マイクロソフトの2026年7~9月期決算の発表が近づいており、内容が気になる人もいるのではないでしょうか。
今回の決算は、生成AIの需要がマイクロソフトの売上高・利益にどこまで結びついているかを測る重要な機会です。市場では売上高約906億ドル、調整後の1株当たり利益約4.71ドルが予想されています。しかし、株価を左右するのは予想を上回るかどうかだけではありません。クラウドサービス「Azure」の成長、AI向け設備投資の採算性、次の四半期の見通しが、今回の評価を大きく分けると考えられます。
この記事では発表日程と業績予想を整理したうえで、前回決算との比較、注目すべき数字の読み方、マイクロソフト株と日本の関連銘柄への影響まで解説します。
※本記事は2026年10月27日時点の開示資料をもとに作成しています。
マイクロソフトの2026年7~9月期決算はいつ?
マイクロソフトは2026年10月7日、2027年度第1四半期の決算を米国時間10月28日(水)の通常取引終了後(日本時間では29日の午前5時以降)に公表すると発表しました。米国東部夏時間ではなく標準時間への切り替え前なので、決算説明会の米国太平洋時間午後2時30分は日本時間の翌29日午前6時30分にあたります。
| 項目 | 発表予定・内容 |
|---|---|
| 対象期間 | 2026年7月1日~9月30日 |
| 米国での発表日 | 2026年10月28日(水)、米国市場の取引終了後 |
| 日本での発表日 | 2026年10月29日(木)早朝 |
| 決算説明会 | 日本時間10月29日(木)午前6時30分開始 |
| 資料・説明会 | マイクロソフト公式IRサイトで公開・配信 |
決算資料が公開される正確な時刻は公表されていません。午前6時30分は決算説明会の開始時刻であり、決算資料そのものが公開される時刻ではありません。マイクロソフトの決算発表後は、公式IRサイトでプレスリリースと説明会資料を確認できます。
「2027年度第1四半期」という表記にも注意が必要です。マイクロソフトの会計年度は7月に始まり翌年6月に終わるため、2027年度第1四半期は2026年7~9月の業績を指します。
マイクロソフトの2026年7~9月期の業績予想は?
売上高・1株当たり利益の市場予想は?
10月27日時点で確認した市場予想は、売上高が約906億3,000万ドル、調整後1株当たり利益(EPS)が約4.71ドルです。前年同期の売上高は約776億7,000万ドル、調整後EPSは4.13ドルだったため、予想通りなら売上高は約16.7%増、調整後EPSは約14.0%増となります。
EPSとは、企業の利益を発行済み株式数で割って求める「1株当たり利益」です。
| 指標 | 前年同期の実績 | 今回の市場予想 | 予想ベースの増減 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 776億7,300万ドル | 約906億3,000万ドル | 約16.7%増 |
| 調整後EPS | 4.13ドル | 約4.71ドル | 約14.0%増 |
売上高が約17%増える予想は、大企業として高い成長ペースです。ただし、決算後の株価を考える場合、「前年より伸びた」という事実だけでは不十分です。投資家はその成長を事前に織り込んで株式を売買しているため、実際の売上高・利益が市場予想を上回るか、さらに次の四半期も成長が続くかが焦点になります。
また、集計会社によって予想値にはわずかな差があります。今回の記事では市場予想をMarketBeatの10月27日時点の表示で統一し、会計基準の異なるEPSを混在させないようにしています。
市場予想はマイクロソフトの会社予想と比べて高い?
