ヤマハ発動機(7272)は、2026年8月4日の中間決算で通期業績予想を大幅に上方修正し、株価が急騰しています。好決算を見ると「業績が良いなら今から買ってもいいのでは」と考えたくなる一方、短期間で株価が大きく上昇したことで、「さすがに高くなりすぎたのでは」「少し待った方がいいのでは」と迷う人も多いでしょう。
現在のヤマハ発動機を判断するときに重要なのは、株価の上昇率だけを見ることではありません。株価が上昇した以上に利益予想が引き上げられているため、PERではむしろ割安感が強まった一方、配当利回りやPBRでは以前のような割安感が薄れています。同じ株価でも、どの指標を重視するかで評価が変わる状況です。
本記事では、2026年8月5日時点の株価と最新の会社予想を基準に、PER・PBR・配当利回り、株主優待、業績回復、アナリスト目標株価、買い時の価格帯まで詳しく整理します。なお、株価は日々変動するため、本文中の株価指標は2026年8月5日時点の1,803円を基準に計算しています。

ヤマハ発動機の株は買うべき?

結論から見ると、ヤマハ発動機は業績面では買い候補としての魅力が大きく高まっています。2026年上期は二輪車を中心に利益が大幅に伸び、会社は通期営業利益予想を1,800億円から2,600億円へ引き上げました。会社予想EPSも103.05円から175.16円へ約70%増えています。
一方で、8月4日・5日の2営業日で株価は大きく上昇しました。8月3日終値1,332.5円から8月5日の1,803円まで約35%上昇しており、短期的には利益確定売りや値幅調整が起きても不思議ではありません。
そのため、現在の評価は「業績が良いから無条件に買い」でも「急騰したから割高で買えない」でもありません。ファンダメンタルズでは買い候補に入りやすい一方、買い時としては急騰直後を追いかけるより、株価の値固めや押し目を待つ選択も十分合理的という位置付けです。
好決算で投資対象としての魅力は高まった
2026年上期の売上収益は1兆4,980億円で前年同期比17.2%増、営業利益は1,585億円で同88.6%増、親会社帰属利益は1,139億円で同114.7%増となりました。売上の増加率以上に利益が伸びており、販売数量の増加、価格適正化、経費削減、円安などが収益性を押し上げています。
さらに会社は、通期の売上収益予想を2兆7,000億円から2兆9,000億円、営業利益を1,800億円から2,600億円、親会社帰属利益を1,000億円から1,700億円へ上方修正しました。利益予想がここまで大きく変わったことで、株式市場がヤマハ発動機の適正株価を見直しているのが現在の局面です。
「良い会社」と「今の価格が安い」は分けて考える
株式投資では、会社の業績が良いかどうかと、今の株価が買いやすいかどうかは別問題です。利益が伸びる会社でも、株価が将来の成長を過度に織り込めば投資リターンは低下します。逆に株価が上昇していても、利益予想がそれ以上に伸びれば割高感が薄れる場合があります。
ヤマハ発動機はまさに後者の要素を持っています。急騰によって配当利回りは低下しましたが、会社予想EPSが大幅に引き上げられたため、最新会社予想を使ったPERは約10倍です。したがって、株価チャートだけで「上がりすぎ」と判断せず、利益とのバランスを確認する必要があります。
ヤマハ発動機の現在の株価・投資指標
2026年8月5日時点の株価1,803円と、8月4日に会社が公表した最新の業績予想を使うと、主要な投資指標は次のようになります。
| 項目 | 水準 | 見方 |
|---|---|---|
| 株価 | 1,803円 | 8月5日時点 |
| 100株購入額 | 約18万300円 | 売買手数料等を除く |
| 会社予想EPS | 175.16円 | 2026年12月期予想 |
| 予想PER | 約10.3倍 | 最新会社予想EPSで計算 |
| 推定BPS | 約1,289円 | 2026年6月末親会社帰属持分から当サイト計算 |
| 推定PBR | 約1.40倍 | 最新中間決算の純資産で計算 |
| 年間配当予想 | 50円 | 中間25円・期末25円 |
| 予想配当利回り | 約2.77% | 50円÷1,803円 |
| 予想配当性向 | 約28.5% | 50円÷175.16円 |
投資情報サイトでは、実績PERが100倍を超えて表示される場合があります。これは2025年12月期の純利益が大幅に落ち込み、実績EPSが16.59円まで低下したためです。現在の投資判断では、過去実績だけでなく、8月4日に更新された2026年の会社予想EPS175.16円を使った予想PERも合わせて見る必要があります。
100株買うには約18万円必要
ヤマハ発動機の単元株数は100株です。株価1,803円なら、100株の購入に必要な資金は約18万300円です。2026年2月の年初来安値1,033円では約10万3,300円、7月上旬の1,200円台なら12万円台で購入できたため、必要資金は数カ月で大きく増えました。
ただし購入額が上がったこと自体は割高を意味しません。株価が上がった理由が利益成長に伴うものであれば、1株当たり利益との比較で判断する必要があります。
PERとは?ヤマハ発動機は利益に対して何倍まで買われている?
