サンディスクの最新決算はどうだった?AI・NAND需要・今後の見通しを解説

サンディスク(NASDAQ:SNDK)は2026年8月5日、2026年度第4四半期(Q4、2026年7月3日終了)および通期決算を発表しました。今回の決算は、売上高・調整後EPSとも市場予想を大きく上回り、粗利率は84.6%まで上昇する非常に強い内容でした。特に、AIデータセンター向けのエンタープライズSSD需要とNAND価格の上昇が業績を大きく押し上げています。

一方で、決算発表後のサンディスク株は時間外取引で下落しました。決算そのものが悪かったわけではありません。むしろ、2026年に入って株価が大幅に上昇し、NAND市況やAI需要への期待がかなり織り込まれていたため、「好決算であること」だけでは市場の高い期待を上回れなかったと考える方が実態に近いでしょう。

この記事では、サンディスクの最新決算を市場予想と比較しながら、NAND価格、AIデータセンター需要、利益率、長期契約「NBM」、次四半期ガイダンス、キオクシアへの影響まで詳しく解説します。

この記事のポイント

  • 2026年度4Q売上高は89.65億ドル、前四半期比51%増・前年同期比372%増
  • Non-GAAP EPSは39.25ドルで、市場予想を大幅に上回った
  • Non-GAAP粗利率は84.6%。前四半期の78.4%からさらに上昇
  • 売上成長の約3分の2は価格上昇、約3分の1は販売数量増加によるもの
  • データセンター売上は前四半期比103%増。AI向けSSDが成長の中心
  • 次四半期ガイダンス自体は強いが、決算前の市場期待が非常に高く、株価は時間外で下落
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目次

サンディスクの最新決算はどうだった?

結論から言えば、2026年度4Qのサンディスク決算は、実績面では非常に強い好決算でした。売上高は会社が4月末に示していたガイダンスの77.5億~82.5億ドルを大きく上回り、89.65億ドルまで拡大。Non-GAAP EPSも会社予想30~33ドルを大幅に上回る39.25ドルとなりました。

前四半期と比較しても、売上高は59.50億ドルから89.65億ドルへ51%増加し、Non-GAAP営業利益は42.18億ドルから71.04億ドルへ68%増加しました。売上が増えただけではなく、価格上昇と高付加価値製品へのシフトによって利益率が大きく改善していることが今回の決算の特徴です。

項目2026年度4Q2026年度3Q前四半期比
売上高89.65億ドル59.50億ドル+51%
GAAP粗利率84.6%78.4%+6.2pt
GAAP営業利益70.37億ドル41.11億ドル+71%
GAAP純利益69.03億ドル36.15億ドル+91%
GAAP EPS43.97ドル23.03ドル+91%
Non-GAAP EPS39.25ドル23.41ドル+68%

前年同期の売上高は19.01億ドル、GAAP純損益は2,300万ドルの赤字でした。わずか1年で売上高は約4.7倍となり、赤字から69億ドル規模の四半期純利益へ変化しています。メモリ市況の反転だけでは説明しきれないほど、製品構成と価格環境が急速に改善した一年でした。

なお、GAAP EPSの43.97ドルがNon-GAAP EPSの39.25ドルを上回っているのは、四半期に有価証券評価益8.04億ドルが計上された影響があります。コア事業の収益力を見る場合は、こうした一時的な損益を除くNon-GAAPの数字も併せて確認する必要があります。

売上高・EPSは市場予想を大きく上回った

市場予想との比較でも、今回の決算は明確な上振れでした。Reutersが報じたLSEG集計では、市場予想は売上高83.9億ドル、調整後EPS34.45ドルでした。これに対し実績は売上高89.65億ドル、調整後EPS39.25ドルです。

項目実績LSEG市場予想予想との差
売上高89.65億ドル約83.9億ドル約+6.9%
Non-GAAP EPS39.25ドル34.45ドル約+13.9%

FactSet集計でも、MarketWatchは売上高予想84.8億ドル、調整後EPS予想34.96ドルと報じています。集計会社によって予想値には多少の差がありますが、どの主要集計を使っても4Q実績が市場予想を上回ったという評価は変わりません。

