ニデックは長年配当を増やしてきましたが、不適切な会計処理の調査をきっかけに、2026年3月期の配当を取りやめました。今後の配当は、利益や本業の現金収支が戻るかに加えて、会社法で決められた配当の上限や、正しい決算を作る体制を立て直せるかにかかっています。
この記事では、以下の5つについて解説します。
- 2026年3月期の配当実績と、2027年3月期の配当予想
- 現在の配当利回りと、配当額別の利回り試算
- 過去の配当推移と、2026年3月期に無配になった理由
- 配当再開に必要な条件と、今後の決算で見るポイント
- 中間・期末配当の権利確定日と、権利付き最終日の考え方
※本記事は2026年10月1日時点の開示資料・株価情報をもとに作成しています。
ニデックの配当はいくら?

ニデックの2026年3月期の年間配当は0円で確定しています。2027年3月期は、中間配当・期末配当とも予想額が未定です。
| 項目 | 最新の状況 | 読み方 |
|---|---|---|
| 2026年3月期の中間配当 | 0円 | 無配で確定 |
| 2026年3月期の期末配当 | 0円 | 無配で確定 |
| 2026年3月期の年間配当 | 0円 | 100株保有でも配当は0円 |
| 2027年3月期の中間配当予想 | 未定 | 9月30日時点の株主が対象。配当額は未定 |
| 2027年3月期の期末配当予想 | 未定 | 3月31日時点の株主が対象。配当額は未定 |
2026年3月期は中間・期末とも無配
2026年3月期は、中間配当も期末配当も無配(配当なし)となり、年間配当は0円です。
100株を保有していた場合でも、2026年3月期の年間配当金は税引前で0円です。前の2025年3月期は、株式分割の影響を調整したベースで年間40円でした。
| 株式分割とは 1株を複数の株に分けることです。ニデックは2024年10月に1株を2株へ分割したため、過去の配当は分割後の株数にそろえた金額で比べます。 |
2027年3月期の配当予想はまだ決まっていない
2027年3月期の中間配当・期末配当は、2026年10月1日時点でどちらも未定です。
ニデックは2026年9月30日の決算発表で通期の業績予想を示しましたが、配当額については判断を保留しています。そのため、100株を保有した場合にいくら受け取れるかも、現時点では計算できません。
ニデックの配当利回りは何%?
ニデックの配当利回りは、2026年3月期の実績で見ると0%です。2027年3月期の予想配当利回りは、配当予想が未定のため、まだ計算できません。
2026年3月期の配当利回りは0%
配当利回りは「1株当たり年間配当金 ÷ 株価 × 100」で計算します。年間配当が0円なら、株価がいくらであっても配当利回りは0%です。2027年3月期は分子となる配当金が決まっていないため、予想利回りを出せません。
配当額別に利回りを試算すると?
