ディスコは何の会社?半導体製造装置の事業内容・強み・世界シェアを解説

ディスコは、半導体そのものを製造する会社ではありません。半導体ウェーハを切る・削る・磨くための精密加工装置と、装置に取り付ける消耗品を手掛ける半導体製造装置メーカーです。

ダイシングソーやグラインダなどで高い世界シェアを持ち、AI半導体やHBMの生産にも欠かせない存在となっています。

本記事では、ディスコの事業内容、主力製品、半導体製造工程での役割、収益構造を解説します。

▼公式サイトはこちら

楽天証券

目次

ディスコは何の会社?

ディスコは何の会社?

ディスコは、半導体や電子部品などを高精度に加工する装置とツールを開発・製造・販売する会社です。

特に、半導体ウェーハをチップごとに切り分けるダイシングソーや、ウェーハを薄く削るグラインダで高い競争力を持っています。

項目内容
会社名株式会社ディスコ
証券コード6146
上場市場東証プライム
創業1937年
本社東京都大田区
主な事業精密加工装置・精密加工ツールの製造販売
主な製品ダイシングソー、レーザソー、グラインダ、ポリッシャ
中核技術切る・削る・磨く
主な顧客半導体メーカー、ファウンドリ、OSATなど
世界シェアダイシングソー、グラインダ・ポリッシャで推定7〜8割

※世界シェアはディスコによる推定値です。

ディスコは半導体そのものを製造する会社ではない

ディスコは、半導体チップを設計したり、自社工場で半導体を量産したりする会社ではありません。

半導体メーカーやファウンドリ、OSATなどが工場で使用する精密加工装置を提供する半導体製造装置メーカーです。

TSMCは他社から受託して半導体を製造するファウンドリ、キオクシアやSKハイニックスはメモリ半導体を製造する企業です。一方、ディスコは、これらの企業が半導体を生産する際に使用する装置や加工ツールを提供する立場にあります。

主な顧客には、次のような企業が含まれます。

  • 半導体メーカー
  • 半導体受託製造会社
  • 後工程を請け負うOSAT
  • シリコンウェーハメーカー
  • 電子部品メーカー

ディスコは装置を販売するだけでなく、装置に取り付けるブレードやホイール、加工条件の提案、保守サービスまで提供しています。

装置と消耗品、加工ノウハウを組み合わせて提供できる点が、一般的な装置メーカーとは異なる特徴です。

「切る・削る・磨く」に特化した精密加工装置メーカー

ディスコは、事業領域を「高度なKiru・Kezuru・Migaku」に限定しています。

半導体製造装置メーカーのなかには、成膜、洗浄、エッチング、検査など幅広い工程を手掛ける企業もあります。一方、ディスコは半導体や電子部品を高精度に切断し、薄く削り、表面を滑らかに磨く技術へ経営資源を集中しています。

主な加工内容は次のとおりです。

  • ウェーハをチップごとに小さく切り分ける
  • ウェーハの裏面を削って薄くする
  • 加工後の表面を平坦に磨く
  • 顧客の素材に合った加工条件を設計する

半導体は高性能化するほど薄型化や微細化が進み、加工の難易度も上がります。わずかな割れや欠けでも歩留まりが低下するため、マイクロメートル単位の加工精度が求められます。

ディスコの前身は、1937年に創業した工業用砥石メーカーの第一製砥所です。砥石の製造で培った加工技術を基盤として、1960年代から精密加工装置へ事業を拡大しました。

現在も事業領域をむやみに広げず、「切る・削る・磨く」という限られた分野を深く追求しています。

半導体製造工程でディスコは何をしている?

半導体製造工程でディスコは何をしている?

ディスコの製品は、シリコンウェーハの製造から、回路形成後の薄化、チップごとの切り分けまで、複数の工程で使用されます。

製造段階加工内容主な製品役割
ウェーハ製造表面を削る・磨くグラインダ・ポリッシャ平坦で高品質なウェーハを作る
前工程の終盤ウェーハ裏面を薄く削るグラインダ半導体を薄型化する
ストレスリリーフ加工面を仕上げるポリッシャ強度を回復させる
後工程チップごとに切り分けるダイシングソー・レーザソー個々の半導体チップにする

