東京海上ホールディングス(8766)は2026年8月25日、普通株式1株を15株に分割すると発表しました。分割の基準日は9月30日、効力発生日は10月1日です。
今回の最大の変化は、100株を買うための最低投資金額が約74万円から理論上約4.9万円まで下がることです。既存株主の保有株数は15倍になりますが、1株当たり株価は理論上15分の1に調整されるため、株式分割だけで保有資産が増えるわけではありません。
配当は分割比率に合わせて調整され、実質的な減配ではありません。同時に株主優待制度も新設されました。今回の分割条件、株価・最低投資金額への影響、配当、優待、2022年の過去分割まで順に確認します。
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東京海上が1株→15株の株式分割を発表

東京海上ホールディングスは、2026年9月30日を基準日として普通株式1株を15株に分割します。効力発生日は2026年10月1日です。目的は、投資単位当たりの金額を引き下げ、投資しやすい環境を整えて投資家層を広げることにあります。
今回の株式分割の主な内容は次のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 発表日 | 2026年8月25日 |
| 分割比率 | 1株につき15株 |
| 基準日 | 2026年9月30日 |
| 効力発生日 | 2026年10月1日 |
| 権利付き最終日 | 2026年9月28日 |
| 主な目的 | 投資単位の引き下げ、投資家層の拡大 |
| 分割前の発行済株式総数 | 1,934,000,000株 |
| 分割後の発行済株式総数 | 29,010,000,000株 |
| 分割後の発行可能株式総数 | 100,000,000,000株 |
株式分割は株数と1株当たりの価格表示を調整するもので、会社の事業や利益そのものを変える施策ではありません。分割前後で何株になるかは、次の見出しで具体例を示します。
発行済株式総数は分割前の19億3,400万株から290億1,000万株へ増加します。また、分割後の発行済株式数の増加に対応するため、定款上の発行可能株式総数も80億株から1,000億株へ拡大されます。発行可能株式総数は15倍ではなく12.5倍の変更であり、今回の15分割と同じ倍率で増やしたわけではありません。
既に公表済みの自己株式取得についても、取得上限株数が1億3,000万株から19億5,000万株へ変更されました。ただし、取得価額の上限2,000億円と取得期間は変更されていません。自社株買いの金額を15倍に増やしたのではなく、株式分割後の株数に合わせて取得上限株数を15倍に調整したものです。
東京海上の株式分割はいつ?
株式分割の基準日は2026年9月30日、効力発生日は10月1日です。9月30日時点の株主名簿に記載・記録された株主の保有株式が、1株につき15株の割合で分割されます。
2026年9月末の権利付き最終日は9月28日、権利落ち日は9月29日です。9月29日以降は、株式分割を反映した理論価格を基準に取引されることになります。
既に証券会社の口座で東京海上株を保有している場合、通常は株主側で株式分割のための特別な申請をする必要はありません。分割後の株数は証券口座に反映されます。ただし、表示の切り替え時期や注文の受付方法は証券会社によって異なる場合があるため、分割前後に売買する場合は利用している証券会社の案内も確認しておくと安心です。
1株が15株になると保有株数はどうなる?
今回の分割では、保有している株数が一律で15倍になります。分割前後の株数を具体例で比べると、次のようになります。
| 分割前 | 分割後 |
|---|---|
| 1株 | 15株 |
| 10株 | 150株 |
| 100株 | 1,500株 |
| 500株 | 7,500株 |
| 1,000株 | 15,000株 |
100株を保有している場合は1,500株になります。ここで変わるのは保有株数であり、株式分割だけを理由に保有株式の時価総額が機械的に増えるわけではありません。
東京海上の株式分割後の株価はいくらになる?
