原油価格が上昇すると、石油・天然ガスを生産する企業だけでなく、原油・LNG権益を持つ商社、石油元売り、資源開発設備を手掛ける企業などにも利益拡大の機会が生まれます。さらに2026年は、原油高そのものに加えてホルムズ海峡を中心とした海上輸送の混乱が続いており、原油タンカーや一部の海運・造船株にも別の経路から注目が集まりやすい環境です。
2026年9月11日時点ではブレント原油が1バレル108ドル台、WTI原油が103ドル台まで上昇しています。9月10日に確認されたホルムズ海峡の通航船舶は7隻と、直近10日平均の14隻を大きく下回りました。原油高と輸送混乱が同時に起きているため、同じ「原油関連株」でも利益につながる仕組みは会社によって異なります。
原油価格への直接的な利益感応度が高い企業から、原油高の長期化によって資源開発投資が増えると恩恵を受ける企業、ホルムズ海峡の混乱でタンカー需給が引き締まると注目されやすい中小型株まで、根拠を確認できる銘柄を幅広く整理します。
※本記事は2026年9月11日時点で確認できる各社開示・報道をもとに作成しています。
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原油高で上がる株・恩恵を受ける銘柄一覧
原油高の恩恵は、大きく「原油・ガスの販売価格上昇」「石油・LNG権益の価値上昇」「石油元売りの在庫・上流事業」「資源開発投資の拡大」「タンカー運賃・船腹需給の変化」に分けられます。ホルムズ海峡の混乱は原油価格を押し上げるだけでなく、船舶の航行効率や保険料、タンカー需給にも影響するため、原油高だけでは説明できない銘柄もあります。
| 銘柄 | コード | 規模感 | 分類 | 原油高の恩恵 | ホルムズ海峡との関係 |
|---|---|---|---|---|---|
| INPEX | 1605 | 大型 | 石油・天然ガス開発 | 販売価格上昇が利益へ直接反映 | 供給不安による油価上昇の恩恵を受けやすい |
| 石油資源開発 | 1662 | 中型 | 石油・天然ガス開発 | E&Pの販売価格上昇が利益を押し上げ | 油価上昇と中東事業・LNG調達の両面が動く |
| ENEOSホールディングス | 5020 | 大型 | 石油元売り・上流 | 在庫影響、販売価格、上流資源価格 | 調達・運賃上昇も含め事業全体に影響 |
| 出光興産 | 5019 | 大型 | 石油元売り | 在庫影響と価格反映のタイムラグ | 中東調達不安による市況上昇が損益に波及 |
| コスモエネルギーホールディングス | 5021 | 中型 | 石油元売り・開発 | 在庫・精製に加えUAE石油開発 | 油価上昇とホルムズ経由の出荷制約が同時に影響 |
| 三井物産 | 8031 | 大型 | 総合商社・資源権益 | 原油・LNG権益の販売価格上昇 | 資源価格上昇を通じて恩恵 |
| 三菱商事 | 8058 | 大型 | 総合商社・LNG | 原油・LNG価格上昇が利益へ反映 | LNG価格の多くが油価連動 |
| 丸紅 | 8002 | 大型 | 総合商社・エネルギー | 石油・ガスE&P、LNG、トレード | 資源・物流の両面で影響 |
| 伊藤忠商事 | 8001 | 大型 | 総合商社・エネルギー | 石油・ガス開発とLNG/LPG取引 | 資源価格・エネルギー取引を通じて影響 |
| 日揮ホールディングス | 1963 | 中型 | LNG・石油ガスEPC | 高油価で資源開発投資の採算が改善 | LNG供給多角化・新規開発投資の需要 |
| 三井海洋開発 | 6269 | 中型 | FPSO | 高油価で海洋油田の新規開発を後押し | 直接より中長期の開発投資で恩恵 |
| 東洋エンジニアリング | 6330 | 中小型 | プラントEPC | 石油化学・FPSOなどの設備投資 | エネルギー投資拡大が受注機会 |
| 千代田化工建設 | 6366 | 中小型 | LNG・石油EPC | LNG・中東石油案件の投資拡大 | 供給多角化・LNG投資の拡大が追い風 |
| トーヨーカネツ | 6369 | 中小型 | 原油・LNGタンク | 貯蔵設備・メンテナンス需要 | 備蓄・貯蔵インフラ強化と接点 |
| 日本郵船 | 9101 | 大型 | 海運・タンカー | VLCC市況上昇でタンカー採算改善 | 中東―極東のVLCC運賃上昇に直結 |
| 商船三井 | 9104 | 大型 | 海運・タンカー | 原油船のスポット市況上昇 | ホルムズ混乱で船腹需給が引き締まりやすい |
| 川崎汽船 | 9107 | 大型 | 海運・原油輸送 | VLCCを含むエネルギー輸送 | 中東―アジア原油輸送への関与 |
| 飯野海運 | 9119 | 中型 | 原油・ケミカルタンカー | VLCC・ケミカル船などエネルギー輸送 | 中東航路とタンカー市況への露出 |
| 明海グループ | 9115 | 中小型 | 船主・タンカー | VLCC等の保有・傭船料収入 | 中東・原油輸送テーマとの接点が強い |
| 共栄タンカー | 9130 | 小型 | 原油タンカー専業色 | 原油タンカーが売上の過半 | ホルムズ・VLCCテーマの純度が高い |
| 名村造船所 | 7014 | 中型 | 造船 | VLCC・アフラマックスを主力船種に持つ | タンカー市況好転が中長期の新造需要へ波及 |
原油高で上がる株① 石油・天然ガス開発

石油・天然ガス開発会社は、油田やガス田から資源を生産して販売するため、原油価格の上昇が販売単価に反映されやすい業種です。特に原油の生産量が多い企業では、油価が数ドル動くだけでも利益への影響が大きくなります。会社が「原油1ドル上昇で利益が何億円増える」と感応度を開示している場合は、原油高の恩恵を比較しやすいのも特徴です。
INPEX(1605)
