北浜キャピタルパートナーズ株式会社が2025年5月15日に発表した2025年3月期の連結決算短信について、気になっている人も多いでしょう。
当期は増収ながらも赤字幅が拡大する厳しい結果となりましたが、来期に向けては新規事業を柱とした大幅な業績回復を見込んでいます。
本記事では、連結決算の概況からセグメント別の詳細、財務状況、そして今後の見通しまで、決算短信の情報を基に分かりやすくまとめていきます。
北浜キャピタルパートナーズの株価について、以下の動画で解説しています。興味のある方はぜひチェックしてみてください。
北浜キャピタルパートナーズの2025年3月期における連結決算の振り返り
2025年3月期の連結経営成績は、売上高が前期比で大幅に増加した一方で、各利益段階で損失が拡大する結果となりました。
連結経営成績 | 2025年3月期 | 2024年3月期 | 前期比増減率 |
---|---|---|---|
売上高(百万円) | 701 | 234 | +199.2% |
営業利益(百万円) | △579 | △330 | – |
経常利益(百万円) | △601 | △412 | – |
親会社株主に帰属する 当期純利益(百万円) | △835 | △489 | – |
当期の売上高は、クリーンエネルギー事業における太陽光発電・蓄電システムの販売などにより、前期比199.2%増の701百万円と大きく伸長しました。
しかし、利益面では、太陽光発電・蓄電システムの仕入れコストに加え、業務拡大に伴う販売費及び一般管理費の増加が影響し、営業損失は579百万円(前期は330百万円の損失)、経常損失は601百万円(前期は412百万円の損失)と、いずれも赤字幅が拡大しました。
北浜キャピタルパートナーズの2025年3月期セグメント別の業績
同社は報告セグメントを「投資事業」「アセットマネージメント事業」「その他の事業」の3つに区分しています。
当期の業績は投資事業に集中しており、他の2セグメントでの売上計上はありませんでした。
セグメント別業績(百万円) | 売上高 | セグメント利益(損失) |
---|---|---|
投資事業 | 701 | △579 |
アセットマネージメント事業 | 0 | 0 |
その他の事業 | 0 | 0 |
合計 | 701 | △579 |
投資事業
当セグメントの売上高は、再生可能エネルギー関連の不動産売買やゴルフ場運営などにより、前期比199.2%増の701百万円となりました。
アセットマネージメント事業
当期は当社が組成するファンドがなかったため、アセットマネジメント報酬や管理手数料などの計上はなく、売上高およびセグメント利益の計上はありませんでした。
これは前期と同様の状況です。
その他の事業
当期はアドバイザリー業務報酬などの計上がなく、売上高およびセグメント利益の計上はありませんでした。
こちらも前期と同様です。
北浜キャピタルパートナーズの2025年3月期末財務状況について
2025年3月期末の財務状況は、新株予約権の行使による資金調達を背景に、純資産が大幅に増加し、自己資本比率が大きく改善しました。
財務状況 | 2025年3月期末 | 2024年3月期末 |
---|---|---|
総資産(百万円) | 2,686 | 1,216 |
純資産(百万円) | 2,039 | 153 |
自己資本(百万円) | 2,015 | 163 |
自己資本比率 | 75.0% | 13.4% |
1株当たり純資産 | 6.75円 | 1.15円 |
- 総資産は、商品の増加(600百万円)やのれんの増加(298百万円)、現金及び預金の増加(193百万円)などにより、前期末比で1,469百万円増加し、2,686百万円となりました。
- 負債は、短期借入金が396百万円減少したことなどから、前期末比で416百万円減少し、646百万円となりました。
- 純資産は、第14回新株予約権の行使により資本金および資本準備金がそれぞれ1,339百万円増加したことが主な要因となり、当期純損失の計上による利益剰余金の減少があったものの、前期末比で1,886百万円増加し、2,039百万円となりました。
これにより、自己資本比率は13.4%から75.0%へと大幅に改善しています。
キャッシュフローの状況
当期のキャッシュフローは、財務活動による大幅な収入増が特徴です。
キャッシュフロー(百万円) | 2025年3月期 | 2024年3月期 |
---|---|---|
営業活動によるCF | △1,579 | △468 |
投資活動によるCF | △420 | 99 |
財務活動によるCF | 2,193 | 272 |
現金及び現金同等物 期末残高 | 256 | 62 |
- 営業活動によるキャッシュ・フローは、棚卸資産の増加(614百万円の支出)や預け金の増加(261百万円の支出)などが主な要因となり、1,579百万円の支出となりました。
- 投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得(178百万円の支出)や長期貸付(156百万円の支出)などにより、420百万円の支出となりました。
- 財務活動によるキャッシュ・フローは、株式の発行による2,670百万円の収入が大きく寄与し、短期借入金の返済による支出(452百万円)などがあったものの、2,193百万円の収入となりました。
収益性に関する指標
当期は各利益が赤字であったため、収益性指標は軒並みマイナスとなっています。
収益性指標 | 2025年3月期 | 2024年3月期 |
---|---|---|
自己資本当期純利益率(ROE) | △2.99% | △3.49% |
総資産経常利益率(ROA) | △22.4% | △33.9% |
売上高営業利益率 | △82.5% | △141.1% |
北浜キャピタルパートナーズの株主還元について
現時点では、株主への直接的な還元(配当や自社株買い)は行われていません。
配当金の状況
2025年3月期も前期に引き続き、配当金は無配(0.00円)でした。
また、2026年3月期の配当予想も無配(0.00円)としています。
自社株買いの発表はあった?
