AIデータセンター関連株を調べると、半導体や冷却設備、建設会社などが多く、蓄電池や電源設備に直接関係する企業が分かりにくいことがあります。
AIデータセンターを安定して稼働させるには、大量の電力を確保するだけでなく、停電や瞬間的な電圧低下が起きてもサーバーへの電力供給を止めない仕組みが必要です。
そのため、停電時に即座に電力を供給するUPS、電力需要を平準化する蓄電システム、電圧を調整する変圧器、施設内へ電気を配る受変電設備などの需要も拡大すると考えられます。
本記事では、AIデータセンター内で直接使用される設備と、系統側から電力供給を支える設備を分け、各社が製品開発・受注・納入・業績貢献のどの段階にあるのかを整理します。

↓↓詳細はこちら↓↓
AIデータセンター×蓄電池関連銘柄の本命・注目株

AIデータセンター×蓄電池関連銘柄の本命候補は、蓄電池メーカーだけではありません。
データセンター内へUPSや蓄電システムを供給する企業、受変電設備を構築する企業、実際に蓄電池を導入・運用するデータセンター事業者などに分かれます。
| 分類 | 銘柄 | 主な役割 | 実績・進捗 | 関連度 |
|---|---|---|---|---|
| ラック型蓄電システム | パワーエックス(485A) | AIサーバー向け分散型電源、蓄電池内蔵コンテナDC | Energy Bladeを開発中。IIJとコンテナDCの協業検討を開始 | 非常に高い |
| 分散型蓄電システム | パナソニック ホールディングス(6752) | 高出力リチウムイオン電池、ラック分散型電源 | データセンター向け販売が売上・利益の増加へ貢献 | 非常に高い |
| UPS・受配電設備 | 富士電機(6504) | 大容量UPS、受配電、電源監視、長時間バックアップ | データセンター向け製品を販売中 | 非常に高い |
| 産業用電池・UPS | ジーエス・ユアサ コーポレーション(6674) | 鉛蓄電池、リチウムイオン電池、UPS、保守 | 既存製品を販売。定置用電池の国内量産投資を実施 | 高い |
| UPS・総合電力設備 | 三菱電機(6503) | 大容量UPS、変圧器、遮断器、受配電設備 | ハイパースケールDC向けUPSを展開 | 非常に高い |
| UPS | 山洋電気(6516) | 中・大容量UPS、リチウムイオン電池搭載UPS | SANUPSをデータセンター・通信設備向けに販売 | 高い |
| データセンター運営 | インターネットイニシアティブ(3774) | 蓄電池の導入・制御、コンテナDC開発 | 白井DCで蓄電池を運用。パワーエックスと協業検討 | 高い |
| 電池製造・DC運営 | ソフトバンク(9434) | AIデータセンター、国産電池、BESS、EMS | 2027年度に製造開始、2028年度にGWh規模の量産を目標 | 高い・計画段階 |
関連度は株価の割安度や上昇余地ではなく、AIデータセンター向け電源・蓄電池事業との直接性を示しています。
パワーエックス(485A)は、ラック型蓄電システム「PowerX Energy Blade」を開発し、2027年の提供開始を目指しています。800Vの直流給電に対応し、サーバーの演算負荷と蓄電池を連携させる構想ですが、現時点では製品コンセプトを発表した開発段階です。
パナソニック ホールディングス(6752)は、すでにデータセンター向け蓄電システムを販売しています。2024年度第2四半期には、販売増加が産業・民生事業の増収益に寄与しており、テーマ期待だけでなく、実際の業績へ反映された実績があります。
富士電機(6504)は、大容量UPSだけでなく、受配電設備、長時間停電対策、監視装置などを組み合わせ、データセンターの電源システムを一括して提案しています。
三菱電機(6503)は、最新鋭データセンター向けの「MELUPS 9900S」や、ハイパースケールデータセンター向けの「MELUPS 9800G」を展開しています。UPSに加え、変圧器や遮断器などの受配電設備も提供できる点が特徴です。
本命候補の位置づけ
| 銘柄 | 本命と考えられる理由 | 確認したいポイント |
|---|---|---|
| パワーエックス(485A) | AIデータセンター向けラック型蓄電システムを開発 | 2027年の提供開始、実証結果、受注・量産 |
| パナソニック ホールディングス(6752) | データセンター向け販売がすでに業績へ貢献 | 北米需要、販売数量、利益率 |
| 富士電機(6504) | 大容量UPSと受配電設備を一括提供 | データセンター向け受注、受注残、生産能力 |
| ジーエス・ユアサ コーポレーション(6674) | 電池、UPS、監視・保守を幅広く展開 | データセンター向け比率、定置用電池の量産 |
| 三菱電機(6503) | UPS、変圧器、遮断器を総合的に提供 | 大容量UPSの受注、海外DC需要 |
| 山洋電気(6516) | UPS「SANUPS」のデータセンター用途が明確 | 電源システムの受注と売上構成 |
| インターネットイニシアティブ(3774) | 自社DCで蓄電池を実運用 | PowerXとの協業内容、電力コスト削減効果 |
| ソフトバンク(9434) | AIデータセンターと電池製造を一体で計画 | 量産開始時期、設備投資、外販の進捗 |
パワーエックス(485A)とインターネットイニシアティブ(3774)は、2026年2月に蓄電システムとコンテナデータセンターを組み合わせた協業検討を開始しました。コンテナ内で安価な時間帯の電気を蓄え、サーバーに使用することや、余剰電力を需要の高い時間帯に販売することを検討しています。
インターネットイニシアティブ(3774)は、以前から白井データセンターキャンパスで産業用リチウムイオン蓄電池を運用しています。空調電力のピークカットやピークシフトに利用しており、単なる協業発表だけでなく、データセンターで蓄電池を運用してきた実績があります。
AIデータセンター×蓄電池関連銘柄一覧
AIデータセンターの電源インフラには、蓄電池やUPSのほか、変圧器、受配電設備、パワー半導体、系統用蓄電池なども関係します。
| 銘柄 | 分類 | 主な製品・事業 | データセンターとの関係 | 進捗 | 関連度 |
|---|---|---|---|---|---|
| パワーエックス(485A) | 蓄電システム | Energy Blade、Mega Power DC | ラック型蓄電池、蓄電池内蔵コンテナDC | 開発・市場検証 | 非常に高い |
| パナソニック ホールディングス(6752) | 蓄電システム | 高出力リチウムイオン電池、分散型電源 | ラック周辺へ配置するDC向け電源 | 販売・業績貢献 | 非常に高い |
| ジーエス・ユアサ コーポレーション(6674) | 電池・UPS | 鉛電池、リチウムイオン電池、UPS | サーバーや重要設備のバックアップ | 販売・量産投資 | 高い |
| ソフトバンク(9434) | 電池・DC運営 | バッテリーセル、BESS、EMS | 自社AIデータセンターで利用予定 | 研究・量産準備 | 高い |
| 住友電気工業(5802) | 長時間蓄電 | レドックスフロー電池 | 再エネ・系統側からDCの電力供給を支援 | 納入・受注中 | 中程度 |
| 富士電機(6504) | UPS・受配電 | 大容量UPS、受配電、監視装置 | 施設全体の無停電電源・電力設備 | 販売・納入中 | 非常に高い |
| 三菱電機(6503) | UPS・受配電 | MELUPS、変圧器、遮断器 | ハイパースケールDC向け電源設備 | 販売・納入中 | 非常に高い |
| 山洋電気(6516) | UPS | SANUPS | データセンター・通信設備の電源保護 | 販売中 | 高い |
| オムロン(6645) | 小・中容量UPS | サーバー・NAS・ネットワーク用UPS | ラックや小規模サーバールーム向け | 販売中 | 中程度 |
| デンヨー(6517) | 非常用電源 | ディーゼル・ガス非常用発電機 | UPS後の長時間バックアップを担う | 販売中 | 中程度 |
| インターネットイニシアティブ(3774) | DC運営 | 白井DC、コンテナDC | 蓄電池を導入・運用する需要側 | 運用・協業検討 | 高い |
| 明電舎(6508) | UPS・受変電 | THYRIC、変圧器、受配電設備 | DC向けUPSの導入実績 | 販売・保守 | 高い |
| ダイヘン(6622) | 変圧器・受変電 | 特高受変電設備、変圧器、PCS | 大規模施設の受電・変電を支える | 生産能力拡大 | 高い |
| 日東工業(6651) | 配電・ラック | 高圧受電設備、分電盤、サーバーラック | 電源設備とGPU対応ラックの両方に関係 | 販売中 | 中程度 |
