アルファベットの2026年7~9月期決算の発表が近づいており、内容に興味がある人もいるのではないでしょうか。
市場では、売上高が約1,279億ドル、1株当たり利益(EPS)が約3.03ドルと予想されています。今回の決算で最も重視したいのは、Google検索の広告収入が成長を維持するか、Google Cloud(グーグルクラウド)の売上拡大が利益に結び付いているか、そして巨額のAI設備投資を回収できる見通しが強まるかという3点です。
前回の決算では、売上高もクラウド事業も大幅に増加しましたが、設備投資の急増によってフリーキャッシュフローはマイナスに転じました。好調な業績だけで株価が評価される段階から、成長のために投じた資金がどの程度の利益と現金収入を生み出すかが問われる段階に入っています。以下では、今回の決算を判断するための具体的な数字とその意味を整理します。
アルファベットの次回決算はいつ?日本時間で何時に発表?
アルファベットの2026年第3四半期(7~9月期)決算は、米国時間10月28日(水)の取引時間終了後(日本時間10月29日の午前5時以降)に発表されます。会社が正式に案内している決算説明会の開始時刻は米国東部時間16時30分、日本時間では翌29日(木)の午前5時30分です。
決算発表そのものは説明会より前に行われるため。10月29日(木)の午前5時〜5時30分の間に資料が公開されると考えられます。
決算発表・説明会の日程と資料の確認先
| 項目 | 日程・確認先 |
|---|---|
| 決算対象 | 2026年7~9月期(第3四半期) |
| 決算発表日 | 2026年10月28日(水)・米国時間 |
| 決算資料の公開 | 米国株の通常取引終了後、説明会開始前 10月29日(木)の午前5時〜5時30分 |
| 決算説明会 | 日本時間10月29日(木)午前5時30分 |
| 資料・ライブ配信 | アルファベット公式IRサイト(abc.xyz/investor) |
日本の投資家が業績発表を確認するのは10月29日の早朝になります。株価は米国の時間外取引から反応し、通常取引での値動きは日本時間29日夜の米国市場開始後に確認できます。発表直後の数字に加え、午前5時30分からの説明会で経営陣がクラウドの収益性や設備投資について何を語るかが重要です。
アルファベットの2026年7~9月期の業績予想は?
10月下旬時点の市場予想では、アルファベットの7~9月期の売上高は約1,279億ドル、EPSは約3.03ドルです。クラウド事業には前年同期比90%前後の成長が期待されています。アルファベットはこの四半期の売上高・EPSについて会社予想を細かく公表していないため、決算の強さを測る主な基準はアナリストの市場予想になります。
| 主な指標 | 前年同期実績 | 今回の市場予想 | 増減の目安 |
|---|---|---|---|
| 連結売上高 | 1,023.5億ドル | 約1,279.1億ドル | 約+25.0% |
| EPS(希薄化後) | 2.87ドル | 約3.03ドル | 約+5.6% |
| Google Cloud売上高 | 151.6億ドル | 約291.5億ドル | 約+92.3% |
売上高の市場予想は約1,279億ドル、前年同期比約25%増
市場が予想する売上高約1,279億ドルは、前年同期の1,023億ドルを約256億ドル上回る水準です。単純な前年同期比では約25%の増収で、直近の4~6月期の24%増に近い高成長が続くことになります。売上高が前年より増えるだけでは十分ではなく、すでに市場が25%前後の増収を織り込んでいる点を押さえる必要があります。
アルファベットの売上高の中心はGoogle検索・YouTubeなどの「広告関連事業」です。広告は利用者の検索や動画視聴をきっかけに、広告主から費用を受け取る仕組みです。企業が広告費を増やす背景には、ユーザー数や検索回数の増加に加え、広告経由で商品購入や問い合わせにつながる確率が高まることがあります。これらが改善すれば、AI検索の普及によって検索方法が変化しても広告売上を伸ばせます。
