三井松島ホールディングスは何の会社?石炭撤退後の事業内容・M&Aの強みを解説

三井松島ホールディングスは、かつて石炭を主力としていた会社ですが、現在の事業内容は大きく変化しています。

現在は、ストロー、シュレッダー、ペットフード、産業用チェーン、電子部品関連設備などを手がける複数の企業を傘下に持つ持株会社です。

M&Aによってニッチな市場で高いシェアを持つ企業を増やし、グループ全体の利益成長を目指しています。

この記事では、三井松島ホールディングスの現在の事業内容に加え、石炭事業から撤退した経緯、M&Aを中心とした強み、事業上のリスクを解説します。

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目次

三井松島ホールディングスは何の会社?

三井松島ホールディングスは何の会社?

三井松島ホールディングスは、生活消費財、産業用製品、金融事業などを手がける複数の企業を傘下に持つ持株会社です。

自社で一つの商品だけを製造する企業ではなく、M&Aで取得した企業を長期保有し、経営支援を通じて成長させることを主な役割としています。

項目内容
会社名三井松島ホールディングス株式会社
設立1913年1月25日
本社福岡県福岡市
証券コード1518
上場市場東証プライム・福証
売上高654億円
従業員数1,746人
決算期3月
現在の主な事業生活消費財・産業用製品・金融その他
会社形態グループ会社を管理・支援する持株会社

※売上高は2026年3月期、従業員数は2026年3月末時点。

結論はM&Aで企業を増やす事業投資会社

三井松島ホールディングスは、製造業を中心とした企業をM&Aで取得し、グループ全体の企業価値を高める事業投資会社です。

持株会社である三井松島ホールディングス本体が、ストローや産業用チェーンを直接製造しているわけではありません。実際の商品やサービスは、傘下のグループ会社が提供しています。

三井松島ホールディングス本体は、主に次の役割を担います。

  • M&A候補企業の発掘と買収交渉
  • グループ全体の資金配分
  • 設備投資や成長投資の判断
  • 買収後の経営管理や業務改善
  • 会計、法務、人材採用などの支援

買収した企業が生み出す利益は、子会社からの配当やグループ全体の連結利益として、三井松島ホールディングスの業績に反映されます。

単純に多くの企業を保有するのではなく、ニッチな市場で安定した利益を生み出す企業を買収し、長期的に育てることが基本的な収益モデルです。

ストローから産業用チェーンまで事業は幅広い

三井松島ホールディングスのグループ会社が扱う商品やサービスは、日常生活に身近なものから、製造業やインフラを支える専門的な製品まで多岐にわたります。

主な商品・サービスは次のとおりです。

  • 飲料用の伸縮ストロー
  • オフィス用シュレッダー
  • 高品質ペットフード
  • レジや券売機で使われる感熱レジロール
  • 半導体・ディスプレー関連の電子部品用材料
  • 水晶デバイス用の計測器・生産設備
  • 送配電設備に使われる架線金具
  • 食品工場向けの加工機械
  • 工場設備などに使われる産業用チェーン
  • 事業者向け不動産担保融資
  • 上場株式への投資

一見すると関連性が薄い事業を幅広く展開していますが、一定の需要があり、特定分野で競争力を持つ企業を選んで買収している点が共通しています。

生活に近い安定事業と、製造業・インフラ向けの専門事業を組み合わせていることが、現在の三井松島ホールディングスの特徴です。

三井松島ホールディングスは石炭会社ではなくなった

三井松島ホールディングスは、長年にわたって石炭の生産・販売を主力としていました。

しかし、2024年3月期に石炭生産・販売事業から撤退し、現在は生活消費財、産業用製品、金融その他の3事業を中心とする会社へ転換しています。

1913年に松島炭鉱として創業

三井松島ホールディングスの起源は、長崎県にあった松島炭鉱です。

1913年に松島炭鉱株式会社として設立され、石炭の採掘・販売を主力事業として成長しました。

社名に含まれる「松島」は、創業地となった松島炭鉱に由来します。

その後は、大島炭鉱や池島炭鉱などへ事業を拡大しました。国内炭鉱の閉山が進んだ後は海外で石炭権益を取得し、1991年にはオーストラリアのリデル炭鉱へ資本参加しています。