INPEXは日本最大級の石油・天然ガス開発会社で、原油高の恩恵を最も数字で捉えやすい日本株の一つです。豪州のイクシスLNGをはじめ、世界各地で原油・天然ガスの開発・生産を行っています。原油を生産して販売するため、販売数量が同じなら油価上昇が売上単価を押し上げます。海外天然ガスの販売価格も、原油価格に連動する契約が多いことが特徴です。
会社のリスク情報では、2026年12月期について原油価格が1バレル1ドル上昇すると年間損益が約55億円増えると期初時点で試算しています。原油価格が10ドル変われば単純計算で550億円規模となるため、原油高への利益感応度は非常に大きいといえます。実際、2026年上期は海外原油の平均販売価格が前年同期比6ドル上昇し、1バレル79.51ドルとなりました。
ホルムズ海峡の供給不安が強まる局面では、中東からの供給減少懸念が国際原油価格を押し上げるため、INPEXは油価上昇を通じて恩恵を受けやすい位置にあります。原油価格そのものへの連動性を重視して関連株を探す場合、最初に比較したい銘柄です。
石油資源開発(1662)
石油資源開発は、国内外で石油・天然ガスの探鉱・開発・生産を行うE&P企業です。国内天然ガス、米国のタイトオイル・ガス、インドネシアやノルウェーなど海外資産を持ち、2026年4月に公表した経営計画では海外E&Pを成長の中核に据えています。2026年3月期は原油価格の下落によってE&P事業の売上高が前年比15.3%減少しており、逆に油価上昇が業績へ効く構造が確認できます。
最新の会社開示では、2027年3月期について原油価格が1バレル1ドル上昇すると営業利益が約7.6億円増加すると試算しています。この感応度には、原油・天然ガス販売だけでなく、原油価格に連動するLNG調達コストや国内天然ガス・電力販売価格への影響も含まれます。複数事業を持つためINPEXほど単純ではありませんが、油価上昇が会社全体でプラスになることを会社自身が数字で示しています。
2026年のホルムズ海峡混乱では、ペルシャ湾から調達予定だったLNGを他地域からスポット調達したほか、イラクのガラフ油田の生産停止も業績計画に織り込みました。石油資源開発は「原油高の恩恵」と「中東供給混乱の影響」が同時に表れやすい銘柄であり、現在の原油相場を考えるうえでも比較価値があります。
原油高で上がる株② 石油元売り

石油元売りは、原油を調達してガソリンや軽油などに精製し、国内で販売する企業です。原油高では、保有する原油・石油製品の在庫価値や上流の石油開発事業が利益を押し上げることがあります。一方で、調達価格や輸送費も上昇するため、「原油が上がればそのまま利益が増える」という単純な業種ではありません。在庫影響、販売価格への転嫁、上流事業を分けて見ることが重要です。
ENEOSホールディングス(5020)
ENEOSホールディングスは国内最大級の石油元売りで、原油の調達・精製・石油製品販売に加え、ENEOS Xploraを通じて石油・天然ガスの開発・生産も行っています。原油高の影響は、ガソリンなどの販売価格だけでなく、上流資源価格と「在庫影響」の双方から業績に表れます。
在庫影響とは、保有している原油・石油製品の帳簿上の価値が原油価格の上昇・下落によって変化し、会計上の利益を動かす仕組みです。石油元売りは法律に基づいて多くの在庫を保有するため、この影響が大きくなります。2026年3月期は、会社が当初約1,300億円の在庫評価損を見込んでいたところ、3月の原油急騰などで実際の在庫損失は78億円にとどまり、通期営業利益は予想を大きく上回りました。
2026年度見通しの感応度では、ドバイ原油が1バレル5ドル上昇した場合、在庫影響を除いて営業利益に約210億円、在庫影響を含めると約710億円の増益影響を試算しています。ホルムズ海峡の混乱は海上運賃や保険料など調達コストも押し上げますが、ENEOSは卸価格へ原油価格や安定供給コストを反映する方針を示しており、現在の原油高を複数の角度から見る必要がある銘柄です。
出光興産(5019)
出光興産も原油高の利益感応度を具体的に開示している石油元売りです。燃料油、基礎化学品、高機能材、電力・再生可能エネルギーなどを展開していますが、原油価格が大きく動く局面では燃料油事業の在庫影響と販売価格への反映が業績を大きく動かします。
出光興産の2026年度感応度では、原油価格が1バレル10ドル上昇した場合、税引前利益への影響は在庫影響を除いて約130億円の増益、在庫影響を含めると約830億円の増益となります。なお、会社資料で示されている「在庫影響除き160億円、在庫影響込み1,010億円」は、原油価格10ドル上昇に加えて、為替が5円円安となるケースを合わせた影響額です。在庫部分は会計上の一時的な要素も大きいため、原油高の実力を見るときは「在庫影響込み」と「在庫影響除き」を分けて確認すると会社の収益構造が分かりやすくなります。
ホルムズ海峡を通じた中東原油の供給不安が長引く局面では、原油・製品価格の上昇と価格反映のタイムラグが損益を動かします。大型の元売り株の中でも会社が感応度を細かく開示しているため、原油相場との関係を数字で追いやすい銘柄です。
コスモエネルギーホールディングス(5021)
コスモエネルギーホールディングスは、石油精製・販売だけでなくUAEでの石油開発事業を持つ点が特徴です。石油元売りとして在庫や精製・販売マージンの影響を受ける一方、上流の原油生産からも原油高の恩恵を受けるため、ENEOSや出光とは少し違う見方ができます。
2025年度は原油価格上昇に伴う正のタイムラグ効果が石油事業の利益を押し上げました。2026年度計画では高水準の原油価格が石油開発事業を下支えするとし、石油開発事業の経常利益を380億円と見込んでいます。会社の感応度資料では、石油事業についてドバイ原油が1ドル上昇すると、在庫影響と精製用燃料費などを合わせて約22億円の増益影響を試算しています。
現在のホルムズ海峡情勢との関係も深く、UAEの原油開発では海峡封鎖によって原油を通常通り出荷できず、タンク容量の制約から生産調整が必要になるケースがあります。つまりコスモは「原油価格上昇はプラス」「輸送制約は販売数量に影響」という二つの力が同時に働く銘柄です。中東の供給混乱を含めて原油高関連株を考える際に外しにくい企業です。
