マクニカHDの決算はどうだった?2027/3期1Q業績・市場予想・今後の見通しを解説

「マクニカHDの決算はどうだった?」「AI需要や半導体市場の回復で好決算になった?」と気になっている人も多いのではないでしょうか。

2027年3月期1Qは、売上高が前年同期比39.7%増、営業利益が101.4%増となりました。経常利益は約3.2倍に拡大し、決算前の市場コンセンサスも大きく上回っています。

半導体事業とサイバーセキュリティ事業が成長を牽引した一方、CPSソリューション事業の赤字は拡大しました。また、通期予想は据え置かれ、売上債権や在庫の増加によって営業キャッシュフローは赤字です。

1Qは市場予想を大きく上回る好決算でしたが、今後は高水準の受注残を売上と現金へ転換し、通期予想の上方修正につなげられるかが焦点です。

本記事では、1Q実績、市場予想との比較、大幅増益となった理由、セグメント別業績、通期見通し、株価反応、今後の注目点を解説します。

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目次

マクニカHDの決算はどうだった?

マクニカHDの決算はどうだった?
項目2027年3月期1Q前年同期比
売上高3,934億4,300万円39.7%増
営業利益165億900万円101.4%増
経常利益162億4,700万円219.7%増
親会社帰属純利益109億2,800万円114.6%増
売上総利益411億9,800万円45.7%増
売上総利益率約10.5%約0.5ポイント上昇
営業利益率約4.2%約1.3ポイント上昇
経常利益率約4.1%約2.3ポイント上昇
1株利益61.20円32.66円増

マクニカホールディングスの2027年3月期第1四半期は、売上高から純利益まで大幅な増収増益となりました。

売上高は3,934億4,300万円、営業利益は165億900万円です。前年1Qは営業利益が32.0%減少していましたが、今回は約2倍へ回復しました。

経常利益は前年同期の50億8,200万円から162億4,700万円へ増加しています。本業の営業利益が大きく伸びたことに加え、前年に利益を押し下げた為替差損が縮小したため、営業利益以上に経常利益の増益率が大きくなりました。

売上総利益率は10.0%から約10.5%、営業利益率は2.9%から約4.2%へ改善しています。専門商社では売上規模だけでなく、粗利益率と販管費率によって利益が大きく変わるため、売上増加と利益率改善が同時に進んだ点は高く評価できます。

1Q経常利益は市場予想を約50%上回った

項目金額
決算前コンセンサス108億円
実績162億4,700万円
差額54億4,700万円上振れ
市場予想に対する差約50.4%上振れ

IFISの決算前コンセンサスでは、1Q経常利益は108億円と予想されていました。実績は162億4,700万円となり、市場予想を約50.4%上回っています。

前年同期比で利益が何倍になったかだけでなく、株価へ織り込まれていた市場期待も大きく上回りました。決算発表後に株価が上昇した最大の理由は、このコンセンサス超過です。

ただし、コンセンサスは決算発表後に更新されます。今後は1Qの上振れが単発ではなく、通期利益の上方修正につながるかを確認する必要があります。

営業利益率は2.9%から4.2%へ改善

1Qの売上総利益率は約10.5%となり、前年同期の10.0%から約0.5ポイント上昇しました。

販売費及び一般管理費は前年同期比23.0%増えましたが、売上高の39.7%増を下回っています。その結果、販管費率は7.1%から6.3%へ低下し、営業利益率は約4.2%まで改善しました。

  • 半導体事業の売上総利益率が約8.0%から約8.8%へ改善
  • 海外で獲得した新規商流によって販売規模が拡大
  • 産業機器・車載向けの増収で固定費負担が低下
  • 全社の売上増加率が販管費の増加率を上回った

売上高が増えても粗利益率が低下すれば利益は伸びません。今回は売上規模と採算の両方が改善し、利益の伸びが売上高を大きく上回る決算となりました。

前四半期からも増収増益

項目2026年3月期4Q2027年3月期1Q前四半期比
売上高3,260億3,800万円3,934億4,300万円約20.7%増
営業利益136億8,100万円165億900万円約20.7%増
経常利益125億6,900万円162億4,700万円約29.3%増
純利益94億2,400万円109億2,800万円約16.0%増