長期間にわたり、石炭価格や販売数量が業績を大きく左右していたため、以前は資源関連株や石炭株として認識されていました。

三井松島ホールディングスは、創業から約110年間にわたって石炭事業に関わってきた会社です。

2024年3月期に石炭生産・販売事業から撤退

三井松島ホールディングスは、2024年3月期に石炭生産・販売事業を終了しました。

主力となっていたオーストラリアのリデル炭鉱で既存鉱区の採掘が終了したことに加え、脱炭素社会への移行も見据えて事業構造を転換しています。

現在の報告セグメントは、次の3事業です。

  • 生活消費財
  • 産業用製品
  • 金融その他

2026年3月期の報告セグメントには、石炭やエネルギー事業は含まれていません。

そのため、現在の三井松島ホールディングスは、石炭価格の上昇によって利益が増える従来型の石炭会社ではありません。

過去の事業整理に伴う損益が発生する可能性はありますが、現在の継続的な売上高や営業利益は非石炭事業から生み出されています。

石炭撤退前からM&Aを進めていた

三井松島ホールディングスは、石炭事業から撤退した後に、慌てて新しい事業を始めたわけではありません。

石炭事業が終了する前からM&Aを進め、非石炭事業を中心とする収益基盤を構築していました。

主なM&Aの流れは次のとおりです。

  • 2013年度:日本ストローを子会社化
  • 2016年度:CSTの前身となる企業を買収
  • 2018年度:持株会社体制へ移行
  • 2019年度以降:明光商会、ケイエムテイ、三生電子などを買収

2018年には、三井松島産業から三井松島ホールディングスへ商号を変更し、持株会社としてグループ企業を管理・支援する体制へ移行しました。

石炭事業からの撤退までに10社のM&Aを行い、生活消費財や産業用製品などの利益を育てています。

石炭で得た資金を使って非石炭企業を買収し、石炭撤退後の収益源を事前に準備していたことが、現在の事業構造につながっています。

三井松島ホールディングスの事業内容

三井松島ホールディングスの事業は、生活消費財、産業用製品、金融その他の3セグメントに分かれています。

事業主な商品・サービス主なグループ会社
生活消費財ストロー、シュレッダー、ペットフード、住宅部材、レジロール日本ストロー、明光商会、ケイエムテイ、システックキョーワ、MOS
産業用製品マスクブランクス、水晶デバイス設備、架線金具、食品加工機械、産業用チェーンCST、三生電子、日本カタン、プラスワンテクノ、ジャパン・チェーンHD
金融その他不動産担保融資、株式投資、不動産仲介エム・アール・エフ、MM Investments

2026年3月期では、産業用製品事業が売上高と利益の両方で最大のセグメントとなっています。

一方、金融その他事業は売上規模が比較的小さいものの、売上高に対して大きな利益を計上している点が特徴です。

生活消費財事業

生活消費財事業では、飲料用ストロー、シュレッダー、ペットフード、住宅・家具向け部材、感熱レジロールなどを扱っています。

2026年3月期の売上高は271億900万円、セグメント利益は24億5,900万円でした。

グループ会社主な商品・事業
日本ストロー飲料用の伸縮ストロー
明光商会シュレッダーの製造・販売・保守
ケイエムテイ高品質ペットフード
システックキョーワ住宅・家具向けプラスチック部材
MOS感熱レジロール

日本ストローは、飲料パックなどに付属する伸縮ストローを製造しています。国内シェアは約70%とされ、特定分野で高い競争力を持つ企業です。

明光商会は、オフィスや公共施設などで使用されるシュレッダーの製造・販売に加え、導入後の保守サービスも手がけています。

ケイエムテイはペットフード、システックキョーワは住宅・家具向け部品、MOSはレジや券売機などで使用される感熱ロール紙を扱っています。

日常的に使われる商品が多く、需要や事業内容を理解しやすいことが、生活消費財事業の特徴です。

一方、原材料価格の上昇や為替変動、取引先の生産計画などによって、利益率が変動する可能性があります。

産業用製品事業

産業用製品事業は、三井松島ホールディングスの現在の最大セグメントです。

2026年3月期の売上高は332億5,500万円、セグメント利益は50億6,100万円でした。

グループ会社主な商品・事業
CST半導体・ディスプレー関連のマスクブランクス
三生電子水晶デバイス用の計測器・生産設備
日本カタン送配電設備に使われる架線金具
プラスワンテクノ食品工場向けの加工機械
ゼクサスチェン・杉山チエン産業用チェーン

