全社業績に対するインパクトも比較できるようになります。

ハフニウムは第一稀元素の株価を押し上げる材料になる?

発表翌日はストップ高。市場は「成長テーマ」と「国内供給」の両方に反応

ハフニウムに関する適時開示は2026年8月25日15時30分に公表されました。翌8月26日、第一稀元素化学工業の株価は前日終値2,091円から500円高い2,591円で取引を終え、値幅制限上限のストップ高となりました。上昇率は約23.91%です。

今回の発表には、「先端半導体」「AI・データセンターなどの成長分野」「重要レアメタル」「国内製造」「2028年量産化」という複数の成長テーマが含まれています。さらに、既存のジルコニウム原料とサプライチェーンを使って新しい材料事業へ展開できるという事業上の裏付けもあります。発表翌日のストップ高は、こうした将来性に対して市場の期待が一気に高まった結果と考えられます。

会社が公表する発行済株式数24,400,000株(自己株式を含む)を用いた単純計算では、8月25日終値2,091円時点の時価総額は約510.2億円、8月26日終値2,591円時点では約632.2億円となり、1日で約122.0億円増加しました。この差額をそのままハフニウム事業の価値とみなすことはできませんが、市場が今回の発表に大きな期待を乗せたことは分かります。

株価はYahoo!ファイナンス掲載の東京証券取引所データで確認。発行済株式数24,400,000株は第一稀元素化学工業の株式情報および2027年3月期第1四半期決算短信で確認。

中長期では「技術ニュース」から「採用・量産・利益」へ進めるかが焦点

株価は将来の業績を先回りして動くため、量産前の段階でも事業化への期待が評価に反映されることがあります。中長期の評価を支えるのは、技術確立の次に顧客採用と収益化まで進めるかです。事業化は、技術確立、サンプル提供、顧客評価、採用・契約、設備投資、量産という順に進んでいきます。

段階確認する事実評価につながるポイント
1. 技術確立国内製造・試作技術を確立2026年8月25日に発表済み
2. サンプル提供顧客へ試作品を提供2026年内予定。顧客評価フェーズへの移行
3. 顧客評価品質・性能・量産適性の評価評価通過や採用候補の広がり
4. 採用・契約量産向け受注・供給契約数量・価格・契約期間が業績推計につながる
5. 設備投資・能力公表量産設備、生産能力を具体化目指す供給規模と投資負担が見える
6. 量産・売上計上2028年の国内量産化目標実際の売上・利益が企業価値評価の中心になる

2028年に量産へ移行した後は、採用顧客と販売数量をどこまで増やせるかが業績インパクトを左右します。生産能力と販売数量が拡大すれば、ハフニウムが全社売上・利益に占める存在感も高まっていきます。

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第一稀元素のハフニウムで今後注目したいポイント

2026年内にサンプル提供を開始できるか

最初の確認点は、会社が掲げた2026年内のサンプル提供です。予定通り提供が始まれば、技術確立から顧客評価へ一段進んだことになります。半導体材料は顧客側での評価や認定が重要なため、ここから事業化の確度が徐々に見え始めます。

顧客評価から量産採用へ進めるか

次に重要なのが顧客評価と採用です。顧客名が非開示でも、「複数顧客で評価中」「量産採用が決定」「長期供給契約を締結」といった情報が出れば、需要が実際の売上へつながる可能性を判断しやすくなります。

量産設備・生産能力・投資額が具体化するか

2028年の量産化に向けて生産能力や設備投資額が示されれば、会社がどの程度の事業規模を目指しているのかを読み取りやすくなります。生産能力は将来売上の上限を考える材料になり、設備投資額は利益率や投資回収を考えるうえで重要です。

ハフニウムだけでなく、高純度ジルコニウムの効果も見る

ハフニウム分離は、既存のジルコニウム製品の高純度化にもつながります。高純度品の採用拡大、用途拡大、販売単価や利益率の変化が確認できれば、ハフニウムの新規売上に加えて既存事業にも効果が広がっていることが分かります。

中期経営計画のポートフォリオ転換につながるか

第一稀元素化学工業は、自動車排ガス浄化触媒で築いた収益基盤をもとに、半導体・エレクトロニクスや新規事業など戦略分野を育てる方針です。ハフニウムが量産化され、半導体向け売上が積み上がれば、自動車依存を薄めながら成長分野の比率を高めるポートフォリオ転換の一つの柱になる可能性があります。

今後はハフニウム単体の売上に加え、半導体・エレクトロニクス分野や新規事業の売上構成比、利益率、ROICの変化も確認したいところです。これらが継続的に改善すれば、ハフニウムが実際に同社の事業構成を変える成長要因になっているかを判断しやすくなります。

