サイバーセキュリティの成長に投資したいなら、日本の証券会社で購入できる投資信託が候補になります。ただし、サイバーセキュリティに集中投資する商品と、「安全」全般へ投資する商品は別物です。
この記事では代表的なサイバーセキュリティ関連の投資信託3本を比較し、投資目的に合う選び方を解説します。
※本記事は2026年10月17日時点の開示資料をもとに作成しています。
サイバーセキュリティに投資できるおすすめ投資信託3選

日本で買える投資信託のうち、サイバーセキュリティに関連する代表的な候補は、サイバーセキュリティ株式オープン、iTrustセキュリティ、グローバル・セキュリティ株式ファンドの3本です。
投資先が重なる部分はありますが、資金をどの事業に振り向けるかという運用方針は大きく異なります。
| 投資信託 | 主な投資先 | 信託報酬(年率・税込) | 向いている投資目的 |
|---|---|---|---|
| サイバーセキュリティ株式オープン(為替ヘッジなし) | サイバー攻撃対策の製品・サービスを手掛ける企業 | 1.87% | サイバーセキュリティへの集中投資 |
| iTrustセキュリティ | サイバーセキュリティ、半導体、セキュリティ関連サービスなど | 0.99% | コストを抑えつつ幅広く投資 |
| グローバル・セキュリティ株式ファンド(年1回決算型) | 情報・身体・移動などの安全を支える企業 | 1.892% | 安全関連ビジネス全般への投資 |
この3本はすべてが「サイバーセキュリティ特化型」ではありません。純粋にサイバーセキュリティの需要拡大を取りにいくのか、関連領域まで投資を広げるのかが最初の分かれ目です。
以下では、一般的な年1回決算型や為替ヘッジなしのコースを軸に説明します。
① サイバーセキュリティ株式オープン|サイバーセキュリティに集中投資したい人向け
| 項目 | 基本情報 |
|---|---|
| 運用会社 | 三菱UFJアセットマネジメント |
| 比較対象のコース | サイバーセキュリティ株式オープン(為替ヘッジなし) |
| 投資対象 | 世界のサイバーセキュリティ関連企業 |
| 設定日 | 2017年7月13日 |
| 信託期間 | 無期限 |
| 為替ヘッジ | 原則なし(ヘッジありの別コースも存在) |
| 決算日 | 原則毎年6月6日 |
| 信託報酬(税込) | 年率1.87% |
| 購入時手数料 | 楽天証券の通常取引は0円 |
| 信託財産留保額 | なし |
| NISA | 成長投資枠対象/つみたて投資枠対象外 |
| 購入先の例 | 楽天証券・SBI証券・マネックス証券 |
【用語解説】
信託報酬:投資信託を保有する間に、運用・管理の費用として日々差し引かれる費用。通常は年率で示します。
信託財産留保額:投資信託の換金時に差し引かれ、ファンドの資産に残るお金。設定されていない商品もあります。
為替ヘッジ:円高・円安が運用成果に与える影響を抑えるための取引。
設定日:ファンドの運用が始まった日。
NISAの成長投資枠/つみたて投資枠:買える商品の条件が異なる2つの投資枠。つみたて投資枠は、長期積立向けの条件を満たした商品に限られます。
サイバーセキュリティ株式オープンは、3本のなかでサイバーセキュリティ企業に最も集中して投資する「特化型」のファンドです。世界のサイバーセキュリティ関連企業を選び、サイバー攻撃への対策需要や防御技術の普及を収益機会として取り込みます。株式の運用はサイバーセキュリティ株式マザーファンドを通じて行い、銘柄選定には外部運用会社の専門性も活用します。
※マザーファンド:複数の投資信託から集めた資金をまとめ、実際に株式などへ投資する「親」にあたるファンドです。
2026年8月末時点の組入上位5銘柄は、次のとおりです。サイバー攻撃を防ぐ製品・サービスや、攻撃からの復旧を支える事業を手掛けています。
| 組入上位銘柄 | 組入比率 | 主な事業 |
|---|---|---|
| クラウドストライク・ホールディングス | 8.0% | 端末への攻撃の検知・対応 |
| パロアルトネットワークス | 7.7% | ネットワーク・クラウドの防御 |
| クラウドフレア | 6.6% | Webサイトやアプリへの攻撃対策、通信の高速化 |
| フォーティネット | 5.4% | ファイアウォールを中心とするネットワーク防御 |
| ルーブリック | 5.2% | データのバックアップ・保護・復旧 |
こうした企業は、セキュリティ対策ソフトや監視サービスを継続契約で提供することが多く、顧客が増えるほど毎年の収益が積み上がります。大きなサイバー事件のニュースで株価が一時的に動くこともありますが、中長期の利益成長を左右するのは、継続契約数や顧客1社当たりの契約額を増やせるかどうかです。
銘柄の多くが同じ業界に属するため、サイバーセキュリティ企業への成長期待が後退すれば、一斉に株価が下がる可能性があります。特に成長率の高いソフトウエア企業は、金利上昇や株価の割高感が強まる局面で売られやすくなります。業界の成長を集中的に捉える代わりに、大きな値動きも伴う運用です。
為替ヘッジや分配方針の異なるコースはどう選ぶ?
