メイコー(6787)は、スマートフォンや自動車、通信機器、AIサーバーなどに使われるプリント基板(PCB)を主力とする電子部品メーカーです。株式市場ではAIサーバーや衛星通信の成長で注目される機会が増えていますが、会社の土台を支えているのは、長年培ってきた車載向けの高信頼性技術と、スマートフォンなどで磨いた高密度・高多層化の技術です。
プリント基板は、GPUやCPU、メモリ、センサーなどの電子部品を載せ、それぞれを電気的につなぐ「電子機器の土台」にあたります。機器が高性能になるほど、基板にも高密度化、高速通信、大電流、放熱といった高度な性能が求められます。
この記事では、メイコーがどのような会社なのかを、主力のプリント基板事業、AIサーバー・車載向けで活きる技術、ベトナムの生産体制、今後の成長分野まで順番に解説します。

メイコーは何の会社?

メイコーは、プリント基板の設計・製造を中心に、部品実装・組立を行うEMS、映像関連機器の開発・製造、メカトロニクス製品の開発などを手掛ける電子関連企業です。東京証券取引所プライム市場に上場し、証券コードは6787です。
事業の中心はあくまでプリント基板です。最新の2027年3月期第1四半期では、電子回路基板事業の売上高が602億円となり、全社売上高732億円の約82%を占めました。メイコーを理解するうえでは、まず「高性能なプリント基板を大規模に生産する会社」と捉えると分かりやすいでしょう。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 会社名 | 株式会社メイコー |
| 証券コード | 6787(東証プライム・電気機器) |
| 主力事業 | プリント基板の設計・製造 |
| 主な用途 | 車載、スマートフォン、衛星通信、AIサーバーなど |
| その他の事業 | EMS、ODM、映像関連機器、メカトロニクスなど |
メイコーは半導体メーカーではない
メイコーは、半導体そのものを製造する会社ではありません。NVIDIAやAMDのようにGPU・CPUを設計する半導体メーカーでも、半導体製造装置を主力とする企業でもなく、主力製品はプリント基板です。
ただし、半導体と無関係という意味ではありません。AIサーバーではGPUやCPU、メモリなど多数の半導体を基板上に搭載するため、高速・高密度な配線を実現するPCBが不可欠です。また、メイコーは半導体パッケージ基板そのものも手掛けています。最新1Qの半導体PKG基板売上は4億円で、現時点ではAIサーバー向け基板や車載基板に比べると規模は小さいものの、次世代半導体パッケージ向け技術の研究開発も進めています。
そのため株式市場では「半導体関連銘柄」として扱われることがありますが、会社の実態は「半導体を載せる電子機器側の高性能基板メーカー」と理解する方が正確です。
プリント基板とは?メイコーは電子機器の「土台」を作る会社
プリント基板(PCB:Printed Circuit Board)は、電子機器の内部で電子部品を固定し、銅の配線によって部品同士を電気的につなぐ部品です。スマートフォン、自動車、パソコン、サーバー、家電、産業機器、航空・宇宙機器など、ほぼあらゆる電子機器に使われています。
プリント基板は電子部品を載せて接続する部品
たとえばAIサーバーでは、GPU、CPU、DRAM、電源回路、ネットワーク関連部品などを基板上に配置し、それらを高速かつ安定して接続する必要があります。自動車でも、ECU、カメラ、レーダー、センサー、電源制御など多数の電子部品が基板上で動作しています。
つまり、半導体の性能が上がるだけでは電子機器は完成しません。高性能な部品を適切に配置し、必要な信号や電力を正確に届ける基板側の性能も同時に高める必要があります。電子機器の高性能化が進むほど、プリント基板の技術難易度も上がります。
多層化・高密度化するほど基板メーカーの技術力が重要になる
電子機器の小型化や高性能化が進むと、限られた面積により多くの配線を収めなければなりません。そのため、基板内部に複数の配線層を持たせる「多層化」や、微細な配線・小径ビアを用いて配線密度を高める「高密度化」が重要になります。
メイコーが強みとするビルドアップ基板やHDI基板は、こうした高密度化に適した基板です。スマートフォンで培われた小型・高密度化の技術が、現在はAIサーバーや高速通信機器など、より高性能な分野にも広がっています。
メイコーの事業はプリント基板だけではない
メイコーの売上の中心はプリント基板ですが、基板を作って納品するだけではなく、設計、部品実装、組立、受託開発までカバーしています。顧客の製品開発から量産まで対応できることは、単純な基板製造会社との差別化につながります。
主力の電子回路基板事業が売上の約8割を占める
2027年3月期第1四半期の電子回路基板事業は売上高602億円で、前年同期比41.0%増となりました。全社売上732億円に対する比率は約82%です。メイコーの業績は、車載、スマートフォン、衛星通信、AIサーバーなど向けのプリント基板需要に大きく左右されます。
