コストコという大型スーパーを知らない人はいないと思います。
海外の企業ですが、日本に上陸したのは1999年になります。
現在では数十店舗ほどありますが、ここまで店舗を拡大させたということは、かなり儲かっているということになります。
しかし、コストコといえば、安い商品を売っているのに、何故儲かっているのかという疑問が生まれます。
どのようなカラクリで儲けているのか、今回はその仕組みと戦略について解説したいと思います。
コストコが儲かる仕組み
最強の年会費システム
コストコが儲かっている一番の理由は、会員制度で収益を得ているということです。
個人会員であれば、年間4,400円(税別)を支払わなければなりません。
会員数が多ければ多いほど儲かる仕組みとなっています。
ただ、スーパーに年会費を払うというのは、かなり異例の事態ですよね。
年会費を出しても良い、と思える魅力的なサービスがなければいけません。
コストコは、圧倒的な価格差とエンターテインメント性のよって会員数を伸ばし続けているのです。
原価はおよそ90%だが、商品は集客にすぎない
コストコは他のスーパーよりも圧倒的に価格が安いことで有名です。
何故そこまでお得な商品を売っているのか?
答えはカンタンです。原価率が飛び抜けて高いのです。
コストコの商品原価はおよそ8割〜9割と言われています。つまり、ほぼほぼ仕入れ値で商品を購入できるというメリットがあります。
ですが、原価率9割では当然利益になりません。
他のスーパーが同じような価格で販売したら確実に赤字になります。
しかし、コストコが儲かっているのには、あるカラクリがあります。
それが先ほど述べた会員制度による収入なのです。
コストコでは、商品だけの売上では利益が出ていません。
売上から人件費、光熱費などの経費を引いたらゼロになる計算です。
しかし、逆に言えば、商品売上で経費をまかなえる分、会員収入は丸々利益となります。
会員数=利益であるため、会員数を増やすことがコストコが儲かる仕組みとなっているのです。
逆に考えると、コストコの儲からない商品というのは、あくまで会員数を増やすための集客手段に過ぎないということです。
小売店のビジネスモデルをガラッと変えるような斬新なアイデアだと思います。
卸業者を通さず、大量発注により仕入を極限まで抑える
コストコが会員制ビジネスであるからといっていくらなんでも原価率90%では、赤字になってしまいます。
しかし、赤字にならないための工夫がいくつかなされているのです。
1つ目は商品の仕入れ方法です。
コストコでは、配送用の専用トラックがあり製造工場から直接仕入れが可能です。
通常の小売店では、製造→卸売→小売という順番でモノが売られています。
卸売業者を間に挟みますので、それだけ中間マージンがかかっているのです。
コストコは、卸売業者を通さずに仕入れができる仕組みを作っているので、商品をより安く提供できます。
この工夫により、驚異の原価率と圧倒的価格を維持できているのです。
商品種類は圧倒的に少ない
原価を抑えるポイントとして重要なのは、商品数です。
例えば、パスタを10種類置いているスーパーと3種類だけしか置いていないスーパーがあったとします。
10種類置いている店はそれぞれを満遍なく買うことになるでしょう。
しかし、3種類だけしか置いていない店では、その3種類を大量に仕入れることになります。
大量注文をすることで、1つあたりの単価を抑えることができるのです。
つまり、商品種類が少ないことは、仕入れ値を抑えることに直結しているのです。
ただ、商品の種類が少ないということは、お客さんからしたら良いことではありません。
種類が多い方が、様々な顧客の需要に応えられます。
そこで、商品数の少ない店では、仕入れを抑えた分販売価格をさらに下げるという戦略を取るのです。
3種類しかパスタを置いていないスーパーは、10種類の店よりも20円安く販売していたらどうでしょうか?
なるべく安く買いたいと考えている方は皆そちらのスーパーを利用するでしょう。
どちらも一長一短ではあるのですが、安く売るための工夫作として、商品の種類を少なくするという戦略をとっているのです。
広告はお客さんにしてもらう
コストコでは、CMなどの広告を一切打ちません。
小売店では、その日の特売情報などをCM等で伝えて集客につなげるため、広告費をかけることは絶対条件と言えます。
コストコでは広告を打たないのに何故集客ができているかというと、お客自身に広告塔となってもらっているからです。
今の時代では何も広告媒体はテレビである必要はありません。
SNSが主流になってきているなかで、大事なのは一般人の声であると言えるでしょう。
コストコの価格の安さや圧倒的ボリューム、倉庫型店舗の楽しさなどはすべてお客さんなどのSNSから発信され、さらなる集客を生むことに成功しているのです。
これによって、他の広告を一切打つことなく、お客さんを増やしているので、売上アップと経費削減を同時に行えているのです。
倉庫型店舗による人件費削減策
コストコは、倉庫型店舗というだけあって大型スーパーです。
しかし、店員さんの数はそこまで多くはありません。
店員さんが少ないということは、それだけ人件費を削減できているということですが、どうやって人員削減を行なっているのでしょうか?
コストコが行なっている工夫は商品の陳列方法にあります。
通常であれば、ダンボールから商品を出して、一つ一つ棚に入れるというのが常識です。
しかしコストコでは、梱包材を直接棚に置き、フィルムを剥がすだけです。
ダンボールを置きフィルムを剥がすだけなので、圧倒的に効率が良く、人件費の削減に貢献しているのです。
人件費が少ない分、利益が出せるという考えではなく、商品をもっと安くすることで、会員数を増やし、結果的にお客さんと企業どちらにもメリットが生まれる仕組みを作ったことは素晴らしいことですね。
コストコから学ぶビジネスの本質
コストコは、商品を売ることによって儲けているのではなく、それ以上の付加価値を顧客に与えてその恩恵を受けています。
つまり、利益率の高い商品を売ることではなく、お客さんの満足度を高めるサービスを提供することによってその対価として利益を得ているんですね。
こういった面で、コストコは小売業という側面から少し逸脱していますが、ビジネスの本質をしっかり捉えた経営を行なっていることがわかります。
質の高い商品、サービスを提供してこそ利益は生まれるということです。
ビジネスにおいては非常に大事なことですので、教訓として学んでおきましょう。
コストコと同じように格安スーパーとして勢力を伸ばしている業務スーパーとの違いを比較した記事もありますのでこちらも見てみてくださいね。
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