ソフトバンクグループは2024年9月以降、OpenAIへの投資を急速に拡大しています。2026年9月時点で実行済みの累計投資額は546億米ドルです。さらに10月1日に100億米ドルの追加出資を予定しており、予定どおり完了すれば累計投資額は646億米ドル、持分比率は約13%となる見込みです。
金額だけを見ると「OpenAIに約10兆円を投じる」という非常に大きな投資ですが、ソフトバンクグループにとってOpenAIは単なる金融投資ではありません。Arm、AIインフラ、電力、データセンター、ロボティクスなどを含むAI戦略の中核に位置付けられており、OpenAIの企業価値はソフトバンクグループのNAVや決算にも大きく影響します。
この記事では、現在までの投資額だけでなく、投資がどのように546億米ドルまで増えたのか、持分比率はいくらなのか、投資利益はいくら出ているのか、なぜ巨額投資を続けるのかまで順番に整理します。
※本記事は2026年9月14日時点の開示資料をもとに作成しています。投資額・持分比率・公正価値などは、原則としてソフトバンクグループが同日までに公表した資料を基準に整理し、複数回に分かれているOpenAIへの出資は「実行済み」と「今後の予定」を分けて記載しています。
▼公式サイトはこちらソフトバンクグループはOpenAIにいくら投資している?

2026年9月時点で、ソフトバンクグループがOpenAIへ実行済みの累計投資額は546億米ドルです。2026年3月末までの累計346億米ドルに、4月と7月に実行した100億米ドルずつの追加出資を加えた金額です。
現在までの実行済み投資額は546億米ドル
ソフトバンクグループは2026年2月、OpenAI Group PBCに対して新たに300億米ドルを追加出資する契約を締結しました。この300億米ドルは一括ではなく、4月1日、7月1日、10月1日に100億米ドルずつ3回に分けて出資する契約です。
4月1日のファーストトランシェ100億米ドルと、7月1日のセカンドトランシェ100億米ドルはすでに実行済みです。したがって、2026年3月末までの346億米ドルに200億米ドルを加え、現在の累計投資額は546億米ドルとなります。
なお、日本円での累計額は各投資を実行した時点の為替レートが異なるため、単純に現在のドル円相場を掛けた数字と会計上の投資額は一致しません。投資規模を比較する場合は、まず米ドルベースの546億米ドルを見る方が分かりやすいです。
10月の追加出資完了後は646億米ドルになる予定
残るサードトランシェ100億米ドルは2026年10月1日に実行する予定です。予定どおり完了すると、OpenAIへの累計投資額は646億米ドルになります。
ソフトバンクグループは2026年2月の発表で、300億米ドルの追加出資完了後の持分比率を約13%と見込んでいます。現在の546億米ドルは最終予定額ではなく、まだ100億米ドルの追加投資が残っている状態です。
OpenAIへの投資額を一覧で整理
| 時点 | 主な内容 | 累計投資額 |
|---|---|---|
| 2025年3月期 | 2024年9月以降の初期投資 | 22億米ドル |
| 2026年3月末 | 2025年度の追加投資等を反映 | 346億米ドル |
| 2026年4月1日 | 第1トランシェ100億米ドルを実行 | 446億米ドル |
| 2026年7月1日 | 第2トランシェ100億米ドルを実行 | 546億米ドル |
| 2026年9月時点 | 実行済み累計 | 546億米ドル |
| 2026年10月1日予定 | 第3トランシェ100億米ドル | 646億米ドル予定 |
この表だけを見ると2025年度に22億米ドルから346億米ドルへ急増したように見えます。実際には2025年に最大400億米ドルの大型出資契約を結び、ソフトバンクグループ自身が300億米ドルを出資したことが大きな要因です。
ソフトバンクグループのOpenAI投資を時系列で整理
OpenAIへの投資は一度の契約で646億米ドルになったわけではありません。2024年の初期投資、2025年の大型追加投資、2026年の追加300億米ドルという3段階で急速に拡大しています。
2024年9月以降:OpenAIへの投資を開始
ソフトバンクグループは2024年9月以降、ソフトバンク・ビジョン・ファンド2を通じてOpenAIへの投資を開始しました。2025年3月末までの累計投資額は22億米ドルです。
この時点では現在の投資規模と比べれば小さいものの、ソフトバンクグループはOpenAIをAGI(Artificial General Intelligence、汎用人工知能)の実現に最も近い企業の一つと評価し、その後の大型投資へ踏み込んでいきます。AGIとは、特定の作業だけでなく、人間のように幅広い知的作業をこなせるAIを指す言葉です。
2025年3月:OpenAIへの最大400億米ドルの大型投資を決定
2025年3月31日、ソフトバンクグループはOpenAIに最大400億米ドルを追加出資することで合意しました。この投資は、OpenAIの成長を支援すると同時に、その企業価値の上昇をソフトバンクグループのNAVに取り込む狙いがありました。