一方、用途は一つに偏っていません。最新1Qでは車載277億円、衛星通信122億円、スマートフォン・タブレット81億円、AIサーバー26億円など、複数の市場に分散しています。この用途の広さも、メイコーの事業構造を理解するポイントです。
EMSでは部品実装・組立まで一貫して対応
EMSでは、顧客から電子機器の製造を受託し、基板への電子部品実装、組立、検査、出荷までを担います。メイコーは自社でプリント基板を設計・製造できるため、基板製造から実装・組立まで一貫して対応できる点が特徴です。
顧客にとっては、基板メーカー、実装会社、組立会社へ別々に発注する手間を減らしやすく、量産移行時の調整も一本化しやすくなります。メイコー側にとっても、基板単体だけでなく製造工程全体へ関与することで、顧客との接点を広げられます。
ODM・メカトロニクスなども展開
電子機器事業では、映像関連機器などのODMや受託開発、メカトロニクス製品の開発・製造も行っています。2027年3月期第1四半期ではODM売上が61億円、EMSが54億円、新たに連結したコンポーネント事業が15億円となりました。
全社に占める規模はプリント基板より小さいものの、設計・開発、基板、実装、組立、製造設備まで扱えることで、エレクトロニクス分野のトータルソリューションを提供できる体制を構築しています。
メイコーのプリント基板は何が強い?
メイコーの強みは、一つの特殊基板だけに特化しているのではなく、スマートフォンなどで必要な高密度・高多層化と、自動車で必要な高信頼性・高耐久性という異なる技術を長年蓄積してきた点にあります。さらに、高周波、大電流、高放熱など、電子機器の性能向上に伴って重要になる技術にも対応しています。
高密度・高多層のビルドアップ基板
ビルドアップ基板は、絶縁層と導体層を積み重ねながら配線を形成し、高密度な回路を実現する基板です。小さな面積に多くの信号線を収めやすいため、スマートフォンなどの小型機器だけでなく、AIサーバーや高速通信機器でも重要性が高まっています。
最新1Qでは、ビルドアップ基板の売上が前年同期の227億円から355億円へ増え、前年同期比56.4%増となりました。電子回路基板602億円のうち約59%を占めており、現在のメイコーの成長を支える主力製品になっています。
| 製品区分 | 2025年度1Q | 2026年度1Q | 前年同期比 |
|---|---|---|---|
| 多層貫通基板 | 186億円 | 231億円 | +24.2% |
| ビルドアップ基板 | 227億円 | 355億円 | +56.4% |
| 半導体PKG基板 | 4億円 | 4億円 | 0.0% |
| その他(FPC・放熱・大電流など) | 10億円 | 12億円 | +20.0% |
車載向けで求められる高い信頼性
自動車向け基板では、スマートフォンとは異なる難しさがあります。エンジンルームなど高温になりやすい場所、長期間の使用、振動、湿度変化など厳しい環境でも安定して動作する必要があり、高い信頼性が求められます。
メイコーは、車載向けの高信頼性技術と、スマートフォンで培った高細線・高密度・高多層化技術を両輪の強みとしてきました。自動車の電子化が進むにつれて、従来の車載品質と高密度化の両方を満たす基板の需要が増えやすくなっています。
高周波・大電流・高放熱にも対応
メイコーの製品群には、高周波対応基板、大電流基板、高放熱基板、部品内蔵基板などがあります。それぞれ用途によって求められる性能が異なります。
- 高周波:ADASのレーダー、高速通信、データ通信などで信号品質を保つために重要
- 大電流:EVや電源回路など、大きな電力を扱う用途で必要
- 高放熱:パワー半導体や高発熱部品の熱を逃がし、性能や耐久性を保つために重要
- 部品内蔵:基板内部に部品を配置し、小型化や電気特性の改善を狙う技術
自動車の電動化・自動運転やAIサーバーの高性能化では、単純な配線密度だけでなく、電力供給、熱、高速信号といった複数の課題が同時に大きくなります。幅広い基板技術を持つことは、こうした市場変化へ対応しやすい強みになります。
メイコーがAIサーバー関連として注目される理由
メイコーがAIサーバー関連として注目される最大の理由は、高多層HDI基板を大規模に生産できる能力を持ち、実際にAIサーバー向け売上が伸びているためです。会社は2026年5月の決算説明会Q&Aで、AIサーバー分野の競争力について「HDI基板の大規模な生産能力が新規需要の獲得につながっている」と説明しています。
AIサーバーでは高多層HDI基板が必要になる
AIサーバーには、高性能GPU、CPU、大容量メモリ、ネットワーク関連部品などが搭載されます。データ処理量が大きく、部品間で高速に信号をやり取りするため、基板にも多くの配線層と高密度な接続が必要になります。
メイコーは、AIサーバーや衛星通信で使用される基板について「高多層HDI基板」と説明しています。高密度配線と多層化を量産規模で実現できることが、AI需要を取り込むうえでの競争力になっています。
AIサーバー向け売上は85.7%増
