古河電気工業(5801)が2026年8月6日に2027年3月期第1四半期決算を発表しました。1Qは売上高・利益とも大幅に伸び、通期業績予想も上方修正されています。
特に目立つのが、AIデータセンター関連の需要拡大を取り込む光ソリューションと情報コンポーネントの急成長です。1Q実績と市場予想の差、利益が急増した理由、上方修正後の業績見通しまで整理します。
※市場コンセンサスは決算発表前の2026年8月5日時点のIFIS予想を使用しています。

古河電気工業の最新決算はどうだった?
結論からいうと、1Q実績・通期ガイダンスともに市場期待を大きく上回った、かなり強い決算です。前年同期比では売上高が24.3%増、営業利益は約3.1倍、経常利益は約4.0倍、純利益は約4.4倍まで拡大しました。
| 項目 | 2027年3月期1Q | 前年同期 | 増減率 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 3,652億円 | 2,937億円 | +24.3% |
| 営業利益 | 255億円 | 83億円 | +205.4% |
| 経常利益 | 310億円 | 77億円 | +304.0% |
| 親会社株主帰属利益 | 222億円 | 51億円 | +335.0% |
売上高24%増に対して営業利益は約3倍
売上高は前年同期から約715億円増えましたが、営業利益は約171億円増加しました。営業利益率も2.8%から7.0%まで改善しています。単に売上規模が大きくなっただけではなく、収益性そのものが大きく改善した決算です。
損益計算書を見ると、売上総利益は493億円から673億円へ増加した一方、販管費は410億円から418億円への増加にとどまりました。売上総利益率は約16.8%から18.4%へ上昇し、販管費率は約13.9%から11.5%へ低下しています。増収効果に加えて粗利率が改善し、販管費の伸びも抑えられたことが営業利益の急増につながりました。
前四半期比では全社営業利益がやや減少
一方、2026年3月期4Qと比較すると、売上高は3,587億円から3,652億円へ増えたものの、営業利益は289億円から255億円へ減少しています。1Qの全社利益が前四半期からさらに加速したわけではありません。
ただし、AIデータセンター関連の中心となる光ソリューションと情報コンポーネントは、4Qから1Qにかけても売上・利益とも伸びています。全社の前四半期比減益は、エネルギーインフラや自動車電装システムなど他事業の利益低下が影響しています。
市場コンセンサスと比較するとどうだった?
決算発表前の市場予想と比べても、1Qは明確な上振れです。IFISの1Q経常利益コンセンサスは186.67億円でしたが、実績は309.53億円となりました。
| 項目 | 実績 | 決算前IFIS予想 | 差 |
|---|---|---|---|
| 1Q経常利益 | 309.53億円 | 186.67億円 | +122.86億円(+65.8%) |
1Q経常利益は市場予想を約66%上回った
市場予想を約123億円上回っており、上振れ率は約65.8%です。前年同期比で約4倍という伸びだけでも強いですが、市場が事前に想定していた利益水準を大幅に超えたことが今回の決算評価をさらに押し上げています。
中間期の会社予想も決算前市場予想を大きく上回る
決算前のIFIS中間経常利益コンセンサスは約401億円でした。これに対し、古河電工は今回、中間期の経常利益予想を従来の370億円から605億円へ引き上げています。決算前市場予想を約204億円、約51%上回る水準です。
1Qだけが一時的に強かったという見方ではなく、会社自身が2Qまで高水準の利益が続く前提へ見通しを引き上げたことになります。
通期上方修正後の会社予想も市場予想を上回る
| 項目 | 修正後会社予想 | 決算前IFIS予想 | 会社予想の上振れ率 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 1兆5,300億円 | 1兆4,569億円 | +5.0% |
| 営業利益 | 1,230億円 | 1,016億円 | +21.1% |
| 経常利益 | 1,430億円 | 1,187億円 | +20.5% |
| 親会社株主帰属利益 | 1,050億円 | 898億円 | +16.9% |
特に営業利益と経常利益は、決算前コンセンサスを約2割上回っています。市場は決算前から古河電工の好業績をある程度織り込んでいましたが、会社はその強気な市場予想をさらに上回る通期計画を提示しました。
営業利益が前年の約3倍になった理由
営業利益が83億円から255億円へ増えた最大の理由は、AIデータセンター関連事業の利益拡大です。なかでも光ソリューションの赤字脱却が大きく、情報コンポーネントも高い増益率となりました。
光ソリューションは赤字から92億円の黒字へ
