SCREENホールディングスの決算はどうだった?2027/3期1Q減益・業績修正を解説

「SCREENホールディングスの決算はどうだった?」「営業利益41%減は悪い決算?」と気になっている人も多いのではないでしょうか。

2027年3月期第1四半期は、売上高が前年同期比10.3%減、営業利益が41.1%減となりました。主力の半導体製造装置事業で新規装置の売上が減少し、1Q経常利益も決算前の市場コンセンサスを大きく下回っています。

一方、会社は一部装置案件の売上計上が2Qへずれた想定どおりの結果と説明しました。過去最高水準の受注を背景に通期業績予想を上方修正し、年間配当予想も175円から183円へ引き上げています。

1Qの数字だけを見ると弱い決算ですが、通期の成長期待はむしろ強まりました。本記事では、1Q実績、市場予想との比較、減益理由、2Q見通し、業績上方修正、配当、株価目線での評価、今後の注目点を解説します。

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目次

SCREENホールディングスの決算はどうだった?

項目2027年3月期1Q前年同期比
売上高1,217億7,500万円10.3%減
営業利益143億6,800万円41.1%減
経常利益154億1,900万円37.2%減
親会社帰属純利益104億9,000万円37.1%減
売上総利益432億9,000万円15.3%減
売上総利益率約35.5%約2.1ポイント低下
営業利益率11.8%6.2ポイント低下
経常利益率約12.7%低下
1株利益55.47円32.79円減

SCREENホールディングスの2027年3月期第1四半期は、売上高・営業利益・経常利益・純利益がすべて前年同期を下回りました。

売上高は前年同期から140億1,000万円減少しました。営業利益は100億1,800万円減少しており、利益の落ち込みが売上高を大きく上回っています。

主な理由は、売上高の大半を占める半導体製造装置事業で、ファウンドリー・ロジック向けの新規装置売上が減ったことです。さらに、研究開発費、人件費、減価償却費などの固定費増加も利益を押し下げました。

グラフィックアーツ機器事業とディスプレー製造装置・成膜装置事業は増収増益でしたが、主力事業の減益額を補うには至っていません。

したがって、1Qの実績だけを評価すれば、大幅減益かつ利益率も悪化した弱い決算です。ただし、装置案件の売上計上時期と2Q以降の受注状況も合わせて確認する必要があります。

1Q経常利益は市場予想を約49%下回った

項目1Q経常利益
決算前コンセンサス304億8,000万円
実績154億1,900万円
差額150億6,100万円下振れ
市場予想に対する差約49.4%未達

2026年7月27日時点のIFISによる1Q経常利益コンセンサスは304億8,000万円でした。実績は154億1,900万円だったため、市場予想を150億6,100万円、率にして約49.4%下回っています。

実績は市場が予想していた利益の約半分にとどまりました。前年同期比でも37.2%減益であり、単純な決算数値では明確なネガティブ材料です。

ただし、SCREENは1Q単独の会社予想を開示していません。市場は装置案件の売上計上が1Qに進む前提で予想していた一方、実際には一部が2Qへずれました。

1Qが市場予想を大幅に下回ったことは事実ですが、需要自体が消失したのか、売上計上時期がずれただけなのかで通期への影響は大きく異なります。

会社は1Qを「想定どおり」と説明

会社は、半導体製造装置事業の減収減益について「想定どおり」と説明しています。予定していた一部装置案件が2Q売上へスライドしたためです。

半導体製造装置では、受注や出荷が完了していても、顧客工場での設置や検収の時期によって売上計上が次の四半期へずれることがあります。今回のスライド案件は受注キャンセルではなく、計上時期の変更として説明されています。

会社計画に対しては想定内でも、市場コンセンサスとの間には大きな差がありました。この点が、今回の決算を評価しにくくしている要因です。

今後は、スライド案件が2Qに予定どおり売上計上されるかを確認する必要があります。2Qでも計上が遅れれば、単なる四半期ずれではなく、顧客投資や納入スケジュールの変化が疑われます。

営業利益率は18.0%から11.8%へ低下

1Qの営業利益率は11.8%となり、前年同期の18.0%から6.2ポイント低下しました。

売上総利益率も約37.6%から約35.5%へ低下しています。SPEの新規装置売上が減ったことで製品構成が悪化したほか、売上減少によって固定費の吸収が進みませんでした。