このため、決算で連結売上高が市場予想を上回った際には、何が上振れを生んだのかが重要です。Google Cloudだけが想定以上に伸びたのか、広告まで強かったのかでは、今後の利益の安定性が異なります。広告とクラウドの両方が予想を上回れば、既存事業の強さと新規成長分野の拡大が同時に確認できる決算と評価できます。
1株当たり利益(EPS)の市場予想は約3.03ドル
EPSとは、会社の利益を1株当たりに換算した指標です。市場予想の3.03ドルは前年同期の2.87ドルを約5.6%上回る計算になります。売上高の予想増加率約25%に比べてEPSの伸びが小さいのは、今回の利益成長が弱いという結論には直結しません。
前年の2025年7~9月期には、保有株式の評価益を中心とする営業外収益約128億ドルが計上されており、EPS2.87ドルを押し上げていました。さらに前回の2026年4~6月期には約980億ドルの営業外収益が発生し、EPSは9.11ドルまで跳ね上がっています。この9.11ドルを今回の3.03ドル予想と単純に比較して「利益が急減する」と判断するのは誤りです。
事業の稼ぐ力を測るには、金融資産の評価変動で動く最終利益だけでなく、広告・クラウドの売上高と営業利益を見る方が有効です。今回の決算では、EPSが市場予想を超えたかに加え、営業利益がどのくらい伸びたか、クラウド事業の利益率がどの水準で着地したかを重視したいところです。
Google Cloudの売上高市場予想は約292億ドル
Visible Alphaの集計に基づくGoogle Cloudの売上高市場予想は約291.5億ドルです。前年同期の151.6億ドルから約92%増、直近4~6月期の247.7億ドルからも約18%増となる計算で、クラウドには検索広告を大きく上回る成長が期待されています。
クラウドでは、企業がサーバーやデータベース、AI開発・運用に使う計算能力などを利用し、その使用量や契約に応じて料金を支払います。生成AIの学習・推論には大量の計算能力が必要です。Google Cloudはデータセンターの設備とAI技術を提供することで、企業のAI導入が増えるほど売上を伸ばせる位置にあります。
ただし、売上が約92%伸びるという期待はすでに高く、売上高だけでは市場の評価を決めきれません。Google Cloudの利益率については33.5%前後が市場予想とされ、前四半期の35.6%より低い水準です。今回の決算では、クラウド売上の上振れと利益率の低下がどちらに大きく作用するかを見極める必要があります。
アルファベットの前回決算はどうだった?
前回の2026年4~6月期は、広告事業が堅調だったうえにGoogle Cloudの成長が一段と加速しました。連結売上高は約1,198億ドル、営業利益は約408億ドルに達しています。投資家が今回の決算で確認するべきなのは、こうした増収・増益が続くかと、設備投資の増加による資金流出を抑えられるかです。
売上高は24%増、営業利益は30%増
| 指標 | 2025年4~6月期 | 2026年4~6月期 | 前年同期比 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 964.3億ドル | 1,198.0億ドル | 約+24% |
| 営業利益 | 312.7億ドル | 407.7億ドル | 約+30% |
| 営業利益率 | 約32.4% | 約34.0% | 約+1.6ポイント |
| 最終利益 | 281.96億ドル | 1,121.93億ドル | 約4倍 |
| 希薄化後EPS | 2.31ドル | 9.11ドル | 約3.9倍 |
営業利益の伸びが売上高の伸びを上回り、全社の営業利益率も改善しました。新しいデータセンターを建設しながら既存の広告・クラウド事業が成長すれば、稼働中の設備や開発費をより多くの売上で回収できるため、利益率が高まりやすくなります。今回の注目点は、この傾向が7~9月期も続くかどうかです。
ただし、前回には約21億ドルの訴訟関連費用が計上されているなど、四半期ごとの費用には個別要因もあります。費用の増減を一律に事業の変調とみなすのではなく、Google ServicesとGoogle Cloudの部門別利益を分けて確認することが適切です。
Google検索とGoogle Cloudがともに成長
| 主な事業 | 2025年4~6月期 | 2026年4~6月期 | 前年同期比 |