PER(株価収益率)は「株価÷1株当たり利益(EPS)」で計算し、企業が1年間に稼ぐ利益に対して株価が何倍まで評価されているかを見る指標です。
株価1,803円を最新会社予想EPS175.16円で割ると、予想PERは約10.3倍です。一般にPERが低いほど割安とされますが、業種、成長率、利益の安定性によって適正水準は異なります。ヤマハ発動機の場合、二輪・マリンという景気敏感性のある事業を持つため、成長株のような高PERが当然につく銘柄ではありません。
PBRとは?純資産から見ると以前より評価が上がった
PBR(株価純資産倍率)は「株価÷1株当たり純資産(BPS)」で計算し、会社が持つ純資産に対して株価が何倍まで評価されているかを見る指標です。
2026年6月末の親会社帰属持分1兆2,513億円と自己株式を除いた株式数から単純計算すると、BPSは約1,289円です。株価1,803円ならPBRは約1.40倍となります。
金融サイトによってはPBRが1.6倍前後と表示される場合がありますが、更新タイミングや使用するBPSが異なるためです。直近の中間決算で純資産が増加したため、最新の財務数値を使うとPBRはやや低くなります。いずれにしても、6~7月にPBR1倍前後だった時期と比べると、純資産面の割安感は明確に縮小しています。
配当利回りは約2.8%
2026年12月期の年間配当予想は50円で、中間25円・期末25円です。株価1,803円なら予想配当利回りは約2.77%です。
2026年前半には株価が1,100~1,200円台だった時期があり、50円配当を前提にすると4%前後の利回りで購入できました。現在は株価上昇によって配当利回りが2%台後半まで低下しており、純粋な高配当株としての魅力は以前より小さくなっています。
決算後に株価は急騰したがPERはむしろ低下
今回のヤマハ発動機で最も重要なのが、株価は大きく上昇したのに、会社予想ベースのPERはむしろ低下したことです。「株価が上がった=割高」というイメージを持ちやすい場面ですが、利益予想の変化まで見ると評価は変わります。
株価は8月3日から約35%上昇
決算発表前の8月3日終値は1,332.5円でした。8月4日は好決算と上方修正を受けて1,511円まで上昇し、8月5日15時08分には1,803円まで上昇しています。
8月3日からの上昇率は約35.3%です。2営業日で3割以上上昇しているため、短期的な過熱感を意識する投資家が出るのは自然です。
EPS予想は103.05円から175.16円へ約70%引き上げ
一方、8月4日の決算で会社予想EPSは103.05円から175.16円へ引き上げられました。増加率は約70.0%で、株価の上昇率約35%を大きく上回ります。
利益予想がここまで増えたのは、二輪車販売の好調、価格適正化、円安、経費削減、米国追加関税の還付や影響縮小などを反映し、親会社帰属利益予想を1,000億円から1,700億円へ引き上げたためです。
予想PERは約12.9倍から約10.3倍へ低下
決算前の8月3日終値1,332.5円を従来EPS103.05円で割ると、PERは約12.9倍でした。一方、8月5日15時08分の1,803円を新EPS175.16円で割ると約10.3倍です。
| 比較 | 決算前 | 決算後 |
|---|---|---|
| 株価 | 1,332.5円 | 1,803円 |
| 会社予想EPS | 103.05円 | 175.16円 |
| 予想PER | 約12.9倍 | 約10.3倍 |
株価は約35%上がったものの、EPS予想が約70%増えたため、利益に対する株価倍率は低下しました。現在の株価を「2日で上がりすぎたから割高」とだけ評価するのは不十分です。
ただし、PER10倍が必ず安いという意味でもありません。2026年の利益には円安や関税還付など外部要因も含まれるため、175.16円のEPSが2027年以降も維持・成長できるかが重要です。現在は「今年の利益だけなら割高感は小さいが、その利益の持続性を確認したい局面」と考えると分かりやすいでしょう。
ヤマハ発動機が買い候補になる理由
ヤマハ発動機を買い候補として検討できる理由は、単にPERが低いからではありません。2025年の業績悪化から二輪・マリン・ロボティクスが改善し、配当も回復するなど、企業価値を押し上げる材料が複数あります。
