CXMT(長鑫科技)は2026年7月27日、上海証券取引所の科創板へ上場しました。公開価格を大幅に上回る価格で取引が始まり、「なぜここまで上がったのか」「AIメモリ需要だけで説明できるのか」と気になる人も多いでしょう。
結論からいえば、上場初日の急騰は、2026年の業績拡大、AIサーバーによるDRAM不足、中国最大のDRAMメーカーという希少性に、IPOの高い応募倍率と流通株の少なさが重なった結果です。業績だけで約466%高を説明するのではなく、実力と需給を分けて考える必要があります。
上場初日の値動きと6つの上昇要因を確認したうえで、AIメモリ需要の影響、野村証券が示した目標株価116元の強気な前提、上昇が続く条件と反落リスクを整理します。

CXMTの株価は上場初日に465.82%上昇
CXMTの上場初日は、公開価格8.66元に対して49.50元で取引を開始し、終値は49.00元でした。始値は公開価格比471.59%高、終値は同465.82%高です。
取引時間中は38.11元まで下げた後、55.03元まで上昇しました。安値と高値の差は16.92元で、安値から高値まで約44%動いています。急騰した一方、適正価格を探る売買も非常に激しかったことが分かります。
| 項目 | 株価・数値 | 公開価格比・補足 |
|---|---|---|
| 上場日 | 2026年7月27日 | 上海証券取引所・科創板 |
| 公開価格 | 8.66元 | IPO時の時価総額は約5,792億元 |
| 始値 | 49.50元 | 471.59%高 |
| 高値 | 55.03元 | 約535.45%高 |
| 安値 | 38.11元 | 約340.07%高 |
| 終値 | 49.00元 | 465.82%高 |
| 終値時価総額 | 約3.28兆元 | A株の時価総額首位 |
| 売買代金 | 約1,411億元 | A株の個別株で過去最大 |
上表は2026年7月27日の確定値です。上場初日午前には54.65元、公開価格比531.06%高まで上昇したとの速報もありましたが、これは午前終値です。初日の最終的な終値は49.00元でした。
公開価格の約5.7倍で取引開始
CXMTは49.50元で始まり、公開価格8.66元の約5.72倍となりました。IPOで500株を取得して始値で売却した場合、単純計算の差益は約2万420元です。
公開価格からの大幅上昇は、上場後に突然業績が変わったことを意味しません。IPOの価格決定時点より市場の買い需要が強く、売買できる株式数が限られたことで、上場市場での均衡価格が公開価格を大きく上回ったと考えられます。
時価総額は約3.28兆元でA株首位
終値49.00元に、オーバーアロットメント行使前の発行済株式数約668.8億株を掛けると、時価総額は約3.28兆元です。公開価格時点の約5,792億元から一日で約5.7倍へ膨らみ、中国本土のA株市場で時価総額首位となりました。
時価総額の大きさは、CXMTが中国の半導体国産化を担う戦略企業として高く評価されたことを示します。一方、売買できた株式は全体の一部です。限られた流通株の価格を全株式へ掛けているため、時価総額だけで海外大手との実力差がなくなったと判断するのは早いでしょう。
高値55.03元から終値49.00元へ反落
株価は午前に55.03元まで上昇した後、49.00元で取引を終えました。終値は高値を約11%下回ります。安値38.11元からは戻したものの、投資家の評価が一方向に固まったわけではありません。
売買代金は約1,411億元に達し、利益確定売りと新規の買いが大量に交錯しました。公開価格比の上昇率だけでなく、日中の大きな振れと記録的な売買代金も、上場初日が業績評価と短期需給の両方で動いたことを示しています。
CXMTの株価が上がった6つの理由

CXMTの株価が上がった理由は一つではありません。DRAM市況と業績が改善した実力面の材料に、中国の戦略企業としての希少性、IPO特有の需給、上場日に公表された強気な目標株価が重なりました。
| 上昇要因 | 主な事実 | 株価への影響 |
|---|---|---|
| 2026年の業績急拡大 | 1Q売上高508億元、上期の親会社株主利益予想500~570億元 | 黒字化直後の2025年から利益水準が大きく切り上がった |
| AIによるDRAM不足 | AIサーバー・一般サーバー向け需要が増え、通常DRAM価格も急上昇 | 平均販売単価と工場稼働率の上昇期待につながった |
