マックハウスの2026年2月期第1四半期決算を解説!今後の成長戦略についても分析

2025年7月11日に株式会社マックハウスの2026年2月期第1四半期決算が発表されました。

国内経済は、企業業績の堅調さや賃金上昇を背景に雇用・所得環境の改善が見られる一方、円安や物価高による個人消費の冷え込みが懸念される状況が続いています。
このような環境下で、カジュアルウェア業界も節約志向の高まりや気候変動への対応が求められています。

マックハウスは、プライベートブランド「NAVY」の「シャットアウター」や機能性インナー「SARARI」シリーズの拡充などの施策を進めましたが、結果として減収、赤字継続の厳しい決算となりました。

本記事では、その詳細な内容と今後の見通しについて、提供された決算短信をもとに解説します。

今回の記事について解説した動画もあります。音声で聞きたいという方はこちらもチェックしてみてください。

目次

マックハウスの2026年2月期第1四半期決算における非連結決算の振り返り

2026年2月期第1四半期の非連結決算は、売上高が減少し、各利益段階で損失を計上する結果となりました。

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項目2026年2月期
第1四半期
2025年2月期
第1四半期
前年同期比
売上高3,041百万円3,316百万円8.3%減
営業利益△181百万円△173百万円
経常利益△169百万円△160百万円
四半期純利益△211百万円△202百万円
出典:株式会社マックハウス「2026年2月期 第1四半期決算短信〔日本基準〕(非連結)

当第1四半期は、売上高が3,041百万円(前年同期比8.3%減)となりました。
これは、既存店売上高が前年同四半期比で0.6%減となったことに加え、12店舗の閉鎖により店舗数が純減したことなどが影響しています。

利益面では、売上総利益が前年同期比11.7%減となりました。

一方で、広告宣伝費や人件費等の減少により販売費及び一般管理費は10.2%減少したものの、売上減少の影響をカバーするには至らず、営業損失は181百万円(前年同期は173百万円の損失)、経常損失は169百万円(前年同期は160百万円の損失)、四半期純損失は211百万円(前年同期は202百万円の損失)と、赤字幅が拡大する結果となりました。

マックハウスの2026年2月期第1四半期の商品別業績

マックハウスは衣料品等小売事業の単一セグメントですが、商品別の売上高は以下の通りです。

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商品別当第1四半期累計期間
(2025年3月1日~5月31日)
前年同四半期比
メンズトップス994百万円95.0%
メンズボトムス637百万円91.1%
レディーストップス539百万円91.8%
レディースボトムス332百万円88.1%
キッズ291百万円93.2%
その他246百万円84.0%
合計3,041百万円91.7%
出典:株式会社マックハウス「2026年2月期 第1四半期決算短信〔日本基準〕(非連結)

全てのカテゴリで減収

当第1四半期は、全てのカテゴリにおいて前年同期の売上を下回る結果となりました。
特に、レディースボトムスや「その他」に含まれる雑貨等の落ち込みが大きくなっています。

会社としては、プライベートブランドの主力アイテムや機能性商品の拡充、店頭提案の強化に努めましたが、全体の売上減少を食い止めるには至りませんでした。

マックハウスの2026年2月期第1四半期末財務状況について

当第1四半期末の財務状況は以下の通りです。

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項目当第1四半期末
(2025年5月31日)
前事業年度末
(2025年2月28日)
増減
総資産6,825百万円7,303百万円△478百万円
負債合計5,553百万円6,069百万円△515百万円
純資産1,271百万円1,234百万円+36百万円
自己資本比率18.5%16.9%+1.6ポイント
出典:株式会社マックハウス「2026年2月期 第1四半期決算短信〔日本基準〕(非連結)

総資産は、前事業年度末から478百万円減少し、6,825百万円となりました。
これは主に、現金及び預金が828百万円減少したことによるものです。

負債は、515百万円減少し、5,553百万円となりました。
主に電子記録債務が614百万円減少したことによります。

純資産は、36百万円増加し、1,271百万円となりました。
これは、四半期純損失を211百万円計上した一方で、新株予約権の行使により資本金及び資本剰余金がそれぞれ121百万円増加したことなどによります。