サイバーセキュリティ株式オープンのコースは、「円高・円安の影響をどこまで抑えたいか」と「分配金をどのように受け取りたいか」の2点で選びます。投資する株式は同じでも、コースによって円建ての値動きと分配方針が異なります。
| 選ぶ点 | コース | 特徴 |
|---|---|---|
| 為替 | 為替ヘッジなし | 株価が同じなら、円安が追い風・円高が逆風になる |
| 為替 | 為替ヘッジあり | 為替の影響を抑える代わりに、主に通貨間の金利差によるコストがかかる |
| 分配金 | 年1回決算型 | 決算は年1回。分配金は原則抑制する方針 |
| 分配金 | 予想分配金提示型 | 原則、決算日の前の営業日の基準価額に応じて、目安の分配金額を示す。毎月・隔月決算などの別コースがある |
例えば投資先の株式が米ドル建てで10%上がっても、その間に円高が進めば、為替ヘッジなしのコースの円建て上昇率は10%を下回ることがあります。円安の場合は反対に為替が追い風になります。
分配金が100円支払われると、ほかの条件が同じなら基準価額も100円下がります。分配金の額と運用益は別なので、長期で資産を増やす目的なら、分配方針より先に投資先・コスト・為替条件を確認しましょう。NISAで購入できるかどうかもコースによって異なります。
② iTrustセキュリティ|コストを抑えて幅広いセキュリティ分野に投資したい人向け
| 項目 | 基本情報 |
|---|---|
| 運用会社 | ピクテ・ジャパン |
| 比較対象のコース | iTrustセキュリティ |
| 投資対象 | 世界のセキュリティ関連企業 |
| 設定日 | 2018年12月21日 |
| 信託期間 | 無期限 |
| 為替ヘッジ | 原則なし |
| 決算日 | 原則毎年2月20日 |
| 信託報酬(税込) | 年率0.99% |
| 購入時手数料 | 0円 |
| 信託財産留保額 | なし |
| NISA | 成長投資枠対象/つみたて投資枠対象外 |
| 購入先の例 | 楽天証券・SBI証券・マネックス証券 |
iTrustセキュリティは、3本の中で信託報酬が最も低く、サイバーセキュリティ以外のセキュリティ関連企業にも投資するファンドです。ピクテ・セキュリティ・マザーファンドを通じて、生活や企業の安全を支える製品・サービスを手掛ける企業を選びます。広い分野に低コストで投資したい人に向いています。
運用会社の2026年10月16日付資料にある、2026年9月末時点のマザーファンドの株式部分の内訳は次のとおりです。
- サイバーセキュリティ銘柄:33%。
- その他:約67%。半導体・半導体製造装置、ネットワーク機器、セキュリティ関連サービスなども投資対象です。
投資範囲が広いことで、サイバーセキュリティ企業の値動きが基準価額に反映される度合いも変わります。
| 市場の動き | iTrustセキュリティへの影響 |
|---|---|
| サイバーセキュリティ企業の株価が下落 | 半導体など、別分野の組入銘柄が下落を和らげる可能性がある |
| サイバーセキュリティ企業の株価が急騰 | 株式部分の約3分の1の保有にとどまるため、特化型ほどは上昇を反映しにくい |
なお、ピクテ・セキュリティ・ファンド(為替ヘッジなし)も、iTrustセキュリティと同じマザーファンドに投資します。株式の運用対象が共通するため、両者を選ぶときの主な比較点は手数料や為替ヘッジなどの条件です。
③ グローバル・セキュリティ株式ファンド|安全関連ビジネス全般に投資したい人向け
| 項目 | 基本情報 |
|---|---|
| 運用会社 | アセットマネジメントOne |
| 比較対象のコース | グローバル・セキュリティ株式ファンド(年1回決算型) |
| 投資対象 | 情報・身体・移動などの安全を支える世界の企業 |
| 設定日 | 2015年12月18日 |
| 信託期間 | 2045年12月18日まで |
| 為替ヘッジ | 原則なし |
