任天堂の2025年3月期決算を解説|Switch2の見通しは?

任天堂の2025年3月期決算は、Nintendo Switchが発売から時間が経ち、成熟期に入ったこともあって、残念ながら売上も利益も前年より下がりました。これは、新しいゲーム機が出る前の時期によくあることです。

みんなが次にどんな本体が出るのかな?とワクワクしていると、今の本体の売れ行きが落ち着いてきます。

しかし、次の2026年3月期には、いよいよ新しいゲーム専用機「Nintendo Switch 2」が登場する予定です。会社としても、Switch 2がたくさん売れることで、売上も大きく回復すると見ています。また、マリオやゼルダといった任天堂が持つ強力なキャラクターたちを活かした、ゲーム以外の事業もどんどん進めていく方針です。

これから任天堂がどれだけ成長できるかは、Nintendo Switch 2がどれだけ成功するか、そして愛されるキャラクターたちをどれだけ上手く色々な形で届けられるかにかかっています。もちろん、世界情勢(経済の動きや、アメリカの関税のこと、それにライバル会社との競争など)で大変なこともありますが、乗り越えていくことでしょう。

この記事では、2025年3月期の決算を詳しく見ていきながら、Nintendo Switch 2がどんな可能性を持っているのか、そしてどんな難しさがあるのか、最後に2026年3月期の業績の見通しや、任天堂がどんな作戦でいくのかをお話ししていきます。

目次

2025年3月期決算の振り返り

ここでは、Nintendo Switchの今の状況やゲーム市場全体の様子を見ながら、2025年3月期の任天堂全体の成績を詳しく見ていきましょう。

会社の成績全体と主な数字

2025年3月期の任天堂全体の成績はこちらです。

  • 売上高:1兆1,649億円(前年より30.3%減)
  • 営業利益:2,825億円(前年より46.6%減)
  • 経常利益:3,723億円(前年より45.3%減)
  • 最終的な利益:2,788億円(前年より43.2%減)

どれも大きく数字が下がっています。これは、Nintendo Switchが発売されてから8年目になり、そろそろ次の世代にバトンタッチする時期に来ていることをはっきりと示しています。

新しいゲーム機への期待で、今のSwitchを買うのを待つ人が増えるのは、この時期のゲーム業界ではよくある現象です。

特に、前の年(2024年3月期)には『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』のような大ヒット作があった可能性が示唆されており、その反動もあって今年はより大きく数字が下がったと考えられます。

経常利益が減ったのは、前年は為替のおかげで利益が出ていたのが、今年は逆に為替で損が出たことも理由の一つです。

こちらの表が、今年の成績と前年からの変化をまとめたものです。

勘定科目2025年3月期実績(億円)前期比(%)
売上高11,649-30.3%
営業利益2,825-46.6%
経常利益3,723-45.3%
親会社株主に帰属する当期純利益2,788-43.2%

どんな事業でどれだけ売上があったの?

ゲーム専用機ビジネス:

売上高は1兆835億円。これはやっぱり任天堂の一番の稼ぎ頭ですが、Nintendo Switchの本体やソフトの売れ行きが落ち着いてきたので、売上は大きく減りました。

モバイル・IP関連収入など:

売上高は676億円(前年より27.0%減)。
これは、主に前の年に大ヒットした『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』の映画関連の収入がなくなったことによるものです。これは、ゲーム以外の任天堂キャラクターを使ったビジネスの収入は、その年によって大きな出来事があるかないかで結構変わるということを示しています。

任天堂のキャラクターを色々な形で使っていくことは、戦略的にとっても大事です。でも、そこで得られる収入は、その時々のイベントに左右されて大きく変動しやすい傾向があります。ゲーム機そのもののビジネスは、どうしても新しい本体が出る前後に売れ行きが変わってしまいますが、それでもやっぱり任天堂の土台となる稼ぎです。だからこそ、Nintendo Switch 2みたいな次の新しい本体にスムーズに切り替えていくことが、すごく重要であることを浮き彫りにしています。

こちらの表は、どこからどれだけ売上があったかを示しています。

セグメント区分売上高(億円)前期比(%)
ゲーム専用機ビジネス10,835
モバイル・IP関連収入等676-27.0%

この表を見ると、ゲーム機が圧倒的に大きい売上の部分を占めていることと、キャラクターを使ったビジネスの相対的な規模や、その収入が変動しやすい様子が示されています。

Nintendo Switchって今どうなの?

