脱サラをしてラーメン屋の経営を始める人が多いみたいですね。
飲食店経営としては参入しやすく、開業費もそこまでかからないので、人気のようです。
しかし、ラーメン屋の閉店は有名店舗でも相次いでおり、儲からないイメージというのもあります。
つい最近では、家系ラーメンの「六角家」が倒産したというニュースが話題でしたね。
コロナウイルスの影響も大きく受けていることでしょう。
では、なぜラーメン屋は儲からないのでしょうか?
今回は、ラーメン屋の利益率について解説します。
ラーメン屋は儲からないのか?
ラーメン屋は本当に儲からないのでしょうか?
結論から言うと、「儲からないというわけではない」のです。
実際成功して規模を広げているラーメン屋も多いですよね。
では、儲かっているラーメン屋とそうでないラーメン屋の違いとは何でしょうか?
それは、工夫をしているかどうかというところにあります。
ラーメン屋は普通に経営していても、儲かりにくい業種です。ですのである程度の工夫をしなければ安定的な利益は出せないです。
ラーメン屋が儲かりにくいと言われている理由
ラーメン屋が儲かりにくいと言われている理由、それは
・単価が低い
・お客さんが来る時間が偏っている
・テイクアウト、デリバリーに対応しにくい
・競合が多い
ということが挙げられます。
①客単価を上げにくい
ラーメン屋経営の大きなデメリットは、単価を上げにくいことです。
客単価は1,000円前後くらいにしかなりません。
ほとんどの人は、ラーメンを1杯食べて帰ります。それだとせいぜい800円くらいです。
単価が低いと、その分数でカバーしなければいけません。
具体的には、多くのお客さんに来てもらわなければいけません。
そのためには、お昼時は満席に近い状態をキープし続けるくらいでなければいけませんが、全てのお店がそうできるわけではありません。
つまりラーメン屋でお客さんがあまり入っていないお店は、経営的にはかなりピンチと言えるでしょう。
②お客さんが来る時間が偏る
ラーメン屋は客単価が低いということは、先程説明しました。
それをカバーするためには、お客さんの数を増やす必要がありますが、お客さんが来やすい時間帯が限られているのです。
ラーメン屋のピークは、お昼時の2時間くらいです。
夜もある程度は来るでしょうが、15時〜17時はほとんど来ません。
ラーメンは、お昼ご飯もしくは夜ご飯として食べに来るので、それ以外の時間はほとんど利用されないです。
単価をカバーするため多くのお客さんに来てもらう必要がありますが、お昼と夜しか稼ぎ時がないとなるとかなり厳しいですね。
③テイクアウト、デリバリーに対応しにくい
ラーメンがテイクアウト、デリバリーに対応しにくいというのも、欠点です。
コロナ禍でも痛手になりますし、単純に機会損失になります。
もし、お昼の混雑時に並んでいたら、他の店にしてしまう人も多いでしょう。
テイクアウトやデリバリーがあると、お客さんが分散するので、混雑回避にもなりますし売上アップにもなりますが、ラーメン屋で対応するのは相当難しいでしょう。
つまり、テイクアウトやデリバリーに対応せず、数をこなさないと儲からないということなので、ひたすら回転数を上げる必要があります。
④競合が多い
ラーメン屋は年間で5,000店舗程出店されているそうです。
かなり大きな数字だと思いますが、なぜここまで出店数が多いのかというと、参入しやすいからなのです。
スープや麺にこだわれば別ですが、ある程度のクオリティで良ければ比較的簡単に作れてしまうので、経験が浅い人でも参入しやすいのです。
そのため脱サラしてラーメン屋を経営する方も多いです。
参入しやすいということは、競合が多いということです。
ラーメン屋にとって数を稼ぐことは必須なのですが、競合が多いため全ての店舗がクリアできるわけではないのです。
実際、年間で5,000店舗していますが、同じくらい閉店もしているのが現状です。
現状ではレッドオーシャン化している状況なので工夫が必要でしょう。
儲けるための工夫とは?