この結果、自己資本比率は前事業年度末から1.6ポイント改善し、18.5%となりました。

収益性に関する指標

当第1四半期の決算数値から算出される収益性指標は以下の通りです。

  • ROE(自己資本当期純利益率): –
  • ROA(総資産当期純利益率): –
  • 営業利益率: 約-5.9% (△181百万円 / 3,041百万円)

各利益がマイナスのため、指標もマイナスとなっています。

マックハウスの株主還元について

配当金の状況

2025年2月期は無配でした。
そして、2026年2月期の配当予想も、中間・期末ともに無配となる見通しです。

自社株買いの発表はあった?

当決算短信において、自社株買いに関する新たな発表はありませんでした

マックハウスの今期見通しとについて

マックハウスは、2025年4月11日に公表した2026年2月期の通期業績予想を据え置いています。

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項目第2四半期(累計) 予想通期予想
売上高6,600百万円 (0.6%増)13,200百万円 (0.6%増)
営業利益△350百万円△550百万円
経常利益△350百万円△550百万円
当期純利益△370百万円△650百万円
出典:株式会社マックハウス「2026年2月期 第1四半期決算短信〔日本基準〕(非連結)

通期では増収を見込んでいるものの、営業利益以下の各利益段階では赤字が継続する厳しい見通しです。

マックハウスは、前事業年度まで7期連続で営業損失を計上しており、継続企業の前提に関する重要な疑義を生じさせる状況にあると認識しています。

この状況を解消するため、以下の施策に取り組むとしています。

商品改革と新MDの導入

年間を通じて安定した需要が見込める商品や気候変動に対応する商品を「コアアイテム」として開発・育成し、業績回復の基盤構築を目指します。

また、グループ会社との連携による新たな仕入体制を構築し、レディース部門やEC部門の強化を図る方針です。

収益体質の改善

不採算店舗の退店による固定費削減や、コストコントロールの徹底を進めます。

さらに、不必要な売価変更の抑制による粗利率の向上や、商品評価制度の変更による販売計画の見直しを実施し、抜本的な収益構造の改善を図るとしています。

財務基盤の強化

滞留在庫の現金化を推進するとともに、仕入コントロールを徹底することで過剰なキャッシュアウトを防ぎます。

また、2025年3月に発行した新株予約権の行使により資金調達を進めており、今後の成長戦略へ向けた投資を推進する計画です。
第1四半期末以降も新株予約権の行使は進んでおり、当面の事業運営に必要な資金は確保されているとしています。

マックハウスの今後の成長戦略について

2025年7月11日に株式会社マックハウスが発表した「成長可能性説明資料」について、その内容を詳しく解説します。

この発表は、従来のアパレル事業を基盤としつつ、ビットコインを中核とした金融投資事業へ本格参入するという、同社の経営方針を大きく転換させるものです。

【戦略の柱①】暗号資産・金融投資領域:ビットコイントレジャリー戦略

今回の成長戦略で最も重要なのが、暗号資産・金融投資領域への本格参入です。
これは、アパレル事業とは異なる非線形な成長(急激な成長)を実現するための新たな収益エンジンと位置づけられています。

ビットコイントレジャリー戦略の中核

  • 目標保有量
    まずは1,000BTC(ビットコイン)以上の保有を目指します。
  • 位置づけ
    ビットコインを「デジタルゴールド」として捉え、企業価値向上のための中長期的な資産運用の一環として戦略的に保有します。
  • 取得方法
    毎月定額で購入するドルコスト平均法を基本としつつ、市場価格が大きく下落した際には機動的に一括購入も行い、安定的かつ効率的な資産形成を目指します。
  • 実施体制
    この戦略を担うため、専門家を配置した「デジタル資産運用グループ」を新設し、厳格なリスク管理のもと運営します。