ハードウェア販売実績(2025年3月期)

合計1,080万台でした。

  • Nintendo Switch:300万台
  • Nintendo Switch(有機ELモデル):586万台(一番売れました)
  • Nintendo Switch Lite:195万台

本体全体の売れ行きは前年を下回りました。去年の12月末までに見ても、お店から消費者に直接売れた数(セルスルー)は前年同期比で減少したものの、発売から8年も経っているプラットフォームとしては引き続き多くの顧客に支持されている状況が示されていました。

ソフトウェア販売実績(2025年3月期)

1億5,541万本でした。(これはパッケージソフトやダウンロード版もあるパッケージソフトの合計で、ダウンロード専門ソフトや追加コンテンツは含んでいません)

ソフトの販売本数も前年比で減少しました。

ミリオンセラー(100万本以上売れたタイトル)

『スーパー マリオパーティ ジャンボリー』(1,400万本)、『マリオカート8 デラックス』(748万本)、『スーパーマリオブラザーズ ワンダー』(748万本)、そして前年に発売された『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』(当期623万本)など、任天堂の強力なソフトたちが引き続き販売を牽引しました。

ミリオンセラーリストには、長期間売れ続ける定番タイトルが多く含まれており、任天堂が作るソフトが、一度発売されても長く愛され続ける力を持っていることを証明しています。

本体およびソフトウェア全体の販売は減少したものの、『マリオカート8 デラックス』のような定番タイトルの継続的な販売力は、任天堂IPの普遍的な魅力とバックカタログの価値を強調しています。

本体販売において有機ELモデルが最も売れたという事実は、ライフサイクル後半においてもSwitchの世界に入ってくるお客さんがプレミアムバージョンを選択していることを示唆しており、これは熱心なファン層の存在、あるいはアップグレード需要の表れと考えられます。ただし、有機ELモデルは作るのにコストがかかるので、利益率が他のモデルより少し低いことは、全体の売上総利益率を考える上で考慮すべき点です。

製品区分販売数量(万台/万本)
Nintendo Switch ハードウェア合計1,080
Nintendo Switch300
Nintendo Switch(有機ELモデル)586
Nintendo Switch Lite195
ソフトウェア合計15,541
タイトル名2025年3月期 販売本数
スーパー マリオパーティ ジャンボリー1,400
マリオカート8 デラックス748
スーパーマリオブラザーズ ワンダー748
ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム623

2025年3月期の業績に影響したこと

マイナス要因

  • プラットフォームの経年化に伴うNintendo Switchハードウェアおよびソフトウェア販売数量の減少。これが売上・利益減少の最大の要因です。
  • モバイル・IP関連収入等における映像コンテンツ収入の減少。
  • 前期の為替差益に対し、当期は為替差損を計上したことによる経常利益へのマイナス影響。

プラス要因(減少幅抑制要因)

  • 為替レートが円安に推移したことによるプラス効果。
    売上高段階で+433億円、営業利益段階で約+20億円の押し上げ要因となりました。これは、円安がなければ減収減益幅がさらに拡大していたことを意味します。
  • 売上総利益率が前期比3.9ポイント増の61.0%に改善。主な要因は以下の通りです。
    • デジタル売上高比率の上昇
      デジタル販売は一般的に利益率が高いとされています。2025年3月期第3四半期までの実績では、ゲーム専用機のソフトウェア売上高に占めるデジタル売上高の割合は51.0%に達していました。
    • 他のハードウェアと比較して利益率の低いNintendo Switch(有機ELモデル)の販売構成比が低下したこと
      相対的に利益率の高いベースモデルやLiteモデル、あるいはソフトウェアの販売比率が高まったことを示唆します。

営業費用

販売費及び一般管理費は、広告宣伝費が減少したものの、人件費や研究開発費の増加、円安に伴う外貨建て費用の増加などにより、前期比0.5%増の4,276億円となりました。

