なぜレオパレスが100億円の債務超過に?今後倒産してしまうのか?

アパート経営を行なっている大手会社、レオパレスの経営状況が悪化しているというニュースが話題となっています。

https://news.yahoo.co.jp/pickup/6372053

正式な決算発表ではありませんが、6月末時点で100億円の債務超過となっており、今後の事業継続のためにはスポンサー等による出資が不可欠となっています。

ここで気になるのは

・なぜここまでの債務超過なのか?

・レオパレス、破綻するの?

という点でしょう。

本記事では、レオパレスが債務超過に陥ってしまった原因と今後どうなるのかについて解説します。

目次

なぜレオパレスが100億円の債務超過に?

レオパレスが100億円の債務超過になってしまった原因を解説します。

レオパレスの業績が悪化した理由は

・サブリース問題、施工不良問題での評判悪化

・評判悪化による入居率の低下

・施工不良改善のための経費の圧迫

これらにより大幅な赤字が続いてしまい、債務超過に転落したということになります。

まずは、レオパレスの経営が悪化した原因である数々の問題について解説していきます。

これまでのレオパレスの問題について

サブリース問題

2017年12月に「ガイアの夜明け」でレオパレスのサブリース問題が取り上げられました。


サブリースとは、大家さんが不動産会社にアパートを貸し、不動産会社が個人向けに賃貸するという構造です。

アパートを借りる人は不動産会社に家賃を払いますが、不動産会社も大家さんに賃貸料を払うという仕組みのものです。

大家さんにとっては、賃貸物件の管理や入居者募集のための広告などの手間を全て不動産会社に任せられる分、楽という点がメリットになります。


このサブリースでは、賃料保証を謳い文句にしている不動産会社も多く、レオパレスもその一社でした。

賃料保証とは、入居率に関わらず一定の賃料を大家さんに支払うという保証制度で、レオパレスでは30年間の賃料保証を謳うことで、サブリースの契約者を増やしていました。


しかし、レオパレスは30年間の賃料保証を途中でなかったことにするのです。

というのもレオパレスは途中で、「10年以上契約しているアパートに対しては、契約解除できる」、「契約期間が10年未満のサブリース契約については、大幅な賃料減額を認める」という風に契約内容を変更したのです。

この大幅な契約変更が大きな問題となり、世間に知られるようになったのです。

大家さんにしてみれば、30年間一定の収入が期待できるからサブリース契約をしたのに期待を裏切られた気持ちになりますよね。

この一方的な契約内容の変更は、「終了プロジェクト」という名前で組織的に行われていたのです。

施工不良問題

2018年5月に、また新たな問題が発覚します。

レオパレスの物件の天井裏に、遮音や燃焼防止のための「界壁」が設置されていなかったという問題でした。


レオパレスの物件では、

「壁が薄い」

「隣の部屋の音が聞こえる」

など、遮音性に関して度々不満が出ていました。

その音漏れの原因は屋根にあるはずの界壁がないということだったのです。

屋根裏がスカスカだったということで法律的にも問題であり、レオパレス側も緊急会見を開きましたが、「現場で作業をした業者側のミスだ」という風に説明したのです。

施工不良問題後の対応の悪さが問題に

施工不良問題が明るみに出たレオパレスはすぐに記者会見を開き弁明しましたが、その後の対応はずさんであったと言えます。

その後の取材、調査で、施工不良問題を数ヶ月も放置していたという事実が発覚したのです。


この問題が放置された背景には、レオパレス本社の判断というものがありました。

界壁の不備が発覚した後、レオパレス本社で物件の調査しましたが、「問題なし」という結論に至ったのです。

この事実が発覚したことで、物件のオーナーや行政の反感を買い、再調査を行うことになりました。

再調査の結果は「不備あり」ということになりました。

その後、レオパレスの社長が謝罪会見を開くのですが、施工不良問題が発覚してから約9ヶ月後という対応の遅さも世間の評判を悪化させる原因となりました。

会見では、33都府県の1324棟の物件で施工不良が見つかったということで1万4443人の入居者に転居を求めるという事態になりました。

社長が退任し赤字転落

こうした問題が発覚したことで2019年5月に当時の社長である深山英世氏が退任しました。

さらにアパートの施工不良問題による工事費、修繕費など巨額の特別損失を計上したことで、2019年3月期決算は8年ぶりの赤字転落となりました。

2019年3月期の赤字額は686億円ほどであり、その額の大きさには驚くでしょう。

こうした評判悪化なども伴い、業績はどんどん悪化していくこととなります。

レオパレスの決算について

現在のレオパレスの決算について見ていきましょう。

2020年3月期決算(単位は百万円)