原油高で上がる株③ 総合商社・資源権益

総合商社は、海外の原油・天然ガス・LNG権益への出資やエネルギー取引を通じて原油高の恩恵を受けます。資源価格の上昇が持分利益や販売利益を押し上げる一方、非資源事業も幅広く持つため、INPEXのような資源開発会社より事業が分散されています。原油高への利益感応度と、資源以外の利益基盤を同時に見られるセクターです。
三井物産(8031)
三井物産は原油、天然ガス・LNG、鉄鉱石、銅など幅広い資源権益を持つ総合商社です。原油高関連株としての強みは、原油価格の利益感応度を会社が明確に開示している点にあります。2027年3月期については、原油価格が1バレル1ドル変動すると親会社株主に帰属する当期利益が約13億円動くと推定しています。
三井物産の原油価格は業績へすぐ反映されるわけではなく、約55%が4~6カ月遅れ、約40%が1~3カ月遅れ、約5%が遅れなしで反映される想定です。そのため、原油が急騰した日と決算利益の増加時期が一致しない点も、株価を見るうえで重要です。LNGや天然ガスなど他のエネルギー資産も持つため、原油だけに依存せず資源高の恩恵を取れるタイプです。
原油高の直接性と事業分散の両方を求める場合、INPEXのような専業色の強い資源会社と比較しやすい銘柄です。ホルムズ海峡を巡る供給不安が原油・LNG価格を押し上げる局面では、資源権益の収益拡大を通じた恩恵が期待しやすくなります。
三菱商事(8058)
三菱商事はLNG・天然ガス事業を世界で展開し、原油・LNG価格の上昇が利益へ大きく影響する総合商社です。特にLNG販売の大半が長期契約で、その価格の多くが原油価格に連動している点が重要です。原油そのものの権益だけを見るより、LNGまで含めた油価感応株として捉える方が実態に近くなります。
会社の有価証券報告書では、原油価格が1バレル1ドル変動すると当期純利益が年間約24億円増減すると試算しています。原油価格とLNG価格が利益へ反映されるまでにはタイムラグがありますが、1ドル当たりの影響額は日本の上場企業の中でも大きい部類です。
ホルムズ海峡の混乱で原油だけでなくLNGの供給懸念が高まる局面では、エネルギー価格全体への影響を受けやすい一方、三菱商事は非資源分野にも広く事業を持ちます。原油高への感応度を取りながら事業分散も重視したい投資家が検討しやすい銘柄です。
丸紅(8002)
丸紅はエネルギー・化学品部門で、天然ガス・LNGの生産・液化・トレード、石油・ガスの探鉱・開発・生産、石油・LPGの物流・販売まで幅広く手掛けています。2026年3月期のエネルギー・化学品部門の連結純利益は232億円でした。
三井物産や三菱商事のように「油価1ドルで何億円」という全社感応度を前面には出していませんが、上流のE&PとLNG事業を持つため、原油・ガス価格の上昇が事業収益へつながる経路があります。加えて米国天然ガストレードなど、単純な原油価格だけではないエネルギー市況の変化から利益機会を得られる点も特徴です。
原油高関連株として見る場合は、資源価格に対する純度よりも「エネルギー上流からトレードまで持つ総合力」を評価するタイプです。中東情勢で原油・LNGの供給先や物流が変わる局面では、グローバルな取引網も投資材料になり得ます。
伊藤忠商事(8001)
伊藤忠商事も石油・ガス開発、原油・石油製品トレード、LNG・LPG取引を持つ総合商社です。2026年度計画ではエネルギー・化学品部門の連結純利益を755億円と見込み、原油・ガスの持分生産量は日量1万7,000バレル相当を計画しています。
同部門には伊藤忠石油開発による石油・天然ガスの探鉱・開発・生産や、シンガポールでの原油・石油製品トレーディングがあります。2025年度にはアゼルバイジャンの石油・ガス開発会社で販売価格低下が減益要因となっており、逆方向では資源価格上昇が収益を押し上げる構造です。
三井物産・三菱商事ほど原油価格への全社感応度は高く見えにくいものの、エネルギー取引と上流事業の両方を持つため、原油高の恩恵を受ける経路は明確です。商社の中で非資源事業の比率も高く、原油高だけに賭けずにエネルギー関連の利益増を取り込みたい場合の比較候補になります。
原油高で上がる株④ 資源開発投資の拡大で恩恵を受ける銘柄

プラント・海洋設備関連は、原油価格の上昇が現在の利益へ直接入るのではなく、高い原油・ガス価格が続くことで資源会社の設備投資が増えると恩恵を受ける業種です。油田・ガス田の採算が改善すると、LNG設備、石油・ガス処理設備、FPSO、貯蔵タンクなどの新規案件が動きやすくなります。原油高の「次の段階」を狙う中期型の関連株と考えると分かりやすいです。
日揮ホールディングス(1963)
日揮ホールディングスはLNG、石油・ガス、化学プラントなどの大型EPCを得意とするエンジニアリング会社です。原油価格が上がった分がそのまま今期利益へ入る会社ではありませんが、高いエネルギー価格が続くことで資源会社の新規開発案件の採算が改善し、LNG・ガス田開発の投資決定が進むと受注機会が増えます。
2026年6月にはモザンビーク沖のCoral North FLNGプロジェクトを正式受注しました。プロジェクト総額は約50億ドルで、日揮グループの受注分は10億ドル超、1ドル150円換算で1,500億円超です。またLNG Canadaの第2期拡張計画でもEPC先行役務を受注しており、最終投資決定が行われれば生産能力は年1,400万トンから約2,800万トンへ倍増する計画です。
世界的にエネルギー安全保障が重視される局面では、単に原油を増産するだけでなくLNG供給源の多角化も進みやすくなります。日揮は「原油高の直接感応株」ではなく、「高いエネルギー価格と供給不安が新規設備投資を促すと恩恵を受ける銘柄」として位置付けると分かりやすいです。
三井海洋開発(6269)