|---|---|---|---|
| Google検索など | 541.9億ドル | 632.7億ドル | 約+17% |
| YouTube広告 | 98.0億ドル | 110.6億ドル | 約+13% |
| Google Cloud売上高 | 136.2億ドル | 247.7億ドル | 約+82% |
| Google Cloud営業利益 | 28.3億ドル | 88.1億ドル | 約3.1倍 |
検索広告は引き続き利益を支える基盤です。前回の検索関連売上高は632.7億ドルで、Google Cloudの247.7億ドルの約2.6倍ありました。クラウドが急成長していても、短期的には検索広告が崩れないことがアルファベット全体の利益を維持するうえで重要です。
一方、Google Cloudの営業利益は前年同期の28.3億ドルから88.1億ドルへ約3.1倍に拡大しました。売上高が82%増えるなかで利益がそれ以上に伸びたことは、AI関連サービスの需要拡大が実際の収益につながり始めていることを示します。クラウドを単なる「売上が伸びる事業」ではなく、「会社全体の利益を押し上げる事業」として評価する根拠になる数字です。
純利益・EPSの急増には一時的な株式評価益が含まれる
前回の最終利益は約1,122億ドル、EPSは9.11ドルと異例の大きさでした。ただし、この急増を生んだ主因は広告やクラウドの売上ではありません。保有する株式の価値が上がったことによる約990億ドルの株式関連の評価益などが営業外損益に反映され、金融収益全体では約980億ドルのプラスになりました。
会社の決算資料では、株式関連の損益によるEPSの押し上げ効果を約6.26ドルと説明しています。単純に差し引くと、EPS9.11ドルのうちこの効果を除いた部分は約2.85ドルに相当します。ただし、この2.85ドルは会社が正式に示した調整後EPSではなく、特定の株式評価損益の影響を理解するための計算値です。
したがって、7~9月期のEPSが3ドル前後となっても、それだけで成長が鈍化したとは言えません。逆にEPSが大きく市場予想を超えた場合も、金融資産の評価益が主因なら翌期以降の収益力が上がった証拠にはなりません。営業利益、部門別利益、現金収入という順で内容を見れば、本業の成長を見誤りにくくなります。
今回のアルファベット決算で注目すべき3つのポイント
今回の決算を評価する際には、①Google検索の広告収入、②Google Cloudの成長と利益率、③AI設備投資に対する現金創出力の3点を一体で見る必要があります。広告事業が生み出す資金をAIインフラへ投じ、クラウドなどの売上・利益として回収する流れが強まっていれば、巨額投資が将来の利益につながるという評価を裏付けられます。
Google検索の広告収入はAI普及後も伸びるか?
検索広告で最も重要なのは、AIによって検索の使い方が変わっても、アルファベットが広告収入を維持・拡大できるかという点です。生成AIが検索結果の上部で回答を提示するAI Overviews(AIによる概要)や、対話型のAI Mode(AIモード)が普及すると、ユーザーが従来型のリンクをクリックする機会や広告を表示する場所が変わります。広告収入は従来型検索の表示回数だけでは決まらなくなります。
一方、AIが質問の意図を詳しく理解することで、より複雑な検索を行う利用者が増えたり、関連性の高い広告を出しやすくなったりする効果も期待できます。例えば旅行・家電など購入前の比較にAI検索が使われ、広告から購買につながる確率が上がれば、広告主が同じ広告枠に支払う金額を増やす動機になります。AIの普及が広告収入を減らすか増やすかは、検索件数と広告単価・広告効果がどう変わるかで決まります。
前回の会社説明ではAI機能が検索回数の増加を促していると述べ、検索関連売上高は前年同期比17%増でした。ただし、経営陣は7~9月期から前年の検索成長加速と比較するため、成長率の比較条件が厳しくなるとも説明しています。今回は前年比の増減率だけでなく、実際の検索広告売上高が高い水準を保っているか、AI検索の広告効果に関する説明が具体化するかが焦点です。
Google Cloudの急成長は利益率と両立する?
