豊和工業とProdroneのドローン協業を解説!対処型ドローン・量産工場・迎撃ドローンとの違いは?

豊和工業(6203)は、自衛隊向けの20式5.56mm小銃などを製造する防衛関連企業として知られていますが、2026年に入ってからドローン分野でも存在感が高まっています。2026年5月のProdrone(プロドローン)の公表では、豊和工業が対処型ドローンに搭載する投下装置を共同開発していることが具体的に示されました。その後、9月7日の豊和工業・Prodroneの発表では、両社で「対処型ドローン」を共同開発中と表現されています。

さらに2026年9月7日には、豊和工業がProdroneの第三者割当増資を引き受け、豊和工業の敷地内に「Prodrone第1量産工場」を新設することが発表されました。両社の関係は、研究・試作段階の技術連携から、資本関係と量産体制の構築へ一段進んだ形です。

この記事では、豊和工業とProdroneのドローン協業について解説します。

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目次

豊和工業とドローンの関係は?

豊和工業とドローンの関係は?

Prodroneと対処型ドローンを共同開発

豊和工業とProdroneのドローン分野での関係が公式に確認できるのは、2026年5月20日に小泉防衛大臣がProdrone本社を視察した際です。Prodroneは視察時に複数の開発機を公開し、その中で「対処型ドローン」を紹介しました。

Prodroneの説明によると、対処型ドローンはペイロード2kgまで積載可能な小型機プラットフォームで、豊和工業と共同開発中の「投下装置」を搭載した機体を公開しています。あわせて、光ファイバーと対処機材を搭載した試作モデルも披露されました。

5月の公表では、豊和工業が対処型ドローンに搭載する投下装置を共同開発していることが具体的に示されました。9月7日の最新発表では、豊和工業とProdroneが「対処型ドローン」を共同開発中と表現されています。ただし、機体全体の設計・飛行制御・製造などで豊和工業がどこまで担当しているかは公表されていません。豊和工業は火器や工作機械で精密加工・量産技術を蓄積しており、こうした「ものづくり」の技術を無人機分野へ広げる動きとして注目されています。

2026年5月28日には、この共同開発が市場で改めて注目され、豊和工業株がストップ高となりました。つまり9月の量産工場発表より前から、豊和工業は「防衛×ドローン」という新しいテーマで注目されていました。

2026年9月にProdroneへ出資

両社の関係は2026年9月にさらに深まりました。Prodroneは9月7日、豊和工業を引受先とする第三者割当増資を実施したと発表しました。豊和工業側もProdroneへの出資とドローン開発・製造に関する連携強化を公表しています。

豊和工業はProdroneの第三者割当増資を引き受けました。豊和工業の適時開示では、引き受けた株式額は連結純資産の10%未満とされていますが、出資額や取得株式数、取得後の持株比率は公表されていません。これにより、両社は技術・製造面だけでなく、株式を保有することで資本面でも関係を持つ形になりました。

一方、取得後の持株比率や会計上の扱いは公表資料から確認できません。そのため、Prodroneが豊和工業の連結決算にどのように反映されるかについては、現時点で断定せず、今後の開示を確認する必要があります。9月7日時点で確認できるのは、両社が資本・技術・製造の各面で連携を深めたことまでです。

豊和工業内にProdrone第1量産工場を新設

9月7日の発表でもう一つの柱が、豊和工業の敷地内における「Prodrone第1量産工場」の新設です。Prodroneは豊和工業の既存施設を活用し、国産ドローンの安定供給体制を迅速かつ効率的に構築するとしています。

この発表によって、両社の協業は「ドローンの部品・装置を一緒に開発する」という段階から、「実際に量産するための生産基盤を整える」段階へ進みました。投資家にとっては、研究開発だけで終わるテーマなのか、量産・販売につながる事業になるのかという見方が変わる材料です。

ただし第1量産工場で何機を生産するのか、豊和工業がどの工程をどのような契約形態で担当するのか、豊和工業に帰属する売上・利益への寄与額がどの程度になるのかは公表されていません。このため、量産工場の新設自体は大きな進展ですが、現時点で豊和工業の利益額を具体的に試算できる段階ではありません。

Prodrone(プロドローン)とはどんな会社?

