サンリオ(8136)が2026年8月10日に発表した2027年3月期第1四半期決算は、売上高・営業利益ともに第1四半期として過去最高を更新しました。ハローキティだけでなく、ポムポムプリンをはじめとする複数キャラクターの人気拡大、日本の物販・ライセンス事業、欧州や中国など海外事業の成長が続いており、事業そのものは好調です。
一方、投資家が今回の決算を評価するうえでは、前年同期比の増益率だけを見るのは不十分です。売上高は市場予想を上回ったものの、営業利益・経常利益・純利益はIFISコンセンサスを下回りました。さらに、営業利益には第1四半期に計上予定だった販管費約20億円の第2四半期以降への期ずれがあり、会社は通期業績予想を据え置いています。今回の決算は「業績は強いが、高まった市場期待に対してはやや物足りない」という両面を分けて見る必要があります。

サンリオの最新決算はどうだった?

2027年3月期第1四半期は増収増益となり、売上高・営業利益はQ1として過去最高を更新しました。売上高は520.35億円で前年同期比20.7%増、営業利益は224.35億円で同11.1%増、経常利益は226.24億円で同12.0%増、純利益は155.16億円で同9.3%増です。
Q1としては6期連続の増収増益となり、サンリオのIPビジネスが一時的なキャラクターブームだけではなく、複数地域・複数キャラクターへ広がっていることが確認できる内容でした。
2027年3月期第1四半期の決算結果
| 項目 | 2027年3月期1Q | 前年同期 | 前年同期比 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 520.35億円 | 430.97億円 | +20.7% |
| 売上総利益 | 406.83億円 | 347.65億円 | +17.0% |
| 営業利益 | 224.35億円 | 201.98億円 | +11.1% |
| 調整後営業利益 | 220.77億円 | 181.26億円 | +21.8% |
| 経常利益 | 226.24億円 | 202.05億円 | +12.0% |
| 純利益 | 155.16億円 | 141.90億円 | +9.3% |
売上高が20%を超えて伸びている点は強い一方、営業利益の伸び率は11.1%にとどまっています。この差は今回の決算を理解するうえで重要です。前年1Qは営業利益が88.0%増と急拡大していたため、前年の比較ハードルが高いことに加え、今期は人件費やグローバルマーケティングなど成長投資を増やしています。
また、サンリオは通常の営業利益に加えて「調整後営業利益」を開示しています。海外子会社と日本の親会社では決算期が異なるため、海外ライセンス事業の成長が大きくなるほど、ロイヤリティの連結消去に期間差が生じやすくなります。
その決算期相違に伴う調整の影響を除いて事業実態を見やすくした指標が調整後営業利益です。今回は調整後営業利益が21.8%増えており、通常の営業利益11.1%増だけで成長力が急減速したと判断するのも適切ではありません。
サンリオの決算はコンセンサスを上回った?
今回の決算で最も注意したいのが、市場コンセンサスとの比較です。前年同期比ではすべての主要利益が増益ですが、決算発表直前の市場予想はさらに高い水準にありました。IFISが2026年8月7日時点で集計したコンセンサスと比べると、売上高は上振れた一方、営業利益・経常利益・純利益は4~5%程度下回っています。
売上高は市場予想を上回ったが利益は未達
| 項目 | 1Q実績 | IFISコンセンサス | 乖離率 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 520.35億円 | 506.74億円 | +2.7% |
| 営業利益 | 224.35億円 | 235.13億円 | -4.6% |
| 経常利益 | 226.24億円 | 236.18億円 | -4.2% |
| 純利益 | 155.16億円 | 163.72億円 | -5.2% |
この比較から見えるのは、需要そのものが弱かったわけではないということです。売上高は市場予想を約13.6億円上回りました。それにもかかわらず利益が未達だったため、市場が期待していた利益率には届かなかったと見る方が実態に近いでしょう。
サンリオはもともとロイヤリティ事業を中心に高い利益率を持つ企業です。そのため、株式市場では単なる売上成長だけでなく、「売上の伸びをどれだけ利益に転換できるか」も厳しく見られます。売上が予想を上回りながら利益が下回った今回の決算は、業績悪化というより、高水準まで引き上がっていた市場期待とのギャップが残った決算と整理できます。
