オリックス株式会社(以下、オリックス)が2025年5月12日に発表した2025年3月期(2024年4月1日~2025年3月31日)の連結決算は、厳しい経済環境下においても底堅い収益力を示し、最終利益で過去最高益を更新しました。
本記事では、オリックスの2025年3月期決算の詳細な内容、セグメント別の業績、財務状況、そして今後の見通しについて解説します。
オリックスの2025年3月期における連結決算の振り返り
オリックスの2025年3月期の連結決算の主要項目は以下の通りです。
項目 | 2025年3月期 (百万円) | 2024年3月期 (百万円) | 前期比 |
---|---|---|---|
営業収益 (売上高) | 2,874,821 | 2,814,361 | +2.1% |
営業利益 | 331,826 | 360,713 | -8.0% |
税引前当期純利益 (経常利益に相当) | 480,463 | 469,975 | +2.2% |
当社株主に帰属する当期純利益 (最終利益) | 351,630 | 346,132 | +1.6% |
1株当たり当社株主に帰属する 当期純利益 (円) | 307.74 | 298.55 | +9.19円 |
1株当たり年間配当金 (円) | 120.01 | 98.60 | +21.41円 |
2025年3月期のオリックスは、営業収益が前期比2.1%増の2兆8,748億2,100万円、税引前当期純利益は前期比2.2%増の4,804億6,300万円となりました。当社株主に帰属する当期純利益(最終利益)は、前期比1.6%増の3,516億3,000万円と、過去最高益を更新しました。
これは、オペレーティング・リース収益やサービス収入の増加に加え、持分法による投資利益や子会社・関連会社株式の売却益が増加したことなどが主な要因です。
一方で、金融収益や有価証券関連の損益、生命保険料収入等が減少したことや、オペレーティング・リース原価やサービス費用、長期性資産評価損等が増加した影響で、営業利益は前期比で減少しました。
オリックスのセグメント別の業績
2025年3月期のセグメント別の業績は以下の通りです。
セグメント | 項目 | 2025年3月期 | 2024年3月期 | 前期比増減額 |
---|---|---|---|---|
法人営業・メンテナンスリース | セグメント収益 | 460,699 | 444,959 | +15,740 |
セグメント利益 | 90,329 | 83,244 | +7,085 | |
不動産 | セグメント収益 | 497,780 | 471,692 | +26,088 |
セグメント利益 | 70,541 | 67,055 | +3,486 | |
事業投資・コンセッション | セグメント収益 | 377,931 | 379,168 | -1,237 |
セグメント利益 | 98,872 | 43,967 | +54,905 | |
環境エネルギー | セグメント収益 | 186,021 | 165,598 | +20,423 |
セグメント利益 | -4,923 | 38,072 | -42,995 | |
保険 | セグメント収益 | 518,363 | 563,869 | -45,506 |
セグメント利益 | 74,399 | 70,826 | +3,573 | |
銀行・クレジット | セグメント収益 | 63,304 | 88,574 | -25,270 |
セグメント利益 | 29,291 | 97,353 | -68,062 | |
輸送機器 | セグメント収益 | 119,592 | 65,191 | +54,401 |
セグメント利益 | 67,420 | 44,366 | +23,054 | |
ORIX USA | セグメント収益 | 154,228 | 173,426 | -19,198 |
セグメント利益 | 39,915 | 27,931 | +11,984 | |
ORIX Europe | セグメント収益 | 257,267 | 227,151 | +30,116 |
セグメント利益 | 44,373 | 41,638 | +2,735 | |
アジア・豪州 | セグメント収益 | 236,220 | 225,293 | +10,927 |
セグメント利益 | 34,451 | 47,069 | -12,618 | |
セグメント合計 | セグメント収益合計 | 2,871,405 | 2,804,921 | +66,484 |
セグメント利益合計 | 544,668 | 561,521 | -16,853 |
注1: オリックスの決算は米国会計基準に基づいています。「セグメント収益」は各セグメントの外部顧客への売上や事業からの収益を指し、「セグメント利益」は、税金費用、非支配持分に帰属する当期純利益、償還可能非支配持分に帰属する当期純利益等を含まない段階の利益です。
注2: セグメント間の内部取引消去前の数値であるため、単純合計は連結財務諸表の数値とは必ずしも一致しません。
法人営業・メンテナンスリース
法人営業・メンテナンスリースの2025年3月期のセグメント収益は4,606億9,900万円でした。セグメント利益は903億2,900万円となり、前期比で9%(71億円)増加しました。
これは、子会社や持分法適用会社の株式売却による利益が増加したほか、オペレーティング・リースからの収益も伸びたためです。個別では、法人営業部門のローン新規実行や手数料収入の伸長、事業承継投資先の売却(東京ソイルリサーチなど)が大幅増益に貢献しました。
