フェローテックという社名だけでは、何を作っている会社なのか分かりにくいと感じる人も多いのではないでしょうか。
株式市場では半導体関連銘柄として紹介されることが多いものの、フェローテックはGPUやメモリなどの半導体チップを直接製造している会社ではありません。
半導体製造装置に使われる真空シール、石英、セラミックスなどの部品・材料を中心に、サーモモジュールやパワー半導体用基板、装置部品の洗浄サービスなどを展開しています。
この記事では、フェローテックの事業内容、半導体との関係、強み、事業を見るうえでのポイントを解説します。

フェローテックは何の会社?

フェローテックは、半導体製造装置向けの部品・材料を中心に展開するメーカーです。
半導体そのものを製造するのではなく、半導体製造装置メーカーや半導体工場に対して、製造工程で必要となる部品、材料、洗浄サービスなどを提供しています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 会社名 | 株式会社フェローテック |
| 証券コード | 6890 |
| 上場市場 | 東証スタンダード |
| 設立 | 1980年9月27日 |
| 本社 | 東京都中央区日本橋 |
| 主な事業 | 半導体等装置関連、電子デバイス、車載関連 |
| 主力製品 | 真空シール、石英、セラミックス、サーモモジュール |
| 特徴 | 半導体製造を部品・材料・サービスから支える |
フェローテックの製品は、半導体製造装置の内部や、半導体工場の保守・運用など幅広い場面で使用されています。
例えば、半導体製造装置の真空状態を維持する真空シール、高温やプラズマに耐える石英・セラミックス、使用済み装置部品を再利用するための洗浄サービスなどがあります。
さらに、電子デバイス事業では、電流を流すことで加熱・冷却を行うサーモモジュールを展開しています。
サーモモジュールは、半導体製造装置、通信機器、医療機器、家電、自動車などの温度制御に使われる製品です。
フェローテックは、半導体製造の縁の下を部品・材料・サービスから支える企業といえます。
磁性流体から始まった会社
フェローテックは1980年、米国のFerrofluidics Corporationの日本法人として設立されました。
創業時の中心製品は、社名の由来にもなっている磁性流体です。
磁性流体は、鉄などの微細な磁性粒子を液体中に分散させた機能性材料で、磁石を近づけると磁力に反応する性質があります。
フェローテックは、この磁性流体を利用して、回転軸の周囲を密閉する真空シールを開発しました。
真空シールは、装置の外部から内部へ回転運動を伝えながら、装置内部の真空状態を維持する部品です。
半導体製造では、空気や不純物の混入を防いだ真空環境が必要になる工程が多いため、真空シールは重要な役割を担います。
その後、フェローテックは企業買収や設備投資を通じて、事業領域を拡大してきました。
現在は次のような製品・サービスを展開しています。
- 真空シール
- 石英製品
- ファインセラミックス
- CVD-SiC
- シリコンパーツ
- 半導体製造装置部品の洗浄
- サーモモジュール
- パワー半導体用基板
- シリコンウエーハ
磁性流体の応用製品から始まり、現在では半導体製造工程の幅広い範囲を支える企業へ成長しています。
フェローテックホールディングスから社名変更
フェローテックの以前の社名は、株式会社フェローテックホールディングスです。
2025年7月1日、国内事業会社であったフェローテックマテリアルテクノロジーズを吸収合併し、商号を株式会社フェローテックへ変更しました。
| 項目 | 変更内容 |
|---|---|
| 旧社名 | 株式会社フェローテックホールディングス |
| 現在の社名 | 株式会社フェローテック |
| 変更日 | 2025年7月1日 |
| 証券コード | 6890のまま継続 |
| 会社形態 | 純粋持株会社から事業持株会社へ移行 |