通期会社予想も利益面では市場コンセンサスを下回る
| 項目 | 会社通期予想 | IFISコンセンサス | 会社予想との差 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 2,298億円 | 2,291.71億円 | +0.3% |
| 営業利益 | 895億円 | 917.62億円 | -2.5% |
| 経常利益 | 902億円 | 939.24億円 | -4.0% |
| 純利益 | 638億円 | 654.82億円 | -2.6% |
通期でも構図は似ています。会社の売上高予想2,298億円は市場コンセンサスとほぼ同水準ですが、営業利益895億円はコンセンサス917.62億円を約2.5%下回り、経常利益・純利益も市場予想を下回っています。つまり市場は、会社が示す売上高以上に利益率の上振れを期待している状態です。
このため今後の決算では「通期予想を上方修正したか」だけではなく、上方修正後の数字が市場コンセンサスへどこまで近づいたかを見る必要があります。たとえば営業利益を895億円から900億円程度へ引き上げても、現在のコンセンサス917億円台には届きません。高い市場期待が維持される限り、好決算でも予想との差が株価評価を左右しやすい点には注意が必要です。
売上高が20%増えたのに営業利益が11%増にとどまったのはなぜ?
売上高の伸びに対して営業利益の伸びが小さかった背景には、売上総利益率の低下と販管費の増加があります。ただし、今回の費用増の多くは事業基盤の強化やキャラクターのグローバル浸透を狙った成長投資です。短期的な利益率低下と中長期の成長投資を分けて評価する必要があります。
売上総利益率と営業利益率は前年同期から低下
| 利益率 | 2026年3月期1Q | 2027年3月期1Q | 前年差 |
|---|---|---|---|
| 売上総利益率 | 80.7% | 78.2% | -2.5pt |
| 営業利益率 | 46.9% | 43.1% | -3.8pt |
| EBITDAマージン | 48.3% | 44.9% | -3.4pt |
営業利益率は43.1%と依然として非常に高い水準ですが、前年同期の46.9%から3.8ポイント低下しました。売上原価は83.31億円から113.52億円へ増加し、売上総利益率も2.5ポイント低下しています。会社資料では粗利率低下を単一の要因だけで説明していないため、利益率の変化を安易に商品ミックスだけへ結び付けるのではなく、原価と販管費の双方を見ることが重要です。
人件費と戦略的マーケティング投資で販管費が増加
販売費及び一般管理費は145.67億円から182.48億円へ増加し、前年同期比で約25%増えました。会社は、事業基盤の強化・拡大に向けた人件費の増加に加え、グローバルで幅広いキャラクターを浸透させるための戦略的マーケティング投資を実施したと説明しています。
サンリオが目指しているのは、ハローキティという単一の大型IPに依存する構造ではなく、複数キャラクターを世界各地の多様な商品カテゴリーへ展開することです。そのためには現地の営業・マーケティング人材、ライセンシー開拓、ブランド認知向上への投資が必要になります。今回の販管費増加は短期利益を押し下げる要因ですが、売上成長が続けば将来の利益成長へつながる可能性があります。
約20億円の販管費がQ2以降へ期ずれ
一方で、Q1利益をそのまま実力値として年率換算するのも危険です。会社によると、Q1で計上を想定していた販管費予算のうち約20億円がQ2以降へ期ずれする見込みです。会社はこの影響によりQ1営業利益が想定より若干上振れたと説明しており、通期の販管費見通しは変更していません。
重要なのは、約20億円のコストが「なくなった」のではないことです。今後の四半期に計上される予定であるため、Q2以降はQ1より利益成長率が鈍くなる可能性があります。この点が、Q1で営業利益224億円を稼ぎながら会社が通期予想を据え置いた理由を考えるうえでも重要です。
調整後営業利益は21.8%増で事業の基礎的な成長は続く
サンリオの調整後営業利益は220.77億円で、前年同期の181.26億円から21.8%増加しました。通常の営業利益の増益率11.1%より大幅に高く、海外ライセンス事業の急成長に伴う決算期差の連結調整を除けば、事業の基礎的な利益成長は20%を超えています。
したがって今回の利益成長を「11%まで失速した」とだけ評価するのは実態を捉えきれません。一方、株式市場が評価する連結営業利益がコンセンサスを下回った事実も変わりません。事業実態は強いが、会計上の営業利益と市場期待の両方を確認する必要がある決算です。
サンリオの成長を牽引した事業・地域は?
