カウリスの株価はなぜ上がる?サイバー攻撃・不正アクセス対策で急騰する理由を解説

カウリス(153A)の株価は2026年10月6日、前日比400円高の2,113円まで上昇し、ストップ高で取引を終えました。10月5日も10.95%上昇しており、10月2日終値1,544円から2営業日で約36.9%上昇しています。

直接のきっかけは、企業へのサイバー攻撃や情報漏えいが相次ぎ、サイバーセキュリティ関連株への買いが強まったことです。カウリスには、会社固有の成長材料もあります。金融機関の不正アクセスや不正送金を検知する「Fraud Alert」は、導入先と利用範囲が広がっており、2026年8月には業績予想を上方修正しました。

この記事では、カウリスの株価が上がった背景を、テーマ全体への資金流入と同社固有の事業・業績の両面から分析します。そのうえで、急騰後の株価が何で動くのか、今の株価にどこまで期待が含まれているのか、まだ保有していない人とすでに保有している人が何を確認すべきかまで解説します。

※本記事は2026年10月6日時点の開示資料・株価情報をもとに作成しています。

目次

カウリスの株価はなぜ上がった?

カウリスの株価はなぜ上がった?

カウリスの株価が上がったきっかけは、相次ぐサイバー攻撃を背景とした関連株への買いです。その土台には、Fraud Alertの導入拡大や業績の上方修正といった、会社固有の成長材料もあります。

10月6日のストップ高だけを見ると、「サイバーセキュリティ株が一斉に買われた日」と説明できます。ただ、テーマ資金が関連株へ向かう局面でも、投資家は、そのニュースが各社の事業や将来の利益にどれだけつながるかを見て銘柄を選びます。

※ストップ高:証券取引所が定める1日の値上がり幅の上限まで株価が上昇すること。テーマ株:サイバーセキュリティやAIなど、市場で注目される共通の話題に関連してまとめて買われやすい銘柄。

日付終値前日比出来高
10月2日1,544円-7.54%196,400株
10月5日1,713円+10.95%1,097,200株
10月6日2,113円+23.35%・ストップ高933,100株

※出来高:その日に売買が成立した株数

10月6日の出来高が10月5日より少ないのは、ストップ高の価格で買い注文が売り注文を大きく上回ったまま取引が終わり、成立した売買が限られたためです。

相次ぐサイバー攻撃や情報漏えいでサイバーセキュリティ関連株への買いが強まった

10月6日は、複数のサイバーセキュリティ関連株がストップ高となりました。カウリスのほか、ZenmuTech、サイバーソリューションズ、サイバーセキュリティクラウド、S&Jなどです。FFRIセキュリティや網屋なども上昇し、テーマ全体へ資金が向かったことが確認できます。

10月5日には、大和証券が不正アクセスによる約22万件の情報漏えいの可能性を公表しました。物語コーポレーションも同日、焼肉きんぐ公式アプリの登録者の9割超にあたる約1,078万件の情報漏えいを明らかにしました。企業への被害が続くと、投資家は「対策需要が増える企業はどこか」と考え、セキュリティ関連株を探しやすくなります。

10月1日には、サイバー対処能力強化法なども施行されました。企業の被害が続く局面で国もサイバー対策を強めたため、サイバーセキュリティ市場の拡大期待を高める政策材料も重なりました。

カウリスは不正アクセスや不正送金対策を本業としており、テーマとの事業上の接点が強い

カウリスの主力サービス「Fraud Alert」は、金融機関の口座開設、ログイン、入出金などの場面で不正アクセスや不正取引を検知するクラウド型サービスです。Fraud Alertは銀行、証券、クレジットカード事業者などに使われており、契約社数は47社(2026年6月末時点)、月間約6億件のアクセスを監視しています。

8月の業績上方修正と、9月の金融機関への導入がカウリス固有の成長期待を支えている

サイバーセキュリティ関連株への買いが広がる前から、カウリスは金融機関への導入の拡大と業績の改善を進めていました。こうした会社固有の材料は、テーマ資金が流入した際に「関連銘柄の中でカウリスを選ぶ理由」を補強します。