株式分割後の理論株価は、分割前の株価を15で割った水準です。東京海上の2026年8月25日の終値は7,408円だったため、この株価を単純に15分割すると約493.9円になります。
実際の株価は9月末までの相場変動や分割後の需給で変わるため、約494円が10月1日の実際の株価になると決まっているわけではありません。あくまで8月25日終値を基準にした理論値です。
| 項目 | 分割前 | 15分割後の理論値 |
|---|---|---|
| 1株当たり株価 | 7,408円 | 約493.9円 |
| 100株の購入金額 | 740,800円 | 約49,387円 |
| 100株保有時の株数 | 100株 | 1,500株 |
8月25日終値を基準にすると、100株の購入金額は740,800円から理論上は約49,400円へ下がります。今回の分割で投資家にとって最も大きく変わるのは、この最低投資金額です。
最低投資金額は大幅に下がる
東京証券取引所は、個人投資家が投資しやすい環境を整えるため、上場会社に対して投資単位50万円未満を望ましい水準として示しています。2026年7月28日には、投資単位が50万円以上の会社に対し、株式分割などによる引き下げの検討を改めて要請しました。さらに東証は、個人投資家向けアンケートなどを踏まえ、個人投資家が求める投資単位は10万円程度との認識も示しています。
東京海上は8月25日終値ベースで1単元約74万円となっており、50万円を上回る水準でした。今回の15分割後は、同じ株価水準なら1単元が約4.9万円まで低下します。東証が示す50万円未満を大きく下回るだけでなく、より少額で投資できる株式になります。
最低投資金額が下がれば、これまで「100株を買うには資金負担が大きい」と感じていた個人投資家も参加しやすくなります。新NISAの成長投資枠でポートフォリオを組む場合にも、1銘柄当たりの投資金額を細かく調整しやすくなる点は実務上のメリットです。
東京海上が15分割する理由は?
東京海上が示している株式分割の目的は、投資単位当たりの金額を引き下げて投資しやすい環境を整え、投資家層を拡大することです。15分割という大きな比率により、東京海上株の最低投資金額は従来より大幅に低下します。
株式分割は企業の利益を直接増やす施策ではありませんが、1単元の価格を下げることで株式市場で参加できる投資家の範囲を広げる効果が期待できます。特に東京海上のように株価が数千円台まで上昇した銘柄では、100株単位で買う際の資金負担が大きくなりやすく、分割による投資単位の引き下げには分かりやすい意味があります。
会社は「なぜ15分割という比率にしたのか」という細かな算定根拠までは公表していません。そこで、8月25日終値7,408円を基準に、分割比率ごとの理論的な投資単位を比べると次のようになります。
| 分割比率 | 分割後の理論株価 | 100株の理論購入額 |
|---|---|---|
| 1株→3株 | 約2,469円 | 約24.7万円 |
| 1株→5株 | 約1,482円 | 約14.8万円 |
| 1株→10株 | 約741円 | 約7.4万円 |
| 1株→15株 | 約494円 | 約4.9万円 |
3分割や5分割でも東証の「50万円未満」という基準は満たせますが、15分割では1単元が約4.9万円まで下がります。東証が個人投資家のニーズとして示す「10万円程度」も大きく下回る水準です。今回の分割は、単に50万円未満へ下げるだけでなく、少額から100株を保有しやすい水準まで投資単位を引き下げる大幅分割と捉えられます。ただし、15分割の比率決定が東証の要請や10万円水準を直接の理由としたかどうかは会社から明示されていません。
今回の15分割と株主優待の新設は、別々の施策というより一続きの株主政策として見ると分かりやすいです。会社は開示資料で、より多くの投資家に株主になってもらうため投資単位を大きく引き下げる一方、優待は3年以上継続保有する株主を対象にすると説明しています。入口では約5万円から100株を持てるようにし、保有後は長期保有を促す設計になっており、個人株主の裾野拡大と長期的な株主基盤づくりを同時に狙う施策と考えられます。
株式分割で東京海上の配当金はどうなる?