ディスコは後工程に強い企業として知られていますが、製品によってはウェーハ製造工程や前工程の終盤でも使用されます。

ウェーハを薄く削る

半導体製造では、円盤状のシリコンウェーハ表面に多数の回路を形成した後、ウェーハの裏側を削って薄くします。

この工程で使用されるのが、ディスコのグラインダです。

半導体チップを薄くすることで、スマートフォンや電子機器の小型化が可能になります。AI半導体やHBMでも、複数のチップを限られた厚さのなかに収めるため、ウェーハを薄く削る加工技術が重要です。

特にHBMは、複数のDRAMチップを縦方向に積み重ねる構造です。積層数が増えるほど1枚あたりのチップを薄くする必要があり、加工精度への要求も高まります。

ウェーハを薄くしすぎると、割れや反りが発生しやすくなります。ディスコは、ウェーハを薄く削りながら、破損を抑える装置と加工条件を提供しています。

ウェーハを滑らかに磨く

グラインダでウェーハを削ると、加工面には細かな傷やダメージが残ります。

こうしたダメージを除去し、表面を滑らかに仕上げる装置がポリッシャです。

研削後の加工面を磨くことで、次のような効果が期待できます。

  • 表面を平坦に整える
  • 微細な傷や加工ダメージを取り除く
  • ウェーハやチップの強度を高める
  • 割れや欠けの発生を抑える
  • 後工程の歩留まりを改善する

半導体チップが薄くなるほど、わずかな加工ダメージでも強度へ影響しやすくなります。そのため、削る工程だけでなく、加工後の表面を仕上げる研磨工程も重要です。

ディスコはグラインダとポリッシャの両方を手掛けているため、研削から研磨までを組み合わせた加工方法を提案できます。

ウェーハをチップごとに切り分ける

回路が形成された円盤状のウェーハ上には、多数の半導体チップが並んでいます。

製造工程の終盤では、ウェーハを一つひとつのチップへ切り分ける必要があります。この工程がダイシングです。

ディスコは、主に次の2つの方式に対応しています。

  • 薄いブレードで切断するダイシングソー
  • レーザーを使って加工するレーザソー

切断時にチップが割れたり、端が欠けたりすると、不良品の増加につながります。また、切断する幅が広すぎると、1枚のウェーハから製造できるチップ数が減少します。

そのため、狭い切断幅で正確に切り分ける技術が歩留まりを左右します

ディスコは、マイクロメートル単位で切断位置や寸法を制御する技術を持ち、ウェーハを5マイクロメートル水準まで薄く加工できると説明しています。

ディスコの主な製品

ディスコの主な製品

ディスコの製品は、装置本体である精密加工装置と、装置に取り付けて使用する精密加工ツールに分けられます。

製品分類主な役割特徴
ダイシングソー精密加工装置ウェーハをチップに切断ブレードを使用
レーザソー精密加工装置レーザーで切断・加工非接触加工に対応
グラインダ精密加工装置ウェーハを薄く削るHBMや薄型チップで重要
ポリッシャ精密加工装置加工面を磨くダメージ除去・平坦化
ダイシングブレード精密加工ツールウェーハを切断使用に伴って交換
グラインディングホイール精密加工ツールウェーハを研削装置稼働に応じて消費

ダイシングソー

ダイシングソーは、高速回転する薄いブレードを使い、ウェーハをチップごとに切り分ける装置です。

半導体製造の個片化工程で使用され、切断位置や切断幅、加工速度などを高い精度で制御します。

切断精度が低いと、次のような問題が発生します。

  • チップの端が欠ける
  • ウェーハにひびが入る
  • 回路部分を傷つける
  • 切断幅が広がる
  • 良品率が低下する

ディスコは装置本体だけでなく、切断に使用するダイシングブレードも自社で開発しています。

装置、ブレード、加工条件を一体で最適化できることが強みであり、ダイシングソーは世界シェアの高い主力製品です。

レーザソー

レーザソーは、ブレードではなくレーザーを使って半導体や電子部品を加工する装置です。

素材に直接ブレードを接触させない加工方式にも対応できるため、薄いウェーハや割れやすい素材、複雑な構造を持つ半導体などで使用されます。

レーザ加工の主な特徴は次のとおりです。

  • 狭い幅で加工しやすい
  • ブレードでは難しい素材に対応できる
  • 非接触で加工できる
  • 薄型ウェーハへの負荷を抑えられる
  • 複雑な形状や高精度加工に対応しやすい

