ハフニウムという名前を、株式ニュースで初めて見たという人も多いのではないでしょうか。2026年8月に第一稀元素化学工業が国内製造技術の確立を発表したことをきっかけに、日本株でも投資テーマとして意識され始めた素材です。
ハフニウムは、半導体の性能を左右する材料の一つで、AI向け半導体の広がりとともに需要が注目されています。ただ、関連銘柄はハフニウムそのものを作る会社だけではありません。半導体の材料メーカー、製造装置メーカー、そして半導体を作るメーカーまで、関わり方は企業ごとに違います。
日本株・米国株の関連銘柄15社と、ハフニウムが注目される理由、銘柄を比べるときの視点を整理します。
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ハフニウム関連銘柄一覧【日本株・米国株15社】
ハフニウム関連銘柄は、大きく5つのグループに分かれます。ハフニウムを鉱石から取り出す資源・精製、金属や化合物を売る材料供給、半導体の膜をつくる原料である半導体前駆体、その膜を装置で形成する成膜装置・プロセス、そしてハフニウム系材料を実際に使う需要側です。どのグループにいるかで、株価が反応する材料が変わります。
| 銘柄 | 市場 | 分類 | ハフニウムとの関係 |
|---|---|---|---|
| 第一稀元素化学工業(4082) | 日本 | 資源・精製 | ジルコニウム中間体からハフニウムを分離・精製。2028年の国内量産化を目標 |
| 岩谷産業(8088) | 日本 | 材料供給 | 高純度ハフニウム金属、酸化ハフニウム、四塩化ハフニウムなどを取り扱う |
| ADEKA(4401) | 日本 | 半導体前駆体 | 酸化ハフニウム膜向けに、複数のハフニウム系ALD/CVD前駆体を展開 |
| トリケミカル研究所(4369) | 日本 | 半導体前駆体 | TDMAHなどハフニウム系材料を製品化し、新規前駆体の開発も継続 |
| 東ソー(4042) | 日本 | 半導体前駆体 | DRAM向けの酸化ハフニウム薄膜形成を想定した新規液体前駆体を研究 |
| 東京エレクトロン(8035) | 日本 | 成膜装置・プロセス | 酸化ハフニウム膜の研究実績を持ち、High-k対応の成膜装置を展開 |
| KOKUSAI ELECTRIC(6525) | 日本 | 成膜装置・プロセス | 酸化ハフニウム強誘電体の研究成果を公表。バッチALDを主力技術とする |
| SCREENホールディングス(7735) | 日本 | 成膜装置・プロセス | High-k膜の採用拡大に伴う洗浄工程の需要増加を想定 |
| エンテグリス(ENTG) | 米国 | 半導体前駆体 | 半導体グレードの四塩化ハフニウムをHigh-k膜の形成向けに販売 |
| エーティーアイ(ATI) | 米国 | 材料供給 | ハフニウム金属、粉末、酸化物、四塩化物など幅広い製品を供給 |
| クリティカル・メタルズ(CRML) | 米国 | 資源・精製 | グリーンランドのTanbreezでハフニウムを含む鉱床を開発 |
| アプライド・マテリアルズ(AMAT) | 米国 | 成膜装置・プロセス | 酸化ハフニウムを使うゲート絶縁膜の形成工程を装置で支援 |
| インテル(INTC) | 米国 | 需要側 | ハフニウム系High-k材料を量産トランジスタへ早期導入した代表企業 |
| マイクロン・テクノロジー(MU) | 米国 | 需要側 | DRAMのキャパシタ材料として酸化ハフニウムの高い誘電率を説明 |
| ビーコ・インスツルメンツ(VECO) | 米国 | 成膜装置・プロセス | ALD装置で酸化ハフニウム薄膜の成膜データを公開 |