業績が2025年の低迷から大きく回復
2025年12月期は売上収益2兆5,342億円、営業利益1,264億円、親会社帰属利益161億円まで悪化しました。米国関税、調達コスト上昇、研究開発費・人件費の増加、OLV事業の減損などが利益を押し下げたためです。
これに対して2026年上期は営業利益1,585億円となり、半年だけで2025年通期の営業利益を上回りました。会社は通期営業利益2,600億円、親会社帰属利益1,700億円を予想しており、2025年の低迷から収益力が大きく戻る計画です。
インド・ASEANの二輪需要が強い
最大の成長ドライバーは二輪車です。2026年上期のランドモビリティ事業は売上収益9,846億円で前年同期比21.8%増、営業利益1,127億円で同89.8%増となりました。
新興国ではインド・ASEANの需要が大きく伸び、販売台数が増加しています。増益は数量増だけではなく、販売価格の適正化や円安も寄与しており、売上以上に利益が伸びています。
ヤマハ発動機の全社利益は二輪への依存度が高いため、インド・ASEANの成長が続けば業績を押し上げやすい構造です。逆に言えば、この地域の需要鈍化は最大の業績リスクでもあります。
マリン事業の収益性が改善
マリン事業も2026年上期は売上収益3,007億円、営業利益460億円となり、前年同期比で増収増益でした。米国の船外機需要はわずかに減少しているため、単純な北米需要の全面回復ではありません。
それでもアジアや中南米の販売増、販売費・一般管理費の削減、円安によって利益を伸ばしました。二輪だけでなく、高収益なマリンが回復していることは、全社の利益安定性を高める材料です。
年間配当が35円から50円へ回復
2025年12月期の年間配当は35円まで減少しましたが、2026年12月期は50円を予想しています。2024年の50円水準へ戻る形で、業績回復が株主還元にも反映されています。
現在株価では利回りが低下しているものの、会社が安定的・継続的な配当を掲げ、業績悪化後も配当をゼロにせず、回復局面で50円へ戻した点は長期投資家にとって評価材料です。
総還元性向40%以上を目安としている
ヤマハ発動機は2025~2027年の中期経営計画期間累計で、総還元性向40%以上を目安としています。総還元性向は配当だけでなく自己株式取得も含めて、利益のどの程度を株主へ返すかを見る指標です。
修正後EPS175.16円に対して年間配当50円なら、単純な配当性向は約28.5%です。中計期間累計で40%以上という方針を考えると、キャッシュフローや投資計画次第では自己株買いも今後の確認材料になります。
ロボティクスも黒字転換
ロボティクス事業は2026年上期に売上収益601億円、営業利益37億円となり、前年同期の15億円の営業損失から黒字転換しました。中国を中心にサーフェスマウンターが好調で、産業用ロボットも需要回復に伴って販売が増えています。
生成AIや先端パッケージ向けの半導体後工程需要も成長材料です。現時点では全社利益の柱ではありませんが、二輪・マリン以外の利益源へ育てば、将来的な評価倍率の引き上げにつながる可能性があります。
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業績が改善していても、現在の株価で買う際には注意点があります。特に8月4日・5日の急騰によって、数週間前まで存在していた「高配当・PBR1倍前後」という分かりやすい割安さはかなり解消されました。
短期間で株価が急騰している
8月3日終値1,332.5円から8月5日15時08分の1,803円まで、株価は2営業日で約35%上昇しています。好材料を評価した上昇とはいえ、短期的には決算前から保有していた投資家の利益確定売りが出やすい価格帯です。
ファンダメンタルズが良くても、急騰後にいったん10%前後調整することは珍しくありません。長期目線で企業価値を評価することと、短期的なエントリータイミングは分けて考える必要があります。
配当利回りは4%台から2%台後半へ低下
年間50円配当を前提とした場合、株価1,250円なら利回り4.0%、1,430円前後なら約3.5%、1,670円前後なら約3.0%です。現在の1,803円では約2.77%まで低下します。
