JSH(150A)は何の会社?コルディアーレ農園・障がい者雇用支援・在宅医療を解説

JSHの株価が急上昇したことで、「そもそも何をしている会社なのか」「農園を運営する会社なのか」「半導体関連企業とどのような関係があるのか」と気になった人も多いでしょう。

JSHは農作物の生産や販売を主力とする農業会社ではありません。地方在住の障がい者と雇用を進めたい企業をつなぐ障がい者雇用支援と、精神科に特化した訪問診療支援・訪問看護を展開する会社です。

主力サービスの「コルディアーレ農園」では、障がい者が働く農園や設備を用意し、企業による採用から就労後の定着までを支援しています。

本記事では、JSHの事業内容、コルディアーレ農園の仕組み、収益を得る方法、企業がサービスを利用する理由、事業の強みや将来性、注意したいリスクを解説します。

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目次

JSHは何の会社なのか

JSHは何の会社なのか

JSHは、障がい者雇用支援を行う地方創生事業と、精神科の訪問診療支援・訪問看護を行う在宅医療事業を中心に展開しています。

2024年には東証グロース市場へ上場しました。

項目内容
会社名株式会社JSH
証券コード150A
上場市場東証グロース
設立2016年4月
所在地東京都中央区
代表者野口和輝氏
従業員数608名
主な事業地方創生事業、在宅医療事業
主力サービスコルディアーレ農園、精神科訪問看護

※従業員数は2026年7月1日時点。

JSHは、地方で働きたい障がい者、障がい者を雇用したい企業、精神科医療を必要とする人などが抱える社会課題の解決を事業にしています。

農園や訪問看護ステーションを運営していますが、事業の中心は施設そのものではなく、雇用・就労・医療を支えるサービスの提供です。

障がい者雇用支援と在宅医療が主力

JSHの事業は、大きく地方創生事業と在宅医療事業に分けられます。

地方創生事業の中心となるのが、コルディアーレ農園を活用した障がい者雇用支援です。地方在住の障がい者と企業をつなぎ、採用、就労場所、業務、健康管理、職場への定着などを支援します。

単に人材を紹介して終わるサービスではなく、採用後も障がい者が安定して働き続けられる環境を整えることが特徴です。

在宅医療事業では、精神科の訪問診療を始めたい医療機関への導入支援と、看護師や作業療法士が利用者の自宅を訪れる精神科訪問看護を提供しています。

JSHが手掛ける主なサービスは以下のとおりです。

  • 農園型の障がい者雇用支援
  • 障がい者の採用・定着支援
  • 精神科訪問診療の導入・運営支援
  • 精神科に特化した訪問看護
  • 地域特産品の販売などを行う観光物産事業

観光物産事業も展開していますが、会社の成長や利益を考えるうえでは、地方創生事業と在宅医療事業が中心になります。

JSHは農業会社ではない

JSHは「コルディアーレ農園」を運営しているため、農作物を生産・販売する農業会社と思われることがあります。

しかし、農産物の販売がJSHの主な収益源ではありません。

コルディアーレ農園は、障がい者が働く就労場所として企業に提供されています。農園で水耕栽培などの業務を行いますが、事業の目的は農作物の大量生産ではなく、企業の障がい者雇用を支援することです。

JSHが提供しているのは、主に以下のようなサービスです。

  • 障がい者の募集・採用支援
  • 働く場所となる農園の提供
  • 水耕栽培に必要な設備の提供
  • 就労後の健康管理や定着支援
  • 導入企業の雇用管理支援

そのため、穀物価格や農産物の販売量によって業績が決まる一般的な農業関連企業とは、収益構造が異なります。

JSHは「農園運営会社」というより、農園を活用した雇用支援・医療サービス会社と捉える方が実態に近いといえます。

JSHの事業内容を一覧で確認

JSHは、障がい者雇用支援から精神科の在宅医療まで、社会参加や地域生活を支える複数のサービスを展開しています。

事業・サービス主な内容主な利用者・顧客
障がい者雇用支援農園、採用、就労環境、定着支援障がい者を雇用したい企業
障がい者定着支援面談、研修、業務設計支援企業と障がい者
訪問診療支援精神科訪問診療の導入・運営支援医療機関
精神科訪問看護看護師・作業療法士による訪問精神疾患のある利用者
観光物産事業特産品販売、民泊など消費者・地域事業者