また、会社自身が示していた4Qガイダンスも大きく超過しています。前回決算時の売上高見通しは77.5億~82.5億ドル、Non-GAAP EPSは30~33ドルでした。市場予想を上回っただけでなく、会社の想定を超えるペースでNAND価格と高付加価値需要が伸びたことが分かります。

2026年度通期も大幅増収・黒字転換

4Qだけが突出して良かったわけではありません。2026年度通期では売上高が202.48億ドルとなり、前年度の73.55億ドルから175%増となりました。GAAP純利益は114.33億ドルで、前年度の16.41億ドルの赤字から大幅な黒字転換です。

項目2026年度2025年度前年比
売上高202.48億ドル73.55億ドル+175%
GAAP粗利率71.5%30.1%+41.4pt
GAAP営業利益123.89億ドル▲13.77億ドル黒字転換
GAAP純利益114.33億ドル▲16.41億ドル黒字転換
Non-GAAP EPS70.88ドル2.99ドル大幅増

通期の粗利率も71.5%まで上昇しました。2026年度はQ1の売上高23.08億ドルから始まり、Q2が30.25億ドル、Q3が59.50億ドル、Q4が89.65億ドルと、年度後半に成長が急加速しています。特にQ2以降はNAND価格上昇とAIインフラ向け需要の拡大が同時に進み、利益の伸びが売上の伸びを上回る状態になりました。

サンディスクの決算で良かったポイント

今回の決算で重要なのは、どの需要が伸び、何によって利益率が84%台まで上昇したのかです。以下では、今後の業績を考えるうえで特に重要なポイントを順番に確認します。

NAND価格上昇で売上・利益が急拡大した

サンディスクは、4Qの前四半期比51%の売上成長について、約3分の1が販売数量の増加、約3分の2が価格上昇によるものと説明しています。これは今回の決算を見るうえで最も重要な数字の一つです。

単純化すると、サンディスクの売上が急増した主因は「NANDを前四半期より大量に売ったから」だけではなく、NANDの販売単価そのものが大幅に上昇したことです。メモリメーカーは固定費負担が大きいため、販売価格が上昇すると増収分のかなりの部分が利益に転化しやすくなります。今回、売上高が51%増えたのに対してNon-GAAP営業利益が68%増加したのは、この価格効果が大きく働いた結果と考えられます。

これはNAND市場全体を見るうえでも重要です。サンディスクだけの特殊要因ではなく、AIデータセンター投資による大容量SSD需要、供給規律、スマートフォン・PCの高容量化などが重なり、需給がメーカー側に有利な状態になっています。少なくとも今回の決算からは、2026年7月時点でNAND価格上昇がサンディスクの利益を大きく押し上げるほど強かったことが確認できます。

粗利率は84.6%まで上昇

利益率の改善はさらに強烈です。Non-GAAP粗利率は、2025年度4Qの26.4%から、2026年度Q1が29.9%、Q2が51.1%、Q3が78.4%、Q4が84.6%へ上昇しました。

四半期Non-GAAP粗利率
2025年度4Q26.4%
2026年度1Q29.9%
2026年度2Q51.1%
2026年度3Q78.4%
2026年度4Q84.6%

1年前と比べると58.2ポイントの改善です。通常、NANDフラッシュは価格変動の激しいコモディティ性が強く、供給過剰になると利益率が急低下します。ところが現在は、価格上昇に加えて、データセンター向けエンタープライズSSDなど相対的に付加価値の高い製品への売上構成変化が進んでいます。

サンディスクは2026年度を「最高価値のエンドマーケットへ事業を再構成した一年」と位置付けています。粗利率84.6%は、このミックス改善と価格上昇が同時に効いた結果です。ただし、後述するように次四半期の粗利率ガイダンスは83~85%であり、ここからさらに毎四半期大幅改善するというより、高水準を維持できるかが焦点に変わりつつあります。

AIデータセンター向け売上が前四半期比2倍に

今回の決算で最も成長が目立ったのがデータセンター部門です。4Q売上高は29.77億ドルとなり、前四半期の14.67億ドルから103%増、前年同期の2.13億ドルからは約14倍に拡大しました。

