キーエンスの決算はいつ発表される?2027年3月期1Qの予想・注目点を解説

「キーエンスの次回決算はいつ?」「会社予想が公表されていないけど、好決算になりそう?」と気になっている人も多いのではないでしょうか。

キーエンスは前期、売上高・営業利益・経常利益・純利益がいずれも過去最高となりました。営業利益率も51.0%となり、製造業として非常に高い収益性を維持しています。

市場では、2027年3月期に2桁の増収増益が予想されています。第1四半期の経常利益も、前年同期比で約22%増加するとの期待が高まっています。

ただし、前期第4四半期は売上高・各利益の成長が加速し、営業利益率も53%を超えました。市場の期待水準は高く、単に増収増益となっただけでは株価が上昇しない可能性があります。

本記事では、キーエンスの次回決算日、市場予想、前年の第1四半期決算、前回決算、毎回確認したい重要KPIを解説します。

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目次

キーエンスの次回決算はいつ?

項目内容
決算2027年3月期第1四半期
発表日2026年7月28日(火)
発表時間未公表
参考前年1Q・直近本決算は16時
対象期間2026年3月21日~6月20日
証券コード6861
決算期3月

キーエンスの次回決算は、2026年7月28日(火)に発表される予定です。

今回発表されるのは、2026年3月21日から6月20日までを対象とする2027年3月期第1四半期決算です。

発表日は公式IRで公表されていますが、発表時間は現時点で明らかにされていません。

前年の第1四半期決算と直近の本決算は、いずれも16時に発表されました。そのため、今回も取引終了後に発表される可能性があります。

ただし、過去と同じ時間になるとは限らないため注意が必要です。

キーエンスは一般的な3月末決算企業とは異なり、3月20日を期末としています。

そのため、第1四半期の対象期間も4月1日から6月30日ではなく、3月21日から6月20日です。

決算発表後には、主に次の資料が公開される見込みです。

  • 決算短信
  • 決算説明資料
  • 地域別売上高
  • 業種別売上高
  • 為替影響に関する資料
  • 配当や資本政策に関する資料

決算発表直後は、次の項目を優先して確認しましょう。

  • 経常利益
  • 市場コンセンサスとの差
  • 売上高の成長率
  • 売上総利益率
  • 営業利益率
  • 海外売上高
  • 地域別売上高
  • 業種別売上高
  • 為替差損益

キーエンスは会社予想を出していないため、前年同期と市場予想の両方を基準に評価することが重要です。

キーエンスの次回決算予想

キーエンスは、2027年3月期の売上高、営業利益、経常利益、純利益について会社予想を公表していません。

半導体、自動車、工作機械など幅広い製造業の設備投資動向に業績が左右されるため、会社予想ではなく実績を中心に開示しています。

そのため、次回決算は市場コンセンサスと前年同期実績を使って評価します。

1Q経常利益は1,604億円を予想

項目金額
1Q市場予想1,604億円
前年1Q実績1,315億3,200万円
増加額約289億円
予想増益率約21.9%

2027年3月期第1四半期の経常利益について、市場は1,604億円を予想しています。

前年同期実績は1,315億3,200万円だったため、約289億円、率にして約21.9%の増益が期待されています。

キーエンスは第1四半期の会社予想を開示していないため、市場コンセンサスが主な比較基準です。

前年の第1四半期は、営業利益が増加した一方、為替差損の影響によって経常利益が前年同期比0.1%増にとどまりました。

今回は、次の要因による増益が期待されています。

  • 海外売上の拡大
  • 半導体・電機向け需要
  • 製造現場の自動化需要
  • 高付加価値製品の販売増加
  • 営業利益率の改善
  • 受取利息などの営業外収益

一方、前期第4四半期の経常利益は約1,921億円となり、前年同期比で大きく増加しました。

直前四半期が非常に強かったため、第1四半期も前年同期比で増益となるだけでは十分とは限りません。

決算では、次の3つを比較しましょう。

  • 前年同期実績の1,315億3,200万円
  • 市場予想の1,604億円
  • 前期第4四半期の約1,921億円

市場コンセンサスを上回り、成長が続いていることを示せるかが重要です。

市場コンセンサスは決算発表直前まで変動する可能性があるため、公開前に再確認する必要があります。

通期市場予想は2桁増収増益

項目2027年3月期市場予想前期比
売上高約1兆3,297億円13.7%増
営業利益約6,942億円16.5%増
経常利益約7,180億円12.9%増
親会社帰属純利益約5,036億円13.1%増
営業利益率約52.2%約1.2ポイント上昇