障がい者雇用支援では、企業が抱える採用、業務の切り出し、就労環境の整備、定着などの課題を支援します。

在宅医療事業では、精神科医療機関が訪問診療を始めるための支援と、利用者に直接サービスを提供する訪問看護を展開しています。

一見すると異なる事業に見えますが、どちらも精神疾患や障がいのある人が地域で生活し、社会参加を続けるための支援という共通点があります。

コルディアーレ農園とは

コルディアーレ農園とは

コルディアーレ農園は、地方在住の障がい者と障がい者雇用を進めたい企業をつなぐ、農園型の障がい者雇用支援サービスです。

JSHが農園や水耕栽培設備、採用・定着支援などを用意し、導入企業が障がい者を自社の従業員として雇用します。

農園型の障がい者雇用支援サービス

地方では、都市部と比べて障がい者が応募できる仕事や企業が限られることがあります。

一方、都市部の企業には障がい者を雇用したい需要があっても、自社周辺で適した人材を採用できない、社内に就労場所や業務を用意できないといった課題があります。

コルディアーレ農園は、こうした地方と企業の課題をつなぐ仕組みです。

農園では、企業に雇用された障がい者が、水耕栽培などの業務を行います。企業が地方に自社拠点を持っていない場合でも、JSHが用意した農園を就労場所として利用できます。

主な特徴は以下のとおりです。

  • 地方在住の障がい者に就労機会を提供する
  • 障がい者が住み慣れた地域で働ける
  • 企業は地方に拠点がなくても人材を雇用できる
  • 屋内型農園で天候に左右されにくい
  • JSHが採用から定着までを支援する
  • 地方での雇用創出につながる

障がい者には地域で働ける機会、企業には雇用課題の解決、自治体には地域雇用の創出というメリットがあります。

コルディアーレ農園は、障がい者、企業、地方自治体をつなぐ地方創生型のサービスです。

農園で働く人は導入企業が直接雇用する

コルディアーレ農園で働く障がい者は、原則としてサービスを導入した企業と雇用契約を結びます。

JSHが障がい者を自社の従業員として雇用し、企業へ派遣する仕組みではありません。

雇用関係は以下のようになります。

  • 障がい者と導入企業が雇用契約を結ぶ
  • 障がい者は導入企業の従業員として農園で働く
  • 導入企業が業務指示や管理監督を行う
  • JSHが農園環境や採用、就労、定着を支援する
  • 適切な雇用関係が成立すれば法定雇用率の対象になる

導入企業は、農園をJSHに任せるだけではなく、雇用主として従業員の業務や働き方を管理する必要があります。

JSHは、企業が適切に雇用管理を行えるよう、農園内の体制整備や業務設計、情報共有などを支援します。

つまり、JSHは雇用主ではなく、導入企業による直接雇用を支えるサービス提供者です。

JSHが提供するサービス

コルディアーレ農園では、就労場所を貸し出すだけでなく、障がい者の採用から定着までをまとめて支援しています。

主なサービスは以下のとおりです。

  • 障がい者の募集・紹介
  • 採用活動の支援
  • 農園で働く管理者の確保
  • 屋内型農園と水耕栽培設備の提供
  • 働くための業務設計
  • 農園までの送迎
  • 看護師などによる健康面の支援
  • 就労後の面談や定着支援
  • 導入企業との情報共有
  • 雇用管理や管理監督の支援

障がい者雇用では、採用後に職場へ定着できるかが重要です。

体調の変化、職場でのコミュニケーション、業務への不安などに対応できなければ、早期離職につながる可能性があります。

コルディアーレ農園では、JSHのスタッフや看護師などが就労を支援し、必要に応じて導入企業と情報を共有します。

企業は採用、就労場所、業務設計、定着支援を個別に用意する必要がなく、障がい者雇用に必要な支援をまとめて受けられることが特徴です。

JSHはどのように収益を得るのか

JSHは、コルディアーレ農園の導入時と、契約後の継続的なサービス提供によって収益を得ています。

主な収益源として考えられるのは以下のとおりです。

  • 障がい者の採用・人材紹介に伴う収益
  • サービス導入時に発生する収益
  • 農園や設備の利用に伴う収益
  • 就労支援や定着支援の継続利用による収益
  • 既存顧客による追加区画の契約