また、自動車リース事業は中古車市場の好調を背景に4年連続で最高益を達成し、レンテック事業もWindows入れ替え需要を捉えたレンタルが堅調でした。
不動産
当セグメントの2025年3月期のセグメント収益は4,977億8,000万円でした。セグメント利益は705億4,100万円で、前期比5%(35億円)の増加となりました。オペレーティング・リース収益の増加が増益の主な要因です。
投資・運営事業では大型複合施設(ハンドレッドサーカス)や物流施設の売却益に加え、ホテルの新規開業による客室数増加やRevPAR(販売可能な客室1室あたりの収益)の上昇が利益を押し上げました。
また、子会社の大京ではマンション分譲が堅調で、大京穴吹建設のマンション新築工事受注も伸び、増益に貢献しました。一方で、持分法による投資利益は減少しました。
事業投資・コンセッション
当セグメントの2025年3月期のセグメント収益は3,779億3,100万円でした。事業投資・コンセッションセグメントは、988億7,200万円のセグメント利益を計上し、これは前期と比較して549億5百万円、率にして125%の大幅な増益となりました。
主な要因として、事業投資分野ではDHCや東芝などの投資先の業績が堅調だったことに加え、株式会社ささえあホールディングスやワコーパレット株式会社といった投資先の売却を複数実現し、これが投資先の減損損失を大きく上回りました。
また、持分法による投資利益も増加しました。コンセッション事業(空港運営など)では、国際線の旅客数が順調に回復・増加し、7四半期連続での増益を達成しています。
環境エネルギー
当セグメントの2025年3月期のセグメント収益は1,860億2,100万円でした。環境エネルギーセグメントは、49億2,300万円のセグメント損失(前期は380億7,200万円の利益)を計上しました。これは前期と比較して429億9,500万円の大幅な減益となります。
保険
当セグメントの2025年3月期のセグメント収益は5,183億6,300万円でした。セグメント利益は743億9,900万円を計上し、これは前期と比較して35億7,300万円の増益(前期比5%増)となりました。
保有債券の入れ替えによる売却損を第4四半期に計上したものの、運用収益を順調に伸ばしたことや、生命保険事業の業績が向上したことが増益に貢献しました。また、2024年11月に発売した一時払終身保険「Moonshot」の販売も好調です。
銀行・クレジット
当セグメントの2025年3月期のセグメント収益は633億400万円でした。セグメント利益は292億9,100万円を計上し、前期と比較して680億6,200万円の大幅な減益(前期比70%減)となりました。
主な要因は、前期第4四半期にオリックス・クレジット株式会社の一部株式譲渡に伴う売却益を計上しており、その反動で当期は利益が減少したこと、および同社が持分法適用会社となったことにより金融収益が減少したことです。
銀行事業自体は金利上昇により金融収益が拡大しています。
輸送機器
当セグメントの2025年3月期のセグメント収益は1,195億9,200万円でした。セグメント利益は674億2,000万円を計上し、前期と比較して230億5,400万円の増益(前期比52%増)となりました。
主な要因として、航空機事業において旺盛な旅客需要を背景に保有機体全体のリース料利回りが向上し、機体の売却益も増加したことが挙げられます。
また、子会社化した三徳船舶の利益貢献も大幅増益に寄与しました。加えて、前期第4四半期に新規に子会社を取得した影響でオペレーティング・リース収益が増加しています。
ORIX USA
当セグメントの2025年3月期のセグメント収益は1,542億2,800万円でした。セグメント利益は399億1,500万円を計上し、前期と比較して119億8,400万円の増益(前期比43%増)となりました。
プライベートエクイティ(PE)投資におけるLP投資先の償還益を複数実現したことや、クレジット事業において資産圧縮を進めながらも収益が堅調に推移し与信コストが減少したことが増益に貢献しました。
販売費および一般管理費の増加や有価証券関連の損益・配当金の減少があったものの、子会社・持分法投資売却損益の増加がこれらを上回りました。
ORIX Europe
当セグメントの2025年3月期のセグメント収益は2,572億6,700万円でした。セグメント利益は443億7,300万円を計上し、これは前期と比較して27億3,500万円の増益(前期比7%増)となりました。
運用資産残高(AUM)が過去最高の3,762億ユーロに達し、マネジメントフィーに加えパフォーマンスフィーも伸長したことが主な増益要因です。サービス収入の増加も全体の増益に貢献しました。ただし、第4四半期には地政学的リスクを考慮し、一部投資先の減損を計上しています。
アジア・豪州
当セグメントの2025年3月期のセグメント収益は2,362億2,000万円でした。セグメント利益は344億5,100万円を計上し、前期と比較して126億1,800万円の減益(前期比27%減)となりました。
主な減益要因は、中華圏において有価証券売却・評価損益および受取配当金が減少し、持分法による投資利益も減少したことに加え、信用損失費用や持分法投資先の減損を計上したことです。一方で、オーストラリア、インド、韓国においてはリース収益が伸長しました。
オリックスの財務状況はどう?
