INPEXの株価は今後どうなる?将来性はない?原油・LNG・配当から解説

INPEX(1605)は、原油・天然ガス価格の影響を大きく受ける資源開発会社です。そのため株価の先行きを考えるときは、単に「原油が上がるか」だけでなく、原油価格・為替・販売量・LNGの生産状況・株主還元を組み合わせて見る必要があります。

2026年8月7日に発表した中間決算では、2026年12月期の親会社株主に帰属する当期利益予想を5,100億円へ上方修正し、過去最高益を見込む形になりました。年間配当予想も112円へ増額され、最大1,400億円の自社株買いも決定しています。

一方、INPEXの中長期的な評価を左右するのは今期の利益だけではありません。現在の収益基盤であるイクシスLNGを安定操業しながら、2030年代初頭の生産開始を目指すアバディLNGや、イクシスLNGの拡張を実現できるかが重要です。この記事では、足元の業績と中長期の成長材料を分けて整理し、株価が上がる条件と下がる条件を解説します。

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目次

INPEXの株価は今後どうなる?

INPEXの株価は今後どうなる?

INPEXの今後の株価は、短期では原油価格・為替・販売量、中長期ではLNGの成長と株主還元が重要です。足元の利益水準は強い一方、資源価格に左右される企業であることから、今期の好業績だけで将来の株価上昇を断定することはできません。

項目2026年8月17日時点の状況
株価3,775円
2026年純利益予想5,100億円
年間配当予想112円
自社株買い最大1,400億円・5,000万株
PER(会社予想)8.6倍
PBR0.86倍
アナリスト平均目標株価4,300円(みんかぶ)/4,345円(株予報Pro)

株価は2026年3月30日に年初来高値4,955円を付けた後に調整し、8月17日は3,775円で取引を終えています。年初来高値からは約24%下に位置する一方、8月7日の決算発表後は3,499円から上昇しており、業績上方修正と株主還元強化が改めて評価されています。

今後さらに評価を切り上げるには、5,100億円という高い利益水準を維持するだけでなく、アバディLNGなど次の利益源が具体化し、資源価格頼みではない成長ストーリーが見えてくることが重要です。

短期は原油価格・為替・販売量が株価を左右しやすい

INPEXの利益は原油・天然ガスの販売価格に加え、ドル円と販売量に大きく左右されます。2026年通期予想ではブレント原油を年平均81.4ドル、ドル円を159.2円とする前提が置かれています。実際の市況がこの前提を上回れば利益の上振れ余地が生まれる一方、原油安や円高が進めば逆風になります。

また、原油価格が高くても販売量が減れば利益効果は小さくなります。2026年上期は原油販売量が前年同期比22.8%減少しており、「価格×為替×数量」で見ることが重要です。

中長期はLNG成長と株主還元が評価の軸になる

中長期では、イクシスLNGが高い稼働率を維持しながらキャッシュを生み続けられるか、アバディLNGとイクシス拡張が次の成長源として立ち上がるかが焦点です。さらに、利益成長を配当や自社株買いとして株主へ還元できれば、資源株としての低い評価倍率が見直される可能性があります。

INPEXの株価が今後上がる可能性は?

INPEX株が上昇しやすいのは、単一の材料が出たときではなく、原油・LNG・為替・株主還元の複数条件がそろったときです。特に利益成長が一時的な市況要因だけでなく、中長期の事業成長へつながるかが重要になります。

原油価格が高い水準を維持する

INPEXは原油を購入して精製する会社ではなく、油田を開発し生産した原油を販売する上流企業です。そのため原油価格が高いほど販売単価が上昇しやすく、既存油田の利益とキャッシュフローを押し上げる要因になります。

2026年の通期予想が5,100億円まで引き上げられた背景にも、原油価格の前提引き上げがあります。今後も実勢価格が会社前提を上回る状態が続けば、業績上振れや追加還元への期待につながりやすくなります。

イクシスLNGの安定操業が続く

豪州のイクシスLNGは、INPEXが67.82%の権益を持つ主力資産で、LNGの生産能力は年間約930万トンです。2018年の生産開始以降、INPEXの利益とキャッシュフローを支える存在になっています。

2026年の業績上方修正でも、会社はイクシスの堅調な生産状況を理由の一つに挙げました。原油価格が変動する局面でも、イクシスが安定してLNGを出荷できれば会社全体の収益を支えるため、株価の下支え要因になりやすいと考えられます。

累進配当と自社株買いが続く

INPEXは2025~2027年度の中期経営計画で、年間90円を起点とする累進配当と総還元性向50%以上を掲げています。2026年の年間配当予想は112円まで増額され、8月には最大1,400億円の自社株買いも決定しました。