前期4Qと比較しても、売上高・営業利益・経常利益・純利益がすべて増加しました。前年1Qの利益水準が低かった反動だけではなく、足元の業績モメンタムも強まっています。

特に半導体事業は、前期4Qから売上高が約24%、営業利益が約42%増加しました。海外の新規商流に加え、国内の幅広いアプリケーションで需要回復が進んだことが寄与しています。

経常利益3.2倍には為替差損の縮小も寄与

営業利益は前年同期比101.4%増でしたが、経常利益は219.7%増となりました。増益率に差があるのは、営業外損益も改善したためです。

前年1Qには約28億4,100万円の為替差損を計上していました。今回の為替差損は約3億600万円まで縮小しており、前年との差は約25億円です。

したがって、今回の経常増益は次の2つに分けて評価できます。

  • 本業の改善:半導体・サイバーセキュリティの増収と利益率改善
  • 営業外損益の改善:為替差損の大幅な縮小

為替差損の縮小は前向きですが、毎四半期継続するとは限りません。今後は営業利益の成長が続くかを優先して確認しましょう。

マクニカHDが大幅増益となった理由

今回の大幅増益は、半導体市場全体が一律に回復しただけではありません。海外での新規商流、AI関連設備投資、車載市場のシェア拡大、サイバーセキュリティ需要など、複数の成長要因が重なりました。

半導体事業は売上40%増・営業利益133%増

項目2027年3月期1Q前年同期比
売上高3,348億9,000万円40.3%増
売上総利益296億3,200万円55.6%増
売上総利益率約8.8%約0.8ポイント上昇
営業利益136億8,100万円133.0%増
営業利益率約4.1%約1.6ポイント上昇

半導体事業は全社売上高の約85%を占める主力事業です。1Q売上高は3,348億9,000万円、営業利益は136億8,100万円となりました。

前年度に海外市場で新たな商流を獲得したことで、産業機器と車載市場におけるシェア拡大が進みました。国内市場でも、半導体製造装置やFA・工作機械をはじめとする幅広い用途で回復が確認されています。

売上総利益率も改善しており、売上高の増加以上に営業利益が伸びました。全社の営業増益83億円のうち、半導体事業の増益は約78億円を占めています。

産業機器向け売上は77%増

用途売上高前年同期比
産業機器1,346億円77%増
車載936億円31%増
コンピュータ422億円3%減
民生機器268億円33%増
通信インフラ184億円37%増
OA・周辺機器110億円22%増
通信端末82億円58%増

用途別で最も大きく伸びたのは産業機器です。売上高は前年同期比77%増の1,346億円となり、半導体事業売上の40%を占めました。

生成AI向け半導体の需要増加を背景に、半導体を製造・テストする装置への設備投資が好調でした。FAや工作機械向けにも回復がみられています。

車載向けも31%増の936億円となりました。安全性向上や自動化へ向けた高度な制御システムの需要が続き、海外での商流拡大も売上を押し上げています。

一方、コンピュータ向けは3%減でした。AI関連が好調でも、すべての用途が伸びているわけではない点には注意が必要です。

アナログ・メモリー・ASSPが大幅に増加

品目売上高前年同期比
アナログ1,069億7,000万円74.9%増
マイコン503億1,400万円35.1%増
パワーIC他418億2,600万円22.2%増
ASSP357億5,700万円60.1%増
PLD262億8,400万円6.1%減
メモリー258億5,000万円106.9%増
電子デバイス249億8,000万円29.3%増