年間配当が20円なら配当利回りは約0.85%、40円なら約1.70%です。2026年9月30日の終値2,355円をもとに、配当額ごとに計算すると次のとおりです。
| 仮の年間配当 | 配当利回り | 100株の年間配当(税引前) |
|---|---|---|
| 20円 | 約0.85% | 2,000円 |
| 30円 | 約1.27% | 3,000円 |
| 40円 | 約1.70% | 4,000円 |
| 参考:プライム有配会社平均 (2026年8月末) | 2.21% | ― |
表の20円・30円・40円は、株価を2,355円で固定した仮の試算です。実際の利回りは、今後発表される配当額と、その時点の株価で決まります。
参考として、東証プライム市場で配当を出している会社の平均利回り(日本取引所グループの「有配会社平均利回り」)は、2026年8月末時点で2.21%です。ニデックが年間40円の配当を出した場合でも、利回りは約1.70%で、この平均を下回ります。
株価が下がると、同じ配当金でも利回りは高くなります。一方、配当を続けられるかどうかは、会社の利益や財務で決まります。
ニデックの最近の株価変動については、「ニデックの株価が急落・ストップ安になった理由」で詳しく解説しています。
ニデックの配当金の推移
ニデックは2026年3月期に無配となるまで、株式分割調整後の年間配当を段階的に増やしてきました。
| 決算期 | 1株当たり年間配当(株式分割調整後) |
|---|---|
| 2016年3月期 | 20.00円 |
| 2017年3月期 | 21.25円 |
| 2018年3月期 | 23.75円 |
| 2019年3月期 | 26.25円 |
| 2020年3月期 | 28.75円 |
| 2021年3月期 | 30.00円 |
| 2022年3月期 | 32.50円 |
| 2023年3月期 | 35.00円 |
| 2024年3月期 | 37.50円 |
| 2025年3月期 | 40.00円 |
| 2026年3月期 | 0.00円 |
20円から40円まで9回の増配で2倍になった
株式分割調整後の配当は、2016年3月期の20円から2025年3月期の40円まで、9回の増配で2倍になりました。
一方、2026年3月期は年間0円となり、それまでの増配の流れは途切れています。これからの配当額は、今の利益や財務、正しい決算を作る体制を前提に、会社がどこまで配当に回せるかで決まります。
2025年3月期の配当は、分割後の株数にそろえると年間40円
2025年3月期の配当は、中間配当が40円、期末配当が20円でした。中間配当は分割前の1株に対する金額、期末配当は分割後の1株に対する金額です。分割前の1株は分割後の2株にあたるため、分割後の株数にそろえると中間配当は20円になり、年間では40円です。分割前の1株当たりに直すと、年間80円です。
ニデックはなぜ無配になった?
ニデックが2026年3月期の配当を0円にしたのは、不適切な会計処理の調査が続いていて、過去の決算をどこまで訂正する必要があるか分からなかったためです。5,000億円を超える最終赤字が明らかになったのは、配当を0円と決めた後のことです。
| 日付 | 決まったこと・分かったこと | 理由・背景 |
|---|---|---|
| 2025年10月23日 | 中間配当を0円に決定 | 不適切な会計処理の調査が続いていた |
| 2026年3月3日 | 期末配当も0円に決定 | 過去の決算に重要な影響が見込まれ、調査も継続中だった |
| 2026年9月30日 | 2026年3月期決算を公表。巨額赤字と、過去の一部配当・自社株買いの上限超過が判明 | 過去の決算を訂正した数字を反映 |
中間配当は、会計調査が続く中で無配になった
ニデックは2025年10月23日、2025年9月末時点の株主に支払う予定だった中間配当を0円としました。
当時は第三者委員会の調査などが続いており、過去の決算の数字を大きく訂正する必要が出てくる可能性が残っていました。会社はこの状況を踏まえて中間配当を無配とし、期末配当予想も未定へ変更しました。
※第三者委員会:会社から独立した弁護士や会計士などによる調査チーム
ニデックは期末配当も0円とした
ニデックは2026年3月3日、期末配当も0円にすると決めました。会社は、第三者委員会の調査結果から過去の決算に重要な影響が見込まれ、調査も継続していたことを理由として挙げています。
無配の後に分かった赤字と、本業の現金収支
ニデックが2026年9月30日に公表した2026年3月期の決算は、大きな赤字でした。主な数値は次のとおりです。
| 項目 | 2026年3月期 |
|---|---|
| 営業損益 | 5,190億円の赤字 |
| 最終損益 | 5,646億円の赤字 |
| 減損損失 | 約6,321億円 |
| 営業活動によるキャッシュ・フロー | 2,342億円のプラス |
最終損益が赤字でも、営業活動によるキャッシュ・フローはプラスでした。減損損失は帳簿の上の損失で、同額の現金支払いが発生するわけではないため、最終損益と現金収支は一致しません。ただし、本業で現金を生み出せていても、配当できる金額には会社法で決められた上限があります。
※営業活動によるキャッシュ・フロー:本業から生じた現金の増減を表す指標です。利益とは異なり、実際の現金の動きを示します。
不適切な会計処理や巨額減損の背景は、「ニデックで何があった?不正会計・不適切会計の内容と今後を解説」で詳しく解説しています。
過去の配当・自社株買いが「分配可能額」を超えていたことも判明
ニデックは2026年9月30日、過去の決算を訂正した数字を公表しました。その結果、2022年3月期から2026年3月期に行った配当や自社株買いの一部が、会社法で決められた上限(分配可能額)を超えていたことが分かりました。
| 用語解説 分配可能額は、会社が配当や自社株買いで株主へ分配できる法令上の上限です。 自社株買いは、会社が市場などから自社の株式を買い戻す株主還元の方法です。 |
今後は、訂正後の正しい数字で分配可能額を計算し直し、その範囲に収まる金額であれば配当できます。
ニデックは今後配当を再開する?
