円高になるとオルカンはどうなる?基準価額への影響と買い時・積立を解説

eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)、いわゆる「オルカン」は、日本を含む世界の株式へ1本で分散投資できる投資信託です。日本円で購入できますが、2026年8月末時点の資産構成は国内株式が5.1%、先進国株式(除く日本)が83.1%、新興国株式が11.8%で、資産の約95%を外国株式が占めています。

そのため、円高はオルカンの基準価額を押し下げる要因になります。ただし実際の基準価額は「世界の株価」と「複数通貨の為替」の両方で動くため、ドル円の動きだけで売買を判断せず、何が基準価額を動かしているのかを分けて考えることがポイントです。

この記事では、オルカンの現在の資産構成や運用会社の公表データをもとに、円高がどの程度影響するのか、積立中ならどう考えればよいのかを順番に整理します。

※本記事は2026年9月9日時点の開示資料をもとに作成しています。

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目次

円高になるとオルカンの基準価額は下がりやすい

円高になるとオルカンはどうなる?

円高は、オルカンの基準価額にとって明確な下押し要因です。オルカンは外国株式を多く保有し、原則として為替ヘッジを行わないため、海外株を円へ換算したときの価値が円高によって小さくなります。

世界株の値動き為替オルカンへの影響
横ばい円高基準価額の下落要因
上昇円高株高の効果が一部相殺される
大幅上昇円高株高が為替負担を上回れば上昇
下落円高株安と為替の両方が下押し

最終的な値動きは、株価と為替のどちらの影響が大きかったかで決まります。円高局面で基準価額が下がったときは、「オルカンが下がった」という結果だけでなく、世界株そのものが下がったのか、為替換算で下がったのかを分けて見ると、状況を理解しやすくなります。

なぜ円高になるとオルカンは下がる?

オルカンの基準価額が円高で下がりやすいのは、保有資産の大半が外国株式であり、為替ヘッジを行わずに運用しているためです。ここでは、資産構成、為替ヘッジの仕組み、円換算額の変化という3つの観点から、その理由を確認します。

オルカンの約95%は外国株式

2026年8月末時点の資産構成は、国内株式5.1%、先進国株式(除く日本)83.1%、新興国株式11.8%です。合計すると約94.9%が外国株式であり、円相場の影響を受ける資産が大半を占めています。

資産構成比
国内株式5.1%
先進国株式(除く日本)83.1%
新興国株式11.8%

出典:三菱UFJアセットマネジメント「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)月次レポート 2026年8月31日現在」

原則として為替ヘッジを行わない

オルカンはMSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(配当込み、円換算ベース)への連動を目指し、日本を含む先進国・新興国の株式へ投資します。外貨建て資産については原則として為替ヘッジを行わないため、外国株の現地価格に加えて、円との為替変動も基準価額へ反映されます。

同じ100ドルでも160円と150円では円換算額が変わる

例えば、100ドル分の米国株を保有しているとします。株価が変わらなくても、1ドル160円なら円換算額は16,000円、150円なら15,000円です。為替だけで6.25%円換算価値が低下します。

ドル円100ドルの円換算額160円時からの変化
160円16,000円基準
150円15,000円-6.25%
140円14,000円-12.50%
130円13,000円-18.75%

この円換算の変化が、オルカンの外国株部分に生じる為替影響の基本です。

オルカンはドル円だけ見ればいい?

ドル円は、オルカンを見るうえで最も重要な為替の一つです。2026年8月末時点で米国株が62.8%を占めており、米国市場の比重が非常に大きいためです。

国・地域構成比
アメリカ62.8%
日本5.0%
台湾3.2%
イギリス3.1%
カナダ3.0%
韓国2.4%
フランス2.0%
スイス2.0%
ドイツ1.9%
オーストラリア1.4%

オルカンは、台湾、英国、カナダ、欧州、新興国など、米国以外の国・地域にも幅広く投資しており、運用会社もドル円以外の複数通貨から影響を受けると説明しています。ドル円は影響の大きい為替要因として押さえつつ、オルカン全体では複数通貨の動きが合成されて基準価額に表れる、と捉えると実際の値動きを理解しやすくなります。

また、日本株部分には外貨を円へ換算する直接的な為替影響はありません。円高で海外資産が下押しされる局面でも、日本株や米ドル以外の資産が異なる値動きをすれば、オルカン全体の変動はドル円だけから想像する値動きとは異なる場合があります。

ドル円の円高はオルカンにどれくらい影響する?