今回の決算短信において、自己株式の取得(自社株買い)に関する新たな発表はありませんでした。
2025年3月31日時点での自己株式数は1株となっています。
北浜キャピタルパートナーズの今期見通しと戦略について
同社は、2期連続で重要な損失を計上し、「継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況」にあることを認識しています。
この状況を打開するため、2026年3月期は新規事業を積極的に展開し、大幅な黒字転換を目指す計画です。
2026年3月期の連結業績予想は、売上高54,433百万円(前期比7,658.3%増)、営業利益477百万円、経常利益438百万円、親会社株主に帰属する当期純利益201百万円を見込んでいます。
このV字回復を達成するための戦略の柱は以下の通りです。
新規事業での収益獲得
- データセンター事業: 台湾のAblecom Technology Inc.との販売代理店契約に基づき、NVIDIA製GPUを内蔵したサーバーシステムを販売します。
来期の売上高52,200百万円、売上総利益1,002百万円と、業績予想の大部分をこの事業が占める計画です。 - 不動産事業: M&Aを活用し、不動産売買・賃貸、レンタル倉庫事業へ進出します。
- 人材紹介事業: AIを活用した障がい者と企業のマッチングサービスを開始します。
既存事業での収益獲得
- クリーンエネルギー事業: 太陽光発電開発事業と木質バイオマス燃料販売事業に引き続き注力し、事業規模の拡大を図ります。
- ゴルフ場運営: コスト削減と営業努力を継続し、売上・利益の増加を目指します。
決算内容や今期の見通しで、北浜キャピタルパートナーズの株価はどうなる?
今回の決算内容と来期の見通しには、株価にとってポジティブな要因とネガティブな要因の両方が含まれています。
株価にポジティブな影響を与える要因
- 来期のV字回復計画: 2026年3月期に売上高544億円、営業利益4.7億円という黒字転換の業績予想を打ち出した点は、最大のポジティブ材料です。
特に、NVIDIA製GPU搭載サーバーの販売という時流に乗った新規事業への期待は大きいと考えられます。 - 財務基盤の強化: 新株予約権の行使により自己資本比率が75.0%まで大幅に改善し、財務の安定性が増したことは、事業展開を進める上で安心感につながります。
株価にネガティブな影響を与える要因
- 継続企業の前提に関する注記: 決算短信に「継続企業の前提に関する重要な不確実性」が認められると明記されている点は、最も大きなリスク要因です。
これは、会社の存続そのものにリスクがあることを示唆しています。 - 計画の不確実性: 来期の業績予想は、サーバーシステム販売事業という新規事業に大きく依存しています。
この計画が想定通りに進まない場合、業績が大幅に下振れするリスクがあります。
会社自身も「計画通り実現するとは限らず」と言及しています。 - 無配継続: 株主還元策として配当がないことも、投資家によってはネガティブに捉えられる可能性があります。
決算から分かる北浜キャピタルパートナーズの強みは?
今回の決算からは、同社の以下のような強みが窺えます。
迅速な事業ポートフォリオの転換力
従来の投資事業やアセットマネジメント事業から、クリーンエネルギー、さらにはデータセンター、AI関連の人材紹介といった社会的な需要が高まる成長分野へ、事業の軸足を迅速に移そうとする機動力と判断力は、同社の強みと言えるでしょう。
資金調達力
厳しい業績環境にありながら、新株予約権の行使を通じて約26.7億円の資金調達を成功させ、自己資本を大幅に増強しました。
この資金調調達力は、今後の新規事業を推進していく上での大きな原動力となります。
まとめ
北浜キャピタルパートナーズの2025年3月期決算は、売上こそ伸ばしたものの、損失が拡大する厳しい内容でした。
しかし、その一方で大規模な資金調達によって財務基盤を強化し、来期に向けてはNVIDIA関連のサーバー販売を柱とした野心的なV字回復計画を掲げています。
「継続企業の前提に関する注記」という大きなリスクを抱えつつも、成長分野への大胆な事業転換で活路を見出そうとしており、まさに正念場を迎えていると言えます。
今後の新規事業計画の進捗が、同社の未来を大きく左右することになるでしょう。
北浜キャピタルパートナーズの株価について、以下の動画で解説しています。興味のある方はぜひチェックしてみてください。
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