半導体の微細化や高性能化、先端パッケージングの普及によって、レーザー加工の適用範囲は広がっています。

ディスコのレーザソーは2020年以降に出荷ペースが加速し、2026年2月に累計出荷4,000台を突破しました。

グラインダ・ポリッシャ

グラインダは、ウェーハの裏面を削って薄くする装置です。ポリッシャは、研削後の表面に残ったダメージを取り除き、平坦に仕上げる装置です。

両製品は、次のような用途で重要性が高まっています。

  • HBMの多段積層
  • AI半導体
  • 先端パッケージング
  • 薄型スマートフォン
  • パワー半導体
  • チップレット

半導体を薄く削るほど、ウェーハの反りや割れが発生しやすくなります。そのため、装置の性能だけでなく、砥石の種類、回転速度、加工時の圧力などを細かく調整する必要があります。

ディスコは装置だけを販売するのではなく、顧客の素材や用途に合わせた加工条件も提供しています。

研削装置と研磨装置を組み合わせて提案できることも、高い競争力につながっています。

精密加工ツール

精密加工ツールは、ダイシングソーやグラインダ、ポリッシャへ取り付けて使用する消耗品です。

主な製品には、次のようなものがあります。

  • ダイシングブレード
  • グラインディングホイール
  • ドライポリッシングホイール

ダイシングブレードはウェーハを切断するための薄い砥石です。グラインディングホイールは、ウェーハを薄く削るために使用します。

これらのツールは使用するほど摩耗するため、定期的な交換が必要です。そのため、装置を販売した後も、顧客工場が稼働する限り継続的な需要が発生します。

新規装置の販売が一時的に減速しても、既存装置が稼働していれば、精密加工ツールが一定の収益を生み出します

ただし、完全に安定した売上ではありません。顧客工場の稼働率が低下すれば、ブレードやホイールの使用量も減少します。

ディスコの事業構成

ディスコの事業構成

ディスコの売上は、装置本体だけに依存しているわけではありません。精密加工装置、精密加工ツール、保守サービスなどを組み合わせた事業構造となっています。

項目2026年度第1四半期の構成比
精密加工装置64%
精密加工ツール20%
その他16%
ダイサ33%
グラインダ26%
海外売上高比率90.8%
アジア売上高比率82%

※精密加工装置、精密加工ツール、その他、ダイサ、グラインダは出荷額ベース、地域別は売上高ベース。

2026年度第1四半期は、精密加工装置が出荷額の64%、精密加工ツールが20%を占めました。

地域別では海外売上高比率が90.8%となり、アジア地域が売上高の82%を占めています。

売上の中心は精密加工装置

ディスコの事業の中心は、ダイシングソーやグラインダなどの精密加工装置です。

2026年度第1四半期の出荷額構成では、ダイサが33%、グラインダが26%を占めました。両製品を合わせると、出荷額の約6割になります。

装置は1台あたりの販売金額が大きいため、販売台数の増減が四半期業績へ大きく影響します。

半導体メーカーが設備投資を増やせば装置需要は拡大しますが、半導体市況が悪化して設備投資を延期すれば、装置の出荷額が減少する可能性があります。

また、ディスコは装置を出荷した時点ではなく、原則として顧客の検収が完了した時点で売上高を計上します。

そのため、次のような時間差が発生します。

  • 装置を顧客へ出荷する
  • 顧客工場へ設置する
  • 動作確認や加工条件の調整を行う
  • 顧客が検収する
  • 売上高として計上する

出荷額が増えていても、検収の時期によっては売上高への反映が次の四半期になる場合があります。

ディスコの業績を確認する際は、売上高だけでなく出荷額も併せて見ることが重要です。

精密加工ツールが継続収益を生む

ダイシングブレードやグラインディングホイールなどの精密加工ツールは、使用に伴って摩耗する消耗品です。

顧客がディスコの装置を導入すると、その装置が稼働する間は交換用ツールの需要が続きます。

装置の累計設置台数が増えるほど、精密加工ツールを販売できる基盤も広がります。

この事業構造は、プリンター本体と交換用インクの関係に近いものです。

装置は顧客の設備投資によって販売額が大きく変動しますが、精密加工ツールには次のような特徴があります。

  • 装置販売後も需要が継続する
  • 半導体工場の稼働率に連動する
  • 装置の設置台数増加が販売基盤になる
  • 装置需要が弱い局面でも一定の下支えになる
  • 顧客との継続的な取引につながる

