伊藤園の株主優待が廃止に!いつまでもらえる?配当は増える?株価・優先株への影響を解説

伊藤園は2026年9月29日、株主優待制度の廃止を発表しました。最後の優待は2026年4月30日を基準日とした分で、2027年4月30日を基準日とする優待はありません。

優待を目当てに伊藤園株を持っていた人にとっては、次の3点が気になるでしょう。

  • 優待の代わりに、配当は増えるのか?
  • 株価はどうなるのか?
  • 第1種優先株式の優待や、株式そのものはどうなるのか?

この記事では、優待がいつまでだったのかを確認したうえで、配当・株価・第1種優先株式への影響と、今後の決算で確認したい点を順番に解説します。

※本記事は2026年9月30日時点の開示資料・市場データをもとに作成しています。

目次

伊藤園の株主優待は2026年4月分を最後に廃止

伊藤園の株主優待は、2026年4月30日を基準日とした優待で終了しました。2026年9月29日に廃止が発表されましたが、最後の優待を受ける株主はすでに確定しています。これから伊藤園株を買っても、新たな株主優待は受けられません。

※基準日:その日に株主名簿へ記録されている株主を、優待や配当などの対象として判定する日です。株式を買う場合は、基準日より前の「権利付最終日」までに購入する必要があります。

第1種優先株式(以下、優先株)も、廃止前は普通株と同じ株主優待の対象でした。
※優先株:配当などで普通株より有利な条件が付く代わりに、株主総会での議決権が原則ない株式

優待廃止までの時系列

日付出来事
2026年4月30日最後の株主優待の基準日
2026年6月1日2026年4月期決算を発表。2027年4月期の普通株配当予想52円を公表
2026年7月下旬~8月上旬2026年4月分の優待品を発送
2026年9月1日2027年4月期第1四半期決算を発表。配当予想52円は変更なし
2026年9月29日株主優待制度の廃止を発表
2026年12月1日2027年4月期第2四半期決算の発表予定
2027年4月30日本来なら次の優待基準日だったが、優待は実施しない

廃止前の優待は100株で1,500円相当、1,000株で3,000円相当

廃止前は、普通株または優先株を100株以上持つ株主に、自社製品の詰め合わせと通信販売「健康体」の割引クーポンが贈られていました。普通株と優先株の両方を100株以上持つ場合は、それぞれで優待を受け取れる仕組みでした。

保有株数自社製品「健康体」の割引
100株以上1,000株未満1,500円相当30%割引クーポン
1,000株以上3,000円相当50%割引クーポン

通信販売の割引は、実際にどれだけ買い物をするかで価値が変わります。そのため、優待廃止で失う金額を一律に決めることはできません。一方、自社製品の「1,500円相当」「3,000円相当」は、配当や投資額と比べるための共通の目安にできます。

伊藤園はなぜ株主優待を廃止した?

伊藤園は、株主への公平な利益還元を進め、配当などの還元と中長期の企業価値向上へ経営資源を振り向けるため、優待を廃止したと説明しています。

さらに、優待

配当は株数に比例して増えるが、優待は保有株数が増えると利回りが下がる

旧優待を1株あたりに直すと、100株では15円、1,000株では3円でした。

保有株数自社製品の金額1株あたりの優待価値
100株1,500円相当15円
1,000株3,000円相当3円

100株から1,000株へ保有株数を10倍にしても、自社製品の優待額は2倍です。100株だけ持つ株主は、1株あたりで見ると1,000株株主の5倍の優待価値を受け取っていました。

配当は「1株あたり何円」で決まるため、100株なら100倍、1,000株なら1,000倍と株数に比例します。伊藤園が説明する「公平な利益還元」は、こうした株数に比例する還元へ重心を移す考え方と整合します。

優待廃止で配当は増える?

2026年9月30日時点では、優待廃止に伴う追加増配は決まっていません。2027年4月期の普通株配当予想は年52円のままです。

今後の配当は、すでに発表されている52円を出発点に考えます。そのうえで、利益や営業キャッシュフローから増配余地があるか、会社が実際に配当予想を引き上げるかを確認します。
※営業キャッシュフロー:本業で入ってきた現金から、本業で出ていった現金を差し引いた額

普通株の年間52円予想は優待廃止より前から決まっていた

2027年4月期の普通株配当予想は、中間26円・期末26円の年52円です。前期48円から4円増える計画ですが、52円は2026年6月1日の決算発表時点ですでに公表されていました。9月1日の第1四半期決算でも変更されていません。

つまり、52円は「優待を廃止した代わりに増配した」わけではありません。

旧優待を配当で置き換えるなら、年63円が目安

2026年4月期の普通株配当48円に、旧優待の1株あたり15円を加えると、年63円です。

これは、自社製品1,500円相当を配当だけで置き換えるときの目安です。通信販売の30%割引は含めていないため、実際に失う価値は株主ごとの利用状況で変わります。

優待廃止の後、株主還元はどう変わる?