為替変動は二面性を持ちます。円安は海外収益の円換算額を押し上げ、売上高や営業利益にはプラスに寄与しましたが、一方で経常利益段階では為替差損が発生するなど、複雑な影響を及ぼしました。

売上高が減少する中で売上総利益率が改善したことは、生産・流通コスト管理の効率化、あるいは高利益率なデジタル製品への販売構成シフトが効果的に進んでいることを示しており、Nintendo Switch 2発売後の収益性にとって好材料です。売上高が減少する中で販管費が増加したのは、一部は研究開発費の増加によるものであり、これはNintendo Switch 2とそのソフトウェアといった将来の成長への投資が継続されていることを示唆しています。

株主への還元:2025年3月期の配当は?

1株当たり年間配当金は120円でした。

  • 中間配当金:35円
  • 期末配当金:85円

配当方針:連結営業利益の33%を配当金総額の基準とするか、連結配当性向50%を基準とするかのいずれか高い方を1株当たり年間配当金とします。中間配当金は、中間期の連結営業利益の33%を基準とします。2025年3月期の配当はこの方針に基づき決定されました。

大幅な減益にもかかわらず、任天堂は規定の配当方針を堅持し、相当額の配当を実施しました。これは、移行期においても株主への利益還元を重視する姿勢と、それを支える強固な財務基盤の表れと言えるでしょう。

配当金の種類1株当たり配当金額(円)
年間配当金120
中間配当金35
期末配当金85

来期決算で重要となるNintendo Switch 2について解説

この章では、みんなが楽しみにしているNintendo Switch 2について、どんな特徴があるのか、いつ頃出るのか、そして任天堂がこの新しい本体にどんな期待を寄せているのかを詳しく見ていきます。

Nintendo Switch 2の特徴は?いつ出るの?値段は?

こちらの表は、新しい本体の主な情報と発売に関する情報をまとめたものです。

項目詳細
正式名称Nintendo Switch 2
発売日2025年6月5日
価格日本:49,980円(税込)、米国:$449.99
主な仕様・特徴7.9インチディスプレイ、Joy-Con 2(マウス機能)、ゲームチャット、おすそわけ通信、バーチャルゲームカード

これらの特徴(大型スクリーン、改良されたJoy-Con、強化された共有機能、ゲームチャットなど)からは、Nintendo Switchのコンセプトを根本から変えるものではなく、進化させたものであることが分かるでしょう。

この戦略は、初代Switchの成功と巨大なインストールベースを活用し、馴染み深くもアップグレードされた体験を提供することを目指しています。「バーチャルゲームカード」や後述する後方互換性といった機能は、既存ユーザーの移行を円滑にすることを意図しています。価格設定は、プレミアムなコンソールとしての位置づけを反映しています。

ソフトウェア戦略:次世代を牽引するタイトル群は?

  • ローンチタイトル例
    シリーズ最新作『マリオカート ワールド』が本体と同時発売。ハードとソフトのセットも発売予定です。2025年7月には『ドンキーコング バナンザ』も発売予定です。
  • 後方互換性
    Nintendo SwitchのソフトもNintendo Switch 2でプレイ可能(一部制限あり)。これは既存ユーザーを維持し、発売初日から豊富なプレイ可能ライブラリを確保するための極めて重要な機能です。
  • 「Nintendo Switch 2 Edition」と「アップグレードパス」
    既存のSwitchタイトルに対して、グラフィック向上やSwitch 2ならではの遊びを追加した「Nintendo Switch 2 Edition」を新たに提供。オリジナル版の所有者は「アップグレードパス」のみを購入することで、このエディションにアップグレードできます。これは、既存のバックカタログをさらに収益化し、両世代間の橋渡しをする巧みな戦略です。
  • サードパーティサポート
    処理速度やグラフィック性能の向上、新機能に対応したバラエティ豊かなタイトルがソフトメーカー各社からも多数発売予定です。

強力なファーストパーティのローンチタイトル、後方互換性、既存ゲームのアップグレードパス、そして期待されるサードパーティのサポート の組み合わせは、包括的なソフトウェア戦略を形成しています。

このアプローチは、新規購入者を新しい体験で惹きつけつつ、既存のSwitchオーナーがアップグレードし、エコシステムへの投資を継続する魅力的な理由を提供することを目指しています。「アップグレードパス」は、既存のソフトウェアライブラリから追加収益を生み出す革新的な方法と言えるでしょう。

外部環境への対応:関税の影響と市場の反応はどうなる?

