ホンダ(本田技研工業)の決算はいつ?2027年3月期1Qの予想・注目点を解説

「ホンダの次回決算はいつ?」「前期の赤字から回復できそう?」と気になっている人も多いのではないでしょうか。

ホンダは2026年3月期にEV戦略の見直しに伴う多額の損失を計上し、営業赤字・最終赤字となりました。ただし、EV関連損失を除いた調整後営業利益は1兆円を超えており、本業まで赤字だったわけではありません。

二輪事業は過去最高の販売台数と営業利益を記録した一方、四輪事業の収益改善は引き続き大きな課題です。また、市場コンセンサスは会社予想を上回っているため、黒字転換するだけでなく、市場期待に届く利益を確保できるかが注目されます。

本記事では、ホンダの次回決算の日程、2027年3月期の業績予想、市場コンセンサス、販売計画、決算で確認したい重要KPIを解説します。

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目次

ホンダの次回決算はいつ?

項目内容
決算2027年3月期第1四半期
発表日2026年8月5日(水)
資料公開15時30分予定
決算説明15時35分予定
証券コード7267
決算期3月

ホンダの次回決算は、2026年8月5日(水)に発表される予定です。

適時開示と決算説明会資料は15時30分、決算説明は15時35分に公開される予定となっています。

今回発表されるのは、2026年4月から6月までを対象とする2027年3月期第1四半期決算です。発表日と時間は、ホンダの公式IRサイトで公表されています。

株式市場の取引終了後に発表されるため、決算内容を受けた株価の本格的な反応は翌営業日に表れやすいでしょう。ただし、決算発表後のPTSでは大きく動く可能性があります。

決算発表後には、主に次の資料が公開される予定です。

  • 決算短信
  • 決算説明会資料
  • 決算説明会資料のスクリプト
  • 決算参考資料
  • 決算説明会動画

決算直後は表面上の営業利益だけでなく、次の項目を確認することが重要です。

  • EV関連損失を除いた調整後営業利益
  • 二輪事業の営業利益と利益率
  • 四輪事業の営業損益
  • 金融サービス事業の利益
  • 地域別の販売台数
  • 米国関税や為替の影響
  • 設備投資とキャッシュフロー

特に、EV関連損失の縮小による黒字転換と、本業の収益改善を分けて評価する必要があります。

ホンダの次回決算予想

項目2027年3月期予想前期実績
売上収益23兆1,500億円21兆7,966億円
営業利益5,000億円4,143億円の赤字
営業利益率2.2%1.9%の赤字
調整後営業利益1兆円1兆393億円
調整後営業利益率4.3%4.8%
税引前利益5,000億円4,033億円の赤字
親会社帰属利益2,600億円4,239億円の赤字
EV関連損失5,000億円1兆4,536億円
設備投資1兆2,500億円7,513億円
研究開発支出1兆1,700億円1兆1,748億円
年間配当70円70円
為替前提1ドル145円1ドル151円