2025年3月期末のオリックスの連結財務状況は以下の通りです。
項目 | 2025年3月31日 (百万円) | 2024年3月31日 (百万円) | 増減額 (百万円) | 増減率 |
---|---|---|---|---|
総資産 | 16,866,251 | 16,322,100 | +544,151 | +3.3% |
負債合計 | 12,691,036 | 12,297,490 | +393,546 | +3.2% |
資本合計 (純資産) | 4,171,783 | 4,021,965 | +149,818 | +3.7% |
株主資本 | 4,089,782 | 3,941,466 | +148,316 | +3.8% |
株主資本比率 | 24.2% | 24.1% | +0.1 pt | – |
1株当たり株主資本 (円) | 3,599.24 | 3,422.94 | +176.30 | +5.1% |
総資産は、現金および現金等価物や営業貸付金、その他資産(主に再保険貸)などが増加した一方、使途制限付現金や社用資産などが減少した結果、前期末に比べて5,441億5,100万円増加し、16兆8,662億5,100万円となりました。
負債合計は、預金や長期借入債務などが増加したため、前期末に比べて3,935億4,600万円増加し、12兆6,910億3,600万円となりました。資本合計(純資産)は前期末から1,498億1,800万円増加し、4兆1,717億8,300万円となりました。
このうち、親会社の株主に帰属する株主資本は、1,483億1,600万円増加して4兆897億8,200万円となりました。これに伴い、株主資本比率は前期末の24.1%から24.2%へと若干上昇しました。
キャッシュフローの状況
項目 | 2025年3月期 (百万円) | 2024年3月期 (百万円) |
---|---|---|
営業活動によるキャッシュ・フロー | 1,300,193 | 1,243,402 |
投資活動によるキャッシュ・フロー | -1,309,695 | -1,372,803 |
財務活動によるキャッシュ・フロー | 149,322 | -85,477 |
現金、現金等価物および 使途制限付現金 増加(△減少)額 (純額) | 136,676 | -181,601 |
現金、現金等価物および 使途制限付現金 期首残高 | 1,185,307 | 1,366,908 |
現金、現金等価物および 使途制限付現金 期末残高 | 1,321,983 | 1,185,307 |
2025年3月期のキャッシュフローの状況を見ると、営業活動によるキャッシュ・フローは、保険契約債務の増加や棚卸資産の増加額減少などにより、1兆3,001億9,300万円の収入(前期比増)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、リース資産や売却可能負債証券の購入が増加した一方で、売却可能負債証券の売却・償還が増加したことなどにより、1兆3,096億9,500万円の支出(前期比で支出減)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、満期日が3ヶ月超の借入債務の調達が返済を上回ったことや、預金の受け入れが増加に転じたことなどにより、1,493億2,200万円の収入(前期は支出)となりました。
これらの結果、現金、現金等価物および使途制限付現金の期末残高は前期末より1,366億7,600万円増加し、1兆3,219億8,300万円となりました。
主要財務指標(ROEなど)
2025年3月期の主要な財務指標は以下の通りです。
- ROE(株主資本当社株主に帰属する当期純利益率): 8.8% (前期は9.2%)
- ROA(総資本税引前当期純利益率): 2.9% (前期は3.0%)。
なお、決算説明資料では、ROA(総資本・当社株主に帰属する当期純利益率)として2.12%(前期2.19%)という記載もあります。
ROEは、株主資本に対してどれだけの利益を生み出したかを示す指標です。当期は株主資本が増加した一方で、利益の伸びがそれを若干下回ったため、ROEは前期から微減しました。ROAは、総資産に対してどれだけの利益を生み出したかを示す指標です。
オリックスの株主還元(配当・自社株買いなど)は?