合併前は、フェローテックホールディングスがグループ全体を管理し、国内の事業会社が製品の開発・製造・販売を担当していました。
合併後は持株会社と国内事業会社が一体となり、グループ管理と事業運営を同じ会社が行う体制になっています。
社名は変更されていますが、証券コード6890や上場株式が別の銘柄へ変更されたわけではありません。
フェローテックの事業内容

フェローテックは、主に半導体等装置関連、電子デバイス、車載関連の3事業を展開しています。
| 事業 | 主な製品・サービス | 主な用途 |
|---|---|---|
| 半導体等装置関連 | 真空シール、石英、セラミックス、CVD-SiC、部品洗浄 | 半導体製造装置・工場 |
| 電子デバイス | 磁性流体、サーモモジュール、パワー半導体用基板 | 温度制御、光通信、産業機器 |
| 車載関連 | サーモモジュール、磁性流体、センサ | 自動車の温調・検知 |
| その他 | 産業機器、装置組立など | 幅広い製造業 |
なかでも、売上高や利益への影響が大きいのが半導体等装置関連事業です。
一方、電子デバイス事業では、AIデータセンター向け光通信やパワー半導体などの成長市場を取り込んでいます。
半導体等装置関連事業
半導体等装置関連事業は、フェローテックの中心となる事業です。
半導体やFPDを製造する装置に使用される部品・材料のほか、装置部品の洗浄・再生サービスなどを提供しています。
主な製品・サービスは次のとおりです。
- 真空シール
- 石英製品
- ファインセラミックス
- CVD-SiC
- シリコンパーツ
- 石英坩堝
- 半導体製造装置部品の洗浄
- 再生ウエーハ
- 装置組立
真空シールは、真空状態を保ちながら装置内部へ回転運動を伝える部品です。
石英やセラミックスは、高温、プラズマ、薬液などの厳しい環境に耐える装置内部の部材として使われます。
CVD-SiCは、高純度、高耐熱、高耐食性などが求められる半導体製造装置向けの材料です。
半導体等装置関連事業の特徴は、新しい製造装置が販売されたときだけ需要が発生するわけではないことです。
装置が稼働すると、内部部品の摩耗や劣化が進むため、交換部品や洗浄サービスの需要が継続的に発生します。
そのため、フェローテックの業績には次の両方が影響します。
- 半導体メーカーによる新規設備投資
- 既存の半導体工場における稼働率
半導体工場の新設が増える局面だけでなく、既存工場の生産量が増える局面でも、消耗部材や洗浄サービスの需要拡大が期待できます。
電子デバイス事業
電子デバイス事業では、磁性流体、サーモモジュール、サーミスタ、DPC基板、パワー半導体用基板などを展開しています。
主力製品の一つが、電流によって加熱と冷却を行うサーモモジュールです。
サーモモジュールは、2種類の半導体材料に電流を流すことで、片面が冷え、反対側が熱くなる「ペルチェ効果」を利用した製品です。
コンプレッサーや冷媒を使わず、電流の向きを変えるだけで加熱・冷却を切り替えられる特徴があります。
主な用途は次のとおりです。
- 半導体製造装置
- 光通信機器
- 医療機器
- 家電製品
- 産業機器
- 自動車
- バイオ関連機器
近年は、AIデータセンターで使われる光トランシーバー向けの需要が注目されています。
光トランシーバーは、電気信号を光信号へ変換し、高速でデータを送受信するための部品です。
内部のレーザーダイオードは温度によって出力や波長が変化するため、サーモモジュールを使って温度を一定に保つ必要があります。
フェローテックは光トランシーバー向けに、次の製品を提供しています。
- TECと呼ばれるサーモモジュール
- 温度を検知するサーミスタ
- 放熱性に優れたDPC基板
AIサーバーの普及でGPU間通信が高速化すれば、光トランシーバーや温度制御部品の需要増加につながる可能性があります。
また、パワー半導体用基板は、EV、再生可能エネルギー、産業機器などで使われるパワー半導体の絶縁と放熱を支える製品です。