したがって「高配当株としてヤマハ発動機を買いたい」という人にとって、現在価格は以前より魅力が小さいです。一方、配当だけでなく利益成長と株価上昇を狙う人は、PERや業績進捗を重視することになります。
PBRは1倍前後から約1.4倍へ上昇
6~7月には株価が1,200円台で推移し、PBRはおおむね1倍前後でした。当時は「会社の純資産価値に近い価格で買える」という分かりやすい割安感がありました。
最新中間決算の純資産から計算した現在のPBRは約1.40倍です。純資産面では市場の評価が大きく切り上がっており、PBRだけを見ると以前ほど安くありません。
円安による利益押し上げが大きい
2026年上期の平均為替レートは1ドル158円、1ユーロ185円でした。会社は円安を増益要因として挙げており、通期予想の前提も1ドル159円、1ユーロ182円とかなり円安水準です。
今後ドル円が150円台前半や140円台へ円高になれば、海外で稼ぐ利益の円換算額が減り、会社予想の前提が弱くなる可能性があります。二輪の販売増や価格改善が進んでいるため円安だけの好決算ではありませんが、為替が追い風だったことは割り引いて見る必要があります。
マリンの北米需要はまだ強くない
マリン事業は増益ですが、主力市場の米国で船外機需要はわずかに減少しています。ウォータービークルも市場需要はやや回復したものの、ヤマハ発動機の販売台数は前年を下回りました。
現在はアジア・中南米販売、経費削減、為替などで利益を伸ばしています。北米需要が回復すれば上振れ余地がありますが、逆に在庫調整や高金利が長引けば再び業績の重荷になる可能性があります。
OLV事業は依然として赤字
アウトドアランドビークル(OLV)事業は2026年上期も120億円の営業損失でした。前年同期の137億円赤字からは改善していますが、全社利益を押し下げる状態が続いています。
会社はROV事業などの構造改革を進め、下期には構造改革に伴う一過性費用も見込んでいます。赤字縮小が進めば将来の利益上積み要因になりますが、改革が計画どおり進まない場合はマイナス材料です。
ヤマハ発動機は割安?PER・PBR・配当利回りから判断
現在のヤマハ発動機は、どの指標を使うかで評価が異なります。PERでは極端な割高感はありませんが、PBRと配当利回りでは以前の割安感がかなり薄れています。一つの数字だけで判断しないことが重要です。
| 指標 | 現在の評価 | ポイント |
|---|---|---|
| 予想PER | 約10.3倍 | 最新EPSなら利益面の割高感は強くない |
| 推定PBR | 約1.40倍 | PBR1倍前後だった時期より評価上昇 |
| 配当利回り | 約2.77% | 高配当株としての魅力は低下 |
予想PER約10倍なら極端な割高感はない
修正後EPS175.16円が達成される前提なら、現在のPERは約10.3倍です。利益が2倍近く増える予想の企業としては、PERだけを見て極端な割高とは言いにくい水準です。
ただし2026年は2025年の低い利益からの回復年であり、円安や関税還付も追い風です。2027年に利益が横ばい・減益となれば、現在のPER10倍は見た目ほど安くありません。PERを評価するときは、175円前後のEPSを継続できるかまで見る必要があります。
PBRでは以前ほど割安ではない
最新中間決算を基準にした推定BPSは約1,289円で、現在のPBRは約1.40倍です。PBR1倍割れや1倍付近なら資産面から買いやすさがありますが、現在は業績改善を織り込んで純資産以上のプレミアムが付いています。
これは必ずしも悪いことではありません。ROEや利益率が改善すればPBR1倍超は自然です。問題は、1.4倍程度の評価に見合う収益力を2027年以降も維持できるかです。
配当利回りでは高配当株としての魅力が低下
年間50円の配当は2025年の35円から回復していますが、株価が大きく上昇したため利回りは2%台後半です。日本株の中で配当利回り4~5%を重視する投資家にとっては、現在のヤマハ発動機は高配当狙いだけで買う銘柄ではなくなっています。
今後の投資リターンは配当よりも、業績成長によるEPS増加と株価の再評価に依存する割合が高くなります。
アナリストの目標株価はどう見る?