三井海洋開発は、海洋油田・ガス田で使うFPSOなどの浮体式生産設備に特化する日本唯一の企業です。FPSOは海上で原油・ガスを生産し、処理・貯蔵してタンカーへ積み出す設備で、深海油田開発では中核となるインフラです。会社は20カ国で59基のFPSOプロジェクト実績を持っています。
重要なのは、三井海洋開発の既存利益は原油価格に直接連動しにくいことです。受注済み設備の建造代金や15年以上に及ぶ長期チャーター・運転サービスの固定フィーが中心で、会社自身も「石油会社とは異なり原油価格変動の影響を受けにくい」と説明しています。
その一方で、新規案件の入口では油価が効きます。原油価格が高いほど深海油田の採算が改善し、石油会社が新規開発へ投資しやすくなります。したがって三井海洋開発は、原油が急騰した瞬間に利益が増える銘柄というより、高油価が続くほど受注パイプラインが厚くなりやすい中期型の原油関連株です。
東洋エンジニアリング(6330)
東洋エンジニアリングは、肥料、石油化学、エネルギー関連設備、FPSOなどでEPC実績を持つエンジニアリング会社です。2026~2030年度の中期経営計画でも、EPCの実行力を事業の核として位置付け、エネルギー転換やサプライチェーン再編を背景とした世界の設備投資需要を取り込む方針を示しています。
同社は2025年度に受注目標4,000億円をほぼ達成し、2026年初の社長メッセージでも世界のエネルギー投資増加を背景にEPC市場の拡大が続くとの認識を示しました。原油高が続くと、産油国や資源会社にとって新規プロジェクトの採算性が高まり、石油化学・ガス・海洋設備などの投資が動きやすくなります。
時価総額の大きい資源株とは値動きの性格が異なり、受注期待や大型案件のニュースが株価材料になりやすい中小型のテーマ株です。原油高を「資源会社の利益増」ではなく「設備投資サイクルの回復」まで広げて考える場合に候補になります。
千代田化工建設(6366)
千代田化工建設はLNGプラントや石油・石油化学設備を得意とするEPC企業です。2026年3月末のエネルギー分野の受注残高は4,694億円で、主要案件にはカタールのNFE LNG、中東の石油・石油化学案件、米国のゴールデンパスLNG、国内LNG受入設備などが含まれます。
中東や北米で原油・天然ガス開発への投資が増えると、液化設備、処理設備、受入基地など大型プラントの需要につながります。特にホルムズ海峡を巡る供給不安が長引けば、消費国側でLNG調達先を増やす動きや、産油・産ガス国側で輸出能力を増強する動きが強まる可能性があり、EPC会社には中長期の案件機会となります。
原油高の恩恵が決算へ出るまでの時間は資源株より長いものの、エネルギー設備投資という明確な受け皿を持つため、原油高テーマを広く探す場合には外しにくい銘柄です。
トーヨーカネツ(6369)
トーヨーカネツは原油・LNG・LPGなどを貯蔵する大型タンクの設計・建設・メンテナンスを手掛ける企業です。世界40カ国で5,700基超のタンクを建設しており、国内では製油所などのタンクメンテナンスでも強い実績を持ちます。物流システム事業も大きいため純粋な原油株ではありませんが、エネルギー貯蔵インフラという独自の接点があります。
原油高や地政学リスクが続くと、エネルギー企業や各国にとって「どこから調達するか」だけでなく「どれだけ貯蔵できるか」の重要性が増します。原油備蓄、LNG受入基地、既存タンクの改修・保全などの設備投資が増えれば、同社のプラント事業の受注機会につながります。
大型資源株ではなく、エネルギー安全保障や貯蔵設備という一段深いテーマを狙える中小型株です。原油価格への短期感応度より、供給不安が長期化した場合のインフラ投資を重視する投資家が比較したい銘柄です。
ホルムズ海峡の混乱で注目される海運・タンカー株

海運株は原油価格そのものの上昇だけで利益が増えるわけではありません。現在の相場では、ホルムズ海峡の通航制約やタンカー攻撃によって船の稼働効率が下がり、VLCCなどの運賃が上昇していることが重要です。したがって、ここでは「原油高」ではなく「原油輸送の逼迫」を主な恩恵経路として整理します。
海運で使われる「船腹」とは、市場で輸送に使える船の供給量を指します。「スポット運賃」は1航海など短期間の契約で決まる運賃、「傭船」は船主から船を借りて運航する契約です。数年単位で船を借りる長期傭船契約では収入が安定する一方、足元のスポット運賃が急騰しても、すべての船の収益がすぐ同じ割合で増えるわけではありません。
日本郵船(9101)
日本郵船はコンテナ、自動車船、ドライバルク、エネルギー輸送などを展開する総合海運大手で、原油タンカーも運航しています。2026年8月公表の第1四半期決算資料では、中東―極東のVLCCスポット市況は第1四半期実績で1日42万5,449ドルまで上昇しました。第2四半期は35万ドル、上期平均は38万7,725ドルを予想しています。
2026年度通期のVLCC市況予想も1日26万7,612ドルへ引き上げられ、5月時点の前回予想13万625ドルから約2倍となりました。ホルムズ海峡で通航量が減ると、船の待機や航路変更によって実際に輸送へ使える船が減り、スポット運賃が上がりやすくなります。足元の実績と通期予想の双方から、中東情勢がタンカー市況へ与える影響の大きさが確認できます。
業績にも効果が表れています。2026年度第1四半期のエネルギー事業の経常利益は239億円となり、前年同期から118億円増加しました。会社はホルムズ海峡の混乱によるVLCC、VLGC、石油製品タンカーなどの市況上昇を増益要因として挙げています。日本郵船は事業規模が大きくタンカーだけで全社利益が決まる会社ではありませんが、現在のタンカー市況上昇が実際の利益増につながっている大型株です。
商船三井(9104)
商船三井は世界有数の船隊を持ち、原油船、石油製品船、LNG船、LPG船などエネルギー輸送を幅広く展開しています。同社が公表する最新のマーケットデータでは、アラビア湾から日本向けのVLCCスポット収益は、2026年4月に1日46万4,930ドル、5月に40万2,333ドル、6月に36万7,591ドル、7月に38万2,828ドル、8月に32万3,218ドルとなりました。春のピークからは低下しているものの、依然として高い市況が続いています。4月時点で想定していた第1四半期35万1,000ドルを上回る水準です。