車載関連事業
車載関連事業では、自動車向けのサーモモジュール、温度センサ、磁性流体を利用した製品などを展開しています。
自動車では、電子部品やバッテリーの増加に伴い、熱を適切に管理する技術の重要性が高まっています。
フェローテックの製品は、次のような用途での利用が想定されます。
- シートの加熱・冷却
- バッテリー周辺の温度管理
- 車載電子部品の冷却
- 温度の検知
- 振動や音を制御する部品
EVでは、バッテリーの温度が性能や寿命、安全性に影響します。
そのため、温度を制御・検知するサーモモジュールやセンサの需要拡大が期待されます。
一方、車載関連事業は、自動車販売台数やEV市場の成長速度、顧客の在庫調整などの影響を受けます。
半導体等装置関連事業とは需要のサイクルが異なることにも注意が必要です。
フェローテックと半導体の関係
フェローテックは半導体チップを直接製造する企業ではありません。
半導体を作るための製造装置や工場に必要な部品・材料・サービスを提供しています。
| 半導体との関係 | フェローテックの製品・サービス |
|---|---|
| 製造装置を動かす | 真空シール、チラー |
| 装置内部で使う | 石英、セラミックス、CVD-SiC |
| 稼働後に交換する | 消耗部材、シリコンパーツ |
| 装置を保守する | 部品洗浄、再生サービス |
| 半導体を支える | シリコンウエーハ、パワー半導体用基板 |
| データ通信を支える | サーモモジュール、サーミスタ、DPC基板 |
フェローテックは、半導体製造装置の新設需要だけでなく、工場稼働後の交換・洗浄需要も取り込める事業構造を持っています。
半導体そのものではなく製造工程を支える
フェローテックは、GPU、CPU、DRAM、NAND型フラッシュメモリなどを直接製造している半導体メーカーではありません。
また、東京エレクトロンやSCREENホールディングスのように、完成した半導体製造装置を主力とする企業とも立ち位置が異なります。
フェローテックが主に供給するのは、製造装置に組み込まれる部品や材料です。
半導体製造では、成膜、露光、エッチング、洗浄など、複数の工程を繰り返します。
それぞれの工程では、高温、真空、プラズマ、薬液などの特殊な環境が必要になるため、一般的な部品や材料では対応できません。
フェローテックは、こうした厳しい環境に対応する高純度・高耐久の部品や材料を供給しています。
また、装置内部の部品は使用するにつれて摩耗・劣化するため、交換や洗浄も必要です。
そのため、半導体メーカーの設備投資だけでなく、半導体工場の稼働率もフェローテックの業績に影響します。
真空シールは半導体装置の真空を保つ
半導体製造では、空気中の酸素や不純物が製品へ混入するのを防ぐため、真空環境で加工を行う工程があります。
一方、装置内部の部品を回転させるには、外部のモーターから回転運動を伝えなければなりません。
通常の回転軸では、軸の隙間から空気が装置内部へ入り、真空状態を維持できなくなる可能性があります。
フェローテックの真空シールは、回転軸の周囲に磁性流体を保持することで、回転運動を伝えながら気体の侵入を防ぐ部品です。
主に次のような装置で使用されます。
- 成膜装置
- エッチング装置
- イオン注入装置
- FPD製造装置
- 太陽電池製造装置
真空シールは、装置の性能や安定稼働に関わる重要な部品です。
顧客による認定や長期間の信頼性評価も必要になるため、簡単に他社製品へ切り替えにくい特徴があります。
石英・セラミックスは装置内部で使われる
半導体製造装置の内部では、高温、プラズマ、腐食性ガス、薬液などが使用されます。
装置部材には、厳しい環境に耐える性能に加えて、半導体を汚染しない高い純度も必要です。
フェローテックが扱う石英やファインセラミックスは、次のような特徴を持っています。
- 耐熱性
- 耐薬品性
- 耐プラズマ性
- 電気絶縁性
- 高純度
- 寸法安定性