CSTが扱うマスクブランクスは、半導体やディスプレーの製造に使用される部材です。

三生電子は、水晶デバイスの製造工程で使われる計測器や生産設備を手がけています。水晶デバイスは、スマートフォン、自動車、通信機器などの電子製品に使用されます。

日本カタンは送配電設備に必要な架線金具、プラスワンテクノは食品工場向けの加工機械を展開しています。

ゼクサスチェンと杉山チエンは、工場設備や搬送装置などで使用される産業用チェーンを製造しています。

半導体、電子部品、電力インフラ、食品工場など、幅広い設備投資需要を取り込めることが、産業用製品事業の強みです。

一方、企業の設備投資や半導体市況、製造業の生産活動が悪化した場合には、受注や売上高が減少する可能性があります。

山洋の子会社化で工業用・医療用綿棒を追加

三井松島ホールディングスは、綿棒・綿球メーカーの山洋を子会社化すると発表しています。

山洋は一般用綿棒で国内トップクラスのシェアを持つほか、工業用綿棒ブランド「HUBY」を展開しています。

工業用綿棒は、半導体、電子機器、光学製品などの製造工程で、精密部品の清掃や異物除去に使われます。

一般消費者向けの綿棒に加えて、工業用・医療用の専門製品を持っていることが山洋の特徴です。

株式取得日は2026年8月21日の予定で、取得後は三井松島ホールディングスの産業用製品事業に加わると考えられます。

山洋の取得によって、半導体・電子機器関連の製品ラインアップがさらに広がる可能性があります。

一方、取得価額は公表されていません。買収後は、山洋の売上高や営業利益だけでなく、のれん、借入金、支払利息を含めた実質的な利益貢献を確認する必要があります。

金融その他事業

金融その他事業では、事業者向け不動産担保融資、不動産売買仲介、上場株式投資などを行っています。

2026年3月期の売上高は51億300万円、セグメント利益は20億5,200万円でした。

売上規模は生活消費財や産業用製品より小さいものの、売上高に対する利益の割合が高い点が特徴です。

グループ会社主な事業主な収益源
エム・アール・エフ事業者向け不動産担保融資・不動産売買仲介貸付金利・仲介手数料
MM Investments上場株式投資株式売却益・受取配当金

エム・アール・エフは、法人や個人事業主を対象とした不動産担保融資を行っています。不動産を担保として資金を貸し出し、貸付金利を収益として得る事業です。

MM Investmentsは、割安と判断した上場株式へ投資しています。主な利益源は、保有株式の売却益と投資先企業から受け取る配当金です。

金融その他事業は高い利益貢献が期待できる一方、外部環境によって利益が変動しやすい事業でもあります。

不動産担保融資では、金利上昇や融資先の貸倒れ、不動産価格の下落がリスクになります。

上場株式投資では、株式市場が下落すると保有株式に含み損が発生し、売却時に損失を計上する可能性があります。株式売却益も毎期同じように発生するとは限りません。

三井松島ホールディングスの強み

三井松島ホールディングスの強み

三井松島ホールディングスの強みは、特定分野で高い競争力を持つ企業をM&Aで取得し、長期的に育てていることです。

単に異なる業種の企業を集めるのではなく、安定した需要や高い市場シェア、理解しやすい収益構造を持つ企業を重視しています。

ニッチトップ企業を複数保有している

三井松島ホールディングスは、大手企業が参入しにくい小規模な市場で、高い競争力を持つ企業を複数保有しています。

市場規模が大きくなくても、一定の需要が継続し、顧客との長期的な取引関係を築いている企業であれば、安定した利益を期待できます。

グループ内には、次のような商品を扱う企業があります。

  • 飲料用の伸縮ストロー
  • オフィス用シュレッダー
  • 感熱レジロール
  • 送配電用の架線金具
  • 食品工場向けの加工機械
  • 工場設備向けの産業用チェーン