品目別では、メモリーが約2.1倍、アナログが約75%増、ASSPが約60%増となりました。マイコンやパワーICも増加しています。

アナログ半導体やマイコンは産業機器・車載機器で幅広く使われます。特定のAI半導体だけでなく、設備投資や車載制御に必要な周辺半導体まで需要が広がりました。

メモリーの大幅増加は売上成長へ寄与しましたが、会社は今後についてメモリー不足や半導体納期の長期化を不透明要因として挙げています。供給不足が販売機会を増やす場合もあれば、顧客の生産を止めて需要を抑える場合もあるため、単純な追い風とは限りません。

PLDは6.1%減少しました。品目構成の変化によって粗利益率も動くため、売上高だけでなく半導体事業の売上総利益率を確認しましょう。

サイバーセキュリティ需要が高水準

項目2027年3月期1Q前年同期比
売上高567億4,400万円36.1%増
営業利益54億600万円28.0%増
営業利益率約9.5%約0.6ポイント低下
ソフトウェア売上453億8,600万円43.9%増
サービス売上71億2,300万円14.9%増

サイバーセキュリティ事業は、売上高567億4,400万円、営業利益54億600万円となりました。

国内でランサムウェアやサプライチェーンを標的とした大規模インシデントが相次ぎ、企業のセキュリティ投資需要が高水準で推移しています。

  • クライアント端末を保護するエンドポイントセキュリティ
  • 外部公開資産のリスクを可視化するASM
  • ネットワークとセキュリティを統合するSASE
  • クラウド利用拡大に対応したゼロトラスト関連商品

ソフトウェア売上は43.9%増加し、シンガポールを中心としたアジア太平洋地域の海外事業も伸びました。

一方、営業利益率は前年同期の約10.1%から約9.5%へ低下しています。売上成長は強いものの、採算がさらに改善しているわけではないため、今後はサービス比率や費用増加も確認が必要です。

CPSソリューション事業は赤字が拡大

項目2027年3月期1Q前年同期
売上高18億800万円13億6,700万円
売上増減率32.2%増
営業損失25億7,800万円18億9,700万円の損失

CPSソリューション事業は32.2%増収となった一方、営業損失は25億7,800万円へ拡大しました。

スマートマニュファクチャリングでは、DX関連コンサルティング、SI、生産シミュレーション、PLMなどが伸びています。

一方、自動運転EVバスでは、監督官庁による基準厳格化などを背景に自治体の導入判断が長期化しました。販売収益の計上より先に開発・生産費用が発生し、ユーロ建て費用の円換算額も増加しています。

通期会社計画ではCPS事業の営業損失を56億円と見込んでいます。1Qだけで約26億円の赤字を計上したため、年度後半に案件計上が進み、損失を縮小できるかが重要です。

通期業績予想は据え置き

項目2027年3月期予想前期比1Q進捗率
売上高1兆3,000億円7.1%増約30.3%
営業利益520億円24.0%増約31.7%
経常利益470億円25.7%増約34.6%
親会社帰属純利益320億円15.2%増約34.2%
1株利益179.21円
年間配当80円10円増配

会社は市場予想を大幅に上回る1Q決算を発表しましたが、2026年5月に公表した通期予想を据え置きました。

通期では売上高1兆3,000億円、営業利益520億円、経常利益470億円を予想しています。前期から増収増益となる計画ですが、1Qの進捗率は利益項目で30%を超えています。

経常利益の進捗率は34.6%

1Q経常利益は162億4,700万円で、通期予想470億円に対する進捗率は34.6%です。

営業利益の進捗率は31.7%、純利益は34.2%となっています。四半期を単純に4倍する25%を上回っており、1Q時点では順調な進捗です。

ただし、マクニカHDの業績には為替、半導体の供給状況、顧客の設備投資、CPS案件の計上時期などが影響します。高い進捗率だけを理由に上方修正が確実と判断することはできません。

通期会社予想は市場コンセンサスを下回る

項目会社予想市場予想市場予想比
売上高1兆3,000億円1兆3,500億円約3.7%未達
営業利益520億円560億円約7.1%未達
経常利益470億円510億円約7.8%未達
純利益320億円350億円約8.6%未達