石英製品は、半導体製造工程で使われる容器、チューブ、治具などに利用されます。
セラミックスは、装置内部の構造部材、絶縁部品、精密部品などに使われます。
これらの部材は、装置を稼働させるうちに摩耗・劣化するため、定期的な交換が必要です。
したがって、新しい製造装置の販売だけでなく、既存工場の稼働率上昇も石英・セラミックス需要の拡大要因になります。
部品洗浄は半導体工場の稼働で需要が発生する
半導体製造装置を稼働させると、装置内部の部品に微細な付着物や反応生成物が蓄積します。
付着物を放置すると、製造する半導体に異物が混入し、歩留まりや品質が悪化する可能性があります。
そのため、装置部品を定期的に取り外し、洗浄・再生する必要があります。
フェローテックは、使用済みの装置部品について、汚れの除去、表面処理、再生などを行うサービスを展開しています。
部品洗浄サービスの特徴は、新しい装置が販売されたときだけ発生する収益ではないことです。
半導体工場が稼働している限り、一定の頻度で洗浄が必要になります。
工場の生産量が増えて装置稼働率が上昇すれば、洗浄回数も増えやすくなります。
装置部品の販売に加えて、継続的な洗浄・再生需要を取り込めることは、業績の安定性を高める要因になります。
AIデータセンターの光通信にも関係する
フェローテックは、半導体製造装置向け部品だけでなく、AIデータセンターの光通信にも関係しています。
AIサーバーでは、多数のGPUを接続し、大量のデータを高速でやり取りする必要があります。
従来の電気配線だけでは、通信速度や消費電力、発熱などの課題が大きくなるため、光トランシーバーを使った通信が増えています。
光トランシーバー内部のレーザーダイオードは、温度が変化すると出力や波長が不安定になります。
そのため、TECと呼ばれるサーモモジュールを使い、レーザーダイオードの温度を精密に制御します。
フェローテックは、光トランシーバー向けに次の製品を提供しています。
- TEC
- サーミスタ
- DPC基板
光通信規格は800Gから1.6Tへ高速化しており、将来的には3.2Tへの移行も見込まれています。
フェローテックは量産能力と自動化技術を強みとし、主要顧客向けのレーザーダイオード冷却用TECで高いシェアを持つと説明しています。
半導体製造装置とAIデータセンター向け光通信の両方からAI需要を取り込めることが、フェローテックの特徴です。
フェローテックの強み

フェローテックの強みは、真空シールやサーモモジュールにおける市場シェアだけではありません。
幅広い素材を扱う技術力、素材から洗浄まで対応できる事業領域、顧客需要に合わせた量産力なども競争力につながっています。
| 強み | 内容 |
|---|---|
| 世界シェア | 真空シール・サーモモジュールでトップシェア |
| 製品の幅広さ | 石英、セラミックス、SiC、シリコンなどを扱う |
| 一気通貫体制 | 素材、加工、装置組立、洗浄まで対応 |
| 量産対応力 | 顧客需要に合わせて生産能力を拡大 |
| 顧客基盤 | 大手半導体製造装置メーカーへ長期供給 |
| グローバル展開 | 日本、中国、マレーシア、欧米に拠点 |
真空シール・サーモモジュールで世界トップシェア
フェローテックの公式サイトでは、真空シールとサーモモジュールを世界トップシェア製品として紹介しています。
いずれも市場全体から見るとニッチな分野ですが、装置や機器の性能、安定性、耐久性に関わる重要な部品です。
真空シールは、半導体製造装置の真空環境を維持しながら、内部へ回転運動を伝える役割を持ちます。
サーモモジュールは、半導体製造装置や光通信機器などの温度を精密に制御します。
これらの製品は、採用前に顧客による評価や認定が必要です。
装置へ組み込んだ後も、長期間にわたって安定して動作する信頼性が求められます。
一度採用された部品を別メーカーの製品へ切り替える場合、装置の設計変更や再評価が必要になることもあります。
そのため、長年の供給実績と顧客との関係が参入障壁になります。