  • 研究開発費の増加
  • 人件費の増加
  • 減価償却費の増加
  • 新開発拠点ATCAや増産体制への先行投資
  • SPEの操業度低下

SCREENは成長市場を取り込むため、研究開発と生産能力への投資を拡大しています。短期的には固定費が利益率を押し下げますが、2Q以降の売上増加で吸収できれば、営業利益率は大きく回復する見込みです。

前四半期からも売上・利益が大幅に減少

項目2026年3月期4Q2027年3月期1Q前四半期比
売上高1,803億円1,217億円約32.5%減
営業利益450億円143億円約68.2%減
経常利益454億円154億円約66.1%減
純利益370億円104億円約71.9%減
営業利益率25.0%11.8%13.2ポイント低下

前期4Qは装置売上と利益が高水準だったため、その反動も大きく表れています。営業利益は450億円から143億円へ減少し、営業利益率も25.0%から11.8%へ低下しました。

半導体製造装置メーカーは、数件の大型装置の検収時期によって四半期業績が大きく変動します。そのため、前四半期比の急減だけで需要トレンドが悪化したと判断するのは適切ではありません。

会社は2Qに再び大幅な増収増益を計画しています。1Qの落ち込みと2Qの急回復を合わせて、上期全体で評価する必要があります。

セグメント別の決算を確認

セグメント売上高前年同期比営業利益前年同期比営業利益率
半導体製造装置・SPE931億3,300万円15.0%減143億8,800万円44.0%減15.4%
グラフィックアーツ・GA138億3,200万円7.1%増14億2,100万円150.7%増10.3%
ディスプレー・成膜装置・FT108億5,700万円8.0%増12億7,600万円54.4%増11.8%
プリント基板関連機器・PE31億3,200万円2.0%増2億9,900万円の赤字赤字拡大マイナス9.5%

セグメント別では、主力のSPEが大幅な減収減益となりました。GAとFTは増収増益でしたが、全社営業利益の大半を占めるSPEの減益を補えませんでした。

SPEはファウンドリー・ロジック向け減少で44%減益

半導体製造装置事業の売上高は前年同期比15.0%減の931億3,300万円、営業利益は44.0%減の143億8,800万円でした。

DRAM向けの装置売上とポストセールス売上は増加した一方、ファウンドリー・ロジック向けの装置売上が減少しました。地域別では北米向けが増えましたが、中国と台湾向けが減っています。

営業利益率は前年同期の23.5%から15.4%へ8.1ポイント低下しました。売上減少に加え、研究開発や生産能力増強に伴う固定費増加が影響しています。

SPEの売上は全社の約76.5%を占めるため、同事業の計上時期と利益率が全社業績を大きく左右します。

新規装置売上は減少、ポストセールスは増加

項目前年1Q今回1Q増減
SPE新規装置売上877億円651億円約26%減
SPEポストセールス売上218億円280億円約28%増
SPE合計1,095億円931億円15%減

SPEの減収は、新規装置売上が877億円から651億円へ減少したことが主因です。大型装置は顧客投資や検収時期の影響を受けるため、四半期ごとの変動が大きくなります。

一方、ポストセールス売上は218億円から280億円へ増加しました。ポストセールスには、装置の保守、改造、消耗パーツ、ユニット交換などが含まれます。

顧客工場の稼働率や設置済み装置の増加に伴って継続的に発生するため、新規装置よりも安定性が高い収益です。会社は2Qのポストセールス売上を309億円と予想しています。

新規装置の変動をポストセールスの成長でどこまで補えるかは、SCREENの収益安定性を判断する重要な指標です。

GAはリカーリング売上増加で営業利益2.5倍

グラフィックアーツ機器事業の売上高は7.1%増の138億3,200万円、営業利益は約2.5倍の14億2,100万円でした。

インクを中心とするリカーリングビジネスが増加し、営業利益率は前年同期の4.4%から10.3%へ上昇しています。装置販売後も継続する消耗品売上が収益改善につながりました。

会社は通期売上予想を590億円から600億円、営業利益予想を45億円から55億円へ引き上げています。全社への利益貢献はSPEより小さいものの、安定収益を支える事業として改善が進んでいます。

