INPEX(1605)は、日本を代表する石油・天然ガス開発会社です。株価は原油価格に反応しやすい一方、実際の業績は原油価格だけで決まるわけではありません。豪州のイクシスLNGの生産状況、為替、原油・天然ガスの販売量、配当や自社株買いなど、複数の要因が同時に株価評価へ影響します。
2026年8月に発表した中間決算では、中東情勢の影響で原油販売量が落ち込んだものの、販売単価の上昇や円安、イクシスLNGの堅調な生産などが利益を押し上げました。通期の親会社株主に帰属する当期利益予想は5,100億円へ引き上げられ、年間配当112円への増配と最大1,400億円の自社株買いも決定されています。
INPEXの株価を見る際は、「原油価格×為替×販売量」に、LNGの生産状況と株主還元を加えて考えることが重要です。原油高だけに注目すると、業績や株価が動く理由を見誤ることがあります。

INPEXの株価はなぜ上がる?直近の上昇材料を整理

INPEXの株価を押し上げる材料として、足元では原油販売単価の上昇、イクシスLNGの安定生産、円安、業績予想の上方修正、増配、自社株買いが重なっています。2026年上期は売上収益こそ前年同期を下回りましたが、親会社株主に帰属する中間利益は増益となり、利益面の強さが目立ちました。
| 主な材料 | 2026年8月時点の内容 | 株価への見方 |
|---|---|---|
| 2026年上期の中間利益 | 2,631億円(前年同期2,235億円) | 販売量減を吸収して増益となり、収益力の強さを示した |
| 通期利益予想 | 4,500億円から5,100億円へ上方修正 | 利益水準の切り上がりが企業価値評価を支えやすい |
| 年間配当予想 | 108円から112円へ増額 | 累進配当方針のもとで株主還元の拡大が続く |
| 自社株買い | 最大1,400億円・5,000万株(4.3%) | 市場買付による需給面と1株価値の改善が期待される |
| イクシスLNG | 2026年は年初から安定生産 | 大型LNG資産の安定稼働が利益とCFを支える |
原油高とイクシスLNGの好調で通期利益予想を上方修正
2026年上期の親会社株主に帰属する中間利益は2,631億円となり、前年同期の2,235億円から396億円増加しました。売上収益は約1兆4億円で前年同期比では減収でしたが、中東情勢を背景とした原油販売量の減少を、販売単価の上昇、円安、法人税等の減少などが補っています。
会社は5月時点で上期利益を1,800億~2,140億円と見込んでいましたが、実績は2,631億円でした。さらに、2026年12月期の親会社株主に帰属する当期利益予想を5月時点の4,500億円から5,100億円へ600億円上方修正しています。会社は、販売単価の上昇とイクシスLNGの堅調な生産を主な増益要因として挙げています。
売上高が伸びているかどうかだけでなく、販売価格、為替、プロジェクトごとの採算、税負担などを通じて最終利益がどの程度残るかが重要です。利益予想の上方修正は、配当や自社株買いに回せる余力の拡大にもつながるため、株価にとって評価されやすい材料になります。
年間112円への増配も買い材料になりやすい
INPEXは2026年12月期の普通株式1株当たり年間配当予想を108円から112円へ引き上げました。中間配当は54円予想から56円へ、期末配当予想も54円から56円へ増額されています。前期の年間100円から見ると、2期連続で配当水準が引き上がる形です。
INPEXは2025~2027年度の中期経営計画で、年間90円を起点とする累進配当を掲げています。累進配当は、原則として配当を維持または増配していく考え方です。資源価格によって利益が変動しやすい企業である一方、配当について一定の安定性を示していることは、インカムゲインを重視する投資家から評価されやすい要素です。
最大1,400億円の自社株買いも株価を支える
2026年8月7日には、最大5,000万株、取得総額1,400億円を上限とする自社株買いも決定されました。取得上限株数は自己株式を除く発行済株式総数の4.3%に相当し、取得期間は2026年8月10日から12月31日までです。
自社株買いは、市場で会社自身が株式を買い付けるため、需給面では買い需要になります。また、取得した株式の扱いによっては1株当たり利益などの指標改善にもつながります。今回の規模は発行済株式数に対して無視できない大きさであり、業績上方修正と増配だけでなく、資本効率改善を伴う株主還元策が同時に示されたことがポイントです。
INPEXはなぜ原油高になると株価が上がりやすい?