新しい企業がコルディアーレ農園を導入すれば、JSHの顧客企業数と利用区画数が増加します。

さらに、既存顧客が障がい者の雇用人数を増やす場合には、追加の農園区画や支援サービスを契約する可能性があります。

農園型サービスは、契約後も農園、設備、就労支援、定着支援などの提供が続くため、単発受注だけで終わる事業ではありません。

顧客企業数や利用区画数が積み上がれば、翌年度以降も一定の売上が見込めるリカーリング型の収益構造を構築できます。

一方、新規農園の開設には設備や人員への先行投資が必要です。農園を開設しても、利用区画が埋まらなければ収益性は上がりません。

JSHの業績を見る際には、農園数だけでなく、顧客企業数、利用区画数、受入人数、稼働率などを確認することが重要です。

なぜ企業はコルディアーレ農園を利用するのか

企業がコルディアーレ農園を利用する背景には、障がい者雇用における採用、業務、職場環境、定着などの課題があります。

2026年7月には民間企業の障がい者法定雇用率が2.5%から2.7%へ引き上げられ、対象となる企業も従業員40人以上から37.5人以上へ拡大しました。

障がい者雇用への対応が必要になる企業が増える一方、自社だけで採用から定着まで対応することが難しい企業もあります。

障がい者の採用と定着に課題を抱える企業がある

企業には、一定割合以上の障がい者を雇用することが求められています。

しかし、法定雇用率を達成するために求人を出しても、応募が集まらない、求職者の特性と業務が合わないといった問題が起こることがあります。

採用できた場合でも、以下のような課題があります。

  • 障がい特性に適した業務を用意できない
  • 安全に働ける職場環境を整えられない
  • 配慮すべき内容を判断できない
  • 社内に障がい者雇用の専門知識を持つ人がいない
  • 上司や同僚の理解が十分ではない
  • 体調変化や職場での悩みに対応できない
  • 採用後の定着支援が難しい

工場や研究施設などでは、安全管理や業務内容の問題から、自社内で適した仕事を切り出せない場合もあります。

コルディアーレ農園では、働く場所や業務を用意し、採用・定着に必要な支援を提供します。

企業にとっては、法定雇用率への対応だけでなく、採用後の離職を防ぎ、安定した雇用を続けやすくなることが利用する理由になります。

地方在住の障がい者に就労機会を提供できる

地方では、障がい者が働ける企業や職種が都市部より少ない場合があります。

働く意思や能力があっても、通勤可能な範囲に求人がないことで、就職の機会を得られない人もいます。

コルディアーレ農園は地方に就労場所を設けることで、障がい者が住み慣れた地域を離れずに働ける環境を提供します。

主なメリットは以下のとおりです。

  • 地方で新たな就労機会が生まれる
  • 住み慣れた地域で働き続けられる
  • 遠方への転居が必要ない
  • 送迎によって通勤の負担を抑えられる
  • 地方に拠点がない企業とも雇用契約を結べる
  • 地域内の雇用や所得の増加につながる

企業側も、本社や事業所の周辺だけで人材を探す必要がなくなり、地方在住の障がい者を採用対象にできます。

企業の雇用課題を解決しながら地方で仕事を生み出せる点が、地方創生事業としてのコルディアーレ農園の特徴です。

採用から定着までまとめて支援を受けられる

障がい者雇用は、採用人数を確保すれば完了するものではありません。

採用した人が業務を理解し、周囲とコミュニケーションを取りながら、安定して働き続けられる環境を整える必要があります。

コルディアーレ農園では、採用前から就労後まで継続的な支援を提供します。

主な支援内容は以下のとおりです。

  • 求職者の募集と採用支援
  • 障がい特性や適性の確認
  • 業務内容の設計
  • 業務マニュアルの作成支援
  • 導入企業向けの障がい理解研修
  • 就労後の定期的な面談
  • 看護師などによる健康状態の確認
  • 企業と障がい者の間の情報共有
  • 職場への定着や離職防止の支援