国産産業用ドローンを開発・製造する企業

Prodroneは愛知県名古屋市に本社を置くドローン企業で、産業用ドローンの開発から生産までをワンストップで手掛けています。物流、点検、測量、防災など民生用途だけでなく、防衛を含むDual-Use(デュアルユース)分野にも事業を広げています。

製品には、最大離陸重量45kgで第一種型式認証の取得を目指す大型機「PD6B-CAT3」、長時間・長距離飛行に対応する「Prodrone GT-M」、測量・点検向けの「PRODRONE GS120」などがあります。2026年5月の防衛大臣視察では、対処型ドローンのほか、AIエージェントを活用した地上管制システムや水空一体ドローンなども公開しました。

Prodroneは機体そのものだけでなく、制御技術、地上管制、長距離飛行、特殊用途への対応など幅広い技術を持っています。豊和工業との協業を考える際も、Prodroneが持つ無人機の設計・制御技術と、豊和工業が持つ製造・防衛分野の知見を組み合わせる構図で見ると理解しやすくなります。

民生と防衛の「Dual-Use」を展開

Prodroneは自社をDual-Useドローンの開発・生産企業と位置づけています。Dual-Useとは、一つの技術や製品を民生用途と安全保障用途の双方で活用する考え方です。

ドローンは代表的なDual-Use技術です。同じ機体設計、飛行制御、通信、量産技術でも、物流や設備点検、災害対応に使うこともあれば、防衛分野で偵察や対処に活用することもできます。民間市場で量産規模を確保しながら、防衛用途で求められる機能や信頼性にも対応できれば、開発費や生産コストを抑えやすくなります。

9月7日に発表された第1量産工場も、防衛専用工場とは説明されていません。Prodroneは点検・物流・防災などのドローン需要に応える安定供給体制を構築するとしており、豊和工業との量産連携は民生需要も含む国産ドローン全体の生産基盤強化として捉える必要があります。

豊和工業と共同開発する「対処型ドローン」とは?

ペイロード2kgの小型ドローンプラットフォーム

Prodroneが2026年5月に公開した対処型ドローンは、ペイロード2kgまで積載できる小型機プラットフォームです。「ペイロード」とは機体が運べる搭載物の重量を指します。

公開された機体には、豊和工業と共同開発中の投下装置を備えたタイプと、光ファイバーと対処機材を搭載した試作モデルがありました。Prodroneは細かな運用方法や採用状況までは公表しておらず、現時点では試作・開発段階の製品と見るのが適切です。

防衛用途のドローンは技術革新が速く、機体だけでなく搭載物、通信、センサー、管制システムなどを組み合わせて機能が決まります。そのため、対処型ドローンの将来性を見る際は、試作品の公開そのものより、今後の実証、採用、量産、受注へ進むかを追うことが重要です。

5月公表では「投下装置」の共同開発を明示

2026年5月のProdroneリリースでは、豊和工業の具体的な担当として、対処型ドローンに搭載する投下装置の共同開発が明示されています。同資料には「豊和工業株式会社と共同開発中の投下装置を有するドローン」と記載されています。

豊和工業は20式5.56mm小銃をはじめとする防衛装備品だけでなく、工作機械、空・油圧機器などを長年製造してきました。精密加工、機械設計、量産、品質管理といった製造業としての基盤を持っているため、ドローンの搭載装置や量産工程との親和性はあります。

その後、9月7日の両社発表では「両社が共同開発中の『対処型ドローン』」と表現が広がっています。ただし、「豊和工業が機体本体の設計を担当」「20式小銃を搭載するドローンを開発」といった具体的な役割分担は公表されていません。現時点では、対処型ドローンを両社で共同開発していること、5月時点で豊和工業の担当として投下装置が具体的に示されたこと、さらにProdroneへの出資と量産拠点の設置が進んでいることまでを確定情報として整理するのが安全です。

「対処型ドローン」と「迎撃ドローン」は同じ?