マイクロソフトが7月29日の決算説明会で示した7~9月期の売上高見通しは、898億5,000万~909億5,000万ドルです。市場予想の約906億3,000万ドルは会社予想の範囲内ですが、中心値の904億ドルより約2億3,000万ドル高く、上限までの差は約3億2,000万ドルしかありません。つまり、市場は会社の見通しの中でも比較的強い数字を期待しています。
| 項目 | 売上高 |
|---|---|
| 会社予想・下限 | 898億5,000万ドル |
| 会社予想・中心値 | 904億ドル |
| 会社予想・上限 | 909億5,000万ドル |
| 市場予想 | 約906億3,000万ドル |
この位置関係から、仮に売上高が900億ドルに届いても、会社予想の範囲内である一方、市場予想には届かないケースが考えられます。企業が見通し通りに成長していても株価が下がる理由の一つは、こうした「会社が示した基準」と「投資家が期待している基準」の違いです。
今回からマイクロソフトは事業区分も変更します。新たな「Agents and Infra」の売上高見通しは751億5,000万~757億5,000万ドル、「Devices and Consumer」は147億~152億ドルです。主力のクラウド、AI、生産性ソフトウェアを含む前者の成長が、全社の業績をどの程度押し上げるかが重要になります。
マイクロソフトの前回決算はどうだった?
前回の2026年4~6月期決算では、売上高が900億ドル(前年同期比18%増)、営業利益が406億ドル(同18%増)となり、売上高・営業利益ともに2桁成長を維持しました。Azureとその他クラウドサービスの売上高も43%増と大きく伸びています。
| 主要指標 | 2026年4~6月期実績 | 前年同期比 |
|---|---|---|
| 売上高 | 900億ドル | 18%増 |
| 営業利益 | 406億ドル | 18%増 |
| 純利益(米国会計基準) | 358億ドル | 31%増 |
| EPS(米国会計基準) | 4.81ドル | 32%増 |
| 調整後EPS | 4.74ドル | 23%増 |
| Azureなどクラウドサービスの売上成長率 | 43%増 | — |
注目したいのは、AIへの巨額投資が続く中でも営業利益が増えた点です。営業利益率は約45%で、売上高の半分近くを本業の利益として残しました。マイクロソフトは2026年度通期のAzure売上高が初めて1,000億ドルを超えたとも説明しており、AI需要の拡大が事業規模の拡大につながっていることは確かです。
ただし、純利益やEPSの伸びをすべて本業の成長とみなすのは適切ではありません。前回はAnthropicへの投資に関連する評価益など、一時的な項目がEPSを合計0.27ドル押し上げました。今後の利益成長を判断するうえでは、投資関連の損益よりもAzureの売上成長と営業利益率の組み合わせが重要です。
さらに、前回の商用事業の未履行契約残高(RPO)は6,780億ドルに達し、前年同期比84%増でした。これは将来の契約に基づく未計上売上の残高を示す指標です。OpenAI関連を除く伸び率も25%だったため、需要の増加は一部の巨大AI企業だけに集中しているわけではありません。ただし、契約残高のすべてが次の四半期に売上になるわけではなく、契約期間に応じて順次計上されます。今後の成長を支える受注基盤と、実際の売上に変わる速度を分けて評価する必要があります。
マイクロソフトの10月29日決算で注目すべき5つのポイント
今回の決算で確認したいのは、AI需要の強さそのものよりも、需要が売上高・利益・キャッシュフローに転換される速度です。とくにAzureの成長率、設備投資額、Microsoft 365 Copilotの普及、事業区分の変更、次四半期の見通しの5点が判断を左右します。
Azureの成長率と売上高は期待に届く?
Azureは、企業がインターネット経由でサーバーやデータ処理能力を利用できるクラウド基盤です。生成AIの学習・推論には膨大な計算能力が必要になるため、企業がAIを本格導入するほどAzureの利用量が増えやすくなります。マイクロソフトは今回、新しい定義によるAzure売上高が為替変動の影響を除いて前年同期比44~45%増えると見込んでいます。
重要なのは、前回の43%増から1~2ポイント上がるかどうかだけではありません。9月に発表された報告方法の変更により、GitHubのクラウドサービスやSecurity Copilotなど一部の売上がAzureからMicrosoft 365クラウドへ移るため、前回までの「Azureとその他クラウドサービス」の伸び率と今回の新指標をそのまま比較すると誤解が生じます。会社が公表する組み替え後の前年同期の数字を使い、同じ定義で比較することが必要です。
今回からAzureの四半期売上高が独立して公表される点も大きな変化です。これまでは成長率が中心で、収益規模が見えにくい構造でした。実際の売上高と成長率がそろえば、Azureの増収額をより直接的に把握できます。AI向け投資が「成長率の高さ」だけでなく、「どれだけの売上を積み上げたか」で評価できるようになります。
投資判断としては、会社の44~45%成長という見通しを明確に上回り、次期見通しでも高成長が維持されれば、AI向け設備投資の回収に対する期待が高まります。逆に成長が鈍化し、経営陣が計算能力の不足ではなく需要の弱さに言及するなら、成長シナリオの見直し材料になります。前回は供給能力を増やすとすぐに利用が進んだと説明しており、この需要超過の状態が続いているかも重要です。
AI向け設備投資は利益と現金収支を圧迫する?