エンドマーケット2026年度4Q売上高前四半期比前年同期比
Datacenter29.77億ドル+103%約+1,298%
Edge54.32億ドル+48%+392%
Consumer5.56億ドル▲32%▲5%

サンディスクによると、データセンター向けのbit構成比は2025年度4Qの12%から、2026年度4Qには38%まで上昇しました。つまり、単にNAND市況が改善しただけでなく、会社の販売先そのものがデータセンター側へ大きくシフトしていることが分かります。

背景には生成AIの利用拡大があります。AIではGPUやHBMが注目されがちですが、推論サービスが普及すると、生成されたデータやモデル関連データを大量に保存し、低遅延で読み出すストレージも必要です。サンディスクは、高容量エンタープライズSSDをハイパースケーラーやAIインフラ顧客に展開しており、この需要がデータセンター売上の急拡大につながっています。

会社は、データセンターがNAND市場全体のTAMに占める割合について、2025年の約30%から2026年に約50%へ拡大すると見ています。これはサンディスク独自の市場モデルに基づく見通しですが、少なくとも会社が今後の成長の中心をデータセンターに置いていることは明確です。

Edge事業も48%増と高成長

データセンターの伸びが目立つ一方、売上規模で最大のEdge事業も好調でした。4Q売上高は54.32億ドルで、前四半期比48%増、前年同期比392%増です。2026年度通期では121.60億ドルとなり、前年比195%増となりました。

Edgeにはスマートフォン、PC、タブレットに加え、自動車、ロボット、オンデバイスAIなどが含まれます。サンディスクは足元のPC・スマートフォン市場について、AI対応機器や高価格帯モデルへの移行に伴う調整局面にあると説明する一方、2027年には再び成長へ戻ると見ています。

AI関連需要というとデータセンターだけを連想しやすいものの、端末側でもAI機能が増えれば、ローカルで保持するモデル・コンテンツ・キャッシュデータが増え、1台当たりストレージ容量の増加につながります。サンディスクにとっては、クラウド側と端末側の双方でNAND搭載量が増える可能性がある点が強みです。

長期契約「NBM」がさらに拡大

今回、業績数字と同じくらい重要だったのが、サンディスクが進めるNew Business Model(NBM)の拡大です。NBMは、顧客と複数年の供給量・価格条件をあらかじめ取り決める長期契約で、従来のNANDビジネスが抱えてきた激しい価格循環を和らげる狙いがあります。

4月の決算説明時点で5件のNBM契約を公表していましたが、その後さらに5件の契約を締結しました。この5件は、新規顧客3社との契約と、既存契約2件の拡張です。契約件数と顧客数は同じではなく、4Q資料ではDatacenterとEdgeを合わせて8社の顧客と契約していると説明されています。

NBMの主要指標4Q時点
契約顧客数8社
最低価格ベースの契約売上高939億ドル
四半期末RPO598億ドル
期末後契約を含むRPO911億ドル
金融保証(現金預金・金融商品)165億ドル
FY2027生産bitのコミット約1/2
FY2028生産bitのコミット約2/3
加重平均契約期間4年以上(最長5年)

価格条件は固定部分と変動部分を組み合わせ、変動部分にも下限と上限を設定しています。会社は、下限価格でも魅力的な利益率を確保できる契約設計だと説明しています。これにより顧客は長期供給を確保しやすくなり、サンディスク側は将来の需要・キャッシュフローを読みやすくなります。

メモリ企業は「供給不足のときは高収益だが、増産後に価格が崩れる」というサイクルを繰り返してきました。NBMが十分に機能すれば、サンディスクは価格上昇局面の利益を取り込みながら、下落局面では契約下限価格によって収益悪化を抑えられる可能性があります。現在の高利益率がどこまで持続可能かを考えるうえで、NBMの比率は今後も重要な確認項目です。

140億ドルの追加自社株買いを発表

サンディスクは今回の決算と同時に、取締役会が140億ドルの追加自社株買い枠を承認したことも発表しました。会社分離後に承認された自社株買い枠は累計200億ドルとなり、4Qまでに45億ドルを実施。残りの承認枠は155億ドルです。

4Qの調整後フリーキャッシュフローは50.35億ドルで、前四半期の24.17億ドルから108%増加しました。なお、この調整後FCFはNBMの前受金・預り金19.38億ドルを除いた数字です。つまり、顧客からの契約前受けによって見かけ上キャッシュが膨らんだ部分を除いても、事業から巨額のキャッシュを生み出しています。

会社は資本配分について、事業への投資と余剰キャッシュの株主還元を優先するとしています。自社株買いは業績の先行きを保証するものではありませんが、現在の利益・キャッシュ創出力に対する経営陣の自信を示す材料の一つと見ることができます。

好決算なのにサンディスクの株価が下落したのはなぜ?