  • 米国関税
    任天堂は、米国の関税措置により「数百億円規模」の利益圧迫の可能性があることを認めており、状況が変化した場合は業績予想を修正するとしています。米国での予約開始を一時見合わせたのは、この影響を評価するためでした。
  • 古川社長のコメント
    追加関税が課され、価格調整が必要となった場合、需要が減少する可能性があると述べています。これは、価格弾力性と、これらのコストを吸収または転嫁する際の課題を浮き彫りにしています。
  • 市場の反応・予約状況
    日本のマイニンテンドーストアでの初回抽選販売には、想定を大幅に上回る応募がありました。世界各国の販売店でも予約や抽選販売が開始され、多数の申し込みがあるため、生産体制の強化に取り組んでいると報告されています。

関税問題は、特に主要市場である米国におけるNintendo Switch 2の財務予測に大きな不確実性をもたらしています。任天堂が予約開始を一時停止したという事実は、この脅威の深刻さを示しています。

初期の需要は強いようですが、価格が大幅に上昇したり、関税を吸収するために利益率が著しく圧迫されたりすれば、持続的な勢いが損なわれる可能性があるでしょう。この外部要因は任天堂の直接的なコントロールが及ばない部分が大きく、利益目標達成へのリスクとなっています。

新型コンソールの生産・需要管理

  • 生産計画
    任天堂は、予想される高い需要に応えるため、「リスクをとって」十分な台数を生産する方針です(2025年3月期第3四半期決算説明会での2025年発売予定のSwitch 2に関する言及)。
  • Switch発売時の教訓
    経営陣は、生産能力を急速に増強することは容易ではないと認識しつつも、初代Switch発売時の経験を踏まえ、迅速に対応できるよう準備を進めているとしています。
  • 在庫積み増し
    2025年3月期第3四半期末(2024年12月末)の棚卸資産が増加したのは、主にSwitch 2の発売準備のためです。

生産において「リスクをとる」という任天堂の表明 や生産体制の強化 は、Switch 2の発売当初の強い需要に対する自信を反映しています。

これは、通常保守的とされる同社の姿勢からの変化を示唆しているかもしれません(アナリストは任天堂の業績予想を保守的と評しています)。しかし、初代Switch発売時の品薄の記憶が、潜在顧客を失望させたり販売モメンタムを失ったりすることを避けるため、より積極的なアプローチを促していると考えられます。

2026年3月期展望はどうなる?業績予想は?

本セクションでは、Nintendo Switch 2の投入による影響と継続的な取り組みに焦点を当て、2026年3月期の任天堂の業績予想と主要戦略を分析します。

2026年3月期 連結業績予想

  • 売上高:1兆9,000億円(前期比63.1%増)。V字回復とも言える非常に力強い成長が予測されています。
  • 営業利益:3,200億円(前期比13.3%増)。
  • 経常利益:3,800億円(前期比2.1%増)。
  • 親会社株主に帰属する当期純利益:3,000億円(前期比7.6%増)。

前提為替レート:1米ドル=140円、1ユーロ=155円。これらは最近の実勢レートよりも保守的(円高方向)であり、業績予想にある程度のバッファーを組み込んでいる可能性があります。

売上高の劇的な増加予測(+63.1%)は、2026年3月期がNintendo Switch 2の発売によって大きな成長の年になると見込まれていることを明確に示しています。

売上高の伸びと比較して利益の伸び率が相対的に緩やかであること(例:営業利益+13.3%)は、いくつかの要因による可能性があります。例えば、Switch 2の発売関連マーケティング費用、新型コンソールの初期のハードウェア利益率が相対的に低い可能性、継続的な研究開発投資、そしてより保守的な為替前提などが考えられます。関税の影響もこれらの初期予測に織り込まれているとみられます。