FTはOLED・LCD向け装置が増加

ディスプレー製造装置および成膜装置事業の売上高は8.0%増の108億5,700万円、営業利益は54.4%増の12億7,600万円でした。

OLED・LCD向け装置の売上増加と採算改善により、営業利益率は8.2%から11.8%へ上昇しました。

2026年4月からアドバンスドパッケージ事業がFTへ移管されています。半導体の先端パッケージ需要を取り込む余地がある一方、通期売上予想は470億円から430億円へ引き下げられました。営業利益予想は25億円で据え置かれているため、会社は製品構成や採算の改善を見込んでいます。

PEは固定費増加で赤字が拡大

プリント基板関連機器事業の売上高は2.0%増の31億3,200万円でしたが、営業損失は2億9,900万円となりました。前年同期も小幅な赤字でしたが、今回は固定費増加によって赤字幅が拡大しています。

ポストセールス売上は増加しているため、2Q以降に装置売上が増え、固定費を吸収できるかが重要です。通期では15億円の営業利益を計画しており、上期後半からの黒字転換が求められます。

1Q減益でも通期予想を上方修正した理由

今回の決算で最も重要なのは、1Qが大幅減益だったにもかかわらず、会社が通期予想を上方修正したことです。

会社は上期予想を据え置き、下期の売上・利益予想を引き上げました。1Qの低調は需要減速ではなく、売上計上時期の偏りであり、受注環境は強いと判断しています。

過去最高水準の受注が続いている

会社は、半導体製造装置事業で過去最高レベルの受注が継続していることを通期上方修正の根拠としています。

  • AI向け最先端ファウンドリー投資
  • 大型ロジック・ASIC向け投資
  • HBM・サーバーDRAM向け投資
  • データセンター向けNAND投資の回復
  • 先端パッケージ向け投資
  • 中国の既存・新興・外資系顧客による設備投資

受注から装置の出荷・検収・売上計上までには時間差があります。したがって、受注が過去最高でも、1Qの売上高が直ちに増えるとは限りません。

今後の焦点は、高水準の受注が予定どおり2Q以降の売上と利益へ転換するかです。

半導体製造装置市場は2年連続20%超の成長予想

SCREENは2026年のWFE市場について、前年比20%以上の成長を見込んでいます。市場規模は1,400億ドルを超え、2027年も同程度の成長が続くとの見方です。

成長を牽引するのは、AI向け最先端ファウンドリー、ASIC、HBM、サーバーDRAM、データセンター向けNAND、ウエハーレベル・パネルレベルの先端パッケージです。

市場全体が拡大しても、SCREENの売上が自動的に同じペースで伸びるわけではありません。顧客案件の獲得、製品シェア、生産能力、検収時期によって差が生まれます。会社はWFE市場の成長率を上回る売上成長を目標としています。

2Q単独では大幅な増収増益を計画

項目1Q実績2Q単独会社予想1Q比
売上高1,217億7,500万円1,952億2,500万円約60.3%増
営業利益143億6,800万円416億3,200万円約2.9倍
経常利益154億1,900万円405億8,100万円約2.6倍
純利益104億9,000万円270億1,000万円約2.6倍
営業利益率11.8%約21.3%約9.5ポイント上昇

上期会社予想から1Q実績を差し引くと、2Q単独では売上高約1,952億円、営業利益約416億円を計画しています。

1Qから売上高が約60%増え、営業利益は約2.9倍となる見込みです。営業利益率も11.8%から約21.3%へ回復します。

2Qには1Qからスライドした装置案件の売上計上が予定されています。計画どおりなら、1Qの大幅減益は一時的な計上時期の偏りだったと確認できます。

反対に2Q売上が計画へ届かなければ、上期計画だけでなく通期上方修正の実現性にも警戒が必要です。

SPEは2Qに営業利益率27%台を計画

項目SPE・1Q実績SPE・2Q単独予想
売上高931億3,300万円約1,668億6,700万円
営業利益143億8,800万円約461億1,200万円
営業利益率15.4%約27.6%

SPEは2Q単独で売上高約1,669億円、営業利益約461億円を計画しています。営業利益率は27%台へ回復する計算です。

会社は2QにDRAM向けとファウンドリー・ロジック向け装置売上が増え、中国向け売上も回復すると見込んでいます。売上増加による操業度改善と固定費吸収が利益率を押し上げる想定です。