| ローム(6963) | パワー半導体 | SiC MOSFET、SiC SBD | UPS、PSU、BBUの高効率化 | 採用・供給中 | 高い |
| レノバ(9519) | 系統用蓄電池 | 蓄電所の開発・保有・運営 | DC外部の電力系統安定化 | 運転・建設中 | 中程度 |
| デジタルグリッド(350A) | アグリゲーター | 蓄電池の市場運用、充放電制御 | 系統側の電力需給を最適化 | 運用・投資中 | 中程度 |
明電舎(6508)は、データセンターを含む重要負荷設備へUPSを納入しており、受変電設備や保守サービスも展開しています。ダイヘン(6622)は、特高受変電設備から電力監視までを一括で構築し、データセンター向けモールド変圧器の生産能力増強も進めています。
日東工業(6651)は、高圧受電設備や分電盤に加え、高密度サーバーやGPUサーバーへ対応するデータセンターラックを提供しています。
ローム(6963)は、データセンターの電源ユニットやUPS、BBUに使用されるSiCパワー半導体を展開しています。2026年には、AIサーバー向けBBUに同社のSiC MOSFETが採用されました。
レノバ(9519)やデジタルグリッド(350A)は、データセンター内へUPSを納入する企業ではありません。系統用蓄電池の開発・保有や市場運用を通じて、データセンター外部の電力系統を安定させる周辺銘柄です。
蓄電池・蓄電システムメーカーの銘柄一覧

AIデータセンター向けの蓄電システムには、施設全体を支える集中型電源と、サーバーラックの近くへ設置する分散型電源があります。
ラックに近い場所へ蓄電池を配置すると、電力変換の回数や送電時の損失を減らし、GPUの急激な電力変動にも対応しやすくなります。
パワーエックス(485A)
パワーエックス(485A)は、大型蓄電システムやEV急速充電設備を開発・製造する蓄電池関連企業です。
2026年5月には、AIデータセンター向けラック型蓄電システム「PowerX Energy Blade」の製品コンセプトを発表しました。
PowerX Energy Bladeは、高速充放電に対応するリチウムイオン電池セルを使用し、電力系統の需給変動へミリ秒単位で応答します。最新のAI向けGPUで採用が検討される800Vの直流給電にも対応し、既存のBBUを置き換える用途も想定しています。
独自ソフトウェアでサーバーの演算負荷と蓄電池を連携させ、データ処理を止めずに電力需要を調整する構想です。
主な仕様は次のとおりです。
| 項目 | 開発中の仕様 |
|---|---|
| ラック当たり蓄電容量 | 最大48kWh |
| ラック当たりIT負荷 | 40~120kW |
| 給電電圧 | 200~800V DC |
| 提供開始目標 | 2027年 |
ただし、現時点では製品コンセプトを発表し、実装パートナーを募集している段階です。データセンター向けの受注や量産実績はこれから確認する必要があります。
パワーエックス(485A)は、蓄電システムを搭載した量産型コンテナデータセンター「Mega Power DC」も商品化しました。サーバー、電源、冷却装置、蓄電システムを一つのコンテナへ収め、2027年からの量産開始を目指しています。
インターネットイニシアティブ(3774)との協業では、コンテナデータセンターの技術要件や、電力価格に応じた蓄電池の運用方法を検討しています。
系統用蓄電池がデータセンターの外部で数MWから数百MWの電力を調整するのに対し、PowerX Energy Bladeは、施設内のラック単位で電力供給を支えるシステムです。
パナソニック ホールディングス(6752)
パナソニック ホールディングス(6752)は、データセンター向けに高出力リチウムイオン電池を使用した分散型蓄電システムを提供しています。
一般的な集中型電源は、鉛蓄電池やLFP電池をサーバールームとは別の電源室へまとめて設置します。
パナソニックの分散型電源は、高出力リチウムイオン電池をラックごとに配置します。サーバーとの距離が近くなるため、省スペース化に加え、電力変換回数や電力損失を減らしやすいことが特徴です。
同社は、集中型電源と比べて、分散型電源には次の利点があると説明しています。
・電源設備の省スペース化
・電力変換回数の削減
・電力利用効率の改善
・ラック単位の電源管理
・高出力サーバーへの対応
主な販売地域は北米です。生成AIの普及によるデータセンター投資の増加を背景に、販売が拡大しています。
2024年度第2四半期の決算資料では、データセンター向け蓄電システムの販売増加が、産業・民生事業の増収益に寄与しました。
パワーエックス(485A)が2027年の提供開始を目指す開発段階であるのに対し、パナソニック ホールディングス(6752)は、すでに販売が拡大し、業績へ反映されている企業です。
ジーエス・ユアサ コーポレーション(6674)
ジーエス・ユアサ コーポレーション(6674)は、産業用蓄電池と電源システムを幅広く展開する総合電池メーカーです。
主な製品には次のものがあります。
・産業用鉛蓄電池
・産業用リチウムイオン電池
・交流無停電電源装置
・直流電源装置
・ラックマウント型UPS
・蓄電池盤、電池ラック
・蓄電池の遠隔監視・保守サービス
産業用鉛蓄電池は、大型UPSやコンピューターの停電対策などに使用されます。リチウムイオン電池を使用したUPSや、IT・通信機器向けのラックマウント型UPSも展開しています。
蓄電池は設置後も徐々に劣化するため、定期点検や交換時期の予測が必要です。ジーエス・ユアサ コーポレーション(6674)は、遠隔監視と劣化予測を組み合わせた「STARELINK」を提供しており、長期保守にも対応しています。
2026年2月には、国産定置用リチウムイオン電池の開発・量産計画が経済産業省から認定されました。約703億円を投じ、2028年10月の供給開始と年産2GWhの生産体制を計画しています。
ただし、UPSや産業用蓄電池は、データセンター以外にも工場、公共施設、交通設備などで使用されます。データセンター向けの売上比率と、定置用電池の量産投資がどの用途へ振り向けられるかを確認する必要があります。
ソフトバンク(9434)
ソフトバンク(9434)は、大阪府堺市に整備するAIデータセンターを中心に、国産バッテリーの開発・製造事業へ参入しました。
大阪堺AIデータセンターの周辺には、AIインフラ関連機器を製造するAXファクトリーと、バッテリーや太陽光パネルを製造するGXファクトリーを構築する計画です。
GXファクトリーでは、2027年度にバッテリーセルと蓄電システムの製造を開始し、2028年度をめどに年間GWh規模の量産を目指しています。
開発する電池には、亜鉛とハロゲン化物を使用し、電解液に真水を用いる水系電池を採用する予定です。可燃性の有機電解液を使用しないため、発火リスクを抑えられることが特徴です。
ソフトバンク(9434)が開発する蓄電システムには、AIによる電力需要予測を搭載したEMSを組み込み、充放電を最適制御します。
製造した電池は、次の用途へ展開する計画です。
・自社の大規模AIデータセンター
・系統用蓄電所
・工場などの産業施設
・家庭用蓄電システム
・海外市場
AIデータセンターの需要側であると同時に、電池セル、BESS、EMSの供給側にも参入する点が特徴です。
一方、現時点では共同開発と工場準備の段階であり、量産開始や外部顧客への販売は将来計画です。
住友電気工業(5802)
住友電気工業(5802)は、大容量・長時間蓄電に適したレドックスフロー電池を製造しています。
レドックスフロー電池は、電解液を循環させながら充放電する仕組みで、充放電を繰り返しても劣化しにくく、長時間の電力供給に適しています。
発火性材料を使用しておらず、難燃性材料を多く採用しているため、安全性が高いことも特徴です。
データセンターのサーバーへ瞬時に給電するUPSとしては、リチウムイオン電池や鉛蓄電池の方が直接的です。
住友電気工業(5802)のレドックスフロー電池は、データセンター外部の再生可能エネルギー設備や系統用蓄電所で電気を長時間蓄え、安定した電力を供給する周辺インフラとして関係します。
そのため、AIデータセンター向けの直接的な本命というより、電力系統・再生可能エネルギー側から恩恵を受ける候補です。
UPS・非常用電源関連銘柄

データセンターでは、わずかな停電や瞬間的な電圧低下でも、サーバーの停止やデータ消失につながる可能性があります。
UPSは、電源トラブルが起きた直後から蓄電池の電気を供給し、商用電源の復旧や非常用発電機の起動までサーバーを稼働させる設備です。
富士電機(6504)
富士電機(6504)は、データセンター向けに大容量UPS、受配電設備、監視装置などを提供しています。