これだけ強い決算にもかかわらず、サンディスク株は決算発表後の時間外取引で下落しました。Reutersは3%超の下落、MarketWatchは5%前後の下落を報じています。ここで重要なのは、「決算が悪かったから下がった」と考えないことです。

4Q実績は市場予想を大幅に上回っています。問題は、株価がすでに非常に高い成長期待を織り込んでいたことと、次四半期の会社予想が「さらに上の数字」を期待していた一部投資家を満足させなかったことです。

次四半期ガイダンスは強いが、コンセンサスの集計元で評価が分かれる

2027年度1Qについて、サンディスクは売上高103~108億ドル、Non-GAAP粗利率83~85%、Non-GAAP EPS44~46ドルを見込んでいます。4Q実績89.65億ドルに対し、売上高ガイダンス中央値は105.5億ドルなので、次四半期も約18%の増収を見込む強い内容です。

項目2027年度1Q会社予想中央値
売上高103~108億ドル105.5億ドル
Non-GAAP粗利率83~85%84.0%
Non-GAAP EPS44~46ドル45.00ドル

ただし、ここは「市場予想未達」と一言で処理すると正確ではありません。Reutersが引用したLSEG集計では、売上高市場予想は104.7億ドル、EPSは43.12ドルでした。この基準では、会社予想中央値は売上・EPSとも市場予想を上回っています。

一方、MarketWatchが引用したFactSet集計では、売上高コンセンサスは108億ドル、EPSは44.72ドルでした。この基準では、売上高ガイダンス中央値105.5億ドルは市場予想を下回り、EPS中央値45ドルはほぼ予想並みです。

つまり、公式に集計されたコンセンサス自体が一つではありません。今回の株価下落を説明するなら、「ガイダンスが全面的に市場予想を下回った」ではなく、「実績とガイダンスは十分強いが、市場の一部が織り込んでいた期待値・ウィスパーナンバーはさらに高かった」と捉えるのが適切です。

粗利率の上昇がいったん止まる見通し

もう一つ、投資家が気にしたと考えられるのが粗利率です。4QのNon-GAAP粗利率は84.6%でしたが、1Qガイダンスは83~85%、中央値84%です

粗利率はQ2の51.1%からQ3に78.4%、Q4に84.6%と急上昇してきました。これまでのように毎四半期大幅に改善する局面から、80%台半ばで高止まりする局面へ移る可能性が示されています。絶対水準は極めて高いものの、株式市場は「改善幅の鈍化」に敏感です。

特に株価が大きく上昇した銘柄では、利益が増えているかだけでなく、「増益ペースがさらに加速するか」が評価されます。84%という粗利率が悪いのではなく、すでに株価がそれに近い高収益を前提にしていたことが株価反応を難しくしました。

株価が大幅上昇しており、決算への期待値が高かった

Reutersによると、サンディスク株は2026年に入って決算発表前までに5倍超へ上昇していました。Barron’sも年初来で約469%上昇していたと報じています。メモリ価格の上昇、AIデータセンター需要、利益率改善が早い段階から株価に織り込まれていたわけです。

このような局面では、「好決算か悪決算か」より「市場が期待していた好決算をどれだけ上回ったか」が重要になります。4Q実績は十分なサプライズでしたが、投資家の視線はすでに2027年度へ移っており、ガイダンスにさらに大きな上振れを期待していたと考えられます。

したがって、今回の時間外下落だけを見て「NAND市況が悪化した」「AI需要が弱い」と判断するのは早計です。会社の説明や次四半期予想を見る限り、需要環境そのものは引き続き強い状態です。株価の下落は、ファンダメンタルズ悪化というより期待値調整の色が濃いと評価できます。