上期全体の利益は2QのSPEに大きく依存しています。装置の検収、製品構成、地域別売上を確認しましょう。

2027年3月期の通期業績予想を上方修正

項目5月予想7月修正予想修正額
売上高7,250億円7,430億円180億円増
営業利益1,500億円1,565億円65億円増
経常利益1,500億円1,565億円65億円増
親会社帰属純利益1,100億円1,150億円50億円増
営業利益率20.7%約21.1%約0.4ポイント上昇

SCREENは、足元の顧客投資動向と過去最高レベルの受注を踏まえ、2027年3月期の通期業績予想を上方修正しました。

売上高は7,250億円から7,430億円、営業利益と経常利益は1,500億円から1,565億円へ引き上げています。親会社株主に帰属する純利益も1,150億円へ増額しました。

上期の数値は据え置かれており、今回の上方修正は下期の予想引き上げによるものです。1Qの減益を受けて予想を引き下げるのではなく、受注環境を評価して通期を増額した点は前向きな材料です。

上方修正の中心はSPEとGA

セグメント5月売上予想7月売上予想5月営業利益予想7月営業利益予想
SPE6,000億円6,200億円1,530億円1,590億円
GA590億円600億円45億円55億円
FT470億円430億円25億円25億円
PE155億円165億円15億円15億円

通期上方修正の中心はSPEです。売上予想を200億円、営業利益予想を60億円引き上げました。

GAもリカーリング売上の好調を受け、売上予想を10億円、営業利益予想を10億円増額しています。

一方、FTの売上予想は40億円引き下げられました。ただし、営業利益予想は25億円で据え置かれており、製品構成や採算性の改善を見込んでいます。

全事業が一律に好調なわけではなく、SPEとGAの上振れでFTの弱さを補う予想です。

通期会社予想は市場予想にほぼ追いついた

項目会社予想決算前コンセンサス差額市場予想比
通期経常利益1,565億円1,580億6,200万円15億6,200万円下振れ約1.0%未達

2026年7月27日時点の通期経常利益コンセンサスは1,580億6,200万円でした。上方修正後の会社予想1,565億円との差は約15億6,200万円、率にして約1.0%です。

修正前の会社予想1,500億円は市場予想を約81億円下回っていましたが、今回の上方修正で差が大きく縮まりました。

1Q実績は市場予想を大幅に下回りましたが、通期予想はおおむね市場期待に沿う水準です。決算後にアナリスト予想が引き上げられるかにも注目しましょう。

上期予想は市場コンセンサスを約11%下回る

項目上期経常利益
会社予想560億円
決算前コンセンサス630億2,300万円
差額70億2,300万円下振れ
市場予想に対する差約11.1%未達

上期経常利益の会社予想は560億円で据え置かれています。市場コンセンサス630億2,300万円を約11.1%下回る水準です。

上期市場予想を達成するために必要な2Q単独経常利益は、630億2,300万円から1Q実績154億1,900万円を差し引いた約476億円です。

会社の2Q単独経常利益予想は約406億円であり、市場期待を満たすには会社計画を約70億円上回る必要があります。

通期会社予想は市場予想に近づいた一方、上期のハードルは依然として高く、短期的には2Qの上振れが求められています。

1Q進捗率は約10%にとどまる

項目1Q実績通期予想進捗率
売上高1,217億7,500万円7,430億円約16.4%
営業利益143億6,800万円1,565億円約9.2%
経常利益154億1,900万円1,565億円約9.9%
純利益104億9,000万円1,150億円約9.1%

1Qの通期予想進捗率は、売上高が約16%、各利益が約9~10%です。単純な四半期目安の25%を大きく下回っています。

ただし、会社計画は2Qと下期に売上・利益が集中する前提です。SCREENのような装置企業では、進捗率だけで計画達成の可否を判断できません。

受注、装置出荷、検収、棚卸資産、契約負債を合わせて確認し、計画どおり後半へ売上が積み上がっているかを判断する必要があります。

年間配当は183円へ増額

項目5月予想7月修正予想
中間配当60円60円
期末配当115円123円
年間配当175円183円
増額8円

通期業績予想の上方修正に伴い、期末配当予想は115円から123円へ8円引き上げられました。中間配当60円と合わせた年間配当は183円です。

SCREENは2026年4月1日付で1株を2株に分割しています。前期の年間配当293円を分割後ベースに換算すると146円50銭です。

今期予想183円は、分割調整後の前期実績から36円50銭、率にして約24.9%の増配となります。

会社は連結配当性向30%以上を基本方針としています。業績上方修正を配当に反映したことは株価の下支え材料ですが、配当だけでなく、2Qの業績回復と受注の売上転換も確認する必要があります。