同じ「ハフニウム関連」でも、鉱石から素材を取り出す企業と、その素材を使って半導体を作る企業では、業績への響き方がまったく違います。第一稀元素化学工業やクリティカル・メタルズは供給量や量産スケジュールの進捗が材料になりやすく、東京エレクトロンやマイクロンのような企業は半導体の設備投資やメモリ需要の動きに左右されます。銘柄を比べるときは、どの段階でハフニウムの需要を取り込む会社なのかを先に確認すると整理しやすくなります。
日本のハフニウム関連銘柄8社

日本勢は、ハフニウムを取り出す素材メーカーと、ハフニウムを半導体材料や製造工程で扱う企業に分かれます。テーマの起点となったのは、2026年8月に国内製造技術の確立を発表した第一稀元素化学工業(4082)です。そこに、ADEKA(4401)などの材料メーカーと、東京エレクトロン(8035)などの装置メーカーが続きます。
第一稀元素化学工業(4082)
第一稀元素化学工業は、ジルコニウム化合物を主力とする化学メーカーで、ハフニウムテーマの中心にいる日本株です。2026年8月25日、重要レアメタルであるハフニウムの国内製造技術と、サンプル試作技術を確立したと発表しました。
同社はベトナム拠点でジルコニウム鉱石から中間体を製造し、日本国内で最終製品へ加工するサプライチェーンを持っています。この中間体に1〜2%程度含まれるハフニウムを、溶媒抽出(薬品に溶かして目的の成分だけを取り出す方法)で分離・精製する仕組みです。2026年内に半導体用途などへサンプル提供を始め、2028年の国内量産化を目指します。
この技術は既存事業にも波及します。ハフニウムを分離すると、残ったジルコニウムの純度も高まるためです。新しいハフニウム製品が増えるだけでなく、主力のジルコニウム化合物の品質向上にもつながります。
岩谷産業(8088)
岩谷産業は、産業ガスに加えて資源・新素材や電子材料を幅広く扱う商社・メーカーです。公式サイトでは、半導体・HDD材料向けの高純度金属として、純度99.95%のハフニウムを掲載しています。
資源・新素材部門では、ハフニウムメタル、酸化ハフニウム、四塩化ハフニウムなども取り扱っています。金属そのものから化合物まで商流を持っているため、半導体、光学、耐熱材料といった複数の用途で需要が広がったときに、その恩恵を受け止めやすい立ち位置です。
ADEKA(4401)
ADEKAは、半導体製造で使うALD・CVD用の成膜材料を展開しています。ALDは原子1層ずつ膜を積み上げる方法、CVDはガスの化学反応で膜を作る方法で、どちらも半導体の微細な構造に薄い膜を形成する技術です。その原料となる化学物質が前駆体と呼ばれます。
同社の技術資料には、High-k材料向けのハフニウム前駆体としてHf(MMP)4、HTTB、TDMAHなど複数の化合物が掲載されています。半導体の微細化や三次元化が進むほど、深く狭い構造にもムラなく膜を付けられる前駆体の性能が重要になります。ハフニウムを半導体材料として実際に扱う数少ない日本企業の一つで、AI・先端半導体の材料需要とつながりがあります。
トリケミカル研究所(4369)
トリケミカル研究所は、半導体向けの高純度化学材料を得意とする企業です。製品一覧にはハフニウム系材料としてHOCやTDMAHが並び、Si半導体用材料のページでも、ハフニウム化合物をHigh-k材料・強誘電体材料として紹介しています。
研究開発面でも、2023年と2024年に「New Hf Precursors(新しいハフニウム前駆体)」の開発プロジェクトを公表しました。既存製品と新規開発の両方を持っているため、先端ロジック半導体やDRAM、強誘電体メモリでハフニウム系材料の採用が広がる場面では、材料メーカーとして注目が向かいやすい銘柄です。
東ソー(4042)
東ソーは総合化学メーカーですが、半導体向けのCVD・ALD前駆体も研究しています。2024年の研究技術報告では、新規の液体ハフニウム前駆体「Ts-Hf3」を開発し、酸化ハフニウム薄膜の成膜特性を公表しました。