キーエンスは通期会社予想を公表していませんが、市場では2027年3月期に2桁の増収増益が予想されています。

売上高は約1兆3,297億円、営業利益は約6,942億円となる見通しです。

営業利益率も前期の51.0%から約52.2%へ上昇すると予想されています。

市場が2桁成長を期待する背景には、次の要因があります。

  • 海外製造業の設備投資
  • AI・半導体関連投資
  • 自動化・省人化需要
  • 品質検査の高度化
  • 海外直販体制の拡大
  • 新商品の投入

ただし、地域や業種によって需要の強弱は異なります。

北中南米やアジアが成長しても、欧州や国内が低迷すれば、全社の成長率は市場予想を下回る可能性があります。

また、円安によって海外売上の円換算額が増えている場合、現地通貨ベースの成長率は見た目より低い可能性があります。

第1四半期実績が市場期待を上回れば、通期コンセンサスが引き上げられる可能性があります。

一方、海外売上や利益率が伸び悩めば、通期予想が引き下げられる可能性があります。

年間配当は550円を予想

キーエンスは2027年3月期の年間配当について、1株あたり550円を予想しています。

内訳は次のとおりです。

  • 中間配当:275円
  • 期末配当:275円
  • 年間配当:550円

前期の年間配当も550円でした。

前々期は年間350円だったため、前期に200円の大幅増配を実施しています。

キーエンスは売上高や利益の会社予想を開示していませんが、配当予想は公表しています。

次回決算では、次の点を確認しましょう。

  • 年間配当予想の維持
  • 追加増配の可能性
  • 自己株買い
  • 営業キャッシュフロー
  • 現金・有価証券
  • 戦略的M&A
  • 資本効率

キーエンスは巨額の現金や有価証券を保有しているため、株主還元や成長投資への活用方法が注目されています。

安定配当だけでなく、余剰資金をどのように活用するかが重要です。

キーエンスの次回決算で注目したいポイント

次回決算では、売上高や利益の増減だけでなく、利益率、地域別売上、業種別需要を確認する必要があります。

キーエンスは幅広い製造業へ製品を販売しているため、半導体だけでなく、自動車、工作機械、食品、薬品などの需要も重要です。

注目点確認する内容
経常利益市場予想1,604億円を上回るか
売上高2桁成長へ加速するか
売上総利益率83%前後を維持できるか
営業利益率50%超を維持できるか
国内製造業の設備投資動向
北中南米2桁成長が続くか
アジア中国・半導体需要
欧州回復傾向が続くか
半導体・液晶AI・先端投資の需要
電機・精密自動化・検査需要
自動車海外成長と国内低迷
為替円換算と現地通貨の差
販売管理費海外人材投資の増加
研究開発費新商品への投資
資本政策配当・自己株買い・M&A

営業利益率50%を維持できるか

キーエンスの前年第1四半期の営業利益率は49.5%でした。

2026年3月期通期では51.0%、第4四半期では53.6%まで上昇しています。
2027年3月期の通期市場予想では、営業利益率は約52.2%です。

キーエンスの営業利益率は、製造業として非常に高い水準です。

高収益を支える主な要因は次のとおりです。

  • 高付加価値製品
  • ファブレス型の事業構造
  • 直販営業
  • 顧客課題に合わせた提案
  • 高い販売価格
  • 幅広い商品ラインアップ
  • 生産・在庫の効率化

一方、海外事業の拡大に伴って、営業人員や営業拠点への投資も増えています。

確認したい費用は次のとおりです。

  • 販売管理費
  • 人件費
  • 採用費
  • 営業拠点費
  • 研究開発費
  • 物流費

売上高が増加しても、販売管理費がそれ以上に増えれば営業利益率は低下します。

反対に、売上増加によって固定費を吸収できれば、営業利益率はさらに上昇します。

50%を超える営業利益率を維持しながら、2桁成長を実現できるかが重要です。

売上総利益率83%前後を維持できるか

前年第1四半期の売上総利益率は82.6%でした。

2026年3月期通期では約83.0%、第4四半期では83.5%となっています。

売上総利益率は、売上高から製造原価や仕入原価を差し引いた売上総利益の割合です。

高い売上総利益率を支える主な要因は次のとおりです。

  • 高付加価値なセンサーや測定器
  • 独自性の高い新商品
  • ファブレス型の生産体制
  • 高い販売価格
  • 顧客の生産性向上につながる提案
  • 幅広い製品構成

