【東京商工リサーチ調べ】新型コロナウイルス関連で倒産した企業まとめ【4月分その1】

新型コロナウイルスの猛威が止まりません。

緊急事態宣言が発令されて、消費活動が宣言される中、倒産となる企業も多くなってきています。

2月〜3月までの倒産企業は約20件でした。

3月までの記事はこちらです。

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しかし、4月はそれを大幅に上回るペースで増えており、企業の経営状況もかなり深刻であるということがわかります。

今回は東京商工リサーチに掲載されている、4月中に新型コロナウイルスにより倒産した企業の一部をまとめてみました。

目次

新型コロナウイルスの影響で倒産した企業まとめ

今回まとめている倒産企業のリソースはこちらです。

https://www.tsr-net.co.jp/

今回も掲載日順にまとめています。

それでは、4月の新型コロナウイルス関連倒産事例を見ていきましょう。

株式会社自然塾(ホテル経営)

北海道でホテル事業を営んでいた企業です。

1985年3月に設立。当初は観光事業や美術館経営を手がけていました。

2003年2月に「川湯国際ホテル」を買収し、弟子屈町にてホテル事業を開始しました。

「名湯の森ホテルきたふくろう」という名称に変更し、森林を眺めながら温泉に入ることのできるホテルとして人気を博し、2013年12月期には売上高やく4億200万円を計上しました。

その後は観光客数の減少により業況も悪化し、2017年12月期は売上高2億8028万円にまで減少しました。

2018年10月には買収により経営陣が交代しましたが、2018年12月期の売上高は2億3612万円とさらに悪化。3486万円の赤字となってしまいました。

2020年に新型コロナウイルスが流行してから宿泊者数はさらに減少し、3月9日から5月末まで休業としていました。

その影響により正社員18名とパートアルバイト20名を一時的に解雇し、なんとか資金を繋げようとしましたが、以前より資金繰りは厳しい状況であったことから営業再開を断念し、破産手続きとなりました。

負債総額は約3億9000万円です。

株式会社小林出版(教科書販売)

東京都にある出版業を営む会社です。主に大学の福祉系学部で使用する介護、福祉関係の教科書を出版していました。

2017年創業と日が浅い会社でしたが、今回のコロナウイルスの影響により破産に至ってしまいました。

当社の代表者は過去に有限会社小林出版で出版を手がけていましたが、販売不振から2008年に破産申請していました。

その後、今般の事業を営みましたが、新型コロナウイルスの影響により大学が休校になり、新年度に販売する予定だった教科書の販売目処が立たず、事業継続が不可能となってしまいました。

負債総額は約1600万円です。

株式会社奥飛騨薬師のゆ本陣(旅館)

岐阜県初の新型コロナウイルス関連倒産です。

2015年12月に設立しました。

温泉旅館「奥飛騨薬師のゆ本陣」を経営していました。

近年では、岐阜県の観光需要も多く、外国人の宿泊客も増加しておりかなり業績を伸ばしていました。

しかし、2020年2月に新型コロナウイルス感染者が高山市内に宿泊していたことが判明し、以降宿泊キャンセルが相次いで発生しました。

3月30日からは旅館を休館し夏頃の再開目処としていましたが、感染終息の見通しが立たずに破産申請に至りました。

負債総額は約2億1000万円。旅館運営となると負債も大きいというのがわかりますね。

有限会社長浜将軍(ラーメン店)、有限会社モンキチフーズ(食品製造)

福岡県の会社です。この2社は代表者が同じで、連鎖的な破産に至りました。

有限会社長浜将軍は、元代表者が1988年に買収し、ラーメン店の経営を開始したものです。

「長浜将軍」という名前で複数店展開しており、2005年8月期には売上高約3億7300万円を計上していました。

その後は不採算店舗の閉鎖などのスクラップ&ビルドを実施、現在は4店舗になっているものの赤字が続いていました。

2019年8月期の売上高は約2億2000万円にまで減少。さらに新型コロナウイルスの影響もあり来店客数が減少したこともあり先行きの見通しが立たず破産手続き開始となりました。

モンキチフーズは独自開発した健康志向のラーメンやダシ、タレの製造を行う会社でした。

主要販売先は長浜将軍であったほか、県外のラーメン店、高速道路のSA運営業社などにも販売しました。

しかし長浜将軍の経営が悪化に伴い連鎖的に経営状態が悪くなっていました。

今回の長浜将軍の破産手続き開始に伴い、事業継続が困難であると判断し、今回の措置に至りました。

株式会社富士屋ホテル(ホテル業)

茨城県内では初となる、新型コロナウイルス関連倒産です。

1957年創業と歴史のある会社で、常陸利根川沿いに立地する「潮来富士屋ホテル」、その向かいにある「別館・開花亭」を経営していました。

元々経営状況は良くなく、宿泊施設への投資負担が大きかったことから、2003年に民事再生法の適用を申請していました。

その後は経営再建を進めており、観光客やビジネスマンの宿泊需要を取り込みつつ、結婚式場、宴会場としてのニーズも獲得して順調に推移しました。

しかし、近年では高速道路が整備されたことにより、従来のアクセス数が減少、比例して宿泊者も減少した影響でイベントシーズン以外の利用客の確保に苦戦している状況でした。