8月14日には2026年12月期の通期業績予想を上方修正しました。売上高は従来予想15.70億円から16.47億円へ、営業利益は4.11億円から5.32億円へ引き上げています。会社は、計画外の新規顧客獲得、取引量増加によるアップセル、利用場面の拡大によるクロスセル、Grid Data KYCの商談進展を上振れ要因として説明しています。

※アップセル:既存顧客の利用量や契約内容が拡大し、同じサービスから得られる売上が増えること。
 クロスセル:既存顧客が別の利用場面や別サービスも契約し、1社あたりの売上が増えること。

9月17日には千葉信用金庫が「Grid Data KYC」(電力の契約情報を使って住所を確認するサービス)を導入しました。9月24日には北國銀行が「Fraud Alert ログイン検知」を新たに導入し、クラウドバンキングの不正アクセス対策を強化しています。Fraud Alertだけでなく、本人確認の領域でも金融機関への採用が進んでいます。

テーマ資金が関連株の中からカウリスにも向かった背景には、金融犯罪対策の需要拡大を、すでに売上と利益に取り込み始めていたことがあると考えられます。

なぜサイバー攻撃や不正アクセスが増えるとカウリスが買われる?

カウリスが買われる理由は、不正アクセスや金融犯罪への対策強化が、Fraud Alertの導入・利用拡大を通じて継続収益の増加につながる期待があるためです。

株価との関係を考えるときは、被害の増加が次の順でカウリスの業績につながるかを見ます。

  1. 被害の増加
  2. 金融機関の警戒
  3. Fraud Alertの導入・利用拡大
  4. MRRの増加
  5. 利益の成長期待

Fraud Alertは金融機関の不正アクセスや不正送金をリアルタイムで検知する

Fraud Alertは、端末情報やアクセス状況など300を超える検知項目を使い、口座開設、ログイン、入出金などのオンラインの手続きを監視します。フィッシング詐欺で盗まれた認証情報が使われた場合や、過去に不正利用された端末からアクセスがあった場合などに、不審な利用を検知する仕組みです。

Fraud Alertの売上に結びつきやすいのは、金融機関での不正ログインや不正送金です。一般企業へのランサムウェア(データを暗号化して身代金を要求する攻撃)のような被害とは、つながりが間接的です。金融機関でこうした被害への警戒が高まれば、不正検知サービスへの投資の優先度が上がります。

導入金融機関が増えるほど不正データが蓄積し、検知サービスの価値を高めやすい

Fraud Alertの特徴は、過去に不正利用された端末情報などをデータベース化し、導入企業の不正検知に活用できる点です。犯罪者は一つの金融機関だけを狙うとは限らないため、複数社で観測した不正情報を活用できることには意味があります。

導入先と監視件数が増えるほど、不正利用のパターンを把握できるデータも増えます。データが増えれば必ず検知精度が上がると断定はできませんが、金融機関をまたいだ不正の特徴を捉える基盤が広がることは、サービス競争力を支える要素になります。

金融犯罪が増えると不正検知は「任意の投資」より「必要な対策」に近づく

金融機関にとって不正送金や口座乗っ取りは、顧客への補償、調査コスト、信用低下、当局対応などにつながります。被害が深刻化すると、対策費を削減して短期利益を優先するより、事故を防ぐための投資を継続する必要性が高まります。

金融庁も、マネー・ローンダリング(犯罪で得たお金の出どころを隠すこと)対策や預貯金口座の不正利用防止について金融機関へ対応強化を求めています。Fraud Alertはこうした要請に対応する機能を提供しているため、犯罪手口の高度化や規制強化は同社への需要を支える材料になります。

同じ金融機関でも利用場面が増えればMRRとARPUが伸びる

カウリスの売上は、契約する金融機関の数に加えて、1社あたりの利用の広がりでも伸びます。既存顧客が口座開設だけでなくログイン、入出金、法人向け取引などへFraud Alertの利用を広げれば、1社から得られる売上を増やせます。

※MRR(Monthly Recurring Revenue):毎月継続して発生する契約売上。
 ARPU(Average Revenue per User):カウリスでは1社あたりの平均月額売上を見る指標。

また、取引回数が増えることで利用料が上がる契約もあるため、オンライン金融取引の増加自体もアップセル要因になります。8月の通期業績予想の上方修正でも、取引量増加によるアップセルと利用場面拡大によるクロスセルが寄与したと会社は説明しています。