障がい者本人が困っていることを企業へ直接伝えるのが難しい場合でも、JSHのスタッフが間に入り、必要な情報を整理できます。

企業も自社だけで専門人材を確保する必要がなく、障がい者雇用の経験や知識を補うことができます。

採用から定着まで一貫して支援を受けられることが、企業がコルディアーレ農園を利用する大きなメリットです。

コルディアーレ農園の特徴と強み

コルディアーレ農園は、農園や就労場所を提供するだけのサービスではありません。

JSHが在宅医療事業で培ってきた精神科医療の知見を生かし、障がい者の採用から健康管理、就労後の定着までを支援している点に特徴があります。

また、九州を中心に全国へ農園を展開し、契約後も継続的にサービスを提供することで、安定した収益を積み上げやすい事業構造を構築しています。

精神科医療の知見を雇用支援に生かしている

JSHは障がい者雇用支援だけでなく、精神科の訪問診療支援や訪問看護も展開しています。

在宅医療事業では、精神疾患のある利用者に対し、看護師や作業療法士などの専門職が支援を行います。

こうした事業を通じて蓄積した、精神障がいや発達障がい、健康状態の変化に関する知識を、コルディアーレ農園の就労支援にも生かしています。

障がい者が安定して働き続けるためには、業務内容だけでなく、体調や生活環境にも配慮する必要があります。

JSHでは、以下のような支援を提供しています。

  • 看護師などによる健康状態の確認
  • 定期的な面談
  • 就労上の不安や悩みへの対応
  • 障がい特性に合わせた業務設計
  • 導入企業との情報共有
  • 長期的な職場定着の支援

体調の変化を早い段階で把握できれば、欠勤や離職に至る前に勤務方法や支援内容を見直せる可能性があります。

JSHは、雇用支援と精神科医療の両方の知見を持っていることが、他の農園型障がい者雇用支援サービスとの差別化要因になっています。

全国へ農園を展開している

JSHは九州を中心にコルディアーレ農園を拡大してきましたが、現在は北海道、関東、近畿、中国地方にも展開しています

2026年7月時点の公式サービスサイトでは、農園数は27カ所、農園継続率は99%とされています。

全国へ農園を広げることで、より多くの地域で障がい者の就労機会を生み出せるようになります。

企業側にとっても、雇用したい地域や人材に合わせて農園を選択できるため、サービスを利用しやすくなります。

農園の地域拡大によって期待できる効果は以下のとおりです。

  • 障がい者の受入可能人数が増える
  • 新たな企業と契約できる
  • 九州に拠点を持たない企業の需要を取り込める
  • 地方在住の障がい者に就労機会を提供できる
  • 地域ごとの企業進出や雇用需要に対応できる

新規農園を開設し、利用区画が順調に埋まれば、JSHの顧客企業数と継続収益の増加につながります。

一方、農園を開設しても利用企業や受入人数が増えなければ、設備費や人件費が先行します。

そのため、農園数だけでなく、各農園の契約区画数や稼働率も重要です。

継続利用による安定収益が見込める

コルディアーレ農園は、企業と契約した時点だけで収益が発生する単発型の事業ではありません。

導入企業が農園や設備、就労・定着支援を継続して利用することで、JSHには継続的な利用料が入ります。

顧客企業数が増えるほど、翌年度以降も売上が積み上がりやすくなる点が特徴です。

また、既存顧客が障がい者の雇用人数を増やす場合には、追加区画の契約につながる可能性があります。

主な成長パターンは以下のとおりです。

  • 新規顧客を獲得する
  • 新しい農園区画を契約する
  • 契約後も利用料が継続する
  • 既存顧客が追加区画を契約する
  • 顧客企業数と利用区画数が積み上がる