ホンダは2027年3月期について、売上収益23兆1,500億円、営業利益5,000億円、税引前利益5,000億円を予想しています。

親会社の所有者に帰属する利益は2,600億円となる見通しです。

前期は営業損失4,143億円、親会社帰属損失4,239億円でしたが、今期はEV関連損失の縮小によって黒字へ転換する計画です。

一方、EV関連損失を除いた調整後営業利益は、前期の1兆393億円から1兆円へ減少する予想です。

したがって、表面上は大幅に改善するものの、実力ベースでは小幅減益を見込んでいることになります。

表面上は黒字転換を予想

2027年3月期の営業利益は、前期の4,143億円の赤字から5,000億円の黒字へ転換する予想です。

親会社帰属利益も、4,239億円の赤字から2,600億円の黒字へ改善する計画となっています。

大幅な利益改善につながる最大の要因は、EV関連損失の縮小です。

前期のEV関連損失は1兆4,536億円でしたが、今期は5,000億円まで減少する見通しです。

差額は約9,536億円となり、営業利益の改善幅9,143億円を上回ります。

つまり、表面上の黒字転換は、本業の利益が急激に増えるというより、前期に発生した巨額のEV関連損失が縮小する影響が中心です。

次回決算では、営業利益だけでなく、次の数字を分けて確認しましょう。

  • 表面上の営業利益
  • 当四半期に計上したEV関連損失
  • EV関連損失を除いた調整後営業利益
  • 調整後営業利益率
  • 事業別の営業利益

黒字転換したという結果だけで、本業の収益性が改善したと判断しないことが重要です。

調整後営業利益はわずかに減少

2027年3月期の調整後営業利益は1兆円を予想しています。

前期の1兆393億円から393億円減少する計画です。

販売台数の増加や事業効率の改善が利益を押し上げる一方、次の要因が利益を押し下げるとみられます。

  • 円高
  • 材料価格の上昇
  • 人件費などの諸経費
  • 品質関連費用
  • 研究開発費
  • 新機種や生産設備への投資

二輪事業は販売増加が見込まれていますが、四輪事業では中国やアジアの販売減少、北米の関税負担、販売奨励金などが収益を圧迫する可能性があります。

そのため、表面上は黒字へ転換しても、EV関連損失を除いた実力ベースでは小幅減益です。

次回決算では、調整後営業利益が前年同期を上回り、通期1兆円の達成に向けて順調に進んでいるかを確認しましょう。

市場予想は会社予想を上回る

項目会社予想市場予想差額
売上収益23兆1,500億円約23兆1,622億円約122億円
営業利益5,000億円約5,754億円約754億円
税引前利益5,000億円約6,592億円約1,592億円
親会社帰属利益2,600億円約4,064億円約1,464億円

2026年7月17日時点の市場コンセンサスは、会社予想を上回る利益を見込んでいます。

売上収益については、会社予想23兆1,500億円に対して、市場予想は約23兆1,622億円です。差額は約122億円にとどまり、売上高の見方に大きな差はありません。

一方、利益予想には大きな差があります。

営業利益の市場予想は約5,754億円で、会社予想を約754億円上回っています。

税引前利益は会社予想5,000億円に対して市場予想が約6,592億円、親会社帰属利益も会社予想2,600億円に対して約4,064億円です。

市場では、次のような上振れが期待されている可能性があります。

  • EV関連損失が会社想定より少なくなる
  • 四輪事業のコスト改善が進む
  • 二輪事業の好調が続く
  • 米国関税の影響を抑えられる
  • 円安が利益を押し上げる
  • 金融サービス事業が安定利益を確保する

会社予想どおりに黒字転換しても、市場コンセンサスを下回れば、期待に届かなかったとして株価が売られる可能性があります。

前年同期比だけでなく、市場予想との比較が重要です。

なお、市場コンセンサスはアナリスト予想の変更によって随時変動します。

二輪は過去最高、四輪はほぼ横ばいの販売計画

事業2027年3月期販売計画前期比
二輪2,280万台69万9,000台増
四輪339万台3,000台増
パワープロダクツ365万台6万1,000台増

二輪事業は、前期から69万9,000台増となる2,280万台の販売を計画しています。

インドやブラジルを中心に販売台数を伸ばし、過去最高を更新する見通しです。

一方、四輪事業の販売計画は339万台で、前期から3,000台増にとどまります。

北米ではICE車とHEVを中心に約10万台の販売増加を計画していますが、中国を含むアジアでは減少を見込んでいます。

四輪事業は地域によって状況が大きく異なるため、全体の販売台数だけでなく、次の点を確認する必要があります。

  • 北米のHEV販売台数
  • 中国の販売減少幅
  • 地域別の商品構成
  • 販売奨励金
  • 車両1台あたりの採算性
  • 工場の稼働率

パワープロダクツ事業は、前期から6万1,000台増となる365万台を計画しています。

販売台数の増加が、実際の営業利益へつながっているかが重要です。

年間配当は70円を維持

ホンダは2027年3月期の年間配当について、1株あたり70円を予想しています。

内訳は、中間配当35円、期末配当35円です。

前期と同額となり、赤字決算後も配当を維持する方針です。

ホンダは調整後DOE3%を目安として、安定的かつ継続的な配当を行う方針を示しています。
一方、会社予想の1株あたり利益は66.79円であり、年間配当70円を上回りません。会社予想ベースの配当性向は100%を超える計算です。

そのため、配当を評価する際は純利益だけでなく、次の項目を確認する必要があります。

  • 調整後営業利益
  • R&D調整後営業キャッシュ・フロー
  • 設備投資
  • 研究開発支出
  • ネットキャッシュ
  • 配当総額
  • 調整後DOE

利益が会社計画を下回っても年間70円を維持できるだけのキャッシュ創出力があるかが注目されます。

ホンダの次回決算で注目したいポイント

ホンダの次回決算で注目したいポイント
注目点確認する内容
税引前利益1Q市場予想3,156億円を上回れるか
調整後営業利益EV関連損失を除いた実力値
EV関連損失年間5,000億円に対する進捗
二輪事業販売台数・営業利益率
四輪事業赤字縮小・黒字化への進捗
北米ICE・HEV販売、関税影響
中国・アジア販売減少と事業再編
金融サービス営業利益と信用コスト
為替1ドル145円との差
原価材料価格・品質関連費用
設備投資年間1兆2,500億円の進捗
キャッシュフロー投資・配当を賄えるか