さらに2020年の新型コロナウイルスの影響により宿泊者数のキャンセルも相次ぎ、事業継続は困難となりました。

株式会社RIT(飲食業)

東京都内で4例目となる、新型コロナウイルス関連倒産事例です。

2003年10月創業の飲食店です。

飲食店経営をしており、自由が丘と立川にチャイニーズカフェ「果香」、大阪府梅田にも香港スイーツとシンガポール料理店「果香×ツル商店」を出店していました。

近年のブームもあり売上は順調に推移し、2019年9月期の売上高は約1億7000万円でした。

しかし同年10月に消費税増税により来店者数が減少し経営状況が悪くなりました。

その後追い討ちをかけるように新型コロナウイルスによる来店者数の減少もあり、さらに売上高が落ち込む結果となりました。

その結果事業継続が困難となり、破産申請となりました。

負債総額は約1億1000万円です。

株式会社星たる観光(旅館経営)

2014年7月に創業した三重県会社です。三重県では初となるコロナウイルス関連倒産でした。

2005年に開業していた旅館を買収し、当社設立に至りました。

三重県志摩市内において「星たる(ほたる)」という名称で旅館を運営。

敷地1500坪、全室客室露天風呂付きという旅館で、2019年6月期の売上高は約1億2000万円でした。

しかし、集客状況はあまり良いとはいえず、買収時の借入負担も重荷になっていました。

さらに2020年2月頃より新型コロナウイルスによる影響で宿泊キャンセルが激増し稼動が落ち込みました。

また4月、5月の大型連休の予約状況も悪く今後の事業継続の兆しが見えないこともあり破産申請に至りました。

負債総額は約2億1000万円です。

有限会社トラベルシリウス(旅館業)

1989年設立、岡山県では初となる新型コロナウイルス関連倒産事業です。

宿泊施設「湯原国際観光ホテル菊之湯」、「ゆばらの宿米屋」の経営や、倉吉市から委託されていた「グリーンスコーレせきがね」を運営していました。

また、旅行代理店、貸切バス事業、飲食店も運営と幅広い事業を営んでおり、2013年には関連会社である株式会社シリウスリレーションズを設立しました。

さらにホテル施設などを買収したり、宿泊施設や温泉事業の再生コンサルティングも手がけており、企業としての注目は高いものでした。

しかし、幅広い事業展開による借入負担も大きく、資金面はかなり不安定でした。

そうした中、2018年9月にはシリウスリレーションが破産申請し、当社の経営状況もかなり悪化していました。

2020年に入ってからは支払いの延滞が発生していたり、3月には委託を受けていた「グリーンスレコードせきがね」の運営を停止したことによる違約金も発生していました。

また、運営していたホテルの撤退も決定したりと財務状況は逼迫していた中、新型コロナウイルスによる売上減少も影響して民事再生となりました。

今後はホテル業の経営に専念して再建を図る予定とのことです。

負債総額は約4億7000万円です。

株式会社マイチケット(旅行代理店)

兵庫県内で旅行代理店を営んでいました。

1982年に設立し、スタディツアーやワークキャンプ、海外ボランティアに特化した旅行、企画を経営していました。

しかし、経営は順調ではありませんでした。

1991年に湾岸戦争が開戦し渡航が自粛されたことや1995年に阪神・淡路大震災によりツアーが実施できず、多くの負債を抱えることとなりました。

その後は堅実経営を重ね、経営状況も改善傾向にありましたが、当初の損失を補填するための借入金の返済が負担となっていました。

こうした状況の中、新型コロナウイルスの感染拡大により事業環境は深刻化し、経営を続けることが困難となってしまいました。

負債総額は約1億7800万円です。

株式会社星栄商店(麺類製造)

1972年、宮城県で設立した食品製造業です。

主に麺類の製造を行なっており、「とっちゃんラーメン」や「ほうれん草麺」、「ねぎ麺」、納入先と共同開発していた「ふかひれラーメン」などが主力商品です。

商品開発当時はヒットし、ピーク時の1993年9月期には売上高約2億500万円でした。

しかし、他社製品の競合もあり年間売上高は徐々に減少、2019年9月期には大手との競合を強いられた結果売上高が約7700万円にまで減少してしまいました。

こうした中債務超過額も拡大していました。

近年では「ベガルタ仙台」や「東北楽天ゴールデンイーグルス」のホームゲームで店舗出店し、焼きそばやおこわなどを販売していました。

しかし、新型コロナウイルスによって、試合が中止になってしまった影響で売上は大幅減少。資金繰りのめどが立たず破産手続き開始となりました。

株式会社とみや旅館(旅館経営)

兵庫県にある温泉旅館です。

1953年設立の老舗旅館で、湯村温泉内にあります。

元々経営は芳しくなく、ピーク時の1993年5月期の売上高が6億1600万円であるのに対し、直近の2019年5月期に売上高は1億2000万円と、厳しい状況が続いていました。