IFISの通期経常利益コンセンサスは510億円です。会社予想470億円を40億円、率にして約7.8%上回っています。

市場は、半導体事業の回復やサイバーセキュリティの成長が会社計画以上に続くと期待しています。

今回の1Q実績は市場予想を大きく上回りましたが、会社が通期予想を据え置いたため、実績の強さと慎重なガイダンスが並存する決算となりました。

今後、アナリストが通期コンセンサスを引き上げるか、会社が2Q以降に上方修正するかを確認しましょう。

好決算でも上方修正しなかった理由

会社は国内の半導体市場に回復がみられる一方、先行きには不透明な要因があると説明しています。

  • AI需要拡大に伴うメモリー不足
  • 半導体の納期長期化
  • 顧客生産への供給制約の影響
  • 中東情勢を含む地政学リスク
  • 原油・原材料価格や物流の変動
  • CPS事業の売上計上が年度後半へ偏る可能性

半導体の供給不足は単価上昇や前倒し発注につながる場合がありますが、顧客が必要な部品をそろえられず生産を止めれば、マクニカHDの販売にも悪影響が出ます。

1Qの上振れだけで通期見通しを変更せず、2Q以降の供給状況や需要を確認する慎重な姿勢と考えられます。

為替前提は1ドル150円

1Qの平均為替レートは1ドル158.8円でした。通期会社計画の前提は1ドル150円です。

1Qは会社前提より円安で推移したため、海外売上の円換算額を押し上げました。海外の新規商流拡大と円安の両方が売上成長へ寄与しています。

ただし、マクニカHDは外貨建てで半導体を仕入れるため、円安は仕入価格の上昇要因にもなります。また、為替差損益はヘッジや債権・債務の状況によって変動します。

2Q以降に円高が進めば円換算売上が減少する可能性があるため、為替効果を除いた販売数量と利益率を確認しましょう。

年間配当は80円を予想

項目2026年3月期2027年3月期予想
中間配当35円40円
期末配当35円40円
年間配当70円80円
増配額10円
配当性向45%45%予想

年間配当は前期の70円から80円へ10円増配する予想です。中間配当と期末配当はそれぞれ40円を予定しています。

会社は配当性向45%を目安としており、予想EPS179.21円に対する年間80円の配当性向は約44.6%です。

1Q決算では配当予想を据え置きました。今後、通期純利益を上方修正する場合は、増配や追加の株主還元が行われるかにも注目しましょう。

受注残高は約1兆1,456億円へ増加

セグメント1Q末受注残高前年同期比前四半期比
半導体1兆653億円103%増29%増
サイバーセキュリティ775億円51%増8%増
CPSソリューション28億円23%減8%減
合計約1兆1,456億円大幅増増加

1Q末の受注残高は、半導体事業とサイバーセキュリティ事業を中心に増加しました。

特に半導体事業は1兆653億円となり、前年同期の5,241億円から約2倍へ拡大しています。前四半期末の8,237億円からも29%増加しました。

半導体の受注残高が約2倍

受注残高の増加には、産業機器・車載市場の需要拡大、海外の新規商流、AI関連設備投資が寄与しています。

一方、会社はメモリー不足や納期長期化も指摘しています。供給期間が長くなると、顧客が必要数量を早めに発注し、受注残が膨らみやすくなります。

高い受注残は将来売上の先行指標ですが、供給制約による前倒し発注が含まれる可能性もあります。

受注残がそのまま売上になるとは限らない

受注残高を評価する際は、次のリスクを考慮する必要があります。

  • 顧客が同じ商品を複数の商社へ発注する重複注文
  • 納期正常化に伴う注文の取り消し・先送り
  • 顧客在庫の増加による発注減少
  • 部材不足で完成品を生産できないことによる納入延期
  • 受注品目の構成による粗利益率の変化

