TSMCの2026年第3四半期決算が近づいています。
すでに公表された月次売上高から大幅な増収が判明しており、今回の決算では利益率や今後の業績見通しが注目されます。
この記事では、TSMCの決算発表日程と日本時間での開始時刻、業績予想、決算が株価に与える影響について解説します。
※本記事は2026年10月13日時点の開示資料をもとに作成しています。
TSMCの2026年第3四半期決算はいつ?
TSMCの2026年第3四半期決算説明会は、10月15日(木)の日本時間15時から16時30分までの予定です。台湾時間では同日14時から15時30分までとなります。対象となる業績は2026年7〜9月期です。
| 項目 | 予定・内容 |
|---|---|
| 決算対象期間 | 2026年7月1日〜9月30日 |
| 決算説明会の日程 | 2026年10月15日(木) |
| 日本時間 | 15時〜16時30分(予定) |
| 台湾時間 | 14時〜15時30分(予定) |
| 発表内容 | 第3四半期の業績、10〜12月期の業績見通しなど |
なお、日本時間15時は決算説明会の開始時刻であり、決算資料が公開される時刻を示すものではありません。資料の正確な公表時刻は確認できていないため、数字をいち早く知りたい場合は、TSMCの公式決算ページで資料の掲載状況を確認してください。
10月13日時点では、9月までの月次売上高が公表されている一方、第3四半期の純利益、粗利益率、営業利益率は未発表です。10〜12月期の会社予想も、10月15日の説明会で新たに示される情報となります。
TSMCの2026年第3四半期売上高はすでに発表されている
2026年7〜9月の売上高は、月次発表の合計で1兆4,942.43億台湾ドルでした。前年同期の9,899.2億台湾ドルに対して約50.9%増加し、前四半期の1兆2,703.8億台湾ドルからも約17.6%増えています。
TSMCは四半期決算を待たずに、毎月の売上高を開示する企業です。今回は10月8日に9月分まで公表されたため、7〜9月期の台湾ドル建て売上高は、10月15日の決算より先に把握できています。
| 対象月 | 売上高 | 前年同月比 |
|---|---|---|
| 2026年7月 | 4,675.80億台湾ドル | +44.7% |
| 2026年8月 | 5,148.06億台湾ドル | +53.3% |
| 2026年9月 | 5,118.57億台湾ドル | +54.6% |
| 7〜9月合計 | 1兆4,942.43億台湾ドル | 約+50.9% |
7〜9月の各月とも前年同月比で40%を超える増収です。特に9月は前月比では0.6%減少しましたが、前年同月比では54.6%増加しています。単月の前月比が小幅にマイナスになったことだけで、需要が弱まったとはいえません。売上高全体では高い成長率が続いています。
増収の背景には、AIデータセンターなどに使われる高性能半導体への需要があります。TSMCは、半導体を設計する企業から製造を請け負う「ファウンドリー」です。AI向け半導体の開発・販売が拡大すると、その製造を担うTSMCの生産量や売上高にも追い風となります。ただし、売上高の増加分すべてがAI用途によるものだとまでは断定できません。
市場予想との比較でも好調でした。10月8日付ロイターが紹介した第3四半期の売上高予想は約1兆4,600億台湾ドルで、月次売上高の合計はこれを約342億台湾ドル、率にして約2.3%上回りました。
一方、TSMCが7月に示した第3四半期の会社予想は、446億〜458億米ドルです。これは米ドル建ての売上高予想で、想定為替レートは1米ドル=32台湾ドルでした。台湾ドル建て月次売上高をこの為替レートで単純換算すると上限を上回りますが、実際の平均為替レートは異なる可能性があります。会社予想に対する正確な達成状況は、決算時に公表される米ドル建ての売上高で判断する必要があります。
いずれにしても、売上高が市場予想を上回ったという材料は、10月8日の段階ですでに明らかになっています。10月15日の株価を考える際には、未公表の利益率や今後の業績見通しに注目することが重要です。
TSMCの2026年第3四半期の業績予想は?
