NTTと聞くと、固定電話や光回線の会社をイメージする人も多いかもしれません。しかし、現在のNTTは、NTTドコモやNTTデータグループ、NTT東日本・NTT西日本などを傘下に持つ巨大なICTグループです。
会社名が似ているうえ、2020年以降はドコモの完全子会社化やグループ再編、2025年にはNTTデータグループの完全子会社化も進み、グループ構造は以前より分かりにくくなっています。
この記事では、NTTが何をしている会社なのか、ドコモやNTTデータとの違い、現在のグループ構成、そしてNTTがどの事業で利益を稼いでいるのかを整理します。
【PR】無料アカウント登録完了で10,000円分のギフトマネーがもらえる!
投資アプリ「TOSSY」の公式サイトはこちら
NTTは何の会社?

結論からいうと、NTT株式会社は、NTTグループ全体を統括する持株会社です。自社で携帯電話サービスやシステム開発を中心に手掛ける会社ではなく、グループ全体の経営戦略の策定や基盤的な研究開発を担い、ドコモやNTTデータなどの事業会社を傘下に置いています。
2025年7月1日には、従来の「日本電信電話株式会社」から「NTT株式会社」へ商号を変更しました。2026年3月末時点でNTTグループの連結子会社は1,026社、連結従業員数は34万4,196人に達しています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 会社名 | NTT株式会社(NTT, Inc.) |
| 設立 | 1985年4月1日 |
| 主な役割 | NTTグループ全体の経営戦略の策定、基盤的研究開発の推進 |
| 連結子会社 | 1,026社(2026年3月末) |
| 連結従業員数 | 344,196人(2026年3月末) |
| 2025年度 営業収益 | 14兆4,091億円 |
| 2025年度 営業利益 | 1兆7,062億円 |
NTTは「電話会社」だけではない
NTTのルーツは電話・通信ですが、現在の事業領域は大きく広がっています。携帯通信や光回線に加え、法人向けICT、システムインテグレーション、クラウド、データセンター、金融・決済、不動産、エネルギーなどをグループ内で展開しています。
そのため、NTTを「固定電話の会社」と捉えると現在の事業実態を見誤ります。投資家目線では、通信を基盤にしながら、ITサービスやデータセンター、金融などへ収益源を広げている総合ICTグループと考える方が実態に近いでしょう。
NTTグループの構成をわかりやすく解説
NTTグループは、大きく「総合ICT事業」「グローバル・ソリューション事業」「地域通信事業」「その他(不動産・エネルギー等)」の4つに分けられます。主要会社と役割を整理すると、次のようになります。
| 主な会社 | 事業区分 | 主な役割 |
|---|---|---|
| NTT株式会社 | 持株会社 | グループ経営戦略、資本政策、基盤的研究開発 |
| NTTドコモ | 総合ICT | 携帯通信、光回線、金融・決済、コンテンツ、法人ICT |
| NTTデータグループ | グローバル・ソリューション | コンサル、ITソリューション、システム開発、データセンター |
| NTT東日本・NTT西日本 | 地域通信 | 光サービス、法人ICT、固定電話など |
| NTTアーバンソリューションズ | その他 | 不動産事業 |
| NTTアノードエナジー | その他 | エネルギー事業 |
NTTドコモはモバイル・金融・法人ICTを担当
NTTドコモは、NTTグループの総合ICT事業を担う中核会社です。一般消費者向けの携帯電話サービスだけでなく、ドコモ光などの固定通信、dカード・d払いなどの金融・決済、コンテンツやライフスタイルサービス、法人向け通信・システム開発まで事業領域を広げています。
2022年にはNTTコミュニケーションズとNTTコムウェアがドコモ傘下に入り、法人向け通信やシステム開発もドコモグループへ集約されました。さらに2025年7月には、NTTコミュニケーションズが「NTTドコモビジネス」、NTTコムウェアが「NTTドコモソリューションズ」へ商号変更しています。
また、2025年には住信SBIネット銀行を連結子会社化し、2026年にはNTTドコモ・フィナンシャルグループ体制へ移行しました。現在のドコモは、携帯電話会社というより、通信を顧客基盤に金融・法人ICTまで広げる総合サービス会社へ変化しています。
NTTデータグループはIT・DXを担当
NTTデータグループは、NTTグループのグローバル・ソリューション事業を担います。コンサルティング、システムインテグレーション、クラウド、運用・保守、データセンターなどを提供し、企業や官公庁のDXを支えるITサービス会社です。
NTT DATAは世界70カ国以上でITサービスを展開しており、日本国内だけのシステム会社ではありません。特に海外ITサービスやデータセンターは、NTTグループの成長分野として重要性を増しています。
NTT東日本・NTT西日本は地域通信を担当
NTT東日本とNTT西日本は、地域通信事業を担っています。フレッツ光などの光サービス、固定電話、法人向けICTソリューションなどが主な事業です。
固定電話市場は長期的に縮小していますが、光回線や法人向けビジネスを含め、地域の通信インフラを支える役割は引き続き大きく、NTTグループの安定収益基盤の一つとなっています。
不動産・エネルギー事業も展開している
通信・IT以外では、NTTアーバンソリューションズを中心とする不動産事業や、NTTアノードエナジーを中心とするエネルギー事業があります。通信局舎やデータセンターなど多くの不動産・電力需要を抱えるNTTグループだからこそ、グループ内の資産やノウハウを活用できる領域です。
NTTとNTTドコモの違いは?