同報告では、DRAMのキャパシタ(電気をためる部分)が微細化・三次元化することで、高アスペクト比構造、つまり細くて深い穴のような形状にも均一に膜を形成できる前駆体が求められていると説明しています。現時点では研究開発の段階ですが、先端メモリの構造変化に対応する技術を蓄積している点が、将来の半導体材料展開につながります。
東京エレクトロン(8035)
東京エレクトロンは世界大手の半導体製造装置メーカーです。公式の学会発表では「ALD HfO2 with Anhydrous H2O2」や「ALD High-k Metal Gate from Research to High Volume Manufacturing」など、酸化ハフニウムとHigh-kプロセスに関する研究成果を公表しています。
同社の成膜装置TELINDYシリーズやNT333は、High-kプロセスに対応しています。装置メーカーの収益は、ハフニウムの素材価格そのものよりも、High-k膜の採用が広がって成膜工程が高度化することから生まれます。材料側の銘柄とは、株価が反応する材料が異なります。
KOKUSAI ELECTRIC(6525)
KOKUSAI ELECTRICは、複数のウエハーをまとめて処理するバッチALDを主力とする半導体製造装置メーカーです。2026年8月には、同社従業員による酸化ハフニウムの強誘電性に関する研究論文が、学術誌Applied Physics Lettersに掲載されたと発表しました。
強誘電体とは、電圧をかけるのをやめても電気的な向きが残る材料で、電源を切ってもデータが消えないメモリへの応用が期待されています。同社は、酸素欠陥や内部応力が強誘電相の形成に与える影響を解析しています。主力のバッチALD技術と、酸化ハフニウム強誘電体の研究知見の両方を持つことが、次世代メモリの材料・成膜技術が進んだときの強みになります。
SCREENホールディングス(7735)
SCREENホールディングスは、半導体の洗浄装置で高い競争力を持つ企業です。グループのSCREENセミコンダクターソリューションズは、High-k膜の技術解説でハフニウム系材料を候補に挙げています。
さらに2025年のIR Dayでは、AI時代の高速化・低消費電力の要求を背景にCMOSへのHKMG(High-k Metal Gate、High-k絶縁膜と金属ゲートを組み合わせた構造)の導入が広がり、ウエハーを1枚ずつ処理する枚葉洗浄の需要が高まるとの見通しを示しました。ハフニウム系High-k材料が普及するほど、その前後の工程にも新しい需要が生まれるという関係です。
米国のハフニウム関連銘柄7社

米国株は、素材と前駆体を供給する企業に加えて、ハフニウム系材料を実際に半導体へ使う需要側の大手が並ぶのが特徴です。エンテグリス(ENTG)やエーティーアイ(ATI)が材料を供給し、インテル(INTC)やマイクロン・テクノロジー(MU)がそれを使う側にいます。開発段階の資源企業まで含めると、テーマの入口から出口までがそろいます。
エンテグリス(ENTG)
エンテグリスは、半導体製造用の高純度材料や供給システムを展開する企業です。半導体グレードの四塩化ハフニウム「UltraPur HfCl4」を販売し、High-k材料である酸化ハフニウム膜を作るためのALD前駆体と明記しています。
用途としてはHKMGトランジスタやキャパシタ構造を挙げており、ハフニウムと先端ロジック・メモリの距離が近い米国株です。材料の純度だけでなく、固体の前駆体を安定して供給するデリバリーシステムも提供しています。材料と供給技術の両輪で半導体需要を取り込める点が特徴です。
エーティーアイ(ATI)