伊藤園が示しているのは、「配当等による利益還元の充実」という方針までです。配当や自社株買いをどれだけ増やすかは、今後の開示で確認することになります。
※自社株買い:会社が市場などで自社の株式を買い戻すこと。配当と並ぶ株主還元の方法の一つ。

次の定例決算は2026年12月1日に予定されています。そこで配当予想が52円から上がるのか、自社株買いの金額が発表されるのかが焦点です。

増配余地は、利益と営業キャッシュフローから見る

配当を継続して増やすには、会計上の利益だけでなく、本業から現金を生み出せていることも必要です。2026年4月期の実績と2027年4月期の会社予想は次のとおりです。

項目2026年4月期(実績)2027年4月期(会社予想)
営業利益216.8億円200億円
普通株の1株あたり配当48円52円
配当性向178.6%54.5%
営業キャッシュフロー113.0億円—

※配当性向:最終利益のうち、配当に回す割合のこと

2026年4月期は、資産の価値を引き下げたことによる約148.8億円の損失を計上し、最終利益が34.7億円まで減りました。この影響で、配当性向は178.6%まで上昇しています。

営業キャッシュフローは2025年4月期の180.4億円から2026年4月期は113.0億円へ減りました。在庫が増え、商品の生産や仕入れに使った現金が、まだ売上として戻っていないことなどが影響しています。

第1四半期の営業利益は通期予想の51%まで進んでいる

2027年4月期第1四半期の売上高は1,351.8億円、営業利益は前期の同じ時期より22.0%多い102億円でした。売上高営業利益率も6.4%から7.5%へ上昇しています。

伊藤園の第1四半期は5~7月で、飲料がよく売れる夏にあたります。第1四半期の利益は通期の4分の1より大きくなる傾向があるため、進み具合は前期の同じ時期と比べて判断します。

決算期第1四半期の営業利益通期の営業利益第1四半期の割合
2026年4月期83.6億円216.8億円(実績)約38.6%
2027年4月期102億円200億円(予想)51.0%

2027年4月期は前期より速いペースで利益が積み上がっていますが、会社は通期の営業利益200億円と配当52円の予想を変えていません。配当予想が引き上げられるかは、第2四半期以降の利益と会社の開示で確認します。

株主優待廃止で伊藤園の株価はどうなる?

短期的には、優待を目当てにしていた株主が伊藤園株を売り、株価が下がる可能性があります。

株価が動く経路は大きく2つです。1つは、優待を目当てにしていた株主が売ったあと、代わりに買う投資家がいるかという「需給」。もう1つは、伊藤園の利益と株主への還元が増えるかという「業績と還元」です。

短期は、優待を目当てにしていた株主の売りが増える可能性がある

次回から優待がないため、「飲料の詰め合わせを受け取りたいから100株を持つ」という保有理由はなくなります。優待を目当てにしていた株主が株を売れば、買い注文より売り注文が多くなり、株価にはマイナス方向の力がかかります。

ただし、発表翌日の9月30日、普通株の終値は3,064円で、前日より18円(0.59%)高くなりました。優待を目当てにしていた株主が何人いて、何株を売るかは公表されていないため、売りの規模は今後の値動きで確かめることになります。

失う優待価値だけで、株価の下落幅は決まらない

9月30日の終値3,064円で100株を買うと、購入額は30万6,400円です。旧優待の自社製品1,500円相当は、投資額の約0.49%でした。年間配当52円なら、同じ株価での予想配当利回りは約1.70%です。

株価は業績予想や金利、市場全体の動き、投資家の期待でも変わるため、優待の0.49%と株価の下落率が一致するわけではありません。

増配や自社株買いが出れば、優待廃止の評価は変わる

優待廃止後に増配や自社株買いの金額が発表されれば、市場は「優待の代わりに、配当や自社株買いで株主に返す」と評価しやすくなります。特に、増配によって配当利回りが上がれば、配当を重視する投資家にとって買う理由が増えます。こうした評価は、実際に配当や自社株買いが行われる前でも、発表の時点で株価に表れることがあります。

逆に、追加の還元がなく、業績も弱くなれば、優待を失った分を補う材料が増えません。優待廃止後の株価は、還元策が具体化するかと、利益が計画どおり積み上がるかをセットで見る必要があります。