これらの商品は一般消費者から見れば目立ちにくいものの、特定の業界では欠かせない製品です。

高いシェアや独自の技術力を持つ企業は、取引先が別の製品へ切り替えにくく、価格競争に巻き込まれにくい可能性があります。

また、長年の納入実績や品質管理体制が参入障壁となるため、新規企業が簡単に顧客を奪うことは困難です。

単なる多角化ではなく、専門性と競争力を持つ企業を集めていることが、三井松島ホールディングスの強みです。

「ニッチ・安定・わかりやすい」がM&A方針

三井松島ホールディングスは、M&Aの対象企業を選ぶ際に「ニッチ・安定・わかりやすい」という方針を掲げています。

M&A方針内容
ニッチ大手企業が参入しにくい市場で独自の強みを持つ
安定一時的な流行に依存せず、継続的な需要と利益が見込める
わかりやすい商品、顧客、収益の仕組みを理解しやすい

短期間で急成長している企業だけを買収するのではなく、長期間にわたって安定した利益を生み出してきた企業も対象としています。

後継者不足などに直面する企業の株式を取得し、従業員や取引先との関係を維持しながら事業を承継することもあります。

買収後に企業価値を高めて売却する投資ファンドとは異なり、買収先を原則として再売却せず、グループ内で長期保有する方針です。

買収した企業から継続的な利益を得ることを重視しているため、M&Aの件数だけでなく、買収後の事業成長が重要になります。

社内にM&A専門チームを持つ

三井松島ホールディングスは、M&Aの実務を外部アドバイザーだけに任せず、社内にFA・M&Aの専門チームを設置しています。

専門チームは、主に次の業務を担当します。

  • 買収候補企業の発掘
  • 企業価値の評価
  • 買収条件の交渉
  • 買収資金の調達
  • 契約や法務の確認
  • 買収後の経営支援
  • PMIの実施

年間で受け取るM&A案件は150件を超えており、その中から収益性、安定性、競争力などを確認して投資先を選定しています。

これまでに10社を超える企業を買収してきたため、企業価値の算定や契約交渉、買収後の統合作業に関する経験も蓄積されています。

M&Aでは、企業を買収するだけで利益が増えるとは限りません。買収後に製造原価を下げたり、生産工程を改善したりして、利益を伸ばすPMIが重要です。

三井松島ホールディングスは、設備投資、人材採用、在庫管理、製造工程の改善などにも関与しています。

買収先の発掘から買収後の経営改善まで対応できることが、継続的にM&Aを進めるうえでの強みです。

異なる市場へ収益源を分散している

三井松島ホールディングスは、消費財、製造業、インフラ、金融など、異なる市場へ収益源を分散しています。

事業分野主な特徴
生活消費財日常的に使われる商品が多く、需要が比較的安定しやすい
産業用製品製造業、半導体、電子部品、インフラ投資の需要を取り込む
金融その他不動産担保融資や上場株式投資による利益を得る

一つの商品や市場が不調になっても、別の事業が利益を補うことで、グループ全体への影響を抑えられる可能性があります。

かつては石炭価格が業績を大きく左右していましたが、現在は複数の事業から利益を得る構造へ転換しています。

生活消費財事業では、ストロー、シュレッダー、ペットフード、レジロールなど、日常的に一定の需要が見込まれる商品を扱っています。

産業用製品事業では、半導体、電子部品、電力インフラ、食品工場などの設備投資需要を取り込みます。

金融その他事業では、不動産担保融資や上場株式投資による高い利益貢献が期待できます。

石炭価格への依存を解消し、異なる収益源を持っていることは、業績の安定性を高める要因です。

ただし、景気後退や金利上昇などが複数の事業へ同時に影響する可能性もあるため、事業を分散すればすべてのリスクを回避できるわけではありません。

買収後もグループ会社を支援する

三井松島ホールディングスは、買収した企業を保有するだけでなく、経営面や管理面から継続的に支援します。

各グループ会社の経営自主性を尊重しながら、持株会社として次のような支援を行います。

  • 会計や財務管理
  • 法務やコンプライアンス
  • 人材採用と育成
  • 設備投資
  • 職場環境の改善
  • 営業体制の強化
  • 製造原価や在庫管理の改善
  • 資金調達