| A株での希少性 | 中国最大の大規模DRAMメーカーが初めて株式市場へ登場 | 中国DRAMへ直接投資できる上場銘柄として買いが集中した |
| 世界4位とシェア拡大 | 2025年の世界DRAMシェアは約7.7% | 増産と製品高度化による上位3社への追随が期待された |
| 半導体国産化 | 中国の海外メモリ依存を下げる戦略的な役割 | 政策支援、国内顧客、資金調達力への期待が評価された |
| IPO需給と強気評価 | 高い申込倍率、流通株6.73%、値幅制限なし、野村の目標116元 | 限られた売りに買いが集中し、上昇を増幅した |
2026年の業績が急拡大
最も大きな実力面の材料は、2026年に売上高と利益が急拡大していることです。2026年1Qの売上高は508.00億元で前年同期比719.13%増、親会社株主に帰属する純利益は247.62億元となり、前年同期の赤字から黒字へ転換しました。
会社は2026年上期に売上高1,100~1,200億元、親会社株主に帰属する純利益500~570億元を見込んでいます。2025年通期の売上高617.99億元、同純利益18.75億元と比べると、利益の増え方は特に大きくなっています。
| 期間 | 売上高 | 親会社株主に帰属する純利益 | ポイント |
|---|---|---|---|
| 2025年通期 | 617.99億元 | 18.75億元 | 黒字転換したが利益はまだ小さい |
| 2026年1Q | 508.00億元 | 247.62億元 | 売上高は前年同期比719.13%増 |
| 2026年上期予想 | 1,100~1,200億元 | 500~570億元 | 売上高は前年同期比612.53~677.31%増 |
メモリ工場は固定費が大きく、販売価格と稼働率が上がると、売上高以上のペースで利益が増えやすい事業です。DRAM価格の上昇と出荷数量の増加が同時に起こり、営業レバレッジが強く働いたことが、上場時の評価を押し上げたと考えられます。
AIサーバー需要でDRAM価格が上昇
AI向けメモリ需要は、CXMTの上場初日を支えた重要な業界材料です。TrendForceによると、通常DRAMの契約価格は2026年1Qに前四半期比約93~98%上昇し、2Qも58~63%の上昇が見込まれました。
AIはHBMだけを必要とするわけではありません。AI推論を処理するデータセンターでは、AIサーバーに加えて一般サーバーも増え、CPUへ接続する高容量DDR5やRDIMMの需要が拡大します。大手メモリ会社が収益性の高いサーバー向けへ生産を優先すると、PC・スマートフォン向けを含む通常DRAMの供給も締まります。
CXMTはHBMの主力企業ではありませんが、DRAM全体の品不足と価格上昇から大きな恩恵を受けました。AIメモリ需要は、HBM売上だけでなく、CXMTが量産する通常DRAMの販売単価を押し上げる形でも業績へ波及しています。
中国唯一の大規模DRAM上場企業という希少性
CXMTは、中国でDRAMを大規模に設計・製造できる最大手です。上場により、中国本土の株式市場でDRAMメーカーへ直接投資できる希少な銘柄が誕生しました。
既存の中国半導体株には、ファウンドリ、製造装置、設計、NAND、モジュールなどがあります。CXMTはDRAMの価格上昇と国産化へ直接連動しやすいため、他銘柄では代替しにくかった投資需要が上場初日に集中した可能性があります。
世界4位のシェアと増産期待
CXMTはSamsung Electronics、SK hynix、Micron Technologyに次ぐ世界4位のDRAMメーカーです。IPO資料に基づく2025年の世界シェアは約7.7%で、上位3社が支配してきた市場に中国企業が食い込んでいます。
シェア拡大は販売数量の増加だけでなく、顧客の採用実績と量産能力の改善を示します。IPOで調達した資金を製造ラインの高度化と研究開発へ振り向け、DDR5やサーバー向け製品の比率を高められれば、売上高と利益の成長余地が広がります。
ただし、シェアには売上高、出荷量、ビット出荷量など複数の基準があります。数値を比較するときは、同じ時点・同じ基準で確認する必要があります。
中国の半導体国産化で政策期待
DRAMはスマートフォン、PC、サーバー、AIシステムに不可欠ですが、世界市場は長く韓国2社と米Micronが支配してきました。CXMTは中国の海外依存を下げる戦略的な企業であり、政策支援と国内顧客の需要を受けやすい立場です。
米国の半導体輸出規制が強まるほど、中国では国産メモリを確保する重要性が高まります。地政学リスクは装置調達のマイナス要因ですが、同時にCXMTの戦略的価値を高める面もあります。