キーエンスは自社工場を持たないファブレス型の事業構造を採用しています。

製造を外部へ委託しながら、商品企画、開発、販売へ経営資源を集中することで、高い収益性を実現しています。

一方、売上総利益率を押し下げる可能性がある要因は次のとおりです。

  • 原材料費の上昇
  • 外注費の増加
  • 低採算製品の構成比上昇
  • 販売価格の低下
  • 円高
  • 物流費の増加

売上高が伸びていても、売上総利益率が低下している場合は、製品構成や価格競争に注意が必要です。

83%前後の売上総利益率を維持できるかを確認しましょう。

海外売上の2桁成長が続くか

2026年3月期の海外売上高は、前期比13.5%増となりました。

海外売上比率は約66.6%で、全社売上高の約3分の2を占めています。

前年第1四半期の海外売上高は、現地通貨ベースで前年同期比11.4%増でした。

海外売上はキーエンスの成長を支える最大の要因です。

決算では、次の項目を確認しましょう。

  • 海外売上高
  • 海外売上比率
  • 円換算ベースの成長率
  • 現地通貨ベースの成長率
  • 海外営業人員
  • 海外営業拠点

円安が進むと、現地での販売数量が同じでも円換算後の売上高は増加します。

そのため、円換算ベースだけでなく、現地通貨ベースの伸びを確認する必要があります。

現地通貨ベースでも2桁成長していれば、為替だけではなく実際の販売が伸びていると評価できます。

キーエンスは直販体制を強みとしており、海外でも営業人員を増やしています。

海外営業への投資が売上成長へつながっているかを確認しましょう。

北中南米とアジアが成長を牽引するか

前年第1四半期の現地通貨ベース売上高は、北中南米が14.2%増、アジアが17.1%増となりました。

2026年3月期通期でも、両地域は2桁成長を維持しています。

北中南米では、次の需要が注目されます。

  • AI・半導体関連投資
  • データセンター
  • 自動車・輸送
  • 電機・精密
  • 食品・薬品
  • 物流・倉庫の自動化

アジアでは、次の需要が重要です。

  • 中国の製造業設備投資
  • 半導体工場
  • 電機・精密
  • スマートフォン・電子部品
  • EV・車載部品
  • 工場自動化

北中南米ではAI・半導体投資が追い風となる一方、米国の関税や通商政策が製造業の設備投資を抑制する可能性があります。

アジアでは、中国景気や製造業の設備投資が業績を左右します。

円換算ベースだけでなく、現地通貨ベースで2桁成長を続けているかを確認しましょう。

欧州の回復が続くか

前年第1四半期の欧州・その他地域の売上高は、現地通貨ベースで2.5%減少しました。

一方、2026年3月期下期には11.5%増まで回復しています。

欧州では製造業景況感の低迷や、自動車・機械産業の設備投資減速が業績へ影響していました。

回復が期待される主な分野は次のとおりです。

  • 自動車・輸送
  • 産業機械
  • 電機・精密
  • 食品・薬品
  • 工場自動化
  • 品質検査

欧州売上が再びマイナスへ転じると、北中南米やアジアの成長を打ち消す可能性があります。

反対に、欧州が2桁成長を維持すれば、地域全体がバランスよく伸びることになります。

前年下期に始まった欧州の回復が継続しているかを確認しましょう。

半導体・電機向け需要を確認

2026年3月期下期の海外売上では、半導体・液晶向けが前年同期比20%増、電機・精密向けが25%増となりました。

生成AIやデータセンターへの投資拡大によって、半導体工場や電子部品工場では自動化・品質検査需要が増えています。

キーエンスの主な関連製品は次のとおりです。

  • センサー
  • 画像処理システム