7~9月期の設備投資について、マイクロソフトは500億ドル超を見込んでいます。前回4~6月期は設備投資が410億ドルで、現金支出ベースの有形固定資産取得額は358億ドルでした。前回の営業キャッシュフローは554億ドル、フリーキャッシュフローは196億ドルです。
※フリーキャッシュフローとは、本業で得た現金から設備投資などを差し引いた、資金面の余力を見る指標です。
設備投資はすべてがその期の費用になるわけではありません。GPUやサーバーを購入すると現金が先に出ていき、損益計算書上は耐用年数に応じて減価償却費として計上されます。このため、短期的には売上高と営業利益が伸びても、現金収支が伸びにくくなることがあります。また、500億ドル超という見通しにはリース契約に関する会計上の扱いも影響するため、同額を現金流出額とみなしてはいけません。
なお、「投資額が大きいから悪材料」とは評価できません。マイクロソフトは前回、利用可能な計算能力を拡大した分が短期間で顧客利用につながったと説明しました。需要が供給を上回る間は、設備増強が将来の売上増を生む可能性が高くなります。一方、投資額が急増するのにAzureの増収ペースが鈍れば、減価償却費や電力費などの負担が収益性を圧迫します。
比較したいのは投資総額より、追加した計算能力が生む売上・粗利益と、営業利益率・現金収支の変化です。例えば売上高が約900億ドルの四半期では、営業利益率が1ポイント変わるだけで営業利益は約9億ドル変化します。設備投資とAzure成長を同じ方向に評価するには、利益率が大幅に悪化せず、新規設備の利用拡大が確認できることが重要です。
なお、マイクロソフトは2027年度からデータセンター関連資産の耐用年数の見積もりを変更し、一部のリース区分も変わると説明しています。したがって、今回の投資額が前四半期から増えた場合も、事業上の投資増と会計上の分類変更を分けて読む必要があります。
Microsoft 365 Copilotは収益拡大につながっている?
AzureがAIを動かすインフラであるのに対し、Microsoft 365 CopilotはWord、Excel、Teamsなどで利用するAI機能です。こちらは企業向けソフトウェアの継続課金収入を増やせるかが焦点になります。前回4~6月期の決算説明会で、有料利用席数は3,000万を超え、四半期中の有料席数の純増数も前四半期から倍以上に増えたと説明されました。
利用席数が増えれば料金収入が増えるだけでなく、高価格帯プランへの移行も進む可能性があります。既存のMicrosoft 365顧客に追加機能を販売できる点は、新規顧客を一から獲得するビジネスと異なり、販売網や顧客基盤を生かしやすい強みです。前回は、Copilotなどの上位製品がユーザー1人当たり平均売上高(ARPU)の成長を支えたと説明しています。
ただし、売上の増加だけで収益性まで判断できるわけではありません。Copilotの利用が増えると、AIモデルを動かす計算コストも増えます。投資家にとって望ましいのは、有料席数と顧客単価が上がり、計算効率の改善によって利益率も確保できる状態です。今回のMicrosoft 365商用クラウドの成長率に加え、経営陣が有料席数や利用量、粗利益率をどう説明するかが重要になります。
会社は新定義のMicrosoft 365商用クラウドについて、為替を除いた売上成長率を約17%と見込んでいます。前年の特殊な売上計上の影響を調整した場合は約18%です。AI機能の追加販売がこの成長をどれほど押し上げているかが、Azure以外のAI収益化を見極める材料になります。
新しい事業区分への変更で何が分かる?