サンディスクの決算で気になる点

決算全体は強いものの、今後の業績を見るうえで確認しておきたい点もあります。好材料だけでなく、どこで成長率や利益率が鈍化する可能性があるのかを把握しておくことが重要です。

Consumer売上は前四半期比32%減少

Consumer部門の4Q売上高は5.56億ドルで、前四半期の8.20億ドルから32%減、前年同期比でも5%減となりました。DatacenterとEdgeが急成長したため全社業績への影響は限定的でしたが、3つのエンドマーケットの中では唯一の減収です。

Consumerには、SDカード、USBメモリ、ポータブルSSDなど一般消費者向け製品が含まれます。これらはデータセンター向けのような長期供給契約や大容量化の恩恵を直接受けにくく、販売チャネルの在庫や季節性の影響も受けやすい領域です。

ただし、2026年度通期ではConsumer売上は29.35億ドルで前年比29%増となっています。4Qの減少だけで構造的な悪化と判断するのは適切ではなく、次回以降に回復するのか、Datacenter・Edgeへのミックスシフトがさらに進むのかを確認したいところです。

業績がNAND価格上昇の恩恵を大きく受けている

売上成長の約3分の2が価格上昇によるものだったことは、現在の強さを示すと同時に、将来の感応度が高いことも意味します。NAND価格が上昇を続ければ利益は伸びやすい一方、供給増や需要鈍化で価格が下落すれば、業績の伸びは急速に鈍化する可能性があります。

もっとも、過去のサイクルと全く同じ構造ではありません。サンディスクはNBMによって複数年の数量・価格条件を確保し、価格変動に対する耐性を高めています。FY2027の約半分、FY2028の約3分の2のbitがNBMでコミットされているため、少なくとも一部の供給については従来より将来収益の可視性が高まっています。

今後は、四半期ごとの売上成長率だけでなく、平均販売価格(ASP)、bit出荷量、粗利率、NBM比率をセットで見ることが重要です。価格上昇だけに依存せず、数量成長や製品ミックス改善がどこまで続くかが次の焦点になります。

供給能力の拡大と需給バランスも確認したい

会社は2027年度に向けてBiCS8・BiCS10の増産を進め、供給bitを前年比で10%台半ばから後半程度増やす計画です。一方、在庫水準を高めに維持するため、販売可能bitの伸びは10%台半ばを見込んでいます。

NANDメーカーにとって最大のリスクの一つは、好況を受けて業界全体が設備投資を増やしすぎ、数四半期後に供給過剰へ転じることです。サンディスクの4Q資料では、自社顧客の需要は供給能力より速く伸びており、2027年を超えてもbit allocation(供給割当)が続くと見ていますが、これはあくまで会社の現時点の見通しです。

今後、サンディスクだけでなくキオクシア、Samsung Electronics、SK hynix、MicronなどNANDメーカーの設備投資が急拡大するかは、メモリサイクルを判断する重要な材料になります。需要が強いまま供給規律が維持されるかが、高い利益率を持続できるかどうかを左右します。

サンディスクの今後はAI・NAND需要がポイント

今後のサンディスクを考えるうえでは、短期的な株価反応よりも、AIデータセンター需要とNAND需給がどこまで続くかが重要です。今回の会社資料には、2027年までの市場についてかなり強気な見通しが示されています。

AI推論の拡大でエンタープライズSSD需要が増える

サンディスクは、AI需要が「学習」から「推論」へ広がることをNAND需要の大きな転換点と捉えています。AIサービスが実際に多数のユーザーに利用されるようになると、一回ごとの処理で生成・参照されるデータ量が増え、そのデータを保存・検索・配信するストレージ需要も増加します。

特にagentic AIのように、AIが複数の処理を連続して実行し、履歴や外部データを参照する仕組みが普及すると、GPUの計算能力だけでなく、大容量・低遅延のストレージが必要になります。サンディスクはこの用途に高容量エンタープライズSSDを供給しており、4Qのデータセンター売上倍増は、その需要がすでに業績へ現れていることを示します。