円高によるオルカンへの影響をイメージするため、米国株部分だけを単純化して計算してみます。2026年8月末の米国株比率62.8%を使い、世界の株価と米ドル以外の通貨が動かないと仮定した概算です。

ドル円米ドルの変化率米国株62.8%部分からの単純な下押し
160円→150円-6.25%約-3.9%
160円→140円-12.50%約-7.9%
160円→130円-18.75%約-11.8%

例えば160円から150円への円高では、米国株部分だけでオルカン全体を約3.9%押し下げる計算になります。これは「オルカンが3.9%下がる」という予想を示すものではなく、実際には米国株自体の値動き、米ドル以外の通貨、日本株などが同時に動きます。

このシミュレーションは、ドル円が大きく動いたときに為替だけでどの程度の圧力がかかり得るかを把握するために使います。株価上昇がそれを上回ればオルカンは上昇し、株安まで重なれば下落幅は大きくなります。

公式データでも「株価」と「為替」は別々に基準価額を動かしている

三菱UFJアセットマネジメントの月次レポートでは、オルカンの基準価額の変動要因を株式と為替に分けて概算しています。2026年3月と8月を比較すると、為替だけではオルカンの方向を決められないことが分かります。

国内株式先進国株式新興国株式為替要因基準価額の月間変化
2026年3月-198円-2,282円-421円+536円-2,366円
2026年8月+69円+983円+350円-18円+1,384円

※「その他(信託報酬等)」は省略しています。各項目は概算値のため、表示値を合計しても基準価額の月間変化と一致しない場合があります。

3月は為替要因が+536円と基準価額を押し上げましたが、株式要因のマイナスが大きく、月間では2,366円下落しました。8月は為替要因が-18円と小幅な下押しだったものの、先進国株式と新興国株式の上昇が大きく、基準価額は1,384円上昇しています。

円高局面でも同じ考え方が使えます。為替がマイナスでも世界株が強ければ基準価額は上がる可能性があり、世界株も下落すれば円高と株安が同時に効きます。オルカンを見るときは、この2つを分けるだけで値動きの理解がかなり明確になります。

2026年9月の円高でオルカンは実際どうなった?

2026年9月は、円相場が短期間で大きく動きました。三井住友DSアセットマネジメントによると、ドル円は9月2日の1ドル160円39銭水準から、9月8日の152円89銭水準まで5営業日で約7円50銭の円高が進みました。

オルカンの基準価額も9月2日の38,584円から、9月9日には37,358円まで低下しました。下落率は約3.2%です。ドル円と基準価額の起点を9月2日に揃えると、同じ時期に急速な円高とオルカンの下落が進んだことが分かります。

時点オルカン基準価額
2026年9月2日38,584円
2026年9月9日37,358円

三菱UFJアセットマネジメントによると、海外株式を組み入れるファンドでは、原則として基準価額算出日の直近の海外取引所終値を使い、午前10時頃の為替レートで円換算すると説明しています。この評価タイミングに加え、オルカンでは米ドル以外の通貨や各国株式も動くため、ドル円の変化率と基準価額の変化率は1対1では対応しません。

約3.2%の下落は、円高だけでなく、海外株式や複数通貨の値動きも同時に反映された結果です。短期的な値動きを確認するときは、「世界株」「ドル円を中心とした為替」「オルカンの基準価額」の3つを並べて見ると、下落の中身を判断しやすくなります。

円高になったらオルカンの積立は止めるべき?

長期の資産形成を目的に定額積立をしている場合、円高局面でも当初の積立方針を維持する考え方が基本です。積立投資の目的は、円高・円安や株高・株安の時期を事前に当てることではなく、購入時期を分散しながら世界株を継続的に保有することにあります。

円高で基準価額が下がった局面でも積立額が同じなら、結果として購入できる口数は増えます。円安や株高で基準価額が高い時期には購入口数が減るため、異なる相場環境を通じて買い続けること自体が時間分散になります。

投資目的や積立期間が変わっていないなら、為替の短期変動よりも積立を続けられる資金計画と資産配分を維持することを優先します。円高局面も、長期積立の一部として取り込むことができます。

円高はオルカンを買い増すチャンス?

円高でオルカンの基準価額が下がれば、日本円で購入する人にとっては、以前より低い基準価額で口数を増やせる局面になります。積立額を増やしたいと考えている人にとって、円高による基準価額低下は買い増しを検討しやすい環境の一つです。

オルカンの円建て基準価額が下がったことと、世界株そのものが割安になったことは分けて考える必要があります。例えば世界株の現地価格が変わらず、円高だけで基準価額が10%下がった場合、世界企業の株価水準そのものは変わっていないことになります。

買い増しでは、円高による購入条件の改善を生かしつつ、世界株が株安で下がっているのか、為替だけで下がっているのかを分けると判断しやすくなります。どこまで円高が進むかを予想して一括投資するより、数回に分けて追加投資すれば購入時期を分散でき、円高が続く局面も段階的に取り込めます。

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円高でオルカンが下がったら売るべき?