マイクロソフトは2026年9月、2027年度から開示する事業区分を変更すると発表しました。従来の「Productivity and Business Processes」「Intelligent Cloud」「More Personal Computing」の3区分を、「Agents and Infra」と「Devices and Consumer」の2区分に再編します。
「Agents and Infra」にはAzureのほか、Microsoft 365、企業向けライセンス、法人向け支援サービスなどが含まれます。「Devices and Consumer」にはWindows、Xbox、検索広告などが含まれます。この変更により、企業向けAI・クラウド・ソフトウェアが生む売上高と利益を一つの大きな区分として捉えられるようになります。
ただし、AIの収益性が完全に独立して開示されるわけではありません。AI以外の成熟したソフトウェア事業も同じ区分に入るため、新区分の利益率が高いことだけをもってAI事業の採算性が高いとは言えません。Azureの独立した売上高、Microsoft 365の動き、区分全体の営業利益率を合わせて見ることで、成長の質を判断しやすくなります。
会社は過去の数値を新しい区分へ組み替えた資料も示しています。今回の実績を比較するときは必ず新しい区分同士で比較し、旧「Intelligent Cloud」と新「Agents and Infra」の売上高を直接比べて急増したと評価しないことが大切です。
次の2026年10~12月期の業績見通しは?
決算発表当日の株価は、7~9月期の実績よりも、2026年10~12月期の会社見通しに強く反応することがあります。株価にはすでに将来の利益成長への期待が織り込まれているため、今回の数字が好調でも「成長率のピークが近い」と受け取られれば、評価は変わります。
次の四半期で確認したいのは、売上高の見通しだけではありません。Azureの成長率が高水準を維持するのか、Microsoft 365の上位プラン販売が拡大するのか、設備投資と営業利益率をどのように想定しているのかが重要です。特に、Azureが好調でも全社利益率が大きく下がる見通しなら、AIの需要を増収として取り込む速度より費用増加が速いと考えられます。
反対に、設備投資が高水準でも売上高の成長が続き、営業利益率の低下が限定的であれば、投資回収に対する評価は高まります。今回の決算を受けた投資判断は、過去3か月の実績と次期ガイダンスを必ずセットで行うべきです。
マイクロソフトの決算で株価は上がる?下がる?
今回の株価を最も大きく左右するのは、Azureの成長が市場の期待を上回るか、巨額の設備投資に見合う利益成長が示されるかという2点です。売上高やEPSだけが市場予想を上回っても、将来の成長見通しが弱ければ、株価上昇が続くとは限りません。反対にEPSが一時的な費用で予想を下回っても、Azureの受注・利用拡大が確認されれば、中長期の成長期待が支えられる場合があります。
| 決算のシナリオ | 株価が反応する主な理由 |
|---|---|
| 強気:Azureが会社見通しを上回り、次期見通しも強い | AI需要の拡大と将来の増収・増益確度が高まり、成長期待を支えやすい |
| 中立:売上高・利益は予想並みで、利益率と見通しも据え置き | 市場が想定した成長を確認する結果で、株価は事前の期待や全体相場に左右されやすい |
| 弱気:Azureが伸び悩み、投資負担が利益率を圧迫 | 投資回収までの期間が長引くとの見方から、将来利益の評価が切り下がりやすい |
| 予想超えでも次期ガイダンスが弱い | 好材料が過去分にとどまり、先行きの利益予想が下がるため、売り材料になり得る |
10月27日時点での評価としては、マイクロソフトのAI投資が収益を生む事業基盤は強いと考えられます。前回はAzure関連売上が43%増え、営業利益率は約45%を維持し、巨額の設備投資を行った後も196億ドルのフリーキャッシュフローを確保したからです。計算能力を増強すると需要を取り込めたという会社の説明も、投資によって売上を増やせる段階にあることを示しています。ただし、強い事業基盤と決算後の株価上昇は同じではありません。今回の売上高予想は前年比約17%増で、その高成長がすでに期待されているため、追加的な株価上昇にはAzureの予想超過や将来見通しの上方修正が重要になります。
今回については、会社が示したAzure成長率44~45%(為替一定)の達成状況が第一の判断軸です。そのうえで、新たな投資が営業利益率とフリーキャッシュフローをどれだけ圧迫したか、次期のAzure成長見通しが強いかを確認します。AI投資が拡大しても売上と利益が並行して伸びるなら、強気の評価を支える内容です。反対に、Azure成長の失速と利益率の悪化が同時に起きれば、短期的な株価下落を警戒すべき決算と判断できます。
株価が時間外取引で動いた場合は、その値動きだけで理由を決めつけず、実績と市場予想の差、説明会で示された成長見通し、営業利益率の変化を照らし合わせることが重要です。
マイクロソフトの決算は日本株にも影響する?