| 項目 | 前年1Q | 今回1Q | 増減 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 412億円 | 600億円 | +45.6% |
| 営業利益 | ▲7億円 | 92億円 | 約+99億円 |
| 営業利益率 | ▲1.8% | 15.3% | +17.1pt |
光ソリューションは、データセンター関連製品などの売上増によって大きく改善しました。前年1Qは7億円の営業赤字でしたが、今回は92億円の黒字へ転換しています。
全社営業利益の前年差は約+171億円ですが、このうち光ソリューションの改善だけで約+99億円を占めます。全社増益の約58%を光ソリューションだけで説明できる計算です。
AIデータセンターでは大量のデータを高速でやり取りする必要があり、設備投資の拡大は光通信関連需要を押し上げます。古河電工ではその需要増が売上増だけでなく、利益率改善にもつながっていることが今回の数字から確認できます。
情報コンポーネントも営業利益が2倍以上
| 項目 | 前年1Q | 今回1Q | 増減 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 449億円 | 596億円 | +32.8% |
| 営業利益 | 36億円 | 74億円 | +105.2% |
| 営業利益率 | 8.0% | 12.4% | +4.4pt |
情報コンポーネントも、データセンター関連製品の増販によって売上高596億円、営業利益74億円まで拡大しました。営業利益率は8.0%から12.4%へ上昇しています。
光ソリューションと情報コンポーネントを合わせると、営業利益の前年差は約+137億円です。全社営業増益約171億円の約80%を2つのデータセンター関連事業が占めています。 今回の増益は、会社全体が均等に伸びたというより、AIデータセンター関連が強くけん引した構造です。
AIデータセンター関連2事業は前四半期からも成長
前年同期が低水準だった反動だけで急増しているのかを見るため、2026年3月期4Qと比較すると、光ソリューション・情報コンポーネントはともに増収増益を維持しています。
| セグメント | 2026年3月期4Q | 2027年3月期1Q | 変化 |
|---|---|---|---|
| 光ソリューション 売上高 | 579億円 | 600億円 | +3.6% |
| 光ソリューション 営業利益 | 80億円 | 92億円 | +12億円 |
| 情報コンポーネント 売上高 | 529億円 | 596億円 | +12.7% |
| 情報コンポーネント 営業利益 | 59億円 | 74億円 | +15億円 |
光ソリューションの営業利益率は4Qの13.8%から15.3%へ、情報コンポーネントは11.2%から12.4%へ上昇しました。前年同期比だけでなく、直近四半期比でもAIデータセンター関連の収益性が改善している点は今回の決算の強さを示しています。
AIデータセンター需要はなぜ古河電工の業績に効く?
生成AIの普及でデータセンターの計算能力が拡大すると、サーバー同士やデータセンター内外でやり取りするデータ量も増えます。大容量データを高速で送るためには光通信の重要性が高まり、関連部材・機器の需要増につながります。
今回の古河電工では、その需要拡大が光ソリューションと情報コンポーネントの両方に表れています。光ソリューションは売上高45.6%増、情報コンポーネントは32.8%増となり、両セグメントで営業利益率も大きく上昇しました。単一製品だけの一時的なヒットではなく、データセンター関連の複数事業で同時に収益が伸びている点が特徴です。
売上増だけでなく利益率が上がっている点が重要
需要拡大局面でも、低採算製品の数量だけが増えれば営業利益率は上がりません。今回、光ソリューションは営業利益率が▲1.8%から15.3%へ、情報コンポーネントは8.0%から12.4%へ改善しました。
このため、データセンター関連需要は単純な売上数量の増加だけでなく、工場稼働や製品構成などを通じて収益性の改善にもつながっていると考えられます。添付資料では個別製品ごとの利益寄与額までは開示されていないため、どの製品が何億円押し上げたかまでは分けられませんが、セグメント単位では収益改善が明確です。
AI需要の持続性が通期計画の前提になっている
会社は上方修正理由として、上期だけでなく下期についてもデータセンター関連製品の売上増加を見込んでいると説明しています。つまり修正後通期予想1,230億円の営業利益には、AIデータセンター関連の好調が年度後半まで続く前提が含まれています。
今後は、データセンター向け需要が強いというニュースだけでなく、光ソリューションと情報コンポーネントの売上成長率・営業利益率が実際に高水準を維持しているかを見ることで、AI需要が業績へどこまで落ちているかを確認できます。
他の事業はどうだった?