今回の株式分割に伴い、東京海上は2027年3月期の配当予想を修正しました。ただし、これは実質的な減配ではなく、15分割に合わせて期末配当の1株当たり金額を調整したものです。
2026年5月20日時点では、2027年3月期の配当予想は中間122.50円、期末122.50円、年間245円でした。今回の株式分割は10月1日付で実施されるため、中間配当は分割前の株数、期末配当は分割後の株数を基準に計算されます。
| 2027年3月期 | 分割発表前の予想 | 分割発表後 |
|---|---|---|
| 中間配当 | 122.50円 | 122.50円(分割前株式ベース) |
| 期末配当 | 122.50円 | 8.17円(分割後株式ベース) |
| 年間配当の表示 | 245.00円 | -(会社資料では合計表示なし) |
| 分割前換算の年間配当 | 245.00円 | 245.05円相当 |
会社の開示資料では、今回の配当予想について年間配当の「合計」は表示していません。中間配当122.50円は分割前の株式数、期末配当8.17円は分割後の株式数を基準とするため、1株当たりの金額をそのまま足して比較するのは適切ではないためです。期末配当8.17円を分割前ベースに換算すると122.55円となり、中間配当と合わせて245.05円相当です。会社も、株式分割による株数増加を考慮すれば、2026年5月20日に公表した予想と実質的に同額と説明しています。
例えば、分割前に100株を保有しているケースでは、中間配当は100株×122.50円で12,250円です。その後、株式分割によって1,500株となり、期末配当は1,500株×8.17円で12,255円となります。合計は24,505円で、従来予想の100株×245円=24,500円とほぼ同じです。5円の差は1株当たり配当額を小数第2位まで表示する際の端数調整によるものです。
したがって、「1株当たり期末配当が122.50円から8.17円になるから大幅減配」という見方は誤りです。配当の実質的な増減を判断する際は、分割調整後の株数をそろえて比較する必要があります。
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東京海上は過去にも株式分割を実施している
東京海上ホールディングスは今回が初めての株式分割ではありません。2022年にも、1株を3株にする株式分割を実施しています。
| 実施時期 | 分割比率 | 基準日 | 効力発生日 |
|---|---|---|---|
| 2022年 | 1株→3株 | 2022年9月30日 | 2022年10月1日 |
| 2026年 | 1株→15株 | 2026年9月30日 | 2026年10月1日 |
2022年の分割時も、会社は投資単位当たりの金額を引き下げ、より投資しやすい環境を整えて投資家層の拡大を図ることを目的としていました。今回の目的も基本的には同じですが、分割比率は1対3から1対15へ大幅に拡大しています。
2022年の分割前から1株を保有し、その後も保有し続けたと仮定すると、2022年の3分割で3株となり、今回の15分割で45株になります。つまり、2回の株式分割を合わせると株数は45倍です。ただし、その分だけ理論上の1株価値も調整されるため、分割そのものが45倍の投資リターンを生むわけではありません。
東京海上は株式分割と同時に株主優待も新設
東京海上は2026年8月25日、株式分割と同時に株主優待制度の導入も発表しました。初回の基準日は2027年3月31日で、普通株式100株以上を3年以上継続保有する株主が対象です。2027年3月31日時点ですでに条件を満たしている株主には、初回から7,500円相当の電子マネー等が贈呈されます。
発表時点では、初回は7,500円相当、翌年以降は毎年2,500円相当の電子マネーなどを贈呈する予定とされています。株式分割によって100株の必要投資金額が大きく下がるため、優待をきっかけに長期保有を検討する個人投資家が増える可能性があります。
一方で、優待には3年以上の継続保有条件があるため、株式を買えばすぐ受け取れる制度ではありません。3年以上継続保有とは、毎年3月31日と9月30日の株主名簿に、100株以上を保有する株主として同一株主番号で連続7回以上記載・記録されることを指します。売却などで株主番号の連続性が途切れた場合、それ以前の保有期間は通算されません。
株式分割後に新たに100株を購入する場合、2027年3月の初回優待をすぐ受け取れるわけではありません。例えば2026年10月以降に保有を始め、2027年3月31日から100株以上を同一株主番号で継続して保有した場合、3月末・9月末の名簿記載が7回に達するのは2030年3月31日です。条件を途切れず満たせば、最短では2030年3月基準の優待が初回対象となります。
東京海上の株式分割で株価は上がる?