今後は受注残高の増加だけでなく、売上高へ転換しているか、売上総利益率を維持できているかを確認しましょう。

キャッシュフローと財務状況を確認

項目2027年3月期1Q比較
営業キャッシュフロー175億3,800万円の赤字前年は163億9,500万円の黒字
投資キャッシュフロー7億3,000万円の赤字前年は5億1,300万円の赤字
財務キャッシュフロー182億6,900万円の黒字前年は142億2,400万円の赤字
現金同等物551億5,800万円前期末比7億8,800万円増
売上債権3,461億4,400万円前期末比523億2,100万円増
棚卸資産2,912億8,800万円前期末比273億7,600万円増
短期借入金1,002億3,900万円前期末比244億5,300万円増
自己資本比率37.1%前期末39.8%

損益計算書では大幅増益となりましたが、営業キャッシュフローは175億3,800万円の赤字です。

利益と現金収入が逆方向となった主因は、売上急増に伴う運転資金の増加です。

売上債権と在庫増加で営業CFは赤字

売上債権は前期末から523億2,100万円、棚卸資産は273億7,600万円増加しました。

売上高を計上しても、顧客から代金を回収するまでは現金が入りません。また、半導体を仕入れて在庫として保有すると、販売前に現金が流出します。

キャッシュフロー計算書では、売上債権の増加が約501億円、棚卸資産の増加が約250億円の支出要因となりました。仕入債務の増加などで一部を補いましたが、営業キャッシュフローは赤字です。

成長局面で運転資金が増えること自体は不自然ではありません。しかし、売掛金の回収が遅れたり、在庫が売れ残ったりすれば、財務負担が重くなります。

短期借入金が増加

短期借入金は前期末から244億5,300万円増加し、1,002億3,900万円となりました。

財務キャッシュフローが182億6,900万円の黒字となったのは、主に短期借入金を増やして運転資金を確保したためです。

支払利息も前年同期の5億3,400万円から8億6,500万円へ増えています。今後は売上債権の回収や在庫削減によって営業キャッシュフローを黒字へ戻し、借入金を抑えられるかが重要です。

自己資本比率は前期末の39.8%から37.1%へ低下しました。直ちに危険な水準ではありませんが、利益成長がキャッシュと財務改善へつながるかを確認しましょう。

今回の決算を株価目線でどう評価する?

今回の決算は、実績面では強い内容です。一方、通期予想を据え置いたことや運転資金の増加など、今後確認すべき点もあります。

プラス材料

  • 売上高・営業利益・経常利益・純利益が大幅増加
  • 1Q経常利益が市場コンセンサスを約50%上回った
  • 半導体事業の営業利益が133%増加
  • 産業機器向け売上が77%増加
  • 半導体事業の売上総利益率が改善
  • サイバーセキュリティ事業が36%増収
  • 半導体の受注残高が前年同期比約2倍
  • 通期経常利益の進捗率が34.6%
  • 年間配当を70円から80円へ増配予定

特に、1Q経常利益が前年同期比だけでなく市場予想も大幅に上回った点は、株価にとって強いプラス材料です。

マイナス・注意材料

  • 好調な1Qでも通期業績予想を上方修正しなかった
  • 通期会社予想が市場コンセンサスを下回る
  • CPSソリューション事業の赤字が拡大
  • 営業キャッシュフローが赤字
  • 売上債権と棚卸資産が大幅に増加
  • 短期借入金と支払利息が増加
  • 受注残に前倒し注文が含まれる可能性
  • 1Qの売上には会社前提を上回る円安効果が含まれる