300kVA以上の大規模設備向けUPSを展開し、データセンターの高電力化に対応するモジュール型UPSもそろえています。
同社の強みは、UPSだけでなく、次の設備を組み合わせて提案できる点です。
・受配電設備
・大容量UPS
・リチウムイオン電池
・長時間バックアップ設備
・電力監視システム
・セキュリティシステム
・空調設備
「UPS7500WX」は、設備をモジュール化し、故障した部分を短時間で交換できる設計です。UPS単体だけでなく、電気設備の設計、機器調達、製作まで支援します。
富士電機(6504)は、自社開発のパワー半導体をUPSへ搭載しています。AIデータセンターの増加によって、大容量UPSとパワー半導体の両方で需要を取り込める可能性があります。
ただし、データセンター向けの受注額は、他の電力設備とまとめて公表される場合があります。大容量UPSの受注残、生産能力、設備投資を確認することが重要です。
三菱電機(6503)
三菱電機(6503)は、データセンター向けにUPS、変圧器、遮断器、開閉器、受配電設備などを提供しています。
UPSでは「MELUPS」シリーズを展開しています。
| 製品 | 主な用途・特徴 |
|---|---|
| MELUPS 9900S | SiCパワーモジュールを搭載した最新鋭DC向けUPS |
| MELUPS 9800G | ハイパースケールDC向け超大容量UPS |
| MELUPS 9800シリーズ | 大規模設備向けの高効率UPS |
| MELUPS 2000シリーズ | 中容量設備向けUPS |
「MELUPS 9900S」には、独自開発のSiCパワーモジュールを採用しています。電力変換時の損失を抑え、UPSの小型化と高効率化につなげています。
三菱電機(6503)のUPSは、1964年の納入開始から、データセンターや金融機関などへ累計400万kVA、3万台を超える実績があります。
UPSだけでなく、電力を受け取る変圧器、異常時に回路を切り離す遮断器、施設内へ電力を分配する受配電設備も提供できます。
データセンターの受電から無停電化まで一括して関われる総合電機メーカーです。
山洋電気(6516)
山洋電気(6516)は、「SANUPS」ブランドで無停電電源装置を展開しています。
中・大容量UPS「SANUPS A23D」は、30kVA、50kVA、75kVA、100kVAのラインアップを持ち、データセンター、通信機器、通信インフラなどでの利用を想定しています。
停電時のバックアップに加え、非常用発電機からの電力を滑らかに受け取るウォークイン機能を搭載しています。
リチウムイオン電池を搭載したUPSも展開しており、複数のUPSユニットを並列接続することで、容量の拡張や冗長化に対応できます。
UPSとの関連性は高いものの、山洋電気(6516)は冷却ファンやサーボシステムなども展開しています。そのため、株価を見る際には、データセンター向けUPSだけでなく、電源装置と冷却ファンを含むAI関連需要全体を確認する必要があります。
オムロン(6645)
オムロン(6645)は、パソコン、サーバー、NAS、ネットワーク機器向けのUPSを展開しています。
ラックマウント型や据え置き型など幅広い製品がありますが、主な対象は小規模なサーバールーム、オフィス、ネットワーク設備、エッジ環境です。
富士電機(6504)や三菱電機(6503)が、データセンター施設全体を支える数百kVA級のUPSを展開しているのに対し、オムロン(6645)は比較的小容量の機器を中心としています。
AIデータセンター全体の大容量電源というより、次の用途で関係します。
・サーバーラック
・ネットワーク機器
・ストレージ
・監視装置
・エッジデータセンター
・小規模サーバールーム
そのため、AIデータセンター×蓄電池の本命というより、サーバー周辺機器を保護するUPSの関連銘柄です。
デンヨー(6517)
デンヨー(6517)は、ディーゼル発電機やガス非常用発電機を製造する企業です。
データセンターでは、停電が発生すると、まずUPSが蓄電池から即座に電気を供給します。その後、非常用発電機が立ち上がり、長時間の電力供給を引き継ぎます。
UPSは応答速度に優れていますが、蓄電容量には限りがあります。非常用発電機は燃料を確保できれば、UPSより長時間のバックアップが可能です。
デンヨー(6517)は、ポータブル型から大規模な産業用高出力モデルまで発電機を展開し、都市ガスを使用する非常用発電設備も提供しています。
蓄電池メーカーではありませんが、データセンターを止めない電源システムの一部を担う周辺銘柄です。
ただし、公式資料ではデータセンター向けの売上比率や個別受注が明確に分けられていないため、UPSメーカーより関連度は低くなります。
変圧器・受変電・電力変換設備関連

AIデータセンターへ電力を供給するには、電力会社から受け取った高圧・特別高圧の電気を、施設内で使用できる電圧へ変換する必要があります。
そのため、変圧器、スイッチギヤ、遮断器、配電盤、PCSなどの設備が欠かせません。
データセンターの消費電力が増えると、サーバーや蓄電池だけでなく、施設へ電気を引き込み、変換・分配する設備の容量も拡大することになります。
明電舎(6508)
明電舎(6508)は、変圧器、スイッチギヤ、遮断器、受変電設備、UPSなどを展開する重電メーカーです。
変圧器では、一般施設向けの6kVクラスから、電力会社や大規模施設で使用される77kVクラスまで幅広く対応しています。高圧開閉装置や監視制御システムも扱っており、施設が電力を受け取る受電側の設備を一括して構築できます。
AIデータセンターとの関係では、UPSメーカーとしてだけでなく、次の設備を供給する立場が中心です。
・変圧器
・スイッチギヤ
・遮断器
・受変電設備
・監視制御システム
・非常用・移動用変電設備
データセンターの新設が増えれば、施設内の受電容量を大きくする必要があります。既存データセンターでも、GPUサーバーの増設によって契約電力や受電容量が不足すれば、変圧器やスイッチギヤの更新・増設が必要です。
明電舎は、データセンター建設などによる電力需要の増加を背景に、国内外の変圧器・スイッチギヤの供給体制を強化しています。2028年度にはシンガポールの変圧器工場とスイッチギヤ工場を統合し、生産効率を高める計画です。
変圧器は受注してから製造・納入まで時間がかかりやすいため、確認したいのは次の項目です。
・電力インフラ部門の受注高
・受注残高
・変圧器の生産能力
・工場増強の進捗
・製品の納期
・データセンター向け受注の有無
AIデータセンター内の蓄電池そのものではなく、大量の電力を施設へ供給する受電側で恩恵を受ける企業です。
ダイヘン(6622)
ダイヘン(6622)は、電力会社向け・産業施設向けの変圧器や配電機器、PCS、蓄電池制御システムなどを展開しています。
変圧器は配電用から超高圧用までラインアップしており、データセンターの規模や受電電圧に応じた設備を供給できます。
AIデータセンターに関係する主な製品は次のとおりです。
・産業用変圧器
・モールド変圧器
・配電機器
・受変電設備
・PCS
・蓄電池パッケージ
・EMS
・電力監視・制御設備
データセンターでは、電力会社から受け取った高圧・特別高圧の電気を変圧器で降圧し、施設内のUPSやサーバー設備へ配電します。
さらに、データセンターへ蓄電池を併設する場合には、蓄電池の直流電力を交流へ変換するPCSや、充放電を管理するEMSも必要です。
ダイヘン(6622)は、データセンターや半導体工場の建設増加を受けて、大形変圧器の生産能力を増強しています。2026年度には設備と人員の増強によって従来の1.2倍とし、2029年度までに2倍へ引き上げる計画です。データセンター向けモールド変圧器の生産能力拡大も進めています。
また、系統用蓄電所向けにも、蓄電池、PCS、変圧器、連系設備、EMSを組み合わせたパッケージを提供しています。
そのため、ダイヘン(6622)は、AIデータセンターの受電設備と系統用蓄電池の電力変換設備の両方から恩恵を受ける可能性がある企業です。
日東工業(6651)
日東工業(6651)は、高圧受電設備、分電盤、配電盤、キャビネット、サーバーラックなどを製造しています。
蓄電池やUPSを製造する企業ではありませんが、データセンターの電気設備とIT機器の収納設備の両方に関係しています。
主な関連製品は次のとおりです。
・キュービクル式高圧受電設備
・高圧一括受電設備
・分電盤・配電盤
・電源用キャビネット
・サーバーラック
・電源サブラック
・熱対策機器
高圧受電設備は、電力会社から供給される高圧電力を受け取り、変圧器や遮断器などを介して施設内へ電力を分配する設備です。日東工業(6651)は、高圧受電設備から分電盤、情報通信関連製品まで幅広く提供しています。
データセンター向けには、高密度サーバーの搭載を想定した52Uサーバーラックを展開しています。国内に生産体制を持ち、ハイパースケールデータセンター向けの安定供給を打ち出しています。