ニデックが配当を再開する時期は、まだ決まっていません。会社は2026年9月30日の決算発表でも、配当と自社株買いを合わせて、利益の50%を株主に返すことを目指す方針を掲げています。
会社は「安定配当」と総還元性向50%の方針を維持している
ニデックは、成長分野への投資と財務状況を見ながら、安定的・継続的な配当と機動的な自社株買いを組み合わせる方針です。総還元性向とは、その年の利益のうち、配当と自社株買いの合計で株主に返した割合です。
| 総還元性向(%)=(配当総額+自社株買いの額)÷最終利益×100 |
総還元性向50%には、配当だけでなく自社株買いも含まれます。そのため、2027年3月期の最終利益予想1,000億円に50%を掛けても、配当総額を500億円と推定することはできません。成長投資、財務の健全性、自社株買いとのバランスで配当に回す額は変わり、過去の40円へ自動的に戻るわけでもありません。
2027年3月期は黒字予想でも、配当予想は未定
2027年3月期は黒字の予想ですが、中間配当・期末配当はどちらも未定です。
| 項目 | 2026年3月期(実績) | 2027年3月期(会社予想) |
|---|---|---|
| 売上高 | 2兆7,087億円 | 2兆8,000億円 |
| 営業損益 | 5,190億円の赤字 | 2,000億円の黒字 |
| 最終損益 | 5,646億円の赤字 | 1,000億円の黒字 |
会社は利益の見通しを示しましたが、その利益をどこまで配当に回すかは、まだ明らかにしていません。
配当再開を考えるときに確認したい4つのポイント
配当を再開できるかどうかは、主に次の4点にかかっています。
| 確認すること | 配当再開に近づくサイン | 配当再開が遠のくサイン |
|---|---|---|
| 業績 | 会社予想どおり利益が回復 | 業績予想の下方修正や追加の大きな損失 |
| キャッシュ・フロー | 本業で継続的に現金を生む | 本業で生み出す現金が減る |
| 分配可能額 | 訂正後の数字で法令上の配当余力を確保 | 分配可能額を十分に確保できない |
| 正しい決算を作る体制(監査・内部統制) | 監査法人が決算を重要な点で適正と判断し、内部統制の大きな問題が解消 | 監査法人が意見を出せない状態や、内部統制の大きな問題が続く |
正しい決算を作る体制が必要なのは、決算の数字が正しくなければ、利益や分配可能額を正しく算定できず、配当額を適切に決める前提が崩れるためです。
ニデックは東証の特別注意銘柄に指定されていて、内部管理体制の改善状況が審査されています。
| 用語解説 内部統制は、正しい決算や財務報告を作るための社内の仕組みです。 特別注意銘柄は、内部管理体制に問題があり、東証が改善を求めている銘柄です。 |
特別注意銘柄や上場維持に関する審査は、「ニデックは上場廃止になる?特別注意銘柄の意味と今後を解説」で解説しています。
ニデックの配当金はいつもらえる?権利確定日は?