2026年8月5日時点のみんかぶでは、証券アナリスト10人のコンセンサスは「中立」、平均目標株価は1,276円です。現在株価1,800円前後と比べると、大きく下回っています。
ただし、この数字をそのまま「1,800円は割高」と判断するのは慎重にした方がよいでしょう。同じページに掲載されているアナリストの2026年EPS予想は112.26円なのに対し、会社が8月4日に発表した最新EPS予想は175.15円です。
| 項目 | アナリスト予想 | 最新会社予想 |
|---|---|---|
| 売上収益 | 2兆7,791億円 | 2兆9,000億円 |
| 親会社帰属利益 | 1,089億円 | 1,700億円 |
| EPS | 112.26円 | 175.15円 |
会社予想とアナリスト予想には大きな差があります。決算翌日で各証券会社の目標株価や利益予想の更新が十分に反映されていない可能性もあれば、一部アナリストが会社予想の達成を慎重に見ている可能性もあります。
今の平均目標株価は参考にはなるものの、最新決算後の評価が出そろう前の過渡期の数字として扱うのが適切です。今後数週間で各証券会社がEPS予想や目標株価をどこまで引き上げるかは、株価の次の材料になり得ます。
配当・株主優待を目的に買うのはあり?
ヤマハ発動機は配当だけでなく株主優待も実施しているため、長期保有では両方を受け取れます。ただし2026年から優待条件が変わるため、短期保有で優待だけを狙う投資には向きにくくなっています。
2026年の年間配当は50円予想
配当は年2回で、中間25円・期末25円の年間50円を予定しています。2025年の35円から15円増える見通しです。
会社は業績見通しと成長投資を勘案しながら安定的・継続的に配当し、キャッシュフローに応じて機動的な株主還元を実施する方針です。中期経営計画期間累計の総還元性向は40%以上を目安としています。
株主優待は2026年12月期から1年以上の保有が必要
期末株主優待は、毎年12月31日時点で100株以上を保有する株主が対象です。ポイントを使って地域の名産品やヤマハ発動機関連サービスなどから優待品を選ぶ制度です。
ただし2026年12月期から制度が変更され、保有期間1年未満の株主は対象外になります。100株以上300株未満の場合、1年以上3年未満で1,000ポイント、3年以上で2,000ポイントです。
つまり現在新規に100株を購入しても、2026年12月末の優待をすぐ受け取れるわけではありません。優待目的で買う場合は、長期保有を前提に考える必要があります。
配当+優待より業績成長を主役に考えたい
株価1,800円前後では配当利回りが2%台後半で、優待も1年以上保有しなければ受け取れません。そのため現在のヤマハ発動機は、配当・優待だけを目的に買うというより、二輪・マリンの業績回復を主な投資理由とし、配当と優待を保有中の追加メリットとして考える方が自然です。
ヤマハ発動機の買い時を判断するポイント
買い時を考えるときは、「○○円なら必ず買い」という一つの価格ではなく、自分が配当・利益・純資産のどれを重視するかに応じて目安を持つ方が実用的です。以下は2026年の年間配当50円、会社予想EPS175.16円、最新中間決算から計算したBPS約1,289円が維持される前提での参考値です。
配当利回りから買い時を考える
| 株価 | 50円配当の利回り | 見方 |
|---|---|---|
| 1,000円 | 5.00% | 高配当目的ではかなり魅力的 |
| 1,250円 | 4.00% | 4%を狙う目安 |
| 約1,430円 | 約3.50% | 配当と成長を両立しやすい水準 |
| 約1,670円 | 約3.00% | 配当魅力はやや低下 |
| 1,800円 | 約2.78% | 業績成長を重視する価格帯 |
| 2,000円 | 2.50% | 高配当目的では物足りない |
配当利回り4%を重視するなら、50円配当では株価1,250円程度が目安です。3.5%なら約1,430円、3%なら約1,670円になります。現在1,800円前後で買う場合は、配当利回りよりも利益成長を評価する投資になります。
PERから買い時を考える
| 想定PER | EPS175.16円での株価目安 | 見方 |
|---|---|---|
| 8倍 | 約1,401円 | 利益面ではかなり低い評価 |
| 9倍 | 約1,576円 | 割安感を意識しやすい |
| 10倍 | 約1,752円 | 現在の利益水準を素直に評価 |