第3四半期は、売上高だけでなく純利益も大幅な増加が予想されています。ただし、純利益は証券アナリストによる「市場予想」、利益率はTSMC自身による「会社予想」であり、両者は別の数字です。10月13日時点では、いずれも第3四半期の確定実績ではありません。
純利益は約7,463億台湾ドルと予想される
10月12日付のロイターによると、LSEGのSmartEstimateに基づく2026年第3四半期の純利益予想は約7,463億台湾ドルです。16人のアナリストの予想をもとにした数値で、前年同期の4,523億台湾ドルから約65%の増益に相当します。
前四半期の純利益7,065.6億台湾ドルも上回る計算で、予想どおりなら四半期の過去最高益を更新することになります。ただし、市場ではすでに過去最高益が見込まれているため、実際に過去最高益を達成したという事実だけで、株価が上がるとは限りません。投資家が予想していた利益をどの程度上回ったか、下回ったかが重要です。
なお、第2四半期の純利益には、保有株式の売却・評価による利益約632億台湾ドルが含まれていました。これは通常の半導体製造の売上高から生じた利益とは性質が異なります。そのため、第3四半期の純利益を前四半期と比べるときは、こうした一時的な利益の影響も考慮する必要があります。本業の収益力を見るには、後述する営業利益率も欠かせません。
粗利益率は65〜67%、営業利益率は56〜58%の会社予想
利益率については、TSMCが7月時点で第3四半期の粗利益率を65〜67%、営業利益率を56〜58%と予想しています。いずれも前四半期の実績より低い水準です。
| 指標 | 2026年第2四半期実績 | 2026年第3四半期会社予想 |
|---|---|---|
| 粗利益率 | 67.7% | 65〜67% |
| 営業利益率 | 60.3% | 56〜58% |
粗利益率は、売上高から製造原価を差し引いた利益の割合です。例えば粗利益率が66%なら、売上高100に対して製造原価を差し引いた段階で66が残ることを意味します。営業利益率は、そこから研究開発費など本業に必要な費用も考慮した営業利益の割合で、事業そのものの採算性を測る指標です。
売上高が大きく増えるのに利益率の低下が見込まれている背景には、次世代の2ナノメートル半導体の量産拡大があります。新しい製造技術の立ち上げには設備投資や製造工程の調整が必要で、量産初期はコスト負担が大きくなりやすいためです。
会社予想の中間値は粗利益率66%、営業利益率57%です。決算では、売上高の増加に対して利益率がどの程度保たれたかを確認すると、単なる増収と実際の収益力の違いを理解しやすくなります。ただし、会社予想を上回っただけで株価に好材料となるとは限らず、市場予想との比較も必要です。
TSMCの10月15日決算で注目すべき3つのポイント
10月15日の決算では、すでに確認できている大幅増収が今後も続き、利益成長につながるかを見極めることが重要です。特に第4四半期以降の業績見通し、2ナノメートル量産の採算、AI需要と先端パッケージングの供給能力が焦点になります。
第4四半期と2026年通期の業績見通し
最も新しい判断材料になるのは、2026年第4四半期(10〜12月)の売上高と利益率の会社予想です。7〜9月期の売上高は公表済みですが、今後どの程度の成長が見込まれるかは、決算当日の説明を待つ必要があります。
TSMCは7月の決算説明会で、2026年通期の米ドル建て売上高について、前年から「40%をやや上回る成長」を見込むと説明しました。AI関連の需要が強いためです。10月15日にこの見通しが引き上げられれば、会社自身が想定していた以上に成長が進んでいると評価される可能性があります。
ロイターの10月12日付報道では、モルガン・スタンレーがTSMCによる通期売上高成長率見通しの上方修正を予想しています。ただし、これは証券会社の見方であり、10月13日時点でTSMCが上方修正を決めたわけではありません。
第4四半期に売上高の高い伸びが続き、利益率の見通しも堅調であれば、AI需要の拡大が一時的なものではないという期待が強まります。反対に、売上高の見通しが弱い、あるいは製造コストの増加で利益率が悪化する予想なら、7〜9月期が好調でも市場が慎重になる可能性があります。
2ナノメートルの増産は利益率を押し下げるのか?
2ナノメートルの量産拡大は、将来の売上高を増やす機会である一方、短期的には利益率を押し下げる要因です。TSMCは7月の決算説明会で、2ナノメートルの増産が2026年後半の粗利益率を約3〜4ポイント押し下げると説明しました。
2ナノメートルは半導体製造技術の新しい世代を示す名称です。新技術の量産開始時には、製造装置にかかる費用に加え、良品を安定して作れるように製造条件を調整するコストも生じます。製造した半導体のうち良品として使える割合を「歩留まり」と呼びますが、歩留まりが改善し、工場の稼働が安定するほど製品1個当たりの製造コストは下がりやすくなります。
2026年第2四半期の2ナノメートルの売上高構成比は、ウエハー売上高の3%でした。まだ初期段階ですが、量産が進めば新たな成長分野になる可能性があります。そこで重要なのが、増産に伴うコスト増を、先端半導体の需要増や生産性改善でどの程度補えるかという点です。
なお、会社が説明した「3〜4ポイントの押し下げ」は、2ナノメートル増産による利益率への影響の見通しです。第3四半期の粗利益率が第2四半期から必ず3〜4ポイント下がるという意味ではありません。需要の強さや他の製造工程のコスト改善が、押し下げ要因を一部相殺する可能性があります。
決算で粗利益率が会社予想の65〜67%に対してどうなったかを確認することで、増産初期のコスト負担が想定内に収まっているかを評価できます。
AI需要とCoWoSの供給能力はどこまで拡大する?