2027年3月期第1四半期のAIサーバー向け売上は26億円で、前年同期の14億円から85.7%増加しました。全社売上に占める規模はまだ車載や衛星通信より小さいものの、伸び率は高く、新しい成長分野として存在感を強めています。
| 用途 | 2025年度1Q | 2026年度1Q | 前年同期比 |
|---|---|---|---|
| 車載 | 221億円 | 277億円 | +25.3% |
| スマホ・タブレット | 61億円 | 81億円 | +32.8% |
| 衛星通信 | 43億円 | 122億円 | +183.7% |
| AIサーバー | 14億円 | 26億円 | +85.7% |
| 半導体PKG基板 | 4億円 | 4億円 | 0.0% |
この数字から分かるのは、メイコーが「AIというテーマだけで評価されている会社」ではなく、実際にAIサーバー向け売上を伸ばしていることです。ただし、現状は車載277億円、衛星通信122億円の方が規模は大きく、会社全体をAI専業のように捉えるのは適切ではありません。
AIサーバー向け電源基板の開発も進める
メイコーは量産中のAIサーバー向けHDI基板に加え、将来を見据えた電源基板の研究開発も進めています。AIサーバーのGPUは高性能化に伴って消費電力が増えるため、GPUの近くで安定して電力を供給することが重要になります。
会社の採用サイトでは、キャパシタを基板内部に内蔵し、GPUの近くに配置することで、低インダクタンス・低ノイズの電源基板を目指す開発を紹介しています。これは現時点での研究開発テーマとして見る必要がありますが、メイコーがAIサーバー市場を単なる既存PCBの増産先ではなく、次世代基板技術の開発領域として捉えていることが分かります。
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▼公式サイトはこちら車載向けプリント基板はメイコーの大きな収益基盤
AIサーバーの成長が注目される一方、現在のメイコーで最大級の用途は車載です。2027年3月期第1四半期の車載向け売上は277億円で、前年同期比25.3%増となりました。AIサーバー向け26億円の10倍を超える規模であり、メイコーの事業基盤を理解するうえで車載を外すことはできません。
自動運転・ADASで基板の高性能化が進む
自動車では、カメラ、ミリ波レーダー、各種センサー、ECU、通信モジュールなどの搭載が増えています。自動運転やADASが高度化するほど、車内で処理するデータ量が増え、高速通信や高密度実装への要求も高まります。
会社も2027年3月期第1四半期の事業環境について、自動車メーカーのEV戦略見直しが進む一方、自動運転・運転支援の需要は堅調と説明しています。自動車販売台数だけでなく、1台あたりの電子部品・基板搭載量が増えることが、車載基板市場の成長材料になります。
EVでは大電流・放熱技術が活きる
EVやハイブリッド車では、モーターやインバーター、電源制御などで大きな電力を扱います。電流が大きくなると基板の発熱も増えるため、大電流を安全に流すための厚銅技術や、熱を効率よく逃がす放熱技術が重要です。
メイコーは厚銅基板、銅インレイ基板、メタルベース放熱基板など複数の大電流・高放熱ソリューションを展開しています。車載で培った高信頼性と、電動化で必要になる電力・熱対策の両方を持つことが、今後の車載電子化に対応するうえでの強みになります。
ベトナムの大規模生産能力もメイコーの強み
技術力だけでなく、大量の受注を実際に生産できる能力もメイコーの競争力です。特にベトナムは、同社にとって単なる低コストの海外拠点ではなく、AIサーバーや衛星通信、高密度基板の増産を担う主力地域になっています。
ベトナム売上比率はすでに約60%
会社は2026年5月の決算説明会Q&Aで、ベトナムの売上比率は現在約60%で、今後さらに上昇すると説明しています。メイコーは約15年前からベトナムへ進出し、需要増加に合わせて継続的に設備投資を行ってきました。
現在はベトナム工場、タンロン工場、ハイズオン工場、クアンミン工場、ホアビン工場など複数の拠点を持ち、HDI、多層基板、EMS、高周波・高密度・高多層ビルドアップ基板などを生産しています。
第4工場・ホアビン工場で高性能基板の生産能力を拡大
ベトナム第4工場は2025年4月に竣工し、将来需要に備えた生産能力拡大が進められています。会社の決算説明資料では、第4工場でAIサーバー向け高多層HDI基板やメモリーモジュール基板を増産する計画が示されています。
2025年7月に竣工したホアビン工場では、高周波・高密度HDI基板、高多層基板を生産します。AIサーバーや衛星通信では高性能基板の需要が急拡大する可能性があるため、受注だけでなく量産できる工場・設備を先行して確保していることが重要です。
一方で、大規模な工場投資は立ち上げ費用や減価償却負担も伴います。ベトナムの生産能力は成長の源泉であると同時に、稼働率を高めて投資を回収できるかが業績面の重要な確認点になります。
メイコーの成長余地はどこにある?