高い受注残や増収が、将来の売上・利益・現金回収へつながるかが重要です。

決算後は5.95%上昇して年初来高値を更新

項目2026年7月27日
終値3,579円
前日比201円高
上昇率5.95%
日中高値3,692円
出来高361万7,200株

決算発表日の株価は、前日比201円高の3,579円で取引を終えました。上昇率は5.95%です。

決算は15時に発表され、発表後に買いが強まりました。日中高値は3,692円となり、年初来高値を更新しています。

市場は、経常利益3.2倍という増益率だけでなく、コンセンサスを約50%上回ったこと、半導体事業の利益率改善、受注残高の増加を評価したと考えられます。

ただし、決算発表日に大きく上昇した後は利益確定売りが出る場合があります。今後は通期上方修正をどこまで株価へ織り込むかが焦点です。

今後の決算で確認したいポイント

注目点確認する内容
半導体売上産業機器・車載の高成長が続くか
半導体粗利益率8%台後半を維持できるか
アナログ・メモリー大幅増収の反動が出ないか
供給状況メモリー不足・納期長期化の影響
受注残高実際の売上へ転換しているか
サイバーセキュリティソフトウェア・サービスの成長
セキュリティ利益率10%前後へ回復するか
CPS赤字縮小と自動運転EVバス案件
営業CF売掛金・在庫の改善で黒字化するか
為替1ドル150円前提との差
通期予想上方修正の有無
配当年間80円の増額余地

産業機器・車載向けの高成長が続くか

半導体事業の成長を牽引したのは、産業機器と車載です。産業機器は77%増、車載は31%増となりました。

次回決算では、AI関連の半導体製造装置需要、FA・工作機械の回復、車載制御システムの需要が継続しているかを確認しましょう。

アナログ・メモリー・マイコンの販売を見る

アナログ、メモリー、ASSPは大幅増収となりました。高い成長が新規商流による持続的なシェア拡大なのか、前年の低水準や供給状況による一時的な反動なのかを見極める必要があります。

品目別売上と用途別売上を組み合わせ、どの市場が成長を支えているかを確認しましょう。

半導体の売上総利益率を維持できるか

半導体事業の売上総利益率は約8.8%へ改善しました。商社では0.1ポイントの変化でも利益額へ大きく影響します。

製品構成、仕入価格、為替、顧客との価格交渉によって粗利益率が変わるため、売上高と同じくらい重要な指標です。

メモリー不足と納期長期化の影響を見る

会社は今後の不透明要因として、メモリー不足と半導体納期の長期化を挙げています。

不足によって販売価格や受注残が増えても、顧客が他の部品を確保できず生産を止めれば、売上計上が遅れる可能性があります。供給制約が追い風か逆風かを確認しましょう。

受注残高が売上へ転換するか

半導体の受注残高は1兆円を超えました。今後は受注残の増減だけでなく、売上計上、キャンセル、納期、在庫回転を確認する必要があります。

受注残が減少しても、納品が進んで売上へ転換した結果であれば悪材料ではありません。

サイバーセキュリティの利益率を見る

サイバーセキュリティ事業は36%増収でしたが、営業利益率は約9.5%へ小幅に低下しました。

ソフトウェアやサービスの構成、海外事業の成長、販売促進費や人件費を確認し、売上成長が利益成長へつながるかを見ましょう。

CPS事業の赤字が縮小するか

CPS事業は将来の成長分野ですが、1Qは売上18億円に対して営業損失26億円となりました。

自動運転EVバスの自治体案件、遠隔運行管理システム、スマートマニュファクチャリングの売上計上が年度後半に進み、通期損失56億円の計画へ収まるかが重要です。

売掛金・在庫・営業キャッシュフローを見る

利益が増えても営業キャッシュフローが赤字のままでは、借入金と金利負担が増えます。

売上債権の回収、棚卸資産の回転、仕入債務の増減を確認し、成長に必要な運転資金が正常な範囲へ収まっているかを見ましょう。

為替差損益と会社前提を見る

1Q平均為替は1ドル158.8円で、会社前提150円より円安でした。

円安による売上押し上げと仕入コストへの影響、為替ヘッジ、営業外の為替差損益を分けて確認する必要があります。

通期コンセンサスの修正を見る

決算前の通期経常利益コンセンサスは510億円でした。会社予想470億円より高く、市場は上方修正を期待しています。

決算後にコンセンサスがさらに引き上げられるか、会社予想へ近づくのかによって、株価の評価も変わります。

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前回の本決算を確認

項目2026年3月期前期比
売上高1兆2,141億9,600万円17.4%増
営業利益419億5,000万円5.8%増
経常利益373億9,200万円0.2%増
親会社帰属純利益277億6,500万円9.8%増
営業利益率約3.5%改善
年間配当70円増配