| 決算日 | 原則毎年12月17日 |
| 信託報酬(税込) | 年率1.892% |
| 購入時手数料 | 楽天証券の通常取引は0円 |
| 信託財産留保額 | 従来の0.3%から、2026年3月18日付で「なし」に変更 |
| NISA | 成長投資枠対象/つみたて投資枠対象外 |
| 購入先の例 | 楽天証券・SBI証券・マネックス証券 |
グローバル・セキュリティ株式ファンドは、情報を守る事業に加えて、身体や移動の安全を守る事業にも投資するファンドです。関連企業の製品・サービスの競争力や利益成長性などを分析して銘柄を選び、外部の専門家による投資助言も活用します。
- 情報の安全:セキュリティ対策ソフトや監視サービス、認証・情報保護など、デジタル環境を守る事業。
- 身体の安全:防犯・監視機器など、人の安全に関わる製品・サービス。
- 移動の安全:輸送などの場面で安全性を高める機器・サービス。
同じ「セキュリティ」でも、サイバー攻撃対策と、身体や移動の安全を支える事業とでは、売上が伸びる条件が異なります。
| 比較項目 | サイバー攻撃対策 | 身体・移動の安全 |
|---|---|---|
| 需要が伸びる条件 | 企業のデジタル化、サイバー攻撃の高度化 | 設備投資、国や自治体による購入(公共調達)、安全規制 |
サイバーセキュリティ関連株が不調な場面でも、他の安全関連事業が基準価額を下支えする余地があります。サイバーセキュリティへの集中度より、複数の「安全」分野に成長機会があると考える人向けです。信託報酬は3本で最も高いため、運用方針と費用の両方を確認して選びましょう。
同シリーズには、年4回決算を行う3ヵ月決算型もあります。この記事では、長期的な資産形成の比較対象として年1回決算型を取り上げています。3ヵ月決算型の分配金額は、決算ごとに運用状況などを踏まえて決まります。
サイバーセキュリティへ関連投信のおすすめ3本を比較|投資対象・手数料・運用成績の違い
同じセキュリティ関連の投資信託でも、何に投資し、どれだけ費用を払い、どの程度値動きするかで投資成果は変わります。最も重要なのはテーマへの投資比率と値動きの大きさをセットで見ることです。
組入銘柄とサイバーセキュリティへの投資比率を比較
| ファンド | サイバーセキュリティへの投資 | 組入・運用の特徴 |
|---|---|---|
| サイバーセキュリティ株式オープン | 主な投資対象。定義上、関連企業に集中 | クラウドストライク、パロアルトネットワークス、クラウドフレアなど |
| iTrustセキュリティ | 株式部分の33%(2026年9月末) | サイバー関連企業のほか半導体・関連サービスなど |
| グローバル・セキュリティ株式ファンド | 「安全」分野全体への投資。 | 情報・身体・移動の安全に関わる幅広い企業を選別 |
サイバーセキュリティ企業の業績が基準価額に与える影響の大きさは、3本で異なります。
- サイバーセキュリティ株式オープン
サイバー攻撃対策への支出増加が、組入企業の継続契約や利益の増加につながりやすい特化型です。サイバーセキュリティ企業そのものの業績に投資したい人の第一候補です。 - iTrustセキュリティ
株式部分の33%がサイバーセキュリティ銘柄です。サイバー分野が好調でも、半導体などが下がれば基準価額が伸び悩む場合があります。 - グローバル・セキュリティ株式ファンド
情報・身体・移動の安全を広く投資対象とします。サイバー分野だけの比率は同じ定義の数値で横並び比較できないため、「安全」分野全体に投資する運用方針に納得できるかが判断基準です。
3本とも特定のテーマに沿って銘柄を選ぶアクティブファンドです。投資先が「安全」関連企業に限られるため、全世界の株式に幅広く投資するファンドより、特定の業界の値動きの影響を強く受けます。
信託報酬と購入時・換金時の費用を比較

| ファンド | 信託報酬(年率・税込) | 100万円保有時の年額目安 | 購入時のコスト (楽天証券の場合) |