  2019/3 2020/3
売上高 505,223 433,553
営業利益 7,390 -36,473
経常利益 7,063 -36,341
当期純利益 -68,662 -80,224
総資産 291,790 196,953
純資産 81,338 1,589
自己資本比率 27.70% 0.70%

2020年3月期は前年以上の業績悪化となってしまいました。

2019年の大幅な赤字要因は、大幅な特別損失(施工不良改善のための費用)によるものです。

当期純利益上は大幅なマイナスですが、特別損失は一過性のものなので、2019年の売上高を維持できれば、今後の経営に問題はないのです。

しかし、2020年3月期決算では、売上高は14%ほどのマイナスとなっており、営業赤字が363億円ほどとなってしまいました。

営業赤字になるということは、経営上問題がある(売上が少ないor経費が圧迫している)ということになります。

つまり、売上もしくは経費面で改善を要する状態だということです。

大きく影響しているのは、入居率の低下による家賃収入の減少です。

2020年3月末時点での入居率は83.07%で前年比マイナス1.26ポイントで、期中の平均入居率は80.78%で前年比マイナス7.56ポイントと、入居率の低下が顕著に現れました。

また、建築開発部門においても、競争激化と施工不良問題の対処に追われている結果、受注残が大幅に減少しているという結果となっています。

また、自己資本比率が0.7%という状況はかなり悪いと言わざるを得ないでしょう。

今後業績が回復するためには、何としても入居率を改善させる必要があります。

今後破綻の可能性はあるの?

レオパレスの債務超過額が100億円ということで、今後破綻する可能性はあるの?という点が気になりますよね?

実際問題、企業のブランドイメージや新型コロナウイルスの影響を考慮すると、再建が非常に難しいと言えるでしょう。


ブランドイメージというのは、一度落ちると立て直しは非常に難しい&改善にはお金がかかります。

実際、これだけの問題を起こしたレオパレスのアパートに住みたいとは思わないですよね?

このイメージを払拭するためには、ちゃんとした工事を行なって適正な価格の家賃や適切なサービスの物件を提供する必要がありますが、それには費用がかかるうえに利益を出すのは難しいのです。


もう一つ、新型コロナウイルスの影響です。

不動産賃貸業とコロナウイルスの影響性は、家賃滞納という観点があるでしょう。

入居者の収入が減少→家賃を払えない→レオパレス側の収入が減るという悪循環になってしまいます。

ただでさえ入居率が悪い中、家賃を払えない人まで出てくるとレオパレス側の収益面もより一層厳しさを増すことでしょう。


以上より、レオパレスは現状、相当厳しい状況になっていると言えます。

レオパレスが立て直すための策はある?

では、レオパレスが立て直すためにはどうすれば良いのでしょうか?

具体的には以下の取り組みをする必要があります。

レオパレスが立て直すためには

①ブランドイメージを回復させるための改修工事

②入居率を改善させて売上を増やす

①を行うためには巨額の費用が必要となることでしょう。

まず、最優先に行わなければいけないことは、資金調達です。

しかし、既存の決算内容では、銀行の融資は通りにくいです。

となると、ファンド等による出資を受けて資金調達するしかありません。

まずは、レオパレスに出資してくれる企業や投資家を必死で集める事から始まりますが、実際のところ厳しいでしょう。

現状は東証一部上場企業ですが、2021年3月期に債務超過になると降格となってしまうので、投資家達からの資金調達も現状厳しいです。

以上から、レオパレスは茨の道を進むこととなるでしょう。

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