ニッチ市場で高いシェアと長期供給実績を持つことが、フェローテックの競争力です。
幅広い素材を扱える
フェローテックは、半導体製造装置向けに複数の素材を扱っています。
代表的な素材は次のとおりです。
- 石英
- シリコン
- 窒化ケイ素
- CVD-SiC
- ファインセラミックス
- 金属
- 磁性流体
半導体製造装置では、使用される工程や環境によって、部品に求められる性能が異なります。
高温への耐久性が必要な部品もあれば、プラズマへの耐性、絶縁性、熱伝導性、高純度が求められる部品もあります。
複数の素材を扱えることで、顧客の用途に応じて適切な材料や加工方法を提案できます。
また、顧客が複数の部品を調達する際に、フェローテックへまとめて発注できる可能性もあります。
素材の生成・調達だけでなく、精密加工や量産まで対応できることが強みです。
素材から洗浄まで一気通貫で対応できる
フェローテックは、素材や部品を販売するだけでなく、製造工程の幅広い範囲に対応しています。
主な対応領域は次のとおりです。
- 素材の製造・調達
- 精密加工
- 部品製造
- 装置組立
- 装置部品の洗浄
- 部品の再生
- 消耗部材の交換
半導体製造装置メーカーや半導体工場では、工程ごとに別の企業へ発注すると、調達先の管理や品質確認が複雑になります。
フェローテックが複数の工程に対応できれば、顧客は調達先を集約しやすくなります。
また、部品を販売して終わるのではなく、使用後の洗浄や再生まで受託することで、継続的な取引につながる可能性があります。
素材、加工、組立、洗浄まで一気通貫で対応できることは、単一製品だけを扱う企業との差別化要因です。
顧客の増産に対応できる量産力
半導体市場では、AIやデータセンター向け需要の拡大によって、部品・材料の注文が短期間で大きく増えることがあります。
需要があっても十分な生産能力を持っていなければ、受注を売上へつなげることはできません。
フェローテックは、中国で大規模な生産拠点を構築し、量産ノウハウを蓄積してきました。
生産設備の自動化を進めることで、品質を維持しながら大量生産に対応しています。
また、マレーシアでも生産能力を増強し、中国以外からの調達を求める欧米顧客への対応を進めています。
量産力の主な特徴は次のとおりです。
- 顧客需要に合わせた設備投資
- 生産工程の自動化
- 中国で培った大量生産のノウハウ
- 複数拠点での供給
- マレーシアでのEx-China対応
顧客の増産要請に応じて短期間で供給量を増やせることは、シェア拡大につながる可能性があります。
一方、大規模な設備投資を行った後に需要が計画どおり伸びなければ、減価償却費や人件費などの固定費負担が増えます。
量産対応力は大きな強みである一方、工場稼働率を維持できるかも重要です。
フェローテックが注目される理由
フェローテックが注目されている背景には、生成AI、AIデータセンター、パワー半導体、EVなど、複数の成長市場との関係があります。
半導体チップを直接製造する会社ではありませんが、製造装置向け部品、光通信向けの温度制御部品、パワー半導体用基板などを通じて、成長分野の設備投資や生産拡大の恩恵を受けられる事業構造を持っています。
生成AI向け半導体投資
生成AIの普及に伴い、データセンター向けGPUやHBMなどの高性能半導体の需要が増えています。
GPUやHBMを増産するには、半導体メーカーが工場の生産能力を拡大し、製造装置を新たに導入する必要があります。
半導体製造装置の需要が増えると、装置内部で使われるフェローテックの製品にも需要が波及します。
主に恩恵が期待される製品は次のとおりです。
- セラミックス
- 高純度石英製品
- 真空シール
- CVD-SiC
- シリコンパーツ
- 金属加工製品
- 装置部品洗浄サービス
例えば、石英やセラミックスは、半導体製造装置の内部で高温やプラズマ、薬液に耐える部品として使用されます。