今回の売上成長は特定の一地域だけに依存したものではありません。日本の物販・ライセンスが引き続き伸びたほか、欧州が急成長し、中国では店舗網と商品カテゴリーの拡大が進みました。複数地域で異なる成長ドライバーが育っていることは、サンリオが掲げるグローバルIP企業への転換を確認するうえで重要です。
日本は物販・ライセンスとも好調
日本セグメントの外部顧客向け売上高は294億円で前年同期比20.2%増、セグメント営業利益は149億円で同25.0%増となりました。物販では国内客数の増加、顧客ニーズを取り込んだ商品開発、店舗での販売機会拡大が寄与しています。ライセンスではハローキティに加え、ポムポムプリンなど複数キャラクターの採用が進み、家庭雑貨、カプセルトイなどの玩具、菓子・食品、雑貨と幅広いカテゴリーが伸びました。
注目したいのは、国内物販がインバウンドだけに依存していない点です。中国からの渡航者減少などにより店舗売上に占めるインバウンド比率は低下しましたが、日本人顧客の来店増加により国内店舗の客数は前年同期比17%増加しました。海外旅行客の変動があっても国内ファン需要で補えていることは、物販事業の安定性を考えるうえでプラス材料です。
テーマパークはQ1として過去最高の来場者数
サンリオピューロランドは週末だけでなく平日の来場者も好調で、Q1として過去最高の来場者数を記録しました。ポムポムプリン30周年イベントや季節イベントが集客に寄与し、ハーモニーランドでも35周年企画や限定商品・飲食が好調でした。決算説明資料によると、両パーク合計の客数は前年同期比7%増の51.4万人です。
テーマパークはライセンス事業ほど高い利益率を持つ事業ではありませんが、キャラクターとのリアルな接点を作り、グッズ・飲食・会員サービスなどへ波及させられる点に意味があります。IPの認知を物販売上やライセンス収入へ循環させる役割を持つため、来場者数と館内消費の伸びは中長期でも確認したい指標です。
欧州は売上高56%増で成長地域として存在感が拡大
欧州セグメントは売上高33億円で前年同期比56.0%増、営業利益8億円で同38.9%増となりました。大手ファストファッションブランド、文具・雑貨、玩具などライセンス先が広がっており、ハローキティ以外のキャラクターを含む複数キャラクター戦略も進んでいます。
欧州の決算説明資料では、トルコ、イタリア、東欧などで増収増益が進み、インド最大級の小売企業Relianceグループが展開するAZORTEの40店舗でサンリオブランドコーナーを展開したことも紹介されています。欧州セグメントの管轄には一部の欧州外地域も含まれますが、従来より小さかった地域の売上・利益が急速に成長しており、日本・中国・北米以外にも収益源が広がっている点は重要です。
中国は前年比だけでは見えにくいが実力ベースで好調
アジアの中でも中国は重要な成長市場です。前年同期にはロイヤリティ収入の計上期ずれによる一時的な上振れがあったため、今期の前年比成長率は実態より弱く見える部分があります。会社はライセンス事業について、商品カテゴリーの拡張を背景に「実力ベースでは好調継続」と説明しています。
物販では中国の店舗数を62店舗まで拡大し、新規店・既存店とも好調です。製造事業を除く中国の物販売上高は前年同期比125%増となり、中国限定商品の開発に加え、日本で成功したスピーディーな商品供給体制を現地へ展開しています。ライセンスでも玩具に加え、家庭用品やフードなどへ採用カテゴリーが広がっており、ハローキティの急伸と並行して他キャラクターの育成も進めています。
サンリオの海外事業で気になる点は?
