SPA(製造小売業)とは?メリットとデメリットを比較

アパレル業界ではメジャーになりつつあるSPA(製造小売業)をご存知でしょうか?

製造から販売まで一体化されているシステムで、1990年代頃から注目されており導入する企業が増えていますが、何がメリットになるのでしょうか?また、デメリットはないのでしょうか?

もちろんSPAにはメリットもデメリットもあります。

今回は、SPAについてわかりやすく解説するとともに、メリットとデメリットを比較します。

目次

SPA(製造小売業)とは?

SPA(製造小売業)とは、製造から販売まで自社で行う業態のことです。

一般的な小売業は、メーカーから商品を仕入れて販売します。

流れとしては、製造→卸売→小売という流れになるため、販売までに3種類の企業が関わっていることになります。

しかし、SPA導入企業は1社で全て行います。

もちろんメリットもデメリットもありますが、長期的に見ればメリットが大きくなります。

日本のSPA導入企業は、元々製造業だった企業が小売店舗を持ったケースと、小売業を営んでいた企業が自社工場を持ったケースがあります。

SPA導入企業の一例

では、SPAを導入している企業について、一部紹介していきます。

ファーストリテイリング

言わずと知れた有名企業、ファーストリテイリングです。

ユニクロ、GUなどのブランドを展開していますが、SPAを導入しており、質の良い商品を比較的安価な価格で購入することができます。

アパレル業界ではSPAの導入は珍しくはないですが、ユニクロは他社とターゲットの方向性をずらすことで大きな差別化をしています。

具体的には、フリース、ヒートテック、エアリズムなどの、ファッショナブルな商品ではなく、機能性を重視した、全年齢対象の商品を主力商品として販売しているという点です。

あえてターゲットを絞らないことでたくさんの人に買ってもらえるというメリットを内包しています。

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ニトリ

「お値段以上」でお馴染みの家具メーカー、ニトリです。

家具メーカーでSPAのような形態をとっている珍しい企業です。

ニトリが業界内でも強い理由は、物流システムまで充実している点でしょう。

商品の製造を自社で行う企業は珍しくはありませんが、物流施設を全国に多く配置することで、配送のコストを減らせるようにしています。

物流システムが整っていることにより、店舗に商品をたくさん置く必要がなくなります。見本だけ置いておいて、購入された場合に倉庫から配送しておけば、店舗のスペースを効率的に使うことができます。また、ネット注文にも対応しやすいというのも大きなメリットですね。

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SPAのメリット

SPAのメリットは以下の2点です。

SPAのメリット
  • 原価率の安さ→低価格で商品提供が可能
  • 顧客のニーズに合った商品の開発が可能

低価格な商品を提供できる

SPAの最大のメリットとも言えるのが、他社と価格で優位性が取れることです。

SPAでは、製造→輸送→販売まで自社で行うため、間に業者が発生しません。

中間業者がいないということは、余計なマージンを取られることなく、商品を販売できるということです。

つまり、商品販売までに余計なコストがかかっていない=原価が安いということになります。

そのため、SPAを導入している企業はより低価格で商品を提供できるのです。

これは、スーパーなどでよく見かけるPB(プライベートブランド)商品と同じイメージです。他の企業が作った製品を売るより自社製造の商品の方がコストはかからず安くなるというわけです。

顧客のニーズに合った商品を随時開発できる

自社で商品を製造するということは、商品の企画から行うということです。

SPAは、現在の流行、トレンドに瞬時に対応し、都度商品を開発できるという強みがあるのです。

メーカーから仕入れる場合は、すでに出来上がっている商品を仕入れるしかないので、自分たちが売りたい商品がない可能性もあります。

希望する商品の製造をお願いする場合でも、時間がかかってしまいます。

SPAを導入することで、素早く商品開発が行えるようになるので、トレンドに合わせた商品を素早く提供できるというメリットがあります。

SPAのデメリット

SPA導入のデメリットは以下の3点です。

SPAのデメリット
  • 売れ残りによる在庫リスク
  • 初期費用の大きさ
  • 開発にかかる手間

在庫を抱えるリスクがある

自社で商品を製造するということは、売れ残ったら不良在庫として残ってしまうリスクがあります。

安く仕入れたとしても残ってしまったら売れ残り分の仕入れがマイナスになってしまいます。

つまりSPAを導入した場合は売れ残りを出さないような商品を作る必要があります。

万が一売れ残ってしまった場合はセールなどで原価分だけでも回収しておきたいですね。

SPAを導入していない場合はメーカーから仕入れるので必要以上に仕入れることはなく、在庫管理がしやすいです。

しかし、最近のSPA導入企業では在庫管理のためのシステムを取り入れている企業がほとんどのため、売れ残りが出ないように把握できるようになっています。

初期投資額が大きい

SPAを導入するためには、いろいろなコストがかかってしまいます。

商品を製造するための工場、実際に販売する店舗、商品を輸送するトラック、商品を開発する人件費など費用がかかるので、どうしても初期投資額が大きくなってしまいます。

その分儲かりやすいというリターンもあるのですが、初期投資というリスクを考えると手は出しにくいですね。

商品開発の手間がかかる

また、SPAでは、販売する商品を1から開発しなければいけないので、流行やトレンドを調査し、売れる商品を考えなければいけません。

そのため調査→開発→販売と、かなりの工程を踏んでしまいます。企業側からするととても手間がかかります。

開発から販売まで時間をかけ過ぎるとシーズンを過ぎてしまう恐れもあるので急いで開発しなければならず、企業側の負担は大きいと言えますね。



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