この時点のOpenAIのプレマネー評価額は2,600億米ドルでした。プレマネー評価額とは、新たな出資資金が入る前の企業価値です。たとえば2,600億米ドルの企業に新たな資金が入る場合、その出資後の企業価値は資金調達額を加えた水準になります。
2025年4月:75億米ドルを出資
2025年4月のファーストクロージングでは、ソフトバンクグループがソフトバンク・ビジョン・ファンド2を通じて75億米ドルを出資しました。2025年3月に発表された大型投資の最初の実行分です。
契約全体ではファーストクロージング100億米ドルでしたが、外部投資家へのシンジケーション分が含まれるため、ソフトバンクグループ自身の出資額は75億米ドルとなりました。
2025年12月:225億米ドルを追加し、持分比率は約11%に
2025年12月26日、ソフトバンクグループはセカンドクロージングとして225億米ドルを追加出資しました。4月の75億米ドルと合わせると、2025年3月に決めたソフトバンクグループ自身の300億米ドルの追加出資が完了したことになります。
この出資完了により、ソフトバンクグループはOpenAIに対する持分比率が約11%になったと公表しています。(2025年12月時点)
2026年3月期には、2025年3月に決めた300億米ドルの追加出資に加え、その他24億米ドルの投資も実行しました。このため同年度の投資額は計324億米ドルとなり、それ以前の22億米ドルと合わせて2026年3月末の累計投資額は346億米ドルとなっています。
2026年2月:さらに300億米ドルの追加出資を決定
2026年2月27日、ソフトバンクグループはOpenAIへの新たな300億米ドルの追加出資を決定しました。これは2025年の300億米ドルとは別の投資です。
2026年の追加出資では、OpenAIのプレマネー評価額は7,300億米ドルに設定されています。2025年の大型出資時の2,600億米ドルから大幅に上昇しており、OpenAIの企業価値が急拡大したことが分かります。
ソフトバンクグループはこの300億米ドルを、4月・7月・10月の3回に分けて100億米ドルずつ出資する契約としました。出資元はいずれもソフトバンク・ビジョン・ファンド2です。
2026年4月:100億米ドルの第1トランシェを実行
2026年4月1日、ソフトバンクグループは追加300億米ドルのうち第1回目となる100億米ドルを実行しました。会社公表の円換算額は1兆5,887億円です。
この出資資金を確保するため、同日に2026年3月に契約したブリッジファシリティから100億米ドルを借り入れています。ブリッジファシリティは、大型投資を先に実行し、その後に資産売却や長期の資金調達へ切り替えるための「つなぎ融資」の枠と考えると分かりやすいです。
2026年7月:さらに100億米ドルを追加出資
2026年7月1日には、第2トランシェとして100億米ドルを追加出資しました。会社公表の円換算額は1兆6,273億円です。
これにより、2026年3月末の累計346億米ドルに、4月と7月の200億米ドルが加わり、累計投資額は546億米ドルとなりました。
2026年10月:残る100億米ドルを出資予定
第3トランシェ100億米ドルは2026年10月1日に実行予定です。予定どおり完了すると累計646億米ドルになります。
なお、契約上はOpenAI株式の上場が合理的に見込まれる場合、クロージング日が前倒しされる可能性があります。もっとも、2026年9月にはOpenAIのサム・アルトマンCEOが2026年中のIPOを否定しており、現時点では10月の予定を前提に見るのが自然です。
ソフトバンクグループはOpenAI株を何%持っている?
OpenAIへの投資額とあわせて確認したいのが、ソフトバンクグループの持分比率です。ここは現在確認できる数字と将来の見込みを分けて見る必要があります。
2025年12月時点では約11%
2025年12月の225億米ドル追加出資完了時点で、ソフトバンクグループはOpenAIに対する持分比率が約11%になったと公表しました。
現在の具体的な持分比率は開示されていない
その後、2026年4月と7月に合計200億米ドルを追加出資しています。ただし、これらを反映した2026年9月時点の具体的な持分比率は、ソフトバンクグループから開示されていません。
追加出資額が分かっていても、OpenAI側で同時に他の投資家からの資金調達や株式発行が行われているため、単純に投資額だけから現在の持分比率を正確に計算することはできません。
300億米ドルの追加出資完了後は約13%になる見込み
ソフトバンクグループは、2026年の追加300億米ドルがすべて完了した場合、OpenAIへの累計投資額は646億米ドル、持分比率は約13%になる見込みとしています。
この約13%は、OpenAIが2026年2月に発表した大型資金調達ラウンドに関連する優先株式、株式報酬、転換可能証券などを一定の前提で反映した計算です。単純な発行済み普通株式だけを分母にした比率ではありません。
OpenAIはいくらで評価されている?