|---|---|---|---|
| サイバーセキュリティ株式オープン | 1.87% | 約18,700円 | 購入時手数料0円 |
| iTrustセキュリティ | 0.99% | 約9,900円 | 購入時手数料0円 |
| グローバル・セキュリティ株式ファンド | 1.892% | 約18,920円 | 購入時手数料0円 |
年額目安は保有資産100万円が1年間変動しないと仮定し、信託報酬率を掛けた概算です。実際の信託報酬は純資産額に応じて日々差し引かれ、売買・保管などのその他費用が別途生じる場合があります。
信託報酬が最も低いのはiTrustセキュリティです。100万円を同じ金額で1年間持つと仮定すると、サイバーセキュリティ株式オープンとの差は約8,800円です。費用は基準価額から継続的に差し引かれるため、長期保有ほど差が積み重なります。
信託報酬の差だけで選ぶと、投資目的から外れる場合があります。サイバーセキュリティ企業が周辺分野より高い利益成長を続けると考えるなら、特化型の年1.87%を負担してでも集中投資する理由があります。複数のセキュリティ関連分野に広げたいなら、iTrustセキュリティの年0.99%が有力です。費用と投資対象を分けて比較しましょう。
投資信託にかかる費用は、購入時・保有中・換金時で種類が異なります。
| 発生する場面 | 費用 | 特徴 |
|---|---|---|
| 買うとき | 購入時手数料 | 販売会社や購入方法によって異なる |
| 持っている間 | 信託報酬・その他費用 | 信託報酬は上表のとおり。売買・保管・監査などの費用が別途発生 |
| 売るとき | 信託財産留保額 | 代表コースはいずれもなし。 |
証券会社と提携するアドバイザー(金融商品仲介業者)を通じて購入する場合は、通常のインターネット取引と手数料が異なることがあります。
過去の運用実績と値動きの大きさを比較

3本の投資信託について、楽天証券の2026年8月7日更新データで期間をそろえると、次のとおりです。リターンは税引前分配金の再投資を想定し、信託報酬控除後の基準価額をもとに算出されています。
| ファンド | 1年リターン | 3年累積リターン | 5年累積リターン | 1年リスク(年率) |
|---|---|---|---|---|
| サイバーセキュリティ株式オープン | +42.65% | +139.75% | +119.67% | 28.84% |
| iTrustセキュリティ | +36.70% | +85.79% | +83.16% | 20.78% |
| グローバル・セキュリティ株式ファンド | +19.85% | +61.69% | +90.02% | 15.97% |
表示の「リスク」は一定期間の週次騰落率のばらつき(標準偏差)の年率換算値で、損失幅や最大下落率そのものではありません。いずれも代表コースのデータです。
この集計期間では、サイバーセキュリティ株式オープンが最も高いリターンと、最も大きな値動きを示しました。1年リスクの数値が大きいほど、同じ金額を投じた場合に評価額が大きく上下していたことを表します。
運用実績を比較するときは、次の3点を分けて判断しましょう。
- 直近の上昇率:特化型の好成績には、期間中にサイバーセキュリティ企業への成長期待が強まった影響も考えられます。同じ上昇率が続く前提では選べません。
- 集計期間:5年累積リターンではグローバル・セキュリティ株式ファンド(+90.02%)がiTrustセキュリティ(+83.16%)を上回り、順位が変わります。
- 基準価額そのもの:設定日や分配金の履歴で水準が変わるため、金額だけでは成績を比較できません。
比較すべきなのは、同じ期間のトータルリターン(分配金の再投資を想定した損益)と、その利益を得るまでにどの程度価格が上下したかの組み合わせです。
NISA成長投資枠と購入できる金融機関を比較