キャッシュフローと財務状況を確認

項目2027年3月期1Q前年同期
営業キャッシュフロー90億円69億円
投資キャッシュフロー100億円の支出97億円の支出
フリーキャッシュフロー9億円の赤字27億円の赤字
財務キャッシュフロー162億円の支出289億円の支出
現金同等物残高2,112億円
自己資本比率64.6%前期末67.4%

1Qの営業キャッシュフローは90億円の黒字となり、前年同期の69億円から増加しました。利益は減少しましたが、契約負債の増加や売上債権の減少が現金収入を支えています。

投資キャッシュフローは100億円の支出となり、フリーキャッシュフローは9億円の赤字でした。研究開発設備や生産能力への投資が続いています。

営業キャッシュフローは増加

営業キャッシュフローでは、契約負債の増加、税金等調整前四半期純利益、売上債権・契約資産の減少が収入要因となりました。

一方、棚卸資産の増加と法人税等の支払いは支出要因です。それでも全体では前年同期を上回る90億円の黒字を確保しました。

利益が減っても営業キャッシュフローが改善したのは、顧客からの前受金に相当する契約負債が増えた影響が大きいためです。

棚卸資産と契約負債が大幅に増加

項目前期末1Q末増加額
棚卸資産約1,586億円約1,926億円約340億円
契約負債約831億円約1,249億円約418億円

棚卸資産は前期末から約340億円増加しました。商品・製品、仕掛品、原材料がいずれも増えており、2Q以降の装置出荷と売上計上へ向けて生産を進めていることがうかがえます。

契約負債は約418億円増加しました。契約負債には顧客から受け取った前受金などが含まれ、高水準の受注と整合する動きです。

ただし、棚卸資産や契約負債が増えたからといって、その全額が次の四半期に売上となるわけではありません。装置の製造、納入、検収が計画どおり進むかを確認しましょう。

研究開発・設備投資を拡大

項目前年1Q今回1Q通期予想
研究開発費85億円101億円430億円
設備投資額44億円178億円430億円
減価償却費34億円40億円180億円

研究開発費は前年同期比約18.8%増の101億円、設備投資額は約4倍の178億円となりました。

主な投資先は、米国ニューヨーク州の新開発拠点ATCAにおけるプロセス評価環境と、SPEの増産体制です。製品競争力と生産能力の両面からシェア拡大を狙っています。

成長投資は中長期の売上拡大につながる可能性がある一方、短期的には人件費や減価償却費などの固定費を増やします。投資した設備が高い受注を実際の売上へ変える能力につながるかが重要です。

今回の決算を株価目線でどう評価する?

今回の決算は、1Q実績と通期見通しで評価が正反対となっています。1Qだけなら明確に弱い一方、通期上方修正と増配は前向きな材料です。

プラス材料

  • 通期業績予想を上方修正した
  • 通期経常利益予想が市場コンセンサスにほぼ追いついた
  • 半導体製造装置の受注が過去最高水準で推移している
  • AI・最先端ファウンドリー・HBM・DRAM投資が成長要因
  • 2Qに大幅な売上・利益回復を計画している
  • ポストセールス売上が増加した
  • GA・FTが増収増益となった
  • 年間配当を183円へ増額した
  • 棚卸資産と契約負債の増加が将来売上の準備を示している

特に、1Qの低調を受けても会社が通期予想を引き上げたことは、受注と顧客投資に対する会社の自信を示しています。

マイナス・注意材料

  • 1Qは大幅な減収減益となった
  • 1Q経常利益は市場予想を約49%下回った
  • 営業利益率が6.2ポイント低下した
  • 上期会社予想は市場コンセンサスを約11%下回る
  • 2Qへの売上・利益依存度が高い
  • SPEの新規装置売上が大きく減少した
  • 中国・台湾向け売上が減少した
  • 研究開発・設備投資に伴う固定費が増加している
  • 棚卸資産が大きく増えている
  • 地政学リスクや輸出規制の影響を受ける可能性がある