| 11倍 | 約1,927円 | 成長継続を一定程度織り込む |
| 12倍 | 約2,102円 | 利益持続への期待が必要 |
現在の株価1,800円前後は、修正後EPSを使えばPER10倍強に相当します。したがって最新会社予想をそのまま信頼するなら、利益面だけで著しく高い水準ではありません。
ただしPER表の前提はEPS175.16円です。円高や二輪販売鈍化などでEPSが150円へ下がれば、株価1,800円のPERは12倍まで上昇します。買い時の判断では、株価だけでなくEPS予想の変化を必ずセットで確認しましょう。
PBRから買い時を考える
| 想定PBR | BPS約1,289円での株価目安 | 見方 |
|---|---|---|
| 1.0倍 | 約1,289円 | 純資産に近く割安感が強い |
| 1.2倍 | 約1,547円 | 以前より評価されつつ割安感も残る |
| 1.4倍 | 約1,805円 | 現在に近い評価水準 |
| 1.5倍 | 約1,934円 | 業績改善をかなり評価 |
| 1.6倍 | 約2,063円 | 利益成長の継続が重要 |
PBRで見ると、現在は1.4倍前後に位置します。2026年前半のPBR1倍前後より明らかに評価は高くなっているため、純資産面の割安さを重視する投資家なら1.2倍前後までの押しを待つという考え方もできます。
急騰後は価格だけでなく値固めも確認したい
8月4日・5日のように短期間で株価が大きく上がった直後は、PERが割高でなくても売買需給によって値動きが荒くなります。決算後の高値を追いかける場合は、数日間の値動きで高値圏を維持できるか、出来高が落ち着いても株価が崩れないかを見る方法があります。
一方、長期投資で数年保有するなら、数十円の買値差よりも、営業利益2,600億円を達成し、その後も利益を維持できるかの方が重要です。投資期間によって「買い時」の意味が違う点も意識したいところです。
どんな人ならヤマハ発動機を検討しやすい?
現在のヤマハ発動機は、以前のような「PBR1倍前後・配当利回り4%台の高配当バリュー株」から、業績回復を評価する銘柄へ性格が変わりつつあります。次のような投資家は検討しやすいでしょう。
- 業績回復を重視する人:二輪・マリンの利益成長が続くと考え、EPSの増加を重視する人
- 配当と成長の両方を狙う人:利回り2%台後半でも、50円配当と業績成長を組み合わせて考えられる人
- インド・ASEANの成長を取り込みたい人:新興国二輪需要の長期成長を評価する人
- 複数事業の改善を期待する人:ロボティクス黒字化やOLV改革による利益上積みを見込む人
- 短期の値動きに耐えられる人:決算後の急騰・調整を許容しながら中長期の業績を見る人
ヤマハ発動機を慎重に見た方がいい人
- 配当利回り4~5%を最優先する人:現在価格では50円配当の利回りは2%台後半
- 急騰後の株を買いたくない人:2営業日で約35%上昇しており、短期調整の可能性がある
- 円高リスクを避けたい人:海外売上が大きく、2026年の業績には円安も寄与
- 景気敏感株を避けたい人:二輪、ボート、ROVなど景気・金利の影響を受ける製品が多い
- 安定配当だけを求める人:2025年に年間配当が50円から35円へ減った実績があり、累進配当を明言している企業ではない
今後の買い判断で確認したい材料
8月4日の上方修正で市場の期待値は大きく上がりました。今後は「前年より増益だったか」ではなく、引き上げられた高い会社計画を達成できるかが株価を左右しやすくなります。
二輪販売と営業利益率
最重要なのはインド・ASEANの二輪販売です。販売台数が増えているだけでなく、価格適正化を続け、ランドモビリティの高い利益率を維持できるかを確認します。数量が増えても値引きや原材料高で利益率が下がれば、現在の利益予想を維持しにくくなります。
通期営業利益2,600億円への進捗
上期営業利益は1,585億円なので、通期2,600億円に対する進捗率は約61%です。単純な50%を大きく超えていますが、下期にはOLV構造改革費用や中東情勢に伴う原材料コスト上昇を織り込んでいます。
3Qで営業利益が順調に積み上がれば2,600億円の達成確度が上がり、現在PER10倍前後の評価に説得力が出ます。逆に3Qで失速すると、急騰後の株価には失望売りが出やすくなります。
マリンの収益性
マリンは北米需要が完全回復していない中で利益を伸ばしています。船外機販売、ウォータービークル、販売店在庫、営業利益率を確認し、高い収益性を維持できているかを見る必要があります。