NTTとNTTドコモの最大の違いは、NTTがグループ全体を統括する持株会社であるのに対し、NTTドコモは実際に通信・金融・法人ICTなどのサービスを提供する事業会社である点です。
| 比較項目 | NTT | NTTドコモ |
|---|---|---|
| 位置付け | NTTグループの持株会社 | NTTの完全子会社 |
| 主な役割 | グループ経営戦略、研究開発など | 携帯通信、金融・決済、法人ICTなど |
| 株式 | 東証プライム上場(9432) | 非上場 |
| 事業セグメント | グループ全体 | 総合ICT事業 |
NTTドコモは2020年に完全子会社化された
NTTドコモは以前、NTTとは別に株式市場へ上場していました。しかしNTTは2020年、ドコモの競争力強化とグループ全体の成長を目的に完全子会社化を実施しました。
完全子会社化後は、NTTコミュニケーションズやNTTコムウェアをドコモ傘下へ移すなど、総合ICT事業の機能集約が進んでいます。現在は「NTT株」と「ドコモ株」を別々に選ぶことはできず、ドコモ事業への投資はNTT株を通じて行う形になります。
NTTとNTTデータの違いは?
NTTがグループ全体を統括する持株会社なのに対し、NTTデータグループはITサービスを中核とする事業グループです。名前にNTTが付いていますが、役割は大きく異なります。
| 比較項目 | NTT | NTTデータグループ |
|---|---|---|
| 位置付け | NTTグループの持株会社 | NTTの完全子会社 |
| 主な役割 | グループ経営戦略、研究開発など | ITサービス、コンサル、SI、クラウド、データセンター |
| 株式 | 東証プライム上場(9432) | 2025年9月26日に上場廃止 |
| 事業セグメント | グループ全体 | グローバル・ソリューション事業 |
NTTデータグループは2025年に完全子会社化
NTTデータグループも以前は東証プライム市場に上場していましたが、NTTによる完全子会社化に伴い、2025年9月26日に上場廃止となりました。
NTTは完全子会社化の狙いとして、AI・データセンターを含むグローバル事業の成長加速や、グループ内の意思決定・資本配分の一体化を進めています。これにより、ドコモに続いてNTTデータも、NTTグループ内でより一体的に経営される構造となりました。
NTTデータグループ・NTTデータ・NTT DATA, Inc.の違い
「NTTデータ」という名前も複数あるため注意が必要です。現在は、NTTデータグループが全体を束ね、その傘下で株式会社NTTデータが国内事業、NTT DATA, Inc.が海外事業を担当する体制です。
| 会社 | 主な役割 |
|---|---|
| NTTデータグループ | NTT DATA全体を統括する会社 |
| 株式会社NTTデータ | 日本国内のITサービス事業を担当 |
| NTT DATA, Inc. | 海外事業を担当 |
ニュースなどで「NTTデータ」と表記されていても、国内事業会社を指す場合と、NTT DATAブランド全体を指す場合があります。投資や業績を確認するときは、どの会社・どの範囲を示しているのかを確認することが重要です。
NTTはどの事業で稼いでいる?