Google Cloudの7~9月期売上高が市場予想の約291.5億ドルに達した場合、前年同期比の伸び率は約92%となります。これは非常に高い成長ですが、投資家は同時に「増えた売上のうち、どれだけ利益が残るのか」を見ています。
会社は前回の決算説明会で、自社のデータセンターや計算設備の供給が追いつかない間、外部企業から計算能力を借りて需要に対応する方針を示しました。外部設備の利用料が自社設備の運用費より高ければ、売上高が急拡大しても営業利益率は一時的に低下します。加えて新設データセンターの稼働が進むと、設備取得額を数年に分けて費用にする「減価償却費」も増えていきます。
S&P Globalの10月26日時点の集計では、Google Cloudの7~9月期営業利益率の市場予想は約33.5%です。前回の35.6%から約2.1ポイント低下する計算ですが、これは直ちにクラウド利益が減るという意味ではありません。売上高が291.5億ドルで利益率が33.5%なら、営業利益は約97.7億ドルとなり、前四半期の88.1億ドルを約11%上回るからです。
| Google Cloud | 2026年4~6月期実績 | 2026年7~9月期の市場想定 |
|---|---|---|
| 売上高 | 247.7億ドル | 約291.5億ドル |
| 営業利益率 | 35.6% | 約33.5% |
| 営業利益 | 88.1億ドル | 約97.7億ドル(試算) |
逆に売上高が市場予想どおりでも、利益率が30%まで下がれば営業利益は約87.5億ドルとなり、前四半期を下回ります。今回の決算では、売上成長の勢いに加え、33.5%という利益率の期待値に届くかが株価評価を分けると考えられます。仮に利益率が予想を下回っても、外部設備の利用という一時的な要因なのか、設備や人件費の構造的な増加なのかを説明会で確かめれば、今後の利益成長をより適切に評価できます。
AIへの設備投資約2,000億ドルは利益と現金収入につながる?
アルファベットは2026年の設備投資計画を1,950億~2,050億ドルとし、従来の1,800億~1,900億ドルから150億ドル引き上げました。主な投資先は、AIの計算処理に使うサーバー、半導体、データセンター、ネットワーク設備です。急増するクラウド需要に対応するための投資ですが、投資額が増えるほど手元に残る現金が減り、将来の減価償却費も増えるという関係があります。
前回の4~6月期には、営業活動で得た現金が約391億ドルだった一方、設備投資は約449億ドルに上りました。その結果、フリーキャッシュフロー(営業活動による現金収入から設備投資を差し引いた額)は約59億ドルのマイナスでした。売上高と営業利益が増えていても、事業が生み出した現金より多くを設備へ再投資している状態です。
| 現金収支・投資 | 2026年4~6月期 | 意味 |
|---|---|---|
| 営業活動による現金収入 | 約391億ドル | 本業などから生み出した現金 |
| 設備投資 | 約449億ドル | サーバー・データセンターなどの取得 |
| フリーキャッシュフロー | 約-59億ドル | 営業CFで設備投資を賄い切れなかった額 |
資金負担の大きさは下期の投資計画からも分かります。米国証券取引委員会への提出資料によれば、2026年1~6月の設備投資は合計約806億ドルでした。通期計画1,950億~2,050億ドルとの差を取ると、7~12月に約1,144億~1,244億ドルの投資が必要です。これを単純に2四半期で割ると、1四半期当たり約572億~622億ドル。直近4~6月期の約449億ドルをさらに上回るペースになります。
この試算が示すのは、少なくとも設備投資負担が短期に軽くなる計画ではないということです。今後もクラウド利用の急増やAIモデルの提供で現金収入が伸びれば、大規模投資を回収する道筋は強まります。逆に設備の増設が先行するのに売上と営業キャッシュフローが追いつかなければ、投資資金の調達や株主還元の余力が重く見られるようになります。
したがって、今回の決算で強気に評価できるのは、設備投資を減らした場合だけではありません。高い投資額のもとでもGoogle Cloudの営業利益が伸び、経営陣が需要・稼働率・収益化の進捗を具体的に説明できれば、投資拡大は将来成長のための資本配分として評価できます。売上の伸びだけでなく、利益と現金収入への転換がどこまで進んだかが重要です。
アルファベットの決算後に株価はどう動く?