ホンダの次回決算では、表面上の黒字転換だけでなく、EV関連損失を除いた本業の収益性を確認する必要があります。

特に、好調な二輪事業が高い利益率を維持できているか、四輪事業の赤字をどこまで縮小できたかが重要です。

1Q税引前利益3,156億円を上回れるか

市場が予想する2027年3月期第1四半期の税引前利益は、約3,156億円です。

前年同期の税引前利益は約2,923億円だったため、市場は前年同期比で約8%の増益を予想しています。

仮に税引前利益が前年同期を上回っていても、3,156億円を下回れば、市場期待に届かなかったと評価される可能性があります。

次回決算では、次の3つを比較しましょう。

  • 前年同期実績の約2,923億円
  • 第1四半期コンセンサスの約3,156億円
  • 通期会社予想5,000億円に対する進捗

ただし、第1四半期の税引前利益だけで通期の進捗を単純に判断するのは適切ではありません。

ホンダの税引前利益には、次の要因も反映されます。

  • 金融収益・金融費用
  • 為替差損益
  • 持分法による投資損益
  • 一過性の損益
  • 金融サービス事業の影響

本業の状況は営業利益と調整後営業利益で確認し、営業外損益まで含めた利益を税引前利益で確認します。

前年同期比で増益か、市場予想を上回ったか、増益の中身は何かを分けて評価しましょう。

EV関連損失が計画内に収まるか

ホンダは2027年3月期に、5,000億円のEV関連損失を見込んでいます。

前期の1兆4,536億円からは大幅に縮小する計画ですが、依然として全社利益を大きく押し下げる金額です。

EV関連損失には、主に次の項目が含まれる可能性があります。

  • EVモデルの開発資産
  • EV関連の研究開発費
  • 北米EV事業に関する損失引当
  • EV生産設備の減損
  • 電池関連資産の評価損
  • 設備や開発資産の除却
  • EV関連会社の持分法損失

次回決算では、第1四半期にどの程度のEV関連損失を計上したかを確認します。

単純に年間5,000億円を4等分した1,250億円が一つの目安ですが、減損や引当金は特定の四半期に集中して計上されることがあります。

そのため、進捗率だけで判断せず、損失の内容と今後の追加発生リスクを確認する必要があります。

新たな開発中止や設備見直しによって追加の減損・除却が発生すれば、黒字転換の計画に影響します。

EV関連損失が5,000億円の計画内に収まり、追加損失の懸念が後退しているかが重要です。

調整後営業利益が増えているか

ホンダの本業を評価する際は、表面上の営業利益からEV関連損失を除いた調整後営業利益を確認する必要があります。

前年の第1四半期は、表面上では営業利益が大幅に減少しました。

一方、EV一過性費用と関税影響を除くと、営業利益は前年同期から61億円増加していました。

つまり、会計上は減益でも、一過性要因を除いた事業の利益はわずかに増加していたことになります。

2027年3月期の通期調整後営業利益は1兆円で、前期の1兆393億円から小幅に減少する計画です。

次回決算では、次の増減要因を確認しましょう。

  • 販売台数と商品構成
  • 販売奨励金
  • 商品価格の改定
  • 原価低減
  • 関税影響
  • 為替影響
  • 材料価格
  • 品質関連費用
  • 研究開発費

販売台数が増えていても、販売奨励金や材料費が増加すれば、利益率が低下する可能性があります。

調整後営業利益の金額だけでなく、調整後営業利益率が改善しているかを確認しましょう。

二輪事業の利益率を維持できるか

ホンダは2027年3月期に、二輪車を2,280万台販売する計画です。

インドやブラジルを中心に販売台数を伸ばし、前期に続いて過去最高を更新する見通しです。

2026年3月期の二輪事業は、営業利益7,319億円、営業利益率18.2%を記録しました。

営業利益の金額では、ホンダ全体を支える最大の収益源となっています。

次回決算では、次の点を確認しましょう。

  • 二輪の販売台数
  • インドの販売状況
  • ブラジルの販売状況
  • 二輪事業の売上収益
  • 二輪事業の営業利益
  • 営業利益率
  • 商品価格の改定
  • 原価低減
  • 為替影響
  • 品質関連費用