後継者不足の企業では、三井松島ホールディングスが株式を取得することで、従業員の雇用や取引先との関係を維持しながら事業を承継できます。

また、一つのグループ会社で成果を上げた改善事例を、別のグループ会社へ共有できることも持株会社の利点です。

買収先の自主性を残しながら、単独企業では難しい投資や経営改善を支援することが、三井松島ホールディングスの役割です。

三井松島ホールディングスの今後の成長戦略

三井松島ホールディングスは、石炭事業に代わる収益基盤を構築した後も、M&Aや上場株式投資を通じて事業規模の拡大を目指しています。

今後は、新しい企業を買収するだけでなく、既存グループ会社の利益を伸ばせるかが重要になります。

M&A・株式投資・既存事業の成長が3本柱

中期経営計画2030では、次の3つを成長戦略の柱としています。

成長戦略内容
新規M&Aニッチトップ企業を新たに買収する
上場株式投資MM Investmentsを通じて割安株へ投資する
既存事業の成長グループ会社の売上高や利益を自力で伸ばす

これら3つの成長戦略に、総額約400億円を投じる計画です。

新規M&Aでは、製造業を中心に、安定した需要と競争力を持つ企業を取得し、事業ポートフォリオを拡大します。

MM Investmentsによる上場株式投資では、株式の売却益だけでなく、保有株式から受け取る配当金も収益源になります。

既存グループ会社では、生産性の改善、新商品の開発、設備投資、販売先の拡大などによる有機的な成長を目指します。

また、すでに保有している企業と同じ業界の会社を追加買収するロールアップも成長手段の一つです。

同業企業を追加で買収すれば、仕入れや生産、販売、物流を効率化できる可能性があります。

新規M&Aだけに依存せず、株式投資と既存事業の成長を組み合わせることが、今後の成長戦略です。

2030年3月期に純利益100億円以上を目指す

三井松島ホールディングスは、中期経営計画2030で、2030年3月期に純利益100億円以上を目指しています。

2026年3月期の純利益は約67億円だったため、目標達成には30億円以上の利益拡大が必要です。

項目数値
2026年3月期純利益約67億円
2030年3月期目標100億円以上
必要な利益増加額30億円以上

目標達成には、既存グループ会社の成長だけでなく、新規M&Aや上場株式投資による利益貢献も必要です。

ただし、M&Aの件数を増やすだけでは、企業価値の向上にはつながりません。

買収価格が適正であることに加え、買収後に売上高や利益を伸ばし、投資資金を回収できるかが重要です。

また、三井松島ホールディングスは累進配当を掲げており、利益成長を株主還元へ反映する方針です。

純利益100億円の達成と累進配当の維持を両立できるかが、中長期的な企業評価を左右します。

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三井松島ホールディングスの弱み・リスク

三井松島ホールディングスは、M&Aによって事業を分散し、石炭事業に代わる収益基盤を構築しています。

一方で、事業構造の複雑化、買収価格、のれん、借入金、上場株式投資など、事業投資会社ならではのリスクがあります。

事業が多く会社全体を理解しにくい

三井松島ホールディングスは、ストロー、シュレッダー、ペットフード、電子部品関連設備、産業用チェーン、不動産担保融資、株式投資など、幅広い事業を展開しています。

子会社ごとに業種や顧客、利益が増減する要因が異なるため、単一製品を扱うメーカーよりも業績構造が複雑です。

例えば、生活消費財事業が好調でも、産業用製品や金融事業の利益が減れば、連結業績が悪化する可能性があります。

また、新たな企業を買収するたびに、売上構成や利益構成が変化します。

三井松島ホールディングスの業績を分析するには、連結全体の売上高や営業利益だけでなく、次の項目も確認する必要があります。

  • 各事業セグメントの売上高
  • 各事業セグメントの利益
  • 新たに買収した企業の業績
  • 既存子会社の増収・減益要因
  • 株式投資による利益
  • 特別利益と特別損失

事業が分散されていることは強みである一方、会社全体の実力を把握しにくい要因にもなります。

M&A価格が高いとのれん負担が増える

M&Aでは、買収先の純資産を上回る価格で企業を取得すると、差額がのれんとして計上されることがあります。

買収価格が高いほど、のれんの金額や償却負担も大きくなる可能性があります。

M&Aに伴うリスク業績への影響
買収価格が高い投資回収に時間がかかる
のれん償却費が増える営業利益を押し下げる
買収先の業績悪化のれんの減損損失が発生する可能性
銀行借入が増える支払利息と有利子負債が増加する
PMIが進まない想定した相乗効果を得られない