真空シールは、成膜装置やエッチング装置などの真空状態を維持するために必要です。
また、既存の半導体工場が高い稼働率を維持すれば、消耗部材の交換や装置部品の洗浄需要も増えます。
フェローテックはAI半導体を直接製造していませんが、AI半導体を作るための装置・材料需要を通じて恩恵を受ける企業です。
AIデータセンターの光通信
AIデータセンターでは、多数のGPUを接続し、大量のデータを高速でやり取りする必要があります。
GPU間やサーバー間の通信量が増えると、従来の電気配線だけでは通信速度、消費電力、発熱などの課題が大きくなります。
そのため、電気信号を光信号に変換して送受信する光トランシーバーの需要が拡大しています。
フェローテックは、光トランシーバー向けに次の製品を提供しています。
- TECと呼ばれるサーモモジュール
- 温度を検知するサーミスタ
- 放熱性に優れたDPC基板
光トランシーバー内部のレーザーダイオードは、温度が変化すると光の波長や出力が不安定になります。
安定した通信を維持するには、サーモモジュールを使ってレーザーダイオードの温度を精密に制御する必要があります。
通信規格は800Gから1.6Tへ高速化しており、将来的には3.2Tへの移行も見込まれます。
通信速度の高速化やAIサーバーの増設が続けば、光トランシーバーや温度制御部品の需要増加につながる可能性があります。
フェローテックは、半導体製造装置向け部品と光通信向け電子デバイスの2方向からAI需要を取り込める点が特徴です。
パワー半導体・EV向け需要
フェローテックは、パワー半導体向けの基板も展開しています。
パワー半導体は、高い電圧や大きな電流を制御するための半導体です。
主に次の分野で使われます。
- EV・ハイブリッド車
- 充電設備
- 再生可能エネルギー設備
- 産業用モーター
- 鉄道
- データセンター
- 家電製品
パワー半導体は使用時に多くの熱を発生するため、熱を効率的に逃がしながら、電気を絶縁する必要があります。
フェローテックが展開するパワー半導体用基板には、パワー半導体の熱を逃がす放熱性能と、電流が不要な場所へ流れるのを防ぐ絶縁性能が求められます。
EVの普及や再生可能エネルギー設備の拡大が進めば、高電圧・大電流を扱うパワー半導体の需要も増加する可能性があります。
一方、車載関連の需要は、自動車販売台数、EV市場の成長速度、顧客の在庫調整などによって短期的に変動します。
長期的な電動化需要だけでなく、足元の受注や在庫動向も確認することが重要です。
【PR】少額から投資を始めたい方は、楽天ポイントが使えて1株から購入できる楽天証券がおすすめ

「興味のある企業に投資してみたいけれど、いきなり大きな金額を投じるのは不安」と感じる方も多いのではないでしょうか。
通常、日本株は100株単位で取引するため、銘柄によっては購入にまとまった資金が必要です。
楽天証券の「かぶミニ®」なら、対象の国内株式を1株から購入できます。
さらに、普段の買い物や楽天グループのサービスで貯めた楽天ポイントを、国内株式の購入代金に利用できます。
例えば、貯まった楽天ポイントに少額の現金を組み合わせて、気になる企業の株を1株ずつ買い増していくことも可能です。
まとまった資金を一度に用意する必要がないため、投資初心者でも無理のない金額から個別株投資を始められます。
すでに別の証券会社を利用している場合でも、楽天ポイントを活用して少額投資を行うためのサブ口座として使い分けられるので、この機会に口座開設を検討してみてはいかがでしょうか。
▼公式サイトはこちらフェローテックの事業を見るうえでの注意点
フェローテックは半導体やAI、光通信などの成長市場と関係していますが、事業内容が幅広く、海外で大規模な設備投資を行っている点には注意が必要です。
売上高の成長だけでなく、セグメント別の利益や工場稼働率、キャッシュフローまで確認する必要があります。
事業構造が複雑
フェローテックは、半導体製造装置向け部品、電子デバイス、車載関連製品、パワー半導体用基板など、幅広い製品を扱っています。