オリックスは、事業活動で得られた利益を事業基盤の強化や成長のための投資に活用することにより株主価値の増大に努めると同時に、業績を反映した安定的かつ継続的な配当を実施することを基本方針としています。
2025年3月期の1株当たりの年間配当金は、前期から21.41円増配の120.01円(中間配当金62.17円、期末配当金57.84円)となりました。これにより、配当性向は39.0%となります。決算説明資料によると、11.3期以降の配当額の年平均成長率(CAGR)は21%に達しています。
また、自己株式取得については、経営環境、株価の動向、財務状況および目標とする経営指標等を勘案のうえ、弾力的・機動的に実施する方針です。2025年3月期においては、500億円の自己株式取得を実施しました。
オリックスの来期見通しと戦略について
オリックスは、2026年3月期(2025年4月1日~2026年3月31日)の連結業績予想として、当社株主に帰属する当期純利益3,800億円(前期比8.1%増)を目指しています。これが達成されれば3期連続の過去最高益となります。来期の主な戦略・見通しは以下の通りです。
成長を牽引する事業分野
来期は「事業」分野と「投資」分野を伸ばし、全体の利益成長を牽引する計画です。
- 「事業」分野
空港コンセッション事業では、大阪万博の開催や関西国際空港第1ターミナルのリノベーション効果による旅客数の増加を見込んでいます。また、航空機事業など、ツーリズム関連が引き続き成長ドライバーとなる見込みです。 - 「投資」分野
不動産においては、リカーリングな(継続的な)売却益の拡大を目指します。国内プライベートエクイティ(PE)投資では、2025年3月期に続き高い利益水準を維持することを目標としています。
株主還元の強化
株主還元については、引き続き積極的な姿勢を示しています。
- 配当
2026年3月期の1株当たり年間配当金予想は、配当性向39.0%とするか、または前期(2025年3月期)の配当実績である120.01円のいずれか高い方とする方針です。純利益が目標通り3,800億円に達した場合、1株当たり配当金は132円となる見通しです。 - 自己株式取得
1,000億円を上限とする自己株式の取得枠を設定し、市場環境などを踏まえ機動的に実施する方針です。
マクロ経済環境への対応
「トランプ関税」に代表されるような世界経済の変動要因や、それに伴う景気の不透明感は認識しているようです。
これらマクロ経済の変化がオリックスの事業に与える直接的な影響は限定的と分析しつつも、事業環境については慎重な判断を継続しています。その上で、中長期的な視点から企業価値の向上およびROE(株主資本利益率)の向上に注力していく考えのようです。
長期ビジョンと中期目標
オリックスは、2035年3月期にROE15%、純利益1兆円を達成するという長期ビジョンを掲げています。
この長期ビジョン達成に向けたマイルストーンとして、新3か年計画の最終年度である2028年3月期にROE11%以上を達成することを中期的な目標としています。これらの目標達成のため、持続的な利益成長、ポートフォリオの最適化、そして積極的な自社株買いを含む株主還元の実施を戦略の柱として進めていく方針です。
戦略的投資領域
今後の成長を加速させるため、オリックスは以下の3つの分野を「戦略的投資領域」と位置づけ、注力していく方針です。
- テクノロジーの進化
AI(人工知能)関連インフラ、DX(デジタルトランスフォーメーション)、BPaaS(Business Process as a Service)、新たなモビリティサービスなど、技術革新がもたらす新たな事業機会を追求します。 - 世界の人口増加・動態変化
アジア地域での事業展開加速、ホスピタリティ&エンターテインメント事業の強化、ウェルスマネジメント(富裕層向け資産管理)サービスなど、人口動態の変化に対応した成長を目指します。 - 地球温暖化・限りある資源
再生可能エネルギー事業の国内外での展開、新エネルギー技術への投資、低環境負荷型事業の推進、サーキュラーエコノミー(循環型経済)への貢献など、地球規模の課題解決に繋がる事業を積極的に推進します。
はい、承知いたしました。「今後の株価を考える上での判断材料:決算発表後の市場の反応とその背景」のセクションについて、ご指定の通り1~3の部分をh3見出しを使って修正します。
オリックスの今後の株価を考える上での判断材料は?