ホルムズ海峡の混乱では、原油価格そのものより「船が予定通り動けないこと」がタンカー運賃を押し上げます。航行リスクが高まり、タンカーが海峡通過を控えたり待機したりすると、市場で実際に使える船が減るためです。商船三井は原油タンカーに加えてLNG・LPGなども扱うため、中東の海上輸送混乱が複数のエネルギー船種へ波及する局面で注目されやすくなります。
大型株でありながら、現在のホルムズ海峡テーマではタンカー市況という明確な業績材料があります。資源株のような油価感応度ではなく、運賃・船腹需給を確認して追う銘柄です。
川崎汽船(9107)
川崎汽船はコンテナ船事業への持分に加え、自動車船、ドライバルク、LNG船、VLCC、LPG船などを展開しています。2026年8月には日本シップヤードへVLCC3隻を新たに発注し、2029年以降の竣工を予定しています。新造船は中東とアジアを結ぶ航路に適した31万1,000重量トン級です。
この発注は、同社が原油輸送を今後も重要なエネルギー輸送事業として位置付けていることを示します。ホルムズ海峡の混乱でVLCC市況が上昇すると、スポット市場に近い契約ほど収益機会が広がりやすくなります。一方、エネルギー資源輸送では長期契約も多く、全社利益への表れ方は契約構成によって異なります。
川崎汽船は「原油高だから買われる」というより、中東―アジアの原油輸送需要とタンカー船腹需給を材料に見る銘柄です。現在のテーマだけでなく、新造VLCCへの投資という中長期の事業戦略も確認できます。
飯野海運(9119)
飯野海運は大型海運3社より規模が小さく、エネルギー輸送への事業集中度が高いことが特徴です。2026年3月末時点で大型原油タンカー4隻、ケミカルタンカー33隻、大型ガス船9隻など計92隻を運航しています。原油、LNG、LPG、石油化学製品を幅広く運ぶため、中東の物流混乱との接点が明確です。
大型原油タンカーは主にVLCCで、中長期契約を中心に運航しています。長期契約はスポット運賃の急騰がすぐ全船の利益へ反映されにくい一方、安定収益を確保しながら市況の良い船種や契約更新で収益機会を取り込めます。2026年3月にはメタノール二元燃料VLCC向けのファイナンス契約も締結しており、原油輸送船隊への投資を継続しています。
「大型3社は知っているので、もう少しテーマ純度の高い海運株を探したい」という投資家にとって比較価値が高い銘柄です。原油タンカーだけでなくケミカル船やガス船も多く、中東航路全体の需給変化から恩恵を受ける余地があります。
明海グループ(9115)
明海グループは船を保有して海運会社や石油会社へ貸し出す船主事業を中心とする中小型株です。LNGタンカー、大型原油タンカー、アフラマックス、石油化学製品タンカー、LPGタンカーなど多様な船舶を保有し、船隊規模は70隻前後です。
原油輸送ではVLCCやアフラマックスタンカーを持つため、ホルムズ海峡や中東航路のテーマと明確な接点があります。収益は中長期の傭船契約が中心で、市況が上がった瞬間にすべての契約運賃が上がるモデルではありません。その代わり、船主としてタンカー資産を保有する「テーマ純度」が高く、契約更新や新造船投資の局面で好況市況を取り込みやすくなります。
大手海運株ほど知名度が高くないため、原油タンカー関連の中小型株を探している投資家には選択肢になります。時価総額が小さい銘柄はテーマ資金が集中したときに株価が大きく動くことがあるため、事業との接点と市場での注目度を合わせて確認したい銘柄です。
共栄タンカー(9130)
共栄タンカーは、原油タンカー事業が売上高の過半を占める小型海運株です。2026年3月末時点で14隻を保有し、主力のVLCCを原油輸送事業の最重要領域と位置付けています。総合海運会社と比べて原油輸送への事業集中度が高いことが特徴です。
原油タンカー以外ではLPG船が売上の約3割を占めます。さらにVLCC1隻とLPG船2隻を新造発注済みで、エネルギー輸送の船隊を拡充しています。ホルムズ海峡の通航制約によってVLCC需給が引き締まる局面では、原油タンカー専業色の強さからテーマ株として注目されやすい位置にあります。
長期契約を中心とするため、スポット運賃の急騰がすぐに全利益へ反映される構造ではありません。一方、原油タンカー事業の比率が高く、VLCCの新造船投資も続けているため、契約更新や船隊拡充を通じてタンカー市況の好転を取り込みやすい企業です。
ホルムズ海峡・タンカー需要で注目される造船株
造船会社は、ホルムズ海峡の混乱や原油高からすぐ利益が増えるわけではありません。ただ、タンカー運賃が高い状態が続くと船主の収益が改善し、老朽船の更新や新造船への投資が進みやすくなります。VLCCやアフラマックスなど原油タンカーを建造できる造船会社には、タンカー市況の好転が数年単位で受注へ波及する可能性があります。
名村造船所(7014)
名村造船所はバルクキャリアーに加えて、アフラマックス型タンカーやVLCCを主力船種として建造する造船会社です。アフラマックスはおおむね10万トン級の原油・石油製品タンカーで、同社はこの船型に強みを持ち、31万トン級のVLCCも複数建造してきました。共栄タンカー向けのVLCC建造実績もあります。
タンカー運賃が高騰すると船主の収益環境が改善し、船隊の更新や新造船投資を行いやすくなります。したがって名村造船所の恩恵は「ホルムズ海峡が混乱した翌月の利益が増える」という短期型ではなく、「高いタンカー市況が続くことで新造船需要が強くなる」という中長期型です。
原油高テーマを資源・海運だけで終わらせず、船を造る側まで広げる場合の代表候補です。特に中小型・テーマ性のある銘柄を探す投資家にとって、タンカー船価や受注動向と合わせて追う価値があります。
原油高で上がる株はどれを選べばいい?
