日本国内のアパレル業界のトップ企業のビジネスモデルについて比較してみました。
アパレル業界は、新型コロナウイルスの影響により倒産する企業も多い状況です。2020年には大手アパレルメーカーのレナウンが破綻しましたね。
新型コロナウイルスで多くの企業が苦戦を強いられているなか、ユニクロなどは好調なようです。
というわけで今回は、アパレル業界の上位5社のビジネスモデルについて解説します。
国内アパレル業界の売上ランキングとビジネスモデル
それでは、アパレル業界の売上高ランキングについて見ていきましょう。
本記事は業界動向search.comのこの記事を参考にランキングを作成しています。
https://gyokai-search.com/4-apparel-uriage.htm
国内アパレル業界の売上高ランキング
1位:ファーストリテイリング
2位:しまむら
3位オンワードHD
4位:ワールド
5位:アダストリア
1位:ファーストリテイリング
ユニクロ、GUなどのカジュアルファッションブランドを展開しているファーストリテイリングが国内1位です。
2020年8月期売上高は約2兆円と、国内アパレル業界の中でも群を抜いて高い水準です。
新型コロナウイルスの影響で、前年比では減少となっているようですが黒字は維持し続けている超優良企業です。
これだけの規模であるため、日経平均株価はファーストリテイリングに左右されると言っても過言ではないくらい影響を与えている企業です。
そんなユニクロですが、国内アパレルメーカーでは珍しいSPA(製造小売業)という形態をとっています。
SPAとは、製造→物流→販売まで自社で請け負う体制のことを言います。
製造から販売まで自社でやるということは、間に入る業者がいないので余計なコストがかからないのがメリットになります。
コストがかからないため商品原価を安く抑えられます。他社より良い質のものを安い価格で売るということが可能になっています。
ユニクロがここまで売上を伸ばしているのは、ターゲットを定めていないということが大きいです。
一般のアパレルブランドであれば、年齢、性別などのターゲット層を限定して、そのターゲットに合わせた商品を販売するのが普通です。
しかしユニクロでは、「誰でも着れる商品」を開発し続けることで、あらゆる人に購入してもらっているのです。
そのため普段着や機能性に優れた「カジュアルウェア」の開発を中心に行なっており、多くの人の需要に答えています。
2位:しまむら
しまむら、アベイル、シャンブル、バースデイなど様々なショップを展開している企業です。
低価格路線を取っており、衣料品の安さから人気の高いお店です。
主なターゲットは20〜50代の主婦層で、女性向けの衣料品やキッズなど幅広く取り揃えています。
しまむらはユニクロと同じくカジュアル向けブランドで低価格が魅力となっていますが、SPAを採用しておらず問屋から仕入れている形態をとっています。
そのため商品仕入れの原価率は高めですが、その他の経費を抑えることで低価格を実現しているのです。
しまむらが他企業より優れている点はローコストオペレーションにあります。
しまむらでは業務マニュアルが完備されていることにより効率的な店舗運営ができます。また、店舗システムも常にアップデートしているので日々最適な店舗運営が可能になっています。
そのため余計な人員を取られることなく、最低限の人員で運営することが可能になっているのです。
ローコストオペレーションによって店舗運営にかかる人員を削減したり、パートの比率を増やすことが可能になっているので、他企業に比べて人件費が格段に抑えられているのです。
3位:オンワードHD
23区、自由区、KASHIYAMAなど百貨店でよく見るブランドを運営している企業です。
百貨店を主要販路としており、高価格帯路線で経営しています。
男性向けのオーダージャケットなどが有名ですね。
老舗で歴史は長いですが、百貨店の衰退が進んでいたり、コロナウイルスの影響によって売上が低迷している状況ですが、現在は戦略転換をし、EC事業に力を入れているようです。
また、ZOZOTOWNと行動でオーダースーツの販売を手がけるなど、従来の強みを生かして脱店舗化を目指しているようです。
4位:ワールド
タケオキクチ、UNTITLEDなどのブランドを展開する老舗のアパレルメーカーです。
ワールドも、ユニクロと同じくSPAを導入しています。
SPAによって商品価格を安く提供できるほか、流行やトレンドを押さえたスピーディーな商品開発ができます。
しかし、ユニクロのようなファストファッションではないため、商品の流行りすたりによる入れ替えが激しいです。売れ残りのリスクや商品開発コストなどはかかってしまうのが現状です。
それでもSPAの導入によって業績を大きく伸ばした企業であるのは間違い無いです。
また、店舗はショッピングモールなどに併設されているケースが多いため、新型コロナウイルスの影響を大きく受けています。
5位:アダストリア
nico and…、GLOBAL WORK、LOWRYS FARM、LEPSIMなど17個のブランドを展開する企業です。
カジュアルブランドが中心で、低価格帯の店舗が中心です。
アダストリアの特徴はSPAとマルチブランド展開です。
ユニクロ、ワールドと同様に、SPAにすることで商品原価を抑えて低価格商品の販売を実現させているだけでなく、17個ある複数ブランドを展開することで、様々なニーズに対応しています。
マルチブランド展開をすることで他社との差別化だけでなく、1つのブランドが低迷した時に他のブランドがカバーできると言ったようなリスク分散も可能にしています。
海外のSPA導入企業なども、1つのブランドに一極集中しているため、そのブランドが衰退してしまった場合に立て直しが難しいのです。
また、複数ブランドを展開しているため、海外展開も積極的に行っています。
その地域に合わせたブランド展開することができるので事業を広げやすいのもメリットですね。
まとめ
さて、今回は日本のアパレル企業トップ5のビジネスモデルについて見ていきました。
日本のアパレル企業のビジネスモデルまとめ
ユニクロ
→SPA、ターゲットを定めないカジュアルウェアの販売
しまむら
→ローコストオペレーションによる経費削減
オンワードHD
→百貨店販売、EC事業への注力、オーダースーツという高い技術力
ワールド
→SPAによる低価格商品
アダストリア
→SPA、マルチブランド展開、海外戦略
アパレル業界の面白いところは、それぞれ細かく戦略を変えている点ですね。
SPAは世界でも注目を集めているので、導入している企業も多いですがそれ以外の部分は大きな差別化になっています。
新型コロナウイルスの影響により今後は大きな転換期を迎えるでしょうが今回紹介した企業の動向には是非注目したいですね。
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