海外全体が一様に好調というわけではありません。日本・欧州・中国の成長が目立つ一方、北米とアジアの報告セグメントでは売上増加に対して利益が減少しました。今後の利益成長を考えるうえでは、この2地域で増収を再び利益増へつなげられるかがポイントになります。
北米は増収でも営業利益が19.9%減
北米は売上高61億円で前年同期比6.0%増となりましたが、営業利益は22億円で同19.9%減少しました。玩具・アパレルのライセンス売上は伸び、HELLO KITTY AND FRIENDSを中心に複数キャラクターの採用も進んでいます。一方、事業基盤を強化する人件費やマーケティング費用などが増加し、利益を押し下げました。
加えて、北米では関税影響が続いています。決算説明資料では、ライセンシー側の対応が進み、事業環境への適応が進展しているとしています。需要が大きく崩れているわけではなく、売上回復と先行投資が並行している段階ですが、関税コストや販管費を吸収して利益率を戻せるかは次回以降の重要な確認点です。
アジアは売上19.8%増でも営業利益は4.9%減
アジアセグメントは売上高120億円で前年同期比19.8%増と高い成長を維持しましたが、営業利益は55億円で同4.9%減となりました。中国、韓国、台湾などでライセンス・物販が伸びる一方、販管費増加が利益を押し下げています。
もっとも、サンリオ独自の「貢献利益」で見るとアジアは91.94億円で13.7%増えています。報告セグメント営業利益と貢献利益では計算方法が異なるため単純比較はできませんが、地域の事業価値そのものが縮小しているわけではありません。今後は成長投資の負担を売上拡大で吸収し、報告セグメント利益も再び増益へ戻せるかが焦点になります。
地域別の数字は「セグメント利益」と「貢献利益」を分けて見る
サンリオの地域別分析では、会社が開示する「貢献利益」の扱いにも注意が必要です。海外子会社は日本の親会社へロイヤリティを支払うため、通常の地域別営業利益だけでは、グループ内のロイヤリティ移転によって各地域が生み出した経済価値を把握しにくい面があります。
そこで会社は、海外子会社の営業損益に本社へのロイヤリティ支払額を加え、日本では海外からのロイヤリティ収入を減額した「貢献利益」を開示しています。今期の貢献利益は日本54.86億円(43.5%増)、アジア91.94億円(13.7%増)、米州52.36億円(7.1%増)、欧州23.61億円(56.6%増)でした。地域の成長力を見る際には、法定開示のセグメント利益と合わせて確認すると実態を捉えやすくなります。
ハローキティ以外のキャラクターも成長している?
サンリオの中長期成長を考えるうえで、ハローキティ以外のIPをどこまで育成できるかは非常に重要です。今回の決算では、複数キャラクター戦略が日本だけでなく中国、北米、欧州へ広がっていることが確認できました。
ポムポムプリン30周年など複数キャラクターの人気が拡大
30周年を迎えたポムポムプリンは「2026年サンリオキャラクター大賞」で1位を獲得し、関連商品の販売やテーマパークイベントにも波及しました。キャラクター大賞の総得票数は過去最多の7,064万票となっています。
中国ではハローキティの人気拡大に加えて、マイスウィートピアノやこぎみゅんなどの育成を進めています。北米でもクロミやシナモロールの認知度が上がり、ライセンシーが単独キャラクターを採用する動きが広がっています。欧州でもハローキティ以外の単独コレクションが発売されるなど、「ハローキティ&フレンズ」から個々のキャラクター単独で収益化する段階へ進みつつあります。
SNS・YouTubeのフォロワーはグローバルで1億超
サンリオキャラクターのSNS・YouTubeフォロワー数はグローバル全体で1億を超えました。この数字は直接売上高になるわけではありませんが、認知拡大がライセンシーによる採用、商品カテゴリー拡張、店舗やテーマパークへの来場につながることで収益化されます。
サンリオの強みは、キャラクターを自社商品だけで販売するのではなく、世界中の企業へライセンスし、多様な商品・サービスへ展開できることです。SNSでの認知が高まるほど、ライセンシーにとってもキャラクターを採用する経済合理性が高まり、ロイヤリティ収入を拡大しやすくなります。
Sanrio+会員は348万人へ拡大
グループ共通会員サービス「Sanrio+」の会員数は、2026年3月末から22万人増加し、6月末時点で約348万人となりました。会員基盤は、商品購入、イベント、テーマパーク、デジタル施策など複数の顧客接点をつなぐ役割を持ちます。
キャラクター人気を一過性の話題で終わらせず、ファンとの継続的な接点を持つことができれば、顧客単価の上昇やクロスセル、ロイヤルカスタマー化につながります。2030年に向けたロードマップでもSanrio+を通じた新しいユーザー体験やロイヤルカスタマー向けサービス強化が掲げられており、今後は会員数だけでなく会員の購買・来場への転換も重要になります。
サンリオが通期業績予想を据え置いたのはなぜ?
