鬼滅の刃公開で映画館はどのくらい儲かるのか?収益の仕組みについて解説

10月16日に公開された劇場版「鬼滅の刃」無限列車編が大ヒットとなっていますね。

公開3日で興行収入46億円越えという異例のスタートダッシュを決めており、興行収入100億円はほぼ確実となっているようです。

コロナウイルス禍で映画業界が苦しんでいる中でこういったヒット作が出るというのは非常に嬉しいニュースではありますね。

映画館にも人の流れが戻りつつあるみたいで、映画館にとっても遠のいていた客足が戻ってきたことは嬉しいことでしょう。

ここで一つ気になるのは、劇場版「鬼滅の刃」無限列車編のヒットによって映画館の利益はどのくらいになるのでしょうか?

ということで、今回は映画館の収益モデルの仕組みについてと、鬼滅の刃の公開で映画館がどれくらい儲かるのか?ということについて解説します。

目次

鬼滅の刃の公開で映画館は儲かる?

劇場版「鬼滅の刃」無限列車編の公開によって映画館はどのくらい儲かるのでしょうか?

その答えは

あまり儲からない

です。

大きな理由として映画館の収益基盤はチケット代金ではなく、飲食物の販売が大きいということが挙げられます。

新型コロナウイルスの影響によって飲食物の販売が制限されている関係上、利益率があまり良くない状況が続いているのです。

どういうことか詳しく解説するために、映画館の収益構造について見ていきましょう。

映画館の収益構造

では、映画館がどうやって儲けているのかという、収益構造について解説していきます。

映画館の収益構造については以下のブログに詳しい解説があります。

http://blog.livedoor.jp/erinamnam/archives/248978.html

今回は上記ブログの内容を要約し、具体的な数字を使ったりしてわかりやすく解説します。

飲食物の販売

映画館内で販売されている、ポップコーンやホットドッグ、ドリンクなど飲食物の売上です。

実は、映画館の収益基盤の柱となっているのが飲食物の販売なんです。

というのも、飲食物の売上の利益率が非常に高いからなのです。

映画館での飲食物の利益率は50〜80%程度です。

特にドリンクやポップコーンなどよく売れるものはかなり利益率が高くなるように値段設定されています。

ポップコーンやドリンクはサイズにもよるでしょうがだいたい400円程度でしょうか。

もし利益率80%だとしたら、400円のポップコーンが売れたら320円の利益になります。

ですので映画館でポップコーンやドリンクを売るというのは経営上かなり重要なポイントとなっているのです。

グッズ売上

次に、上映された映画のグッズやパンフレットの売上による収入です。

こちらは飲食物に比べると高い利益率では無いようです。

というのも、グッズに関しては、グッズを制作している会社に売上の一部を支払わなければいけないのです。

飲食物は仕入れの原価くらいしかかかりませんが、グッズは販売量の何割かをマージン料として支払う性質上、利益率が悪いということですね。

ですので映画館側も積極的にグッズ販売してもあまり効率的では無いということがわかります。

興行収入

映画館の上映料金である「興行収入」です。

チケット代金という風に言い換えても良いです。

よくある興行収入〇〇億円!というのは、この入場料金の総額ということになります。


この興行収入ですが、映画館側と制作会社側とでそれぞれ取り分があります。

正確な数値は、映画上映が決まった時点で契約によって取り交わされるようですが、

興行収入の50〜70%を映画制作会社へ支払うという仕組みになっているようです。

人気作品であればあるほど支払う割合が高くなるようで、鬼滅の刃の場合は恐らくかなり高い割合であることは間違い無いでしょう。

もし、興行収入の70%を支払う割合となっていた場合、映画館の取り分は30%ほどということになります。

興行収入が100億円であった場合は映画館の収入は30億円ということになりますね。

映画館あたりの取り分はいくらくらいになるの?

日本にある映画館の数は、2019年時点で593館です。

http://jc3.jp/wp/wp-content/uploads/2020/06/1_film_exhibition4.pdf
(参考:映画上映活動年鑑2019)

ということは、鬼滅の刃の興行収入が100億円で映画館側の取り分が30%だった場合、1映画館あたりの興行収入の取り分は約505,902円ということになります。

平均値ですので、都心部と地方では収入にバラツキはあるでしょうが、だいたい50万円くらいの収益ということになります。

とはいえ100億円超えの人気作品でも1映画館あたりで50万円くらいしか収入にならないというのは衝撃的ですね。

広告収入、サンプリング

映画館収益の基盤なんですが、広告収入とサンプリングによる収入というものもあります。

広告収入というのは、映画の上映前に映る映画以外のCMです。

地方の会社やスクリーンに併設しているショッピングモールの店舗などがCMを出していることが多いですね。

広告料は、時間帯や上映前のどのタイミングで流すかによっても決められているようです。


もう一つ、サンプリングというものもあります。

最近では少なくなっていますが、映画館で商品サンプルやチラシなどが配られていることがあります。

こちらは企業が映画館側にサンプリングの依頼をすることで場所の提供をしてくれるというものです。

こちらもサンプリング費用がかかります。

場所の貸出

映画館では、スペースそのものの貸出というのもできます。

ロビーの1部を借りて、クレジットカードの勧誘や商品の販売を行うこともできます。

あとは、スクリーンの貸出というのも行なっています。

イベント関係で利用する方が多いみたいですが、映画離れが進んでいる昨今では貴重な収益源となっています。

鬼滅の刃効果とコロナによる影響について

映画館の収益モデルについて説明しましたが、鬼滅のヒットによって映画館は復調できるのでしょうか?

冒頭でも申し上げましたが、新型コロナウイルスによる影響で主力の飲食物の販売制限等を行なっている映画館も多く、興行収入通りの利益は出にくいというのが現状です。

コロナウイルスの影響によって、ポップコーンなどの食べ物を禁止するor席数を半分にするなど制限した状況で食べ物を販売するというどちらかの選択を取らざるを得ないという状況です。

鬼滅の様な大ヒットが予想される作品においては席数を少なくして他の映画館に流れるよりは全席解放しておきたいというのが映画館側の気持ちとしてはあるでしょう。

以上のことから、新型コロナウイルスの影響によって従来通りの利益率を確保できないというのがジレンマとしてあるでしょう。

今後の復調希望はあるのか?

人件費の高騰や日本人の映画館離れ、動画配信サービスの充実によって経営上厳しい状態が続いている映画館ですが、今後の経営復調の見込みはあるのでしょうか?

実は、映画館にとって全く希望がないというわけではないのです。

その大きな理由として、今後の上映予定作品が充実しているということが挙げられます。


新型コロナウイルスの影響により外出自粛が続いている中で新作映画の公開がストップしているという状況が続いていました。

特に海外では新作映画の公開が軒並みストップしているという状況です。

今後のコロナ収束状況によっては今まで公開できていなかった新作映画が次々公開されていくでしょう。

そうなった場合に映画館の観客動員数は一気に増えることが予想されます。

映画館の収益モデルの基盤は興行収入ではありませんが、興行収入が高い=観客数が多いということであり、利益率の高い飲食物の売上がある程度期待されます。

そのタイミングでポップコーンなどの販売を解禁することができれば利益の確保が期待できるでしょう。



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