新規契約と既存顧客の追加契約が続けば、単発受注だけに依存せず、安定した収益基盤を構築できます。

一方、契約企業の解約や区画数の縮小が増えれば、継続収益の成長が鈍化します。

JSHの事業成長を確認する際には、顧客企業数や新規契約数だけでなく、解約率や農園継続率の推移も確認する必要があります。

JSHの在宅医療事業とは

JSHの在宅医療事業では、精神科の訪問診療を始めたい医療機関への支援と、利用者に直接サービスを提供する精神科訪問看護を展開しています。

通院が難しい人でも、自宅や生活の場で精神科医療や看護を受けられる環境づくりを支援する事業です。

精神科医療機関の訪問診療を支援

JSHは、精神科の訪問診療を新たに始めたい医療機関に対して、導入や運営に関するコンサルティングを提供しています。

精神科の訪問診療を始めるためには、医師やスタッフの確保だけでなく、患者の受け入れ体制、訪問スケジュール、関係機関との連携などを整える必要があります。

JSHは、医療機関に対して以下のような支援を行います。

  • 訪問診療の事業計画策定
  • 訪問エリアや対象患者の検討
  • 運営体制の構築
  • 訪問診療を行うための業務設計
  • 関係機関との連携支援
  • 訪問診療開始後の運営支援

医療機関が訪問診療を始めることで、精神状態や身体状態などの理由から通院が難しい患者にも医療を提供できます。

このサービスでは、精神科医療機関がJSHの主な顧客となり、導入・運営支援に対する収益が発生します。

精神科に特化した訪問看護を提供

JSHは、「訪問看護ステーションコルディアーレ」を運営し、精神科に特化した訪問看護を提供しています。

看護師や作業療法士などの専門職が利用者の自宅を訪問し、心身の状態や生活状況を確認します。

主な支援内容は以下のとおりです。

  • 服薬状況の確認と服薬支援
  • 心身状態の確認
  • 生活リズムを整えるための支援
  • 悩みや不安に関する相談
  • 再発や症状悪化の予防
  • 主治医や医療機関との連携
  • 家族への助言や支援
  • 社会復帰や地域生活への支援

精神疾患のある人は、状態が安定しているように見えても、生活環境の変化や服薬の中断などによって症状が悪化することがあります。

定期的に専門職が訪問することで、変化を早い段階で把握し、必要に応じて主治医と連携できます。

JSHは、医療機関と連携しながら在宅生活を支える精神科訪問看護を提供しています。

訪問診療支援と訪問看護の違い

訪問診療支援と訪問看護は、どちらも在宅医療に関係するサービスですが、サービスの提供先と役割が異なります。

項目訪問診療支援訪問看護
主な相手医療機関患者・利用者
サービス導入・運営コンサルティング看護師などによる訪問
役割訪問診療を始める医療機関を支援在宅で療養する利用者を支援
主な収益支援・コンサルティング収益訪問看護サービス収益

訪問診療支援では、医療機関が訪問診療を開始・運営できるように支援します。

訪問看護では、JSHの看護師や作業療法士などが利用者宅を訪問し、直接支援を提供します。

つまり、訪問診療支援は医療機関向けの事業、訪問看護は患者や利用者に直接サービスを提供する事業です。

障がい者雇用支援と在宅医療の相乗効果

障がい者雇用支援と在宅医療は、異なる事業に見えますが、精神疾患や障がいのある人が地域で生活し、社会参加を続けるための支援という共通点があります。

JSHは両方の事業を展開することで、医療、福祉、雇用を横断した支援を提供できます。

精神科医療の知識を就労支援に活用できる

精神障がいや発達障がいのある人が安定して働くためには、業務内容だけでなく、体調や生活状況にも配慮する必要があります。

精神科の在宅医療事業を展開するJSHは、以下のような知識や経験を就労支援に生かせます。

  • 精神障がいや発達障がいへの理解
  • 体調や精神状態の変化への対応
  • 服薬や生活リズムに関する知識
  • 本人とのコミュニケーション方法
  • 家族や医療機関との連携
  • 長期的な生活支援の考え方

就労後に不安や悩みが生じた場合でも、専門職による面談や健康面の支援を受けることで、問題の深刻化を防げる可能性があります。

体調の変化を早期に把握し、導入企業と情報を共有できれば、勤務時間や業務内容を調整しやすくなります。

JSHは、医療・福祉・雇用を横断した支援によって長期定着を目指せることが強みです。

同じ地域に農園と訪問看護拠点を展開できる

JSHは、コルディアーレ農園と訪問看護ステーションを複数の地域で展開しています。

同じ地域に両方の拠点を展開することで、採用や運営に関するノウハウを共有できる可能性があります。

期待できる相乗効果は以下のとおりです。

  • 看護師など専門職の採用ノウハウを共有できる
  • 地域の医療機関や自治体との関係を生かせる
  • 地域内でJSHの認知度を高められる
  • 障がい者や支援人材の採用活動に生かせる
  • 拠点開設や管理のノウハウを共有できる
  • 医療と雇用の両面から地域課題に対応できる