では、ラーメン屋の経営で失敗しないためには、どうすれば良いのでしょうか?
大事なのは、単価アップと回転数です。
この2つを工夫することで安定した利益を出すことが可能です。
単価を上げる①料金設定編
まずは、単価を上げる努力をしましょう。
お客さんを増やす努力も大事ですが、一人あたりの単価が上がるとより少ないお客さんで利益を出せるので後々楽になっていきます。
まずは価格設定です。
飲食店の原価率はおよそ30%です。言い換えれば粗利益率が70%ということになるのですが、ラーメン1杯あたりの値段によって利益に大きく差が出ます。
具体的に600円のラーメンと800円のラーメンで比較してみましょう。
原価率は3割だとして、600円のラーメンを1杯売ると利益は420円、800円のラーメンを1杯売ると利益は560円になります。
同じ原価率のラーメンでも1杯あたりで140円の利益差が出ます。
これだけだと大きな差に見えませんが、1日50杯売った時の粗利益の差は7,000円になります。
1ヶ月で25日営業したとしたら175,000円も差が出てしまいます。
この差はかなり大きいのでなるべくなら安いラーメンを売るより高くて美味しいラーメンを売った方が効率的です。
単価を上げる②その他の方法
続いて、単価を上げる方法としては、ラーメン単品以外にも注文してもらうことです。
手軽なところだとトッピング、ライス、餃子、ビールなどですね。
これらは原価を抑えることができるので、注文してもらえるとある程度の利益を確保できます。
そんなに手間もかからないので、なんとか注文してもらえるように力を入れましょう。
単価が100円上がるだけでも、1ヶ月の利益に差が出るのでラーメンだけ頼まれることのないようにしましょう。
回転率を上げる
単価を上げる以外にも、お客さんの回転率を上げることで売上が改善できます。
ラーメン屋はお客さんの滞在時間も長くはないので回転率自体はまあまあ良いです。
しかし、ピーク時が限られているので、短い時間により多くのお客さんを回す必要があります。
回転率を上げるために最も重視することは、提供時間です。
提供時間が早ければ早いほど、滞在時間は短くなるのでなるべく調理に時間をかけないことが重要です。
具体的には、仕込みで準備できるものは全部準備してしまうということです。
ラーメン屋は幸いにも暇な時間帯もあるので、その時間を利用して準備をしてしまうのが得策でしょう。
利益を出すためには1日何杯売れば良い?
ラーメン屋の経営は回転率が重要だと説明しました。
具体的にはどのくらい必要なのでしょうか?
単価で利益も変わるので一概には言えませんが、経費を大幅に切り詰められるなら1日50杯程度、通常なら70杯、フランチャイズ店舗なら90杯くらいが目安でしょう。
この杯数を毎日キープして利益を出せるようになるので安定させるためには杯数を稼ぐというのが鍵になってくるでしょう。
具体的な経営シミュレーション
では、実際に数字で見てみましょう。
今回は、単価800円で、1日70人のお客さんが来店するという仮定で利益について計算します。
売上高について
・1日の売上高
800×70=56,000円
・1ヶ月の売上高 (25日営業と仮定)
56,000×25=1,400,000円
客単価800円で1日70人来店した場合の月の売上高は140万円になりました。
ここから経費を引いたものが利益になります。
費用について
・原価(原価率30%と仮定)
1,400,000×30%=420,000
・人件費(正社員2人、月25万円の給料と仮定)
250,000×2=500,000
・水道光熱費
200,000円と仮定
・家賃
100,000円と仮定
費用合計1,220,000円
これでおおよその売上と費用が出ました。
費用については概算でしかないので、状況によってはもっと下げられたりもします。
この状況だったとしたら、利益は18万円です。
1日70杯売っても、結構ギリギリなんだなというのがわかりますね。
これを改善するためには、単価を上げたり、正社員をバイトに変えて人件費を抑えたり、家賃の安い店舗に変えるなどの工夫が必要になってきます。
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