今回の株価反応は「売上高が増えたか」だけでは決まりません。市場はすでに連結売上高約1,279億ドル、Google Cloud売上高約292億ドルという高い成長を予想しています。大切なのは、その期待を超える業績が出るかと、予想を超えた成長が利益率や将来の現金収入にも波及するかです。
前回は売上高が好調でも株価が下落した理由
7月の前回決算では、売上高が市場予想を上回り、Google Cloudも前年同期比82%増という高成長を記録しました。それでも米国株の時間外取引では株価が下落しました。市場が懸念した主な要因は、設備投資計画が150億ドル引き上げられたことや、フリーキャッシュフローがマイナスになったことでした。
株価は今期だけでなく将来の利益とキャッシュフローへの期待で動きます。仮にクラウドの需要が強くても、設備投資・外部計算能力の利用料・減価償却費が想定以上に増えるなら、増収分がすぐに株主に帰属する利益へ変わるわけではありません。前回の株価下落は、強い売上成長そのものよりも、成長を実現するためのコストを市場が強く意識した結果と解釈できます。
上昇・下落の分かれ目は何か?
今回の株価を評価するときは、次のように実績と見通しを組み合わせると判断しやすくなります。
- 上昇要因
売上高が市場予想の約1,279億ドルを上回り、Google検索の広告収入も底堅い。さらにGoogle Cloudの売上高が約292億ドルを超え、利益率が予想の33.5%を上回れば、AI投資によって利益を増やす力が強まったと評価できる。 - 下落要因
連結売上高が増えてもGoogle検索が鈍化し、Google Cloudの利益率が市場予想を大きく下回る。加えて設備投資や将来の費用が上振れし、投資回収の説明が弱ければ、成長期待に対して利益や現金収入が追いつかないという見方が強まる。 - 数字が良くても評価が分かれる場合
Google Cloudの成長が想定を超えているのに利益率が低下した場合は、外部設備の一時的な利用増なのか恒常的な費用増なのかで判断が分かれる。単年度の費用増が将来の供給力を高める投資なら、利益成長の持続性を評価する余地がある。
重要度が高いのはクラウドの利益率と設備投資の見通しです。検索広告という安定した収益基盤が維持されていても、AIインフラの投資額が拡大する局面では、クラウドの営業利益が予想を上回るかどうかが将来の利益予想を動かしやすいためです。
決算発表後の株価はいつ確認できる?
10月28日(水)の米国通常取引終了後に決算リリースが公表されるため、決算直後の反応は日本時間10月29日(木)の早朝、米国株の時間外取引で確認できます。10月29日(木)の米国通常取引は日本時間同日22時30分に始まります。
時間外取引では、決算リリースの数字に反応した売買が先行します。その後、説明会でAI投資やGoogle Cloudの利益率について経営陣の発言が出ると、株価の評価が変わることもあります。最初の値動きだけを材料に判断せず、実績と説明会の見通しが整合しているかを確認するのが有効です。
アルファベットの決算は日本株にどう影響する?