豊和工業との共同開発は「対処型ドローン」

豊和工業とProdroneの関係を調べると、「迎撃ドローン」という表現が出てくることがあります。しかし、Prodroneが豊和工業との共同開発について公式に使っている名称は「対処型ドローン」です。

5月のProdroneリリースでは、対処型ドローンについて豊和工業と共同開発中の投下装置を有する機体を公開したと説明しています。9月7日の量産工場・増資リリースでも、「両社で共同開発中の『対処型ドローン』など、すでに技術連携を開始」と記載されています。

「対処」という言葉から敵性ドローンへの迎撃用途を連想することはできますが、公式名称が異なる以上、豊和工業との案件をそのまま「迎撃ドローン共同開発」と断定しない方が正確です。

国産迎撃ドローンはProdroneと東芝の技術連携

Prodroneが「国産迎撃ドローン」という名称で正式に発表しているのは、2026年7月31日に開始した東芝との技術連携です。両社は防衛分野における無人機システム技術の高度化に向け、国産迎撃ドローンに関する連携を開始しました。

Prodroneは機体設計、自律飛行制御、機体制御、Dual-Use領域の開発経験などを提供し、東芝はレーダー、防空、指揮統制システム、防衛装備品の品質保証やシステムインテグレーションの知見を活用するとしています。

つまり、Prodroneは豊和工業とは対処型ドローンや量産基盤、東芝とは迎撃ドローンのシステム技術というように、複数の企業と異なる形で連携しています。

現時点で3社共同プロジェクトとは確認できない

豊和工業の量産工場、Prodroneの対処型ドローン、東芝との迎撃ドローン技術連携は、同じ国産ドローン・防衛というテーマ上にあります。そのため、将来的に技術や生産基盤が相互に活用される可能性を考えたくなります。

しかし2026年9月8日時点で、豊和工業・Prodrone・東芝の3社が共同で迎撃ドローンを開発・量産するという公式発表は確認できません。投資判断では、「既に発表された協業」と「今後あり得る展開」を分ける必要があります。

今後、東芝との迎撃ドローンがProdroneの量産体制に乗るのか、その一部を豊和工業敷地内の工場が担うのかが開示されれば、豊和工業への業績インパクトを考えるうえで新しい材料になります。現段階では将来の確認ポイントです。

豊和工業とProdroneはなぜ協業する?

豊和工業には防衛装備品の製造ノウハウがある

豊和工業は、国内唯一の小銃メーカーとして20式5.56mm小銃などを製造するほか、迫撃砲や自動てき弾銃など複数の防衛装備品を手掛けてきました。防衛省向けの製造では、民間製品以上に厳格な品質管理、長期的な供給、補用品の確保などが求められます。

さらに工作機械メーカーとして、機械加工、自動化設備、空・油圧機器などの技術も持っています。ドローン量産では機体を設計する技術だけでなく、同じ品質で継続的に生産するための工程設計、設備、人材、調達網が必要です。豊和工業の既存施設と製造ノウハウを活用することには合理性があります。

Prodroneはドローン開発技術を持つ

一方のProdroneは、無人航空機の機体設計、飛行制御、地上管制、長距離飛行、大型機などドローン固有の技術を蓄積しています。第一種型式認証の取得を目指す大型機など、社会実装を意識した製品開発も進めています。

スタートアップ企業の強みは、技術変化の速い分野で素早く試作・改善できることです。一方、大量生産へ移ると、生産設備、品質保証、調達、生産人員など別の能力が必要になります。Prodroneが豊和工業の既存施設を使って第1量産工場を整備するのは、この量産フェーズの課題を補う取り組みと考えられます。

「防衛メーカー×ドローン企業」の補完関係

豊和工業の強みProdroneの強み
防衛省向け装備品の製造実績産業用ドローンの機体開発
精密加工・機械設計飛行制御・自律制御
既存工場・量産設備特殊用途への迅速な試作
品質管理・長期供給の経験Dual-Useの事業開発

両社の関係は、豊和工業がドローン企業へ業態転換するというより、豊和工業の製造・防衛基盤とProdroneの無人機技術を組み合わせる補完関係と見ると分かりやすいです。

今後、豊和工業が量産工程でどこまで実務を担うのか、共同開発・製造連携の範囲がどこまで広がるのかによって、豊和工業側の収益機会は変わります。

なぜ今、国産ドローンの量産が重要なのか?