ビットコイン保有を強化する具体的な取り組み

マックハウスは、単にビットコインを購入・保有するだけでなく、複数の方法で保有量を増やしていく計画です。

  • ビットコインマイニング事業への進出
    マイニング(ビットコインを新規発行・取引承認する作業)事業に参入し、ビットコインを安定的に取得する体制を構築します。
    このため、データセンター運営などに強みを持つ株式会社ゼロフィールドと基本契約を締結しています。
    2025年11月からの事業開始を予定しています。
  • ビットコイン決済システムの導入
    オンラインストアや実店舗でビットコイン決済を導入し、新たな顧客層の開拓を目指します。
  • ステーキングによる資産運用
    保有する暗号資産を預けて報酬を得る「ステーキング」により、効率的に資産を増やすことを計画しています。
  • NFTなどエコシステムの拡張
    キャラクター製品のNFT(非代替性トークン)化・販売などを通じて、仮想通貨の利用を促進し、間接的にビットコイン保有量を増やす戦略です。

暗号資産事業の具体的なロードマップ(日程)

暗号資産事業の開始に向けた具体的なスケジュールが示されています。

  • 2025年9月17日: 臨時株主総会にて、定款変更(新規事業に関わる事業目的の追加)を行う予定です。
  • 2025年9月17日以降: ビットコインの取得を本格的に開始します。
  • 2025年11月以降: パートナーであるゼロフィールド社と連携し、データセンターの拠点を確保した上で、ビットコインのマイニング事業を開始する予定です 。
  • ビットコイン取得以降: ステーキングを開始し、長期的な資産形成を目指します。

ビットコインの価格上昇を見込む背景

マックハウスがビットコインの長期的な資産価値の成長を見込む背景として、IR資料ではビットコインの「半減期」に言及しています。

  • 約4年ごとにビットコインの新規供給量が半減する「半減期」の後、12ヶ月~18ヶ月で価格が歴史的に大きく上昇する傾向があることを指摘しています。
  • この過去の傾向に基づき、今後の資産価値の成長に期待していることが示唆されています。

その他の金融投資

暗号資産以外にも、上場企業やベンチャー企業への投資、M&Aを積極的に進め、事業ポートフォリオの多角化と収益基盤の強化を図るとしています。


【戦略の柱②】ファッション・ライフスタイル領域:事業強化と拡大

新たな金融投資事業の土台となるのが、既存のファッション・ライフスタイル事業です。

こちらでは「売上500億円、利益50億円」という高い目標を掲げ、事業の強化と拡大を図ります。

3つの重点テーマ

  1. 早期黒字化
    プライベートブランドの育成、不採算店舗の再編、在庫・経費の削減を徹底します。
    また、福祉施設への出張販売「クルふく」といった無店舗販売も本格化させ、新たな顧客接点を創出します。
  2. ブランド強化
    20~40代女性向けのオリジナルブランドを新たに開発するほか 、アパレル企業との協業やM&Aを通じてブランドポートフォリオを拡充し、顧客層を拡大します。
  3. ライフスタイル領域への参入
    アパレルだけでなく、生活雑貨、スポーツ、ウェルネスといった分野へ協業を軸に参入します。
    高機能素材「2G FABRIC TECH」を採用したウェア開発や 、インバウンド需要を見据えたIP商品の展開も計画しています。

GFグループとのシナジー

これらの取り組みを支えるのが、アパレル物流最大手「GFグループ」との提携です。

同グループの物流ネットワークを活用することで、商品供給のスピード向上とコスト削減を実現し、事業の競争力を大幅に強化するとしています。

まとめ

マックハウスの2026年2月期第1四半期決算は、売上高の減少と営業赤字の継続という厳しい結果となりました。
これは、消費者の節約志向や店舗数の減少が響いた形です。

今後は、商品改革や収益構造の改善といった施策を確実に実行できるかが、業績回復の鍵となります。
特に、7期連続の営業赤字という厳しい状況下で、新株予約権の発行による資金調達を活かし、いかにして成長軌道に戻れるか、今後の動向が注目されます。

今回の記事について解説した動画もあります。音声で聞きたいという方はこちらもチェックしてみてください。

通期決算についても解説しているので、興味のある方はどうぞ。

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