ソフトバンクグループのOpenAI投資を見るうえでは、投資額だけでなく「どの企業価値で株式を取得したか」が重要です。同じ100億米ドルを投資しても、企業価値が低い時に投資するほど多くの持分を取得できます。
2025年の大型投資時は2,600億米ドル評価
2025年3月に最大400億米ドルの出資契約を結んだ際、OpenAIのプレマネー評価額は2,600億米ドルでした。
これは2025年の大型投資が、「企業価値2,600億米ドルのOpenAIへ資金を投じる」という条件だったことを意味します。出資後に企業価値が上昇すれば、ソフトバンクグループが取得した持分の公正価値も上がりやすくなります。
2026年の追加投資では7,300億米ドル評価
2026年2月の追加300億米ドルでは、プレマネー評価額は7,300億米ドルまで上昇しました。2025年の2,600億米ドルから約1年で大きく上昇しています。
OpenAIの企業価値上昇は、過去により低い評価額で取得した既存持分の評価には追い風です。一方、2026年の追加出資はプレマネー評価額7,300億米ドルという、2025年の大型投資時より高い水準で実行されています。
2026年の追加投資は7,300億米ドルのプレマネー評価額を前提に行われているため、今後OpenAIの成長によって取得した持分の価値がどこまで高まるかが投資リターンを左右します。既存持分の評価益と、新たに取得する持分の投資価格を分けて見ることが重要です。
OpenAI投資でソフトバンクグループはいくら儲かっている?
最新の四半期開示である2026年6月末時点では、OpenAIへの累計投資額446億米ドルに対し、公正価値は896億米ドル、累計投資利益は450億米ドルです。4月の100億米ドルの追加出資後もOpenAIの評価額自体は3月末から変動せず、累計投資利益は450億米ドルを維持しています。その後、7月1日にさらに100億米ドルを出資したため、2026年9月14日時点の実行済み累計投資額は546億米ドルまで増えていますが、7月の追加出資を反映した公正価値と累計投資利益の具体値はまだ開示されていません。
2026年6月末の投資額は446億米ドル、公正価値は896億米ドル
| 項目 | 2026年6月末 |
|---|---|
| OpenAIへの累計投資額 | 446億米ドル |
| 公正価値 | 896億米ドル |
| 累計投資利益 | 450億米ドル |
公正価値とは、会計上「現時点でこの投資をどれくらいの価値と評価するか」を示す金額です。OpenAIは未上場企業なので、上場株式のように毎日市場で株価が付くわけではありません。資金調達時の評価額や各種情報を基に公正価値を測定します。
2025年度のOpenAI関連投資利益は6兆7,304億円
2025年度の連結決算では、OpenAIへの出資に係る投資利益として6兆7,304億円を計上しました。2025年度のソフトバンクグループ全体の投資利益7兆2,865億円の大部分をOpenAIが占めています。
この投資利益の大半は、OpenAI株を実際に売却して得た現金利益ではなく、保有するOpenAI持分の公正価値上昇などによる評価益です。そのため、OpenAIの企業価値が将来下落すれば、逆に評価損を計上することもあり得ます。
▼公式サイトはこちらOpenAIが赤字でもソフトバンクグループは投資利益を出せる?