農園事業と訪問看護事業が同じ地域で認知されれば、自治体や医療機関、就労支援機関との連携も進めやすくなります。

JSHは、地方創生と在宅医療を同じ地域で展開できることを事業上の強みにしています。

JSHの業績を支えている事業

JSHの業績を確認する際には、全社の売上高や営業利益だけでなく、地方創生事業と在宅医療事業のセグメント別業績を見る必要があります。

コルディアーレ農園を中心とする地方創生事業が主な利益源となる一方、在宅医療事業は収益改善が課題です。

地方創生事業が主な利益源

JSHの成長をけん引しているのが、コルディアーレ農園を中心とする地方創生事業です。

新規農園の開設、顧客企業数の増加、既存顧客からの追加区画などによって売上が拡大します。

契約後も利用料が継続するため、顧客企業数と利用区画数が積み上がるほど、安定した収益基盤を構築できます。

地方創生事業の主な成長要因は以下のとおりです。

  • 新規農園の開設
  • 新規顧客企業の獲得
  • 既存顧客からの追加受注
  • 障がい者の受入人数増加
  • 農園の稼働率上昇
  • 継続利用によるリカーリング売上

農園や運営体制を整えた後に利用区画が増えれば、売上の増加に対して費用の増加を抑えられる可能性があります。

そのため、地方創生事業は営業利益率が高く、JSHの全社利益への貢献が大きい事業です。

在宅医療事業は収益改善が課題

在宅医療事業では、訪問診療支援と精神科訪問看護を展開しています。

一方、訪問看護ステーションの運営には、看護師や作業療法士などの専門職を配置する必要があります。

利用者数が十分に増えていない段階でも、人件費、賃料、管理費などの固定費が発生します。

新しい拠点を開設する場合には、以下のような費用も先行します。

  • 看護師などの採用費
  • 開設準備に伴う人件費
  • 物件の賃借料
  • 設備や備品の費用
  • 広告宣伝費
  • 拠点運営に必要な管理費

利用者数や訪問件数が計画を下回れば、固定費の負担によって赤字が続く可能性があります。

在宅医療事業の赤字が縮小すれば、地方創生事業で得た利益が全社利益に反映されやすくなります。

決算では売上高だけでなく、在宅医療事業の営業損益と利用者数の進捗を確認することが重要です。

JSHは半導体関連銘柄なのか

JSHは半導体関連企業からの受注が注目されたことで、半導体関連銘柄として扱われることがあります。

ただし、JSHは半導体を製造する会社ではなく、半導体関連企業に障がい者雇用支援サービスを提供する会社です。

半導体メーカーではない

JSHは、半導体の製造、設計、材料供給、製造装置の販売などを行っていません。

主力事業はコルディアーレ農園を活用した障がい者雇用支援です。

半導体関連企業がJSHのサービスを導入すると、農園区画の利用や採用・定着支援に伴う収益が発生します。

つまり、JSHが受注しているのは半導体設備や工場建設ではありません。

JSHは、半導体関連企業を顧客に持つ雇用支援会社であり、半導体市場との関係は間接的です。

半導体関連企業の雇用拡大が受注機会になる

熊本県周辺では、半導体関連企業の工場建設や企業進出が進んでいます。

企業の従業員数が増えれば、障がい者雇用への対応も必要になります。

自社内で障がい者に適した業務や就労場所を用意できない企業にとって、コルディアーレ農園は選択肢の一つです。

受注機会につながる流れは以下のとおりです。

  • 半導体関連企業が地域へ進出する
  • 従業員数や事業規模が拡大する
  • 法定雇用率への対応が必要になる
  • 障がい者の採用や定着が課題になる
  • JSHの雇用支援サービスを利用する