AI投資が継続する限り、ストレージは「AIインフラの周辺部品」ではなく、データを保持・供給する中核部品として重要性が増す可能性があります。サンディスクにとっては、データセンターのbit構成比が38%まで上がったことで、今後のAI投資動向が業績に与える影響も以前より大きくなっています。

会社はNAND市場を2027年まで強気に見ている

サンディスクはTechInsightsのNAND市場レポートを基に、2026年のNAND市場売上高が3,000億ドルを超え、前年比約3倍になるとの見通しを示しました。さらに2027年には5,000億ドル規模を見込んでいます。

非常に強気な数字であるため、「業界全体の確定的な予測」として扱うのではなく、サンディスクが参照する市場データと自社見通しとして読む必要があります。それでも、会社が2027年まで需要の鈍化ではなく供給不足を前提に事業計画を立てていることは重要です。

会社は「顧客需要の伸びが自社供給能力を上回っており、2027年を超えてもbit allocationが続く」と説明しています。この見通しが実現すれば、NAND価格は過去のメモリサイクルより高い水準を維持しやすく、サンディスクの高い利益率も長期化する可能性があります。

NBMによってメモリ企業の収益構造が変わる可能性

サンディスクの評価を考えるうえで、NBMは単なる受注残ではありません。これまでのNANDメーカーはスポット・短期契約価格の影響が大きく、好況時に高利益を出しても、次の供給過剰局面で利益が急減することが一般的でした。

NBMでは、複数年にわたる数量コミットメントと価格の下限・上限を設定します。最低価格ベースの契約売上高は939億ドルに達しており、契約期間は加重平均4年以上です。これが予定どおり履行されれば、従来よりも売上・利益・キャッシュフローの予見性が高まります。

株式市場でメモリ企業のPERが低くなりやすい理由の一つは、利益の変動が非常に大きいことです。NBMによって景気循環の振幅を抑えられるなら、サンディスクの利益水準だけでなく、「その利益に市場が何倍の評価を与えるか」も変わる余地があります。今後は契約の拡大だけでなく、実際に価格下落局面でも粗利率を守れるかが評価のポイントになるでしょう。

BiCS8・BiCS10など技術移行も重要

供給量と原価競争力の面では、BiCS世代の移行も重要です。サンディスクは2026年度にBiCS8をbit生産の過半まで拡大し、今後はBiCS8とBiCS10への投資を進めます。また、4QにはQLCの「Stargate」プラットフォームの売上計上も開始しました。

NANDでは、世代更新によって1枚のウエハーから得られる記憶容量を増やし、bit当たりコストを下げることが競争力につながります。価格上昇局面では売価の恩恵が大きい一方、長期的には技術移行による原価低減をどれだけ実現できるかが利益率の維持に不可欠です。

AIデータセンターではTLCの高性能SSDだけでなく、大容量データレイク向けにQLCの採用余地もあります。サンディスクが高性能と大容量の両方で製品ポートフォリオを広げられるかは、データセンター売上を今後さらに伸ばすうえで注目したいポイントです。

サンディスクの好決算はキオクシアにも追い風?

日本株投資家にとって、今回のサンディスク決算はキオクシアホールディングス(285A)を見るうえでも重要です。両社は単なる競合企業ではなく、Flash Venturesを通じてNANDを共同開発・共同生産する関係にあります。

サンディスクとキオクシアはNANDを共同生産

サンディスクの資料によると、Flash Venturesの持分はサンディスク49.9%、キオクシア50.1%です。両社はフラッシュメモリのプロセス技術・メモリ設計を共同開発し、Flash Venturesの製造設備を通じてウエハーを生産しています。

キオクシアが製造拠点のクリーンルームを保有・運営し、Flash Venturesへ製造サービスを提供する一方、両社が設備投資を共同で支える構造です。そのため、BiCS世代の技術移行や設備投資、NAND生産能力について、サンディスクとキオクシアは深く結び付いています。

この関係を踏まえると、サンディスクが「顧客需要が供給を上回っている」「価格上昇が売上成長の約3分の2を占めた」と説明していることは、キオクシアの事業環境を考えるうえでも無視できない材料です。