まとめ:第一稀元素のハフニウムは「新規売上+既存事業高度化」の成長テーマ

第一稀元素化学工業は2026年8月25日、ジルコニウム中間体からハフニウムを日本国内で分離・精製する技術とサンプル試作技術を確立しました。2026年内に半導体用途などへのサンプル提供を始め、2028年の国内量産化を目指しています。

ハフニウムはHigh-k材料の主要原料の一つとして先端半導体の高性能化・省電力化を支える材料で、会社はAI、データセンター、次世代通信などの成長分野で需要拡大を見込んでいます。さらに、ハフニウムはジルコニウム鉱石に微量に含まれるため、ジルコニウム事業を主力とする第一稀元素化学工業には既存事業との明確な接点があります。

今回の技術が会社の成長につながる経路は大きく三つです。第一に、ハフニウムそのものを新しい収益源へ育てること。第二に、ハフニウムを分離することで既存のジルコニウム製品を高純度化し、高付加価値化につなげること。第三に、自動車向けが中心の事業構成から、半導体・エレクトロニクスなど戦略分野の比率を高めることです。

現段階では生産能力や販売価格、採用顧客などの定量情報はまだ出ていないため、利益インパクトを数字で決める段階ではありません。今後は2026年内のサンプル提供、顧客評価・採用、生産能力と設備投資の具体化、2028年の量産化という順に進捗を追うことで、ハフニウムが第一稀元素化学工業の成長をどこまで押し上げるかが見えてきます。

出典
  1. 第一稀元素化学工業「重要レアメタル『ハフニウム』の国内製造技術確立のお知らせ」(2026年8月25日、TDnet開示PDF):https://www2.jpx.co.jp/disc/40820/140120260825525456.pdf
  2. 第一稀元素化学工業「2027年3月期 第1四半期決算短信〔日本基準〕(連結)」(2026年8月7日、TDnet開示PDF):https://www2.jpx.co.jp/disc/40820/140120260806511826.pdf
  3. 第一稀元素化学工業「2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)」(2026年5月14日、TDnet開示PDF):https://www2.jpx.co.jp/disc/40820/140120260513528057.pdf
  4. 第一稀元素化学工業「中期経営計画 DK-One Nextの取り組み」(2026年5月公開、PDF):https://www.dkkk.co.jp/shared/images/under/ir/mid_term/2026-mid-term-plan.pdf
  5. 第一稀元素化学工業「中期経営計画」:https://www.dkkk.co.jp/ir/mid_term.html
  6. 第一稀元素化学工業「事業内容」:https://www.dkkk.co.jp/company/business.html
  7. 第一稀元素化学工業「すぐわかる第一稀元素」:https://www.dkkk.co.jp/summary/
  8. 第一稀元素化学工業・エマルションフローテクノロジーズ「レアメタル資源循環促進に向けたオープンイノベーションへ」(2024年10月4日、PDF):https://ssl4.eir-parts.net/doc/4082/ir_material3/232598/00.pdf
  9. 経済産業省「重要鉱物」:https://www.meti.go.jp/policy/economy/economic_security/metal/index.html
  10. 経済産業省「経済安全保障政策」:https://www.meti.go.jp/policy/economy/economic_security/
  11. U.S. Geological Survey, Mineral Commodity Summaries 2026 – Zirconium and Hafnium:https://pubs.usgs.gov/periodicals/mcs2026/mcs2026-zirconium-hafnium.pdf
  12. U.S. Geological Survey, Zirconium and Hafnium Statistics and Information:https://www.usgs.gov/centers/national-minerals-information-center/zirconium-and-hafnium-statistics-and-information
  13. Intel, High-k and Metal Gate Transistor Research:https://www.intel.com/pressroom/kits/advancedtech/doodle/ref_HiK-MG/high-k.htm
  14. Yahoo!ファイナンス「第一稀元素化学工業(4082)」株価情報(2026年8月25日・26日の終値確認に使用する二次情報):https://finance.yahoo.co.jp/quote/4082.T
  15. 第一稀元素化学工業「株式情報」(発行済株式数24,400,000株):https://www.dkkk.co.jp/ir/shr_info.html
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この記事を書いた人

投資歴7年。1級ファイナンシャル・プランニング技能士、証券外務員資格取得。2019年に100万円から投資スタート。2022年に1000万円→2025に年5000万円突破。
YouTubeでは株式投資・企業決算を中心とした解説動画を200本以上公開(チャンネル登録者数5000人)。日本株を中心に、企業決算や業績、株価材料を分析しています。

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