一方、半導体市況が好調になれば、必ずJSHの受注が増えるわけではありません。

半導体関連企業がJSHのサービスを採用しなければ、売上にはつながらないためです。

JSHと半導体産業は、企業進出や雇用拡大を通じた間接的な関係と考える必要があります。

JSHの強みと将来性

JSHの将来性を支える要因には、障がい者法定雇用率の引き上げ、継続課金型の収益、農園の全国展開、精神科医療の知見などがあります。

一方、将来性が実際の業績成長につながるためには、新規契約、農園の稼働率、赤字事業の改善が必要です。

法定雇用率の引き上げが需要を後押しする

民間企業に求められる障がい者法定雇用率は、2026年7月から2.7%へ引き上げられました。

対象となる企業の範囲も広がるため、障がい者を新たに雇用する必要がある企業が増える可能性があります。

自社だけで採用や就労環境を整えることが難しい企業が増えれば、コルディアーレ農園の需要拡大につながります。

制度変更によって継続的な需要が見込まれることは、JSHの事業にとって追い風です。

継続課金型の収益を積み上げられる

コルディアーレ農園では、契約後も農園、設備、就労・定着支援の利用が続きます。

新規顧客を獲得するたびに継続収益が増え、既存顧客から追加区画を受注すれば、さらに売上が積み上がります。

解約率を低く保ちながら顧客企業数を増やせれば、単発受注に依存しない安定した事業へ成長できます。

農園数と受入可能人数を拡大できる

新しい農園を開設すると、JSHが受け入れられる障がい者の人数と契約可能な企業数が増えます。

既存農園の稼働率上昇と新規農園の開設を同時に進められれば、売上の成長が期待できます。

一方、開設費用が先行するため、農園数だけでなく、利用区画数や稼働率を確認することが重要です。

精神科医療の知見が差別化になる

JSHは精神科訪問診療支援と訪問看護を展開しています。

医療事業で得た精神障がいや健康管理の知見を、農園での就労・定着支援に生かせる点が強みです。

障がい者の就労では、業務能力だけでなく、体調や生活状況への配慮も欠かせません。

雇用と医療の両面から支援できる体制は、他社との差別化につながります。

九州以外への地域展開を進めている

JSHは九州を中心に農園を拡大してきましたが、北海道、関東、近畿、中国地方にも進出しています。

全国へ農園を展開することで、九州に拠点を持たない企業の需要や、各地域で働きたい障がい者のニーズを取り込めます。

特定地域に依存せず、複数地域で顧客を獲得できれば、事業規模をさらに拡大できる可能性があります。

赤字事業が改善すれば全社利益が伸びやすい

地方創生事業が利益を生み出しても、在宅医療事業などの赤字が大きければ、全社利益は伸びにくくなります。

反対に、在宅医療事業の売上が増え、固定費を吸収できるようになれば、赤字が縮小します。

地方創生事業の成長に加えて赤字事業が改善すれば、売上の増加以上に全社営業利益が伸びる可能性があります。

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JSHの事業で注意したいリスク

JSHは社会的な需要が見込まれる事業を展開していますが、農園開設への先行投資や在宅医療事業の赤字など、複数のリスクがあります。

また、農園型障がい者雇用については、雇用の実態や働く人のキャリア形成が社会的に評価されることも重要です。

地方創生事業への利益依存度が高い

JSHの全社利益は、コルディアーレ農園を中心とする地方創生事業に大きく依存しています。

地方創生事業の成長が鈍化した場合、在宅医療事業などの赤字を補えなくなる可能性があります。

主なリスクは以下のとおりです。

  • 新規顧客の獲得が計画を下回る
  • 既存顧客からの追加区画が減少する
  • 契約企業の解約が増加する
  • 法定雇用率を満たす企業が増えて需要が鈍化する
  • 競合サービスとの価格競争が強まる

決算では、地方創生事業の売上高や営業利益だけでなく、顧客企業数、追加受注、解約率なども確認する必要があります。

農園開設から収益化まで時間がかかる

新しい農園を開設するためには、物件、設備、人員などへの先行投資が必要です。

農園の開設直後からすべての区画が埋まるとは限らず、顧客企業や受入人数が増えるまでには時間がかかります。

稼働率が低い期間でも、以下の費用が発生します。

  • 物件の賃借料
  • 水耕栽培設備などの費用
  • 農園スタッフの人件費
  • 看護師など専門職の人件費
  • 送迎車両や運行に伴う費用
  • 農園の管理費