| セグメント | 売上高 | 営業利益 | 前年同期比の主な動き |
|---|---|---|---|
| 光ソリューション | 600億円 | 92億円 | データセンター関連で大幅改善 |
| 情報コンポーネント | 596億円 | 74億円 | データセンター関連で増収増益 |
| エネルギーインフラ | 360億円 | 30億円 | 営業利益+220.7% |
| 自動車電装システム | 920億円 | 64億円 | 営業利益+20.9% |
| メタルソリューション | 1,217億円 | 8億円 | 売上+55.0%、利益は概ね横ばい |
| サービス・開発等 | 113億円 | ▲11億円 | 赤字幅は3億円改善 |
エネルギーインフラは国内地中線・機能線の堅調な売上や中国子会社の連結除外などを背景に営業利益30億円となり、前年同期比で約3.2倍に増えました。自動車電装システムも需要が堅調で、営業利益は64億円と20.9%増えています。
一方、メタルソリューションは売上高が55%増えたものの、営業利益は約8億円で前年並みです。売上増には銅価・為替変動の影響が大きく、全社売上高の24%増をそのまま販売数量の伸びとみることはできません。
また、前四半期比ではエネルギーインフラ、自動車電装システム、メタルソリューションの営業利益はいずれも4Qから低下しています。AIデータセンター関連2事業の伸びが続く一方、他事業は四半期ごとの変動も大きくなっています。
今回の大幅増益は銅価・為替だけではない
古河電工は電線・金属関連を幅広く手掛けるため、銅価格や為替の変動が売上高や利益に影響します。今回もメタルソリューションの売上高は1,217億円と前年同期比55.0%増えましたが、会社はこの増収に銅価・為替変動が影響したと説明しています。
ただし、メタルソリューションの営業利益は前年の7.9億円から7.7億円へわずかに減少しました。銅価上昇によって売上高が膨らんだ一方、全社営業利益を押し上げた中心は別の事業です。
実際、光ソリューションの営業利益前年差は約+99億円、情報コンポーネントは約+38億円です。2事業だけで約+137億円となり、全社営業増益約171億円の約80%を占めます。今回の好決算は、銅価格や円安で見かけ上の売上が増えただけではなく、データセンター関連事業の本業収益が大きく改善した結果といえます。
全社の利益構成もAIデータセンター関連へシフト
今回1Qの営業利益255億円に対して、光ソリューションは92億円、情報コンポーネントは74億円です。2事業の合計は約166億円となり、全社営業利益の約65%を占めます。前年1Qでは光ソリューションが赤字だったため、わずか1年で利益構成が大きく変わりました。
一方で、残りの約35%はエネルギーインフラや自動車電装システムなどが稼いでいます。古河電工はAIデータセンター専業ではありません。データセンター関連が成長エンジンとなりながら、電力インフラや自動車向けが利益の土台を支える構造です。
セグメント再編からもデータセンター重視が見える
古河電工は2027年3月期1Qから、データセンター関連事業への取り組みを強化し、成長を加速するために報告セグメントを見直しました。現在は光ソリューション、情報コンポーネント、エネルギーインフラ、自動車電装システム、メタルソリューション、サービス・開発等の6区分です。
前年同期のセグメント数値も新しい区分へ組み替えて比較されています。今回の決算では単にデータセンター関連の売上が増えただけでなく、会社の管理・開示体制そのものを成長市場に合わせて組み替えている点も確認できます。
経常利益が営業利益以上に伸びた理由
営業利益は前年の83億円から255億円へ約3.1倍になりましたが、経常利益は77億円から310億円へ約4.0倍まで伸びています。営業外損益も前年から大きく改善しました。
持分法投資利益が21億円から59億円へ増加
持分法による投資利益は前年1Qの20.98億円から58.80億円へ増加し、約38億円の増益要因となりました。今回の中間期・通期上方修正でも、会社は持分法投資利益の増加を理由として挙げています。
したがって、経常利益の大幅増加は本業の営業利益改善だけでなく、持分法適用会社からの利益寄与拡大も含んだ結果です。営業利益と経常利益を分けて見る必要があります。
為替差損も23億円から5億円へ縮小
為替差損は前年1Qの23.41億円から5.18億円へ縮小しました。約18億円の改善です。持分法投資利益の増加と合わせて営業外損益が改善し、経常利益の伸び率が営業利益を上回りました。
業績予想を大幅に上方修正