エーティーアイは、航空宇宙・防衛・エネルギー・エレクトロニクス向けの特殊金属メーカーです。公式製品ページでは、ハフニウム金属、粉末、スポンジ、酸化ハフニウム、四塩化ハフニウム、合金添加材など、幅広い形態を取り扱っています。
2025年の投資家向け資料では、ハフニウムを半導体チップ上で電子の流れを分離する絶縁バリアとして紹介しました。半導体に加えて高温合金、航空宇宙、原子力といった複数の用途を持つため、半導体市況だけに左右されない需要の広がりを素材側から取り込める銘柄です。
クリティカル・メタルズ(CRML)
クリティカル・メタルズは、グリーンランドのTanbreezレアアースプロジェクトを開発するNASDAQ上場企業です。Tanbreezには、レアアースに加えてジルコニウム、ニオブ、タンタル、ハフニウム、ガリウムなどの戦略金属が含まれています。
同社は2026年5月、Tanbreez由来の精鉱を処理するルーマニアの計画中製錬所について、2030年時点で年間120〜150トン程度のハフニウム生産能力を想定すると発表しました。現時点では開発・商用化に向かう段階のため、西側の新しい供給源として計画がどこまで前に進むかが株価材料になりやすい銘柄です。
アプライド・マテリアルズ(AMAT)
アプライド・マテリアルズは世界最大級の半導体製造装置メーカーです。2026年のLogic Master Classでは、先端トランジスタのゲート絶縁膜にハフニウム酸化物が使われること、そして同社のCentura DPN HDシステムが、ハフニウム酸化物を含むゲート酸化膜の高密度化と信頼性向上を支援することを説明しています。
酸化ハフニウムを含むHigh-k/Metal Gateは、ロジック半導体の高性能化と低消費電力化を支える主要な工程です。材料需要の拡大に加えて、より複雑になったゲート構造を形成・処理する装置の需要からも恩恵を受ける位置にあります。
インテル(INTC)
インテルは、ハフニウム系High-k材料を量産のロジック半導体へ早期に取り入れた代表的な企業です。2007年に45nm世代でハフニウムベースのHigh-kゲート絶縁膜とメタルゲートを採用し、従来のSiO2と比べてゲートリーク、つまり絶縁膜を通り抜けて漏れる電流を大幅に減らしました。
インテルはハフニウムを販売する企業ではなく、使う側の代表例です。ハフニウム系材料がなぜ半導体で選ばれるのかを実績で示す存在で、AI向けCPUやアクセラレータを含む先端ロジックの高性能化が続くほど、High-k材料の重要性を裏付ける銘柄になります。
マイクロン・テクノロジー(MU)
マイクロン・テクノロジーは、DRAMやNAND、HBMを手掛ける大手メモリメーカーです。同社の技術教育資料では、DRAMのキャパシタに使う誘電体について、High-k材料ほど多くの電荷をためられると説明し、酸化ハフニウムの比誘電率を約25として紹介しています。比誘電率は電気のためやすさを示す数値で、大きいほど小さな面積で多くの電荷を扱えます。
AIサーバーではHBMや大容量DRAMの需要が増えており、メモリの微細化・高密度化が進むほど、キャパシタ材料の性能が効いてきます。ハフニウム系材料の最終需要側として、AIメモリ市場とのつながりを確認できる銘柄です。
ビーコ・インスツルメンツ(VECO)
ビーコ・インスツルメンツは半導体プロセス装置メーカーです。公式のALD技術資料では、酸化ハフニウム薄膜について、ハフニウム系前駆体と水を使った成膜条件や膜厚の均一性データを公開しています。
ALDは原子層レベルで膜の厚さを制御できるため、High-k材料や三次元構造の形成では欠かせない手法です。酸化ハフニウムのような高誘電率膜を扱う研究・製造が広がるほど、ALD装置とプロセス技術を持つ企業にも事業機会が生まれます。
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ハフニウム関連銘柄の本命はどれ?