| ファンド | NISA成長投資枠 | NISAつみたて投資枠 | 国内の購入先の例 |
|---|---|---|---|
| サイバーセキュリティ株式オープン(為替ヘッジなし) | 対象 | 対象外 | 楽天証券、SBI証券、マネックス証券 |
| iTrustセキュリティ | 対象 | 対象外 | 楽天証券、SBI証券、マネックス証券 |
| グローバル・セキュリティ株式ファンド(年1回決算型) | 対象 | 対象外 | 楽天証券、SBI証券、マネックス証券 |
3本とも、代表として取り上げたコースはNISAの成長投資枠で購入できます。成長投資枠では対象商品の運用益が非課税となるため、値上がり益を狙うテーマ型投資信託でも活用できます。
楽天証券では3本とも、通常の一括購入(スポット購入)や積立を100円から始められます。少額投資は資金配分を調整しやすい一方、購入する商品の値動き自体は変わりません。長期資産形成の中心に置くのか、分散投資の一部にするのかを考えて金額を決めましょう。
▼楽天証券の公式サイトはこちらサイバーセキュリティ投資信託は今後も成長が期待できる?
セキュリティ対策への支出は中長期的に拡大が期待できます。投資信託の成果を左右するのは、需要増加が組入企業の利益に結びつくか、そしてその利益成長への期待が、すでに株価にどこまで反映されているかです。
企業のセキュリティ投資が増える理由
セキュリティ需要が拡大しやすいのは、企業が守るべきシステムやデータが増え続けているためです。
- クラウド・テレワークの普及:社内だけでなく、社外のシステムや従業員の端末も守る必要があります。
- ネット接続機器の増加:攻撃者に狙われる端末や通信経路が増えます。
- 業務でのAI利用の拡大:顧客情報の流出防止、アクセス権限の管理、データが改ざんされていないかの確認などが必要になります。
情報処理推進機構の「情報セキュリティ10大脅威 2026」では、組織向けの脅威の上位3項目は次のとおりです。
- 1位・ランサム攻撃による被害:データや業務システムを使えなくし、復旧と引き換えに金銭を要求する攻撃です。監視に加え、被害から復旧できる体制が求められます。
- 2位・サプライチェーンや委託先を狙った攻撃:自社だけでなく、取引先のアクセス管理や対策状況も確認の対象になります。
- 3位・AIの利用をめぐるサイバーリスク:情報の入力・共有のルールや利用権限の管理など、新しい対策が加わります。
セキュリティ対策には継続契約型のサービスが多く、提供する企業には売上が積み上がります。顧客企業の利用端末数や守るデータ量が増えれば、契約数の増加や上位プランへの切り替えも見込めます。攻撃対策への支出増加が単発の売上で終わらず、契約の更新や単価上昇につながるかが利益成長を見極めるポイントです。
市場が成長してもファンドが値上がりするとは限らない
株価は企業の将来の成長を見越して先に動きます。例えば売上が前年より20%増えても、投資家が30%増を期待していた場合は期待に届かず、株価が下がることがあります。業績が伸びるかだけでなく、株価にどの程度の成長が期待されているかが重要です。
ピクテ・ジャパンは2026年10月16日付の資料で、サイバーセキュリティ需要への期待とあわせて、金利上昇、株価の割高感、AI企業の参入をめぐる競争への懸念を挙げています。サイバーセキュリティ市場が拡大しても、次のような理由で組入企業の株価が下がる場合があります。
- 米国の金利上昇:債券などから得られる利回りが上がると、何年も先の成長に期待して買われる株式の相対的な魅力が下がり、売られやすくなります。
- 競争激化:AIが需要を増やす一方、新規参入や大手ソフトウエア企業のセキュリティ機能強化により、価格競争が強まる可能性があります。
ファンドの今後を判断する際は、次の3点を分けて確認すると、業界の成長と運用成績を混同せずに済みます。
- 利益の成長:セキュリティ対策の需要が増えるだけでなく、契約増や利益率改善につながっているか。