会社計画は2Qと下期に大きく偏っています。高い受注があっても、装置の納入や検収が遅れれば、売上と利益の達成時期が後ろ倒しになる可能性があります。

株価評価は2Q回復への信頼度で分かれる

1Q実績だけなら、市場予想を大幅に下回ったネガティブ決算です。一方、通期上方修正と増配、過去最高水準の受注は中期的なプラス材料です。

短期的には1Qと上期の市場予想未達が意識される可能性があります。中期的には、2Qの急回復と高水準の受注が実績へ変わる確度が評価の中心になります。

株価を見る際はSCREEN固有の決算材料だけでなく、東京エレクトロンやアドバンテストなど半導体製造装置株全体の地合いも分けて確認しましょう。

今後の決算で確認したいポイント

注目点確認する内容
2Q売上高約1,952億円を達成するか
2Q経常利益会社計画約406億円を上回るか
市場期待上期達成に必要な2Q約476億円へ届くか
SPE売上2Q単独約1,669億円を達成するか
SPE利益率27%台へ回復するか
スライド案件2Qに売上計上できるか
受注過去最高水準が続くか
ファウンドリーAI・最先端向け投資
ロジック大型案件とASIC需要
DRAMHBM・サーバー向け投資
NANDデータセンター需要の回復
中国新興・外資顧客を含む投資
ポストセールス2Q予想309億円
営業利益率20%台へ戻るか
棚卸資産売上へ転換しているか
契約負債受注・前受金の動向
通期予想再上方修正の有無
配当年間183円の維持・増額

2Qで売上・利益が急回復するか

2Q単独の会社予想は、売上高約1,952億円、営業利益約416億円です。1Qから大幅に回復する前提となっています。

2Q計画を達成すれば、1Qの落ち込みは装置案件の計上時期による一時的なものだったと判断しやすくなります。未達となれば、上期だけでなく通期計画への不安も強まります。