Grid Data KYCは不正口座開設と継続的な本人確認という別の需要を取り込む

カウリスの新しい成長領域が「Grid Data KYC」です。全国の電力会社の送配電部門が持つ電力契約情報と金融機関の顧客情報を照合し、申告住所に実際に住んでいるかを確認します。

※KYC(Know Your Customer):金融機関などが顧客の本人確認や取引目的などを確認する手続き。

Fraud AlertとGrid Data KYCが使われる場面は、次のとおりです。

製品確かめるもの使う場面
Fraud Alert端末やアクセスの不審な動き口座開設、ログイン、入出金
Grid Data KYC申告した住所に実際に住んでいるか口座開設時、既存顧客の情報の確認

Grid Data KYCは約8,000万世帯規模の電力契約情報を活用でき、千葉信用金庫では、既存顧客の情報を定期的に確認する業務に導入されています。

カウリスが「不正アクセス検知」だけでなく「本人確認・不正口座開設防止」に対応できれば、金融犯罪対策で顧客から得られる売上機会が広がります。Fraud Alertの顧客基盤へGrid Data KYCを提案できる点も、中長期の成長余地です。

金融犯罪対策需要の拡大はカウリスの業績にどこまで反映されている?

カウリスの売上高、営業利益、MRRには、金融犯罪対策の需要拡大がすでに表れています。

一方、Fraud Alertの契約社数は大きく増えていません。現在の成長は、新規顧客だけでなく既存顧客の利用量・利用場面の拡大が大きく支えています。この構造が続くかが、今後の業績を見るうえで重要です。

2026年上期は売上高21.8%増、営業利益27.0%増となった

項目2026年上期前年同期比
売上高8.17億円+21.8%
営業利益2.83億円+27.0%
経常利益2.85億円+28.4%
中間純利益1.78億円+22.4%

売上高だけでなく営業利益も二桁成長しており、需要拡大が利益にもつながっています。セキュリティ関連株には将来期待だけで買われる銘柄もありますが、カウリスは直近決算で利益成長を確認できる点が評価の土台になります。

MRRは約1.31億円、ARPUは約278万円まで増えた

指標2026年3月末2026年6月末読み方
MRR約1.29億円約1.31億円毎月の継続売上が増加
ARR約15.5億円約15.7億円MRRを年額換算した継続収益
契約社数48社47社社数は1社減少
ARPU約269万円/月278.4万円/月1社あたり売上が増加

※ARR(Annual Recurring Revenue):毎月の継続売上を年額に換算した指標。

MRRは約1.29億円から約1.31億円へ、3か月で約1.5%増えました。契約社数は48社から47社へ減っているので、この増加は、既存顧客の取引量の増加や利用場面の拡大によって、1社あたりの売上を伸ばせたことによるものです。

ただし、新規顧客の獲得が長期間伸びなければ、既存顧客への追加提案だけで高い成長率を維持できるかが課題になります。今後はMRRの増加だけでなく、契約社数とARPUのどちらが成長を支えているかまで確認する必要があります。

通期営業利益予想は4.11億円から5.32億円へ29.4%上方修正された

項目修正前修正後修正率
売上高15.70億円16.47億円+4.9%
営業利益4.11億円5.32億円+29.4%
経常利益4.17億円5.37億円+28.8%
純利益2.82億円3.46億円+22.7%

売上高の修正率が4.9%なのに対し、営業利益は29.4%引き上げられました。利益の上方修正には、追加の売上に加えて、人件費などの費用が当初計画を下回った効果も含まれています。

それでも、会社はFraud Alertの新規顧客、アップセル、クロスセル、Grid Data KYCの商談を、売上予想の上振れ要因に挙げています。上方修正は、事業そのものの成長にも支えられています。

Grid Data KYCは売上に寄与し始めたが、第二の収益柱になったかはこれから確認する段階

Grid Data KYCは実証実験や導入案件が増え、会社も上期の売上へプラスに寄与したと説明しています。オリエントコーポレーションや川口信用金庫では実証実験、千葉信用金庫では導入が公表されました。

ただし、現時点の主力はFraud Alertです。Grid Data KYCについては、実証実験が本契約へ移る件数、契約単価、既存顧客への展開が今後の確認事項です。ここが伸びれば、Fraud Alert以外の収益源が育ち、カウリスの成長率を押し上げる可能性があります。

急騰後のカウリスの株価はどう動く?