1Qの好調を受けて、古河電工は中間期・通期ともに業績予想を引き上げました。特に利益項目の修正幅が大きく、中間経常利益は63.5%、中間純利益は70.0%の上方修正です。
| 中間期 | 従来予想 | 修正後予想 | 修正率 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 7,000億円 | 7,200億円 | +2.9% |
| 営業利益 | 350億円 | 495億円 | +41.4% |
| 経常利益 | 370億円 | 605億円 | +63.5% |
| 親会社株主帰属利益 | 250億円 | 425億円 | +70.0% |
| 通期 | 従来予想 | 修正後予想 | 修正率 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 1兆4,600億円 | 1兆5,300億円 | +4.8% |
| 営業利益 | 950億円 | 1,230億円 | +29.5% |
| 経常利益 | 1,000億円 | 1,430億円 | +43.0% |
| 親会社株主帰属利益 | 820億円 | 1,050億円 | +28.0% |
上方修正の中心はデータセンター関連製品
会社は、光ソリューションと情報コンポーネントでデータセンター関連製品の需要が増え、売上高・営業利益が従来予想を上回る見込みになったと説明しています。さらに持分法投資利益の増加によって、経常利益と純利益の予想も引き上げました。
通期についても、下期にデータセンター関連製品の売上増加が続くことを前提にしています。今回の修正は1Qの上振れ分だけを反映したものではなく、2Q以降の需要見通し自体を強めた修正です。
2Qの会社計画はどの程度のハードル?
中間期予想から逆算した2Q単独営業利益は約240億円です。これは今回1Qの255億円を約15億円下回り、2026年3月期4Qの289億円も下回ります。したがって、会社は2Qに過去最高ペースの利益拡大を要求しているわけではありません。
一方、前年2Qの営業利益は108億円だったため、2Q計画240億円を達成すれば前年同期比では約2.2倍です。前四半期比ではやや減益でも、前年同期比では大幅増益を維持するという計画になっています。
経常利益も2Q単独で約295億円を見込む計算で、1Q310億円や前期4Q352億円をやや下回る水準です。1Qで確認されたデータセンター関連の高収益が大きく崩れなければ中間期計画は視野に入りますが、市場期待は今回の決算後に切り上がる可能性があります。次回は会社計画だけでなく更新後コンセンサスとの比較が必要です。
上方修正後の通期予想は前期比でも大幅増益
| 項目 | 2026年3月期実績 | 2027年3月期修正予想 | 前期比 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 1兆3,076億円 | 1兆5,300億円 | +17.0% |
| 営業利益 | 639億円 | 1,230億円 | +92.6% |
| 経常利益 | 759億円 | 1,430億円 | +88.5% |
| 親会社株主帰属利益 | 725億円 | 1,050億円 | +44.8% |
修正後の営業利益1,230億円は、前期639億円のほぼ2倍です。経常利益も759億円から1,430億円へ約89%増を見込んでいます。前期も4Qに営業利益289億円まで利益水準が上がっていましたが、今期はその改善を通年ベースへ広げる計画です。
純利益の増加率が営業利益・経常利益より低いのは、前期に投資有価証券売却益などの特別利益が大きく計上された四半期があったためです。今回の1Qでは特別利益9.6億円、特別損失8.9億円と規模は小さく、今期の利益成長は営業利益・経常利益の伸びが中心になっています。
1Qの利益水準を単純に4倍すると通期予想を超える
1Q営業利益255億円を単純に4倍すると約1,018億円となり、修正後通期予想1,230億円には届きません。一方、経常利益310億円を4倍すると約1,238億円で、こちらも通期予想1,430億円を下回ります。
つまり会社は、1Qと同じ利益水準を残り3四半期続ければよいとは考えておらず、年度後半にさらに利益が伸びる前提を置いています。中間期予想と通期予想の差からも、下期営業利益735億円という強い計画が確認できます。
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中間期の修正予想から1Q実績を差し引くと、2Q単独で会社が見込んでいる利益水準が概算できます。
| 項目 | 1Q実績 | 2Q単独の会社想定(概算) |