また、DC48V対応のバスバーを通じて、各IT機器へ直流給電できる電源サブラックも提供しています。直流給電は、交流と直流の変換回数を減らし、電力損失を抑えられる可能性があります。
日東工業(6651)は、次の2つの接点を持つことが特徴です。
1.データセンターへ電気を引き込む高圧受電・配電設備
2.サーバーや電源装置を収納するラック設備
ただし、蓄電池セルや大容量UPSを製造する企業ではありません。電源設備とサーバーラックを供給する周辺銘柄として位置づけられます。
ローム(6963)
ローム(6963)は、SiCパワー半導体をはじめとする電子部品・半導体メーカーです。
蓄電池やUPSそのものを製造する企業ではありませんが、UPS、サーバー電源、PCSなどの電力変換装置に使用されるパワー半導体を供給しています。
データセンターでは、電力会社から受け取った電気が、UPS、電源ユニット、サーバー内部などで複数回変換されます。
電力変換のたびに一部の電気が熱として失われるため、変換効率の向上は、データセンターの消費電力や冷却負荷を抑えるうえで重要です。
SiCパワー半導体は、一般的なシリコン製品と比べて、次の特徴があります。
・電力変換時の損失を抑えやすい
・高い電圧に対応できる
・高温環境で使用しやすい
・電源装置を小型化しやすい
・冷却設備の負担を軽減しやすい
ローム(6963)は、SiCパワーモジュールの用途として、UPS、AIサーバー、データセンター、サーバー電源などを挙げています。
AIサーバーの消費電力が増えるほど、電源変換時に発生する損失の絶対量も大きくなります。そのため、電力効率を高めるSiCパワー半導体への需要が拡大する可能性があります。
ただし、ローム(6963)のSiC製品は、EV、産業機器、再生可能エネルギー設備などにも使用されます。
株価や業績を見る際には、次の項目を確認する必要があります。
・データセンター向け売上高
・サーバー電源向けの採用件数
・SiC製品の生産能力
・設備稼働率
・価格競争
・データセンター以外の需要動向
AIデータセンターの電力損失を減らす電力変換部品の関連企業であり、蓄電池メーカーより間接的な位置づけです。
蓄電池を導入・運用するデータセンター事業者

AIデータセンター×蓄電池関連では、設備を製造する企業だけでなく、実際に蓄電池を導入・運用するデータセンター事業者も注目されます。
データセンター事業者は、蓄電池を停電対策だけでなく、電力需要のピーク抑制、再生可能エネルギーの利用、電力市場との連携などへ活用できます。
インターネットイニシアティブ(3774)
インターネットイニシアティブ(3774)は、クラウド、ネットワーク、セキュリティ、データセンターなどを展開するITインフラ企業です。
千葉県の白井データセンターキャンパスでは、産業用リチウムイオン蓄電池を導入し、電力需要のピークシフトに利用しています。
白井データセンターでは、太陽光発電設備、外気冷却、大規模リチウムイオン蓄電池などを組み合わせて、施設の省エネルギー化を進めています。
2019年には、テスラ製の産業用蓄電池「Powerpack」を導入しました。通常時には空調設備の電力需要を抑えるピークカット・ピークシフトに利用し、電力需給が逼迫した際にはデマンドレスポンスにも活用する構想です。
2020年夏の年間電力需要ピーク日には、データセンター全体の電力需要に対して約11%のピークカット効果を確認しました。
2026年2月には、パワーエックス(485A)と、大型蓄電システムとコンテナデータセンターを組み合わせた協業検討を開始しました。
検討する内容には次のものがあります。
・蓄電池内蔵コンテナデータセンター
・電力価格が安い時間帯の充電
・需要が大きい時間帯の放電
・余剰電力の電力市場での活用
・コンテナDCと電力インフラの一体展開
・データセンターの設置場所に関する制約緩和
パワーエックス(485A)が蓄電システムとコンテナ設備を提供し、インターネットイニシアティブ(3774)がデータセンターの設計・運用ノウハウを提供します。
また、インターネットイニシアティブ(3774)は、直接水冷方式の高密度AIサーバーを収容するモジュール型データセンターの実証も進めています。
同社は蓄電池メーカーではありませんが、電力設備とAI計算基盤を実際に組み合わせて運用する需要側の企業です。
ソフトバンク(9434)
ソフトバンク(9434)は、通信事業に加え、AI計算基盤、データセンター、国産バッテリー、エネルギーマネジメントを一体で展開する計画を進めています。
大阪府堺市では、大阪堺AIデータセンターを核として、AI関連機器を扱うAXファクトリーと、革新型バッテリーや太陽光パネルを扱うGXファクトリーを構築する方針です。
GXファクトリーでは、バッテリーセルとBESSを国内で一貫して開発・製造します。
主な計画は次のとおりです。
| 項目 | 計画 |
|---|---|
| 電池の種類 | 亜鉛・ハロゲン電池 |
| 電解液 | 水系電解液 |
| 製造開始 | 2027年度予定 |
| 量産規模 | 2028年度をめどに年間GWh規模 |
| 主な用途 | AIデータセンター、系統用蓄電所、産業施設、家庭用 |
| 制御 | AIを活用したEMS |
水系電解液を使用する亜鉛・ハロゲン電池は、可燃性の有機電解液を使用するリチウムイオン電池と比べ、発火リスクを抑えやすいことが特徴です。
製造した蓄電池は、大阪堺AIデータセンターなどで自社利用するほか、系統用蓄電所や産業施設への外部販売も計画しています。
ソフトバンク(9434)は、AIデータセンターの運営者であると同時に、バッテリーセル、BESS、EMSを提供する供給者にもなる構想です。
AIデータセンター向けGPUクラウドについても、2026年10月から新たなサービスを開始する計画を発表しています。
通信会社としての既存事業から、次の領域へ事業範囲が広がる可能性があります。
・AI計算基盤
・データセンター運営
・電池セル製造
・BESS製造
・電力需給制御
・再生可能エネルギー
・系統用蓄電池
ただし、バッテリー事業は現時点で工場整備と共同開発の段階です。
製造開始、量産能力、設備投資額、外部受注、採算性を今後確認する必要があります。
【PR】株の購入前は松井証券で信用残高を確認するのがおすすめ

株を購入する前には、信用買いが増えているのか、信用買いの整理が進んでいるのかを確認することも重要です。
信用買いが増えていると株価が上がりにくく、信用買いが整理されていると上値が軽くなりやすいからです。
一般的な信用残は週次で公表されるため、急落当日の信用需給をすぐに確認することはできません。
松井証券では、東証の売買内訳データをもとに算出した「信用残(当日推計)」と「信用倍率(当日推計)」を確認できます。
信用買いが増えているのか、信用返済による売りが出ているのかなど、株価変動の背景を考える際にも活用でき、需給の良いタイミングでの取引が可能です。
私も別の証券会社を利用していましたが、信用需給の分析用に活用するサブ口座として松井証券を使い始めて、今では気になる銘柄の需給を毎日確認しています。
トレードの勝率を少しでも上げたいという人はぜひ活用してみてはいかがでしょうか。
松井証券の公式サイトはこちらから
系統用蓄電池・外部電力で関係する銘柄
AIデータセンターの電力問題は、施設内のUPSや蓄電池だけでは解決できません。
データセンターが集中する地域では、送電線や変電所の容量が不足する可能性があります。系統用蓄電池を利用して、電力が余る時間帯に充電し、需要が大きい時間帯に放電することで、電力系統の負荷を平準化できます。
| 銘柄 | 主な役割 | AIデータセンターとの位置づけ |
|---|---|---|
| レノバ(9519) | 系統用蓄電所の開発・保有・長期運営 | データセンター周辺の供給力・系統安定化 |
| ウエストホールディングス(1407) | 蓄電所の用地開発、EPC、保守 | 電力需要が大きい地域の蓄電所開発 |
| デジタルグリッド(350A) | 市場入札、充放電制御、アグリゲーション | 電力価格・需給に応じた蓄電所運用 |
| グリッド(5582) | AIによる電力価格予測、充放電計画 | 電力需要と蓄電池運用の最適化 |
| パワーエックス(485A) | 大型系統用蓄電システムの製造 | 施設内の電源設備と系統側の両方に関係 |
レノバ(9519)は、蓄電所を開発・保有し、卸電力市場や需給調整市場などで運用しています。AIデータセンターへUPSを直接納入する企業ではありませんが、電力需要が増える地域で供給力と調整力を提供する企業です。
ウエストホールディングス(1407)は、系統用蓄電所の用地開発、系統接続、建設、保守を展開しています。データセンター向けの直接案件というより、データセンター周辺を含む電力系統の安定化に関係します。