政策上の重要性と株主価値は同じではありません。支援が設備投資を促しても、良品率や利益率が改善しなければ企業価値は高まりにくいため、政府支援だけを株価上昇の根拠にするのは注意が必要です。
IPO応募の多さと流通株6.73%
上場初日の値動きを増幅した最大の短期要因は、強い買い需要に対して売買できる株式が少なかったことです。個人向けのオンライン募集は約243.93倍、機関投資家向けは約570倍の申し込みを集めました。
上場時に自由に売買できた株式は、発行後株式数の6.73%でした。約93%の株式が市場へ出ない状態で買い注文が集中したため、企業全体の評価が一日に何倍も変わったように見えやすい需給構造でした。
科創板の新規上場株は、上場後の最初の5営業日に日々の値幅制限がありません。低い流通比率と値幅制限なしが重なることで、通常の取引日より大きな値動きが起こりやすくなりました。
公開価格が2026年利益に対して低く見えた
CXMTの公開価格8.66元は、2025年の小さな利益を基準にすると発行PER308.92倍で、業界平均を上回る高い評価でした。ところが、2026年上期の利益予想を使うと見え方が大きく変わります。
公開価格時点の時価総額約5,792億元は、2026年上期の親会社株主利益予想500~570億元の約10~12倍です。上期予想を比較用に単純年率換算するとPERは約5.1~5.8倍となり、上場市場では2025年実績より2026年の急増益が重視されたと考えられます。
この年率換算は会社の通期予想ではありません。DRAM価格や下期の費用が変われば利益も変動します。それでも、公開価格が直近の利益拡大を十分に反映していないとの見方が、初値形成の買い材料になった可能性があります。

AIメモリ需要はCXMTにどう追い風?

AIメモリ需要はCXMTへ追い風ですが、その経路はHBMだけではありません。現時点の主な恩恵は、AIデータセンターでサーバーDRAMの搭載量が増えることと、大手3社がHBMへ生産を振り向けて通常DRAMの供給が減ることです。
| AI需要の波及経路 | CXMTへの影響 | 確認したい点 |
|---|---|---|
| AIサーバー・一般サーバーの増加 | DDR5、RDIMMなどサーバーDRAMの需要が増える | サーバー向け売上比率、顧客認証、平均販売単価 |
| 大手3社のHBM生産優先 | 通常DRAMの供給が締まり、価格と販売機会が増える | DRAM契約価格、在庫、主要顧客への割当 |
| 中国製AIシステムの国産化 | 将来のHBM3や高性能DRAMへの需要が生まれる | 量産開始、歩留まり、採用顧客、出荷量 |
AI推論でサーバーDRAMの搭載量が増える
AIの利用が学習から推論へ広がると、データセンターではGPUだけでなくCPUの処理も増えます。データの前処理、スケジューリング、メモリ管理に一般サーバーが必要となり、CPUへ接続するDDR5や高容量RDIMMの搭載量が増えます。
TrendForceは、AI推論の拡大によりメモリ調達がHBM3eだけでなく、さまざまな容量のRDIMMへ広がっていると説明しています。CXMTがサーバー向けDRAMの量産と顧客認証を進めれば、AI投資を通常DRAMの売上として取り込めます。
HBM増産が通常DRAMの供給を圧迫
HBMは複数のDRAMダイを積み重ねるため、通常DRAMより多くのウェハー面積と高度な後工程を必要とします。大手3社が限られた生産能力をHBMや高容量サーバーDRAMへ優先すると、PC・スマートフォン向けを含む通常DRAMの供給余力が小さくなります。
CXMTは通常DRAMの大規模生産能力を持つため、供給先を分散したい顧客の受け皿になれます。大手3社のHBM投資は競争力の差を広げる要因である一方、通常DRAMの品不足と価格上昇を通じてCXMTへ間接的な追い風ももたらします。
CXMTはHBMで大手3社に遅れる
CXMTをAIメモリ企業として評価する場合でも、現在の主力がDDR・LPDDRなどの通常DRAMである点は重要です。HBMではSamsung Electronics、SK hynix、Micronが量産、積層、熱設計、顧客認証で先行しています。
CXMTはHBM3の量産を目指していますが、現時点では大手3社に並ぶ大規模出荷が確認された段階ではありません。AI需要を株価材料として見るときは、通常DRAM価格への恩恵と、将来のHBM期待を分ける必要があります。
野村証券の目標株価「116元」はなぜ強気?