販売数量が増加しても、低価格帯の車種が中心となれば、利益率が低下する可能性があります。

また、インドでの生産能力拡大に伴って、固定費や減価償却費が増える可能性もあります。

販売台数の増加と18%前後の高い営業利益率を両立できるかが重要です。

四輪事業の赤字を縮小できるか

2026年3月期の四輪事業は、1兆4,111億円の営業赤字となりました。

EV関連損失1兆4,536億円が大きく影響していますが、EV損失を除いた調整後営業利益は425億円にとどまっています。

四輪事業の売上収益は14兆円を超えているため、調整後ベースでも利益率は非常に低い状態です。

前年の第1四半期も、四輪事業は296億円の営業赤字でした。

次回決算では、次の項目を確認する必要があります。

  • EV関連損失を除いた四輪営業利益
  • 北米のICE・HEV販売
  • 中国・アジアの販売台数
  • 販売奨励金
  • 車両価格の改定
  • 材料価格
  • 研究開発費
  • 品質関連費用
  • 原価低減
  • 工場の稼働率

EV関連損失が減少するだけでなく、通常の自動車販売で十分な利益を確保できるかが重要です。

四輪事業が調整後ベースで黒字を維持し、利益率を改善できるかが今期最大の課題です。

北米のHEV販売と関税影響

ホンダは2027年3月期に、北米の四輪販売台数を前期から約10万台増やす計画です。

EVだけでなく、ICE車とHEVを中心に販売を強化します。

主な販売車種として、次のモデルが挙げられます。

  • CR-V
  • Civic
  • Accord
  • HR-V
  • Pilot
  • Acuraブランドの各モデル

米国ではEV需要の成長が想定より緩やかになる一方、燃費性能の高いHEVへの需要が拡大しています。

次回決算では、次の点を確認しましょう。

  • 北米の四輪販売台数
  • HEVの販売台数
  • HEVの販売構成比
  • 車種別の販売動向
  • 販売奨励金
  • 車両価格の改定
  • 米国関税の影響額
  • 現地調達率
  • 生産移管の進捗

関税負担を車両価格へ転嫁できなければ、販売台数が増えても利益率が低下する可能性があります。

一方、生産移管や現地調達の拡大によって関税負担を抑えられれば、収益改善につながります。

北米での販売増加が、関税負担を上回る利益成長につながっているかを確認しましょう。

中国・アジアの販売減少が止まるか

ホンダは2027年3月期に、アジアの四輪販売台数が前期から11万4,000台減少すると予想しています。

このうち、中国の減少は10万8,000台となる見通しです。

中国市場では、現地メーカーによるEVやPHEVの販売が拡大し、価格競争も激しくなっています。

ホンダにとっては、販売台数の減少だけでなく、販売価格や工場稼働率の低下も収益を圧迫する要因です。

次回決算では、次の点を確認しましょう。

  • 中国の販売台数
  • 中国の在庫台数
  • 販売奨励金
  • 工場の稼働率
  • EV・PHEV・HEVの商品構成
  • 新モデルの投入時期
  • 中国事業の再編
  • 工場閉鎖や人員削減に伴う費用
  • ASEAN市場の販売動向

モデルチェンジによって販売を下支えできるか、中国メーカーとの価格競争を避けながら採算を確保できるかが重要です。

販売減少が続けば、工場稼働率の低下や追加の事業再編費用につながる可能性があります。

金融サービスが利益を下支えできるか

2026年3月期の金融サービス事業は、2,755億円の営業利益を確保しました。

金融サービス事業では、主に自動車を購入する顧客に対してローンやリースを提供しています。

四輪事業の販売台数が減少しても、金融債権から安定した利息収入を確保できれば、全社利益を下支えできます。

一方、金利上昇や景気悪化は、次のようなリスクにつながります。

  • 資金調達費用の増加
  • ローン需要の減少
  • 延滞率の上昇
  • 貸倒引当金の増加
  • リース車両の残価下落
  • 中古車価格の下落

次回決算では、次の指標を確認しましょう。

  • 金融サービス事業の売上収益
  • 営業利益
  • 営業利益率
  • 金融債権残高
  • 資金調達費用
  • 延滞率
  • 貸倒引当金
  • リース車両の残価