装置と消耗品を両方提供できることで、ディスコは装置の販売時だけでなく、顧客が半導体を量産する段階でも収益を得られます

ただし、半導体工場の稼働率が下がると精密加工ツールの消費量も減少するため、景気変動の影響を受けないわけではありません。

海外・アジア売上の比率が高い

ディスコの海外売上高比率は90.8%で、売上高の大部分を海外市場が占めています。

なかでも、2026年度第1四半期のアジア売上高比率は82%でした。

台湾、中国、韓国などのアジア地域には、世界有数の半導体メーカーやファウンドリ、メモリメーカー、OSATが集中しています。

ディスコの装置や精密加工ツールは、こうした半導体生産拠点で使用されています。

海外売上の比率が高いことで、次のようなメリットがあります。

  • 世界の半導体需要を取り込める
  • AI・HBM投資の恩恵を受けやすい
  • 大手半導体メーカーとの取引機会が増える
  • 円安時に円換算売上が増えやすい

一方で、海外売上の比率が高いことはリスクにもなります。

  • 円高による円換算売上の減少
  • 米国の対中半導体規制
  • 中国向け設備投資の減速
  • 台湾周辺の地政学リスク
  • 各国の関税や輸出規制

ディスコの業績を判断する際は、国内の半導体需要だけでなく、台湾・中国・韓国を中心としたアジアの設備投資動向を確認する必要があります。

ディスコの世界シェアはどのくらい?

ディスコの世界シェアはどのくらい?

ディスコは、半導体ウェーハを切断するダイシングソーと、薄化・平坦化に使われるグラインダ・ポリッシャで高い世界シェアを持っています。

会社による推定では、いずれの製品も世界シェアは約7〜8割です。

製品世界シェア備考
ダイシングソー7〜8割ディスコ推定
グラインダ・ポリッシャ7〜8割ディスコ推定

ダイシングソーで世界シェア7〜8割

ダイシングソーは、回路が形成されたウェーハを一つひとつの半導体チップへ切り分ける装置です。

半導体製造の個片化工程で使用され、切断精度が製品品質や歩留まりを大きく左右します。

切断時にチップの端が欠けたり、ウェーハにひびが入ったりすると、不良品の増加につながります。また、切断幅が広くなると、1枚のウェーハから製造できるチップ数が減少します。

そのため、半導体メーカーは次のような性能を重視します。

  • 狭い幅で正確に切断できる
  • 割れや欠けを抑えられる
  • 高速で安定した量産ができる
  • 素材やチップ構造に合わせて加工条件を調整できる
  • 装置の稼働率を高く維持できる

ディスコは長年にわたって世界各地の半導体工場へ装置を納入しており、量産現場での実績を積み重ねています。

半導体の量産ラインでは、一度採用した装置を別メーカーへ簡単に変更できるわけではありません。装置を変更すると、加工条件の再設定や品質評価、量産ラインでの検証が必要になるためです。

さらに、ディスコは装置本体だけでなく、切断に使用するダイシングブレードも自社で開発しています。

装置、ブレード、加工条件を一体で提供できる総合力が、高い世界シェアと顧客からの信頼につながっています。

グラインダ・ポリッシャでも世界シェア7〜8割

グラインダはウェーハを薄く削る装置、ポリッシャは研削後の加工面を滑らかに仕上げる装置です。

スマートフォンやAI半導体の小型化に加え、複数の半導体チップを積み重ねるHBMや先端パッケージングの普及によって、薄化技術の重要性が高まっています。

ウェーハは薄く削るほど、次のような問題が起こりやすくなります。

  • ウェーハが割れる
  • 表面に細かな傷が残る
  • ウェーハが反る
  • チップの強度が低下する
  • 後工程で不良が発生する

特にHBMでは、限られた厚さのなかに複数のメモリチップを積層する必要があります。積層数が増えるほど1枚のチップを薄くする必要があり、加工難易度も上昇します。

ディスコは、グラインダで薄く削る工程と、ポリッシャで加工ダメージを取り除く工程を組み合わせて提案できます。

装置だけでなく、グラインディングホイールや加工条件も含めて最適化できるため、薄型化が進む高性能半導体ほど技術力の差が表れやすくなります

AI半導体、HBM、チップレットなどの普及は、グラインダ・ポリッシャの需要を押し上げる要因です。

世界シェアは会社による推定値

ディスコの公式情報では、ダイシングソーとグラインダ・ポリッシャの世界シェアを、それぞれ「7、8割と捉えている」と説明しています。

この数値は、市場調査会社が公表した確定値ではなく、ディスコ自身による推定値です。

世界シェアは、対象となる製品の範囲や集計年度によって変動する可能性があります。

例えば、ダイシングソーだけを対象にするのか、レーザソーなどを含めるのかによっても市場の定義は変わります。グラインダとポリッシャを合算するか、個別に集計するかでも数値は異なります。

