KOZOホールディングスの2024年12月期決算|売上拡大も損失に!海外展開で株価はどうなる?

KOZOホールディングス(証券コード:9973)が2025年2月14日に発表した2024年12月期の通期決算は、M&Aによる事業規模の拡大を背景に売上高が大幅に増加する一方、コスト増により損失が拡大する結果となりました。

しかし、同時に発表された2025年12月期の業績予想では、不採算事業の整理と成長事業への集中投資による「V字回復」を目指す意欲的な計画が示されています。

本記事では、KOZOホールディングスの2024年12月期決算の内容をセグメント別、財務状況、キャッシュフローなど多角的に振り返り、今期の成長戦略と今後の株価のポイントについて詳しく解説します。

KOZOホールディングスの今後の見通しについて解説した動画もあります。興味のある方はぜひチェックしてみてください。

目次

KOZOホールディングスの2024年12月期における連結決算の振り返り

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項目2024年12月期 実績2023年12月期 実績前期比
売上高18,109百万円13,054百万円+38.7%
営業利益△427百万円△237百万円
経常利益△459百万円△213百万円
親会社株主に帰属する
当期純利益
△782百万円△338百万円
出典:KOZOホールディングス株式会社「2024年12月期 決算短信〔日本基準〕(連結)

2024年12月期(2024年1月1日~12月31日)の連結業績は、売上高が前期比38.7%増の181億9百万円と大幅な成長を遂げました。
これは、2023年5月に連結子会社化した東洋商事株式会社などの流通事業が通年で寄与したことや、海外事業の売上が加わったことが主な要因です。

一方で、各利益項目では赤字幅が拡大しました。
米や海産物をはじめとする原材料価格の高騰、円安による輸入コストの増加、人件費の上昇などが利益を圧迫しました。
さらに、不採算店舗の閉鎖決定に伴う損失引当金の計上なども影響し、厳しい利益状況となっています。

KOZOホールディングスの2024年12月期セグメント別の業績

セグメント別に見ると、すべての事業セグメントで損失を計上する結果となりました。

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事業セグメント売上高セグメント利益
(損失)
小売事業4,551百万円△206百万円
飲食事業5,344百万円△87百万円
流通事業10,386百万円△133百万円
調整額△2,172百万円32百万円
合計18,109百万円△427百万円
出典:KOZOホールディングス株式会社「2024年12月期 決算短信〔日本基準〕(連結)

小売事業

持ち帰り寿司「小僧寿し」などを運営する小売事業は、売上高が45億5,100万円となりました。

セグメント損失は2億6百万円(前期は1億56百万円の損失)でした。

人材不足に伴う採用コストの増加や、主力商材である米・海産物の価格高騰、不採算店舗の閉鎖に時間を要したことなどが収益を圧迫しました。

飲食事業

「Taco Bell」や「とり鉄」などを展開する飲食事業の売上高は53億4,400万円でした。

セグメント損失は87百万円(前期は4百万円の利益)となりました。

新型コロナ収束後の来店客数増加で売上は堅調でしたが、長期にわたる円安の影響で「Taco Bell」などで使用する輸入食材の仕入コストが増加したことが主な減益要因です。

流通事業

食材卸の東洋商事やフードデリバリーの「デリズ」が中心の流通事業は、売上高103億8,600万円と最も大きな規模を誇ります。

セグメント損失は1億33百万円(前期は85百万円の損失)でした。

飲食店の客数回復で東洋商事の卸売は堅調でしたが、原材料価格の高騰や、フードデリバリー業界の競争激化に伴う「デリズ」の不採算店舗の損失拡大が影響しました。

KOZOホールディングスの2024年12月期末財務状況について

2024年12月期末の財務状況は以下の通りです。

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項目2024年12月期末2023年12月期末
総資産6,000百万円5,631百万円
純資産129百万円292百万円
自己資本105百万円267百万円
自己資本比率1.8%4.7%
出典:KOZOホールディングス株式会社「2024年12月期 決算短信〔日本基準〕(連結)

総資産は前期末比で3億69百万円増加し、60億円となりました。
これは主に、海外事業会社の株式取得に伴いのれんが2億60百万円増加したことによります。

一方で、純資産は当期純損失の計上などにより1億62百万円減少し、1億29百万円となりました。

これに伴い、自己資本比率は4.7%から1.8%へ低下しています。

キャッシュフローの状況

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項目2024年12月期2023年12月期
営業活動による
キャッシュ・フロー
△49百万円203百万円
投資活動による
キャッシュ・フロー
△169百万円302百万円
財務活動による
キャッシュ・フロー
359百万円50百万円
現金及び現金同等物
期末残高
1,123百万円995百万円
出典:KOZOホールディングス株式会社「2024年12月期 決算短信〔日本基準〕(連結)

営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純損失が7億21百万円の赤字であったことなどから、49百万円のマイナス(資金減少)となりました。

投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出が2億7百万円あったことなどから、1億69百万円のマイナスです。

財務活動によるキャッシュ・フローは、株式の発行による収入が5億91百万円あったことなどから、3億59百万円のプラス(資金増加)となりました。

収益性に関する指標(ROEなど)

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指標2024年12月期2023年12月期
自己資本当期純利益率
(ROE)
△420.1%△101.5%
総資産経常利益率
(ROA)
△7.9%△4.8%
売上高営業利益率△2.4%△1.8%
出典:KOZOホールディングス株式会社「2024年12月期 決算短信〔日本基準〕(連結)

2024年12月期は各利益段階で損失を計上したため、収益性指標はいずれもマイナスとなっており、収益性の改善が急務であることが分かります。

KOZOホールディングスの株主還元について

KOZOホールディングスは、2023年12月期、2024年12月期ともに配当金を0.00円としており、配当は行っていません。

2025年12月期の配当予想も0.00円となっており、まずは事業の収益改善と財務体質の強化を優先する方針です。

自社株買いの発表はあった?