四輪販売が伸び悩むなかでも、金融サービスが安定した利益を確保できているかが重要です。

為替と材料価格の影響

ホンダの2027年3月期業績予想は、1ドル145円を前提としています

前期の実績は1ドル151円だったため、今期は6円の円高を想定しています。

海外売上が多いホンダにとって、円高は海外で稼いだ利益の円換算額を押し下げる要因です。

反対に、会社前提より円安で推移すれば、利益を押し上げる可能性があります。

ただし、為替だけでなく、次の費用にも注意が必要です。

  • 鉄鋼や樹脂などの材料価格
  • 半導体や電子部品の調達費用
  • 人件費
  • 物流費
  • 品質関連費用
  • 販売奨励金
  • 研究開発費

ホンダは価格改定や原価低減によって、材料費や人件費の増加を吸収する必要があります。

決算では、為替による利益の増減と、本業のコスト改善を分けて評価しましょう。

円安によって利益が増えていても、販売台数や事業利益率が悪化していれば、本業が改善したとはいえません。

設備投資1兆2,500億円は適切か

ホンダは2027年3月期に、1兆2,500億円の設備投資を計画しています。

前期の7,513億円から約5,000億円増加する大規模な投資計画です。

主な投資対象として、次の項目が考えられます。

  • 新機種の生産設備
  • 四輪工場の改修
  • ICE・HEVの生産能力
  • EV・電池関連設備
  • 研究開発施設
  • 二輪の生産能力
  • デジタル化・生産効率化

EV戦略を見直した後も、すでに進行している設備投資や将来に向けた研究開発は継続します。

一方、需要が想定を下回れば、設備の稼働率が上がらず、減価償却費が利益を圧迫する可能性があります。

次回決算では、次の点を確認しましょう。

  • 設備投資額の進捗
  • 投資対象となる事業
  • EVとICE・HEVへの投資配分
  • 工場の稼働率
  • 投資後の減価償却費
  • 営業キャッシュ・フロー
  • R&D調整後営業キャッシュ・フロー
  • ネットキャッシュ

設備投資と研究開発、年間70円の配当をキャッシュフローの範囲内で賄えるかが重要です。

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ホンダの前年の第1四半期決算を確認

項目2026年3月期1Q前年同期比
売上収益5兆3,402億円1.2%減
営業利益2,441億円49.6%減
営業利益率4.6%4.4ポイント低下
税引前利益2,923億円47.7%減
親会社帰属利益1,966億円50.2%減
R&D調整後営業CF5,830億円1,480億円増
米ドル145円11円円高

前年の2026年3月期第1四半期決算では、売上収益が前年同期比1.2%減の5兆3,402億円、営業利益が49.6%減の2,441億円となりました。

税引前利益は47.7%減、親会社の所有者に帰属する利益も50.2%減となり、表面上は大幅な減益決算です。

ただし、営業利益を押し下げた主な要因は、EV戦略の見直しに伴う一過性費用や米国関税、円高でした。

EV一過性費用と関税影響を除いた営業利益は、前年同期比で1.3%増加しています。

そのため、表面上の営業利益だけでなく、一過性費用を除いた実力値を確認することが重要です。

EV一過性費用と関税で営業利益が半減

2026年3月期第1四半期の営業利益は、前年同期比49.6%減の2,441億円でした。

営業利益率も前年同期から4.4ポイント低下し、4.6%となっています。

大幅減益となった主な要因は、次のとおりです。

  • EV戦略見直しに伴う一過性費用:1,220億円
  • 米国関税による影響:1,246億円
  • 円高による影響:861億円
  • 品質関連費用や諸経費の増加
  • 四輪事業の収益性低下

EV一過性費用は、EVモデルの開発計画や生産設備の見直しなどに伴って発生しました。

また、米国関税も四輪事業を中心に利益を押し下げています。

前年同期の平均為替レートと比べて11円の円高となったことも、海外で稼いだ利益の円換算額を減少させる要因となりました。

一方、EV一過性費用と関税影響を除いた営業利益は、前年同期から61億円増加しています。

つまり、表面上では営業利益が半減したものの、特殊要因を除いた本業ベースでは小幅増益でした。

次回決算でも、次の数字を分けて確認しましょう。

  • 表面上の営業利益
  • EV関連の一過性費用
  • 関税による減益影響
  • 為替による影響
  • 一過性要因を除いた営業利益
  • 調整後営業利益率

二輪は増益、四輪は赤字

事業売上収益営業利益営業利益率
二輪9,515億円1,890億円19.9%
四輪3兆5,439億円296億円の赤字0.8%の赤字
金融サービス8,326億円850億円10.2%
パワープロダクツ等928億円2億円の赤字0.2%の赤字