株式分割は投資家にとってポジティブに受け止められることがありますが、分割しただけで企業価値や利益が増えるわけではないため、株価上昇が保証される材料ではありません。
株価の需給面でプラスに働く可能性がある要因は次のとおりです。
- 最低投資金額が約74万円から理論上約4.9万円まで低下し、個人投資家が参加しやすくなる
- 売買に参加できる投資家が増えることで、株式の流動性が高まる可能性がある
- 株主優待の新設により、長期保有を目的とした個人株主が増える可能性がある
- 新NISAなどで少額ずつ組み入れやすくなり、投資金額を調整しやすくなる
一方、株式分割の発表後に必ず株価が上がるわけではありません。分割自体は既存株主の経済価値を増やさず、発表直後に材料が織り込まれれば、その後は利益確定売りが出ることもあります。
東京海上の中長期的な株価を左右するのは、保険引受利益、海外保険事業の成長、自然災害による損害額、政策保有株式の売却、金利・為替環境、配当や自己株式取得などの株主還元です。株式分割は需給を改善する可能性のある材料の一つとして捉え、業績と株主還元の持続性を合わせて確認することが重要です。
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東京海上の株式分割でよくある質問
株式分割前に買うとどうなる?
2026年9月30日を基準日とする今回の株式分割では、9月末の権利付き最終日は9月28日です。9月28日までに買い付けて権利を得た株式は、1株につき15株の割合で分割されます。
ただし、「分割前に買えば得をする」という仕組みではありません。権利落ち後は株価が理論上15分の1に調整されるため、分割前に100株を買う場合と、分割後の価格で同等額を投資する場合で、株式分割だけを理由に経済価値の差が生まれるわけではありません。
100株持っている場合は何株になる?
分割前に100株を保有している場合、分割後は1,500株になります。株数の変更は証券口座に反映されます。
株式分割で資産は15倍になる?
資産が15倍になるわけではありません。例えば株価7,500円で100株なら時価は75万円です。15分割後は1,500株、理論株価500円となるため、500円×1,500株=75万円と理論上の時価は同じです。
実際には分割前後の売買で株価が変動するため時価総額も動きますが、株式分割そのものは会社の価値を増やすものではありません。
分割後から100株買う場合はいくら必要?
2026年8月25日終値7,408円を基準にすると、15分割後の理論株価は約493.9円です。この水準で100株を買う場合、必要資金は約49,400円となります。
実際の必要資金は、分割実施時点の株価によって変わります。東京海上株が分割までに上昇すれば必要資金は増え、下落すれば少なくなります。
まとめ
東京海上ホールディングスは2026年8月25日、1株を15株にする株式分割を発表しました。基準日は9月30日、効力発生日は10月1日です。
今回の分割で最も大きく変わるのは最低投資金額です。8月25日終値ベースでは100株に約74万円必要だったところ、15分割後の理論値では約4.9万円となり、個人投資家が100株を保有しやすい水準へ大きく下がります。
配当は分割に合わせた調整で実質的な減配ではありません。さらに、100株以上を3年以上継続保有する株主を対象とした優待も新設されました。投資単位を下げて新しい株主を呼び込み、長期保有を促すという今回の株主政策が、今後の株主数や売買の流動性にどう表れるかが注目点です。
出典
東京海上ホールディングス「株式分割および株主優待制度の導入について/株式分割、株主優待制度の導入、株式分割に伴う定款の一部変更、配当予想の修正および自己株式取得に係る事項の変更に関するお知らせ」(2026年8月25日)
https://www2.jpx.co.jp/disc/87660/140120260825525826.pdf
東京海上ホールディングス「IRニュース」
https://www.tokiomarinehd.com/ir/news
東京海上ホールディングス「配当方針・還元」
https://www.tokiomarinehd.com/ir/stock/return.html
東京海上ホールディングス「株式分割、株式分割に伴う定款の一部変更、配当予想の修正に関するお知らせ」(2022年7月20日)
https://www2.jpx.co.jp/disc/87660/140120220716501098.pdf
日本取引所グループ「投資単位の引下げ/株式分割の仕組み・効果」
https://www.jpx.co.jp/equities/listing/company-split
ロイター「東京海上HD、9月30日を基準日に株式15分割 株主優待も導入」
https://finance.yahoo.co.jp/news/detail/a425c094b4f9998417c6034e1e2a1df3c9fbc7a7
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