株価が上がるかどうかまでは断定できませんが、ハフニウムとの事業上の直接性で見ると、注目度の高い銘柄は絞り込めます。日本株の本命候補は第一稀元素化学工業(4082)です。ジルコニウム中間体からハフニウムを実際に分離・精製し、2028年の量産化を目指しているためです。半導体材料の側では、ADEKA(4401)とトリケミカル研究所(4369)、米国株ではエンテグリス(ENTG)が、ハフニウム系の前駆体を製品として直接扱っています。
| 銘柄 | ハフニウムを直接扱う根拠 | 材料になりやすい動き |
|---|---|---|
| 第一稀元素化学工業(4082) | ジルコニウム中間体からの分離・精製技術を確立 | サンプル提供・量産化の進捗 |
| ADEKA(4401) | High-k向けにHf(MMP)4、HTTB、TDMAHなど複数の前駆体を展開 | 先端半導体でのHigh-k材料の採用拡大 |
| トリケミカル研究所(4369) | HOC、TDMAHを製品化し、新規前駆体も開発中 | High-k・強誘電体材料の需要 |
| エンテグリス(ENTG) | 半導体グレードの四塩化ハフニウムを販売 | High-k膜の形成向け材料需要 |
| エーティーアイ(ATI) | 金属、粉末、酸化物、四塩化物を幅広く供給 | 半導体に加え航空宇宙・原子力の需要 |
| 岩谷産業(8088) | 純度99.95%の金属や化合物を取り扱い | 用途拡大に伴う商流の広がり |
一方、東京エレクトロン(8035)やアプライド・マテリアルズ(AMAT)、インテル(INTC)、マイクロン・テクノロジー(MU)は、ハフニウム系材料を使う側や、その膜を形成する装置側にいます。テーマとしての関わりは明確でも、事業規模が大きいぶんハフニウムの動きが業績を左右するとは限りません。本命候補というより、テーマの広がりを示す銘柄として見ると整理しやすくなります。
日本株の本命候補は第一稀元素化学工業(4082)
第一稀元素化学工業が候補の筆頭になる理由は、「分離・精製の技術確立→サンプル提供→量産化」という事業化のロードマップを持っているためです。2026年8月に技術確立を発表し、2026年内にサンプル提供、2028年に国内量産化という順番が示されています。
段階が区切られているぶん、サンプルの評価結果、顧客の採用、設備投資、量産開始といった節目ごとにニュースが出やすい銘柄です。ただし現時点は量産前で、ハフニウムの売上はまだ業績に表れていません。株価はロードマップの進捗と期待で動きやすい段階にあります。
半導体材料で直接扱うのはADEKA・トリケミカル研究所・エンテグリス
この3社は、ハフニウム系前駆体を研究段階ではなく製品として販売している点が共通します。ADEKAは複数のハフニウム前駆体を技術資料に掲載し、トリケミカル研究所はHOCやTDMAHを製品一覧に載せ、エンテグリスは四塩化ハフニウムをHigh-k膜形成向けの前駆体として販売しています。
材料の採用が広がれば売上に直結する立場ですが、ハフニウム関連の売上が全社のどれくらいを占めるかは、各社の公表資料からは確認できません。そのため、High-k材料の採用拡大がどの程度業績に届くかは、決算での半導体材料事業の伸びを見ながら判断していく必要があります。
ハフニウムとは?レアアースではなくレアメタルの1種
ハフニウムは元素記号Hf、原子番号72の金属元素で、レアアースとは別の「レアメタル」に分類されます。名前の響きが似ているため混同されやすい部分です。経済産業省が定める重要鉱物の対象鉱種にも、ハフニウムが含まれています。
自然界では単独の鉱石として出てくることが少なく、主にジルコニウム鉱石にわずかに混ざっています。第一稀元素化学工業の説明では、その含有量は1〜2%程度です。しかもジルコニウムと化学的な性質が非常によく似ているため、分離・精製には高度な技術が必要になります。
この「ジルコニウムの副産物として得られる」という性質が、投資テーマとしての特徴を作っています。ハフニウムだけの需要が増えても、ジルコニウムの生産量と切り離して供給を急に増やすのが難しいためです。供給側では、ジルコニウムの精製能力と分離技術を持つ企業が鍵を握ります。
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ハフニウムがAI・半導体で注目される理由
ハフニウムが注目される最大の理由は、半導体の電気の漏れを抑えながら性能を上げる材料として使われるからです。ロジック半導体のゲート絶縁膜、DRAMのキャパシタ、次世代の不揮発性メモリと、用途は複数の領域に広がっています。AIとデータセンターの拡大で高性能かつ省電力な半導体の需要が伸びるほど、この材料の重要性も増していきます。
酸化ハフニウムはHigh-k材料として使われる