野村証券は上場日の2026年7月27日、CXMTの投資判断を「買い」、目標株価を116元として調査を開始しました。116元は公開価格8.66元を1,239.5%上回り、上場初日終値49.00元からも約136.7%高い水準です。
メモリ株は市況の変動で利益が大きく振れやすく、低いPERで評価されることがあります。それでも20倍のPERを置く野村の目標は、CXMTの高成長と中国市場の評価プレミアムを強く織り込んだ予想です。
| 項目 | 野村の前提・数値 | 評価のポイント |
|---|---|---|
| 目標株価 | 116元 | 公開価格比1,239.5%高、初日終値比約136.7%高 |
| 利益の基準年 | 2028年 | 現在ではなく2年先の予想利益を使用 |
| 予想EPS | 5.8元 | 生産能力、工程移行、販売価格の改善を前提 |
| 目標PER | 20倍 | Micronの過去5年平均約10倍の約2倍 |
| 目標時価総額 | 約7.76兆元 | 116元×発行済株式数約668.8億株 |
| 2026~2028年売上高CAGR | 63% | 増産、工程移行、平均販売単価の上昇を想定 |
| 同・親会社株主利益CAGR | 74% | 売上成長を上回る利益拡大を想定 |
2028年EPS5.8元にPER20倍
野村の計算は、2028年の予想EPS5.8元に目標PER20倍を掛けるものです。5.8元×20倍で116元となり、数式は単純ですが、重要なのはEPS5.8元へ到達するまでの成長前提です。
発行済株式数約668.8億株で計算すると、EPS5.8元は親会社株主利益約3,879億元に相当します。2026年上期予想500~570億元から大幅に利益を増やす必要があり、単なるDRAM価格の高止まりだけでなく、販売数量と高性能製品の拡大も求められます。
Micronの約2倍のPERを想定
野村は、Micronが過去5年に平均約10倍のPERで取引されてきたのに対し、CXMTには約2倍となる20倍を適用しました。シェア拡大の速さと、A株市場が半導体企業へ与える相対的に高い評価を根拠としています。
この比較はかなり強気です。CXMTがMicronより高い成長率を保ち、中国市場のプレミアムが2028年にも残らなければ、同じEPSでもPERが低下し、116元へ届きません。
116元には高成長の継続が必要
野村は2026~2028年の売上高が年平均63%、親会社株主利益が同74%成長すると予想しています。生産能力の増加、製造工程の移行、平均販売単価の上昇が同時に進む想定です。
主な下振れ要因として、メモリ需要の悪化、中国内の競争激化、部品不足、米中対立が挙げられています。メモリ市況が反転すればEPSとPERの両方が低下する可能性があるため、116元は業績の実績値ではなく、複数の強気前提が成立した場合の目標として見る必要があります。
上場初日の急騰はどこまで実力?
CXMTには業績と市場シェアに裏付けられた成長材料があります。一方、公開価格から約5.7倍となった初日の値動きには、流通株の少なさや値幅制限なしといった上場直後だけの条件も強く影響しました。
| 区分 | 主な材料 | 持続性の考え方 |
|---|---|---|
| 実力要因 | 1Q売上高719.13%増、上期大幅黒字、世界4位、DRAM価格上昇、国内顧客 | 決算と市況で確認できる。利益率とシェアが維持されれば中長期の支え |
| 成長期待 | DDR5・サーバーDRAM、増産、HBM3、中国の国産化 | 量産、歩留まり、顧客認証が実現して初めて業績へ定着 |
| 需給要因 | 申込倍率、流通株6.73%、最初の5営業日に値幅制限なし | 上場直後は強いが、流通株増加と売買沈静化で薄れやすい |
| 評価要因 | 野村の目標116元、A株の半導体プレミアム | 利益予想と目標PERが下がれば株価の支えも弱くなる |
実力要因は一日で消えるものではありませんが、株価へどこまで織り込まれたかは別問題です。終値49.00元の時価総額は約3.28兆元に達しており、今後は「成長するか」だけでなく「市場が期待するほど成長できるか」が重要になります。
CXMTの株価上昇が続くための条件
上場初日の急騰後も株価が高い評価を維持するには、短期の買い需要から実際の利益成長へ根拠が移る必要があります。特に確認したいのは次の6点です。
| 確認項目 | 上昇が続くための条件 |
|---|---|
| DRAM価格 | 通常DRAMの契約価格が急落せず、2026年上期の高い平均販売単価を維持できるか |
| 販売数量とシェア | 増産後も稼働率を保ち、世界シェア7.7%からさらに伸ばせるか |
| 利益率 | 価格上昇だけに依存せず、製品構成と歩留まりの改善で利益を残せるか |
| サーバーDRAM | DDR5・RDIMMの顧客認証と売上比率が上がり、AI需要を直接取り込めるか |
| HBM | HBM3の量産、歩留まり、採用顧客、出荷量を具体的に確認できるか |
| 通常の需給でも買われるか | 値幅制限の適用や流通株の増加後も、売買代金と機関投資家の需要が続くか |
上場直後は株価の履歴が短く、評価の基準も定まっていません。四半期決算が蓄積し、DRAM価格が落ち着いた後でも利益を維持できれば、上場初日の評価が一時的な需給だけではなかったことを確認しやすくなります。
CXMTの株価で注意したいリスク
CXMTの上昇材料は大きい一方、上場初日の高い時価総額には多くの成長期待が含まれています。次のいずれかが起こると、利益予想と評価倍率の両方が下がり、株価調整が大きくなる可能性があります。
- DRAM価格の下落:増産やAI投資の減速で供給不足が解消すると、平均販売単価と利益率が低下する