  • 画像センサー
  • 測定器
  • マイクロスコープ
  • レーザーマーカー
  • コードリーダー

半導体工場では、高い精度で製品を検査し、不良品を検出する必要があります。

また、生産設備の自動化やデータ収集にもセンサーや画像処理システムが使用されます。

北中南米では半導体関連需要、アジアでは電機・精密向け需要が業績を牽引しました。

次回決算では、生成AI関連の設備投資がキーエンスの売上へどの程度つながっているかを確認しましょう。

自動車・工作機械など幅広い需要を見る

キーエンスは半導体だけでなく、幅広い製造業へ商品を販売しています。

主な業種は次のとおりです。

  • 自動車・輸送
  • 金属・工作機械
  • 食品・薬品
  • 化学
  • 物流
  • 建材
  • その他の製造業

前期は、自動車・輸送向け売上が国内で弱かった一方、海外では増収となりました。

金属・工作機械向けは、国内外ともに前年同期比15%増となっています。

食品・薬品向けも2桁成長しました。

半導体向け需要が減速しても、工作機械、食品、薬品、自動車などが伸びれば、全社業績への影響を抑えられます。

特定業界へ依存せず、幅広い設備投資需要を取り込めることがキーエンスの強みです。

半導体以外の業種も伸びているかを確認しましょう。

為替差損益を除いた成長を見る

2026年3月期の平均為替レートは、1ドル150円、1ユーロ173円でした。

キーエンスが示している営業利益への為替感応度は、次のとおりです。

  • ドル円が1円変動:年間約9億円
  • ユーロ円が1円変動:年間約5億円
  • 人民元円が0.1円変動:年間約7億円

円安が進めば、海外売上の円換算額と営業利益を押し上げます。

一方、円高が進めば、円換算後の売上高や利益が減少する可能性があります。

また、経常利益には営業利益だけでなく、為替差損益も含まれます。

前年第1四半期には、20億7,000万円の為替差損が発生しました。

そのため、営業利益が増加したにもかかわらず、経常利益は前年同期比0.1%増にとどまっています。

決算では、次の点を分けて評価しましょう。

  • 本業の営業利益
  • 為替差損益
  • 受取利息
  • 経常利益
  • 現地通貨ベース売上

円安効果ではなく、本業の販売数量や需要が伸びているかを確認することが重要です。

販売管理費の増加を吸収できるか

前年第1四半期の販売管理費は、前年同期比2.8%増となりました。

一方、前期第4四半期は18.5%増まで拡大しています。

販売管理費が増えている主な理由として、次の項目が考えられます。

  • 海外営業人員の増加
  • 人材採用
  • 人材育成
  • 海外営業拠点の拡大
  • 販売促進費
  • 物流費
  • 情報システム費

海外営業体制を強化すれば、将来の売上成長につながる可能性があります。

一方、売上高の増加よりも販売管理費の増加が大きければ、営業利益率は低下します。

次回決算では、次の指標を確認しましょう。

  • 販売管理費
  • 販管費率
  • 従業員数
  • 海外営業人員
  • 1人当たり売上高
  • 1人当たり営業利益

人材や営業拠点への投資が、売上と利益の成長へつながっているかが重要です。

研究開発と新商品が成長につながるか

前年第1四半期の研究開発費は78億円でした。

キーエンスは研究開発を継続し、製造現場の自動化や品質改善につながる新商品を投入しています。

主な商品分野は次のとおりです。

  • センサー
  • 画像処理
  • 測定器
  • マイクロスコープ
  • レーザーマーカー
  • 3Dプリンタ
  • コードリーダー
  • データ活用プラットフォーム