半導体のトランジスタを小さくすると、スイッチの役割を担うゲート絶縁膜も薄くする必要があります。ただし従来のSiO2を極端に薄くすると、絶縁膜を電子がすり抜けて漏れてしまいます。そこで登場するのが、誘電率の高いHigh-k材料です。誘電率が高い材料を使えば、膜を物理的に厚いまま保ちながら、薄い膜と同じ電気的な働きを得られます。
その代表格が酸化ハフニウム(HfO2)です。インテルは45nm世代からハフニウム系High-kゲート絶縁膜を量産に導入し、現在もHigh-k/Metal Gateは先端ロジックの主要技術として使われ続けています。
DRAMキャパシタや強誘電体メモリにも使われる
ハフニウム系材料の出番はロジック半導体だけではありません。東ソーはDRAMキャパシタ向けの酸化ハフニウム薄膜を想定した前駆体を研究しており、マイクロンの教育資料でも酸化ハフニウムが高誘電率材料として紹介されています。メモリでも電気をためる部分の材料として使われています。
さらに酸化ハフニウムは、条件によって強誘電性を示すことが知られています。電源を切ってもデータが残るFeRAMやFeFETといった次世代メモリへの応用研究が進んでおり、KOKUSAI ELECTRICが2026年に公表した研究成果も、この強誘電体を対象としたものです。
AI・データセンターの成長が高性能・省電力半導体の需要を押し上げる
生成AIやデータセンターでは、計算性能と同じくらい消費電力の抑制が課題になっています。ロジック半導体の微細化やHBM・DRAMの高密度化が進むほど、電気の漏れを抑えるHigh-k材料と、それを均一に形成する成膜プロセスの重要性が高まります。
第一稀元素化学工業も、ハフニウムをAI・データセンター向け半導体の高性能化・省電力化を支えるHigh-k材料の主要原料と説明しています。AI需要の拡大はハフニウムを売る企業だけの話ではなく、前駆体、ALD装置、洗浄・プロセス、メモリやロジックの需要側まで、テーマの裾野を広げる要因になります。
ハフニウムの主な用途
ハフニウムは半導体材料として語られることが多いものの、実際の用途はそれだけではありません。高い融点と耐熱性、中性子を吸収する性質、高い屈折率といった特性を生かし、航空宇宙や原子力、光学の分野でも使われています。
| 用途 | ハフニウムの役割 | 関連する銘柄の例 |
|---|---|---|
| 半導体 | High-k絶縁膜、キャパシタ、強誘電体材料 | ADEKA、トリケミカル研究所、エンテグリス、東京エレクトロンなど |
| 航空宇宙 | 高い融点と耐熱性を生かした超高温合金や特殊材料 | エーティーアイなど |
| 原子力 | 中性子を吸収する性質を生かした制御用途 | エーティーアイなど |
| 光学材料 | 高い屈折率などを生かした光学コーティング | 岩谷産業など |
| 資源・精製 | ジルコニウム鉱石からの分離・精製、供給源の開発 | 第一稀元素化学工業、クリティカル・メタルズなど |
用途が複数あるということは、関連銘柄の成長ドライバーもAI・半導体だけに限られないということです。エーティーアイのように航空宇宙や原子力の需要も抱える企業は、半導体市況が一服する局面でも別の需要が支えになります。
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ハフニウム価格は高水準で推移
ハフニウムの価格は、2021年から2023年にかけて急騰し、その後はピークから下げたものの、依然として数年前より高い水準にあります。USGS(米国地質調査所)のMineral Commodity Summaries 2026によると、未加工ハフニウムの年平均価格は2021年の781ドル/kgから2023年には6,130ドル/kgまで上昇しました。
| 年 | 未加工ハフニウムの年平均価格(ドル/kg) |
|---|---|
| 2021年 | 781 |
| 2022年 | 1,590 |
| 2023年 | 6,130 |
| 2024年 | 4,560 |
| 2025年(推定) | 3,800 |
2023年のピークは2021年の約7.8倍でした。2025年の推定価格3,800ドル/kgはピークから約38%低い水準ですが、2021年と比べるとなお約4.9倍です。数字だけを見ると調整局面ですが、価格の基準そのものが切り上がったと捉えられます。
ただし、この価格は国際的な未加工ハフニウムの参考値です。各社が販売する半導体グレードの前駆体や化合物の販売単価とは一致しません。それでも、ハフニウムの需給がどちらに傾いているかを把握する目安にはなります。
供給面では、ハフニウムがジルコニウム生産に付随して得られるため、需要が急に増えても供給だけを独立して増やしにくい構造があります。新しい分離・精製技術や西側での資源開発が進めば、供給網の多様化そのものが投資テーマになり得ます。