NTTの事業構造を見ると、現在の最大の利益源はドコモを中心とする総合ICT事業です。2025年度のセグメント別実績は次のとおりです。
| 事業セグメント | 営業収益 | 営業利益 | 主な会社・事業 |
|---|---|---|---|
| 総合ICT事業 | 6兆4,581億円 | 9,421億円 | NTTドコモグループ |
| グローバル・ソリューション事業 | 5兆46億円 | 4,882億円 | NTTデータグループ |
| 地域通信事業 | 3兆2,102億円 | 3,074億円 | NTT東日本・NTT西日本 |
| その他(不動産・エネルギー等) | 1兆7,526億円 | ▲16億円 | 不動産・エネルギー等 |
※各セグメントの数値はセグメント間取引を含むため、単純合計はNTT連結の営業収益・営業利益と一致しません。
総合ICT事業が最大の利益源
2025年度の総合ICT事業の営業利益は9,421億円で、NTTの各事業の中で最大です。ドコモの携帯通信に加え、金融・決済や法人ICTなどを含むため、NTTの利益構造を理解するうえで最も重要なセグメントといえます。
一方で、モバイル通信は競争が激しく、通信品質改善や顧客基盤強化のためのコストも必要です。そのため、今後はスマートライフや金融、法人向けサービスをどこまで拡大できるかが利益成長のポイントになります。
NTTデータを中心とするグローバル事業も大きな柱
グローバル・ソリューション事業の2025年度営業利益は4,882億円です。国内外のITサービス需要に加え、AIやクラウド、データセンターなどの成長分野を抱えており、NTTが通信以外で成長を狙ううえで重要な事業です。
NTTは2030年度に向け、AI・データセンターを柱とした海外事業の成長加速を重点施策に掲げています。NTTデータグループの完全子会社化も、この成長戦略をグループ全体で進めやすくするための再編と位置付けられます。
地域通信事業は安定収益基盤
NTT東日本・NTT西日本を中心とする地域通信事業は、2025年度に営業利益3,074億円を計上しました。固定電話の縮小という構造的な課題はありますが、光回線や法人向けICTを含む地域通信インフラとして、引き続き大きな収益規模を持っています。
NTT全体では、ドコモ系の総合ICTが最大の利益源となり、NTTデータ系のグローバル事業が成長を担い、NTT東西の地域通信が安定収益を支えるという構造で見ると理解しやすいでしょう。
【PR】無料アカウント登録完了で10,000円分のギフトマネーがもらえる!
投資アプリ「TOSSY」の公式サイトはこちら
NTTグループはなぜこれほど会社が多い?
NTTグループに似た名前の会社が多いのは、もともと一つの大きな通信会社だったNTTが、事業ごとに分社化・再編を繰り返してきたためです。
| 時期 | 主な出来事 |
|---|---|
| 1985年 | 日本電信電話公社が民営化され、日本電信電話株式会社(NTT)が発足 |
| 1988年 | NTTデータが設立 |
| 1992年 | 移動体通信事業を分離し、現在のNTTドコモにつながる会社が独立 |
| 1999年 | 持株会社体制へ移行し、NTT東日本・NTT西日本・NTTコミュニケーションズが発足 |
| 2020年 | NTTドコモを完全子会社化 |
| 2022年 | NTTコミュニケーションズとNTTコムウェアをドコモ傘下へ移管 |
| 2025年 | NTT株式会社へ商号変更。NTTデータグループも完全子会社化 |
最近は再びグループ統合が進んでいる
かつてのNTTは、通信市場の競争促進などを背景に事業を分ける方向で再編されてきました。一方、近年はドコモやNTTデータグループを完全子会社化し、グループ内の機能をまとめる方向へ動いています。
背景には、通信だけでなくAI、クラウド、データセンター、金融などを組み合わせてサービスを提供する必要性が高まっていることがあります。事業会社を完全子会社化することで、グループ全体の資本配分や意思決定を一体化しやすくなります。
NTTの強みは?