デジタルグリッド(350A)は、系統用蓄電池の運用計画、電力市場への入札、計画提出、充放電指示などを一括して提供しています。
グリッド(5582)は、AIによって電力価格や需給を予測し、系統用蓄電池の充放電計画を最適化します。ウエストホールディングス(1407)との協業では、2027年までに800MWhの系統用蓄電所開発を目指しています。
パワーエックス(485A)は、AIデータセンター向けのEnergy BladeやMega Power DCに加え、大型系統用蓄電システム「Mega Power」を展開しています。データセンター内と系統側の双方に製品を提供できる点が、ほかの系統用蓄電池銘柄との違いです。
今回確認した各社の公式資料では、レノバ(9519)、ウエストホールディングス(1407)、デジタルグリッド(350A)、グリッド(5582)について、AIデータセンター内へUPSを納入するような直接案件は中心事業として示されていません。
そのため、これらの企業はAIデータセンターへ直接設備を供給する本命ではなく、外部の電力系統を支える周辺候補として分けて評価する必要があります。
AIデータセンターで蓄電池が必要な理由
AIデータセンターでは、サーバーを稼働させるための電力を確保するだけでなく、電源トラブルが発生しても処理を止めない仕組みが必要です。
蓄電池は、停電時のバックアップに加え、GPUの急激な電力変動への対応、ピーク電力の抑制、再生可能エネルギーの活用など、複数の役割を担う電力設備として重要性が高まっています。
停電・瞬低でもサーバーを止めない
データセンターでは、停電だけでなく、瞬間的に電圧が低下する瞬低や、電圧・周波数の変動によってサーバーが停止する可能性があります。
電源トラブルが発生した際には、UPSに搭載された蓄電池が即座に給電を開始します。商用電源が復旧するか、非常用発電機が起動するまでの間、サーバーや通信設備への電力供給を維持します。
UPSが担う主な役割は次のとおりです。
・停電発生時の即時給電
・瞬低や電圧変動への対応
・非常用発電機が起動するまでの電力供給
・サーバーやストレージの停止防止
・処理中データの消失防止
・通信サービスの継続
三菱電機は、データセンター向けUPSについて、停電や瞬低の発生時に無瞬断でバックアップ運転へ移行し、一定時間にわたって電力を供給する設備と説明しています。非常用発電機は起動までに時間がかかるため、その空白時間を蓄電池がつなぐ構成です。
AIの学習や推論処理が途中で停止すれば、計算のやり直しやサービス停止につながります。データセンターでは、数秒程度の電源停止であっても影響が大きいため、蓄電池とUPSが欠かせません。
GPUの急激な電力変動へ対応する
AIサーバーでは、GPUの稼働状況によって消費電力が短時間に変化します。
大規模なAI学習を開始したときには、多数のGPUが一斉に動作して電力需要が急増します。処理が終了した場合や待機状態へ移行した場合には、消費電力が急速に低下します。
こうした負荷変動が大きくなると、データセンター内の電源設備や外部の電力系統にも負担がかかります。
ラック周辺へ蓄電池を分散配置すれば、電力需要が急増した瞬間に蓄電池から給電し、電力会社から受け取る電力の変動を抑えられます。
パワーエックス(485A)のラック型蓄電システム「PowerX Energy Blade」は、系統の異常や制御信号を検知すると50~100ミリ秒で電力供給を開始し、その後サーバーの演算負荷を調整する構想です。
分散型蓄電システムには、次の効果が期待されます。
・GPUの瞬間的な電力需要を補う
・受電設備にかかる負荷を抑える
・ラック単位で電力を管理する
・電力変換や配線による損失を減らす
・サーバーの演算負荷と充放電を連携する
GPUの高性能化によってラック当たりの消費電力が増えるほど、高出力で素早く応答できる蓄電池の重要性も高まります。
ピーク電力を抑える
データセンターの電気料金は、使用した電力量だけでなく、一定期間の最大需要電力をもとに決まる契約電力の影響も受けます。
サーバーや冷却設備の消費電力が集中する時間帯に蓄電池から放電すれば、電力会社から受け取る電力のピークを抑えられます。
この運用はピークカットと呼ばれます。
一方、電力需要が少ない時間帯に充電し、需要が多い時間帯へ電気を移す運用はピークシフトと呼ばれます。
蓄電池を活用することで、次の効果が期待できます。
・契約電力の抑制
・電気料金の削減
・変圧器や受変電設備の負荷軽減
・系統接続容量の有効活用
・同じ受電容量で設置できるサーバー数の増加
・新たな電力系統への接続工事の抑制
PowerX Energy Bladeでは、ピーク電力を平準化することで、早期の系統接続や電力供給契約の条件改善、サーバー設置台数の拡大につなげる構想が示されています。
蓄電池は単なる非常用設備ではなく、平常時の電力コストと受電容量を最適化する設備としても利用できます。
再生可能エネルギーを安定して利用する
太陽光発電や風力発電は、天候や時間帯によって発電量が変動します。
太陽光発電は日中に発電量が増えますが、夜間には発電できません。風力発電も、風が弱ければ出力が低下します。
データセンターは原則として24時間稼働するため、再生可能エネルギーの発電時間と電力需要の時間が一致するとは限りません。
蓄電池を組み合わせれば、再生可能エネルギーが余る時間帯に充電し、夜間や発電量が少ない時間帯に放電できます。
主な活用方法は次のとおりです。
・太陽光発電の余剰電力を充電
・夜間に蓄えた電気を使用
・風力発電の出力変動を吸収
・電力価格が安い時間帯に充電
・非化石証書などの環境価値を活用
・再エネ電力を利用できる時間を延ばす
政府の「蓄電池・電源産業戦略」では、AIデータセンターを高い成長が見込まれる蓄電池・電源システム市場として位置づけ、性能、安全性、信頼性に優れたシステムの導入を促す方針が示されています。
電力系統へ調整力を提供する
蓄電池を通常時にも制御できるようにすれば、データセンターの電力需要を外部の電力系統に合わせて調整できます。
電力需要が逼迫しているときに蓄電池から放電したり、サーバーの処理を一部別の時間帯へ移したりすることで、電力系統の負担を抑えられます。
主な仕組みは次のとおりです。
| 仕組み | 主な内容 |
|---|---|
| デマンドレスポンス | 電力需給に合わせて施設の消費電力を増減する |
| VPP | 複数の蓄電池や発電設備を一つの発電所のように制御する |
| 需給調整 | 蓄電池を短時間で充放電し、電力の需要と供給を合わせる |
| ワークロードシフト | AI処理を電力に余裕がある場所や時間へ移す |
| アグリゲーション | 電力市場への入札や充放電指示を外部事業者がまとめて行う |
サーバーの処理負荷と蓄電池を連携できれば、電力需要が大きい時間帯には演算負荷を抑え、需要に余裕がある時間帯へ処理を移す運用も可能になります。
政府のワット・ビット連携では、電力インフラと通信インフラを一体的に整備するとともに、将来的にはデータセンターと蓄電池の一体運用や、AI処理の地域・時間分散を進める方針が示されています。
UPS・BESS・非常用発電機の違い
データセンターの電源設備には、UPS、BESS、非常用発電機、系統用蓄電池があります。
いずれも電力供給を支える設備ですが、目的や稼働時間が異なります。
| 設備 | 主な役割 | 応答速度の目安 | 主な稼働時間 | 主な用途 |
|---|---|---|---|---|
| UPS | 停電・瞬低時の即時給電 | ミリ秒以下~数ミリ秒 | 数分~数十分 | サーバーを止めない |
| BESS | 大容量の充放電、ピーク調整 | 数十ミリ秒~数秒 | 数十分~数時間 | 電力平準化、再エネ利用 |
| 非常用発電機 | 長時間のバックアップ | 数秒~数十秒 | 数時間~数日 | 長時間停電への対応 |
| 系統用蓄電池 | 電力市場取引、系統安定化 | 数十ミリ秒~数秒 | 数時間 | データセンター外部の電力調整 |
※応答速度や稼働時間は、製品、設備容量、運用方法によって異なります。
UPSは停電直後をつなぐ
UPSは、商用電源が停止した直後に蓄電池から電気を供給し、サーバーを止めないための設備です。
バックアップ時間は長くありませんが、瞬時に給電できることが最も重要です。
データセンターでは、UPSが給電している間に非常用発電機を起動し、長時間のバックアップへ切り替えます。
BESSは平常時から電力を調整する
BESSは、Battery Energy Storage Systemの略で、大容量の蓄電池、PCS、EMSなどを組み合わせた蓄電システムです。
停電対策にも使用できますが、ピークカット、電力料金の削減、再生可能エネルギーの活用など、平常時の電力運用が主な役割です。