メイコーの成長ストーリーは、車載・スマートフォンという既存の大きな事業基盤を維持しながら、AIサーバー、衛星通信、高性能通信、半導体パッケージなど新しい用途を上積みすることにあります。最新1Qでは、この構造が数字にも表れています。
車載を土台にAI・衛星通信が新たな成長エンジン
最新1Qでは、車載が277億円と最大規模を維持しながら、衛星通信が122億円へ183.7%増、AIサーバーが26億円へ85.7%増となりました。スマートフォン・タブレットも81億円へ32.8%増えています。
この構成を見ると、メイコーはAIサーバーだけに成長を依存しているわけではありません。既存の車載・スマートフォンで得た技術・顧客基盤・量産ノウハウを、衛星通信やAIサーバーへ横展開していることが現在の特徴です。
2028年度に売上高4,600億円・営業利益650億円を目指す
メイコーは中期経営計画で、2028年度に売上高4,600億円、営業利益650億円、営業利益率14.0%を目標としています。2026年3月期の売上高2,405.7億円から見ると、数年で売上規模を大きく拡大する計画です。
そのため、2025年度から2028年度までの累計設備投資として2,100億円を計画しています。AIサーバーや衛星通信向けの高多層HDI基板をはじめとする成長需要を取り込めれば、生産能力拡大が売上成長につながります。反対に、新工場の稼働率や利益率が想定ほど上がらなければ、投資負担が先行するリスクもあります。
会社の将来性を見る際は、「AI関連だから伸びる」と単純化するのではなく、高付加価値基板の受注拡大、生産能力、工場稼働率、営業利益率がそろって伸びているかを確認することが重要です。
まとめ:メイコーは車載を土台にAI・衛星通信へ成長するプリント基板メーカー
メイコーは、半導体そのものを作る企業ではなく、電子部品を搭載・接続するプリント基板を主力とするメーカーです。車載向けの高信頼性技術と、スマートフォンなどで培った高密度・高多層化技術を持ち、高周波、大電流、放熱など幅広い基板技術にも対応しています。
現在の大きな収益基盤は車載ですが、AIサーバーや衛星通信が新たな成長分野として急拡大しています。2027年3月期第1四半期ではAIサーバー向けが85.7%増、衛星通信向けが183.7%増となり、高多層HDI基板の大規模生産能力が実際の売上成長につながり始めています。
ベトナムを中心とした生産能力の拡大も強みです。今後は、既存の車載・スマートフォン事業を維持しながら、AI・衛星通信などの高付加価値基板をどこまで増やし、新工場の稼働率と利益率を高められるかが、会社の成長を左右する重要なポイントになります。
出典
- 株式会社メイコー「会社概要」
https://www.meiko-elec.com/corporate/outline/ - 株式会社メイコー「事業内容」
https://www.meiko-elec.com/corporate/activities.html - 株式会社メイコー「プリント基板 設計・製造」
https://www.meiko-elec.com/product/ - 株式会社メイコー「2026年度第1四半期 決算補足説明資料」
https://www.meiko-elec.com/pdf/ir/presentation/2027/Q1_1.pdf - 株式会社メイコー「2027年3月期 第1四半期決算短信」
https://www.meiko-elec.com/pdf/ir/statements/2027/Q1.pdf - 株式会社メイコー「2026年5月21日開催 決算説明会Q&A」
https://www.meiko-elec.com/english/ir/library/qa/2025h2qa.html - 株式会社メイコー「中期経営計画」
https://www.meiko-elec.com/ir/mid-termplan/ - 株式会社メイコー「事業所一覧」
https://www.meiko-elec.com/corporate/offices.html - 株式会社メイコー 採用サイト「メイコーを知る」
https://meiko-elec-recruit.com/aboutus/ - 株式会社メイコー 採用情報「採用担当者メッセージ」
https://www.meiko-elec.com/recruitspecial/message.html
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