資源価格によって利益が変動しやすい企業では、利益が増えた局面でどれだけ株主へ還元するかが評価に影響します。増配と自社株買いが継続すれば、インカム目的の投資家だけでなく、1株当たり価値の改善を期待する投資家からも評価されやすくなります。

INPEXに「将来性はない」と言われる理由

INPEXに将来性がないというより、現在の利益が原油・天然ガス市況に左右されやすいため、市場が長期成長を慎重に評価しやすい会社と考えた方が実態に近いです。低PER・低PBRが続きやすい背景にも、資源価格の循環性や巨額投資への警戒があります。

原油・天然ガス価格に業績が左右されやすい

資源開発会社の利益は、原油・ガス価格が高い局面では大きく伸びる一方、市況が下落すれば急速に縮小する可能性があります。実際、2025年12月期の純利益は原油価格下落などの影響で前年比7.8%減の3,938億円となりました。

2026年は一転して5,100億円の過去最高益予想ですが、この増益には原油高・円安という外部環境も寄与しています。現在の利益水準がそのまま恒久的に続くと考えるのは慎重であるべきです。

脱炭素で化石燃料需要が減るとの懸念がある

電動化や再生可能エネルギーの普及が進むことで、長期的には石油需要の成長が鈍化するとの見方があります。こうした構造変化は、原油・天然ガスを主力とするINPEXの将来性を慎重に見る理由の一つです。

ただし、石油とLNGを同じように捉える必要はありません。INPEXは天然ガス・LNGをエネルギー移行期の重要な供給源と位置づけ、Vision 2035でも天然ガス/LNG事業の拡大を第一の成長軸としています。

大型プロジェクトは投資額と開発期間が大きい

アバディLNGのような大型案件は、成功すれば将来の利益を大きく押し上げる一方、巨額の資金と長い開発期間を必要とします。アバディは総額200億ドル規模とされ、2027年の最終投資決定(FID)、2030年代初頭の生産開始を目標としています。

資材価格や人件費の上昇、許認可、工事遅延、販売契約などで計画が遅れれば、期待していた収益化時期も後ろ倒しになります。将来性を評価する際は、プロジェクト規模だけでなく投資採算と進捗を確認する必要があります。

INPEXの将来性は?LNGが中長期の成長を支える

INPEXの中長期成長を考えるうえで最も重要なのがLNGです。現在すでに利益を生むイクシスを基盤とし、2030年代にアバディとイクシス拡張を加えることで、天然ガス/LNG事業を拡大する戦略を掲げています。

イクシスLNGは現在の収益基盤

イクシスLNGは年間約930万トンのLNG生産能力を持つ大型プロジェクトです。INPEXはオペレーターとして事業を主導しており、単なる少数出資ではなく、開発・操業の中核を担っています。

今後の成長投資が実を結ぶまでの間、イクシスが安定して利益と営業キャッシュフローを生み続けられるかは非常に重要です。現在のキャッシュ創出力があるからこそ、アバディなどへの大型投資と株主還元を並行して進められます。

イクシスLNGの拡張が次の成長材料

INPEX Vision 2035では、イクシスの安全・安定操業を続けたうえで液化能力の拡張を目指しています。既存インフラや操業ノウハウを活用しながら生産能力を増やせれば、新たな収益拡大につながる可能性があります。

一方、拡張には追加のガス資源が必要です。INPEXは豪州で周辺ガス資源の確保を進めており、拡張計画の実現性を判断するうえでは、供給ガスの確保と投資採算が重要になります。

アバディLNGは2030年代の大型成長源

インドネシアのアバディLNGは、年間約950万トンのLNGを生産する計画で、実現すればイクシスに並ぶ大型LNG資産になります。INPEXは65%の権益を持ち、オペレーターとして開発を進めています。

2025年8月には基本設計作業(FEED)を開始し、現在は環境・社会影響評価、許認可、用地確保、LNG販売、資金調達などFIDに向けた準備を進めています。2027年のFIDと2030年代初頭の生産開始が予定どおり進むかは、INPEXの中長期評価を大きく左右する材料です。

LNG需要は今後も伸びる?