UPSより長時間の放電に向く一方、サーバーへ完全な無瞬断給電を行うには、UPS機能や専用の電力変換設備との組み合わせが必要です。
非常用発電機は長時間停電に備える
非常用発電機は、燃料を使って電気を作る設備です。
蓄電池と異なり、燃料を補給できれば長時間にわたって発電できます。ただし、停電を検知してから発電機が起動し、電力を切り替えるまでには一定の時間が必要です。
富士電機の非常用発電装置には、停電検出後40秒以内に自動始動し、商用電源から発電電源へ切り替える製品があります。
系統用蓄電池は施設外の電力を調整する
系統用蓄電池は、電力会社の送配電網へ接続し、卸電力市場や需給調整市場などで運用する大型蓄電設備です。
データセンター内のサーバーを直接保護するUPSとは異なり、地域全体の電力需給を調整します。
AIデータセンターが集中する地域では、系統用蓄電池がピーク時間帯に放電することで、送電線や変電所にかかる負担を抑えられます。
AIデータセンター向け電力需要が増加する理由
AIデータセンターの増加によって、サーバーだけでなく、蓄電池、UPS、変圧器、受変電設備、冷却設備などへの需要も拡大すると見込まれています。
AIサーバーは従来型サーバーより消費電力が大きい
生成AIの学習や推論には、多数のGPUを使用します。
GPUの性能向上と搭載数の増加によって、サーバーラック当たりの消費電力が増えています。
AIデータセンターでは、次の設備が電力を消費します。
・GPUやCPUを搭載したサーバー
・メモリやストレージ
・ネットワーク機器
・液冷・空冷設備
・ポンプやファン
・UPSや電源変換設備
・照明や監視設備
サーバーが消費した電力の多くは熱に変わるため、冷却にも追加の電力が必要です。
また、データセンターは原則として24時間稼働するため、設備容量の大きさだけでなく、年間を通じた電力消費量も増加します。
国内でもデータセンター需要が増加する
電力広域的運営推進機関は、データセンターと半導体工場の新増設に伴う電力需要を、通常の経済成長による需要とは別に計上しています。
2026年度の需要想定では、データセンターによる最大需要電力の増加分を64万kW、年間電力量を48億kWhと見込んでいます。
2035年度には、最大需要電力の増加分が661万kW、年間電力量が494億kWhまで拡大する想定です。データセンターと半導体工場を合わせると、2035年度の最大需要電力は762万kW、年間電力量は568億kWhの追加となります。
| 年度 | データセンターの最大需要電力増加分 | データセンターの年間電力量増加分 |
|---|---|---|
| 2026年度 | 64万kW | 48億kWh |
| 2030年度 | 328万kW | 243億kWh |
| 2035年度 | 661万kW | 494億kWh |
データセンターの建設計画が見直される可能性はありますが、2035年度にかけて電力需要の増加傾向が続く見通しです。
AIデータセンターは立地可能な場所が限られる
AIデータセンターは、土地があればどこにでも建設できるわけではありません。
大量の電力を安定して供給できることに加え、高速・低遅延の通信回線、冷却に必要な設備、災害への耐性などが必要です。
主な立地条件は次のとおりです。
| 条件 | 確認する内容 |
|---|---|
| 電力系統 | 系統の空き容量、受電可能な電圧、供給開始時期 |
| 変電所 | 変電所との距離、増強工事の必要性 |
| 通信回線 | 海底ケーブル、IX、光通信網との距離 |
| 用地 | 広さ、地盤、造成費用、将来の拡張性 |
| 冷却 | 気温、水資源、液冷設備、排熱処理 |
| 災害対策 | 地震、浸水、停電、通信断への耐性 |
| 地域調整 | 騒音、排熱、景観、地域への説明 |
| 系統接続 | 接続検討、工事費、連系までの期間 |
政府資料でも、AIデータセンターの立地条件として、電力系統の容量、発電所・変電所との近接性、国際通信回線との距離、災害へのレジリエンスなどが挙げられています。
電力系統に余裕がなければ、変電所や送電線の増強が必要になり、運転開始が数年単位で遅れる可能性があります。
蓄電池でピーク電力を抑えられれば、限られた受電容量を有効に利用し、立地制約を緩和できる可能性があります。
政府が電源システムを支援している
政府は2026年6月、「蓄電池産業戦略」を「蓄電池・電源産業戦略」へ改訂しました。
従来の電池容量に加え、AIデータセンターで求められる高出力性能、PCS、制御システムなど、電源システム全体の競争力を強化する方針です。
主な支援・政策分野は次のとおりです。
・国産蓄電池の製造基盤
・高出力・高安全性の電池
・PCSや電力変換設備
・蓄電池制御システム
・電池材料のサプライチェーン
・安全評価・認証体制
・AIデータセンター向け電源システム
・電力と通信を一体整備するワット・ビット連携
政府は、2030年から2030年代半ばまでに、国内で年産150GWhの蓄電池製造基盤を確立する目標を掲げています。AIデータセンター向けなど、パワー密度に優れた蓄電池・電源システムへの投資も支援対象として位置づけています。
ワット・ビット連携では、データセンターの建設計画と電力・通信インフラの整備計画を共有し、電力に余裕がある地域への立地誘導や、新たな集積地の形成を目指しています。
AIデータセンター×蓄電池関連銘柄を選ぶポイント
AIデータセンターや蓄電池という言葉がIR資料に記載されていても、すぐに売上や利益へつながるとは限りません。
企業ごとの事業内容と進捗を分けて確認する必要があります。
データセンター向けを明記しているか
最初に確認したいのは、その企業の製品が本当にデータセンター向けなのかです。
確認する資料は次のとおりです。
・公式製品ページ
・決算説明資料
・中期経営計画
・統合報告書
・受注・納入事例
・協業発表
・工場増強の発表
蓄電池メーカーであっても、主力が車載用や家庭用で、データセンター向け製品を扱っていない場合があります。
系統用蓄電池だけを展開する企業も、データセンター内へ直接製品を納入する企業とは分けて評価する必要があります。
売上・利益へすでに反映されているか
事業の進捗は、次の段階に分けて確認します。
| 段階 | 例 | 業績への近さ |
|---|---|---|
| 構想・研究 | 技術検討、共同研究、基本合意 | 遠い |
| 開発 | 試作品、製品コンセプト、実証 | まだ不透明 |
| 製品化 | 販売開始、正式サービス開始 | 売上発生の可能性 |
| 受注 | 顧客、金額、容量、納期を公表 | 売上の確度が上昇 |
| 納入 | 設備が完成・稼働 | 売上計上へ接近 |
| 業績貢献 | 売上・利益への効果を公表 | 実績を確認可能 |
パワーエックス(485A)のAIデータセンター向けラック型蓄電システムは開発段階です。
パナソニック ホールディングス(6752)のデータセンター向け蓄電システムは、すでに販売が増加し、決算上の増収益要因として公表されています。
同じテーマ銘柄でも、製品コンセプト段階と業績貢献段階では投資判断の確度が異なります。
大容量・高出力に対応できるか
AIデータセンター向け設備では、蓄えられる電力量だけでなく、短時間にどれだけの電力を出せるかが重要です。
確認したい主な指標は次のとおりです。
| 指標 | 確認する内容 |
|---|---|
| MW | システム全体の最大出力 |
| MWh | 蓄えられる電力量 |
| kVA | UPSが供給できる電力容量 |
| kW/ラック | ラック単位の消費電力・給電能力 |
| 応答速度 | 電源異常や負荷変動への対応時間 |
| 放電時間 | 最大出力を維持できる時間 |
| 並列冗長 | 一部故障時にも運転を継続できるか |
| 拡張性 | ラックやモジュールを追加できるか |
長時間蓄電に強い製品でも、瞬間的な出力が不足すればGPUの負荷変動には対応できません。
反対に、高出力でも蓄電容量が小さければ、長時間停電やピークシフトには向きません。
用途に合った出力・容量・応答速度を持つかを確認する必要があります。
製造能力と受注残を確認する
需要が増えていても、製品を供給できなければ売上は拡大しません。
特に変圧器、大容量UPS、蓄電池は製造に時間がかかる場合があり、部材不足や工場の生産能力が納期を左右します。
確認したい項目は次のとおりです。
・工場の新設・増強
・年間生産能力
・設備稼働率
・電池セルやパワー半導体の調達
・受注高
・受注残高
・製品の納期
・保守人員と拠点数
受注残が増加していても、納期の長期化や原価上昇によって利益率が低下する可能性があります。
売上だけでなく、受注残の採算性と製造能力の拡大ペースも確認することが重要です。
安全性を確認する
データセンターでは大量の蓄電池をサーバーや電気設備の近くへ設置するため、安全性が重要です。