OpenAIへの投資を理解するうえで混乱しやすいのが、「OpenAI自身が大規模な投資を続けているのに、なぜソフトバンクグループは巨額の投資利益を計上できるのか」という点です。理由は、OpenAI自身の損益と、ソフトバンクグループが保有するOpenAI株式の評価損益は別だからです。
OpenAI株はFVTPLとして四半期ごとに公正価値を測定する
ソフトバンクグループはOpenAI株式をFVTPLの金融資産に分類しています。FVTPLは「Fair Value Through Profit or Loss」の略で、日本語では「純損益を通じて公正価値で測定する金融資産」といった意味です。OpenAI持分の公正価値が上がれば、その増加分を投資利益として損益計算書に反映し、価値が下がれば投資損失として反映します。
OpenAIが研究開発やデータセンター利用などへ巨額の費用を投じ、OpenAI自身の会計上の利益が小さい、または赤字だったとしても、投資家から見た企業価値が上昇すれば、OpenAI自身の損益とは別に、ソフトバンクグループは評価益を計上できます。そのため、「OpenAIが赤字=ソフトバンクグループも投資損失」という関係にはなりません。
OpenAIが赤字のままでも問題ないのか
短期的な投資利益だけを見れば、OpenAIが赤字であっても公正価値が上昇していればソフトバンクグループの評価益にはつながります。ただし、長期的に企業価値を維持・拡大していくには、OpenAIが利用者や売上を伸ばし、巨額のAI開発・インフラ投資を将来の収益につなげられるかが重要です。
逆に、OpenAIの売上高が伸びていても、将来成長への期待が低下して企業価値が下がれば、ソフトバンクグループ側では評価損が発生することもあります。つまり短期的な投資利益を見るうえでは公正価値が重要ですが、長期的にはOpenAIが成長を収益へつなげられるかが企業価値を左右します。
なぜソフトバンクグループはOpenAIに巨額投資する?
ソフトバンクグループがOpenAIへ約10兆円規模まで投資を拡大する理由は、単純にOpenAI株の値上がり益だけを狙っているからではありません。孫正義氏はAGI、さらに人間の知能を大幅に上回るASI(Artificial Super Intelligence、人工超知能)の実現をグループの長期戦略の中心に置いています。
OpenAIはAI戦略の中核となる企業
ソフトバンクグループは、OpenAIが高いAI技術と大規模なユーザー基盤を持つリーダーであり、今後もAI産業の中心的な企業になると見ています。2026年2月の追加出資発表でも、OpenAIの研究開発とエコシステム拡大を加速し、ソフトバンクグループのASI戦略を前進させることを投資目的として説明しています。
2026年2月時点でChatGPTの週間アクティブユーザー数は9億人を超えたとソフトバンクグループは説明しています。AIモデルそのものの性能だけでなく、すでに世界規模の利用者基盤を持つ点も投資判断の重要な要素です。
OpenAIとArmを中心にAIエコシステムを構築する
ソフトバンクグループはOpenAIを中核に、AIモデル、半導体、データセンター、電力、ロボティクスまで、AIに必要な各レイヤーへ投資を広げています。
- AIモデル・ソフトウェア:OpenAI
- 半導体・コンピューティング:Arm、Ampere、Intelなど
- AIインフラ・データセンター:Stargate、DigitalBridge、SB Neoなど
- 電力:SB Energyなど
- フィジカルAI・ロボティクス:ABBロボティクス事業など
OpenAIはこの中でAIモデルとサービスの中心に位置します。OpenAIの利用が増えれば、そのモデルを動かす半導体やデータセンター、電力需要も増えるという考え方です。ソフトバンクグループはOpenAIの株主として企業価値上昇を取り込むだけでなく、AIインフラ側でも事業機会を取ろうとしています。
Stargateの5,000億米ドルとOpenAIへの646億米ドル投資は別
OpenAIとソフトバンクグループについて調べると、「646億米ドル」と「5,000億米ドル」という大きく異なる数字が出てきます。これは用途がまったく違います。
646億米ドルはOpenAI株式への累計投資予定額
646億米ドルは、2026年10月までの追加出資が完了した場合の、ソフトバンクグループによるOpenAIへの累計株式投資額です。OpenAIの優先株式などを取得するための資金であり、投資が完了すると持分比率は約13%になる見込みです。
5,000億米ドルはStargateの当初のAIインフラ投資コミットメント
Stargateの5,000億米ドルは、OpenAI株式への投資額ではありません。2025年1月にOpenAIとソフトバンクグループなどが発表した、米国内にOpenAI向けAIインフラを構築するプロジェクト全体の投資コミットメントです。当初は今後4年間で5,000億米ドルを投じる計画として発表されました。