今回発表された決算関連資料の中では、大規模な自社株買い(自己株式取得)の実施に関する発表はありませんでした。

KOZOホールディングスの今期見通しと戦略について

KOZOホールディングスは2025年12月期について、売上高202億円(前期比11.5%増)、営業利益22百万円(前期は4億27百万円の損失)と、営業利益ベースでの黒字転換を目指す計画を立てています。

このV字回復を達成するための基本戦略が「採算・不採算事業の選択と集中」です。

具体的には、2024年度中に決定した20店舗を超える不採算店舗の撤退を着実に進める一方、成長が見込める事業へ経営資源を集中投下します。

セグメント別戦略

  • 小売事業
    不採算店12店舗を閉鎖する一方、地方圏でのドミナント出店やショッピングモール等への新業態での出店を推進します。
  • 飲食事業
    「とり鉄」「どさん子」などの主力ブランドや、特に「Taco Bell」の新規出店を前期以上に加速させます。
  • 流通事業
    フードデリバリー「Delis」の不採算店11店舗を閉鎖し、自社開発のシステムを外部へ販売するSaaS事業などで新たな収益を創出します。
  • 海外事業
    北米での店舗開発や、英国でのJapan Centreとの協業による店舗展開を進め、海外事業の拡大を図ります。

これらの成長戦略の実現のため、新株予約権の発行により調達した資金を活用していく計画です。

決算内容や今期の見通しで、KOZOホールディングスの株価はどうなる?

今回の決算内容と今後の戦略から、株価に与える影響をポジティブな要因とネガティブな要因に分けて分析します。

株価にポジティブな影響を与える要因

  • 明確な黒字化計画
    2025年12月期の営業黒字転換という明確な目標は、市場にとって大きな魅力です。
    計画通りに四半期決算で収益改善が進捗すれば、株価は期待を織り込んで上昇する可能性があります。
  • 海外展開への期待
    2025年6月の英国での「小僧寿し」2店舗出店に関する発表は、同社の成長戦略が具体的に進んでいることを示し、市場から高く評価されました。
    今後、英国での追加出店や他国への展開など、海外事業の続報がさらなる株価上昇の材料となり得ます。
  • 成長事業への集中投資
    「Taco Bell」の出店加速など、具体的な成長分野に資金を投下する戦略が明確である点はポジティブです。
    これらの新規店舗が成功すれば、企業価値の向上に直結します。

株価にネガティブな影響を与える要因

  • 赤字体質と財務リスク
    2期連続の営業赤字と、自己資本比率の低下は大きな懸念材料です。
    会社の決算資料にも「継続企業の前提に関する重要な疑義」についての言及があり、計画通りに黒字化できなければ、経営リスクが改めて意識され株価の下落圧力となります。
  • 計画未達リスク
     V字回復という意欲的な計画である分、外部環境の悪化(円安、原材料高など)や社内の実行遅延によって計画が未達に終わるリスクがあります。
    業績の下方修正が発表された場合、株価は大きく下落する可能性があります。
  • 株式の希薄化懸念
    成長資金を新株予約権の発行で調達しているため、1株あたりの価値が下がる「希薄化」のリスクが常に伴います。
    事業が早期に収益を生み、追加の資金調達が不要な体制を築けるかが重要です。

決算から分かるKOZOホールディングスの強みは?

厳しい決算内容の中からも、同社の強みが見えてきます。

M&Aによる売上高の成長力

近年、アスラポートや東洋商事といった企業をM&Aによりグループに加え、短期間で売上規模を大きく拡大させてきました。

これにより事業の多角化も進んでおり、このダイナミックな事業拡大を実行できる点は大きな強みです。

多角的な事業ポートフォリオ

「小売」「飲食」「流通」という3つの事業セグメントを持ち、「小僧寿し」「Taco Bell」「とり鉄」「デリズ」など、多様なブランドと事業モデルを保有しています。

これにより、特定の市場環境の変化に対するリスクを分散できる可能性があります。

海外展開への足掛かり

北米でのSUSHI BOY, INC.の子会社化や、英国でのJapan Centre Groupとの提携により、今後の成長が見込まれる海外市場への確かな足掛かりを築いています。

特にJapan Centre Groupは英国で強い事業基盤を持っており、この提携は海外展開を加速させる上で強力な武器となります。

まとめ

KOZOホールディングスの2024年12月期決算は、売上拡大の一方で損失が続く厳しい内容でしたが、それを踏まえた上で、2025年12月期は「選択と集中」による大胆な黒字化計画を打ち出しています。

株価は、英国でのFC契約締結を好感し、将来の成長への期待を大きく織り込んでいます。

今後は、その期待が「絵に描いた餅」で終わらないよう、四半期ごとの決算で着実に収益改善を示し、海外展開や国内の成長事業で具体的な成果を出せるかが、株価の持続的な上昇の鍵を握ると言えるでしょう。
今後のIR発表に注目が集まります。

KOZOホールディングスの株価の見通しについて解説したnote記事もありますので、興味のある方はぜひチェックしてみてください。

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