TSMCの業績を支えるのは、AI半導体の旺盛な需要です。第2四半期には、高性能コンピューティング(HPC)分野の売上高が前四半期比20%増え、売上高全体の66%を占めました。HPCはAIサーバー向け半導体だけでなく、データセンター向けCPUなども含む分野です。「HPCが66%」という数字を、AI関連売上高が66%と読み替えることはできません。
AI向け半導体では、製造したチップを高速メモリーなどと組み合わせる技術も重要です。その代表例が「CoWoS」で、複数の半導体を高密度に接続する先端パッケージング技術です。演算用の半導体を製造できても、パッケージング工程の能力が足りなければ、最終製品として顧客へ供給できる数量が制限されます。
TSMCの経営陣は7月の決算説明会で、先端パッケージングの生産能力不足が顧客の成長を制約していると説明しました。今回、供給能力をどの程度拡大できるか、需要に追いつく見通しがあるかが分かれば、今後の売上高成長を判断する材料になります。
TSMCは2026年の設備投資計画を600億〜640億米ドルに引き上げています。設備投資は半導体の生産能力を拡大するために必要ですが、設備の取得・建設段階では資金負担が発生し、稼働開始後には減価償却費も計上されます。需要に応じて生産能力を増やせれば将来の増収につながる一方、投資だけが先行すれば利益率には負担となります。
したがって、設備投資額の大きさだけで業績を評価するのではなく、先端パッケージングの供給不足がどの程度改善し、増産が実際の売上高と利益に結びつくかを見ることが重要です。また、スマートフォンなど消費者向けの市場については、TSMC自身が需要の不確実性を指摘しているため、すべての半導体分野が同じ勢いで拡大しているわけではありません。
TSMCの決算で株価は上がる?
TSMCが好決算を発表しても、株価が必ず上昇するわけではありません。投資家がすでに好業績を見込んでいる場合、想定どおりの数字では新たな買い材料にならないことがあるためです。
今回の決算では、7〜9月期の売上高が市場予想を上回ったことはすでに判明し、純利益についても前年同期比約65%の増益が予想されています。株価への影響を考えるなら、純利益・利益率の市場予想との差と、10〜12月期以降の業績見通しが中心になります。
| 決算で確認される状況 | 考えられる株価への影響 |
|---|---|
| 利益率も次期見通しも予想を上回る | 将来の利益成長への期待が強まり、買い材料になる可能性 |
| 過去最高益だが内容は概ね予想どおり | 好業績が織り込み済みと受け止められる可能性 |
| 利益率や次期見通しが予想を下回る | 増収でも採算や成長率への警戒が強まる可能性 |
ここで注意したいのは、会社予想と市場予想は一致しないことです。例えば粗利益率がTSMCの会社予想上限の67%を超えても、市場参加者がさらに高い水準を期待していれば、株価上昇に直結するとは限りません。反対に、一時的な利益率低下でも、その理由が将来の需要に対応するための増産であれば、前向きに評価される可能性があります。
決算当日の株価は、半導体関連株全体の値動きや金利、為替、市場のリスク選好にも左右されます。「過去最高益だから上がる」「利益率が低下したから下がる」と一つの数字だけで判断するのではなく、予想との差と先行きへの説明を合わせて確認することが大切です。
まとめ
TSMCの2026年第3四半期決算説明会は、10月15日(木)の日本時間15時から始まる予定です。7〜9月期の売上高はすでに約1兆4,942億台湾ドルと判明し、前年同期比約51%の増収となっています。
市場では大幅増益が予想されていますが、利益と利益率の実績は未発表です。10月15日は、粗利益率が会社予想の65〜67%に対してどうなったか、10〜12月期と2026年通期の見通しがどう示されるかに注目すると、決算の評価につなげやすくなります。
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