前期には、新しい3Dプリンタなども投入されました。

新商品は売上高の成長だけでなく、製品構成の改善や売上総利益率の維持にもつながります。

一方、研究開発費を増やしても、新商品が顧客の需要に合わなければ利益成長にはつながりません。

決算では、次の点を確認しましょう。

  • 研究開発費
  • 新商品数
  • 新商品売上
  • 顧客の導入状況
  • 売上総利益率
  • 製品別の成長率

研究開発投資が新しい売上の柱へつながっているかを確認しましょう。

巨額資金を成長と還元へ活用できるか

キーエンスの自己資本比率は94.6%となっており、非常に高い財務健全性を維持しています。

現金、有価証券、投資有価証券も巨額です。

資金の主な活用先として、次の選択肢があります。

  • 新商品開発
  • 海外事業拡大
  • 海外営業人材の採用
  • 戦略的M&A
  • 物流施設
  • 配当
  • 自己株買い

財務余力が大きいことは強みですが、資金を保有するだけでは資本効率が低下する可能性があります。

決算では、次の指標を確認しましょう。

  • 現金及び預金
  • 有価証券
  • 投資有価証券
  • 営業キャッシュフロー
  • 配当
  • 自己株買い
  • ROE
  • 総還元性向

高い収益性と財務健全性を維持しながら、余剰資金を成長投資と株主還元へ有効活用できるかが重要です。

次期ロジスティクスセンターの進捗

キーエンスは大阪府高槻市に、次期ロジスティクスセンターを建設しています。

新施設は現行施設の約4倍の規模となる計画です。

2026年11月に竣工し、2027年11月から稼働を開始する予定です。

新しいロジスティクスセンターによって期待される効果は次のとおりです。

  • 出荷能力の増加
  • 在庫管理の効率化
  • 納期短縮
  • 海外向け出荷への対応
  • 商品数増加への対応
  • 物流コストの効率化

キーエンスは短納期を強みとしており、顧客からの注文へ迅速に対応する物流体制が重要です。

海外売上や商品数が増加するなか、物流能力を拡大することで成長を支える狙いがあります。

一方、施設の建設や稼働開始には費用がかかります。

決算では、建設進捗、投資額、稼働開始時期、物流費への効果を確認しましょう。

物流投資が納期短縮と売上成長へつながるかが注目されます。

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前年の第1四半期決算を確認

項目2026年3月期1Q前年同期比
売上高2,610億7,600万円5.6%増
営業利益1,293億100万円4.8%増
経常利益1,315億3,200万円0.1%増
親会社帰属純利益921億1,600万円1.5%減
売上総利益率82.6%1.3ポイント低下
営業利益率49.5%0.4ポイント低下
自己資本比率96.1%前期末比1.6ポイント上昇

2026年3月期第1四半期の売上高は、前年同期比5.6%増の2,610億7,600万円となりました。

営業利益も4.8%増の1,293億100万円となり、増収増益を確保しています。

一方、経常利益は0.1%増の1,315億3,200万円とほぼ横ばいでした。親会社株主に帰属する純利益は1.5%減の921億1,600万円となっています。

売上総利益率は前年同期から1.3ポイント低下して82.6%、営業利益率も0.4ポイント低下して49.5%となりました。

前年1Qは売上高と営業利益が増加した一方、利益率の低下や為替差損によって、経常利益と純利益の伸びが抑えられた決算です。

増収でも利益の伸びは限定的

前年1Qの売上高は前年同期比5.6%増となりましたが、営業利益の伸び率は4.8%にとどまりました。

さらに、経常利益は0.1%増とほぼ横ばいで、親会社帰属純利益は1.5%減となっています。

利益の伸びが売上高を下回った主な要因として、次の項目が挙げられます。

  • 売上総利益率の低下
  • 販売管理費の増加
  • 海外営業体制への投資
  • 研究開発費
  • 為替差損
  • 製品構成の変化

売上総利益率は前年同期の83.9%から82.6%へ低下しました。

営業利益率も49.9%から49.5%へ低下しています。

いずれも非常に高い水準ですが、キーエンスは高収益性が株価評価の前提となりやすいため、わずかな利益率低下でも市場では警戒される可能性があります。

次回決算では、売上高が増加しているかだけでなく、売上総利益率と営業利益率が回復しているかを確認しましょう。

為替差損で経常利益が伸び悩む

前年同期には52億8,300万円の為替差益が発生していました。

一方、2026年3月期第1四半期には20億7,000万円の為替差損が発生しています。

前年同期と比べると、為替差損益だけで70億円を超えるマイナス方向の変化が生じたことになります。

そのため、本業の営業利益は4.8%増加したものの、経常利益は前年同期比0.1%増にとどまりました。

営業利益と経常利益の違いは、次のとおりです。

  • 営業利益:商品・サービスの販売によって得た本業の利益
  • 経常利益:営業利益に受取利息や為替差損益などを加えた利益

キーエンスは海外売上比率が高く、外国通貨建ての資産や取引も多いため、為替差損益が経常利益へ影響します。

決算では、次の項目を分けて確認しましょう。

  • 営業利益
  • 営業利益率
  • 為替差損益
  • 受取利息
  • 経常利益

本業が成長しているかを判断する際は、為替の影響を除いた営業利益を優先することが重要です。

北中南米・アジアが好調

前年1Qの売上高は、国内が前年同期比5.2%増、海外が現地通貨ベースで11.4%増となりました。

海外売上比率は67.3%となり、全社売上高の約3分の2を海外が占めています。

地域別の現地通貨ベース成長率は、次のとおりです。

地域前年同期比
国内5.2%増
北中南米14.2%増
アジア17.1%増
欧州・その他2.5%減
海外合計11.4%増

北中南米とアジアが2桁成長となり、海外売上を牽引しました。

北中南米では、半導体、データセンター、自動車、物流自動化などの設備投資が需要を支えています。

アジアでは、半導体・電子部品工場や電機・精密業界における自動化・品質検査需要が伸びました。

一方、欧州・その他は現地通貨ベースで2.5%減となっています。

製造業景況感の低迷や、自動車・産業機械向けの設備投資減速が影響した可能性があります。

次回決算では、北中南米とアジアの2桁成長が続いているかに加え、欧州が減収から回復しているかを確認しましょう。

前回の本決算はどうだった?