原油価格への連動性を重視するならINPEX・石油資源開発
「原油が上がれば利益も増えやすい」という分かりやすさを重視するなら、E&P企業が第一候補です。INPEXは1ドル上昇で年間損益約55億円、石油資源開発は2027年3月期の営業利益で約7.6億円の増益感応度を開示しています。原油価格そのものを投資テーマにしたい場合は、まずこの2社を比較すると構造が理解しやすくなります。
原油高の恩恵+事業分散なら三井物産・三菱商事など
原油高の利益恩恵を取りつつ、原油以外の事業も持ちたい場合は総合商社が候補です。三菱商事は油価1ドルで純利益約24億円、三井物産は約13億円の感応度を開示しています。丸紅、伊藤忠にも石油・ガス開発やLNG・エネルギートレード事業があります。原油価格が下がった局面でも非資源事業が利益を支えやすい点は、専業資源株との大きな違いです。
石油事業と株主還元も重視するならENEOS・出光・コスモ
石油元売りは、在庫影響、精製・販売マージン、上流資源事業など複数の要因で利益が動きます。原油高局面では在庫価値が上がりやすく、ENEOSや出光は大きな感応度を開示しています。コスモはUAEの石油開発事業も持つため、上流の恩恵も比較しやすい企業です。配当や自社株買いなど株主還元も含めて選びたい場合に検討しやすいグループです。
中小型の原油関連株ならプラント・FPSO・タンク株
大型資源株以外を探すなら、東洋エンジニアリング、千代田化工建設、トーヨーカネツなど設備投資関連の中小型株があります。三井海洋開発は時価総額が比較的大きくなっていますが、FPSOという特殊な市場で事業純度が高い銘柄です。これらは油価の直接感応株ではないため、原油価格だけでなく新規案件の最終投資決定、受注残高、資源会社の設備投資計画を見ることが重要です。
ホルムズ海峡のテーマ性を重視するならタンカー株
現在のようにホルムズ海峡の通航量そのものが落ちている局面では、日本郵船や商船三井だけでなく、飯野海運、明海グループ、共栄タンカーまで視野を広げると選択肢が増えます。特に共栄タンカーは原油タンカーが売上の過半を占めるため、テーマの分かりやすさがあります。大型株は事業分散、中小型株はテーマ純度という違いで比較できます。
値動きの大きい小型テーマ株を探すなら時価総額も確認する
同じ好材料でも、時価総額数兆円の大型株と数百億円規模の企業では、資金流入が株価へ与えるインパクトが異なります。小型株では「原油・タンカー関連の事業比率が高い」「材料による利益インパクトが会社規模に対して大きい」「市場でテーマとして認識されやすい」という条件が重なると、株価の反応が大きくなることがあります。共栄タンカー、明海グループ、トーヨーカネツなどは、大型株をすでに知っている投資家が次に調べやすい候補です。
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原油・天然ガスの販売価格上昇が直接利益につながる
最も分かりやすいのがINPEXや石油資源開発のようなE&P企業です。E&Pとは、油田・ガス田を探し、開発し、原油や天然ガスを生産する事業を指します。販売数量が大きく変わらなければ、販売する原油の単価が上がるほど売上・利益が増えやすく、会社側が「原油1ドル上昇で利益が何億円増える」と感応度を開示している場合もあります。原油高を業績へ結び付けて考えやすいタイプです。
原油・LNG権益や石油事業を持つ
総合商社や石油元売りは、原油高の恩恵を複数の経路から受けます。商社は原油・LNG権益の販売価格上昇、元売りは上流の石油開発に加えて、保有している原油・石油製品の在庫評価や販売価格への反映が損益を動かします。LNGは液化天然ガスのことで、日本企業の長期契約には原油価格を基準に価格が決まるものも多く、原油高が時間差を伴ってLNG事業の利益へつながる企業もあります。
高い原油価格が続くことで資源開発投資が増える
原油価格が高くなると、これまで採算が合いにくかった油田・ガス田でも開発の採算性が改善します。そこで恩恵を受けやすいのが、LNGプラントや石油・ガス設備を設計・建設するEPC企業、海上で原油を生産・貯蔵するFPSO企業、原油・LNGタンクを手掛ける会社です。EPCは設計・調達・建設を一括して請け負う事業、FPSOは海上で原油やガスを生産・処理・貯蔵・積み出しする浮体式設備です。油価上昇が今期利益に直結するというより、新規案件の投資決定や受注拡大を通じて中長期に効くタイプです。
ホルムズ海峡の混乱でタンカー需給が変化する
海運・タンカー株は「原油価格が高いから利益が増える」というより、ホルムズ海峡などの輸送混乱で船の需給が締まり、運賃が上昇することで恩恵を受ける場合があります。航行できる船が減る、航路が長くなる、待機時間が増えると、同じ量の原油を運ぶために必要な船腹量が増えます。2026年9月にはホルムズ海峡の通航量が平時より大きく減り、VLCCの市況も高騰しています。VLCCは約200万バレル規模の原油を運べる超大型原油タンカーです。
原油高なのに上がらない株があるのはなぜ?