Stargateの初期出資者はソフトバンクグループ、OpenAI、Oracle、MGXです。ソフトバンクグループとOpenAIがリードパートナーとなり、ソフトバンクグループが財務面、OpenAIが運営面を担う構想です。
その後、計画は当初想定より速く進んでいます。2025年9月には約7GWの計画容量と今後3年間で4,000億米ドル超の投資規模に達し、5,000億米ドル・10GWのコミットメントを前倒しで確保する見通しが示されました。さらにOpenAIは2026年4月、米国内で確保するAIインフラ容量が10GWの目標をすでに上回ったと説明しています。
したがって、646億米ドルはソフトバンクグループによるOpenAI株式への累計投資予定額、5,000億米ドルはStargate全体のAIインフラ投資コミットメントという違いがあります。
年間30億米ドルのOpenAI関連支払いも株式投資とは別
ソフトバンクグループは2025年2月、OpenAIと企業向けAI「Cristal intelligence」を共同で展開すると発表し、グループ各社へのOpenAIソリューション導入のため年間30億米ドルを支出する方針を示しました。これはOpenAI株式への投資額ではありません。
ChatGPT Enterpriseなどをグループ全体で利用するほか、日本企業向けにはOpenAIとの合弁会社SB OAI Japanを通じてサービス展開を進めています。
したがって、OpenAI関連の数字は「株式投資」「AIサービス利用」「AIインフラ投資」を分けて見る必要があります。
| 数字 | 意味 |
|---|---|
| 546億米ドル | 2026年9月時点の実行済み累計株式投資 |
| 646億米ドル | 2026年10月追加出資後の累計株式投資予定 |
| 約13% | 2026年追加300億米ドル完了後の持分比率見込み |
| 7,300億米ドル | 2026年追加投資時のOpenAIプレマネー評価額 |
| 5,000億米ドル | Stargateの米国AIインフラ投資計画 |
| 年間30億米ドル | OpenAIソリューションをグループへ導入するための支出 |
OpenAIへの投資資金はどこから出している?
646億米ドル規模の投資を支えるため、ソフトバンクグループはブリッジローン、保有資産の売却、アセットバック・ファイナンス、社債など複数の資金調達手段を組み合わせています。
2026年3月に最大400億米ドルのブリッジファシリティを契約
ソフトバンクグループは2026年3月27日、OpenAIへの追加出資などに必要な資金を調達するため、総借入限度額400億米ドルのブリッジファシリティ契約を締結しました。最終返済日は2027年3月25日で、契約時点では無担保です。
しかし「OpenAIへ400億米ドル追加投資する」という意味ではありません。OpenAIへの300億米ドル追加出資と、その他の事業資金を確保するための借入枠です。
4月・7月の追加出資に合わせて借り入れを実行
ブリッジファシリティからの借入は、すべてがOpenAIへの出資に使われたわけではありません。4月にOpenAI第1トランシェ向けとして100億米ドル、7月に第2トランシェ向けとして100億米ドルを借り入れ、これとは別に事業資金として100億米ドルを借り入れており、2026年9月までの累計借入実行額は300億米ドルとなりました。
2026年8月:SVF2が100億米ドルの借入契約を締結
ソフトバンクグループは2026年8月5日、ブリッジファシリティとは別に、SVF II TSUBAKI (DE) LLCを借入人として100億米ドルの借入契約を締結しました。資金使途はソフトバンクグループおよびソフトバンク・ビジョン・ファンド2の事業資金で、元本返済は2028年8月、担保は借入人の現金担保口座です。契約には、SVF2が保有するOpenAI優先株式の公正価値が大幅に下落するなど一定の条件に該当した場合、現金担保の差し入れや期限前返済が必要になる条項があります。
2026年8月6日時点の会社資料では、100億米ドルの借入実行を8月中に予定していました。資金使途はソフトバンクグループおよびソフトバンク・ビジョン・ファンド2の事業資金とされており、10月1日のOpenAI追加出資への充当は明記されていません。
9月15日に残高259億米ドルを全額期限前返済予定
ソフトバンクグループは9月9日、ブリッジファシリティの借入残高259億米ドルを9月15日に全額期限前返済すると発表しました。累計300億米ドルを借り入れていましたが、その全額が現在も残っているわけではありません。
9月15日に予定どおり259億米ドルを全額返済すれば、このブリッジファシリティの借入残高はいったんゼロになります。ただし、10月には残る100億米ドルの追加出資が予定され、ABBロボティクス事業やDigitalBridgeの買収など他の大型投資も控えています。今後もどの資産を資金化し、どの条件で長期資金へ切り替えるかは重要な確認ポイントです。
OpenAIへの巨額投資でソフトバンクグループの財務は大丈夫なの?