新規開設を急ぎすぎると、売上よりも費用が先行し、利益を圧迫する可能性があります。

農園数だけでなく、開設後の利用区画数と稼働率の進捗を見ることが重要です。

在宅医療事業の赤字が続く可能性

訪問看護事業では、利用者数や訪問件数が十分に増える前から、看護師などの人件費が発生します。

また、新規拠点の開設時には、採用、物件、設備、広告などの費用も必要です。

利用者数が計画を下回れば、固定費を吸収できず、赤字が続く可能性があります。

在宅医療事業の損失が拡大した場合、地方創生事業で得た利益を相殺し、全社業績を押し下げます。

在宅医療事業については、売上成長だけでなく、営業損失が縮小しているかを確認する必要があります。

農園型障がい者雇用への社会的な評価

農園型障がい者雇用では、障がい者が導入企業の従業員として適切に雇用されていることが重要です。

法定雇用率を満たすことだけが目的となり、導入企業が業務内容や働く人の成長に関与しなければ、サービスへの社会的な評価が低下する可能性があります。

特に重要なのは以下の点です。

  • 導入企業が雇用主として管理監督しているか
  • 適切な業務指示が行われているか
  • 障がい者の能力や希望に合った業務か
  • 働く人のキャリア形成につながっているか
  • 就労後の支援体制が整っているか
  • 法定雇用率を満たすことだけが目的になっていないか

JSHの公式ページでも、雇用契約、業務指示、管理監督が適切に成立していることの重要性が説明されています。

今後、農園型雇用に関する制度や行政の運用方針が変われば、サービス内容や収益構造に影響する可能性があります。

第三者認定、支援内容、利用者の定着状況などを確認し、雇用の質を維持できているかを見る必要があります。

まとめ

JSHは、障がい者雇用支援と精神科の在宅医療を展開する会社です。

コルディアーレ農園を運営していますが、農産物の販売を主力とする農業会社ではありません。

農園は障がい者が働く場所として利用され、導入企業が障がい者を自社の従業員として直接雇用します。

JSHは以下のサービスを提供しています。

  • 障がい者の採用支援
  • 農園や水耕栽培設備の提供
  • 働くための業務設計
  • 送迎や健康管理
  • 就労後の定着支援
  • 導入企業の雇用管理支援
  • 精神科訪問診療の導入支援
  • 精神科訪問看護

業績面では、コルディアーレ農園を中心とする地方創生事業が主な収益源です。

法定雇用率の引き上げ、継続課金型の収益、農園数と受入可能人数の拡大は、今後の成長要因になります。

一方、在宅医療事業の赤字、農園開設に伴う先行費用、地方創生事業への利益依存には注意が必要です。

また、農園型障がい者雇用が継続的に成長するためには、法定雇用率を満たすだけではなく、適切な管理監督や業務設計、働く人の長期定着が求められます。

JSHの事業を評価する際には、顧客企業数や農園数だけでなく、利用区画数、稼働率、解約率、在宅医療事業の損益も確認することが重要です。

出典

株式会社JSH|会社概要
https://www.jsh-japan.jp/ir/overview/

株式会社JSH|事業概要
https://www.jsh-japan.jp/overview/

障がい者雇用支援サービス
https://www.jsh-japan.jp/overview/employment/

障がい者雇用支援サービス コルディアーレ農園
https://www.jsh-japan.jp/cordiale-farm/

コルディアーレ農園|サービスの特徴
https://www.jsh-japan.jp/cordiale-farm/services/

コルディアーレ農園|農園紹介
https://www.jsh-japan.jp/cordiale-farm/farm/

コルディアーレ農園の雇用契約・サービスの仕組み
https://www.jsh-japan.jp/cordiale-farm/column/5268/

精神科医療機関の訪問診療支援サービス
https://www.jsh-japan.jp/overview/visit/

精神科訪問看護サービス
https://www.jsh-japan.jp/overview/homecare/

訪問看護ステーション コルディアーレ
https://www.jsh-japan.jp/cordiale/

株式会社JSH|決算説明資料
https://www.jsh-japan.jp/ir/presentations/

株式会社JSH|IRライブラリ
https://www.jsh-japan.jp/ir/library/

障害者の法定雇用率引上げと支援策の強化について|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/content/001064502.pdf

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