2026年3月期第1四半期は、二輪事業が全社利益を支えた一方、四輪事業は営業赤字となりました。

二輪事業の売上収益は9,515億円、営業利益は1,890億円です。

営業利益率は19.9%となり、高い収益性を維持しました。

ブラジルやベトナムを中心に販売台数が増加したほか、商品価格の改定や原価低減も利益に寄与しています。

一方、四輪事業は売上収益3兆5,439億円に対して、296億円の営業赤字となりました。

四輪事業では、主に次の要因が利益を押し下げています。

  • EV戦略見直しに伴う一過性費用
  • 米国関税
  • 円高
  • 中国・アジアでの販売減少
  • 品質関連費用
  • 販売奨励金
  • 研究開発費

金融サービス事業は850億円の営業利益を確保し、営業利益率も10.2%となりました。

自動車ローンやリースによる安定した利益が、四輪事業の赤字を一部補っています。

事業別に見ると、次のような構造です。

  • 二輪事業が高い利益率で全社利益を支える
  • 四輪事業はEV関連費用と関税で赤字
  • 金融サービスが安定利益を確保
  • パワープロダクツ等は小幅な赤字

次回決算では、二輪事業の高い利益率を維持しながら、四輪事業の赤字を縮小できるかが重要です。

キャッシュフローは改善

2026年3月期第1四半期の事業会社における営業キャッシュ・フローは、3,900億円となりました。

フリーキャッシュ・フローは2,940億円です。

さらに、研究開発支出を調整したR&D調整後営業キャッシュ・フローは5,830億円となり、前年同期から1,480億円増加しました。

会計上の営業利益や純利益は大幅に減少しましたが、現金創出力は改善しています。

一過性費用には現金支出を伴わない減損や引当金が含まれる場合があるため、会計上の利益とキャッシュフローの動きが異なることがあります。

ホンダの決算では、主に次のキャッシュフローを確認しましょう。

  • 事業会社の営業キャッシュ・フロー
  • フリーキャッシュ・フロー
  • R&D調整後営業キャッシュ・フロー
  • 設備投資額
  • 研究開発支出
  • 配当総額
  • ネットキャッシュ

キャッシュフローが安定していれば、表面上の利益が減少しても、設備投資や研究開発、配当を継続できる可能性があります。

一方、設備投資が急増するなかでキャッシュフローが悪化すれば、財務余力が低下する可能性があります。

年間70円の配当と1兆円を超える設備投資・研究開発を賄えるかを確認しましょう。

ホンダの前回の本決算はどうだった?

項目2026年3月期前期比
売上収益21兆7,966億円0.5%増
営業損失4,143億円赤字転落
調整後営業利益1兆393億円黒字
税引前損失4,033億円赤字転落
親会社帰属損失4,239億円赤字転落
EV関連損失1兆4,536億円大幅増
R&D調整後営業CF2兆6,579億円前期並み
年間配当70円2円増配

ホンダの2026年3月期決算は、売上収益が前期比0.5%増の21兆7,966億円となりました。

一方、EV戦略の見直しに伴う巨額の損失を計上したことで、営業損失は4,143億円、親会社帰属損失は4,239億円となっています。

ただし、EV関連損失を除いた調整後営業利益は1兆393億円の黒字でした。

そのため、表面上の赤字と継続事業の利益を分けて評価する必要がある決算です。

EV関連損失で最終赤字

2026年3月期の売上収益は、前期比0.5%増の21兆7,966億円でした。

売上収益は増加したものの、営業損失は4,143億円、税引前損失は4,033億円、親会社帰属損失は4,239億円となりました。

赤字転落の主な要因は、1兆4,536億円のEV関連損失です。

EV関連損失には、主に次の費用が含まれます。

  • EVモデルの開発計画見直し
  • 開発資産の減損
  • 生産設備の減損・除却
  • 北米EV事業に関する損失引当
  • 電池関連資産の評価見直し
  • EV関連投資の回収可能性見直し

ホンダはEV需要の拡大時期が当初想定より遅れると判断し、EVへの投資計画や商品戦略を見直しました。

その結果、過去に計上した開発費や設備投資の一部について、将来の回収が難しいとして損失を計上しています。

一方、EV関連損失を除いた調整後営業利益は1兆393億円の黒字でした。

表面上は巨額赤字でも、二輪や金融サービスを中心とする継続事業は利益を確保しています。

決算を評価する際は、次の項目を分けて確認しましょう。

  • 営業利益・営業損失
  • EV関連損失
  • 調整後営業利益
  • 調整後営業利益率
  • 二輪事業の営業利益
  • 四輪事業の調整後損益
  • 金融サービス事業の利益