NTTの強みは、通信インフラだけではなく、通信を起点にITサービスや研究開発までグループ内に持っていることです。特に次の3点が大きな特徴です。
国内最大級の通信顧客基盤を持つ
ドコモのモバイル顧客基盤、NTT東日本・西日本の光回線や法人顧客基盤を持つことは、NTTグループの大きな強みです。通信料金だけでなく、金融、コンテンツ、法人向けITなどのサービスを既存顧客へ提供できるため、顧客基盤を新たな収益源へつなげやすい構造があります。
通信からIT・データセンターまでグループ内に揃う
企業のDXでは、ネットワークだけ、システムだけではなく、クラウド、セキュリティ、データセンター、運用まで一体で求められるケースが増えています。NTTはドコモグループの法人ICTとNTT DATAのITサービスを持つため、通信からシステムまで幅広く対応できます。
AI普及によってデータセンターやネットワークの重要性が高まるなか、通信インフラとITサービスの両方を持つ点は、NTTの中長期的な競争力を考えるうえで重要です。
研究開発力とIOWNを持つ
NTT株式会社は持株会社であると同時に、基盤的な研究開発を担っています。代表的な取り組みが、光技術を活用して大容量・低遅延・低消費電力のネットワークを目指すIOWNです。
IOWNが実際にどこまで収益へつながるかは今後の事業化が重要ですが、通信事業者でありながら研究開発機能をグループの中核に持つ点はNTTの特徴です。AI時代に電力消費やデータ処理量が増えるなか、光技術を含む次世代インフラは中長期の成長テーマとなっています。
NTT株を買うとドコモやNTTデータにも投資することになる?
NTTドコモとNTTデータグループはいずれも現在はNTTの完全子会社です。そのため、NTT株を保有することは、ドコモやNTTデータを含むNTTグループ全体の事業に間接的に投資することになります。
以前はドコモ株やNTTデータグループ株を個別に購入できましたが、現在はいずれも上場していません。NTT株を見る際は、持株会社単体だけでなく、ドコモの通信・金融、NTT DATAのIT・データセンター、NTT東西の地域通信といったグループ全体の業績を見る必要があります。
特に2025年度の利益構造では、ドコモを中心とする総合ICT事業が最大の利益源です。一方で、中長期の成長材料としては、NTT DATAを中心とするAI・データセンターやグローバルIT、ドコモの金融・スマートライフ事業などの重要性が高まっています。
【PR】無料アカウント登録完了で10,000円分のギフトマネーがもらえる!
投資アプリ「TOSSY」の公式サイトはこちら
まとめ:NTTはドコモやNTTデータを傘下に持つ巨大ICTグループ
NTT株式会社は、NTTドコモ、NTTデータグループ、NTT東日本・NTT西日本などを傘下に持つNTTグループの持株会社です。現在は固定電話だけの会社ではなく、モバイル、ITサービス、データセンター、金融、不動産、エネルギーまで幅広い事業を展開しています。
利益面ではドコモを中心とする総合ICT事業が最大の柱で、NTT DATAのグローバル・ソリューション事業、NTT東西の地域通信事業が続きます。NTT株を分析する際は、「通信株」という一面だけでなく、ドコモの顧客基盤とNTT DATAのIT・AI・データセンター成長をあわせて見ることが重要です。
出典
- NTT「会社概要」
https://group.ntt/jp/corporate/overview/ - NTT「グループ企業一覧」
https://group.ntt/jp/group/gnavi/ - NTT「2025年度決算、2026年度業績予想等について」
https://group.ntt/jp/ir/library/presentation/2025/260508.pdf - NTT「総合ICT事業」
https://group.ntt/jp/business/integrated_ict.html - NTT「グローバル・ソリューション事業」
https://group.ntt/jp/business/global_solutions.html - NTT「NTTグループの歩み」
https://group.ntt/jp/group/history/ - NTT「NTTグループのCIの刷新について」
https://group.ntt/jp/newsrelease/2025/05/09/250509z.html - NTT「NTTドコモの完全子会社化」
https://group.ntt/jp/ir/library/nttis/202012/feature1.html - NTTデータグループ「当社株式の上場廃止のお知らせ」
https://www.nttdata.com/global/ja/news/release/2025/092500/ - NTTデータグループ「グループ会社」
https://www.nttdata.com/global/ja/about-us/group/
コメント