オリックスの2025年3月期決算は、2025年5月12日の取引終了後に発表されました。発表前の終値は2,947.0円でしたが、発表後のPTS(夜間取引)では一時2,996円まで上昇し、18時24分時点では2,994円で取引されるなど、市場はポジティブな反応を示したように見受けられます。
このような市場の反応、すなわち「好材料」と判断された背景には、今回の決算発表に含まれる以下の要素が考えられます。
過去最高益の達成と来期の強気な業績予想
2025年3月期の当社株主に帰属する当期純利益(最終利益)は3,516億円となり、過去最高益を更新しました。市場の事前予想(3,900億円)には届かなかったものの、増益を確保し最高益を更新した点はポジティブに評価された可能性があります。
さらに重要なのは、2026年3月期の業績予想として、前期比8.1%増の3,800億円という、3期連続の過去最高益更新を目指す強気の見通しが示されたことです。将来の成長期待が株価を押し上げる要因になったと考えられます。
積極的な株主還元策の発表
株主還元に対する積極的な姿勢も好感されたと考えられます。
- 増配
2025年3月期の年間配当金を前期比で大幅に増配し、1株あたり120.01円としました - 来期の更なる増配期待
2026年3月期についても、配当性向39%または前期配当(120.01円)の高い方を採用する方針を示し、業績予想達成時には1株あたり132円への更なる増配が見込まれることを示唆しました。安定した配当と今後の増配への期待は、株主にとって大きな魅力となります。 - 自己株式取得枠の拡大
2026年3月期には、自己株式取得枠を前期の500億円から1,000億円へと倍増させる計画を発表しました。これは1株あたりの価値向上に繋がり、株価に対するサポート要因として市場に受け止められた可能性があります。
事業ポートフォリオの底堅さと成長性
「環境エネルギー」セグメントの減損損失や「銀行・クレジット」セグメントの減益といったネガティブな要素はあったものの、「事業投資・コンセッション」の大幅増益 や「輸送機器」の好調 など、多くのセグメントが堅調な業績を示しました。
これは、オリックスの多様な事業ポートフォリオによるリスク分散能力と、個々の事業における収益力の底堅さを示しており、この点も評価された可能性があります。
今後の判断材料としての注意点は?
PTSでの株価上昇は、市場が短期的に決算内容や株主還元策を好感した結果と考えられますが、これが中長期的な株価上昇に直結するとは限りません。 今後の株価を判断する上では、以下の点にも注意が必要です。
- マクロ経済の動向
世界的な金利動向、インフレ、景気後退懸念、地政学的リスクなどは、オリックスの多様な事業に影響を与える可能性があります。 - 業績予想の達成度
来期予想は強気なものであるため、今後の四半期決算で計画通りに進捗しているかどうかが注目されます。 - セグメントごとの課題
環境エネルギー事業の立て直しや、銀行・クレジット事業の今後の収益性など、個別の課題への対応も引き続き注視が必要です。 - 市場全体の動向
個別企業の業績だけでなく、株式市場全体のトレンドや投資家心理も株価に影響を与えます。
これらのポジティブな要素と潜在的なリスク要因を総合的に勘案し、今後のオリックスの企業価値や株価の動向を判断していく必要があります。
まとめ
オリックスの2025年3月期決算は、最終利益で過去最高益を更新し、安定した収益基盤と成長力を示しています。多くのセグメントが堅調に推移し、特に事業投資分野での成果が全体の利益を押し上げました。
株主還元も強化されており、増配が実施されました。 来期(2026年3月期)も更なる増益と株主還元の拡充を目指す計画であり、中長期的な成長戦略のもと、各事業分野での取り組み強化が注目されます。
マクロ経済の不透明感は残るものの、オリックスはこれまでの多様な事業ポートフォリオとリスク管理能力を活かし、持続的な成長を目指していくものと考えられるでしょう。
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