利益も赤字続きであった中、「新型コロナウイルス」の影響により外出自粛を余儀なくされており、客足はさらに減少してしまい、結果として資金繰りのめどが立たずに破産申請に至りました。

負債総額は約5億円とのことです。

株式会社味春(弁当販売)

熊本県初の新型コロナウイルス関連破綻事例です。

1975年設立、主に弁当や折詰などの仕出し販売を行なっておりました。

また、「味春ランチ」という屋号を構え、官公庁や事業所に昼食弁当を提供したり、旅行業者企画のツアーや企業のイベント、ゴルフコンペ時の弁当を提供するなどして、経営は順調に推移し、2000年前後の売上高は約2億円ほどでした。

しかし、コンビニ弁当の台頭や弁当販売事業自体の市況が低迷していたこともあり、業況は悪化していました。

競合も強く、売上が順調でないなか、直近の年間売上高は、約1億3000万円ほどに減少し、赤字決算が続いていました。

こうした中、新型コロナウイルスの感染拡大により、イベントの中止や店頭販売の売上が悪化し、需要が高まるはずの4月、5月の注文が大量にキャンセルとなったことを踏まえて今後の事業継続を断念しました。

有限会社マツナガ販売(陶磁器卸売)

佐賀県では初となる、新型コロナウイルス感染破綻事例です。

割烹用の食器、一般食器の卸売を主体に事業を展開していました。

また、代表者の親族が経営する「不思議なお皿」という商品を各地で実演販売していました。

そのお皿がテレビで取り上げられた効果もあり、2011年頃まで販売は順調でした。

しかし、その後は、自社製品の主力販売先である旅館やホテルからの受注が減少したほか、百貨店向けの商品も伸び悩んでいました。

こうした中2010年代は金融債務のリスケなどを行なって資金難をしのいでいましたが「新型コロナウイルス」の感染拡大により受注環境はさらに悪化することとなり、事業継続断念に至りました。

負債総額は約3600万円です。

長洲観光開発株式会社(ホテル経営)

山口県初の新型コロナウイルス関連倒産事例です。

1972年設立。萩市内でトップクラスの規模を誇るホテルを開業していました。しかし、旅行客数の低迷などから経営不振に陥っており、開業からわずか数年で別企業の傘下となっていました。

その後は積極的な投資を行い付加価値を高めていき、2003年に大浴場リニューアル、2004年にホテル名の変更(萩グランドホテル天空)、2008年には直売所を開設し、地元客の集客にも努めてきました。

しかし、過去の投資に伴う負債があまりにも大きく、返済スケジュールの見直し等を行いながら営業を続けていました。

それ以降も萩市内の観光客数は伸び悩み、十分な売上が立たない中、「新型コロナウイルス」の感染拡大による外出自粛も相まって宿泊キャンセルが相次ぎ、事業継続が困難となってしまいました。

負債総額は約18億となります。

有限会社渡辺水産(海産物卸売)

千葉県初の新型コロナウイルス関連破綻事例です。

2004年設立の海産物販売業者です。地元で水揚げされた海産物の卸売を主体として、2014年には飲食店「海鮮浜焼き盤洲」をオープンしました。

この飲食店は周辺観光客の集客に成功しており、自社の新たな収益基盤となっていました。

しかし近年では、アニサキスによる食中毒問題が発生したことで海産物卸売事業が低迷し、赤字計上が続いていました。

ついには債務超過に陥ってしまい、資金繰りも逼迫するほどでした。

追い討ちをかけるように、新型コロナウイルスによる飲食店の集客までもが激減し、今後の業績回復の見通しが立たなくなってしまいました。

これ以上運転資金を調達することも不可能となってしまい、破産手続き開始となりました。

負債総額は推定3億7000万円とのことです。

株式会社マルサ斉藤ゴム(風船製造)

1981年設立、東京都内にある製造会社です。

主力商品はゴム風船、フィルム風船などで、玩具メーカーや問屋などを通して、コンビニやスーパーなどに売られていました。

近年の少子化の影響もあり、風船の需要は従来より減少しておりましたが、大人向け風船「マルサバルーン」の開発や「ふうせんバレー」を製造し業況を回復させていました。

そのおかげもあり、2018年11月期の売上高は2億4075万円にまで上り詰めました。

しかし、業況の完全な回復はできていませんでした。

その後も子供向け製品の受注がどんどん落ち込んでいき売上が減少していく中で、新型コロナウイルスの感染拡大による海外仕入れが困難になるほか、イベント自粛により販売も減少しました。

その影響もあってか資金繰りが限界に達してしまい、破産申請に至りました。

負債総額は約2億円ほどです。

今回のまとめ

4月に入ってから倒産企業が急激に増加しています。

今回特にホテルや旅館などの倒産が多かったですね。

ホテルや旅館事業は事業規模が大きく、立ち上げにかかる借入も莫大なものです。

しかし、今回のウイルス流行により売上がほとんど立たなくなった企業も多いというのが現実です。

観光事業をメインとしている地方ホテルや旅館などは今後も厳しい状況となることは予想され、多くの企業が経営困難となるでしょう。

今回の業種に限らず、事業者の方は経営が困難とならないよう対策を立てる必要があります。

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