サンリオはQ1で売上高・営業利益の過去最高を更新しましたが、2027年3月期の通期業績予想は変更しませんでした。会社はQ1売上高を「概ね計画どおり」、営業利益を販管費の期ずれにより「想定より若干上振れ」と説明しています。つまり、会社の認識では今回のQ1だけで通期計画を引き上げるほどの恒常的な上振れが確認されたわけではありません。
2027年3月期の通期業績予想は変更なし
| 項目 | 2026年3月期実績 | 2027年3月期予想 | 前期比 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 1,940.88億円 | 2,298億円 | +18.4% |
| 営業利益 | 778.59億円 | 895億円 | +15.0% |
| 営業利益率 | 40.1% | 38.9% | -1.2pt |
| 調整後営業利益 | 784.53億円 | 888億円 | +13.2% |
| 経常利益 | 793.35億円 | 902億円 | +13.7% |
| 純利益 | 546.08億円 | 638億円 | +16.8% |
今期も二桁増収増益を見込む一方、営業利益率は前期40.1%から38.9%へ低下する計画です。会社は中長期成長のための人材・マーケティング投資を続ける方針であり、今期は売上成長を優先しながら将来のIP収益を広げるフェーズと見ることができます。
なお、年間配当予想は株式分割後ベースで16円(中間8円・期末8円)を据え置いています。サンリオは2026年4月1日付で1株を5株に分割しているため、前年の1株69円と単純比較しないよう注意が必要です。
通期計画に対する1Q進捗率は利益で約25%
| 項目 | 1Q実績 | 通期予想 | 進捗率 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 520.35億円 | 2,298億円 | 22.6% |
| 営業利益 | 224.35億円 | 895億円 | 25.1% |
| 調整後営業利益 | 220.77億円 | 888億円 | 24.9% |
| 経常利益 | 226.24億円 | 902億円 | 25.1% |
| 純利益 | 155.16億円 | 638億円 | 24.3% |
利益の進捗率はおおむね25%で、四半期を単純に4倍すれば通期計画に届く水準です。ただしQ1には約20億円の販管費期ずれがあるため、25%を超えているから上方修正余地が大きいと単純判断することはできません。会社自身も売上高は概ね計画どおりと評価しており、通期販管費の見通しも維持しています。
会社の上期計画を逆算するとQ2は増収率に対して利益成長が鈍る想定
上期会社計画からQ1実績を差し引くと、Q2単独で必要な業績は売上高551.65億円、営業利益198.65億円、経常利益199.76億円、純利益150.84億円です。前年Q2と比べると、売上高は約23.8%増が必要な一方、営業利益は約4.6%増にとどまる計算です。
これは、会社がQ2でも高い売上成長を見込みながら、Q1から期ずれする費用や成長投資によって利益の伸びは抑えられる前提を置いていることを示しています。Q1だけを見ると営業利益224億円でしたが、会社計画上はQ2営業利益が約199億円へいったん低下する想定です。
一方、IFISのQ2単独営業利益コンセンサスは215.93億円、経常利益は224.33億円です。市場は会社の上期計画より高い利益水準を期待しているため、Q2では費用計上後でも利益をどこまで確保できるかが重要になります。
通期予想据え置きは保守的なのか
現時点で「会社予想が保守的」と断定するのは早いでしょう。Q1の売上は強かったものの、利益は市場コンセンサスを下回り、約20億円の費用が後ろへずれています。北米・アジアでは報告セグメント利益が減少しており、会社には今後のマーケティング・人件費を計画どおり投下する意図もあります。
一方で、日本・欧州・中国の需要が想定以上に続き、北米・アジアで利益率が改善すれば上方修正余地は生まれます。重要なのは、売上高だけを上方修正するのではなく、営業利益率を保ちながら市場コンセンサス917億円前後へどこまで利益を引き上げられるかです。
サンリオの次回決算はいつ?