原油高が利益に反映される時期が会社によって違う
原油価格が今日10%上がっても、全ての関連企業の今期利益が同じタイミングで10%増えるわけではありません。三井物産の原油価格は業績への反映に1~6カ月程度のずれがあり、設備投資関連株では資源会社が投資を決めて受注するまでさらに時間がかかります。「原油高メリット株なのに株価が動かない」と感じたときは、どの時点で利益へ反映されるビジネスなのかを確認すると整理しやすくなります。
長期契約では市況上昇がすぐ利益に反映されない
タンカー株でも契約形態によって感応度は異なります。スポット契約は足元の運賃急騰を取り込みやすい一方、中長期傭船契約は契約期間中の収入が安定する代わりに、スポット市況が急騰してもすぐ全船の運賃が上がるわけではありません。飯野海運、明海グループ、共栄タンカーなどは長期契約を多く使っており、「タンカー運賃高騰=全利益が即急増」とはならない理由を契約構造から理解できます。
原油高とホルムズ海峡の恩恵は同じではない
INPEXにとって重要なのは主に原油・ガスの販売価格です。一方、共栄タンカーや商船三井のタンカー事業では、原油の値段よりも船の運賃や稼働率が重要です。コスモのように中東で原油を生産する会社では、原油価格上昇が追い風になる一方で、ホルムズ海峡を通れず出荷量が減ることもあります。現在の相場では「原油高」と「物流混乱」を分けて考えることで、銘柄ごとの株価反応を理解しやすくなります。
株価にはすでに原油高が織り込まれている場合もある
株価は現在の業績ではなく、数カ月から数年先の利益を先回りして動きます。原油価格の上昇が市場で十分予想されていた場合、実際に原油が上昇しても株価が大きく反応しないことがあります。逆に、予想以上の供給障害や運賃急騰が起きると、小型テーマ株に短期間で資金が集中することがあります。原油価格の水準だけでなく「市場がどこまで織り込んでいたか」も株価を見る材料になります。
原油高メリット株を探すときに見るポイント
原油価格への利益感応度
最も比較しやすいのは会社が開示する感応度です。「油価1ドル上昇で純利益○億円」「10ドル上昇で税引前利益○億円」のような数字があれば、会社規模に対して原油高の影響がどの程度あるか比較できます。INPEX、石油資源開発、三井物産、三菱商事、ENEOS、出光などは数字を確認しやすい企業です。
原油・LNG事業が利益全体に占める割合
利益感応度が同じでも、会社全体に占める資源事業の比率が違えば株価の反応は変わります。INPEXは原油・ガスが中心ですが、総合商社は小売、機械、食品、電力など多くの事業を持ちます。原油高に対するテーマ純度を求めるのか、事業分散を重視するのかで選ぶ銘柄が変わります。
原油高の恩恵が短期か中長期か
原油を生産する企業やスポット運賃に近いタンカーは比較的短期で業績へ反映されます。一方、プラント、FPSO、造船は「油価上昇→投資採算改善→最終投資決定→受注」という段階を踏むため、恩恵が見えるまで時間がかかります。短期のテーマ株を探すのか、数年の設備投資サイクルを狙うのかで分類すると選びやすくなります。
ホルムズ海峡と事業の接点
2026年の原油高では、ホルムズ海峡を通る原油・LNGの量やタンカーの安全航行が大きな材料です。中東油田の生産、LNG調達、原油タンカー、VLCC建造など、海峡との接点がどこにあるかを確認すると「原油高で上がる株」と「ホルムズ海峡で上がりやすい株」を分けられます。
時価総額とテーマ純度
中小型株では材料が会社全体に与える比率が大きくなりやすく、少ない資金流入でも株価が動きやすい傾向があります。大型株だけでなく、共栄タンカーの原油タンカー比率、明海グループの船種構成、トーヨーカネツのエネルギータンク事業など、事業純度と会社規模を一緒に見ると「まだ知られていない関連株」を探しやすくなります。
増益が配当や自社株買いにつながるか
原油高で利益が増えても、その利益が設備投資に使われるのか、配当・自社株買いとして株主へ還元されるのかで投資家の評価は変わります。資源価格の上昇局面ではキャッシュフローが急増する企業もあるため、還元方針、配当性向、総還元性向、自社株買いの余力まで確認すると、単なるテーマ株から一歩進んだ銘柄選びができます。
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まとめ
原油高の恩恵を最も直接受けやすいのは、原油・天然ガスを生産するINPEXや石油資源開発です。総合商社や石油元売りにも明確な利益感応度があり、原油高の恩恵と事業分散を両立できます。さらに高い油価が続けば、日揮ホールディングス、三井海洋開発、東洋エンジニアリング、千代田化工建設、トーヨーカネツなど資源開発投資の受け皿となる企業にも中長期の商機が広がります。
2026年の相場では、ホルムズ海峡の通航制約が同時に起きている点も重要です。日本郵船、商船三井などの大型海運に加え、飯野海運、明海グループ、共栄タンカーといった中小型株は、原油価格そのものではなくタンカー運賃・船腹需給の引き締まりから恩恵を受ける経路があります。大型株だけでなく、事業のテーマ純度が高い中小型株まで広げて比較することで、投資家の選択肢は大きく増えます。
銘柄を選ぶ際は「原油価格への利益感応度」「恩恵が短期か中長期か」「ホルムズ海峡との接点」「時価総額とテーマ純度」「増益が株主還元につながるか」を分けて確認することが有効です。同じ原油高でも利益が増える経路は企業ごとに異なるため、原油価格だけでなく各社の事業構造と会社開示を組み合わせて判断すると比較しやすくなります。
出典
Reuters「Oil prices set to end week over $100 for first time in nearly 4 months」(2026年9月11日)
Reuters「Hormuz shipping traffic in single digits, data shows」(2026年9月10日)
INPEX「事業等のリスク」
https://www.inpex.com/ir/risk.html
INPEX「Financial results summary」
https://www.inpex.com/english/ir/financial/summary.html
石油資源開発「リスク情報」
https://www.japex.co.jp/company/management/riskinfo