【PR】少額から投資を始めたい方は、楽天ポイントが使えて1株から購入できる楽天証券がおすすめ

少額から投資を始めたい方は、楽天ポイントが使えて1株から購入できる楽天証券がおすすめ

「興味のある企業に投資してみたいけれど、いきなり大きな金額を投じるのは不安」と感じる方も多いのではないでしょうか。

通常、日本株は100株単位で取引するため、銘柄によっては購入にまとまった資金が必要です。

楽天証券の「かぶミニ®」なら、対象の国内株式を1株から購入できます。
さらに、普段の買い物や楽天グループのサービスで貯めた楽天ポイントを、国内株式の購入代金に利用できます

例えば、貯まった楽天ポイントに少額の現金を組み合わせて、気になる企業の株を1株ずつ買い増していくことも可能です。

まとまった資金を一度に用意する必要がないため、投資初心者でも無理のない金額から個別株投資を始められます。

すでに別の証券会社を利用している場合でも、楽天ポイントを活用して少額投資を行うためのサブ口座として使い分けられるので、この機会に口座開設を検討してみてはいかがでしょうか。

▼公式サイトはこちら

楽天証券

ディスコの強み

ディスコの強みは、単に世界シェアが高いことだけではありません。

特定の加工技術へ経営資源を集中し、装置、消耗品、加工ノウハウを一体で提供することで、競合他社が簡単に追随しにくい事業構造を築いています。

強み内容
ニッチ分野の世界シェア切断・研削・研磨に集中
装置とツールの一体提供加工条件まで最適化
消耗品の継続収益装置稼働に応じて販売
アプリケーション技術顧客素材に合う加工方法を提案
高い収益性高付加価値製品と参入障壁
グローバル対応世界の半導体生産拠点を支援

「切る・削る・磨く」へ経営資源を集中

ディスコは、半導体製造装置のあらゆる工程へ事業を広げるのではなく、「切る・削る・磨く」という限られた領域へ経営資源を集中しています。

半導体製造装置には、成膜、エッチング、洗浄、検査、露光など幅広い分野があります。

ディスコは総合的な装置メーカーを目指すのではなく、精密加工の技術を長期間にわたって深く追求してきました。

特定分野へ集中することで、次のようなメリットが生まれます。

  • 研究開発費を特定技術へ集中できる
  • 加工データや顧客事例を蓄積できる
  • 装置とツールを同時に改良できる
  • 難易度の高い加工へ対応しやすい
  • 顧客との長期的な関係を構築できる

半導体が高性能化するほど、ウェーハは薄くなり、切断幅も狭くなります。加工条件が厳しくなるほど、長期間蓄積した技術やノウハウの差が表れやすくなります。

ディスコは、狭い市場で圧倒的な競争力を確立するニッチトップ戦略によって、高い世界シェアを獲得しています。

高いシェアによって得た利益を研究開発へ再投資し、さらに製品性能を高める循環も強みです。

装置・ツール・加工ノウハウを一体で提供

ウェーハを正確に切ったり、薄く削ったりするには、性能の高い装置を導入するだけでは不十分です。

素材の種類、ウェーハの厚さ、回路構造、加工速度などに応じて、使用するツールや装置の設定を細かく調整する必要があります。

ディスコは、次の3つを組み合わせて提供しています。

  • ダイシングソーやグラインダなどの精密加工装置
  • ブレードやホイールなどの精密加工ツール
  • 顧客の素材に合わせたアプリケーション技術

例えば、同じダイシングソーを使用しても、ブレードの素材や厚さ、回転速度、切断時の水量によって加工結果は変わります。

グラインダでも、ウェーハの素材や目標とする厚さに応じて、ホイールの種類や圧力を調整する必要があります。

ディスコは顧客から加工対象となる素材を預かり、テスト加工を実施したうえで、適切な装置、ツール、加工条件を提案します。

このように、製品を販売するだけでなく、顧客が量産できる加工方法まで提供するトータルソリューションが最大の強みです。

消耗品が安定収益につながる

ディスコが販売するダイシングブレードやグラインディングホイールは、装置の稼働に伴って摩耗する消耗品です。

半導体メーカーが装置を導入した後も、量産を続ける限り交換用ツールの需要が発生します。

装置の累計設置台数が増えるほど、精密加工ツールを販売できる顧客基盤も広がります。

消耗品事業には、次のような特徴があります。

  • 装置販売後も売上が継続する
  • 半導体の生産量が増えるほど使用量も増える
  • 顧客との継続的な取引につながる
  • 新規装置の販売減速を一部補える
  • 装置とツールの組み合わせで顧客を維持しやすい