主な確認項目は次のとおりです。
・熱暴走への対策
・電池セルの種類
・過充電・過放電防止
・温度監視
・冷却設備
・消火設備
・コンテナやラック間の延焼防止
・遠隔監視
・定期点検
・保険と事故時の対応体制
LFP電池は一般的な三元系リチウムイオン電池と比べて熱安定性が高いとされますが、発火リスクがなくなるわけではありません。
鉛蓄電池は長年の実績がありますが、重量や設置面積が大きくなりやすい特徴があります。
水系電池は可燃性電解液を使用しないため安全性が期待されますが、量産実績やコスト、出力性能を確認する必要があります。
経済産業省は、蓄電池事故には大規模な火災や爆発につながる潜在的リスクがあるとして、安全基準、第三者認証、監視・保守体制を重視しています。
データセンター事業への依存度を確認する
企業全体の業績に対して、データセンター向け事業がどの程度影響するかも重要です。
確認したい項目は次のとおりです。
・データセンター向け売上高
・データセンター向け受注高
・電力機器事業全体に占める割合
・蓄電池事業の利益率
・ほかの事業の業績
・今後の設備投資計画
・株価に占めるテーマ期待
総合電機メーカーでは、データセンター向けUPSや変圧器の売上が増えても、企業全体への影響が小さい場合があります。
一方、蓄電池専業やUPS比率が高い企業はテーマ純度が高いものの、需要減少や案件延期の影響も受けやすくなります。
【PR】株の購入前は松井証券で信用残高を確認するのがおすすめ

株を購入する前には、信用買いが増えているのか、信用買いの整理が進んでいるのかを確認することも重要です。
信用買いが増えていると株価が上がりにくく、信用買いが整理されていると上値が軽くなりやすいからです。
一般的な信用残は週次で公表されるため、急落当日の信用需給をすぐに確認することはできません。
松井証券では、東証の売買内訳データをもとに算出した「信用残(当日推計)」と「信用倍率(当日推計)」を確認できます。
信用買いが増えているのか、信用返済による売りが出ているのかなど、株価変動の背景を考える際にも活用でき、需給の良いタイミングでの取引が可能です。
私も別の証券会社を利用していましたが、信用需給の分析用に活用するサブ口座として松井証券を使い始めて、今では気になる銘柄の需給を毎日確認しています。
トレードの勝率を少しでも上げたいという人はぜひ活用してみてはいかがでしょうか。
松井証券の公式サイトはこちらから
AIデータセンター×蓄電池関連株のリスク
AIデータセンター向け電源市場には成長が期待されますが、蓄電池を扱っているだけで業績が拡大するとは限りません。
蓄電池だけでは電力不足を解消できない
蓄電池は電気を作る設備ではありません。
発電所などで作られた電気を一時的に蓄え、必要な時間へ移動させる設備です。
そのため、地域全体で長期間にわたって電力が不足している場合、蓄電池だけでは解決できません。
AIデータセンターを稼働させるには、次の設備を一体で整備する必要があります。
・発電所
・送電線
・変電所
・受変電設備
・UPS
・蓄電池
・非常用発電機
・通信インフラ
蓄電池はピーク電力や短時間の需給変動には対応できますが、数日・数週間にわたる電力不足を補うには、発電能力そのものを増やす必要があります。
蓄電池は電力不足を解消する発電設備ではなく、既存の電力を効率的に利用する調整設備です。
データセンター需要との関係が薄い企業もある
蓄電池を製造していても、データセンター向けの売上があるとは限りません。
関連性が低い例として、次のケースがあります。
・車載用電池が中心
・家庭用蓄電池が中心
・小型電子機器向け電池が中心
・系統用蓄電池だけを展開
・データセンター向けの納入実績がない
・IR資料でAIという言葉を使用しているだけ
・共同研究のみで製品化されていない
公式資料で、製品用途、顧客、受注、納入実績まで確認する必要があります。
設備投資が延期される可能性
AIデータセンターの建設計画は、次の理由で延期・縮小される可能性があります。
・必要な電力を確保できない
・系統接続に時間がかかる
・変電所や送電線の増強費用が大きい
・建設費や人件費が上昇する
・GPUやサーバーを調達できない
・冷却用水や用地を確保できない
・地域住民との調整に時間がかかる
・データセンター投資が過熱し、需要予測が見直される
データセンターの建設が遅れれば、UPS、蓄電池、変圧器などの納入時期も後ろ倒しになります。
受注を獲得していても、売上計上まで数年かかる企業があります。
電池価格の競争が激しい
蓄電池市場では、中国メーカーが大規模な生産能力と価格競争力を持っています。
経済産業省も、中国の蓄電池市場に過剰供給構造があることや、サプライチェーンリスクが顕在化していることを指摘しています。
国産蓄電池メーカーには、安全性、品質、長期保守、サイバーセキュリティなどの強みがありますが、価格差が大きければ採用が進まない可能性があります。
主な変動要因は次のとおりです。
・海外製セルの価格下落
・リチウムやニッケルなどの原材料価格
・為替変動
・輸送費
・関税・輸出規制
・国内工場の製造コスト
・価格競争による利益率低下
売上が増えても、製品価格の下落によって利益が伸びない可能性があります。
火災・安全性の問題
リチウムイオン電池は、内部短絡、過充電、異常な温度上昇などによって熱暴走を起こす可能性があります。
大量の電池を狭い場所へ設置するデータセンターでは、一つの電池セルから周囲へ延焼するリスクも考慮する必要があります。
火災が発生した場合には、次の影響が想定されます。
・データセンターの停止
・サーバーや電源設備の損傷
・長時間の消火活動
・保険料の上昇
・製品回収や交換費用
・安全規制の強化
・メーカーへの損害賠償
・企業イメージの悪化
安全性に問題が発生すれば、受注拡大だけでなく、既存設備の交換や保守費用も企業業績へ影響します。
株価がテーマ期待を織り込む
AI、データセンター、蓄電池は株式市場で注目されやすいテーマです。
製品発表や協業検討の段階で株価が上昇し、実際の売上・利益より先に将来期待が織り込まれることがあります。
特に確認したいのは次の点です。
・製品発表後に受注を獲得できたか
・受注金額や納入時期が公表されたか
・製造能力を確保できているか
・売上計上まで何年かかるか
・利益率はどの程度か
・PERやPBRが過去より上昇していないか
・決算の進捗が市場期待に届いているか
業績が拡大していても、市場予想を下回れば株価が下落する可能性があります。
テーマ性だけでなく、受注、納入、売上、利益の順に進捗を確認することが重要です。
まとめ
AIデータセンター関連銘柄は、半導体や冷却設備、建設会社だけではありません。
データセンターを安定して稼働させるには、蓄電池、UPS、変圧器、受変電設備、非常用発電機などの電源インフラが必要です。
パワーエックス(485A)は、AIデータセンター向けラック型蓄電システムと蓄電池内蔵コンテナデータセンターを開発しており、テーマ純度の高い企業です。ただし、データセンター向け事業は製品開発・市場検証の段階であり、提供開始、受注、量産の進捗を確認する必要があります。
パナソニック ホールディングス(6752)は、データセンター向け分散型蓄電システムの販売がすでに売上・利益へ貢献しています。
富士電機(6504)と三菱電機(6503)は、大容量UPSだけでなく、変圧器や受変電設備を含めた電源システムを一括して提供できます。
ジーエス・ユアサ コーポレーション(6674)は、産業用鉛蓄電池、リチウムイオン電池、UPS、監視・保守サービスを幅広く展開しています。
山洋電気(6516)は、UPS「SANUPS」をデータセンターや通信設備向けに展開しており、電源システム事業への直接性が高い企業です。
インターネットイニシアティブ(3774)は、自社データセンターで産業用蓄電池を運用し、ピーク電力の抑制やデマンドレスポンスへの活用を進めています。
ソフトバンク(9434)は、AIデータセンターの運営と、国産バッテリーセル・BESS・EMSの開発製造を一体で進める計画です。ただし、現時点では製造開始前であり、量産・外部販売の実績はこれからです。
AIデータセンター×蓄電池関連銘柄を比較する際には、製品発表、開発、受注、納入、売上計上、利益貢献を分けて評価することが重要です。
また、蓄電池は電気を作る設備ではありません。発電、送電、変電、通信インフラと組み合わせて初めて、AIデータセンターの電力需要を支えられます。
各社がデータセンター内へ直接製品を供給する企業なのか、外部の電力系統を支える企業なのかを整理することで、AIデータセンター需要との関連性が分かりやすくなります。
出典
・「蓄電池産業戦略」を「蓄電池・電源産業戦略」に改訂しました|経済産業省