さらに、日本国内だけでなく、中国、マレーシア、米国、欧州などに複数の子会社や生産拠点があります。
製品ごとに顧客や市場環境が異なるため、すべての事業が同じタイミングで成長するとは限りません。
例えば、次のように需要サイクルが異なります。
- 半導体等装置関連:半導体設備投資や工場稼働率の影響を受ける
- 電子デバイス:光通信、家電、産業機器などの需要に左右される
- 車載関連:自動車販売やEV市場の変化を受ける
- パワー半導体関連:EV、再生可能エネルギー、産業機器の投資に影響される
売上高が増えていても、利益率の低い製品が中心であれば、営業利益が十分に伸びない場合があります。
反対に、売上高の伸びが小さくても、高収益製品の販売構成比が上がれば、利益が大きく増える可能性があります。
決算を見る際は、全社の売上高だけでなく、次の項目を確認する必要があります。
- セグメント別売上高
- セグメント別利益
- 製品別の需要動向
- 地域別の売上構成
- 営業利益率
- 利益を押し上げた事業
どの事業・製品が実際に利益を生み出しているのかを確認することが重要です。
中国事業の比率が高い
フェローテックは中国に多くの生産拠点や子会社を持ち、中国の半導体市場へ積極的に投資してきました。
中国では半導体の国産化を進めるため、工場の新設や製造装置への投資が行われています。
フェローテックにとって、中国の半導体設備投資は、セラミックス、石英、真空シール、金属加工、部品洗浄などの需要を拡大させる成長要因です。
一方、中国事業の比率が高いことで、次のリスクもあります。
- 米中対立の激化
- 半導体製造装置や部品への輸出規制
- 中国景気の減速
- 中国半導体メーカーの設備投資縮小
- 人民元や円の為替変動
- 現地子会社の資金調達環境
- 中国企業との価格競争
米国による輸出規制が強化されると、フェローテックの顧客である中国の半導体メーカーや装置メーカーの投資計画に影響が出る可能性があります。
また、中国国内の半導体投資が過剰になれば、設備投資の縮小や価格競争につながることも考えられます。
フェローテックはマレーシアで生産能力を増強し、中国外での調達を求める欧米顧客への対応を進めています。
今後は、中国需要を取り込みながら、マレーシアや日本へ生産拠点を分散できるかが重要です。
設備投資と減価償却費が大きい
フェローテックは、顧客の増産要請や市場拡大に対応するため、中国やマレーシアなどで大規模な設備投資を行っています。
工場や生産設備を増強すれば、需要が伸びた際に多くの注文を取り込める可能性があります。
一方、新しい工場は完成しただけでは利益を生みません。
顧客の認定を取得し、量産を始め、稼働率を上げるまでには時間がかかります。
立ち上げ期間中も、次の費用が発生します。
- 減価償却費
- 人件費
- 電力費
- 保守費用
- 試作品の製造費
- 顧客認定にかかる費用
需要が計画どおりに伸びず、工場稼働率が低い状態が続けば、売上高が増えないまま固定費負担が残ります。
また、設備投資を借入金などで賄う場合、有利子負債や利息負担も増加します。
決算では、次の項目を確認する必要があります。
- 設備投資額
- 減価償却費
- 工場稼働率
- 有形固定資産
- 有利子負債
- 営業キャッシュフロー
- 投資キャッシュフロー
- フリーキャッシュフロー
営業利益が増えていても、設備投資による支出が大きければ、自由に使える現金であるフリーキャッシュフローが悪化する可能性があります。
増強した生産能力を受注と稼働率の上昇によって回収できるかが、事業の成長性を判断する重要なポイントです。
【PR】少額から投資を始めたい方は、楽天ポイントが使えて1株から購入できる楽天証券がおすすめ

「興味のある企業に投資してみたいけれど、いきなり大きな金額を投じるのは不安」と感じる方も多いのではないでしょうか。
通常、日本株は100株単位で取引するため、銘柄によっては購入にまとまった資金が必要です。