装置売上は半導体メーカーの設備投資に左右され、四半期ごとの変動が大きくなる場合があります。

一方、既存装置が稼働していれば消耗品の需要は続くため、精密加工ツールが装置事業の変動を一部緩和します

ただし、完全なストック型収益ではありません。半導体工場の稼働率が低下すれば、ブレードやホイールの使用量も減少します。

高い営業利益率

ディスコの2026年度第1四半期は、営業利益率が42.9%、経常利益率が42.4%となりました

製造業として非常に高い利益率を実現できている背景には、次のような要因があります。

  • 高付加価値な精密加工装置
  • ダイシングソーなどの高い世界シェア
  • 装置と消耗品の一体販売
  • 加工ノウハウを含めた提案力
  • 価格競争に巻き込まれにくい参入障壁
  • AI・HBM向け製品の増加

ディスコの装置は、半導体工場の生産性や歩留まりに直結します。

装置価格が安くても、不良品が増えたり、生産ラインが停止したりすれば、半導体メーカーにとっては大きな損失になります。そのため、価格だけでなく、量産実績や信頼性、サポート体制が重視されます。

高い世界シェアと量産実績によって単純な価格競争を避けやすいことが、40%を超える営業利益率につながっています

高い収益力によって、研究開発や生産能力の増強へ資金を再投資できる点も競争力を支えています。

ディスコと他の半導体企業の違い

ディスコと他の半導体企業の違い

半導体関連企業は、材料、製造装置、半導体製造など、それぞれ異なる役割を担当しています。

ディスコは、半導体ウェーハを切断・研削・研磨する装置と加工ツールに特化した企業です。

企業主な事業ディスコとの違い
ディスコ切断・研削・研磨装置、加工ツール特定の精密加工工程に集中
東京精密ダイシング、研削、プロービング、精密測定一部製品で直接競合
東京エレクトロン成膜、塗布・現像、エッチング、洗浄など前工程装置を幅広く展開
SUMCOシリコンウェーハ装置ではなく半導体材料
TSMC半導体受託製造装置を使ってチップを製造する顧客側