中長期では、利益率と海外成長が株価を左右する

中長期で見ると、伊藤園の株価は本業の利益の伸びに左右されます。会社は2027年4月期の売上高を5,000億円と予想する一方、営業利益は200億円と前期比7.8%減を見込んでいます。

  • 値上げや商品構成の見直しで、売上高営業利益率の上昇が続くか
  • 原材料費・物流費・人件費の上昇を、販売価格や効率化で吸収できるか
  • 海外で広がる日本茶・抹茶需要を、利益成長につなげられるか

利益が伸びれば、増配の原資も増えます。反対に業績予想が引き下げられれば、優待廃止で経営資源を振り向けても、株価を支える材料は弱くなります。

今後の開示で考えたい3つのシナリオ

今後の開示株価への影響(考えられる方向)見る数字
増配や自社株買い+業績の改善株価が上がる要因になり得る配当予想、自社株買いの金額、営業利益
還元も業績も今と同じ方向を決めにくい配当利回り、営業利益率
追加還元なし+業績の悪化株価が下がる要因になり得る業績予想の引き下げ、減配(配当の引き下げ)

決算や会社の発表があるたびに、3つのうちどれに近づいているかを確かめられます。今後の利益と還元額の変化が、中長期の株価を考える材料になります。

第1種優先株式の株主優待も廃止される?

伊藤園の優先株の株主優待も、普通株と同じく廃止されました。 廃止前の優待制度は普通株と優先株の両方を対象としており、制度そのものが終了するためです。

優先株そのものも廃止される?

伊藤園が廃止したのは株主優待制度で、優先株そのものは引き続き東京証券取引所で売買できます。

伊藤園の優先株には、主に次の条件があります。

  • 株主総会の議決権は原則なし
  • 配当は普通株の配当額の125%(1円未満は切り上げ)
  • 優先配当の下限は、中間・期末の1回ごとに1株15円。普通株の配当がゼロの回でも、優先株には15円が支払われる
  • 未払いの優先配当は後の期に持ち越され、あとで支払われる
  • 売買単位は普通株と同じ100株

2027年4月期は、普通株の中間・期末配当が各26円の予想です。26円×125%=32.5円なので、1円未満を切り上げて33円となります。優先株は中間33円・期末33円、年間66円の予想です。

普通株の中間・期末配当がどちらもゼロなら、制度上、優先株には1株あたり各15円、年30円が支払われます。

優待がなくなると、普通株と優先株は配当利回りの違いが中心になる

同じ日の終値で計算すると、優先株の予想配当利回りは普通株の約2倍です。

比較項目普通株(2593)優先株(25935)
2026年9月29日終値3,046円1,808円
2027年4月期の年間配当予想52円66円
予想配当利回り約1.71%約3.65%
旧優待1,500円の利回り(100株)約0.49%約0.83%
議決権あり原則なし
株主優待廃止廃止

※普通株と優先株の比較表は、両銘柄の同日終値を確認できる2026年9月29日の市場データを使用

優待がなくなった後は、優先株を選ぶ理由の中心が「優待+配当」から高い配当利回りへ移ります。普通株には議決権があり、売買高も一般に大きいため、配当だけでなく議決権や流動性(売買のしやすさ)も含めて比較します。

優待廃止後も伊藤園株を持つ・買う?

優待廃止後の伊藤園株は、配当・業績・株価の3つで投資条件を判断する銘柄になります。優待を目当てにしていた人と、これから買う人では確認するポイントが異なります。

投資目的・状況優待廃止で変わったこと確認したいこと
優待を目当てにして保有中自社製品と通販割引がなくなる配当と将来の株価上昇を期待して持つ理由があるか
配当目的で保有・検討配当予想は52円のまま利益と営業キャッシュフローが配当を支えられるか
これから普通株を買う最初から優待なしの条件で評価する配当利回りと業績が現在の株価に見合うか
優先株を検討優待はなくなるが、高い配当の条件は残る配当利回り、議決権、流動性を普通株と比較する

優待目的で保有していた人:持ち続ける理由は残るのか?

優待を目当てに伊藤園株を持っていた人にとって、保有を続ける理由は、配当と将来の株価上昇へ移ります。

旧制度では、2026年4月期の配当4,800円(1株48円)に加えて、1,500円相当の自社製品と30%割引クーポンを受け取っていました。今後は、2027年4月期予想の配当5,200円(1株52円)と事業成長に魅力を感じるかが判断材料になります。

配当目的の人:増配期待だけで買ってよい?