INPEXが原油高の恩恵を受けやすいのは、原油を購入して精製・販売する会社ではなく、地下資源を探鉱・開発し、生産した原油や天然ガスを販売する「上流」企業だからです。販売する原油の価格が上がれば、生産コストなどが同程度であれば利益が拡大しやすくなります。
原油価格の上昇が販売単価と利益を押し上げる
石油業界は大きく、資源を探して生産する上流、輸送する中流、精製して石油製品を販売する下流に分けられます。INPEXの基盤は上流事業であり、原油・天然ガスの鉱区取得、探鉱、開発、生産・販売を行っています。
上流企業では、生産した原油の販売価格が上昇すると売上単価が高くなります。特に既存油田では、生産設備などの固定的なコストをすでに負担しているため、油価上昇が利益やキャッシュフローに大きく反映される局面があります。逆に原油価格が下落すると、同じ量を販売しても得られる収入が減るため、収益が悪化しやすくなります。
2026年上期のINPEXの海外原油平均販売単価は1バレル79.51ドルで、前年同期の73.51ドルから8.2%上昇しました。中東情勢による供給不安などを背景に油価が高い水準で推移したことが、販売量減少の悪影響を一部相殺しています。
INPEXを見るときは「原油価格×為替×販売量」が重要
INPEXの業績は、原油価格だけではなく、原油価格×為替×販売量の組み合わせで見る必要があります。2026年上期は、この関係が分かりやすく表れました。
| 項目 | 2025年上期 | 2026年上期 | 変化 |
|---|---|---|---|
| 原油販売量 | 71,501千バレル | 55,170千バレル | 22.8%減 |
| 海外原油平均単価 | 73.51ドル/バレル | 79.51ドル/バレル | 8.2%上昇 |
| 平均為替 | 148.43円/ドル | 158.40円/ドル | 約10円の円安 |
| 原油売上収益 | 7,801億円 | 6,949億円 | 10.9%減 |
原油価格は上昇し、為替も円安でしたが、販売量が22.8%減少したため、原油売上収益は10.9%減りました。会社の要因分析でも、販売量減少による原油売上収益への影響はマイナス1,781億円、販売単価上昇はプラス493億円、為替はプラス436億円となっています。
このため、「原油価格が上がったからINPEXも必ず増収になる」とは限りません。油価が高くても生産・出荷に制約があれば販売できる量が減ります。一方、油価が横ばいでも、円安や生産量の増加によって業績が改善する可能性があります。
中東情勢の緊迫化は「原油高」と「販売減」の両面がある
INPEXにとって中東情勢の悪化は、単純な追い風ではありません。供給不安によって原油価格が上がれば販売単価にはプラスですが、同時に出荷や物流が制約されると販売数量が減少するためです。
2026年上期は、アブダビ事業の原油販売実績が前年同期比で約3割減少しました。生産量自体は足元で平時並みに回復しているものの、海上油田では出荷に一部制約が残り、会社は2026年通期のアブダビ販売量見通しも5月時点から約3割引き下げています。
一方、会社全体では原油価格上昇による他プロジェクトの増益や、イクシスLNGなど中東以外の資産が下支えしています。中東情勢は「油価上昇による利益押し上げ」と「アブダビ販売量減少による利益押し下げ」を同時に発生させるため、どちらの影響が大きいかを確認する必要があります。
LNG事業の成長もINPEX株の上昇材料

INPEXは原油だけでなく、天然ガス・LNGも大きな収益源です。特に豪州のイクシスLNGは既存の利益とキャッシュフローを支える主力資産であり、インドネシアのアバディLNGやイクシスの拡張は中長期の成長材料です。原油価格への依存だけではなく、LNGの安定生産と供給能力の拡大が評価されるかどうかも株価に影響します。
イクシスLNG:INPEXの収益を支える大型プロジェクト
イクシスLNGは2018年に生産を開始した豪州の大型LNGプロジェクトで、LNGの生産能力は年約930万トンです。INPEXは上流事業で67.82%の権益を持ち、オペレーターとして事業を主導しています。日本向けの供給比率も高く、INPEXの収益だけでなく日本のエネルギー安定供給という面でも重要な資産です。
2026年は年初から安定生産が続いており、1~7月のLNG出荷カーゴ数は76カーゴでした。上期の好調な生産を受け、会社は従来の「年間平均で月10カーゴ程度」という見通しを、年間合計で数カーゴ上回ると見込んでいます。2026年通期予想では、イクシスによる利益貢献額を約3,800億円としています。
資源会社では、保有している埋蔵量や設備の大きさだけでは利益は生まれません。設備を安定稼働させ、計画どおりにカーゴを出荷できることが重要です。イクシスの操業が安定している局面では、原油価格や中東情勢の変動に対して会社全体の収益を支える役割が強まります。