同じ半導体関連株として株価が連動することはありますが、各社では業績を左右する製品や需要が異なります

最大の競合は東京精密

国内企業のなかで、ディスコと競合する代表的な企業が東京精密です。

東京精密は、半導体製造装置として次のような製品を展開しています。

  • ダイシングマシン
  • ポリッシュ・グラインダ
  • プロービングマシン
  • ウェーハ検査装置

ダイシングマシンやポリッシュ・グラインダは、ディスコのダイシングソー、グラインダ・ポリッシャと競合します。

一方、東京精密は半導体製造装置だけでなく、三次元座標測定機や表面粗さ測定機などの精密測定機器も手掛けています。

ディスコは、事業領域を切断・研削・研磨に集中し、装置だけでなくブレードやホイールなどの精密加工ツールも主力事業としています。

両社を比較する際は、売上高や時価総額などの会社規模だけでなく、競合する製品ごとのシェアや技術力を見ることが重要です。

東京エレクトロンとは担当工程が異なる

東京エレクトロンも半導体製造装置メーカーですが、ディスコとは主に担当する工程が異なります。

東京エレクトロンは、半導体ウェーハ上に回路を形成する前工程で使用される装置を幅広く展開しています。

主な製品分野は次のとおりです。

  • 成膜
  • 塗布・現像
  • エッチング
  • 洗浄
  • 熱処理
  • ウェーハ検査

一方、ディスコはウェーハを薄く削る工程、加工面を磨く工程、チップごとに切り分ける工程に強みを持っています。

両社は同じ半導体製造装置メーカーに分類されますが、競合する製品は限定的です。

半導体工場では、東京エレクトロンの装置で回路形成などを行い、その後の薄化や個片化にディスコの装置を使用する場合があります。

半導体株全体への資金流入や設備投資の変化によって株価が連動することはありますが、製品構成や収益構造は大きく異なります

AI・HBMでディスコが注目される理由

生成AIの普及によって、高性能なGPUやHBM、先端パッケージングへの投資が拡大しています。

半導体の性能を高めるには、チップを薄く加工し、高精度で切り分けて積層する必要があります。そのため、ディスコの研削・研磨・切断技術への需要が高まっています

HBMではウェーハを薄く削る必要がある

HBMは、複数のDRAMチップを縦方向に積み重ね、高速かつ大容量のデータ処理を実現するメモリです。

限られた厚さのなかに複数のチップを収めるため、積層前に1枚ずつ薄く加工する必要があります。

この薄化工程で使用されるのが、ディスコのグラインダです。

HBMの積層数が増えるほど、次のような技術的な課題が大きくなります。

  • 1枚あたりのチップを薄くする
  • ウェーハの割れを防ぐ
  • 反りを抑える
  • 加工面のダメージを減らす
  • 均一な厚さに仕上げる

ウェーハを薄く削るだけでなく、加工後にポリッシャで表面を整え、チップの強度を維持することも重要です。

HBMの高性能化と多段化は、グラインダやポリッシャなどの高付加価値装置の需要拡大につながります。

先端パッケージングで切断・研削工程が高度化する

先端パッケージングでは、GPU、HBM、チップレットなど、異なる半導体を一つのパッケージ内に組み合わせます。

複数の小型チップを組み合わせるため、それぞれを高精度に切り分け、薄く加工する必要があります。

加工対象もシリコンだけではなく、樹脂、ガラス、化合物半導体などへ広がっています。素材ごとに硬さや割れやすさが異なるため、加工条件も複雑になります。

先端パッケージングの普及によって、次のような需要が拡大する可能性があります。

  • 小型チップを正確に切断するダイシングソー
  • 薄いウェーハを加工するグラインダ
  • 加工ダメージを取り除くポリッシャ
  • 非接触加工ができるレーザソー
  • 素材に合ったブレードやホイール

特にレーザー加工は、ブレードでは加工が難しい素材や、狭い加工幅が求められる用途で採用が広がる可能性があります。

加工対象や構造が複雑になるほど、装置性能だけでなく、ディスコが蓄積してきた加工ノウハウの重要性も高まります

装置だけでなく精密加工ツールにも恩恵

AI半導体やHBMの生産が増加すると、装置の新規販売だけでなく、精密加工ツールの需要も増加します。

半導体工場の稼働率が上がれば、ウェーハを切断するダイシングブレードや、薄く削るグラインディングホイールの消費量も増えるためです。

AI・HBM需要は、次の2段階でディスコの業績に波及します。

  1. 半導体メーカーが設備投資を増やし、装置の販売が増える
  2. 導入した装置が稼働し、交換用ツールの販売が増える

2026年度第1四半期は、生成AI向けを中心にIC向け装置の販売が増加しました。半導体工場の高い稼働率を背景に、精密加工ツールの売上高も過去最高を更新しています。

装置の販売後も消耗品需要が続くため、AI・HBM市場の拡大は精密加工装置と精密加工ツールの双方に恩恵をもたらします。

ディスコの弱み・リスク

ディスコは高い世界シェアと利益率を持つ一方、半導体設備投資や海外市場への依存度が高い企業です。

投資判断では成長性だけでなく、半導体市況、地域集中、技術変化、為替のリスクも確認する必要があります。

半導体メーカーの設備投資に左右される

ディスコの精密加工装置は、半導体メーカーやファウンドリ、OSATなどの設備投資によって需要が変動します。

AI・HBM向け需要が好調でも、スマートフォン、PC、一般的なメモリなどの需要が減速すれば、顧客が装置の導入を先送りする可能性があります。

半導体市況が悪化した場合に起こり得る変化は次のとおりです。

  • 装置の新規発注が減少する
  • 顧客が納入時期を延期する
  • 工場の建設計画が見直される
  • 出荷額が減少する
  • 売上高や利益が四半期ごとに変動する

装置は1台あたりの販売金額が大きいため、出荷や検収時期のずれによって四半期業績も大きく変動します。

消耗品である精密加工ツールが一定の下支えになりますが、顧客工場の稼働率が低下すれば、ツールの販売も減少します。

そのため、精密加工ツールだけで装置需要の減少を完全に補うことはできません

アジアへの売上集中

ディスコの2026年度第1四半期は、アジア地域が売上高の82%を占めました。

台湾、中国、韓国には、世界有数のファウンドリ、メモリメーカー、OSATが集中しています。ディスコが世界の半導体需要を取り込むうえで、アジアは重要な市場です。

一方、地域集中には次のようなリスクがあります。

  • 米国の対中半導体輸出規制
  • 中国企業への制裁強化
  • 中国向け設備投資の減速
  • 台湾周辺の地政学リスク
  • 韓国のメモリ投資減速
  • 関税や輸出管理の強化