項目2026年3月期前期比
売上高1兆1,692億8,900万円10.4%増
営業利益5,957億5,900万円8.4%増
経常利益6,357億5,600万円13.3%増
親会社帰属純利益4,451億8,500万円11.7%増
売上総利益率約83.0%約0.8ポイント低下
営業利益率51.0%0.9ポイント低下
営業キャッシュフロー4,306億8,000万円5.2%増
自己資本比率94.6%0.1ポイント上昇
年間配当550円200円増配

キーエンスの2026年3月期決算は、売上高が前期比10.4%増の1兆1,692億8,900万円となりました。

営業利益は8.4%増の5,957億5,900万円、経常利益は13.3%増の6,357億5,600万円です。

親会社株主に帰属する純利益も11.7%増の4,451億8,500万円となり、売上高・各利益ともに過去最高を更新しました。

営業利益率は前期から0.9ポイント低下したものの、51.0%という高水準を維持しています。

海外売上の拡大や第4四半期の成長加速が、通期業績を押し上げました。

海外売上が成長を牽引

2026年3月期の国内売上高は、前期比4.6%増の3,901億円となりました。

海外売上高は13.5%増の7,792億円です。

海外売上比率は約66.6%となり、全社売上の約3分の2を占めています。

地域別の成長率は次のとおりです。

地域前期比
国内4.6%増
北中南米13.3%増
アジア16.7%増
欧州・その他8.4%増
海外合計13.5%増

北中南米では、半導体・液晶、自動車・輸送、食品・薬品など幅広い業種で需要が増加しました。

アジアでは、電機・精密や半導体関連の設備投資が売上を牽引しています。

欧州・その他も通期では8.4%増となり、前年1Qの減収から回復しました。

海外では、製造業の自動化や省人化、品質検査への需要が継続しています。

また、海外営業人員や営業拠点を増やし、直販体制を強化したことも売上成長につながりました。

今後も、海外売上が現地通貨ベースで2桁成長を続けられるかが重要です。

4Qは成長が加速

2026年3月期第4四半期は、通期平均を上回る成長となりました。

主な増減率は次のとおりです。

項目前年同期比
売上高17.9%増
営業利益17.4%増
経常利益27.5%増
親会社帰属純利益25.4%増
営業利益率53.6%

売上高と営業利益はいずれも17%を超える伸びとなり、経常利益と純利益は25%を超える増加となりました。

営業利益率も53.6%まで上昇しています。

第4四半期の成長加速には、次の要因が考えられます。

  • 半導体・液晶向け需要
  • 電機・精密向け需要
  • 海外売上の拡大
  • 欧州の回復
  • 高付加価値製品の販売増加
  • 売上増加による固定費吸収
  • 為替差益や受取利息