ハフニウム関連銘柄の選び方
関連銘柄を比べるときは、「ハフニウムに関係している」かどうかではなく、ハフニウム需要の拡大が業績にどう届くかで見ると整理しやすくなります。確認したい主な項目は次のとおりです。
- ハフニウム関連の売上が全体に占める比率
- 実際の販売・採用実績があるか、研究段階か
- 量産や商用化のスケジュール
- 供給能力(生産量、精製能力、製造拠点)
- 素材価格の上昇を価格転嫁できる立場か
- 半導体以外の用途を持っているか
- 株価にテーマがどこまで織り込まれているか
どのサプライチェーンにいる企業か
同じテーマでも、恩恵の受け方は立ち位置で変わります。第一稀元素化学工業やエーティーアイは素材・精製、ADEKAやエンテグリスは半導体前駆体、東京エレクトロンやアプライド・マテリアルズは成膜・プロセス装置、インテルやマイクロンは最終需要側にいます。
素材価格の上昇を取り込みやすい企業、半導体の設備投資拡大を取り込みやすい企業、AI向けロジック・メモリ需要の拡大を取り込みやすい企業。この3つに分けて眺めると、同じハフニウムテーマでも狙いどころが違うことが見えてきます。
商用化・量産化の進捗が新しい材料になりやすい
第一稀元素化学工業は2026年内のサンプル提供と2028年の量産化を目標に掲げ、クリティカル・メタルズもTanbreezの開発と将来の製錬計画を進めています。こうした企業では、サンプル評価、顧客の採用、生産能力、設備投資、量産開始といった進捗の一つひとつが新しい株価材料になりやすい特徴があります。
一方、ADEKA、トリケミカル研究所、エンテグリス、エーティーアイのように既にハフニウム系材料を扱っている企業では、先端半導体や航空宇宙といった既存市場の需要拡大が、テーマの継続性につながります。
材料だけでなく装置・工程にも恩恵が広がる
酸化ハフニウムなどのHigh-k材料を半導体に使うには、前駆体を用意するだけでは足りません。ALD/CVDによる成膜、熱処理、洗浄、計測と、複数の工程が必要になります。東京エレクトロン、KOKUSAI ELECTRIC、SCREENホールディングス、アプライド・マテリアルズは、このプロセス側からテーマに参加しています。
ハフニウム市場そのものの規模は、半導体市場と比べれば小さいものです。High-kや強誘電体メモリの普及が製造工程全体にどんな新規需要を生むかという視点を持つと、関連銘柄の候補は大きく広がります。
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ハフニウム関連銘柄に投資する際の注意点
テーマとしての広がりは大きい一方、ハフニウムの需要が株価や業績にどこまで反映されるかは企業ごとに差があります。投資判断の前に確認したいのは、売上への寄与度、量産までの時間軸、素材価格との関係の3点です。
ハフニウム事業が売上に占める比率は企業ごとに違う
インテルやマイクロン、アプライド・マテリアルズ、東京エレクトロンは事業規模が大きく、ハフニウム関連の動きだけで業績が大きく変わるわけではありません。これらの銘柄の株価は、半導体市況やAI関連の設備投資動向に強く影響されます。ハフニウムのニュースを材料に買う場合と、企業の業績を見て買う場合では、確認すべき指標が変わります。
量産前の計画は業績に反映されていない
第一稀元素化学工業のサンプル提供は2026年内、量産化は2028年が目標です。クリティカル・メタルズの製錬所も計画段階で、生産能力の想定は2030年時点のものです。計画はスケジュールが変わることもあり、進捗の遅れや前提の変更が出た場合には、下落材料として意識される点に注意が必要です。
素材価格と株価は必ずしも連動しない
USGSが公表する価格は未加工ハフニウムの国際的な参考値で、各社の販売価格や採算とは別物です。素材価格が上がっても、それを製品価格へ転嫁できるかは企業によって異なります。また、テーマ物色で急騰した後は値動きが荒くなりやすいため、材料が出た後の株価水準と出来高は継続的に確認したいポイントです。
まとめ
ハフニウム関連銘柄は、第一稀元素化学工業のような精製・製造企業から、岩谷産業やエーティーアイの材料供給、ADEKAやエンテグリスの半導体前駆体、東京エレクトロンやアプライド・マテリアルズの成膜・プロセス装置、インテルやマイクロンの需要側まで、幅広く存在します。
テーマの背景にあるのは、AI・データセンターの拡大による高性能化と省電力化の要求です。酸化ハフニウムはHigh-k膜や次世代メモリで使われるため、素材の供給能力だけでなく、前駆体、ALD装置、半導体の製造工程まで含めて捉えると、テーマ全体の広がりがつかめます。