|---|---|---|
| 売上高 | 3,652億円 | 約3,548億円 |
| 営業利益 | 255億円 | 約240億円 |
| 経常利益 | 310億円 | 約295億円 |
| 親会社株主帰属利益 | 222億円 | 約203億円 |
2Qは1Qからさらに利益が急増する前提ではありません。営業利益は約240億円と、1Qの255億円に近い水準を維持する計画です。逆にいえば、1Qの好業績をほぼそのまま2Qまで継続できれば中間計画に届く形です。
会社は下期にさらに利益が拡大すると見ている
| 項目 | 中間期予想 | 通期予想から逆算した下期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 7,200億円 | 8,100億円 |
| 営業利益 | 495億円 | 735億円 |
| 経常利益 | 605億円 | 825億円 |
| 親会社株主帰属利益 | 425億円 | 625億円 |
営業利益は上期495億円に対して下期735億円を見込んでいます。通期計画の達成には、下期に利益水準がさらに上がることが前提です。会社が説明するデータセンター関連製品の需要拡大が、下期にどこまで数量と利益へ反映されるかが重要になります。
修正後の通期予想に対する1Q進捗率
| 項目 | 1Q実績 | 修正後通期予想 | 進捗率 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 3,652億円 | 1兆5,300億円 | 23.9% |
| 営業利益 | 255億円 | 1,230億円 | 20.7% |
| 経常利益 | 310億円 | 1,430億円 | 21.6% |
| 親会社株主帰属利益 | 222億円 | 1,050億円 | 21.2% |
利益の進捗率は25%を下回っていますが、これだけで進捗が遅いとはいえません。古河電工は上期営業利益495億円に対して下期735億円を見込んでおり、もともと下期の利益が大きい計画になっています。
また、中間期予想に対する1Q営業利益の進捗率は約51%です。2Qに会社が想定する約240億円を稼げれば中間計画へ到達するため、少なくとも上期計画に対しては順調なスタートです。
通期予想達成には残り3四半期でどれだけ稼ぐ必要がある?
修正後通期予想から1Q実績を差し引くと、残り9カ月で必要な営業利益は約975億円、経常利益は約1,120億円です。単純平均すると、残り3四半期で1四半期あたり営業利益約325億円、経常利益約374億円が必要になります。
これは1Qの営業利益255億円、経常利益310億円を上回る水準です。ただし会社計画は均等ではなく、2Q営業利益約240億円に対し、下期は735億円、1四半期平均では約368億円を見込んでいます。通期達成の鍵は2Qよりも下期の利益加速にあります。
下期にデータセンター関連製品の売上増が続くという会社想定が実現すれば、光ソリューションと情報コンポーネントの増販効果がさらに大きくなる可能性があります。一方、下期に需要や利益率が伸び悩めば、1Qが非常に強かったとしても通期1,230億円の営業利益には届きにくくなります。
営業利益率7%はどこまで維持できる?
全社営業利益率は前年1Qの2.8%から7.0%へ大きく改善しました。FACT BOOKで四半期推移を見ると、2026年3月期は1Q2.8%、2Q3.4%、3Q4.7%、4Q8.0%と改善が続き、今回1Qは7.0%です。
前四半期の8.0%からは低下しましたが、前年上期と比べれば高い収益性を維持しています。特に光ソリューション15.3%、情報コンポーネント12.4%と、成長事業の利益率が全社を引き上げています。
今後、データセンター関連の増販が続けば売上増による固定費吸収が進みやすく、利益率を維持・改善できる可能性があります。一方で、他セグメントの採算悪化や原材料・為替などの外部要因が重なると、全社利益率は振れます。次回以降は売上成長だけでなく、光・情報の2事業が現在の二桁利益率を維持できるかが重要です。
光ソリューションの改善が一時的でないかを確認したい
光ソリューションは2026年3月期1Qの▲1.8%から、4Q13.8%、今回1Q15.3%まで利益率が急上昇しています。赤字から短期間で高収益事業へ変化しているため、今後の古河電工全体の利益成長を左右する存在になりました。
今回の会社予想は下期もデータセンター関連製品の売上増を前提としているため、このセグメントの高利益率が続けば通期上方修正の達成可能性は高まります。逆に数量成長が鈍化した場合、全社利益への影響も大きくなります。
財務面で気になる点はある?