2026年3月期は売上高が初めて1兆2,000億円を超え、半導体事業の売上高も1兆円を突破しました。

営業利益は増加した一方、経常利益の伸びは0.2%にとどまりました。為替差損やCPS事業の赤字が利益を抑えたためです。

CPSソリューション事業は約79億円の営業赤字でした。今期は赤字を56億円まで縮小する計画であり、半導体・サイバーセキュリティの成長と合わせて利益成長を加速させる方針です。

マクニカHDの決算で毎回確認したい指標

会社予想と市場コンセンサスを比較する

会社計画を達成したかだけでなく、株価へ織り込まれた市場期待を上回ったかを確認します。

半導体事業の売上総利益率を見る

半導体商社では売上高よりも粗利益率の小さな変化が営業利益へ大きく影響します。

用途別売上を見る

産業機器、車載、コンピュータ、通信など、需要サイクルの異なる市場を分けます。

品目別売上を見る

アナログ、メモリー、マイコン、PLDなどの構成変化を確認します。

受注残高と売上高を比較する

受注増加が将来売上へ転換しているか、前倒し注文が含まれていないかを見ます。

サイバーセキュリティの利益率を見る

ソフトウェア・サービスの成長と費用増加を分けて評価します。

CPS事業の売上と赤字を見る

先行投資が続くなかで、売上拡大と損失縮小が同時に進んでいるかを確認します。

為替差損益を見る

本業の営業利益と、外貨債権・債務から生じる営業外損益を分けます。

売上債権と棚卸資産を見る

利益成長に伴う正常な運転資金か、回収遅延・過剰在庫かを判断します。

営業キャッシュフローを見る

会計上の利益が実際の現金収入へつながっているかを確認します。

短期借入金と自己資本比率を見る

運転資金の増加が財務負担や支払利息を押し上げていないかを見ます。

配当性向と株主還元を見る

利益上方修正時に増配や自己株買いへつながるかを確認します。

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まとめ

マクニカHDの2027年3月期1Qは、売上高が39.7%増、営業利益が約2倍、経常利益が約3.2倍となりました。1Q経常利益は市場コンセンサスを約50%上回っています。

半導体事業では産業機器・車載向けが伸び、粗利益率も改善しました。サイバーセキュリティ事業もエンドポイント、ASM、SASEなどを中心に高成長を維持しています。

一方、CPS事業の赤字は拡大し、売上債権と在庫の増加によって営業キャッシュフローは赤字となりました。通期会社予想も市場コンセンサスを下回っています。

今後は1兆円を超える半導体受注残が売上・利益・現金へ転換し、通期業績の上方修正につながるかを確認しましょう。

出典

2027年3月期 第1四半期決算短信〔日本基準〕(連結)|マクニカホールディングス
https://holdings.macnica.co.jp/investors/library/earning/

2027年3月期 第1四半期 決算説明資料(プレゼン編)|マクニカホールディングス
https://finance.biggo.jp/news/jpx_tdnet_140120260724599419

2027年3月期 第1四半期 決算説明資料(データ編)|マクニカホールディングス
https://kabutan.jp/disclosures/pdf/20260727/140120260724599424/

業績・財務情報|マクニカホールディングス
https://holdings.macnica.co.jp/investors/financial/

マクニカホールディングス(3132)業績進ちょくと決算スケジュール|IFIS株予報
https://kabuyoho.ifis.co.jp/index.php?action=tp1&bcode=3132&sa=report

マクニカホールディングス(3132)株価・株式情報|Yahoo!ファイナンス
https://finance.yahoo.co.jp/quote/3132.T

マクニカHD、4-6月期(1Q)経常は3.2倍増益で着地|株探
https://s.kabutan.jp/news/k202607270006/

2026年3月期 決算説明会 書き起こし|ログミーファイナンス
https://finance.logmi.jp/articles/384293

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