- HBM・先端工程の遅れ:大手3社との差が縮まらず、高性能製品の売上が伸びない
- 米国の輸出規制:製造装置、部品、保守サービスへのアクセスが制限され、増産や工程移行が遅れる
- 高いバリュエーション:野村が想定する成長率やPER20倍が維持されないと、目標株価の根拠が弱くなる
- 流通株の増加:ロックアップ解除や追加売却で供給株数が増え、上場初日の希少性が薄れる
- 初日特有の変動:最初の5営業日は値幅制限がなく、好材料があっても利益確定売りで急落し得る
特にDRAM価格は、CXMTが単独で決められない外部変数です。価格上昇局面では利益が急増しますが、下落局面では固定費と減価償却費が重くなり、利益が売上高以上のペースで減る可能性があります。

まとめ
CXMTは2026年7月27日の上場初日、公開価格8.66元に対して49.50元で始まり、49.00元で取引を終えました。終値は公開価格比465.82%高で、時価総額は約3.28兆元です。
上昇を支えたのは、2026年の急増益、AIサーバーによるDRAM不足、世界4位のシェア、中国の国産化需要です。これらに、IPOの高い応募倍率、流通株6.73%、最初の5営業日に値幅制限がない制度が重なり、値動きを大きく増幅しました。
野村の目標株価116元は、2028年EPS5.8元にPER20倍を掛ける強気な評価です。Micronの過去5年平均の約2倍のPERを置くため、実現には高い成長率、DRAM市況、増産、高性能製品、中国市場の評価プレミアムがそろう必要があります。
上場初日の急騰をそのまま将来の上昇率と考えず、DRAM価格、利益率、サーバーDRAM、HBM、流通株の増加を確認し、実力要因が需給要因に代わって株価を支えられるかを見極めることが重要です。
出典
Moomoo|CXMT(688825)の株価・チャート
https://www.moomoo.com/ja/stock/688825-SH
上海証券取引所|長鑫科技(688825)公告
https://www.sse.com.cn/assortment/stock/list/info/announcement/index.shtml?productId=688825
上海証券取引所|長鑫科技(688825)IPO・発行情報
https://www.sse.com.cn/ipo/bookbuilding/detail/index.shtml?securityCode=688825
上海証券取引所|Trading Mechanism
https://english.sse.com.cn/start/trading/mechanism
Reuters|Chipmaker CXMT vaults to top of China’s valuation with 530% surge in Shanghai debut
中国新聞網|長鑫科技上市首日創多項紀録
https://www.chinanews.com/cj/2026/07-27/10667241.shtml
IT之家|長鑫科技上市首日收漲465.82%、総市値3.28兆元
https://www.ithome.com/0/982/065.htm
Reuters|CXMT’S $8.6 billion Shanghai IPO draws less frenzied demand amid China tech selloff
Reuters|Institutional demand for CXMT’s $8.6 bln Shanghai IPO dented by chip stock selloff
Reuters|What is CXMT and how did it become China’s DRAM champion?
TrendForce|Rapid Contract Price Surge Drives 1Q26 DRAM Industry Up 81% QoQ
https://www.trendforce.com/presscenter/news/20260601-13070.html
TrendForce|Agentic AI Drives Structural Expansion in Memory Demand
https://www.trendforce.com/presscenter/news/20260529-13068.html
TrendForce|Tight DRAM Supply Gives Suppliers Greater Pricing Power in HBM
https://www.trendforce.com/presscenter/news/20260602-13074.html
Counterpoint Research|Capital-Rich CXMT Eyes the “Big Three” Memory Club
https://counterpointresearch.com/en/insights/cxmt-stock-market-big-three-memory-club
Financial Times|Chinese chip champion CXMT soars 466% in market debut
https://www.ft.com/content/8e82e939-908b-42bf-a314-0bb02a3f1b07
毎日経済|野村、CXMTの目標株価を116元に設定
https://www.mk.co.kr/jp/stock/12108189
毎日経済|Nomura sets CXMT target at 116 yuan(韓国語版)
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