アルファベットの業績は、米国の広告市場やAI向けインフラ投資の勢いを知る材料にもなります。特にAI設備投資の拡大は、データセンターで使う半導体、製造装置、光通信設備などの需要に波及します。日本企業への影響を考える際は、単に「AI関連株」という共通点ではなく、どの設備やサービスの需要につながるかを具体的に見ることが重要です。
半導体・製造装置関連株への影響
Google CloudのAI需要が拡大すれば、AIサーバーに使う高性能半導体や、Googleが独自開発するTPU(AI演算向けの専用半導体)などの供給を増やす必要が生じます。半導体の製造や検査には専用の装置が欠かせません。設備投資が増えれば、アドバンテストのような半導体検査装置メーカーや、東京エレクトロンのような製造装置メーカーに対する需要期待が高まります。
ただし、アルファベットが設備投資を1ドル増やした分がそのまま日本の装置メーカーの売上になるわけではありません。半導体メーカーによる生産能力の増強、使用する製造工程や検査の難しさ、発注時期といった条件を経て受注につながります。したがって、Google Cloudの需要拡大と併せて、半導体メーカー側の設備投資や装置メーカーの受注・販売見通しも確認することで、波及効果の大きさを判断できます。
データセンター・光通信関連株への影響
AIサーバーを増やすと、大量のデータを高速で送受信するための光ファイバーや光通信機器も必要になります。データセンター内だけでなく拠点間の通信容量も増えるため、AI設備投資は半導体そのもの以外のインフラにも広がります。
フジクラは2026年の決算資料で、北米の大規模データセンター向け需要や高密度光配線の拡大に言及しています。こうした事業を持つ企業では、アルファベットの投資拡大は顧客業界全体の需要の強さを示す材料になります。とりわけ設備投資計画の増額がサーバーだけでなくデータセンター建設やネットワーク増強に及ぶ場合は、光通信関連の需要期待を強めると考えられます。
日本のネット広告関連株への影響
Google検索の広告売上が強ければ、世界的に検索連動型広告への需要が維持されていることを示す材料になります。日本でも広告代理店や運用支援企業は、広告主が検索広告へ投じる予算と広告効果の変化の影響を受けます。サイバーエージェントはGoogle広告の運用に加え、AI検索への対応を支援する専門組織を2026年に設けました。
注目したいのは、従来型の検索広告が縮むかどうかだけではありません。AI検索が普及すると、広告主は検索結果に加えてAIによる回答の中で自社商品・サービスがどう扱われるかを重視するようになります。企業が広告運用やAI検索対策へ予算を振り向ければ、支援サービスに新しい需要が生まれます。アルファベットの広告収入とAI検索の収益化に関する説明は、日本のネット広告業界の変化を読む手掛かりになります。
まとめ
アルファベットの2026年7~9月期決算は、米国時間10月28日(水)の通常取引終了後に発表予定で、決算説明会は日本時間10月29日(木)午前5時30分から行われます。市場は売上高約1,279億ドル、EPS約3.03ドル、Google Cloud売上高約292億ドルを見込んでいます。
今回の決算では、Google検索の広告収入が伸びているかという基盤の強さに加え、Google Cloudが約90%の増収期待を満たし、営業利益率33.5%前後を維持できるかが最も重要です。さらに2026年の設備投資計画1,950億~2,050億ドルのもとで、クラウドの利益と現金収入がどこまで拡大するかも問われます。
売上高の上振れにクラウドの利益率改善と投資回収の進展が伴えば、AIへの巨額投資が将来利益を生むという評価が強まり、株価にとって有力な好材料になります。反対に売上成長だけが先行し、採算やフリーキャッシュフローの改善が見えなければ、好決算でも株価が伸び悩む原因になります。
出典
- アルファベット「2026年第3四半期決算説明会の開催案内」(2026年10月6日)
- アルファベット公式IRサイト
- アルファベット「2026年第2四半期決算発表資料」(2026年7月22日、SEC提出)
- アルファベット「2026年6月期Form 10-Q」(SEC提出)
- アルファベット「2025年第3四半期決算発表資料」(2025年10月29日、SEC提出)
- MarketBeat「Alphabet Q3 2026 Earnings Date & Estimates」(2026年10月下旬参照)
- S&P Global「Microsoft and Alphabet earnings previews」(2026年10月26日)
- Investopedia「Alphabet Q3 earnings preview」(2026年10月27日)
- Reuters「Google increases capex forecast again after cloud-driven quarterly beat」(2026年7月22日)
- S&P Global「Alphabet postQ: AI growth accelerates as spending weighs on cash flow」(2026年7月27日)
- フジクラ「2026年3月期決算短信・データセンター需要への言及」(2026年5月14日)
- サイバーエージェント「AI Search マーケティング事業本部を新設」(2026年6月10日)
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