今後確認したいのは、第一稀元素化学工業のサンプル提供と量産スケジュールの進捗、クリティカル・メタルズの開発計画、そしてAI向け半導体の設備投資動向です。ハフニウム関連の売上が業績のどこにどれだけ現れるかを見極めながら、判断していきたいところです。
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出典
- 第一稀元素化学工業「重要レアメタル『ハフニウム』の国内製造技術を確立、2026年内にサンプル提供開始、2028年に量産化へ」 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000004.000171462.html
- 岩谷産業「半導体・HDD材料(高純度金属・高機能パッケージ材料)」 https://www.iwatani.co.jp/jpn/business/material/electronic-materials/products/semiconductor-hdd/
- 岩谷産業「Zr(ジルコニウム)化合物/ハフニウム化合物」 https://www.iwatani.co.jp/jpn/business/material/resources-advanced/products/zr/
- ADEKA「ALD/CVD材料 Technical Information」 https://www.adeka.co.jp/chemical/products/it/pdf/ald_cvd_201701.pdf
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- ATI「Hafnium Tetrachloride」 https://www.atimaterials.com/Products/Pages/hafnium-tetrachloride-s-grade.aspx
- ATI「This is ATI – Investor Presentation 2025」 https://www.atimaterials.com/Documents/This%20is%20ATI-2025-Jul.pdf
- Critical Metals Corp「CRML Set to Become the Market Leader for Hafnium Production and Supply Security」 https://www.criticalmetalscorp.com/crml-set-to-become-the-market-leader-for-hafnium-production-and-supply-security-taking-away-chinas-current-75-market-share/
- Critical Metals Corp「Projects – Tanbreez」 https://www.criticalmetalscorp.com/projects/
- Applied Materials「Logic Master Class 2026」 https://ir.appliedmaterials.com/static-files/109fae11-37aa-4eb4-993a-f82f880dfc3b
- Intel「45nm Next-Generation Core Microarchitecture White Paper」 https://www.intel.com/content/dam/doc/white-paper/45nm-next-generation-core-microarchitecture-white-paper.pdf
- Micron「Introduction to Memory」 https://www.micron.com/content/dam/micron/educatorhub/intro-to-memory/MicronIntroduction-to-Memory-Presentation.pdf
- Veeco「Low Temperature ALD」 https://www.veeco.com/wp-content/uploads/2020/04/cf648f046a9579736b324d1e6330b501.pdf
- 経済産業省「重要鉱物」 https://www.meti.go.jp/policy/economy/economic_security/metal/index.html
- U.S. Geological Survey「Mineral Commodity Summaries 2026」 https://pubs.usgs.gov/periodicals/mcs2026/mcs2026.pdf

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