直前四半期が非常に強かったため、次回1Qでは前年同期比だけでなく、第4四半期との比較も必要です。

通常、第4四半期と第1四半期には季節性があるため、単純な前四半期比だけで判断するのは適切ではありません。

それでも、売上成長率や営業利益率が大幅に低下した場合は、需要減速が意識される可能性があります。

前年同期比で増収増益でも、第4四半期から成長が急減速していないかを確認しましょう。

営業利益より経常利益が伸びた

2026年3月期の営業利益は前期比8.4%増だったのに対し、経常利益は13.3%増となりました。

経常利益の伸び率が営業利益を上回った背景には、営業外収益があります。

主な営業外収益は次のとおりです。

  • 為替差益:162億7,000万円
  • 受取利息:162億4,900万円
  • その他の金融収益

キーエンスは巨額の現金や有価証券を保有しているため、金利上昇局面では受取利息が増加する可能性があります。

また、円安が進めば、外貨建て資産や取引に関連して為替差益が発生する場合があります。

一方、円高へ転じれば為替差損が発生し、経常利益を押し下げる可能性があります。

決算では、次の項目を分けて評価しましょう。

  • 営業利益
  • 為替差損益
  • 受取利息
  • その他の営業外収益
  • 経常利益

本業の成長率は営業利益、金融収益を含む利益は経常利益で確認する必要があります。

増配と資本政策に注目

2026年3月期の年間配当は、前期の350円から550円へ増加しました。

200円の大幅増配です。

キーエンスは安定配当を基本としながら、業績や財務状況、成長投資とのバランスを考慮して株主還元を行っています。

今後の資金活用先として、次の項目が考えられます。

  • 配当
  • 自己株買い
  • 新商品開発
  • 海外営業体制の拡大
  • 物流拠点への投資
  • 戦略的M&A

キーエンスは多額の利益剰余金や現金、有価証券を保有しています。

財務健全性は非常に高い一方、資金を蓄積するだけではROEなどの資本効率が低下する可能性があります。

次回決算では、次の項目を確認しましょう。

  • 年間配当予想
  • 追加増配
  • 自己株買い
  • 戦略的M&A
  • ROE
  • 総還元性向
  • 現金・有価証券残高

巨額資金を成長投資と株主還元へどう配分するかが注目されます。

キーエンスの決算で確認したい指標

キーエンスの決算では、全社の売上高や利益だけでなく、地域別・業種別売上、利益率、為替差損益、資金活用を確認する必要があります。

会社が業績予想を開示していないため、前年同期、市場コンセンサス、直前四半期を組み合わせて評価しましょう。

地域別売上を現地通貨で見る

キーエンスの売上高は、国内と海外で分けて確認する必要があります。

主な地域は次のとおりです。

  • 国内
  • 北中南米
  • アジア
  • 欧州・その他

海外売上を評価する際は、円換算ベースと現地通貨ベースを分けましょう。

円安が進むと、現地での販売数量が変わらなくても、円換算後の売上高は増加します。

一方、現地通貨ベースの売上高は、実際の販売数量や顧客単価の変化を反映しやすい指標です。

確認したい項目は次のとおりです。

  • 地域別売上高
  • 円換算ベースの成長率
  • 現地通貨ベースの成長率
  • 海外売上比率
  • 為替レート
  • 海外営業人員

実際の海外需要を見る際は、現地通貨ベースの成長率を優先しましょう。

業種別の設備投資需要を見る

キーエンスは幅広い製造業へ商品を販売しています。

主な販売先業種は次のとおりです。

  • 半導体・液晶
  • 電機・精密
  • 自動車・輸送
  • 金属・工作機械
  • 食品・薬品
  • その他の製造業

半導体・液晶向けでは、AIやデータセンター、先端半導体工場の設備投資が需要を押し上げます。

電機・精密向けでは、電子部品の検査、自動化、測定需要が重要です。

自動車・輸送向けでは、EV、ハイブリッド車、車載部品、電池工場などの設備投資が影響します。

金属・工作機械向けは、製造業全体の設備投資動向を反映しやすい分野です。

食品・薬品向けでは、包装、検査、トレーサビリティ、自動化需要があります。

特定業種だけでなく、幅広い設備投資需要が伸びているかを確認しましょう。

売上総利益率と営業利益率を見る

キーエンスの高い株価評価を支えているのは、非常に高い利益率です。

確認したい指標は次のとおりです。

  • 売上総利益率
  • 営業利益率
  • 製品構成
  • 販売価格
  • 販売管理費
  • 海外営業投資

売上総利益率が低下している場合は、低採算製品の増加、原材料費や外注費の上昇、価格競争などが考えられます。

営業利益率が低下している場合は、販売管理費、人件費、研究開発費、営業拠点への投資が増えている可能性があります。

海外営業投資が将来の売上につながる場合、短期的な利益率低下だけで判断するのは適切ではありません。

ただし、売上成長を伴わずに費用だけが増えている場合は注意が必要です。

売上成長と利益率をセットで評価しましょう。

営業利益と経常利益を分ける

営業利益は本業の収益力を示し、経常利益には金融収益や為替差損益も含まれます。

主な確認項目は次のとおりです。

  • 営業利益
  • 受取利息
  • 為替差損益
  • 持分法による投資利益
  • その他の営業外収益
  • 経常利益

キーエンスは巨額の現金や有価証券を保有しているため、受取利息が利益を押し上げる場合があります。

また、海外売上比率が高いため、為替差損益によって営業利益と経常利益の成長率が大きく異なることがあります。

経常利益が大幅に増えていても、営業利益が伸びていなければ、本業の成長は限定的です。

反対に、為替差損で経常利益が弱くても、営業利益が伸びていれば本業は堅調と評価できます。

研究開発と営業人員への投資を見る