急騰後のカウリスの株価は、新しく買う投資家と利益を確定する投資家のどちらが多いかで大きく動きます。その力関係は、関連株への買いが続くか、会社固有の材料や次の決算への期待があるかで変わります。

10月2日終値1,544円から10月6日終値2,113円まで2営業日で約36.9%上昇すると、株価上昇そのものが次の売買を呼び込みます。値上がりを見て参加する投資家が増える一方、以前から保有していた投資家には利益を確定する動機が生まれます。

急騰の後は新規買いと利益確定売りの強さで値動きが変わる

立場売買の向き
急騰を見て新しく買う投資家買い
上昇方向についていく短期資金買い
空売りをしていた投資家買い(買い戻し)
含み益がある保有者売り(利益確定)

株価が急に上がると、空売りをしていた投資家が損失を抑えるために買い戻し、上昇を後押しすることがあります。

※空売り:株を借りて先に売り、株価が下がった後に買い戻して利益を狙う取引。
 含み益:保有株をまだ売っていない状態で生じている評価上の利益。

同じ出来高でも、買いの勢いが強ければ高値を保ちやすく、利益確定売りが増えれば急反落する場合があります。そのため、急騰後は出来高の大小だけでなく、株価が高値圏を維持できているかを合わせて確認します。

年初来高値2,222円付近では利益確定売りが増えるかを確認する

カウリスの2026年の年初来高値(その年に付けた最も高い株価)は5月19日の2,222円です。10月6日終値2,113円は、この水準まで約5%に迫っています。

過去の高値付近では、売りが出やすくなります。以前その価格帯で買った投資家が、買値近くまで戻ったところで売って、損失をなくそうとするためです。急騰で利益が増えた投資家の利益確定も重なります。一方、高値を更新した後も売買が続き、株価を維持できれば、それまでより高い価格でも買う投資家が残っていることを示します。

2,222円は、高値を試した後の株価と出来高の動きを見るための目安として使います。

関連株全体が強いか、カウリスだけが強いかで上昇の意味が変わる

カウリスだけでなくサイバーセキュリティ関連株が一斉に上昇している場合、テーマ全体への資金流入の影響が大きいと考えられます。この状態では、テーマ人気が弱まるとカウリスも連動して売られる可能性があります。

反対に、関連株が弱い日にカウリスだけが上昇する場合は、会社固有の材料が出ていないかを確認します。Fraud Alertの新規導入、業績修正、Grid Data KYCの大型案件などです。テーマ人気が落ち着いた後も会社固有の成長材料で買われる状態になれば、株価の支えは強くなります。

カウリスの上昇が続く場合と失速する場合は?

カウリスの上昇が続きやすいのは、関連株への買いが残ることに加えて、MRRやGrid Data KYCの契約が伸び、利益の成長が株価に追いつく場合です。

観点上昇を支えやすい状態失速につながり得る状態
関連株関連株も高値を保つテーマ全体が反落
Fraud Alert新規導入・利用拡大が進む新規顧客が伸びない
MRR・ARPU継続して増える増加ペースが鈍る
Grid Data KYC実証から本契約が増える商談・導入が進まない
業績会社計画を上回る成長市場期待を下回る
株価高値更新後も価格を保つ急騰後に大きく反落

サイバー攻撃のニュースが続くだけでも短期資金は入り得ますが、中期的に株価を高い水準で維持するには、事業の数字が必要です。特にMRRやARPUが伸びれば、継続課金型の収益基盤が拡大していると確認できます。

同じ種類のサイバー被害が続いても株価の反応は毎回同じとは限らない

大規模な不正アクセスや情報漏えいが最初に注目された局面では、関連株への買いが急速に広がることがあります。しかし、同じ種類のニュースが繰り返されると、投資家が慣れて追加の買いが減る場合があります。

その段階では、新しい被害件数の大きさより、金融機関の対策強化がFraud Alertの契約や利用拡大に結びついたかが重要になります。テーマニュースだけでなく、実際の商談・契約・MRRなどの業績の指標へ注目が移るためです。