楽天証券の「かぶミニ®」なら、対象の国内株式を1株から購入できます。
さらに、普段の買い物や楽天グループのサービスで貯めた楽天ポイントを、国内株式の購入代金に利用できます。
例えば、貯まった楽天ポイントに少額の現金を組み合わせて、気になる企業の株を1株ずつ買い増していくことも可能です。
まとまった資金を一度に用意する必要がないため、投資初心者でも無理のない金額から個別株投資を始められます。
すでに別の証券会社を利用している場合でも、楽天ポイントを活用して少額投資を行うためのサブ口座として使い分けられるので、この機会に口座開設を検討してみてはいかがでしょうか。
▼公式サイトはこちらまとめ
フェローテックは、半導体製造を部品・材料・サービスから支える企業です。
GPU、CPU、メモリなどの半導体チップを直接製造しているわけではありません。
主に、半導体製造装置メーカーや半導体工場へ、次の製品・サービスを提供しています。
- 真空シール
- 石英製品
- ファインセラミックス
- CVD-SiC
- シリコンパーツ
- 装置部品洗浄
- サーモモジュール
- パワー半導体用基板
事業領域は、半導体製造装置だけでなく、AIデータセンターの光通信、パワー半導体、EV、産業機器などへ広がっています。
フェローテックの主な強みは、次のとおりです。
- 真空シール・サーモモジュールの高い世界シェア
- 石英、セラミックス、SiC、シリコンなどを扱う素材技術
- 素材から加工、装置組立、洗浄までの一気通貫体制
- 顧客の増産要請に対応できる量産力
- 大手半導体製造装置メーカーとの長期取引
- 中国、マレーシア、欧米を含むグローバルな供給体制
一方で、製品や子会社が多く事業構造が複雑なこと、中国事業の比率が高いこと、大規模な設備投資による減価償却費や有利子負債の増加には注意が必要です。
フェローテックを見る際は、売上高だけでなく、セグメント別利益、工場稼働率、営業キャッシュフローを確認することが重要です。
出典
企業情報:会社概要|株式会社フェローテック
https://www.ferrotec.co.jp/company/company_outline.php
企業情報:沿革|株式会社フェローテック
https://www.ferrotec.co.jp/company/company_history.php
主力製品|株式会社フェローテック
https://www.ferrotec.co.jp/company/company_product.php
技術と製品|株式会社フェローテック
https://product.ferrotec.co.jp/product/
世界トップシェア|株式会社フェローテック
https://www.ferrotec.co.jp/welcome/welcome3.php
独自のコア技術|株式会社フェローテック
https://www.ferrotec.co.jp/welcome/welcome1.php
個人投資家の皆さまへ|株式会社フェローテック
https://www.ferrotec.co.jp/ir/ir_individual_investor.php
生成AI時代の高速光通信を支えるフェローテックの電子デバイス技術
https://www.ferrotec.co.jp/optical_transceiver/
フェローテックグループについて|よくあるご質問
https://www.ferrotec.co.jp/faq/fthd_faq.php
経営トップからのご挨拶|株式会社フェローテック
https://www.ferrotec.co.jp/ir/ir_top_message.php
フェローテック・パワーセミコンダクター株式会社
https://www.ferrotec.co.jp/company/company_flhj.php
株式会社フェローテック 製品サイト
https://product.ferrotec.co.jp/
コメント