防衛省が無人アセットを重視

世界各地の紛争では、偵察、攻撃、補給、通信中継など幅広い用途で無人機が使われ、ドローンの重要性が急速に高まっています。日本の防衛省も無人アセットを重視しており、2026年5月に小泉防衛大臣がProdroneを視察した際には、無人機分野で日本が追いつき、無人アセットを駆使する組織へ変革する必要性に言及しました。

防衛分野では性能だけでなく、必要な数量を迅速に確保できる量産性も重要です。消耗や技術更新が速い無人機では、少数の高価な装備品だけではなく、短期間で改良・量産できる産業基盤が求められます。

無人航空機は経済安全保障上の特定重要物資

国産ドローンの量産は、防衛政策だけでなく経済安全保障政策ともつながっています。無人航空機は2025年12月に経済安全保障推進法上の「特定重要物資」に追加指定され、経済産業省は2026年3月に「無人航空機に係る安定供給確保を図るための取組方針」を公表しました。

特定重要物資は、国民生活や経済活動に重要で、外部依存などによって供給が途絶すると大きな影響が出る物資です。ドローンでは機体だけでなく、主要部品、制御装置、サプライチェーンを国内に確保することが政策課題になっています。

国内生産・サプライチェーン強化が進んでいる

Prodroneは2026年9月1日、無人航空機に係る安定供給確保計画について経済産業大臣の認定を受けました。計画では量産技術の開発、新工場・生産ラインの整備、主要構成部品の国内調達体制とサプライチェーン構築を進めます。

この認定から6日後に豊和工業敷地内の第1量産工場が発表されています。時系列から見ると、豊和工業との連携は単独の防衛案件というより、Prodroneが進める国産ドローンの供給能力拡大の一部として位置づけられています。

Prodroneは年間5万8,000機の供給体制を目指す

2029年3月に年間5.8万機が目標

Prodroneの供給確保計画で特に目を引くのが、生産供給能力の目標です。2029年3月時点で年間5万8,000機の供給能力を目指しており、助成上限金額は15億円とされています。

項目Prodroneの認定計画
対象物資無人航空機
助成上限金額15億円
目標生産供給能力年間58,000機
目標時点2029年3月
主な取り組み量産技術開発、新工場・生産ライン整備、主要部品の国内調達・サプライチェーン構築

年間5.8万機という大きな目標からは、Prodroneが国産ドローンの量産能力を大幅に拡大し、本格的な量産体制を構築しようとしていることが分かります。豊和工業の既存施設を利用する第1量産工場は、その量産体制構築を早める役割を持つと考えられます。

年間5.8万機は第1量産工場単独の生産能力として公表された数字ではない

一方、「年間5万8,000機」という数字の扱いには注意が必要です。この数字はProdroneが経産省から認定を受けた供給確保計画全体の目標生産供給能力であり、豊和工業敷地内の第1量産工場単独の生産能力として公表された数字ではありません。

Prodroneは計画の中で「新工場および生産ラインの整備」と複数の生産基盤整備を掲げています。したがって、「豊和工業の工場で年間5.8万機を生産する」「5.8万機分の売上が豊和工業に入る」といった計算はできません。

ただし、第1量産工場の生産能力、豊和工業が具体的に担う工程、契約形態、豊和工業に帰属する売上・利益の規模は公表されていません。

豊和工業のドローン事業はどこまで業績に影響する?

現時点では業績への影響は軽微

9月7日の発表は株式市場で大きく評価されましたが、豊和工業は本件の連携強化が現時点の業績に与える影響を「軽微」としています。つまり、出資や工場新設が決まったからといって、2027年3月期の売上・利益が直ちに大幅に増えると会社自身が見込んでいるわけではありません。

豊和工業の現在の収益の柱は、20式5.56mm小銃などを含む火器事業です。2026年3月期の火器事業売上高は89億6,500万円、セグメント利益は12億5,500万円でした。ドローン分野はこれに並ぶ既存の収益柱ではなく、将来の新しい成長分野として評価されている段階です。

株価は将来期待を先回りして動くため、「現時点の業績影響は軽微」と「将来の事業価値がない」は同じ意味ではありません。ただし、テーマ性による評価と実際の利益貢献を分ける必要があります。