キーエンスは、新商品の開発と海外直販体制の拡大へ継続的に投資しています。

確認したい項目は次のとおりです。

  • 研究開発費
  • 新商品数
  • 新商品売上
  • 海外営業人員
  • 国内外の従業員数
  • 販売管理費
  • 1人当たり営業利益

研究開発費の増加によって、新しいセンサー、画像処理システム、測定器などが成長すれば、中長期の売上拡大につながります。

海外営業人員を増やせば、新規顧客の獲得や既存顧客への追加販売が期待できます。

一方、人件費や研究開発費が増加しても、売上成長につながらなければ営業利益率が低下します。

投資額だけでなく、売上成長や1人当たり利益への効果を確認しましょう。

資金活用と株主還元を見る

キーエンスは高い営業キャッシュフローと巨額の金融資産を保有しています。

決算では、次の項目を確認しましょう。

  • 営業キャッシュフロー
  • 現金及び預金
  • 有価証券
  • 投資有価証券
  • 設備投資
  • 戦略的M&A
  • 配当
  • 自己株買い
  • ROE

財務健全性が高いことは強みですが、余剰資金が増えすぎると資本効率が低下する可能性があります。

新商品開発、海外展開、M&Aへ投資して成長率を高めるのか、配当や自己株買いによって株主へ還元するのかが重要です。

利益成長だけでなく、資金を効率的に活用できているかを確認しましょう。

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まとめ

キーエンスの次回決算は、2026年7月28日(火)に発表される予定です。

発表時間は現時点で公表されていません。

前年の第1四半期決算と直近の本決算は、いずれも16時に発表されました。

キーエンスは2027年3月期の売上高や利益について、会社予想を公表していません。

そのため、市場コンセンサス、前年同期実績、直前四半期を使って決算を評価する必要があります。

2027年3月期第1四半期の経常利益市場予想は1,604億円です。

前年同期の1,315億3,200万円から、約22%の増益が期待されています。

通期経常利益の市場予想は約7,180億円で、市場は年間でも2桁増益を見込んでいます。

次回決算で確認したいポイントは、次のとおりです。

  • 経常利益が市場予想1,604億円を上回るか
  • 売上高が2桁成長へ加速するか
  • 売上総利益率83%前後を維持できるか
  • 営業利益率50%超を維持できるか
  • 北中南米とアジアの2桁成長が続くか
  • 欧州の回復が続いているか
  • 半導体・液晶向け需要が伸びているか
  • 電機・精密向け需要が続くか
  • 自動車・工作機械など幅広い業種が成長しているか
  • 現地通貨ベースでも海外売上が伸びているか
  • 為替差損益を除いて本業が成長しているか
  • 研究開発費や海外営業投資が売上につながっているか
  • 年間配当550円が維持されるか
  • 自己株買いやM&Aなどの資本政策
  • 次期ロジスティクスセンターの進捗

前期第4四半期は売上高17.9%増、営業利益17.4%増、経常利益27.5%増と成長が加速しました。

営業利益率も53.6%まで上昇しています。

そのため、今回の決算では前年同期比で増収増益となるだけでなく、前期4Qから成長が急減速していないかも重要です。

キーエンスは高い利益率や海外成長をすでに株価へ織り込まれやすい銘柄です。

好決算でも市場コンセンサスを下回った場合や、営業利益率・海外成長率が低下した場合には、株価が下落する可能性があります。

売上高だけでなく、地域別・業種別売上、利益率、為替、資本政策を総合的に確認しましょう。

出典

IRカレンダー|キーエンス
https://www.keyence.co.jp/investor/calender.jsp

2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)|キーエンス
https://www.keyence.co.jp/pdf/EarningsRelease_202604_ja.pdf

2025年度 決算説明会資料|キーエンス
https://www.keyence.co.jp/pdf/FinancialResults_202604_ja.pdf

2026年3月期 第1四半期決算短信〔日本基準〕(連結)|キーエンス
https://www.keyence.co.jp/pdf/information_20250729_01.pdf

2025年度 第1四半期決算説明会資料|キーエンス
https://www.keyence.co.jp/pdf/FinancialResults_FY25_Q1_ja.pdf

決算短信・説明会資料|キーエンス
https://www.keyence.co.jp/investor/library/results.jsp

財務・業績|キーエンス
https://www.keyence.co.jp/investor/finance/

業績ハイライト|キーエンス
https://www.keyence.co.jp/investor/financial-info/

資金活用方針|キーエンス
https://www.keyence.co.jp/investor/capital-allocation-policy.jsp

有価証券報告書|キーエンス
https://www.keyence.co.jp/investor/library/securitiesreport.jsp

キーエンス(6861)業績進ちょくと決算スケジュール|IFIS株予報
https://kabuyoho.ifis.co.jp/index.php?action=tp1&bcode=6861&sa=report

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