買収時点で利益を計上している企業でも、顧客の減少や原材料価格の上昇によって、買収後に業績が悪化することがあります。

業績が計画を大きく下回った場合には、のれんの減損損失が発生し、純利益や純資産を押し下げる可能性があります。

また、買収資金を銀行借入で調達すると、有利子負債と支払利息が増加します。

M&Aの成否は買収した時点ではなく、買収後に利益を伸ばし、投資資金を回収できるかで決まります。

上場株式投資は相場環境の影響を受ける

MM Investmentsによる上場株式投資は、新たな利益源になる一方、株式市場の変動を受けます。

株価が上昇すれば、保有株式の含み益や売却益が増える可能性があります。

一方、株式市場が下落した場合には、評価損や売却損が発生する可能性があります。

株式譲渡益は保有株式を売却した年度に計上されるため、毎期一定の利益を得られるとは限りません。

大きな株式売却益を計上した翌期に同様の利益がなければ、純利益が反動減となることもあります。

投資事業を評価する際は、単年度の売却益だけでなく、次の項目を確認する必要があります。

  • 受取配当金
  • 保有株式の評価損益
  • 株式売却益・売却損
  • TOPIXとの比較
  • 複数年の運用実績
  • 投資資金に対する利益率

一時的に大きな売却益を得たかではなく、複数年にわたって安定した成果を残せるかが重要です。

多角化しても各事業には固有のリスクがある

三井松島ホールディングスは、複数の業種へ事業を分散していますが、それぞれの事業には固有のリスクがあります。

事業主なリスク
生活消費財原材料価格、為替、取引先の生産計画、消費動向
産業用製品設備投資、景気循環、半導体市況、製造業の生産活動
金融事業金利上昇、融資先の貸倒れ、不動産価格の下落
上場株式投資株価下落、評価損、売却損
海外事業為替変動、現地需要、規制や地政学リスク

生活消費財は需要が比較的安定している一方、原材料価格や為替の上昇によって利益率が低下する可能性があります。

産業用製品は、半導体や製造業の設備投資が拡大すれば成長できますが、景気後退時には受注が減少する可能性があります。

金融事業は高い利益率を期待できる一方、金利上昇や貸倒れ、不動産価格の下落に注意が必要です。

海外子会社では、円高・円安による為替換算の影響に加え、現地の需要や規制変更も業績を左右します。

事業分散によって一つのリスクへの依存は下げられますが、すべてのリスクがなくなるわけではありません。

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まとめ|三井松島はM&Aでニッチ企業を育てる持株会社

三井松島ホールディングスは、かつて約110年間にわたって石炭事業を展開してきましたが、2024年3月期に石炭生産・販売事業から撤退しました。

現在は、生活消費財、産業用製品、金融その他の3事業を展開する持株会社です。

なかでも、産業用製品事業が最大の利益源となっています。

ニッチトップ企業をM&Aで取得し、買収後も経営支援を続けることが、三井松島ホールディングスの強みです。

今後は、新規M&A、MM Investmentsによる上場株式投資、既存グループ会社の成長によって、2030年3月期の純利益100億円以上を達成できるかが注目されます。

出典

会社概要|三井松島ホールディングス株式会社
https://www.mitsui-matsushima.co.jp/outline/

会社沿革|三井松島ホールディングス株式会社
https://www.mitsui-matsushima.co.jp/history/

よくあるご質問|三井松島ホールディングス株式会社
https://www.mitsui-matsushima.co.jp/ir/faq/

2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)
https://www.mitsui-matsushima.co.jp/wp/wp-content/uploads/2026/05/433f7d22c9b3fcff113ad9e35f4c4e0f.pdf

2026年3月期 決算説明資料
https://www.mitsui-matsushima.co.jp/wp/wp-content/uploads/2026/05/49e27cb5a323ce1a5b97449113f15842.pdf

中期経営計画2030
https://www.mitsui-matsushima.co.jp/management-strategy2030/

中期経営計画策定に関するお知らせ
https://www.mitsui-matsushima.co.jp/wp/wp-content/uploads/2026/05/e104ef6df88535ee564967caeb3b7647.pdf

株式会社山洋の株式取得(子会社化)に関するお知らせ
https://www.mitsui-matsushima.co.jp/wp/wp-content/uploads/2026/07/c4b9af59862fd2ff45faf864f8fd327c.pdf

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