円高によってオルカンの基準価額が下がっても、組入企業の現地通貨ベースの株価は下落していない場合もあります。投資対象や保有期間に対する考え方が変わっていない場合、為替要因だけで売却すると、その後の世界株上昇や円安による基準価額の回復局面を逃す可能性があります。長期積立では、世界株への投資方針が変わっていないかを軸に保有継続を判断すると、為替の短期変動に振り回されにくくなります。

取り崩し時期が近い場合は考え方が変わります。数年以内に使う予定の資金まで株式100%で保有していると、円高と株安が重なった時期に売却する可能性が高まります。その場合は、必要な時期が近い資金から現金や国内債券など円建て資産へ移しておくことで、為替と株価のタイミングに左右されにくくできます。

つまり、積立期は世界株への長期投資を継続すること、取り崩し期は使う時期に合わせて円建て資産を増やすことが基本です。同じ円高でも、資産形成の段階によって取るべき行動を分けると判断が明確になります。

オルカンに為替ヘッジは必要?

eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)は原則として為替ヘッジを行いません。そのため円高の影響を受けますが、円安局面では外貨建て資産の円換算価値が上昇する効果もそのまま受けます。

為替ヘッジを行う投資信託は円高による影響を抑える手段になりますが、ヘッジにはコストがかかります。円金利より対象通貨の金利が高い場合は金利差相当のヘッジコストが発生し、市場環境によっては金利差以上になる場合もあります。

長期積立でオルカンを選ぶ場合は、為替を短期的に打ち消すことより、世界株へ広く分散しながら低コストで保有し続けることを重視する考え方があります。値動きを抑えたい場合は、オルカン自体の特徴を変えようとするより、現金や国内債券など円建て資産との配分で調整する方が資産全体を管理しやすくなります。

円高に備えてオルカン以外も持つべき?

オルカンは世界中の株式へ分散できる商品ですが、資産クラスとしてはほぼ株式です。「全世界へ分散していること」と「株式・債券・現金へ分散していること」は別の話です。

長期で価格変動を受け入れられる資金なら、オルカン1本で世界株へ投資する考え方はシンプルです。近い将来に使う資金や、株価と為替が同時に下がる局面の値動きを抑えたい資金については、現金や国内債券を組み合わせることでポートフォリオ全体の安定性を高められます。

円高対策を考えるときも、円高に強い商品を探すという発想より、自分が必要な時期まで保有できる資産配分を作る方が再現性があります。オルカンは世界株部分、円建て資産は生活防衛・取り崩し部分というように役割を分けると管理しやすくなります。

円高局面のオルカンで確認したいポイント

確認ポイント見る理由
世界株の値動き基準価額低下が株安によるものかを確認する
ドル円と他通貨オルカンは複数通貨の影響を受ける
基準価額実際に円ベースでどこまで下がったかを見る
積立か一括か積立なら購入時期を分散できる
保有期間長期積立と近い将来の取り崩しでは判断が異なる
円建て資産の比率必要資金を為替・株価変動から切り離せる

積立中は円高で基準価額が下がる局面も購入時期の一つとして取り込み、保有中は世界株と為替を分けて値動きを確認します。取り崩しが近づいたら必要資金を円建て資産へ移す、と整理すれば、円高のたびに売買判断をやり直す必要がなくなります。

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まとめ

円高は、外国株式を約95%保有し、原則として為替ヘッジを行わないオルカンの基準価額を押し下げる要因です。2026年8月末時点では米国株が62.8%を占めるためドル円の影響は大きいものの、オルカンは複数の国・通貨へ投資しており、最終的な基準価額は世界株と為替の組み合わせで決まります。

長期積立では、円高で基準価額が下がる局面も含めて買い続けることで購入時期を分散できます。買い増しを考える場合は、円高で円建て価格が下がったのか、世界株自体も下落しているのかを分けて見ると判断しやすくなります。株価・為替・自分の投資期間を分けて考えることが、オルカンを長く保有するうえで重要です。

出典

三菱UFJアセットマネジメント「世界的に株価が上昇する中、オルカンの基準価額が上昇しないのはどうしてですか」

https://faq1.am.mufg.jp/answer/67205ae7228f77a9e4a501a8

三菱UFJ銀行「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」

https://fs.bk.mufg.jp/webasp/mufg/fund/detail/m00355920.html

三菱UFJアセットマネジメント「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)月次レポート 2026年8月31日現在」

https://fs.bk.mufg.jp/webasp/pdf/monthly/2018103105_M_202608.pdf

三菱UFJアセットマネジメント「為替ヘッジとは何ですか」

https://faq1.am.mufg.jp/answer/66c85ba8e17300a001af293f

三井住友DSアセットマネジメント「急速な円高の進行が日本株に与える影響について考える」

https://www.smd-am.co.jp/market/ichikawa/2026/09/irepo260909

三菱UFJアセットマネジメント「投資信託の基準価額には、いつの海外市場の価格や為替レートが反映されますか」

https://faq1.am.mufg.jp/answer/66cbcdd9b8442d43ea5840dd

Yahoo!ファイナンス「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)時系列」

https://finance.yahoo.co.jp/quote/0331418A/history

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この記事を書いた人

投資歴7年。1級ファイナンシャル・プランニング技能士、証券外務員資格取得。2019年に100万円から投資スタート。2022年に1000万円→2025に年5000万円突破。
YouTubeでは株式投資・企業決算を中心とした解説動画を200本以上公開(チャンネル登録者数5000人)。日本株を中心に、企業決算や業績、株価材料を分析しています。

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