ソフトバンクグループは投資持株会社のため、財務負担を判断するには646億米ドルという投資額だけでなく、保有資産価値と負債を反映したNAVやLTVを見る必要があります。
NAVとLTVをセットで見る
ソフトバンクグループの財務を見るときに重要なのがNAVとLTVです。NAVは「Net Asset Value」の略で、ソフトバンクグループでは保有株式価値から調整後純有利子負債を差し引いた「時価純資産」を指します。一方、LTVは調整後純有利子負債を保有株式価値で割った比率で、財務の安全性を見るために使われます。
ソフトバンクグループはLTVについて、金融市場が平常なときは25%未満、異常時でも35%を上限として管理し、今後2年分の社債償還資金以上の手元流動性を確保する方針を示しています。
2026年6月末のNAVは72.30兆円、LTVは13.0%でした。一方、ソフトバンクグループは8月5日時点の株価・為替を反映した参考値として、NAVを58.3兆円と試算しています。保有資産の株価や為替によってNAVは短期間でも大きく動くため、72.30兆円だけを固定的な資産価値として見るのではなく、その後の変動も含めて確認する必要があります。
2026年3月末のNAV40.1兆円、LTV17.0%と比べると、6月末にはNAVが72.30兆円へ拡大し、LTVも13.0%へ低下しました。
OpenAIの企業価値がNAVに与える影響も拡大
投資額が646億米ドルまで増えることで、OpenAIの企業価値が上昇した場合の恩恵も、下落した場合の影響も大きくなります。
ソフトバンクグループ自身も有価証券報告書のリスク項目でOpenAIへの投資を独立して取り上げています。投資規模が大きいからこそ、OpenAIの事業成長だけでなく、競争環境、規制、AI安全性、資金調達環境などを確認する必要があります。
OpenAIへの投資はソフトバンクグループ株にどう影響する?
OpenAIは未上場企業ですが、現在ではソフトバンクグループ株を動かす重要な材料になっています。理由は、OpenAIの公正価値変動が投資損益とNAVの両方に影響するためです。
OpenAIの企業価値上昇はNAVと投資利益にプラス
OpenAIの資金調達時の評価額が上昇すると、既存のOpenAI持分の公正価値も上がりやすくなります。2025年度にOpenAIへの投資利益6兆7,304億円を計上したことは、その影響の大きさを示しています。
投資家がソフトバンクグループを評価する際には、純利益だけでなくNAVが重視されます。そのためOpenAIの価値上昇は、会計上の利益だけでなく、保有資産価値の増加という形でも評価されます。
OpenAIの評価額下落は投資損失につながる
逆に、OpenAIの企業価値が低下すれば、四半期ごとの公正価値評価で投資損失を計上することになります。OpenAI株は上場市場で毎日売買されていないため、資金調達条件や事業計画、類似企業の評価、市場環境などによって公正価値が変化します。
OpenAIは2026年のIPOを否定
2026年9月12日、OpenAIのサム・アルトマンCEOは2026年中にはIPOを行わない考えを示しました。AIの安全性を巡る議論が高まる中、現時点で上場を急ぐべきではないとの認識を示しています。
2026年のIPO見送りがソフトバンクグループに影響する理由
OpenAIがIPOすれば、市場で株価が付き、ソフトバンクグループが保有するOpenAI株の価値がより分かりやすくなります。また、未上場株に比べて将来的な売却や資金調達の選択肢も広がります。
OpenAIが2026年のIPOを見送ることで、市場価格によって保有価値を確認できる時期や、株式の流動性が高まる時期は後ろにずれます。非上場資産として公正価値を評価する状態が続くため、投資回収時期や将来の資金化に関する不確実性も残ります。
AI開発の減速論も今後の評価材料
2026年9月12日~13日にかけて、Anthropicのダリオ・アモデイCEOがAIモデル能力の向上ペースを抑えるよう業界へ提案し、OpenAIのサム・アルトマンCEOも安全性を重視する方向性に支持を示しました。
現時点で「AIの需要が減る」「OpenAIの設備投資が減る」と決まったわけではありません。ただし、OpenAIの企業価値は将来の急成長期待を大きく織り込んでいるため、開発速度や安全規制の強化は評価額に影響しうる材料です。
OpenAIへの巨額投資で考えられるリスク
OpenAIの企業価値が下落するリスク
前述のとおり、OpenAIの評価額が下落すれば投資損失につながります。2026年の追加投資はプレマネー評価額7,300億米ドルという高い企業価値を前提に行われているため、この水準に見合う成長を続けられるかが最も直接的なリスクです。