新規金融機関の導入やGrid Data KYCの本契約が次の会社固有材料になる

カウリスの場合、これからの上昇材料として注目されるのは、次の3点です。

  • Fraud Alertの大口導入
  • 既存顧客へのログイン・入出金・法人向け監視の追加
  • Grid Data KYCの実証実験から本契約への移行

これらは、実際に顧客がサービスを採用したことを示す材料です。契約が積み上がり、MRRの増加まで確認できれば、テーマ株としての人気だけでなく、業績成長を評価する買いにつながりやすくなります。

好決算でも期待を下回れば株価が下がる可能性がある

株価が急騰した後は、好決算なら必ず上がるわけではありません。市場がすでに高い成長を期待していれば、会社計画どおりの増収増益でも「予想したほど強くない」と受け止められることがあります。

逆に、Fraud AlertのMRR成長が加速し、Grid Data KYCの本契約が増えれば、高くなった株価を業績が支える材料になります。さらに業績予想を再び引き上げられるかも重要です。急騰後ほど、絶対的な業績の良し悪しだけでなく、市場がどこまで期待しているかを見る必要があります。

現在のカウリスの株価には成長期待がどこまで織り込まれている?

10月6日の株価2,113円には、8月の業績上方修正に加えて、Fraud AlertとGrid Data KYCが今後も伸びるという期待が、急騰前より強く含まれています。

株価は将来の利益を先回りして動きます。これを「織り込む」と言います。会社の業績が良くても、その成長がすでに株価に十分反映されていれば、そこからの上昇余地は小さくなります。

予想PERは10月2日の約28.6倍から10月6日の約39.2倍へ上昇した

会社予想の1株あたり利益は変わっていません。そのため、株価が1,544円から2,113円へ上がると、予想PER(株価が1株あたり利益の何倍か)は約28.6倍から約39.2倍へ上がりました。

日付株価予想PER
10月2日1,544円28.62倍
10月5日1,713円31.76倍
10月6日2,113円39.17倍

PERが上がったということは、同じ利益予想に対して投資家が以前より高い価格を支払っているという意味です。市場が将来の利益成長に強気になった一方、その期待が外れた場合の下落余地も大きくなります。

2営業日の株価上昇率36.9%は会社が1年で見込む利益成長率も上回る

10月2日から10月6日までの株価上昇率は約36.9%です。一方、2026年12月期の会社予想は売上高17.6%増、営業利益30.4%増です。期間が異なるため単純比較はできませんが、短期間の株価上昇が非常に速かったことは分かります。

この差を埋めるには、現在の会社計画だけではなく、2027年以降も高い成長が続くという期待が必要になります。Fraud Alertの既存顧客での利用拡大、Grid Data KYCの販売の拡大、新規金融機関の獲得が、その期待に応えられるかが焦点です。

材料の良さと、今の価格からさらに利益を得られるかは同じ問題ではありません。株価が上昇した後ほど、将来の成長余地と現在価格にすでに含まれている期待の両方を確認する必要があります。

カウリスは今から買っても間に合う?

カウリスを今から買う場合は、短期では急騰後にも買いが続くか、中長期ではFraud AlertとGrid Data KYCの成長が今の株価に見合うかを確認します。

短期では年初来高値と出来高、関連株の動きを確認する

10月6日は2,113円のストップ高で取引を終えているため、翌営業日以降は売買が大きくなりやすい状態です。短期では次の点を確認します。

  • 年初来高値2,222円を試した後の動き
    高値を更新した後も価格を保てるか、高値付近で売りに押されるかを見る。
  • 出来高
    10月6日の93万3,100株から取引が急減していないかを、株価の上げ下げと合わせて確認する。
  • 関連株
    カウリスだけでなく、サイバーセキュリティ関連株への買いが続いているかを見る。
  • 高い価格で取引が始まった後の動き
    大きく押し戻される場合は、利益確定売りが強まっている可能性を考える。

これらは買い・売りを自動的に決める条件ではありません。短期では、さらに値上がりする場合と急反落する場合の両方を想定し、現在価格からどちらの値幅が大きくなりそうかを考えます。

中長期では「会社を持ちたいか」と「2,113円から買いたいか」をそれぞれ確認する

カウリスの事業成長を高く評価することと、急騰後の2,113円で新しく買うことは同じ判断ではありません。中長期では、まずFraud Alertの継続収益やGrid Data KYCの成長性から投資対象として魅力があるかを確認します。