イクシスLNGの拡張が中長期の成長材料
INPEXは2030年代前半を視野に、イクシスLNGの液化能力拡張を検討しています。既存の第1・第2トレインに加えて第3トレインを追加する構想で、アジアのLNG需要増加を取り込むことが狙いです。
既存設備を活用しながら供給能力を増やせれば、新たにゼロから大型LNG基地を建設する場合と比べ、既存インフラや操業ノウハウを生かせる余地があります。一方で、第3トレインを稼働させるには追加のガス資源確保が必要であり、周辺鉱区の権益取得や探鉱・開発の進捗が重要になります。
アバディLNGは次の大型成長プロジェクト
インドネシアのアバディLNGは、INPEXがオペレーターとして進める次の大型案件です。計画では年間約950万トンのLNGに加え、日量最大約3.5万バレルのコンデンセート、日量約1.5億立方フィートのパイプラインガスを生産する予定です。
2026年上期には一部のFEEDが完了し、2026年7月からEPC入札を開始しています。会社は2027年央ごろの最終投資決定(FID)を目標としており、生産開始は2030年代初頭を想定しています。
アバディが予定どおり進めば、現在のイクシスに続く大規模LNG収益源が加わる可能性があります。ただし、FID前の段階では投資額、工期、許認可、販売契約など不確定要素も残ります。株価にとっては「将来のLNG成長余地」として評価される一方、実際の収益貢献までには時間がかかる点も押さえる必要があります。
円安もINPEXの業績を押し上げやすい

INPEXは海外で原油・天然ガスを生産・販売する比率が高く、取引の多くが米ドル建てです。そのため、ドルで得た売上や利益を円換算する際、円安・ドル高は業績の押し上げ要因になりやすく、円高・ドル安は逆風になりやすい特徴があります。
海外事業が大きいため円安が追い風になりやすい
2026年上期の原油売上に用いられた平均為替は1ドル158.40円で、前年同期の148.43円から約10円の円安でした。天然ガスについても平均為替は158.33円で、前年同期の148.05円から円安となっています。会社の売上収益の要因分析では、為替の変動が原油でプラス436億円、天然ガスでプラス120億円、合計でプラス556億円の寄与となりました。
ただし、円安は海外で発生する設備投資や調達コストの円換算額を押し上げる面もあります。したがって、為替の影響を「円安ならすべてプラス」と考えるのではなく、収益とコストの双方を見ることが必要です。それでも、既存の海外生産資産からドル建てで収益を得るINPEXにとって、円安は通常、利益面で追い風になりやすい要因です。
原油高と円安が同時に進むと追い風が大きくなる
INPEXにとって最も分かりやすい追い風は、原油価格の上昇と円安が同時に進む局面です。ドル建ての販売単価が上がり、そのドル収益をより多くの円へ換算できるため、二重の押し上げ要因になります。
| 原油価格 | 為替 | 業績への一般的な影響 |
|---|---|---|
| 上昇 | 円安 | 販売単価と円換算額の両方が伸びやすく、強い追い風 |
| 上昇 | 円高 | 原油高の効果を円高が一部相殺 |
| 下落 | 円安 | 円安が原油安の悪影響を一部吸収 |
| 下落 | 円高 | 販売単価と円換算額の両面で逆風になりやすい |
2026年8月時点の会社の通期業績予想は、ブレント原油価格を年平均81.4ドル、ドル円を年平均159.2円とする前提です。実際の原油価格や為替がこの前提から大きく動けば、業績予想の上振れ・下振れ要因になります。
増配・自社株買いでINPEX株が評価されやすくなっている
資源株は商品価格の影響を受けやすく、利益の振れ幅が大きい傾向があります。その中でINPEXは、累進配当と機動的な自社株買いを組み合わせ、株主還元を強化しています。資源価格上昇で得たキャッシュを成長投資だけでなく株主へ還元する方針が明確であることは、株価評価を支える重要な要素です。
90円を起点とする累進配当を採用
2025~2027年度の中期経営計画では、1株当たり年間90円を起点とする累進配当を導入しています。2025年実績は100円、2026年予想は112円まで増えており、業績成長にあわせて配当を引き上げる姿勢が示されています。
原油価格が高い時だけ配当を大きく増やし、油価が下がるとすぐ減配する企業では、配当利回りが高くても安定性を評価しにくくなります。累進配当は、短期的な資源価格変動があっても一定の株主還元を続ける方針を示すため、長期保有を検討する投資家にとって評価材料になります。
総還元性向50%以上を目指している