将来は量産・受注規模が重要

豊和工業の業績にドローン事業が本格的に寄与するには、共同開発や工場整備からさらに先へ進む必要があります。なかでも焦点になるのが「何を、何機、誰向けに、いくらで生産するのか」です。

確認したい項目投資家にとっての意味
第1量産工場の稼働時期Prodroneの量産開始時期を確認できる
豊和工業との契約形態豊和工業への売上・利益計上の仕組みが分かる
生産台数・生産能力売上規模の推定材料になる
豊和工業の担当工程収益源や利益への寄与度が分かる
対処型ドローンの採用・受注防衛分野での事業化を確認できる
民生向けの大型受注防衛需要だけに依存しない量産効果を確認できる
業績予想への織り込み将来期待がEPSへ変わったか判断できる

見るべきは、工場が完成したこと自体ではなく、継続的な受注が入って稼働率が上がるかです。量産体制を整えても、実際の受注が伴わなければ事業全体の収益拡大にはつながりません。豊和工業への利益寄与を判断するには、契約形態や費用負担も確認する必要があります。

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豊和工業のドローン事業で今後注目したいポイント

第1量産工場の稼働開始

最初の確認ポイントは、Prodrone第1量産工場がいつ本格稼働するかです。9月7日の発表では新設方針は示されていますが、生産開始時期や月産・年産能力など詳細は公表されていません。

工場の稼働が始まり、生産機種や能力が具体化すれば、豊和工業が量産で果たす役割も見えやすくなります。工場関連の追加開示は、今後のドローン事業を評価する最初の重要材料です。

対処型ドローンが防衛省に採用されるか

豊和工業との共同開発が直接的な業績材料になるうえで大きいのが、対処型ドローンの実用化・採用です。2026年5月時点では試作モデルが公開された段階で、防衛省による正式採用や具体的な調達数量は公表されていません。

今後、実証試験、正式採用、調達契約へ進めば、開発テーマから受注案件へ変わります。豊和工業が投下装置や量産工程を担当する場合、売上・利益への波及もより具体的になります。

Prodroneの量産計画が進むか

Prodroneは2029年3月までに年間5.8万機の供給能力を目指しています。目標が大きいだけに、途中の進捗確認が重要です。新工場の整備、設備導入、部品の国内調達、人員確保、資金調達などが計画通り進むかを見る必要があります。

年間5.8万機の能力を整えても、実際の販売台数が同じになるわけではありません。生産能力と実需は別なので、量産体制だけでなく受注・販売実績も合わせて確認する必要があります。

東芝など他社との連携が豊和工業にも広がるか

Prodroneは東芝との国産迎撃ドローンだけでなく、さまざまな企業・機関との連携を進めています。こうした案件がProdroneの量産需要を押し上げ、その一部を豊和工業敷地内の第1量産工場が担うようになれば、豊和工業にも間接的な恩恵が広がる可能性があります。

ただし、現時点では東芝との迎撃ドローンを豊和工業工場で生産するといった発表はありません。将来の可能性として期待することと、確定した受注として扱うことは分ける必要があります。

豊和工業の決算にドローン売上が現れるか

投資家にとって最終的な焦点は、ドローン関連の取り組みが豊和工業の売上・営業利益・EPSに表れるかです。株価はテーマだけでも大きく動きますが、中長期的な企業価値を押し上げるには利益成長につながる必要があります。

今後の決算説明資料で「ドローン」「Prodrone」「量産工場」などが具体的な売上・受注として説明されるようになれば、事業化が一段進んだと判断できます。逆に工場整備後も業績への影響が軽微な状態が長く続く場合、株価が織り込んだ期待との乖離が意識される可能性があります。

豊和工業は「ドローン関連株」といえる?