二輪事業は過去最高

2026年3月期の二輪販売台数は、2,210万台となりました。

営業利益は7,319億円、営業利益率は18.2%です。

販売台数と営業利益はいずれも高い水準となり、二輪事業がホンダ全体の利益を支えました。

特に販売が伸びた地域は、次のとおりです。

  • インド
  • ブラジル
  • ベトナム
  • インドネシア
  • その他のアジア地域

新興国では移動手段として二輪車への需要が強く、人口増加や所得水準の上昇も市場拡大を後押ししています。

また、価格改定や原価低減によって、高い営業利益率を確保しました。

一方、販売台数が増えても、低価格帯の車種比率が高まれば、1台あたりの利益が低下する可能性があります。

為替や材料価格、品質関連費用も利益率を左右します。

次回決算では、次の点を確認しましょう。

  • 二輪販売台数
  • 地域別の販売状況
  • 売上収益
  • 営業利益
  • 営業利益率
  • 商品価格
  • 原価低減
  • 生産能力の増強

過去最高の販売台数を更新しながら、18%前後の利益率を維持できるかが注目されます。

四輪事業の立て直しが最大の課題

2026年3月期の四輪販売台数は338万7,000台でした。

四輪事業の営業損失は1兆4,111億円です。

EV関連損失の影響が大きいものの、EV関連損失を除いた調整後ベースでも収益性は低い状態です。

四輪事業の主な課題は、次のとおりです。

  • 中国・ASEANでの販売減少
  • 北米の関税負担
  • EV関連の研究開発費
  • 品質関連費用
  • 販売奨励金
  • 材料価格の上昇
  • 円高
  • 工場稼働率の低下

北米ではCR-VやCivic、AccordなどのICE車・HEVへの需要が期待されています。

一方、中国では現地メーカーとの価格競争が激しく、EVやPHEVを中心に市場構造が大きく変化しています。

販売台数を維持するために販売奨励金を増やせば、売上は確保できても利益率が低下する可能性があります。

次回決算では、EV関連損失の縮小だけでなく、通常の自動車販売で利益を確保できる体質へ改善しているかを確認する必要があります。

配当70円を維持

ホンダの2026年3月期の年間配当は、1株あたり70円となりました。

前期から2円の増配です。

営業赤字・最終赤字となったにもかかわらず、配当を維持・増額しました。

2027年3月期についても、年間70円の配当を予想しています。

ホンダは、調整後DOE3%を目安として、安定的かつ継続的な配当を行う方針です。

DOEは、株主資本に対してどの程度の配当を支払ったかを示す指標です。

純利益が一時的に減少しても、株主資本やキャッシュフローを基準に配当を決めるため、業績変動の影響を受けにくい特徴があります。

一方、赤字が長期化し、キャッシュフローが悪化すれば、安定配当の維持が難しくなる可能性があります。

決算では、次の項目を確認しましょう。

  • 年間配当予想
  • 調整後DOE
  • R&D調整後営業キャッシュ・フロー
  • 配当総額
  • ネットキャッシュ
  • 設備投資
  • 研究開発支出

赤字でも配当を維持できるだけのキャッシュ創出力と財務余力があるかが重要です。

ホンダの決算で確認したい指標

ホンダの決算では、売上収益や営業利益だけでなく、EV関連損失を除いた調整後利益や、二輪・四輪の事業別収益を確認する必要があります。

また、世界各地で事業を展開しているため、販売台数を地域別に確認することも重要です。

表面上の利益と調整後利益を分ける

ホンダの決算では、EV戦略の見直しや生産設備の減損などによって、大きな一過性費用が発生することがあります。

また、米国関税など、通常の販売活動とは異なる要因も利益を押し下げます。

決算では、次の項目を分けて確認しましょう。

  • 営業利益
  • EV関連損失
  • 減損損失
  • 設備や開発資産の除却
  • 関税影響
  • 調整後営業利益
  • 調整後営業利益率

表面上の営業利益は、すべての損益を含んだ会計上の利益です。

一方、調整後営業利益は、EV関連の一過性費用などを除いて、本業の実力を確認するために使われます。

営業利益が黒字へ転換していても、EV関連損失が減少しただけで、調整後営業利益が悪化している可能性があります。

反対に、表面上は赤字でも、調整後ベースでは利益を確保している場合があります。

黒字か赤字かだけでなく、調整後利益と利益率の推移を確認することが重要です。

二輪と四輪を分けて確認する

ホンダは自動車メーカーとして認識されていますが、現在の最大の利益源は二輪事業です。

二輪事業と四輪事業では、収益性や市場環境が大きく異なります。

二輪事業で確認したい項目は、次のとおりです。

  • 販売台数
  • 地域別の販売台数
  • 売上収益
  • 営業利益
  • 営業利益率
  • 商品価格
  • 原価低減

四輪事業では、次の項目を確認します。

  • 販売台数
  • EV関連損失
  • 調整後営業利益
  • 北米のICE・HEV販売
  • 中国・アジアの販売
  • 販売奨励金
  • 品質関連費用
  • 研究開発費

