ニトリとイケアのビジネスモデルの違いを徹底分析

日本の家具メーカーといえばニトリが有名ですが、世界的なシェアで見るとイケアがトップです。
最近になってイケアも日本に進出してきましたが店舗も少なく日本ではニトリの方が有名ですよね。
日本の家具メーカーはニトリの一人勝ちという状況がずっと続いていますが、なぜここまでニトリが強いのでしょうか?

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その秘密を探るために、ニトリとイケアの経営戦略の違いについて分析しようと思います。

目次

ニトリとイケアの違いとは?

ニトリとイケアの大きな違いはこのようになっています。

・SPA +自社物流で製造コストを抑えているのがニトリ
・倉庫型店舗と組立式家具で販売コストを抑えているのがイケア

それぞれのビジネスモデルのついて詳しく見ていきましょう。

ニトリのビジネスモデル

まずはニトリのビジネスモデルから見ていきましょう。

SPAと物流

ニトリの代表的戦略ともいえるのが、SPAと物流戦略です。

SPAとは、商品の企画、製造、販売まで自社で行うビジネスモデルのことで、アパレル業界でメジャーとなっている経営戦略です。
SPAを導入することによって、中間業者を挟まないので仕入れに必要なコストを抑えられます。毎日外食するより自炊した方が食費が安くなりますよね?そのイメージがSPAです。

ニトリでは、SPAモデルを導入しつつ物流システムまで自社で行うといった独自のスタイルで成功しました。
一般的なSPAモデルでは、製造はするものの、商品の配送は業者に頼むのが普通です。物流まで自社でやるのはコストオーバーです。
しかし、家具という商品はサイズが大きいものがほとんどで配送にかかるコストも大きくなってしまいます。それを業者に1回ずつ頼んでいては、もったいないということで自社で物流システムを完備したのです。

配送だけでなく保管のシステムもしっかりしています。ニトリでは全国各地に工場、倉庫があり、商品を保管しておいてすぐに届けられるような仕組みになっています。

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コストリーダーシップ戦略

コストリーダーシップ戦略とは、コストの差別化です。
他社よりも安く仕入れる、経費を削減するといった工夫ができれば、優位性が取れるということがコストリーダーシップ戦略です。

例えばA社が100円で仕入れた商品を150円で売っているとします。同じ商品をニトリが80円で仕入れた場合どうでしょうか?
130円で売ってもA社と同じ利益になります。お客さんはニトリの方が20円安いのでニトリで買うことでしょう。このようにコストを抑えるだけで他の企業よりも優位に立つことができます。
先ほどの例ですが、A社と同じ150円で販売しても優位性が持てます。値段が同じなのでお客さんはどちらで買っても変わりません。しかし企業がえる利益には20円の差が生まれています。同じ商品を売っているのに、ニトリの方が利益が多くなるというのは経営上有利ですね。

このようにコストリーダーシップ戦略をとることができれば、値段や利益面で他社に勝てるので他の差別化をする必要がないくらい優位性を持てるのです。一方他の企業は価格や利益で勝てないので、商品自体に差別化をしなければいけないというわけです。
コストリーダーシップがある企業はその業界の中でもトップの売上であることが多いです、アパレル業界のファーストリテイリングもその一例ですね。

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ニトリでは前述したSPAと物流戦略によって、販売コストを抑えて優位性に立っています。

イケアのビジネスモデル

では、イケアの戦略について見ていきましょう。

家具はお客さんが組み立てるDIY方式

イケアの商品は購入した後に自分で組み立てる仕組みになっています。
一応組み立てや配送を行なってくれるサービスもありますが、基本的にはセルフサービスになっています。

DIY方式のメリットはたくさんあります。まず製造コストを抑えられます。部品だけ作れば良いので製造工程を省くことができます。
イケアの場合はニトリと違い製造はパートナー企業に委託する形を取っています。そのため製造工程を省くことができれば委託費用を抑えられますよね。
DIY方式のメリットはもう一つあります。梱包、配送コストを抑えられるということです。部品だけが入っている状態なのでコンパクトに梱包することができ、梱包材の費用も抑えられますし、スペースも取らないので店舗に置くのも負担になりません。梱包がコンパクトなので、配送も楽ですよね。

このように一見メリットがないように見えるDIY方式の家具ですが、コスト削減策として最適なのです。

倉庫型店舗

イケアでは倉庫と店舗を一体化させることによって、保管と販売のスペースを両立させています。
倉庫型店舗にすることで、場所のコストを削減させることができます。
前述した通り、組み立て式の家具なのでスペースを取らないというのも倉庫型店舗を実現させるカギとなっています。

倉庫と店舗が一体になることで倉庫→店舗への配送コストを丸々カットできます。また、地代家賃も削減できるのもメリットです。

倉庫型店舗というのは海外企業では珍しくない戦法で、コストコなんかがその一例ですね。

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コストリーダーシップ戦略

イケアもコストリーダーシップを持っている企業です。ニトリと同じと思うかもしれませんが、コスト削減策や販売商品が違うので全く別の戦略となっています。

ニトリでは製造と販売コストの削減に注力していましたが、イケアでは、梱包、店舗でコスト削減をしているため方法が違います。どちらもコスト削減策になっているので間違いというわけではありません。
さらに、ニトリとイケアでは商品コンセプトも違います。どちらも安い家具を販売している点は変わりありませんが、ニトリは比較的シンプルな家具、イケアは北欧風のおしゃれな家具というように棲み分けができているのでターゲットが分けられています。

なぜイケアは日本で業績を伸ばせないのか?

お互いコストの削減という面では負けていないように見えますが、イケアは日本ではいまいち業績を伸ばせてはいません。

その理由としては「商品の優位性という面で、ニトリより優れている面が少ないと感じてしまっている」ということです。
ニトリのターゲットは年収800万円以下の全ての人です。高級家具以外の家具を必要としている人全てをターゲットにしている商品を売っているので汎用性が高いです。
一方イケアは若い世代のファミリー層をターゲットにしており、北欧風のおしゃれな家具を提供しています。このようにニトリとイケアのターゲットには一定数被っている層が存在するのです。

一部ターゲットが被っている中で、値段という面だけでみれば、ニトリに軍配が上がります。それだけニトリが安い家具を提供しているということなのですが、イケアの家具に魅力を感じれていない人が多いのが業績が伸びない要因なのでしょう。
今後はイケアの商品のプロモーションが大事になってくるでしょう。

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