ニデックの配当の権利確定日(会社の資料では「基準日」)は、中間配当が毎年9月30日、期末配当が毎年3月31日です。
権利確定日は、配当の対象となる株主を決める日です。実際に配当金が振り込まれる支払日とは異なります。
| 配当 | 権利確定日 | 2027年3月期の状況 |
|---|---|---|
| 中間配当 | 2026年9月30日 | 配当予想は未定 |
| 期末配当 | 2027年3月31日 | 配当予想は未定 |
2027年3月期の中間配当は、権利確定日を過ぎても金額が未定
2027年3月期の中間配当は、2026年9月30日が権利確定日でしたが、ニデックは同日時点で配当予想を未定としています。権利確定日は「誰が対象か」を決める日なので、配当額の決定が後になることもあります。
仮に9月30日を権利確定日とする中間配当が実施される場合、その権利を得るには、権利付き最終日の9月28日までに株を買っておく必要がありました。夜間取引では、締め切りが異なります。
| 権利付き最終日とは 配当を受け取る権利を得るために、その日までに株を買っておく必要がある最終日です。通常、権利確定日の2営業日前にあたります。 |
期末配当の支払額・支払日は、今後の会社発表で決まる
2027年3月期の期末配当は3月31日が権利確定日ですが、配当予想が未定のため、現時点では1株当たりの支払額も支払日も決まっていません。配当を目的に株を買う場合は、会社の配当予想と、証券会社が公表する権利付き最終日の営業日カレンダーを確認する必要があります。
ニデックを配当目的で見るとき、何を判断すればいい?
ニデックの2027年3月期の配当がいくらになるかは、まだ分かりません。そのため、すぐに配当収入がほしい人と、配当の再開を待てる人とで、見るポイントが変わります。
| すぐに配当収入がほしい人 | 配当の再開を待てる人 | |
|---|---|---|
| 次に見ること | 2027年3月期の配当予想の発表 | 決算ごとの4つのポイント |
| 判断の目安 | 発表された配当額で利回りを計算し、他銘柄と比較 | 配当の発表より先に、4つのポイントの改善が決算に表れているか |
ニデックの配当に関するよくある質問
ニデックの2026年3月期の配当はいくら?
中間配当0円、期末配当0円で、年間配当は0円です。100株を保有していても、2026年3月期の年間配当金は0円です。
2027年3月期の配当予想はいくら?
2026年10月1日時点では、中間配当・期末配当とも未定です。会社は2027年3月期の業績予想を公表していますが、配当額はまだ示していません。
ニデックの配当利回りは今後も0%のまま?
ニデックの配当利回りが今後も0%かどうかは、まだ分かりません。2027年3月期の配当が未定のため、予想配当利回りを計算できないからです。配当額が発表されれば、その時点の株価で計算できます。
ニデックに株主優待はある?
ニデックには配当とは別に株主優待制度があります。3月31日時点の株主を対象に、ニデックオルゴール記念館「すわのね」の無料入館や一部施設・商品の割引などを実施しています。長期保有かつ100株以上の株主を対象にした抽選のオルゴール優待もあります。配当が0円の間も、株主優待制度は続いています。
まとめ
ニデックの配当について、2026年10月1日時点の状況は次のとおりです。
- 2026年3月期の配当は0円。2027年3月期は未定で、予想配当利回りもまだ計算できない
- 0円になったのは、不適切な会計処理の調査が続き、過去の決算をどこまで訂正するか分からなかったため
- 配当が戻るかは、利益・本業の現金収支・分配可能額・正しい決算を作る体制の4点で判断する
今のニデックは、利回りでほかの銘柄と比べる前に、会計と財務の立て直しがどこまで進むかを見る段階です。今後配当予想が発表されたら、その配当を続けられるだけの利益と現金があるかも確かめる必要があります。
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