配当目的なら、増配を前提にせず、普通株52円・優先株66円という現在の会社予想で利回りを計算します。

会社予想のEPS(1株あたり利益)95.44円に対して、配当52円は約半分(配当性向54.5%)で、利益の範囲内に収まっています。次の決算で会社予想が変わったら、その時点で評価を見直す必要があります。

これから買う人:優待廃止後も投資対象になる?

これから伊藤園株を買う人は、配当と業績が株価に見合うと判断できれば、優待がなくても投資対象になります。今から買う人には、以前の優待を失うという損失はありません。

普通株を例にすると、9月30日終値3,064円に対する予想配当利回りは約1.70%です。2027年4月期の営業利益は200億円と前期比7.8%減の会社予想です。今の株価で52円の配当と将来の利益成長に十分な魅力があるかを見ます。

株価が下がったら買ってよい?

株価が下がったときは、同じ配当を受け取れるまま株価だけが下がったのか、業績や配当の前提まで悪くなったのかを分けて考えます。

たとえば配当予想52円が維持されたまま株価が下がれば、配当利回りは上がります。一方、営業利益の予想引き下げや減配が同時に発表された場合は、株価が下がっていても投資条件が改善したとは言えません。株価の安さは、利益と配当の前提とセットで判断する必要があります。

保有・購入を判断するときのチェックポイント

伊藤園株を持ち続けるか、これから買うかは、会社の発表で分かることと、自分で計算して比べることの2つで判断しましょう。

12月1日の第2四半期決算など、会社の発表があるたびに確認すること

  • 配当予想:普通株52円、優先株66円から変わったか
  • 営業利益:通期予想200億円が引き上げられたか
  • 営業キャッシュフロー:2027年4月期に、前期の113.0億円を上回るか
  • 追加還元:増配や自社株買いの金額が発表されたか

買う前や、持ち続けるかを考えるときに、自分で計算して比べること

  • 配当利回り:普通株なら「52円÷株価」、優先株なら「66円÷株価」が、自分の求める水準に届くか
  • 普通株と優先株:配当利回りのほかに、議決権と流動性も比べたか

減配や営業利益予想の引き下げが発表されたときは、保有を続ける前提を見直す時期です。

まとめ:伊藤園の優待廃止後に押さえたい3点

伊藤園の優待廃止で押さえておきたい点は、次の3つです。

  • 株主優待は2026年4月30日を基準日とする分で終了。普通株も優先株も対象です。
  • 普通株の年間配当予想は52円のままです。12月1日の決算では、配当予想の変更や自社株買いの有無を確認します。
  • 今後の株価は、短期の需給と、中長期の業績・株主還元で考えます。

優待廃止後は、配当利回り、利益の伸び、自社株買いを含む株主還元が現在の株価に見合うかどうかが、伊藤園株を評価する中心になります。

出典

・株式会社伊藤園「株主優待制度の廃止に関するお知らせ」(2026年9月29日)
https://finance-frontend-pc-dist.west.edge.storage-yahoo.jp/disclosure/20260929/20260924539400.pdf
・株式会社伊藤園「2027年4月期 第1四半期決算短信〔日本基準〕(連結)」(2026年9月1日)
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120260831528591.pdf
・株式会社伊藤園「2026年4月期 決算短信〔日本基準〕(連結)」(2026年6月1日)
https://www2.jpx.co.jp/disc/25930/140120260529556144.pdf
・株式会社伊藤園「配当情報」
https://www.itoen.co.jp/ir/stock/dividend/
・株式会社伊藤園「優先株について」
https://www.itoen.co.jp/ir/stock/preferred_stocks/
・株式会社伊藤園「株式基本情報」
https://www.itoen.co.jp/ir/stock/info/
・株式会社伊藤園「IRカレンダー」
https://www.itoen.co.jp/ir/schedule/
・Yahoo!ファイナンス「伊藤園(2593)株価時系列・信用残時系列」
https://finance.yahoo.co.jp/quote/2593.T/history
・Yahoo!ファイナンス「伊藤園 第1種優先株式(25935)株価時系列・信用残時系列」
https://finance.yahoo.co.jp/quote/25935.T/history

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この記事を書いた人

投資歴7年。1級ファイナンシャル・プランニング技能士、証券外務員資格取得。2019年に100万円から投資スタート。2022年に1000万円→2025に年5000万円突破。
YouTubeでは株式投資・企業決算を中心とした解説動画を200本以上公開(チャンネル登録者数5000人)。日本株を中心に、企業決算や業績、株価材料を分析しています。

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