為替・米国関税
通期為替前提は1ドル159円、1ユーロ182円です。市場の為替がこの水準から大きく円高へ動く場合、会社予想に対する逆風になります。
また米国追加関税の還付と影響縮小が上方修正に寄与しているため、政策変更によって前提が再び悪化しないかも確認が必要です。
OLV構造改革
OLVは現在の赤字事業です。構造改革費用を計上した後、2027年以降に固定費削減や生産効率改善が進めば、売上を大きく増やさなくても全社利益を押し上げる余地があります。
追加株主還元
年間配当は50円で据え置かれています。一方、総還元性向40%以上の方針があるため、利益とキャッシュフローが想定以上に伸びれば、自己株買いや将来の増配が株価材料になる可能性があります。
決算後のアナリスト目標株価更新
8月5日時点では平均目標株価1,276円に対し、会社予想EPSとアナリスト予想EPSに大きな差があります。証券会社が8月4日の決算を受けて利益予想と目標株価をどこまで変更するかを確認すると、市場が新しい業績水準をどう評価しているか分かります。

まとめ
ヤマハ発動機は2026年8月の好決算と大幅上方修正によって、投資対象としての魅力が大きく高まりました。二輪車を中心に販売と利益率が改善し、マリンも増益、ロボティクスも黒字転換しています。通期営業利益予想は1,800億円から2,600億円へ、EPSは103.05円から175.16円へ引き上げられました。
8月5日15時08分時点の株価1,803円では、最新会社予想ベースのPERは約10.3倍です。株価は決算前から約35%上昇していますが、EPS予想は約70%増えているため、PERだけならむしろ決算前より低下しました。この点から、急騰したという理由だけで割高と判断するのは適切ではありません。
一方で、最新純資産から計算したPBRは約1.40倍、配当利回りは約2.77%です。PBR1倍前後・配当利回り4%台で買えた時期と比べると、資産・配当面の割安感は明確に薄れました。
現在は「安い高配当株を拾う局面」から、「業績回復がどこまで続くかを見ながら買う局面」へ変わったと考えられます。企業のファンダメンタルズは買い候補として魅力がありますが、短期的には2営業日で大幅上昇した直後です。配当を重視するなら株価1,400~1,600円台への押し、利益成長を重視するならPER10倍前後を基準に、3Q以降の業績進捗と株価の値固めを確認しながら判断する方法が考えやすいでしょう。
出典
ヤマハ発動機|2026年12月期中間期 連結業績の概要について
https://global.yamaha-motor.com/jp/news/2026/0804/result.html
ヤマハ発動機|2026年12月期 第2四半期(中間期)決算短信
https://global.yamaha-motor.com/jp/ir/library/report/pdf/2026/2026report-q2.pdf
ヤマハ発動機|2026年12月期 第1四半期連結業績の概要について
https://global.yamaha-motor.com/jp/news/2026/0515/result.html
ヤマハ発動機|2025年12月期 連結業績の概要について
https://global.yamaha-motor.com/jp/news/2026/0213/result.html
ヤマハ発動機|配当・株主還元方針
https://global.yamaha-motor.com/jp/ir/shareholder/dividend/
ヤマハ発動機|株主優待制度
https://global.yamaha-motor.com/jp/ir/individual/yutai/
ヤマハ発動機|株主優待制度の一部変更に関するお知らせ
https://global.yamaha-motor.com/jp/news/2025/1204/yutai.html
みんかぶ|ヤマハ発動機 株価チャート・投資指標
https://minkabu.jp/stock/7272/chart
みんかぶ|ヤマハ発動機 証券アナリスト予想
https://minkabu.jp/stock/7272/analyst_consensus
株予報Pro|ヤマハ発動機 理論株価・目標株価
https://kabuyoho.jp/reportTarget?bcode=7272
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