AI開発や規制の方向性が変わるリスク
前述したAI開発の減速や規制強化も、モデル開発や新サービス投入のペースを通じてOpenAIの企業価値に影響する可能性があります。
競争が激化するリスク
OpenAIは生成AI市場の主要企業ですが、競争相手は増えています。Anthropic、Google、Meta、xAIなどがモデル性能や企業向けサービス、開発者向けAPIで競争しています。競争激化によって利用料金が下がったり、ユーザー獲得コストが増えたりすれば、将来収益に影響しかねません。
巨額のAIインフラ投資を回収できないリスク
高度なAIモデルの開発・提供には、GPU、データセンター、電力などへの巨額投資が必要です。Stargateを含むインフラ構築が需要を上回れば、投資回収期間が長期化するおそれがあります。OpenAIだけでなく、AIインフラへ幅広く投資するソフトバンクグループにとっても重要な論点です。
IPOが遅れるリスク
前述のとおり、OpenAIは2026年中のIPOを否定しています。IPOがさらに先送りされれば、保有株の流動性向上や市場価格による価値の顕在化までの時間も延びます。
資金調達コストが上昇するリスク
ソフトバンクグループは巨額投資を借入や社債、資産売却などと組み合わせて進めています。金利が上昇すれば新たな借入・社債のコストが増えます。AI投資の期待リターンだけでなく、資金調達コストとのバランスも重要です。
OpenAI投資が成功した場合のメリット
一方で、OpenAIが成長を続ければ、ソフトバンクグループにとって得られるメリットも非常に大きくなります。最新の四半期開示である2026年6月末でも累計投資利益450億米ドルを維持しており、OpenAIの企業価値上昇がソフトバンクグループへ与えるインパクトの大きさが分かります。
OpenAIの企業価値上昇でNAVが拡大する
OpenAIの企業価値が上昇すれば、前述したようにソフトバンクグループのNAV拡大につながります。
ArmやAIインフラ事業との相乗効果が期待できる
OpenAIのAIサービスが拡大すれば、それを動かすための計算能力、半導体、データセンター、電力需要も増えることがあります。ソフトバンクグループはArm、Ampere、SB Energy、DigitalBridgeなどAIインフラ側にも投資しているため、OpenAIの成長を複数の事業領域で取り込める可能性があります。
SB OAI Japanなどを通じて日本のAI事業にも展開できる
ソフトバンクグループとOpenAIは、日本企業向けに企業専用AIを提供するSB OAI Japanを設立しています。OpenAIへの投資は株式価値の上昇だけでなく、ソフトバンクグループ自身がOpenAIの技術を使ってサービスを展開する機会にもつながっています。
ソフトバンクグループのOpenAI投資に関するよくある質問
現在までにOpenAIへいくら投資した?
2026年9月時点の実行済み累計投資額は546億米ドルです。2026年3月末までに346億米ドル、4月と7月に100億米ドルずつ追加出資しています。
最終的にいくら投資する予定?
2026年10月1日に予定する100億米ドルの第3トランシェまで完了すると、累計投資額は646億米ドルになる見込みです。
OpenAI株を何%持っている?
2025年12月時点では約11%でした。その後4月・7月に追加出資を実行していますが、2026年9月時点の具体的な持分比率は開示されていません。2026年の追加300億米ドルがすべて完了すると約13%になる見込みです。
OpenAIへの投資でいくら儲かっている?
最新の四半期開示である2026年6月末時点では、累計投資額446億米ドルに対して公正価値896億米ドル、累計投資利益450億米ドルです。その後7月1日に100億米ドルを追加出資していますが、7月出資後の公正価値と累計投資利益の具体値は2026年9月14日時点で開示されていません。2025年度だけでもOpenAIへの出資に係る投資利益6兆7,304億円を計上しました。
5,000億米ドル投資するという話は?
OpenAI株への投資ではありません。5,000億米ドルは2025年1月に発表されたStargateの米国AIインフラ投資コミットメントです。当初は4年間の計画でしたが、その後はインフラ確保が想定より前倒しで進んでいます。
OpenAIがIPOしなくても投資利益は出る?
出ることがあります。OpenAI株式は四半期ごとに公正価値で評価されるFVTPL金融資産なので、IPO前でも企業価値が上昇すれば評価益を計上できます。一方、企業価値が下がれば評価損になることもあります。
OpenAIが上場したらソフトバンクグループにどんなメリットがある?