次に、予想PER約39倍まで上昇した現在価格から、今後の利益成長によって十分な上昇余地が残るかを考えます。会社を高く評価していても、急騰直後は価格が落ち着くまで待つ、複数回にわたって少額ずつ買う、次の決算を確認する、といった選択肢があります。価格が落ち着くまで待つ場合は、どこまで下がれば買うかを、買う前に価格で決めておきます。

11月13日の第3四半期(7〜9月)決算を確認してから判断する選択肢もある

次回決算は2026年11月13日に予定されています。急騰直後に判断を急がず、会社の数字が市場の期待に追いついているかを確認してから行動する方法もあります。

特に確認したいのは、Fraud AlertのMRR・ARPU・契約社数、既存顧客への利用拡大、Grid Data KYCの案件進展、通期業績予想です。8月に一度上方修正しているため、次の決算では「上方修正後の計画を順調に進めているか」が注目されます。

カウリスを保有している場合はどう判断する?

カウリスをすでに持っている人は、今ある利益をどこまで伸ばすかと、急反落した場合にどこまで利益を失ってもよいかを基準に判断します。

新しく2,113円から買う人は、これから取るリスクと期待できる上昇余地を見ます。すでに安い価格で保有している人は含み益があるため、同じ株価でも判断の出発点が異なります。

テーマを理由に買った場合は関連株の値下がりと売買の減少に注目する

サイバー攻撃が相次ぐなかでの関連株への買いを主な理由に保有した場合、サイバーセキュリティ関連株が一斉に弱くなれば、買った理由そのものが弱まります。

ただし、ZenmuTechやサイバーセキュリティクラウドなど関連株のうち1銘柄が下がっただけでテーマ終了とは判断できません。複数の関連株がそろって下がる、出来高も減る、サイバー関連ニュースへの株価反応が弱くなる、といった変化を確認します。

業績成長を理由に買った場合はMRR・ARPU・利益成長が崩れていないかを見る

Fraud Alertの継続収益やGrid Data KYCの成長を理由に保有している場合、短期的な株価下落だけで投資理由が崩れたとは限りません。重要なのは、MRRやARPUが伸びなくなる、新規導入が止まる、業績予想が下方修正されるなど、事業の成長見通しそのものが悪化したかです。

反対に、テーマ人気が落ち着いて株価が下がっても、MRRや利益が計画どおり伸びているなら、長期の成長見通しは維持されている可能性があります。株価の下落と事業成長の悪化を同じ意味として扱わないことが重要です。

急騰後は持ち続ける・一部を利益確定する・全部売るを現在価格から比較する

選択肢考え方
持ち続ける長期の成長を見込み、短期の大きな値動きも許容する
一部を利益確定する利益の一部を確保しながら、残りで上昇余地を狙う
全部売る買った理由が崩れた、または急騰後の下落リスクを取りたくない場合

自分がカウリスを買った理由と、現在価格から見込む上昇余地・下落余地を照らし合わせて判断します。

まとめ

カウリスの株価が10月6日にストップ高となったきっかけは、企業へのサイバー攻撃や情報漏えいが相次ぎ、サイバーセキュリティ関連株全体に資金が向かったことです。

テーマ資金の向かう先としてカウリスが選ばれた背景には、2つの点があります。1つは、金融機関の不正対策という本業が、テーマと直接重なることです。もう1つは、既存顧客の利用拡大で継続収益と利益が伸び、8月に業績予想を上方修正していたことです。

一方、急騰で株価には将来の成長への期待が大きく上乗せされました。ここからは、関連株への資金の流れに加えて、MRRや新規導入、Grid Data KYCの契約が、次の決算で高まった期待に追いつけるかが焦点です。「サイバー攻撃が増えているから買う」と決めるのは早計です。需要が契約、継続収益、利益に実際に変わっているかを追うと、買うか、待つか、持ち続けるかを判断しやすくなります。

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この記事を書いた人

投資歴7年。1級ファイナンシャル・プランニング技能士、証券外務員資格取得。2019年に100万円から投資スタート。2022年に1000万円→2025に年5000万円突破。
YouTubeでは株式投資・企業決算を中心とした解説動画を200本以上公開(チャンネル登録者数5000人)。日本株を中心に、企業決算や業績、株価材料を分析しています。

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