スライド案件が予定どおり計上されるか

会社が1Qを想定どおりと評価する根拠は、一部案件が2Qへスライドしたことです。次回決算では、対象案件が実際に売上計上されたかを確認する必要があります。

再び計上が遅れた場合は、顧客工場の建設・稼働準備、装置の納入、検収条件に変化がないかを確認しましょう。

SPE営業利益率が27%台へ戻るか

会社計画では、SPEの2Q営業利益率は約27.6%へ回復します。売上増加による固定費吸収、製品構成、地域別売上が利益率を左右します。

売上高が計画どおりでも、低採算案件の構成比が高ければ利益率は届きません。売上と利益率をセットで評価しましょう。

過去最高水準の受注が続くか

通期上方修正の前提は、過去最高レベルの受注が継続することです。受注高と受注残高が前四半期から増えているかを確認しましょう。

顧客が納期長期化に備えて発注を前倒ししている可能性もあるため、受注の増加だけでなく、キャンセル、納期変更、売上転換率も重要です。

ファウンドリー・ロジック向けが回復するか

1QのSPE減収は、ファウンドリー・ロジック向け装置売上の減少が主因でした。AI向け最先端プロセスやASIC投資が2Q以降の売上へ反映されるかを確認します。

ファウンドリー向けでは大型案件の検収時期による変動も大きいため、単四半期だけでなく上期・通期の売上構成を見ることが重要です。

HBM・サーバーDRAM向け需要を見る

1QではDRAM向け装置売上が増加しました。生成AIサーバー向けHBMとサーバーDRAMへの投資が継続すれば、洗浄装置などの需要拡大が期待できます。

メモリーメーカーの設備投資計画、HBMの生産能力、積層数、先端パッケージ投資を確認しましょう。

NAND投資の回復を見る

データセンター向けストレージ需要の回復は、NAND設備投資の増加につながる可能性があります。メモリー価格やメーカーの稼働率、在庫調整の進捗が重要です。

DRAMだけでなくNAND投資も回復すれば、半導体製造装置需要の裾野が広がります。

中国・台湾・北米の地域別売上を見る

1Qは北米向け売上が増えた一方、中国と台湾向けが減少しました。全社売上比率は中国27%、台湾23%、北米16%です。

中国では既存顧客だけでなく、新興メーカーや外資系顧客の投資も見込まれています。一方、先端装置の輸出規制は販売可能な製品や顧客に影響します。

地域別売上の増減を、単純な需要だけでなく、顧客構成、輸出規制、案件の計上時期と合わせて確認しましょう。

ポストセールス売上が成長するか

1QのSPEポストセールス売上は280億円で、2Qは309億円を予想しています。設置済み装置の増加と顧客工場の稼働率上昇が成長要因です。

新規装置売上が変動する中でも、ポストセールスが安定成長すれば収益の下支えとなります。通期予想と営業利益率を確認しましょう。

棚卸資産が売上へ転換するか

1Q末の棚卸資産は約1,926億円まで増加しました。2Q以降の装置売上へ向けた生産増加であれば前向きですが、検収が遅れれば在庫負担が長期化します。

棚卸資産、売上高、契約負債、営業キャッシュフローを組み合わせ、在庫が計画どおり現金回収へつながっているかを判断しましょう。

研究開発費と固定費を吸収できるか

SCREENは研究開発拠点と生産能力への投資を拡大しています。売上が伸びれば固定費を吸収し、利益率を高められます。

一方、売上計上が遅れると、研究開発費、人件費、減価償却費が先に発生して利益を圧迫します。売上成長と固定費増加のバランスを確認しましょう。

通期コンセンサスが上方修正されるか

決算前の通期経常利益コンセンサスは1,580億6,200万円で、会社予想1,565億円をわずかに上回っています。

過去最高受注と通期上方修正を受けて市場予想が引き上げられれば、株価にはさらに高い業績が織り込まれる可能性があります。反対に、1Qの大幅未達を重視して予想が引き下げられれば、会社予想の達成が評価基準となります。

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株を購入する前には、信用買いが増えているのか、信用買いの整理が進んでいるのかを確認することも重要です。
信用買いが増えていると株価が上がりにくく、信用買いが整理されていると上値が軽くなりやすいからです。

一般的な信用残は週次で公表されるため、急落当日の信用需給をすぐに確認することはできません。
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前回の本決算を確認

項目2026年3月期前期比
売上高6,057億4,800万円3.1%減
営業利益1,225億2,200万円9.7%減
経常利益1,243億2,300万円10.1%減
親会社帰属純利益920億300万円7.5%減
営業利益率20.2%低下
分割調整後年間配当146円50銭

前期の2026年3月期は、売上高6,057億円、営業利益1,225億円となり、減収減益でした。成長投資に伴う固定費増加や装置売上の変動が影響しています。

一方、4Q単独では売上高1,803億円、営業利益450億円、営業利益率25.0%まで回復しました。SPE受注も過去最高を記録し、今期の増収増益計画につながっています。