市場で株価が形成されることで保有価値が分かりやすくなり、株式の流動性も高まります。将来的な売却や株式を活用した資金調達の選択肢が広がる余地もあります。ただし、2026年9月時点でOpenAIは2026年中のIPOを否定しています。
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ソフトバンクグループは2026年9月時点でOpenAIへ累計546億米ドルを投資しています。2026年10月に予定する100億米ドルの追加出資が完了すると、累計投資額は646億米ドル、持分比率は約13%となる見込みです。
OpenAIへの投資はすでに大きな評価益を生んでおり、最新の四半期開示である2026年6月末時点では累計投資額446億米ドルに対して公正価値896億米ドル、累計投資利益450億米ドルです。その後7月1日に100億米ドルを追加出資しているため、2026年9月14日時点の累計投資額は546億米ドルですが、7月出資後の公正価値と累計投資利益はまだ開示されていません。2025年度のOpenAI関連投資利益は6兆7,304億円に達しています。
OpenAIが成長すれば、ソフトバンクグループのNAV拡大やAI関連事業の成長につながる余地があります。その分、OpenAIの企業価値変動が決算やNAVへ与える影響も以前より大きくなっています。今後はOpenAIの企業価値や事業成長に加え、LTVや資金調達の推移を見ることで、巨額投資がソフトバンクグループの株主価値へどうつながるかを判断しやすくなります。
出典
ソフトバンクグループ「OpenAIへの追加出資に関するお知らせ」(2025年4月1日)
https://group.softbank/news/press/20250401
ソフトバンクグループ「OpenAIへの225億ドルの追加出資完了について」(2025年12月31日)
https://group.softbank/news/press/20251231
ソフトバンクグループ「OpenAIへの追加出資に関するお知らせ」(2026年2月27日)
https://group.softbank/news/press/20260227
ソフトバンクグループ「OpenAI追加出資等に係るブリッジファシリティ契約締結に関するお知らせ」(2026年3月27日)
https://group.softbank/news/press/20260327
ソフトバンクグループ「OpenAIへの追加出資(ファーストトランシェ)の実行に関するお知らせ」(2026年4月1日)
https://group.softbank/news/press/20260401_0
ソフトバンクグループ「OpenAIへの追加出資(セカンドトランシェ)の実行に関するお知らせ」(2026年7月1日)
https://group.softbank/news/press/20260701
ソフトバンクグループ「ブリッジローンの期限前返済に関するお知らせ」(2026年9月9日)
https://group.softbank/news/press/20260909
ソフトバンクグループ「有価証券報告書(第46期)」
https://group.softbank/media/Project/sbg/sbg/pdf/ir/financials/security_reports/securities_report_q4fy2025_01_ja.pdf
ソフトバンクグループ「2026年3月期 決算説明会資料」
https://group.softbank/media/Project/sbg/sbg/pdf/ir/presentations/2025/earnings-presentation_q4fy2025_01_ja.pdf
ソフトバンクグループ「第46回定時株主総会招集ご通知」
https://group.softbank/media/Project/sbg/sbg/pdf/ir/investors/shareholders/2026/shareholders-meeting_46_01_ja.pdf
ソフトバンクグループ「CFOメッセージ―ソフトバンクグループレポート2026」
https://group.softbank/ir/financials/annual_reports/2026/message/goto
ソフトバンクグループ・OpenAI「Stargate Projectについて」(2025年1月22日)
https://group.softbank/news/press/20250122
OpenAI/Oracle/ソフトバンクグループ「OpenAI、Oracle、ソフトバンクグループ、Stargateを推進―新たに5つのAIデータセンター拠点を設立」(2025年9月24日)
https://group.softbank/news/press/20250924
OpenAI「Building the compute infrastructure for the Intelligence Age」
https://openai.com/index/building-the-compute-infrastructure-for-the-intelligence-age
OpenAI・ソフトバンクグループ「Cristal intelligence」発表(2025年2月3日)
https://group.softbank/news/press/20250203_0
Reuters「OpenAIのサム・アルトマンCEOが2026年のIPOを否定」(2026年9月12日)
Reuters「Anthropic CEOがAIモデル開発の減速を提言」(2026年9月12日)
https://www.reuters.com/business/anthropic-ceo-urges-ai-companies-slow-model-development-2026-09-12
ソフトバンクグループ「2027年3月期 第1四半期 決算短信」(2026年8月6日)
https://group.softbank/media/Project/sbg/sbg/pdf/ir/financials/financial_reports/financial-report_q1fy2026_01_ja.pdf
ソフトバンクグループ「1株当たりNAV情報」(2026年6月末時点)
https://group.softbank/ir/stock/sotp
ソフトバンクグループ株式会社「2027年3月期 第1四半期決算 投資家向け説明会(財務編)」
https://group.softbank/media/Project/sbg/sbg/pdf/ir/presentations/2026/investor-finance_q1fy2026_01_ja.pdf
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