LNG需要については長期成長を期待する見方がある一方、地域によって不確実性も大きくなっています。INPEXは2035年の世界LNG需要が現在の約4億トンから約7億トンへ75%増えると予想し、特にアジア・太平洋地域で供給不足になる可能性を想定しています。

電力需要の拡大、データセンター・AI向け電力需要、石炭から天然ガスへの転換、エネルギー安全保障などはLNG需要を支える要因です。アバディが2030年代初頭に生産を開始する計画なのも、こうした中長期の需要を取り込む狙いがあります。

ただし、需要成長が一直線に続くとは限りません。2026年7月には、中国が国内ガス生産やロシアからのパイプライン輸入、再生可能エネルギーを増やすことで、2030年代前半のLNG輸入需要見通しが従来より弱まるとの分析も報じられています。LNGの将来性は高いものの、価格競争力や地域別需要も確認する必要があります。

配当・自社株買いはINPEX株の長期保有を支える?

INPEXの株主還元は、原油やLNGだけでは説明できない株価下支え要因です。資源価格に左右される会社だからこそ、利益が高い局面で還元を強化し、株主価値へつなげられるかが重要になります。

年間90円を起点とした累進配当

2025~2027年度は年間90円を起点とする累進配当を基本方針としており、2025年実績100円から2026年予想112円へ増配が続いています。累進配当は原則として配当を維持または増額していく考え方のため、資源価格の短期変動に対する配当の安定性を高める効果があります。

総還元性向50%以上を目指す

配当だけでなく、事業環境や財務状況に応じて自社株買いも実施し、総還元性向50%以上を目指しています。2026年8月には最大5,000万株、1,400億円の自社株取得を決定しました。

今後も高いキャッシュ創出力を維持しながら還元を継続できれば、資源株に対して市場が要求するディスカウントを縮小させる材料になり得ます。逆に原油安や大型投資負担でキャッシュフローが悪化すれば、自社株買いの規模は縮小する可能性があります。

INPEXの株価は割安?PER・PBRから確認

2026年8月17日時点のINPEX株は3,775円で、会社予想PERは8.6倍、PBRは0.86倍です。一般的な株式市場全体と比べると低い水準ですが、低PER・低PBRだから自動的に割安とは判断できません

指標2026年8月17日時点見方
株価3,775円年初来高値4,955円を下回る
PER(会予)8.6倍今期利益に対しては低め
PBR0.86倍1倍を下回る
PBR基準の理論株価3,763円現在株価とほぼ同水準
PER基準の理論株価3,838円現在株価と近い

資源会社は利益の振れ幅が大きいため、原油高で利益がピークに近づく局面ではPERが低く見えやすい特徴があります。重要なのは、5,100億円の利益が今後も維持できるのか、それとも市況正常化で減益するのかです。

株予報Proの機械的な理論株価はPBR基準3,763円、PER基準3,838円で、現在株価3,775円に近い水準です。一方でアナリスト平均目標株価は4,345円となっており、足元の利益だけでなく将来のLNG成長や株主還元を評価するかどうかで見方が分かれています。

INPEXの目標株価はいくら?

2026年8月17日時点で、みんかぶの証券アナリスト平均目標株価は4,300円、株予報Proでは4,345円です。現在株価3,775円に対して、いずれも一定の上値余地を見込む水準になっています。

みんかぶではアナリスト10人のうち強気買い3人、買い2人、中立5人で、コンセンサスは「買い」です。また2026年純利益のアナリスト予想は5,103億円で、会社予想5,100億円とほぼ一致しています。

ただし、目標株価は将来の原油価格、為替、LNG生産量、投資計画などの前提に基づく予想です。原油市況やアバディの進捗が変われば目標株価も変化するため、4,300円前後を将来の確定値として見るのではなく、市場が現在どの程度の成長を評価しているかを知る参考値として使う方が適切です。

INPEXの株価が今後下がる可能性は?

INPEXにはLNG成長や株主還元という上昇材料がある一方、資源価格と大型プロジェクトに特有のリスクがあります。複数の逆風が重なると、現在の高い利益予想や株主還元への期待が低下し、株価調整につながる可能性があります。

原油価格が下落する

最大の短期リスクは原油安です。世界景気の減速、主要産油国の増産、地政学リスクの後退などで原油価格が会社前提を下回れば、販売単価と利益が低下しやすくなります。

円高が進む

INPEXはドル建てで得る収益が大きいため、円高・ドル安は円換算利益を押し下げます。原油価格が横ばいでも、為替が大きく円高方向へ動けば業績の下振れ要因になります。

原油・LNGの販売量が減る

高い価格だけでは利益は維持できません。2026年上期には中東情勢の影響で原油販売量が大幅に減少しました。設備停止、輸送制約、地政学問題などで販売数量が減ると、価格上昇の恩恵が相殺されます。