マイクロソフトの設備投資は、クラウドサービスの提供だけで完結しません。計算能力を増強するには半導体、検査装置、製造装置、光通信設備、電力・冷却設備などが必要です。そのため、今回の決算は日本企業の業績見通しを考えるうえでも材料になります。
ただし、影響の大きさは企業によって異なります。半導体製造に関わる企業は「AI計算能力の増加→半導体需要→生産・検査装置への投資」という経路で恩恵を受け、データセンター向けの光通信企業は「サーバー増設→高速接続の増加→光部品需要」という経路で恩恵を受けます。実際にマイクロソフトと協業を公表している企業は、国内での事業化という別の観点から評価できます。
日本の半導体関連株への影響は?
半導体関連でまず注目したいのは、アドバンテストと東京エレクトロンです。両社がマイクロソフトの設備投資を直接受注するという意味ではなく、AI向け半導体の需要増が検査装置や製造装置の需要につながるためです。
アドバンテストは、完成した半導体が正常に動くかを検査するテスタを手掛けています。AI半導体は高速・複雑で、性能や品質を確かめる工程の重要性が高まります。実際、同社の2026年4~6月期売上高は3,675億円で前年同期比39.3%増、営業利益は1,900億円で53.3%増でした。会社は高性能AI半導体の生産数量増加と複雑化を成長要因として挙げ、2026年度の通期売上高予想を1兆7,140億円へ引き上げています。
この実績から、AI半導体の需要が検査装置メーカーの売上や利益に波及していることが分かります。マイクロソフトの決算でAI向け計算能力の需要超過が続いていると確認できれば、AI半導体の生産能力拡大と検査需要を支える材料となり、アドバンテストの成長シナリオに追い風です。特に、設備投資の増額だけでなくAzure利用量の拡大が示されれば、半導体需要の持続性を評価しやすくなります。
東京エレクトロンは、半導体の回路形成や薄膜加工などに使う製造装置を提供します。AIサーバー向けGPUや高帯域幅メモリー(HBM)の生産が増えれば、半導体メーカーは先端製造設備の増強を進めます。東京エレクトロンは2026年7月の説明資料で、世界の半導体製造装置市場について2026年に1,500億ドル以上、2027年に1,900億ドル以上を見込みました。AIデータセンター向けの装置需要が市場を牽引するとの見方です。
2社の違いは業績に反映される経路です。アドバンテストはAI半導体の生産数量増加・複雑化が検査需要に結びつきやすく、東京エレクトロンは半導体メーカーによる設備投資計画を通じて需要が波及します。今回のマイクロソフト決算からより直接的に確認できるのはクラウド利用需要と設備投資方針であり、その後の半導体メーカーの増産や設備発注が日本企業の業績を左右します。
日本のデータセンター関連株への影響は?
