いきなりステーキが成功した理由と、今危機に陥っている理由について解説

かつて日本にステーキブームを巻き起こした「いきなり!ステーキ」ですが、現状は大変なことになっています。

https://news.yahoo.co.jp/articles/00a796abe235a59ef97f6e8fa1ca3384ddc77b5f

今年中に店舗を大量に閉店するというのです。


いきなり!ステーキといえば、原価の高いお肉をお得に食べられることで有名になり、各地に店舗を展開していました。


しかし、2019年頃から業況は悪化し、直近の2019年12月期決算では大赤字となってしまいました。

あわせて読みたい
いきなりステーキの会社が大赤字?ペッパーフードサービスの決算について解説! いきなりステーキ等を運営している会社「株式会社ペッパーフードサービス」の2019年12月決算が公開されました。 いきなりステーキといえば、2017年頃からのステーキブー...

では、何故いきなり!ステーキは衰退してしまったのでしょうか?

今回はその理由を解説しようと思います。

目次

いきなり!ステーキがヒットした理由

いきなり!ステーキは2013年12月に第一号店をオープンしました。

その後2015年頃から徐々にヒットし、2017年には空前のステーキブームとなり売上が爆発的に伸びました。

いきなりステーキがヒットした要因は以下が挙げられます。


・立ち食いスタイルによる回転率、店舗面積の縮小
・原価率70%による肉の質の高さ
・都心部中心に店舗展開できた
・調理オペレーションの簡単さによる人件費の削減
・同業者との差別化、ステークスの衰退



立ち食いスタイルによる回転率、店舗面積の縮小

いきなり!ステーキの最大の特徴が、立ち食い形式であるということです。

立ち食い形式であることのメリットは、回転率の速さです。


座るとどうしても長い時間居座ったりしてしまうこともあり、回転率が悪くなる中、立ち食い形式にしたことで食べたらすぐ帰るというスタイルが確立されたのです。



飲食店においては、ランチ、ディナー時のピークタイムにいかに稼げるか?というのが重要であるため、回転率はものすごく重要な側面になります。


もう一つ、立ち食いのメリットは、店が狭くても成り立つという点です。

立ち食い形式にすると、席を広く取る必要がありません。


お店が小さくても成り立つため、家賃や光熱費などあらゆる面でお得になるのです。


回転率アップで売上を上げることに成功していますし、店舗にかかる経費も抑えられているため一石二鳥の戦略ですね。

原価率70%という質の高さ

通常の飲食店の原価率は30%程度です。それで経営が成り立つのです。

いきなり!ステーキの原価率はおよそ7割です。


通常ではあり得ませんが、先ほども述べたように、回転率を上げて売上を叩き出してることと店が大きくないことで店舗経費を抑えられていることで、この原価が成り立ちます。


原価が7割であるということは、お客さんにとってはメリットしかありません。

質の良い肉を使っていれば当然美味しいです。

つまり競合に負けにくいということです。


良いものを使っていれば、お客さんからの人気も高くなり、さらに売上アップにつながるのです。

都心部中心に店舗展開できた

現在では全国どこにでもあるいきなり!ステーキですが、かつては都心部にしかありませんでした。


しかし、都心部の店舗数はかなり多かったので集客力には問題ありませんでした。


ただ、都心部は人が集まりやすい反面、家賃が高く、経費を圧迫し兼ねません。


いきなり!ステーキは、店舗自体は狭くていいので、家賃を抑えられています。

それによって都心部の店舗展開が難なくできていたのです。


多くの飲食店が都心部の展開をあまりしない一方でいきなり!ステーキは都心部の拡大ができたので、大きな差別化となりました。

調理オペレーションの簡単さによる人件費の削減

いきなり!ステーキの経費削減は家賃だけではありません。


ステーキ専門店であるため、調理方法は複雑ではありません。

焼き方にはコツが必要ではありますが、他のジャンルの料理よりも経験値は低くても良いでしょう。


そのためいきなり!ステーキでは、50代以上のコック経験者を短時間勤務の形で多く雇用し人件費を抑えるという手法を取っていました。


こういった工夫をすることで、人件費を圧縮していたのですね。

同業他社との差別化、ステークスの衰退

他のステーキ業態が比較的リーズナブル路線に走っていたのに対して、いきなり!ステーキの価格帯は決して安いとはいえませんでした。


その代わり圧倒的な原価率による質の高さというのは大きな差別化要因となったのです。


特に都心部での展開を多くしていたので、リーズナブル路線よりも質の良いものを食べたい層が多かったのです。


つまり価格、味、立地条件、全てにおいて、マッチしていたのです。


あえて価格の高めなステーキを提供するという差別化戦略がヒットする要因になったのです。



また、いきなりステーキがヒットする前にステーキ業界で名を馳せていた「ステークス」という飲食店があります。


ステークスはカフェスタイルのステーキ屋さんでした。

価格がとてもリーズナブルで人気でしたが、利益率は非常に悪く、次第に集客も苦戦していったのです。


いきなり!ステーキと競合する形になりましたが、ステークス自体はどんどんと衰退しており、いきなり!ステーキ一強となっていったのも追い風となりました。


競合他社が弱くなったのは良い要因であったと言えるでしょう。

いきなり!ステーキの業況が悪化した理由

ここまでヒットしていたいきなり!ステーキですが、なぜ現在はここまで業況が悪くなってしまったのでしょうか?

その大きな要因は、店舗拡大を急ぎすぎた、という点にあります。


2017年にステーキブームが到来して以降、店舗を急速に拡大し、全国的なチェーン店となりました。

各地に店舗ができたことにより最初は爆発的な売上を記録しましたが、次第に飽きられるようになったのです。


いきなり!ステーキが店舗を拡大したことで、次のような問題が発生しました。


・近隣店舗同士で競合が発生してしまい、売上が減少した
・地方や郊外では価格が高すぎた
・店舗拡大による人員確保が困難になった
・海外ではヒットしなかった


このどれもが店舗拡大によって裏目となったのです。

さらに、展開していく中で、立ち食い形式のお店ではなく通常の座って食べるタイプのお店を増やしたり店舗拡大によって社員数を急激に増やしたりしたのです。


いきなり!ステーキが原価70%で成り立っていたのは、家賃や人件費を抑える工夫をしていたからです。

もし通常の形態で店舗を運営していたら間違いなく赤字になります。


今いきなり!ステーキがやっていることとはそういうことなのです。

今後立て直しは可能なのか?

では、最後にいきなり!ステーキの今後について話します。


正直、立て直しがかなり難しいと考えます。


店舗展開が大きなミスであるため、不採算店舗を閉店させるようですが、閉店させるのもお金がかかります。


退店による損失に耐えきれるかどうかは怪しいところですね。


さらに、コロナウイルスによる来店客数減少も追い討ちとなって業績は悪化するでしょう。


この危機的状況を耐えられれば立て直しは可能ですが、耐えるための現預金の確保が課題となるでしょう。

よかったらシェアしてね!

この記事を書いた人

コメント

コメントする

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

目次
閉じる