前期は減収減益でも4Qに大きく回復

前期は上期に低調だった装置売上が下期に回復し、4Qは四半期ベースで高い売上・利益となりました。

半導体装置企業は検収時期により業績が偏るため、通期では減益でも期末の受注と売上動向が次年度の成長を示す場合があります。

4Q営業利益率は25.0%

前期4Qの営業利益率は25.0%でした。売上高が増えると固定費吸収が進み、SCREENが高い利益率を実現できることを示しています。

今期2Qも21%台、SPEでは27%台の利益率を計画しており、売上計上が進めば1Qの低利益率から大きく改善する見込みです。

SPEが全社利益の大半を占める

SCREENの業績はSPEへの依存度が高く、装置案件の規模と検収時期によって全社利益が大きく変動します。

GAやFTの改善は収益安定化に貢献しますが、全社利益を成長させるにはSPEの売上高と利益率の拡大が不可欠です。

今期は過去最高益を更新する計画

上方修正後の今期予想は、売上高7,430億円、営業利益1,565億円です。いずれも前期を大きく上回り、過去最高水準を目指す計画です。

達成には、2Qのスライド案件計上、下期の高水準な装置売上、過去最高受注の売上転換が必要です。

SCREENの決算で確認したい指標

SCREENの決算は、大型装置の売上計上時期によって四半期ごとの変動が大きくなります。売上高や利益だけでなく、先行指標と事業構成を確認することが重要です。

会社予想と市場コンセンサスを比較する

会社予想の達成だけでは、市場の期待を満たしたとは限りません。四半期・上期・通期の会社予想と市場コンセンサスを比較し、実績がどの水準を上回ったかを確認します。

SPEの新規装置とポストセールスを分ける

新規装置は顧客設備投資と検収時期で大きく変動します。ポストセールスは設置済み装置の稼働に伴う継続収益です。両者を分けることで、成長性と安定性を把握できます。

ファウンドリー・ロジック・メモリー別売上を見る

AI向けファウンドリー、ASIC、HBM・DRAM、NANDでは投資サイクルが異なります。用途別構成を確認し、どの需要が業績を牽引しているかを判断します。

中国・台湾・北米の地域別売上を見る

半導体設備投資は地域・顧客ごとに変化します。中国の輸出規制、台湾の先端ファウンドリー、北米のAI投資などを分けて確認します。

受注高と受注残高を見る

受注は将来売上の先行指標です。ただし、納期長期化による前倒し発注や計上時期のずれもあるため、売上転換率と合わせて見ます。

売上計上時期とスライド案件を見る

装置は納入・設置・検収の時期で売上計上が変わります。スライド案件が次の四半期に確実に計上されたかを確認します。

SPEの営業利益率を見る

SPEの利益率は製品構成、操業度、固定費、地域別売上で変動します。売上増加が利益率改善につながっているかを確認します。

研究開発費と固定費を見る

成長投資は将来の競争力を高めますが、短期利益を圧迫します。研究開発費、人件費、減価償却費の増加を売上成長で吸収できているかが重要です。

棚卸資産と契約負債を見る

棚卸資産は将来出荷の準備、契約負債は前受金を含む指標です。受注環境との整合性と、実際の売上・現金回収への転換を確認します。

営業キャッシュフローを見る

利益が増えても、在庫や売上債権が積み上がれば現金は増えません。営業利益と営業キャッシュフローの方向が一致しているかを確認します。

WFE市場の成長率を見る

世界の半導体前工程装置市場が伸びても、SCREENのシェアや顧客構成で売上成長率は変わります。市場成長を上回れているかが重要です。

為替前提を見る

会社は第2四半期以降を1ドル150円、1ユーロ175円と想定しています。実勢レートとの差と、為替を除いた実質成長を確認します。

配当性向と株主還元を見る

配当は連結配当性向30%以上が基本です。業績予想、1株利益、株式分割を調整した前年配当と比較します。

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まとめ

SCREENホールディングスの2027年3月期1Qは、売上高が10.3%減、営業利益が41.1%減となりました。1Q経常利益も市場コンセンサスを約49%下回っています。

主因はSPEの新規装置売上減少です。ただし、会社は一部装置案件が2Qへずれた想定どおりの結果と説明しました。

過去最高水準の受注を背景に、通期経常利益予想は1,565億円へ上方修正され、決算前コンセンサスとの差は約1%まで縮小しています。年間配当も183円へ引き上げられました。

今後は、2Qに売上高約1,952億円、営業利益約416億円という急回復を実現し、高水準の受注が実際の売上・利益へ転換するかが最大の焦点です。

出典

2027年3月期 第1四半期決算短信〔日本基準〕(連結)|SCREENホールディングス
https://www.screen.co.jp/ir/library

2027年3月期 第1四半期決算説明会資料|SCREENホールディングス
https://www.screen.co.jp/ir/library

2027年3月期 配当予想の修正に関するお知らせ|SCREENホールディングス
https://www.screen.co.jp/ir/dividend

IR情報|SCREENホールディングス
https://www.screen.co.jp/ir

IRカレンダー|SCREENホールディングス
https://www.screen.co.jp/ir/calendar

財務ハイライト|SCREENホールディングス
https://www.screen.co.jp/ir/finance

SCREENホールディングス(7735)業績進ちょくと決算スケジュール|IFIS株予報
https://kabuyoho.ifis.co.jp/index.php?action=tp1&bcode=7735&sa=report

SCREENホールディングス(7735)アナリスト予想・コンセンサス|株予報Pro
https://kabuyoho.jp/sp/reportAnalyst?bcode=7735

SCREEN、27年3月期業績予想を上方修正・期末配当予想は8円増額|株探
https://s.kabutan.jp/news/n202607281131/

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