また、自動車販売に付随する金融サービス事業の利益も重要です。

四輪事業の販売台数が伸び悩んでも、自動車ローンやリースから安定した利益を確保できれば、全社利益を下支えできます。

二輪・四輪・金融サービスが全社利益へどの程度寄与しているかを確認しましょう。

販売台数だけでなく地域別に見る

ホンダは世界各地で二輪車や四輪車を販売しています。

同じ販売台数でも、地域や商品構成によって利益率は異なります。

主な確認地域は次のとおりです。

  • 北米
  • 中国
  • アジア
  • インド
  • ブラジル
  • 日本
  • 欧州

北米では車両価格が高く、SUVやHEVの販売が利益に大きく影響します。

一方、中国では現地メーカーとの価格競争が激しく、販売奨励金や工場稼働率が収益を左右します。

二輪事業では、インドやブラジル、東南アジアが重要な市場です。

地域別に確認したい項目は、次のとおりです。

  • 販売台数
  • 商品構成
  • 平均販売価格
  • 販売奨励金
  • 市場シェア
  • 工場稼働率
  • 営業利益への影響

販売台数が増えていても、低価格帯の商品が中心であれば、利益が伸びない可能性があります。

販売数量だけでなく、地域ごとの商品構成と採算性を確認することが重要です。

キャッシュフローで配当と投資を賄えるか

ホンダは年間70円の配当を維持しながら、大規模な設備投資と研究開発を行っています。

そのため、会計上の純利益だけでなく、実際にどの程度の現金を生み出しているかを確認する必要があります。

主な確認項目は次のとおりです。

  • R&D調整後営業キャッシュ・フロー
  • 事業会社の営業キャッシュ・フロー
  • フリーキャッシュ・フロー
  • 設備投資
  • 研究開発支出
  • ネットキャッシュ
  • 配当総額
  • 調整後DOE
  • EV・HEVへの投資配分

設備投資や研究開発支出が増えても、営業キャッシュ・フローの範囲内で賄えていれば、財務負担を抑えられます。

一方、キャッシュフローを上回る投資が続けば、ネットキャッシュが減少し、配当余力も低下する可能性があります。

EV戦略を見直した後は、EVだけでなく、ICE車やHEVへどの程度投資を配分するかも重要です。

成長投資、財務健全性、年間70円の配当を両立できるかを確認しましょう。

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まとめ

ホンダの次回決算は、2026年8月5日(水)に発表される予定です。

適時開示と決算説明会資料は15時30分、決算説明は15時35分に公開される予定となっています。

今回発表されるのは、2027年3月期第1四半期決算です。

2027年3月期の会社予想は、売上収益23兆1,500億円、営業利益5,000億円、親会社帰属利益2,600億円となっています。

前期の営業赤字から黒字へ転換する予想ですが、主な要因はEV関連損失が1兆4,536億円から5,000億円へ縮小することです。

EV関連損失を除いた調整後営業利益は1兆円で、前期の1兆393億円から小幅に減少する計画です。

次回決算で注目したいポイントは、次のとおりです。

  • 1Q税引前利益が市場予想の約3,156億円を上回るか
  • EV関連損失が年間5,000億円の計画内に収まるか
  • 調整後営業利益が前年同期を上回るか
  • 二輪事業が高い利益率を維持できるか
  • 四輪事業の赤字を縮小できるか
  • 北米のICE・HEV販売が増加しているか
  • 米国関税の影響を抑えられているか
  • 中国・アジアの販売減少が止まるか
  • 金融サービスが安定利益を確保しているか
  • 円高や材料価格の影響を原価低減で吸収できるか
  • 年間1兆2,500億円の設備投資が適切か
  • 年間70円の配当をキャッシュフローで維持できるか

二輪事業は2027年3月期に過去最高となる2,280万台の販売を計画しています。

一方、四輪事業は北米で販売増加を見込むものの、中国を含むアジアでは減少する予想です。

二輪事業の好調を維持しながら、四輪事業の収益性を改善できるかが今期最大の注目点です。

表面上の黒字転換だけで判断せず、EV関連損失を除いた調整後利益、事業別の収益性、キャッシュフローを総合的に確認しましょう。

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