勘定科目2026年3月期予想(億円)前期比(%)見込み
売上高19,000+63.1%
営業利益3,200+13.3%
経常利益3,800+2.1%
親会社株主に帰属する当期純利益3,000+7.6%

販売計画:Nintendo Switch 2と既存Switchの二本柱

Nintendo Switch 2(2026年3月期):

  • ハードウェア:1,500万台
    これは期中に発売されるコンソール(約9~10ヶ月間の販売)としては非常に強力な目標です。
  • ソフトウェア:4,500万本
    発売期間中のハードウェア1台あたりソフトウェア3本の初期アタッチレートを示唆します。

Nintendo Switch(現行機)(2026年3月期):

  • ハードウェア:450万台
    既存プラットフォームのサポートと販売を継続し、異なるセグメントや遅れて購入する層をターゲットとする戦略を示しています。
  • ソフトウェア:1億500万本
    膨大なインストールベースと新作・定番タイトルに支えられた、非常に大きな数量です。

あるアナリストは、Switch 2の1,500万台という販売目標を「慎重だがおそらく妥当」と評価しており、生産と需要が完全に一致すれば、2,000万台近くに達する可能性も示唆しています。

Nintendo Switch 2と現行Nintendo Switchを並行して販売する計画 は、異なる市場セグメントに対応するための戦略的な動きです。Switch 2は早期購入者やプレミアム機能を求める層をターゲットとし、現行Switchは(価格改定の発表はないものの、将来的にはより低価格帯で)新規の価格に敏感なプレイヤーやファミリー層を引き続き惹きつけることができます。

この二本柱のアプローチは、対象市場を最大化し、世代交代を円滑に進め、現行Switchの膨大なソフトウェアライブラリを活用するものです。現行Switchの高いソフトウェア販売目標は、収益源としてのその継続的な重要性を強調しています。

製品区分販売計画数量
Nintendo Switch 2 ハードウェア1,500万台
Nintendo Switch 2 ソフトウェア4,500万本
Nintendo Switch ハードウェア450万台
Nintendo Switch ソフトウェア1億500万本

今後の戦略の柱:IP展開の継続とデジタルエンゲージメントの強化

  • 既存Switchビジネスの継続
    任天堂は、1億人を超える年間プレイユーザーに向けて、引き続き現行Switch向けの新作タイトルを投入していきます。
  • IP展開施策
    直営オフィシャルストア:米国で2店舗目となる「Nintendo SAN FRANCISCO」を2025年5月にオープンします。
    テーマパーク展開:フロリダ州オーランドのUniversal Epic Universe内に『スーパー・ニンテンドー・ワールド』を2025年5月にオープンします。
    映像コンテンツ展開:「ゼルダの伝説」実写映画の劇場公開日が2027年3月26日に決定。
    スマートフォンアプリの活用:任天堂に関する情報やコンテンツを毎日日替わりで提供するアプリ「Nintendo Today!」を配信開始。また、『ファイアーエムブレム ヒーローズ』などの既存ゲームアプリの運営継続や新規開発、そして『Nintendo Music』の配信も行われています。
  • スマートフォン戦略
    スマートフォンを顧客との接点拡大、情報提供、そしてゲーム体験との連携の可能性を探るツールとして活用。一部のユーザーにとってはスマートフォンが最初のゲーム体験デバイスとなっている現状を認識しています。

多岐にわたるIP展開(店舗、テーマパーク、映画、アプリなど)は、任天堂のキャラクターや世界観をより広範な文化の中に浸透させる長期戦略の一環です。

「任天堂IPに触れる人口の拡大」 を目指すこの取り組みは、新たな収益源を創出し、ブランドロイヤルティを強化し、最終的にはNintendo Switch 2を含むコアなコンソールゲームビジネスへの関心を喚起することを目的としています。これはエンゲージメントの好循環を生み出す試みと言えるでしょう。

株主還元見通し:2026年3月期の配当予想

2026年3月期の業績予想が達成された場合、1株当たり年間配当金は129円となる見込みです。これは2025年3月期に支払われた120円からの増配となります。

これは、2025年3月期と同様の配当方針(連結営業利益の33%か連結配当性向50%のいずれか高い方)に基づいています。

2026年3月期の1株当たり配当金の増配予想は、Nintendo Switch 2が牽引する利益回復期待を直接反映したものです。これは、事業運営の成功と株主還元の連動性を強化し、新型コンソールの成功裏の立ち上げと全体戦略の実行に向けて、経営陣と投資家の利害を一致させるものです。