業績は非常に強い一方、1Q末では有利子負債が増えています。現金及び預金は691.5億円から607.3億円へ減少し、借入金・社債・コマーシャルペーパーの残高は3,167億円から3,528億円へ増加しました。
| 項目 | 2026年3月末 | 2026年6月末 |
|---|---|---|
| 現金及び預金 | 692億円 | 607億円 |
| 有利子負債残高 | 3,167億円 | 3,528億円 |
| NET有利子負債残高 | 2,475億円 | 2,921億円 |
| NET D/Eレシオ | 0.59倍 | 0.67倍 |
| 自己資本比率 | 39.1% | 38.6% |
売掛金や棚卸資産、有形固定資産なども増えており、事業拡大に伴って運転資本・資産規模が膨らんでいます。1Qはキャッシュフロー計算書が作成されていないため、この時点でフリーキャッシュフローまで断定するのは避けるべきです。
利益成長が続けば財務負担を吸収しやすくなりますが、今後は増収とともにNET有利子負債や運転資本がどのように動くかも確認したいところです。
配当はどうなる?
2027年3月期の配当予想は、株式分割後ベースで中間11円・期末11円の年間22円です。2026年7月1日に1株を10株とする株式分割を実施しているため、分割前換算では年間220円となります。
前期の年間配当は分割前ベースで210円だったため、実質的には10円の増配予想です。今回、業績予想は大幅に上方修正されましたが、配当予想は据え置かれています。
今回の決算で注意したいポイント
・AIデータセンター関連への利益依存度が高まっている:光ソリューションと情報コンポーネントで全社営業増益の約8割を占めました。現在は大きな成長要因ですが、データセンター投資が鈍化した場合の利益感応度も以前より高くなります。
・全社では前四半期比で営業減益:光・情報の2事業はQ4からも成長しましたが、エネルギーインフラや自動車電装、メタルなどの利益が低下し、全社営業利益は289億円から255億円へ減少しました。
・経常利益には持分法投資利益の増加も寄与:持分法投資利益は21億円から59億円へ増加しています。経常利益の伸びをすべて本業の改善として見るのではなく、営業利益と営業外損益を分けて確認する必要があります。
・通期は下期の利益加速が前提:上期営業利益495億円に対して下期は735億円を見込んでいます。通期予想達成には、会社が想定するデータセンター関連製品の需要拡大が下期も続くことが重要です。
次回決算で確認したいポイント
・光ソリューションの高利益率が続くか:1Qの営業利益率は15.3%まで上昇しました。データセンター関連製品の増販を背景に、15%前後の収益性を維持できるかがポイントです。
・情報コンポーネントの成長が続くか:売上・営業利益とも前四半期から増加し、利益率も12.4%まで改善しました。AIデータセンター需要が引き続き数量と利益の両方を押し上げるかを確認します。
・中間営業利益495億円を上回れるか:2Q単独では約240億円の営業利益を見込む計算です。1Qと同程度の利益を確保できれば中間計画の達成が見えてきます。
・最新の市場コンセンサスを上回れるか:今回の好決算と上方修正を受けてアナリスト予想も引き上がる可能性があります。次回は更新後の市場期待と実績を比較する必要があります。
・下期735億円の営業利益計画に確度が出るか:会社は上期より下期に利益が拡大すると見ています。2Q決算時の下期見通しが維持・上方修正されるかで、通期1,230億円の達成確度が見えやすくなります。
楽天証券

まとめ
古河電気工業の2027年3月期1Qは、売上高3,652億円、営業利益255億円、経常利益310億円となり、前年同期から大幅な増収増益となりました。1Q経常利益は決算前IFISコンセンサスを約66%上回っており、市場期待に対しても明確な上振れです。
増益をけん引したのはAIデータセンター関連で、光ソリューションは赤字から92億円の黒字へ転換し、情報コンポーネントも営業利益が2倍以上に拡大しました。2事業で全社営業増益の約8割を占めています。
通期営業利益予想は950億円から1,230億円へ、経常利益は1,000億円から1,430億円へ上方修正されました。修正後の会社予想も決算前市場コンセンサスを約2割上回っています。今後は、AIデータセンター関連2事業の高成長を維持しながら、会社が見込む下期の利益加速を実現できるかが焦点になります。
出典
・古河電気工業「2027年3月期 第1四半期決算短信〔日本基準〕(連結)」
https://www.furukawaelectric.com/
・古河電気工業「2027年3月期第2四半期(中間期)および通期連結業績予想の修正に関するお知らせ」
https://www.furukawaelectric.com/
・古河電気工業「FACT BOOK 2026年度(2027年3月期)第1四半期決算実績」
https://www.furukawaelectric.com/
・株予報Pro「古河電気工業(5801)決算・業績進捗情報」
https://kabuyoho.jp/report?bcode=5801
・株予報Pro「古河電気工業(5801)アナリスト予想・コンセンサス」
https://kabuyoho.jp/reportAnalyst?bcode=5801

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