INPEXは配当だけでなく、自社株買いも含めた総還元性向50%以上を目標にしています。2026年通期予想では、年間配当112円と最大1,400億円の自社株買いを前提に、総還元性向は約53%となる見込みです。
2026年の営業キャッシュフローは1兆550億円を見込んでいます。原油・LNG事業が生み出すキャッシュが大きくなれば、アバディLNGなど将来の成長投資を行いながら株主還元を続けられる余地が広がります。株価上昇が一時的な需給だけではなく、キャッシュ創出力と還元の両方に裏付けられているかが重要です。
自社株買いは原油価格以外の株価上昇材料になる
原油価格はINPEX自身ではコントロールできません。一方、自社株買いや配当政策は経営側が資本配分として決定できます。原油価格が高い局面で生まれた余剰キャッシュを自社株買いへ回せば、商品市況による利益増加を株主価値の向上につなげやすくなります。
そのため、INPEX株を分析する際は「原油が上がるか」だけでなく、利益が増えたときにどの程度を配当や自社株買いに回すのかも確認する必要があります。株主還元が継続的に強化されれば、原油価格とは別の評価軸として株価の下支えにつながる可能性があります。
エネルギー安全保障の重要性もINPEXの評価を支える
地政学リスクが高まる局面では、価格の安さだけでなく、どこから・どのルートでエネルギーを調達できるかという安全保障面が重視されます。INPEXはアブダビの原油権益だけでなく、豪州イクシスLNG、インドネシアのアバディLNG、アゼルバイジャンや国内ガス事業など複数地域に資産を持っており、ポートフォリオの分散が強みになります。
2026年の中東情勢を受け、会社は「経済合理性重視からセキュリティ・レジリエンス重視へ」という方向性を示しています。特にイクシスとアバディはアジア市場に近く、中東からアジアへ輸送する際に問題となり得るホルムズ海峡を経由しない点が特徴です。
ただし、安全保障を重視した調達の多様化はコスト上昇につながる可能性もあります。エネルギー安全保障はINPEXの戦略的重要性を高める材料ですが、必ずしも短期的な利益率改善と同じ意味ではありません。安定供給能力が企業価値として評価される一方、供給網を強靭化するための追加コストも発生し得るという両面を持っています。
INPEXの株価上昇が続くために確認したいポイント
INPEXの株価上昇が続くには、原油高だけでなく、業績上方修正の前提が維持されることが重要です。特に、原油価格、為替、イクシスLNGの稼働状況、アブダビの販売量、株主還元、アバディLNGの進捗を継続的に確認したいところです。
| 確認ポイント | 現在の注目点 | 強気材料になりやすい状態 |
|---|---|---|
| 原油価格 | 通期前提はブレント81.4ドル/バレル | 前提を上回る油価が続き、販売量も確保される |
| ドル円 | 通期前提は159.2円/ドル | 円安基調が続き、ドル建て収益の円換算額が増える |
| イクシスLNG | 2026年は年初から安定生産 | 高稼働を維持し、出荷カーゴ数が計画を上回る |
| アブダビ販売量 | 上期は前年同期比約3割減 | 出荷制約が緩和し、販売数量が回復する |
| 配当・自社株買い | 112円配当、最大1,400億円買い | 業績成長に沿った還元強化が続く |
| アバディLNG | 2027年央ごろFID目標 | コスト・契約・許認可が進み、FID確度が高まる |
とりわけ重要なのは、会社の業績予想に織り込まれている油価・為替の前提と実際の市況との差です。市況が前提を上回っていても、販売量減少や設備停止が起きれば業績は伸びない可能性があります。反対に、油価が多少下がっても、イクシスの生産増やアブダビの販売回復、円安などで補える場合があります。
株価が大きく上昇した後は、好材料がすでに織り込まれている可能性にも注意が必要です。決算が良くても、市場がさらに高い利益や還元を期待していれば、材料発表後に利益確定売りが出ることがあります。ファンダメンタルズの改善と、株価に織り込まれている期待水準を分けて考えることが重要です。
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INPEXには原油高、LNG成長、株主還元という強い材料がある一方、資源価格や地政学、設備稼働に左右されるリスクもあります。上昇要因が逆回転した場合には、利益予想の下方修正や株価の調整につながる可能性があります。
原油価格が下落する
最も分かりやすいリスクは原油価格の下落です。世界景気の減速による需要減少、主要産油国の増産、地政学リスクの後退などで油価が下がれば、INPEXの原油販売単価も低下しやすくなります。会社の2026年通期予想はブレント原油81.4ドルを前提としているため、実際の油価が長期にわたって前提を下回れば、業績下振れの要因になります。