次回は2027年3月期第2四半期(中間期)決算です。2026年8月10日時点で、サンリオのIRカレンダーでは具体的な発表日を確認できないため、正式な日程は今後のIR発表を確認する必要があります。前年の2026年3月期中間決算は2025年11月5日に発表されており、例年のスケジュールを踏まえると11月上旬が一つの目安です。
次回決算で確認したいポイント
Q2は今回の決算評価を大きく左右する四半期になりそうです。Q1は事業成長が強い一方で、利益の市場予想未達と費用の期ずれが同時に発生しました。次回は、Q1で見えた強さが利益成長へつながるのかを確認する必要があります。
- Q2以降へ期ずれした約20億円の販管費を計上したうえで、営業利益をどこまで伸ばせるか。
- 上期営業利益の会社予想423億円に対し、市場コンセンサス447億円へ近づけるか。
- 北米・アジアで増収を利益増へ転換し、報告セグメント営業利益が改善するか。
- 日本・欧州・中国の物販・ライセンス成長が継続し、複数キャラクター戦略がさらに広がるか。
- 通期営業利益895億円を上方修正する場合、市場コンセンサス917億円前後を意識できる修正幅になるか。
- 営業利益率が成長投資でどこまで低下するか。売上成長で販管費増加を吸収できているか。
特に注目したいのは、Q2単独の営業利益です。会社上期計画を達成するだけなら約199億円で足りますが、市場は約216億円を予想しています。Q1に期ずれした費用を計上しながら市場予想を上回れるなら、通期上方修正への期待は高まりやすくなります。反対に、売上が引き続き好調でも利益率が低下すれば、「人気は強いが利益成長が追いつかない」という評価につながる可能性があります。

まとめ|サンリオの最新決算は好業績だが市場期待にはやや届かず
サンリオの2027年3月期第1四半期決算は、売上高520億円、営業利益224億円となり、Q1として過去最高を更新しました。日本の物販・ライセンス、欧州の急成長、中国の店舗・カテゴリー拡大、テーマパークの来場者増加など、事業の中身には多くの強さがあります。
一方で、売上高はIFISコンセンサスを上回ったものの、営業利益・経常利益・純利益は4~5%程度の未達でした。営業利益率は46.9%から43.1%へ低下し、人件費やグローバルマーケティングなど成長投資も増えています。さらに、Q1計上予定だった販管費約20億円がQ2以降へ期ずれしているため、Q1利益だけを年率換算して通期上振れを期待するのは慎重さが必要です。
ただし、調整後営業利益は21.8%増えており、複数キャラクター・複数地域でのIP成長が崩れたわけではありません。今回の決算は「業績悪化」ではなく、「非常に高い市場期待に対して利益面がやや届かなかった」と整理するのが妥当です。次回Q2では、期ずれ費用を吸収したうえで利益成長を維持できるか、北米・アジアの利益率が改善するか、そして通期会社予想を市場コンセンサスに近づける上方修正が出るかが重要になります。
出典
- 株式会社サンリオ「2027年3月期 第1四半期決算短信〔日本基準〕(連結)」
https://corporate.sanrio.co.jp/ir/library/result/index.html - 株式会社サンリオ「2027年3月期 第1四半期 決算説明資料」
https://corporate.sanrio.co.jp/ir/library/presentation/index.html - 株式会社サンリオ「IR DATA」
https://corporate.sanrio.co.jp/ir/finance/index.html - IFIS株予報「サンリオ(8136): 2027年3月期連結第1四半期、経常損益22,624百万円。IFISコンセンサスを下回る水準。」
https://kabuyoho.ifis.co.jp/index.php?action=tp1&nid=8136_20260810_act_20260810_153042_5&sa=consNewsDetail - IFIS株予報「サンリオ(8136)業績進ちょくと決算スケジュール」
https://kabuyoho.ifis.co.jp/index.php?action=tp1&bcode=8136&sa=report - 株式会社サンリオ「IRカレンダー」
https://corporate.sanrio.co.jp/ir/calendar/
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