NAND価格上昇とデータセンター需要はキオクシアにも好材料

キオクシアの業績もNANDの販売価格とbit出荷量に大きく左右されます。そのため、サンディスクで確認された強い価格環境は、キオクシアの売価・利益率にも追い風となる可能性が高いと考えられます。

さらに、AIデータセンターでエンタープライズSSD需要が急増していることは、NAND市場全体の需要構造を改善します。サンディスクのデータセンター売上は前四半期比103%増となり、bit構成比も38%へ上昇しました。この需要が業界共通のトレンドであれば、キオクシアにとっても高付加価値用途の拡大につながります。

ただし、サンディスクの売上・利益率をそのままキオクシアへ当てはめることはできません。顧客構成、SSD製品の販売比率、長期契約条件、会計処理などが異なるためです。今回の決算は、「キオクシアも同じ数字になる」という材料ではなく、「NAND価格とAIストレージ需要が強いことを確認できる先行材料」として見るのが適切でしょう。

サンディスクの次回決算はいつ?

2026年8月6日時点で、サンディスクは2027年度第1四半期決算の正式な発表日をまだ公表していません。前年の2026年度1Q決算は2025年11月6日に発表され、決算発表日の約1か月前となる10月6日に日程が告知されました。

同社の会計年度と前年スケジュールを踏まえると、次回の2027年度1Q決算も2026年10月末~11月上旬ごろが一つの目安になります。ただし、正式な日時はサンディスクのIRサイトで公表される決算日程を確認する必要があります。

次回決算で確認したいポイント

次回決算では、単純に売上・EPSが会社予想を上回るかだけでなく、現在の高い利益率とNAND需給が継続しているかを確認することが重要です。特に次の項目に注目したいところです。

  • 売上高が会社予想の103~108億ドルに到達するか
  • Non-GAAP EPSが44~46ドルに到達するか
  • Non-GAAP粗利率83~85%を維持できるか
  • NAND価格の上昇が続いているか、売上成長に占める価格効果がどう変化したか
  • Datacenter売上が29.77億ドルからさらに伸びるか
  • データセンターのbit構成比が38%からどこまで上昇するか
  • Consumer売上の減少が一時的なものか
  • NBMの契約顧客・契約売上高・FY2027/FY2028のコミット比率がさらに増えるか
  • BiCS8・BiCS10の量産進捗と、供給bit成長率が計画どおり進むか

特に粗利率は重要です。4Qまでの急上昇局面から、1Qは高水準維持の局面へ移ります。売上が増えても粗利率が想定より低下すれば利益成長への期待は弱まりやすく、逆に85%近辺を維持しながら売上がガイダンス上限を超えれば、現在のNAND供給不足が想定以上に強いことを示す材料になります。

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まとめ

サンディスクの2026年度4Q決算は、売上高89.65億ドル、Non-GAAP EPS39.25ドルと市場予想を大きく上回る好決算でした。売上高は前四半期比51%増、前年同期比372%増となり、Non-GAAP粗利率も84.6%まで上昇しています。

業績拡大の最大の要因は、NAND価格の上昇とAIデータセンター需要です。前四半期比の売上成長の約3分の2は価格上昇によるもので、データセンター売上は前四半期比103%増となりました。AIインフラ向けエンタープライズSSDが、サンディスクの成長の中心に変わりつつあります。

また、8社の顧客と進めるNBMでは最低価格ベースの契約売上高が939億ドルに達し、FY2027生産bitの約半分、FY2028の約3分の2がコミットされています。高いNAND価格だけに依存せず、長期契約によって収益の安定性を高めようとしている点も重要です。

決算後に株価は下落しましたが、4Q実績が悪かったわけではありません。LSEG基準では次四半期ガイダンスも市場予想を上回る一方、FactSetでは売上ガイダンス中央値が高い市場予想に届いておらず、株価上昇によって膨らんでいた期待値とのギャップが売りにつながったと考えられます。

今後は、AIデータセンター需要、NAND価格、粗利率83~85%の維持、NBM契約の拡大を確認することが重要です。サンディスクと共同でNANDを生産するキオクシアにとっても、今回示された強い価格環境とAIストレージ需要は業績を考えるうえでポジティブな先行材料といえるでしょう。

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