テーマとしてはドローン関連株といえる

豊和工業はProdroneと対処型ドローンを共同開発しており、5月の公表では豊和工業の具体的な担当として投下装置の共同開発が示されています。さらにProdroneへの出資と、自社敷地内への第1量産工場の受け入れも進んでいます。単に取引先の一つがドローン企業という程度ではなく、技術・資本・生産の3面で関係を深めているため、「ドローン関連株」と位置づける根拠は十分あります。

特に豊和工業は従来から防衛関連株として認識されているため、国産ドローン、防衛用無人機、経済安全保障といったテーマが強まる局面では株式市場で注目されやすい銘柄です。2026年5月と9月の株価急騰も、そのテーマ性が評価された例です。

ただし現在の主力利益は火器事業

一方で、企業の実態まで「ドローン会社」と捉えるのは早すぎます。豊和工業は工作機械、火器、特装車両、建材などを持つ複合機械メーカーで、直近の利益面では火器事業が大きな柱です。

ドローンは今後の成長候補ですが、現時点では具体的な売上規模や利益寄与額が開示されていません。したがって豊和工業を投資対象として見る場合は、「既存の火器・工作機械などで現在どれだけ稼いでいるか」と「ドローンが将来どこまで伸びるか」を分けて考える必要があります。

ドローン事業が本当に第2、第3の収益柱へ育つかどうかは、第1量産工場の稼働、Prodroneの受注拡大、防衛用途の正式採用、豊和工業への売上計上という順番で確認していくのが分かりやすいでしょう。

まとめ

豊和工業は、産業用ドローン企業Prodroneとドローン分野で協業しています。2026年5月には、豊和工業と共同開発中の投下装置を搭載した「対処型ドローン」が公開されました。その後、9月7日の最新発表では両社が「対処型ドローン」を共同開発中と表現され、同時に豊和工業によるProdroneへの出資と、豊和工業敷地内へのProdrone第1量産工場の新設が発表されました。具体的な役割分担の全体像は公表されていません。

一方、Prodroneが東芝と技術連携する「国産迎撃ドローン」は別案件です。現時点で豊和工業・Prodrone・東芝の3社共同プロジェクトとは確認されていないため、対処型ドローンと迎撃ドローンを同一案件として扱わないことが重要です。

Prodroneは経済産業省の供給確保計画の認定を受け、2029年3月時点で年間5万8,000機の供給能力を目指しています。ただし、この数字はProdrone全体の計画であり、豊和工業敷地内の第1量産工場単独の能力ではありません。

豊和工業自身は9月7日の連携強化について現時点の業績への影響を軽微としています。今後は、第1量産工場の稼働、対処型ドローンの採用・受注、Prodroneの量産進捗、そして豊和工業の決算に売上・利益として現れるかが、ドローン事業を評価するうえで重要になります。

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出典
  • Prodrone「豊和工業内にProdrone第1量産工場を新設~同社を引受先とする第三者割当増資を実施のお知らせ~」

https://www.prodrone.com/jp/release/10461

  • Prodrone「小泉防衛大臣がProdroneを訪問、意見交換および社内視察を実施」

https://www.prodrone.com/jp/release/10371

  • Prodrone「経済産業省『供給確保計画』の認定について~国産ドローンの安定供給を推進~」

https://www.prodrone.com/jp/release/10446

  • Prodrone「東芝と防衛分野における国産迎撃ドローンの技術連携を開始」

https://www.prodrone.com/jp/release/10417

  • 経済産業省「無人航空機」

https://www.meti.go.jp/policy/economy/economic_security/drone/index1.html

  • 防衛省「防衛大臣臨時記者会見 令和8年5月20日」

https://www.mod.go.jp/j/press/kisha/2026/0520a_r.html

  • 防衛省「防衛大臣記者会見 令和8年5月19日」

https://www.mod.go.jp/j/press/kisha/2026/0519a.html

  • 豊和工業「2026年3月期 決算短信」

https://www2.jpx.co.jp/disc/62030/140120260514533971.pdf

  • 豊和工業「株式会社Prodroneとのドローン開発・製造連携について」(2026年9月7日)

https://finance-frontend-pc-dist.west.edge.storage-yahoo.jp/disclosure/20260907/20260907532284.pdf

  • ロイター「豊和工、ドローン開発・製造で国内新興企業と連携強化」

https://finance.yahoo.co.jp/news/detail/8a848ace709941d07027f38114c42cdf4b18eec6

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この記事を書いた人

投資歴7年。1級ファイナンシャル・プランニング技能士、証券外務員資格取得。2019年に100万円から投資スタート。2022年に1000万円→2025に年5000万円突破。
YouTubeでは株式投資・企業決算を中心とした解説動画を200本以上公開(チャンネル登録者数5000人)。日本株を中心に、企業決算や業績、株価材料を分析しています。

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