- 株価に反映された期待:すでに高い成長を見込んだ株価になっていないか。金利や競争による変化も含めて考えます。
- ファンドの投資範囲:iTrustセキュリティやグローバル・セキュリティ株式ファンドでは、サイバー以外の業界も成果を左右します。
サイバーセキュリティ投資信託を買う前の注意点
サイバーセキュリティ投資信託は、成長が期待できる分野に投資できる一方、投資対象の偏りや為替変動によって基準価額が大きく動くことがあります。また、信託報酬や分配方針によっても投資成果は変わります。
購入後に想定外の損失や負担が生じないよう、事前に確認しておきたい注意点を解説します。
特化型は下落時の値動きが大きくなりやすい
特化型は複数の銘柄を持っていても、同じ業界の株価変動を強く受けます。ソフトウエア株が一斉に売られる局面や、セキュリティ企業に共通する規制・競争環境が悪化する局面では、組入銘柄が同時に下落しやすくなります。
運用実績の比較表では、特化型の1年リスクが28.84%と3本の中で最大でした。近く使うお金を充てず、株価が大きく下がっても保有し続けられる金額に抑えましょう。
為替ヘッジなしは株価が横ばいでも円高で基準価額が下がる
3本の代表コースはいずれも原則として為替ヘッジなしです。為替ヘッジなしの場合は、株価が横ばいでも円高になると円建ての基準価額は下がります。例えば1ドル150円から135円になれば、米ドル資産の円換算額は約10%減ります(その他の条件が同じ場合)。
為替ヘッジを付ければ為替変動を抑えられますが、金利差などに基づくコストがかかり、株価下落は防げません。為替変動を受け入れるか、コストを払って抑えるかを投資期間に合わせて選びましょう。
分配金の多さだけで選ばない
分配金を100円支払うと、ほかの条件が同じなら基準価額は100円下がります。分配金には運用利益から支払う「普通分配金」と、投資元本の払い戻しに当たる「元本払戻金(特別分配金)」があります。後者は非課税ですが、運用で得た利益ではありません。
分配金のあるコースを検討するときは、次の3点を確認しましょう。
- 受け取る目的:定期的な現金収入が必要か、資産を長く増やすことを優先するか。
- 課税口座での再投資と税金:普通分配金には通常20.315%の税金がかかるため、税引き後の金額で再投資します。NISA口座で受け取る分配金には、国内の税金がかかりません。
- 運用成績:分配金額ではなく、再投資した場合を含むトータルリターンで比較します。
まとめ|サイバーセキュリティへの投資比率を基準に選ぼう
サイバーセキュリティ関連の投資信託を投資目的別に選ぶなら、候補は次のとおりです。
- サイバーセキュリティ企業へ集中投資したい:サイバーセキュリティ株式オープン。
- 低コストで幅広いセキュリティ分野へ投資したい:iTrustセキュリティ。
- 情報・身体・移動の安全全般へ投資したい:グローバル・セキュリティ株式ファンド。
投資比率・信託報酬・値動き・為替リスクも合わせて比較して選びましょう。
出典
サイバーセキュリティ株式オープンには複数の種類がありますが、違いは何ですか。
サイバーセキュリティ株式オープン(為替ヘッジなし)はNISAで購入できますか。
サイバーセキュリティ株式オープン(為替ヘッジなし)|楽天証券
サイバーセキュリティ株式オープン(為替ヘッジなし)|組入銘柄
iTrustセキュリティ|情報セキュリティ関連投資は、サイバーセキュリティ需要拡大を後押し
ピクテ・セキュリティ・ファンド(為替ヘッジなし)|ピクテ・ジャパン
グローバル・セキュリティ株式ファンド(年1回決算型)|アセットマネジメントOne
グローバル・セキュリティ株式ファンド(年1回決算型)|楽天証券
投資信託説明書(交付目論見書)|グローバル・セキュリティ株式ファンド
グローバル・セキュリティ株式ファンド 信託財産留保額引き下げについて
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