アバディLNGのコスト増・FID遅延

アバディは将来の大型収益源として期待が大きい一方、その期待が株価へ織り込まれるほど、FIDや生産開始の遅延はネガティブ材料になります。開発費の上昇で投資採算が悪化した場合も、将来利益に対する評価が低下する可能性があります。

好材料を株価が先に織り込む

企業業績が良好でも、株価が先に上昇して期待を十分織り込んでいれば、決算発表後に上値が重くなることがあります。現在の株価が利益成長・増配・自社株買い・LNG成長のどこまでを織り込んでいるかを分けて考える必要があります。

INPEXの株価を3つのシナリオで考える

INPEXの株価を一点の予想価格で考えるより、前提条件ごとにシナリオを分けた方が実用的です。以下は株価水準を断定するものではなく、今後の評価が上向く・横ばいになる・悪化する条件を整理したものです。

シナリオ主な条件株価評価への影響
強気原油高・円安、イクシス高稼働、アブダビ販売回復、アバディFID進展、還元継続利益と将来期待の両方が伸び、評価倍率の切り上がり余地
中立原油・為替が会社前提付近、イクシス安定、アバディが計画どおり高利益と配当を維持しつつ、資源株として低倍率が続く可能性
弱気原油安・円高、販売量減、イクシストラブル、アバディ遅延利益予想と株主還元期待が低下し、評価切り下がりの可能性

上振れシナリオ(強気)

原油価格が高水準を維持し、円安が続き、イクシスが安定操業することが前提です。さらにアブダビの販売量回復とアバディのFID進展が重なれば、足元の高利益だけでなく2030年代の成長も評価されやすくなります。増配や自社株買いが続けば、PBR1倍未満の評価が見直される余地も出てきます。

中立シナリオ

原油・為替が会社前提付近で推移し、イクシスが安定し、アバディも計画どおり進むケースです。利益は高水準を維持するものの、資源価格依存への警戒からPER・PBRが大きく上昇せず、配当を受け取りながら次の成長材料を待つ展開が想定されます。

弱気シナリオ

原油安と円高が同時に進み、販売量も減少するケースでは、利益予想が下方修正される可能性があります。イクシスの設備トラブルやアバディの遅延が重なれば、現在の利益と将来成長の両方に対する評価が悪化し、株価への下押し圧力が強まります。

INPEXの今後を判断するために確認したいポイント

今後の株価を追う際は、日々の株価だけでなく、会社の利益を決める前提がどう変化しているかを見ることが重要です。特に原油価格・為替・販売量・LNGの操業状況は、決算発表前から業績の方向を考える材料になります。

確認項目注目ポイント
ブレント原油会社前提81.4ドルに対して上か下か
ドル円会社前提159.2円に対して円安か円高か
原油販売量特にアブダビの出荷・販売回復
イクシスLNG生産安定性・出荷カーゴ数・設備停止
アバディLNG2027年FIDへ向けたEPC・販売契約・許認可
イクシス拡張追加ガス資源の確保と投資判断
2026年純利益5,100億円予想の達成度
配当・自社株買い累進配当と総還元性向50%以上の継続
PER・PBR利益成長に対して評価倍率が切り上がるか

特に重要なのは、今の利益が強いかだけでなく、次の利益源が育っているかです。2026年の5,100億円は原油・為替・イクシスなど足元の条件に支えられています。アバディとイクシス拡張が進めば、中長期では利益の土台そのものを広げられる可能性があります。

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まとめ:INPEXの将来性はLNG成長と株主還元がカギ

INPEXに将来性がないとは言い切れません。現在はアブダビの原油とイクシスLNGが大きな収益源となっており、2026年は純利益5,100億円の過去最高益を見込んでいます。

さらに2030年代初頭にはアバディLNGの生産開始、2030年代前半にはイクシスLNGの拡張を目指しており、LNG事業が予定どおり成長すれば、現在とは異なる利益源が加わる可能性があります。累進配当と自社株買いによる株主還元も、長期的な株価評価を支える材料です。

一方、原油安・円高・販売量減少・大型案件のコスト増や遅延は大きなリスクです。INPEXの今後を判断する際は、「現在の高利益を維持できるか」と「次のLNG収益源を育てられるか」を分けて確認することが重要です。

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この記事を書いた人

投資歴7年。1級ファイナンシャル・プランニング技能士、証券外務員資格取得。2019年に100万円から投資スタート。2022年に1000万円→2025に年5000万円突破。
YouTubeでは株式投資・企業決算を中心とした解説動画を200本以上公開(チャンネル登録者数5000人)。日本株を中心に、企業決算や業績、株価材料を分析しています。

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