売上高を計上した地域と、最終顧客の国籍や本社所在地が一致するとは限りません。

例えば、米国企業向けの装置でも、台湾や韓国の生産拠点へ納入すれば、アジア売上として計上される場合があります。

そのため、地域別売上高を見る際は、販売地域だけで顧客構成を断定しないことが重要です。

特定の加工工程への集中

「切る・削る・磨く」への集中は、ディスコの高い技術力と世界シェアを生み出した強みです。

一方、事業領域が特定の加工工程に集中しているため、技術や製造方法が大きく変化した場合の影響を受けやすい面もあります。

考えられるリスクは次のとおりです。

  • ブレードを使用しない加工方式への移行
  • 新しい半導体材料の普及
  • 顧客による製造工程の変更
  • 装置を使わない新しい個片化技術の登場
  • 新素材への対応の遅れ
  • 競合企業による新技術の開発

半導体の素材や構造が変化すれば、現在の装置やツールをそのまま使用できない可能性があります。

ディスコは新素材や新しい加工方法への研究開発を続けていますが、特定工程への集中は事業分散が小さいというリスクにもなります。

為替の影響

ディスコは海外売上高比率が高いため、為替相場の影響を受けます。

円安になると、ドルやその他の外貨で得た売上・利益を円へ換算した金額が増えやすくなります。反対に円高が進むと、円換算後の売上高や利益を押し下げる可能性があります。

為替の動き業績への主な影響
円安海外売上の円換算額が増えやすい
円高海外売上の円換算額が減りやすい

ただし、円安によって売上高が増えていても、装置の販売台数や需要が伸びているとは限りません。

反対に円高によって円換算売上が減少しても、出荷台数や顧客需要が増えている場合があります。

ディスコの業績を確認する際は、為替による増減と実際の装置需要を分けて判断することが重要です。

▼公式サイトはこちら

楽天証券

まとめ

ディスコは半導体そのものを製造する会社ではなく、ウェーハを切る・削る・磨く精密加工装置メーカーです。

ダイシングソーとグラインダ・ポリッシャでは、会社推定で世界シェア7〜8割を持ちます。装置、消耗品、加工ノウハウを一体で提供できることが強みです。

AI半導体やHBMの薄化・積層化は追い風ですが、半導体メーカーの設備投資、アジアへの売上集中、為替変動などには注意が必要です。

出典

会社概要|株式会社ディスコ
https://www.disco.co.jp/jp/corporate/outline/index.html

社史|株式会社ディスコ
https://www.disco.co.jp/jp/corporate/history/index.html

よくあるご質問|株式会社ディスコ
https://www.disco.co.jp/jp/ir/faq/

事業を知る|株式会社ディスコ
https://www.disco.co.jp/recruit/business/

技術の紹介|株式会社ディスコ
https://www.disco.co.jp/recruit/business/technology/

製品情報|株式会社ディスコ
https://www.disco.co.jp/jp/products/index.html

用語解説|株式会社ディスコ
https://www.disco.co.jp/jp/ir/term/index.html

テストカットサポート|株式会社ディスコ
https://www.disco.co.jp/jp/solution/testcut/index.html

2027年3月期 第1四半期 決算説明資料|株式会社ディスコ
https://www.disco.co.jp/jp/ir/library/doc/film/20260723.pdf

レーザソーの累計出荷台数が4,000台を突破|株式会社ディスコ
https://www.disco.co.jp/jp/news/corp/20260302.html

有価証券報告書等|株式会社ディスコ
https://www.disco.co.jp/jp/ir/library/fs.html

半導体製造装置|株式会社東京精密
https://www.accretech.com/jp/product/semicon/index.html

事業紹介|株式会社東京精密
https://www.accretech.com/jp/company/business.html

製品・サービス|東京エレクトロン株式会社
https://www.tel.co.jp/product/all/

会社概要|株式会社SUMCO
https://www.sumcosi.com/corporate/profile.html

シリコンウェーハ製品情報|株式会社SUMCO
https://www.sumcosi.com/products/

Company Info|Taiwan Semiconductor Manufacturing Company
https://www.tsmc.com/english/aboutTSMC/company_profile

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメントする

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

目次