https://www.meti.go.jp/press/2026/06/20260602001/20260602001.html
・蓄電池・電源産業戦略|経済産業省
https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/joho/conference/battery_strategy2/0008/shiryo03.pdf
・「ワット・ビット連携官民懇談会取りまとめ1.0」を公表します|経済産業省
https://www.meti.go.jp/press/2025/06/20250612001/20250612001.html
・2026年度 全国及び供給区域ごとの需要想定|電力広域的運営推進機関
https://www.occto.or.jp/assets/news/juyousoutei/260121_juyousoutei_r1.pdf
・電力貯蔵装置・蓄電所を設置する場合の手引き|経済産業省
https://www.meti.go.jp/policy/safety_security/industrial_safety/sangyo/electric/detail/denryokucyozousouchi.html
・発電所等に施設される蓄電池設備の保安確保の徹底について|経済産業省
https://www.meti.go.jp/policy/safety_security/industrial_safety/oshirase/2024/04/20240426-2.html
・データセンター向けラック型蓄電システム「PowerX Energy Blade」を発表|パワーエックス
https://power-x.jp/ja/intl/newsroom/2026-05-14?gl=JP
・PowerX Energy Blade|パワーエックス
https://power-x.jp/ja/intl/datacenter/energy-blade
・量産型コンテナデータセンター「Mega Power DC」を商品化|パワーエックス
https://power-x.jp/ja/intl/newsroom/2026-02-12
・Mega Power DC|パワーエックス
https://power-x.jp/ja/intl/datacenter/megapower-dc
・パワーエックスとIIJ、蓄電システムとコンテナデータセンターを活用した協業検討を開始|IIJ
https://www.iij.ad.jp/news/pressrelease/2026/0213-2.html
・白井データセンターキャンパス|IIJ
https://www.iij.ad.jp/datacenter/tech/iijdc/shiroidcc.html
・脱炭素社会に資する新しいデータセンターのかたち|IIJ
https://www.iij.ad.jp/news/iijnews/vol_194/detail_06.html
・2024年度第2四半期 連結決算概要|パナソニック ホールディングス
https://holdings.panasonic/jp/corporate/investors/pdf/2024_2q/2q_financial_results_j.pdf
・Panasonic GREEN IMPACTと事業を通じた環境貢献|パナソニック ホールディングス
https://holdings.panasonic/jp/corporate/sustainability/environment/vision.html
・産業用電源装置・蓄電池 製品情報|GSユアサ
https://ps.gs-yuasa.com/products/
・国産定置用リチウムイオン電池の開発・量産に向けた供給確保計画が認定|GSユアサ
https://newsroom.gs-yuasa.com/news-release/376
・AI時代を支える次世代電力インフラの構築に向けて、国産バッテリー事業を開始|ソフトバンク
https://www.softbank.jp/corp/news/press/sbkk/2026/20260511_01/
・レドックスフロー電池 特長|住友電気工業
https://sumitomoelectric.com/jp/products/redox/features
・UPS7500WXシリーズ|富士電機
https://www.fujielectric.co.jp/products/power_supply/ups/product_detail/large_ups7500wx.html
・データセンター電源システム|富士電機
https://www.fujielectric.co.jp/products/iot_system_solution/solution_detail/download_energy_data_center.html
・配電盤・電源装置の生産能力拡大に向けた設備投資について|富士電機
https://www.fujielectric.co.jp/about/news/detail/1204345_4830.html
・三菱無停電電源装置「MELUPS」|三菱電機
https://www.mitsubishielectric.co.jp/service/melups/
・最新鋭データセンター向けUPS「MELUPS 9900S」|三菱電機
https://www.mitsubishielectric.co.jp/service/melups/products/9900s/
・ハイパースケールデータセンター向け超大容量UPS「MELUPS 9800G」|三菱電機
https://www.mitsubishielectric.co.jp/service/melups/products/9800g/index.html
・中・大容量UPS「SANUPS A23D」|山洋電気
https://www.sanyodenki.co.jp/products/product_news/2022/20220310_sanups_a23d.html
・リチウムイオン電池搭載UPS「SANUPS A11K-Li」|山洋電気
https://www.sanyodenki.co.jp/products/product_news/2019/20191113_sanups_a11k-li.html
・無停電電源装置(UPS)製品情報|オムロン
https://socialsolution.omron.com/jp/ja/products_service/ups/product/ups.html
・非常用自家発電設備|デンヨー
https://www.denyo.co.jp/products/generator/emergency/
・沼津事業所 変圧器工場の生産能力を約1.5倍へ増強|明電舎
https://www.meidensha.co.jp/news/news_03/news_03_01/1261314_10499.html
・大形変圧器の生産能力を2029年度までに2倍へ増強|ダイヘン
https://www.daihen.co.jp/newinfo_2025/news_251216_02.html
・高圧受電設備|日東工業
https://www.nito.co.jp/products/high-voltage-power-receiving-facilities/
・データセンター向けシステムラック|日東工業
https://www.nito.co.jp/products/system-racks/
・シーン別おすすめ商品 データセンター|日東工業
https://www.nito.co.jp/guide/joutsuu/scenepage1.html
・ロームのSiC MOSFETがAIサーバー向けBBUに採用|ローム
https://www.rohm.co.jp/news-detail?defaultGroupId=false&news-title=2026-05-21_news_sic-mosfet
・サーバー/データセンター向け電源ソリューション|ローム
https://www.rohm.co.jp/solution/industry/server
・蓄電事業|レノバ
https://www.renovainc.com/business/storage-battery/
・系統用蓄電所|ウエストグループ
https://www.west-gr.co.jp/service/renewable/energy_storage/
・蓄電池アグリゲーションサービス|デジタルグリッド
https://www.digitalgrid.com/dgp-battery/
・ウエストグループとグリッド、AIを活用した系統用蓄電池事業で協業|グリッド
https://gridpredict.jp/news/20240819
コメント