石油資源開発「2026年3月期 決算短信」
https://www.japex.co.jp/news/uploads/pdf/JAPEX20260513_FY202603Result_j.pdf
石油資源開発「中東情勢の緊迫化に伴う当社業績への影響について」
https://www.japex.co.jp/news/detail/20260417_01
ENEOSホールディングス「在庫影響除き当期損益/営業損益」
https://www.hd.eneos.co.jp/ir/investor/keyword/stock.html
ENEOSホールディングス「2026年3月期 通期連結業績予想と実績との差異に関するお知らせ」
https://www.hd.eneos.co.jp/news/release_information/upload/20260514_03_01_mr04.pdf
ENEOS「石油製品の供給維持に向けた当社の対応について」
https://www.eneos.co.jp/information/2026/20260416_01_01_mr02.html
出光興産「2025年度決算説明資料」
https://www.idemitsu.com/jp/news/2026/260512_2.pdf
コスモエネルギーホールディングス「MD&A情報」
https://www.cosmo-energy.co.jp/ja/ir/management/mdanda.html
コスモエネルギーホールディングス「2025年度通期決算説明資料」
https://www.cosmo-energy.co.jp/content/dam/corp/jp/ja/ir/financial/presentation/2025/pdf/presen2025_4q.pdf
三井物産「リスク情報」
https://www.mitsui.com/jp/ja/ir/management/risk/index.html
三井物産「2026年3月期 決算短信」
https://www.mitsui.com/jp/ja/ir/library/meeting/pdf/ja_263_4q_ta.pdf
三菱商事「第102期 有価証券報告書」
https://www.mitsubishicorp.com/jp/ja/ir/library/fstatement/pdf/2025_04/p02.pdf
丸紅「個人投資家のみなさまへ」
https://www.marubeni.com/jp/ir/individual
丸紅「エネルギー本部」
https://www.marubeni.com/jp/business/energy
伊藤忠商事「セグメント情報:エネルギー・化学品」
https://www.itochu.co.jp/ja/ir/download/__icsFiles/afieldfile/2026/05/01/26_ended_02_1.pdf
伊藤忠商事「エネルギー・化学品カンパニー 主要子会社・関連会社」
https://www.itochu.co.jp/ja/about/partner/chemical/index.html
日揮ホールディングス「モザンビーク向け洋上LNGプラント建設プロジェクトを正式受注」
https://www.jgc.com/jp/news/2026/20260608_01.html
日揮ホールディングス「LNG Canada第2期拡張計画のEPC先行役務を受注」
https://www.jgc.com/jp/news/2026/20260602_01.html
三井海洋開発「よくいただくご質問」
https://www.modec.com/jp/ir/faq
三井海洋開発「チャーター&オペレーション」
https://www.modec.com/jp/business/service/lease_operation.html
東洋エンジニアリング「中期経営計画(FY2026-2030)」
https://www.toyo-eng.com/jp/ja/company/plan
東洋エンジニアリング「2026年 代表取締役社長 年頭挨拶」
https://www.toyo-eng.com/jp/ja/company/news/?n=5871
千代田化工建設「2026年3月期 決算概要」
https://www.chiyodacorp.com/jp/ir/assets/2025Q4_Gaiyo_J.pdf
トーヨーカネツ「株主・投資家の皆様へ」
https://www.toyokanetsu.co.jp/ir/message.html
トーヨーカネツ「プラント事業」
https://www.toyokanetsu.co.jp/product/plant/index.html
日本郵船「2026年度 第1四半期決算説明資料」(2026年8月5日)
https://www.nyk.com/ir/library/result/2026/__icsFiles/afieldfile/2026/08/05/260805_ppt_jp.pdf
商船三井「Market Data」
https://ir.mol.co.jp/en/ir/library/market
川崎汽船「VLCC 3隻の建造契約を日本シップヤード株式会社と締結」
https://www.kline.co.jp/ja/news/crude_oil_and_lpg/crude_oil_and_lpg-20260828.html
飯野海運「海運業」
https://www.iino.co.jp/kaiun/service/ship
飯野海運「オイルタンカー」
https://www.iino.co.jp/kaiun/english/service/ship/ship_oil.html
明海グループ「海運事業」
https://www.meiji-group.com/services/marine.html
共栄タンカー「当社のビジネスモデル」
https://www.kyoeitanker.co.jp/ir/business.html
名村造船所「タンカー」
https://www.namura.co.jp/ja/product/ship/ship_list/tanker.html
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