データセンター関連では、フジクラなどの光通信企業が注目されます。AIの学習・推論では多数のサーバーやGPUを連携させるため、大量のデータを高速でやり取りする光ファイバーや接続部品の重要性が高まります。計算能力の増強が続けば、半導体だけでなくネットワーク接続にも投資が必要になります。
フジクラは2026年9月公表の統合報告書で、生成AIを支えるデータセンター向けソリューションを成長分野として位置づけています。また、住友電気工業は2026年9月、AIデータセンター向けマルチコア光ファイバーの共通仕様策定を発表しました。データセンターの大規模化によって、光通信の高密度化という技術課題が新たな需要になっていることが分かります。
特にフジクラのような光部品企業については、Azureの需要拡大がデータセンターの建設・増強を促すほど、事業機会が広がると考えられます。ただし、光部品の売上は世界のデータセンター投資全体の影響を受けるため、マイクロソフト1社の決算だけで業績を予測するのではなく、同社自身の受注・販売状況と組み合わせて判断すると精度が上がります。
国内での実際の連携という点では、ソフトバンクとさくらインターネットも重要です。マイクロソフトは2026年4月、日本で2026~2029年に100億ドルを投資する計画を示しました。また、ソフトバンクおよびさくらインターネットとそれぞれ、Azureから国内のAI計算基盤を活用できるサービスの共同開発に向けた検討を開始しています。
これは単なる関連業種というだけでなく、マイクロソフトとの協業が公表されている事例です。もっとも、発表時点の内容は共同開発に向けた検討であり、売上高や利益額が確定した契約ではありません。投資家としては、サービス提供の開始、利用顧客の獲得、設備の稼働率、料金収入への寄与が公表されるかに注目したいところです。協業が実際の利用と継続収入に発展すれば、国内AI基盤事業の成長を裏付ける材料になります。
日経平均株価にも影響する?
マイクロソフトは日経平均株価の構成銘柄ではありません。それでも決算が東京市場に影響するのは、世界的なAI投資の持続性を判断する材料になるからです。米国市場の取引終了後に決算が公表され、日本では翌29日朝に内容を確認できるため、東京市場の寄り付き前に日本の投資家が評価を変える時間があります。
Azureの成長が強く設備投資も継続する見通しなら、AI半導体や光通信関連株には買い材料になりやすくなります。半導体関連の主力銘柄は日経平均への影響も大きいため、複数の銘柄が同時に買われれば指数を押し上げる方向に作用します。反対に、AI投資の減速や需要の失速を示す内容なら、関連銘柄に売りが広がるシナリオが考えられます。
もっとも、日経平均全体の上昇・下落は米国株の動きだけで決まるわけではありません。為替、金利、日本企業固有の決算なども株価に影響します。今回の決算を受けて日本株を評価する場合は、日経平均の方向だけを見るより、まずアドバンテスト、東京エレクトロン、フジクラなどの関連銘柄にどの程度の反応が出たかを確認するほうが、AI投資の材料が市場にどう受け止められたかを判断しやすくなります。
まとめ
マイクロソフトの2026年7~9月期決算は、米国時間10月28日(水)の市場終了後、日本時間では10月29日(木)早朝に発表されます。決算説明会は日本時間29日午前6時30分開始です。市場予想は売上高約906億3,000万ドル、調整後EPS約4.71ドルで、会社の売上高見通しの上寄りに位置しています。
今回の投資判断で中心になるのは、Azureが会社の44~45%成長見通しをどの程度上回るか、500億ドル超の設備投資に対して営業利益率と現金収支が維持されるか、そして10~12月期の成長見通しが強いかです。この3点がそろって改善すれば、AI投資が利益成長につながっているとの評価が強まりやすくなります。逆にAzureの伸び悩みと投資負担による利益率悪化が重なれば、成長期待の見直しが株価の重荷になると考えられます。
日本株については、AI半導体の検査・製造装置を手掛けるアドバンテストと東京エレクトロン、光通信のフジクラなどが需要拡大の影響を受ける企業として注目されます。ソフトバンクやさくらインターネットでは、マイクロソフトとの協業が実際のサービス収入につながるかが別の評価ポイントになります。決算当日は数字の良し悪しだけでなく、AI需要がどの企業の利益にどの経路で結びつくのかまで確認することが重要です。
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