円高が進む
円高・ドル安も逆風です。ドル建ての売上や利益を円に換算した際の金額が小さくなり、油価が同じでも円ベースの業績が悪化する可能性があります。2026年上期は円安が売上収益を大きく押し上げたため、為替が反転すればその効果が逆向きに働きます。
LNG・原油の生産量や販売量が減少する
設備トラブル、計画修繕、労使問題、輸送制約、地政学リスクなどによって生産や出荷が減ることもリスクです。2026年上期はまさにアブダビの販売量減少が原油売上を押し下げました。
イクシスLNGについても、2027年7月中旬からLNG1トレインの点検を主目的とする約1か月半の計画シャットダウンメンテナンスが予定されています。計画停止は長期安定操業のために必要ですが、その期間は生産・出荷に影響が出る可能性があります。予定外の停止が起きた場合は、業績への影響がより大きくなる点に注意が必要です。
大型開発投資のコスト増加や遅延
アバディLNGやイクシス拡張は成長材料である一方、大規模な資金を必要とします。資材価格や人件費の上昇、設計変更、許認可の遅れなどで投資額が膨らんだり生産開始が遅れたりすると、期待していた投資採算が低下する可能性があります。
INPEXはアバディLNGについて、FIDの条件としてFEED後のコストとスケジュールを踏まえ、エクイティIRR10%台半ばの経済性を確保する方針を示しています。将来の成長規模だけでなく、どの程度の投資で、いつから、どの程度の利益を得られるかが重要です。
株主還元は業績や財務状況によって変動する
累進配当は配当の安定性を高める方針ですが、自社株買いは事業環境や財務・経営状況を踏まえて機動的に実施するとされています。原油・ガス価格の大幅下落や大型投資負担の増加でキャッシュフローが悪化すれば、自社株買いの規模が縮小する可能性があります。
高い株主還元が株価に織り込まれている局面では、還元の伸びが鈍化するだけでも失望材料になることがあります。配当額だけではなく、総還元性向、営業キャッシュフロー、投資計画を合わせて確認する必要があります。

まとめ:INPEXは原油高・LNG・株主還元が株価上昇のカギ
INPEXの株価が上がる理由は、「原油高だから」という一言では説明できません。原油・ガスの販売価格、ドル円、生産・販売量、イクシスLNGの操業、将来のLNG成長、配当・自社株買いが組み合わさって業績と株価評価が決まります。
2026年上期は、中東情勢によるアブダビ販売量減少という逆風がありながら、原油販売単価の上昇、円安、イクシスLNGの安定生産などで中間利益が増加しました。会社は通期利益予想を5,100億円へ引き上げ、年間配当112円と最大1,400億円の自社株買いも決定しています。
今後は、ブレント原油価格とドル円だけでなく、アブダビの販売回復、イクシスの安定操業、アバディLNGのFID、株主還元の継続性を確認することが重要です。原油価格だけではなく、「価格×為替×数量+LNG+株主還元」で見ることで、INPEXの株価が動く理由を捉えやすくなります。
出典
INPEX 2026年12月期 第2四半期(中間期)決算説明会
https://www.inpex.com/ir/library/upload/result20260807_b.pdf
INPEX 2026年12月期第2四半期実績と業績予想の差異・通期業績予想の修正
https://www.inpex.com/news/upload/20260807_b.pdf
INPEX 剰余金の配当(中間配当)及び期末配当予想の修正に関するお知らせ
https://www.inpex.com/news/upload/20260807_c.pdf
INPEX 自己株式の取得に係る事項の決定に関するお知らせ
https://www.inpex.com/news/upload/20260807_d.pdf
INPEX Vision 2035
https://www.inpex.com/company/midterm.html
INPEX 株主還元・配当
https://www.inpex.com/ir/shareholder/dividend.html
INPEX アバディLNGプロジェクト
https://www.inpex.com/business/project/abadi.html
INPEX 石油・天然ガスについて
https://www.inpex.com/business/energy/oilgas.html
INPEX 事業等のリスク
https://www.inpex.com/ir/risk.html
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