配当金の種類1株当たり配当金額(円)見込み
年間配当金(予想)129

アナリストの視点はどうなの?課題への対応と機会の獲得

本章では、これまでの分析結果を総括し、任天堂の現在の立ち位置について、その強み、弱み、機会、脅威(SWOT分析の要素を暗に含む)を評価します。

任天堂の主な強みと機会

  • 比類なきIPポートフォリオ
    マリオ、ゼルダ、ポケモンといったフランチャイズの持続的な魅力は、巨大な競争優位性をもたらし、継続的なコンテンツの流れを生み出しています(ミリオンセラーリストに明らか)。
  • 強固なブランドロイヤルティと巨大なインストールベース
    Nintendo Switchは1億人を超える年間プレイユーザーという巨大なコミュニティを形成しており、後方互換性によってこの基盤をNintendo Switch 2へ移行させることが期待できます。
  • 革新的なハードウェア・ソフトウェア統合
    ハードウェアとソフトウェアを一体として設計することで独自のゲーム体験を創造する能力(例:Joy-Con 2の機能)。
  • 新コンソールサイクルの勢い
    Nintendo Switch 2の発売 は、2026年3月期以降の売上と利益の著しい成長にとって自然な起爆剤となります。
  • 拡大するIP収益化
    ゲーム以外の分野(テーマパーク、映画、商品など)でのIP活用が成功を収めつつあり、多様な収益源とブランド強化に貢献しています。
  • 健全な財務体質(示唆)
    研究開発への投資、「リスクをとった」生産、そして配当維持 を可能にする強固なバランスシートが推察されます。

今後の潜在的な課題とリスクは?

  • Nintendo Switch 2発売に伴う実行リスク
    野心的な販売目標の達成 は、円滑な生産、効果的なマーケティング、そして世界経済の不確実性を背景とした持続的な消費者需要にかかっています。
  • 米国関税の影響
    前述の通り、関税は主要市場におけるNintendo Switch 2の価格戦略、需要、収益性に大きな影響を与える可能性があります。
  • 競争環境
    ソニーのPlayStation、マイクロソフトのXbox、PCゲーム、そして成長し続けるモバイルゲーム市場との厳しい競争に直面しています。Nintendo Switch 2は、説得力のある独自のセールスポイントを提供する必要があります。
  • 移行期のマネジメント
    Nintendo Switch 2への移行を推進しつつ、既存のSwitchのサポートを両立させるには、慎重なリソース配分と、共食いや既存ユーザーの離反を避けるためのメッセージングが求められます。
  • 経済的逆風
    広範な景気後退やインフレは、新型コンソールやゲームソフトに対する消費者の裁量的支出に影響を与える可能性があります。
  • ソフトウェアの品質と革新性の維持
    Nintendo Switch 2の成功は、新型ハードウェアの能力を活用した高品質で革新的なファーストパーティおよびサードパーティタイトルの継続的な供給に大きく依存します。

まとめ

2025年3月期は、任天堂にとって予測可能な周期的な業績の谷間となり、極めて重要なNintendo Switch 2の発売に向けた準備期間となりました。

2026年3月期以降の同社の戦略は、この新しいハードウェアサイクルの成功裏の実行と、豊富なIPの継続的な拡大・収益化にかかっています。

成長の大きな機会が存在する一方で、任天堂は特に経済状況や通商政策といった相当な外部の課題に対処しなければなりません。

愛されるIP、革新的な精神、そして熱心なファンベースといった独自の強みを最大限に活用する能力が、次世代コンソール競争における成功を左右するでしょう。ハードウェアの機能からソフトウェア戦略、生産体制に至るまで、Nintendo Switch 2に関する詳細な計画は、成長モメンタムを再び掴むための熟考されたアプローチを示しています。

よかったらシェアしてね!

この記事を書いた人

コメント

コメントする

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

目次
閉じる